JP2007143375A - 発電機制御装置及び発電機の制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】負荷の需要量の変動にともなう当該需要量と発電機の発電量との差を低減させる。
【解決手段】負荷の過去の需要量を参照して発電する第1発電機と、第1発電機とともに発電し、負荷の現在の需要量と第1発電機の発電量を含む現在の総発電量との差に基づいて発電する第2発電機と、の発電量を制御する発電機制御装置であって、負荷の現在の需要量と第1発電機及び第2発電機の現在の総発電量との差と、第1発電機の現在を基準とする所定期間における発電量の差と、に基づいて、第2発電機の発電量を制御する制御部、を備えてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、負荷に電力を供給すべく発電機の発電量を制御する発電機制御装置、及び、この発電機の制御方法に関する。
いわゆる中央給電指令所は、複数の発電所を統括管理し、電力の供給担当区域においてその需給バランスを維持する機能を有する。電力は原則として貯蔵できないため、負荷の需要量と供給量(発電量)とが、いわゆる同時同量である必要がある。もし、電力供給区域における負荷変動(需要量の変動)により、電力の需給バランスが維持できない場合、電力系統の周波数や電力会社間の連系線潮流等に偏差が生じるとされている。周波数の偏差が生じると、前記供給担当区域におけるユーザが使用する例えば電動機の回転が不均一となったり、例えば電気時計に誤差が生じたりする虞がある。また、近年の電力自由化にともない連系線潮流のより厳密な管理が求められているため、この偏差も通告値通りに維持する必要がある。
そこで、中央給電指令所では、複数の発電所における複数の発電機に対し、前記供給担当区域における負荷の変動周期別に出力調整を行っている。つまり、例えば十数分〜数時間程度を意味する長周期の負荷変動に対応するべく、比較的出力変化率の小さい発電機に対しては、前日に需要を予測し経済性を考慮した、いわゆる経済負荷配分制御を行っている(EDC:Economic load Dispatching Control)。一方、例えば数十秒〜数分程度を意味する短周期の負荷変動に対応するべく、前記発電機に比べて出力変化率の大きい発電機に対しては、現在の需給アンバランス(需給差)に基づいた、いわゆる負荷周波数制御を行っている(LFC:Load Frequency Control)。
具体的には、中央給電指令所では、例えばEDC及びLFCの協調制御を行っている。長周期の負荷変動は周知の方法により予測可能であるため、例えば、この予測結果に基づいてEDCにより電力を供給し、この供給量と実際の需要量との差をLFCによる電力の供給で解消する発電機制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
図6を参照しつつ、このLFCによる発電量の制御例について説明する。同図は、負荷の総需要量及びこれに対する発電機の総発電量の偏差例を示す時間ダイアグラムである。同図の例示によれば、現在(時刻t)におけるEDC及びLFCによる総発電量はPと表わされる一方、需給差はΔPと表わされる。この需給差ΔPをLFC発電機の現在出力に加え、この結果を十数秒〜数分(Δt)後におけるLFC発電機の新たな出力とすることにより、時刻(t+Δt)でのEDC及びLFCによる総発電量はP+ΔPとなる。これにより、EDC発電機及び負荷に変動がなければ、需給差が解消される。
特開平5−56698号公報
ところで、例えば前述した特許文献1に開示された発電機制御装置において、EDCは、長周期の負荷変動の予測結果に基づく、いわゆる予測先行制御である一方、LFCは、現在の需給差をもって発電機にフィードバックをかける後追い制御である。よって、LFC発電機は、分担する電力の変動を解消しきれなくなる虞がある。
例えば、図6の時間Δt内に総需要量のレベルDが変動したり、EDC発電機の発電量の変動にともないP自体が変動したりする場合、いわゆる後追い制御では、時刻(t+Δt)における需給差はゼロとはならない。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、負荷の需要量の変動(負荷変動)にともなう当該需要量と発電機の発電量との差(需給差)を低減させる発電機制御装置を提供することにある。
前記課題を解決するための発明は、負荷の過去の需要量を参照して発電する第1発電機と、前記第1発電機とともに発電し、前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機の発電量を含む現在の総発電量との差に基づいて発電する第2発電機と、の発電量を制御する発電機制御装置であって、前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機及び前記第2発電機の現在の総発電量との差と、前記第1発電機の現在を基準とする所定期間における発電量の差と、に基づいて、前記第2発電機の発電量を制御する制御部、を備えてなる。
例えば、過去の需要量に基づいて、現在を基準とする所定期間における需要量の差を予測すれば、第1発電機は、この予測に基づいて発電するべく制御される。過去とは、例えば前日を意味し、この前日に翌日の需要推移を予測する。つまり、この予測に基づいて、第1発電機の現在を基準とする所定期間における発電量の差が予定される。更に、この予定に基づいて、現在(t)から例えば所定期間より短い或る期間(Δt)後の発電量の差も予測できるとされている。そこで、時期(t+Δt)における、負荷の需要量と第1発電機及び第2発電機の総発電量との差(時期(t+Δt)における需給差)は、現在(t)の需給差に対して、或る期間(Δt)内の予定された発電量の差を考慮することによって、その絶対値がより小さくなる。よって、負荷の需要量の変動にともなう需給差が低減される。
また、かかる発電機制御装置において、前記制御部は、前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機及び前記第2発電機の現在の総発電量との差と、前記第1発電機の現在を基準とする所定期間における発電量の差と、前記負荷の現在を基準とする所定期間における需要量の差と、に基づいて、前記第2発電機の発電量を制御する、ことが好ましい。
例えば、前述した現在を基準とする所定期間における需要量の差の予測に基づいて、現在(t)から或る期間(Δt)後の需要量の差も予測できるとされている。そこで、前述した時期(t+Δt)における需給差は、現在(t)の需給差に対して、或る期間(Δt)内の予定された発電量の差と、或る期間(Δt)内の予測された需要量の差との両方を考慮することによって、その絶対値がより一層小さくなる。よって、負荷の需要量の変動にともなう需給差がより一層低減される。
また、かかる発電機制御装置において、前記制御部は、前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機及び前記第2発電機の現在の総発電量との差を検出する第1検出部と、前記第1発電機の現在を基準とする所定期間における発電量の差を検出する第2検出部と、前記負荷の現在を基準とする所定期間における需要量の差を検出する第3検出部と、を有し、前記第1検出部、前記第2検出部、前記第3検出部の検出出力に基づいて、前記第2発電機の発電量を制御することとしてもよい。
これにより、第1検出部は、例えば、前述した現在(t)の需給差を検出できる。また、第2検出部は、例えば、前述した所定期間内の発電量の差に基づいて、更に、或る期間(Δt)内の発電量の差を検出できる。また、第3検出部は、例えば、前述した所定期間内の需要量の差に基づいて、更に、或る期間(Δt)内の需要量の差を検出できる。また、3つの検出部は独立に並列動作が可能であるため、第2発電機の発電量の制御に要する時間がより短くなり得る。
また、かかる発電機制御装置において、前記第2検出部は、前記負荷の過去の需要量に基づいて予測される、前記第1発電機の現在から所定期間後までの発電量の差を検出することとしてもよい。
例えば、過去の需要量に基づく現在から所定期間後までの発電量の差の予測がいわゆる長周期予測であれば、第2検出部は、周知の方法により、この発電量の差を効率的に検出できる。
また、かかる発電機制御装置において、前記第3検出部は、前記負荷の過去の需要量に基づいて予測される、前記負荷の現在から所定期間後までの需要量の差を検出することとしてもよい。
例えば、過去の需要量に基づく現在から所定期間後までの需要量の差の予測がいわゆる長周期予測であれば、第3検出部は、周知の方法により、この需要量の差を効率的に検出できる。
また、かかる発電機制御装置において、前記負荷は、電気炉を示す第1負荷と前記電気炉以外を示す第2負荷との少なくとも一方である、こととしてもよい。
もし、負荷の中に、不定期に需要量が変動し得る第1負荷が含まれていても、本発明の発電機制御装置によれば、この不定期な変動にかかわらず前述した需給差を低減できる。
また、前記課題を解決するための発明は、負荷の過去の需要量を参照して発電する第1発電機と、前記第1発電機とともに発電し、前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機の発電量を含む現在の総発電量との差に基づいて発電する第2発電機と、の発電量を制御する発電機の制御方法であって、前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機及び前記第2発電機の現在の総発電量との差と、前記第1発電機の現在を基準とする所定期間における発電量の差と、に基づいて、前記第2発電機の発電量を制御してなる。
この発電機の制御方法によれば、負荷の需要量の変動にともなう当該需要量と発電機の発電量との差を低減できる。
負荷の需要量の変動にともなう当該需要量と発電機の発電量との差を低減できる。
===発電機制御装置の構成===
図1を参照しつつ、本実施の形態の自動給電システム(発電機制御装置)10の構成例について説明する。同図は、本実施の形態の自動給電システム10の構成例を示すブロック図である。
尚、本実施の形態の自動給電システム10は中央給電指令所に設置されて、発電所群が有する発電機群20を制御するものである。図1の例示では、この発電機群20は、送配電線40を通じてユーザの負荷30(一般負荷30a、特定負荷30b)に対し電力を供給するものである。但し、これは一例であり、発電機からユーザへ電力を供給する際には、変電所や柱上変圧器等の様々な流通設備を経てこの供給が行われる。
同図に例示されるように、本実施の形態の自動給電システム10は、出力制御部(制御部)100、協調制御部(制御部)110、データベース120、受信部130、AR取得部(制御部、第1検出部)140、特定負荷偏差取得部(制御部、第3検出部)150、一般負荷偏差取得部(制御部、第3検出部)160、及びEDC発電機出力偏差取得部(制御部、第2検出部)170を備えた情報処理装置である。
出力制御部100は、CPU100a、メモリ100b、タイマ100c等を備え、発電機群20における各発電機(例えば、LFC発電機20a、EDC発電機20b)に対し、例えば専用回線の通信網50を通じて、指令値等の情報を送信する機能を有するものである。また、この出力制御部100は、自動給電システム10を統括管理する機能も有する。ここで、本実施の形態のLFC発電機(第2発電機)20aとは、いわゆる負荷周波数制御(LFC:Load Frequency Control)により、相対的に大きな出力変化率で出力する発電機を意味する。一方、本実施の形態のEDC発電機(第1発電機)20bとは、いわゆる経済負荷配分制御(EDC:Economic load Dispatching Control)により、相対的に小さな出力変化率で出力する発電機群を意味する。尚、LFC発電機20a及びEDC発電機20bのそれぞれは、単一の発電機に限定されるものではなく、複数の発電機からなるものであってもよい。尚、タイマ100cは、例えば後述するΔtを計時するために使用されるものである。
協調制御部110は、後述するAR及び複数の偏差(特定負荷偏差、一般負荷偏差、EDC発電機出力偏差)の情報に基づいて、LFC発電機20aからの前述した指令値の情報を生成する機能を有するものである。
データベース120は、LFC発電機20aへの指令値を求めるための情報であるLFC用データ120aを格納するものである。
受信部130は、以下述べる検出部(第1検出部)25及び負荷変動予測装置70から、検出情報及び予測情報を、通信網50、80を通じてそれぞれ受信するものである。ここで、検出部25は、送配電線40を通じて、発電所群20を含む電力系統における周波数変化量(ΔF)や連系線潮流変化量(ΔPT)等を検出情報として検出するものである。また、負荷変動予測装置70は、通信網60を介してユーザの特定負荷30bと接続され、この特定負荷30bの変動開始時期等の予測情報を生成する情報処理装置である。一般に、予測情報には、例えば十数分〜数時間程度を意味する長周期の負荷変動に対する長周期予測情報と、例えば数十秒〜数分程度を意味する短周期の負荷変動に対する短周期予測情報とがあるが、本実施の形態の負荷変動予測装置70が生成する予測情報は、主として短周期予測情報である。
AR取得部140は、前述した検出情報に基づいて、負荷30と発電電力との差である地域要求力(AR:Area Requirement)を求めるものである。
特定負荷偏差取得部150は、前述したLFC用データ120a及び予測情報(主として短周期予測情報)に基づいて、特定負荷(第1負荷)30bが変動する際に現在から或る時間(Δt)経過した後の当該負荷の需要量の偏差(特定負荷偏差)を求めるものである。この特定負荷30bとは、不定期に需要量が変動するとともに総需要量に対するその変動幅が比較的大きい電気炉等を意味する。特定負荷30bが電気炉の場合のLFC用データ120aは、例えばLFC発電機20aの出力変化速度や電気炉の既知の需要量等の情報であり、予測情報は、例えば電気炉の需要量の立ち上がり時刻等の情報である。
一般負荷偏差取得部160は、ユーザの負荷30のうち前述した一般負荷(第2負荷)30aが変動する際に現在から或る時間(Δt)経過した後の当該負荷の需要量の偏差(一般負荷偏差)を求めるものである。後述するように、この偏差を求めるためには、例えば一般負荷30aの過去一定期間の負荷変動曲線等の情報が用いられる。
EDC発電機出力偏差取得部170は、例えば一般負荷30aの長周期予測に従って出力を変化させているEDC発電機20bの現在から或る時間(Δt)経過した後の出力の偏差(EDC発電機出力偏差)を求めるものである。また、EDC発電機出力偏差を求める際、EDC発電機20bの出力変化速度等の情報が用いられる。
尚、前述した自動給電システム10は一つの構成例であって、これに限定されるものではない。本実施の形態の発電機制御装置は、前述した自動給電システム10が前述した負荷変動予測装置70を更に備えたものであってもよい。この場合の負荷変動予測装置70は、前述した特定負荷偏差取得部150とともに本実施の形態の第3検出部を構成するものである。
また、図5(b)の例示において後述するように、本実施の形態の発電機制御装置は、前述した自動給電システム10から、特定負荷偏差取得部150及び一般負荷偏差取得部160の少なくとも一方を除いたものであってもよい。
<<<予測情報>>>
前述した、特定負荷偏差のもとになる特定負荷変動の短周期予測情報と、一般負荷偏差及びEDC発電機出力偏差のもとになる一般負荷変動の長周期予測情報とを求める方法は、本出願人により既に考案されている。
特定負荷30bが例えば電気炉(特定負荷)の場合、負荷変動予測装置70は、この変動の兆候となり得る情報を、電気炉が消費した電力量の情報とともに電気炉から事前に受信し、これらの情報が予め定められた変動開始条件に該当するか否かを判断することにより、当該変動開始までの時間、即ち電気炉の需要量の立ち上がり時刻(短周期予測情報)を求めることができる。特定負荷偏差取得部150は、この立ち上がり時刻と、LFC発電機20aの出力変化速度及び電気炉の既知の需要量の情報(LFC用データ120a)とに基づいて、LFC発電機20aに対する指令値(特定負荷偏差)及びこの指令値を与えるタイミングを求めることができる。
一般負荷30aの場合、一般負荷偏差取得部160は、例えば、電気学会論文誌B第123巻5号、2003年、p.646に開示された方法により、例えば過去1日の負荷変動曲線から長周期の一般負荷変動を抽出し、これに基づいて短周期の一般負荷偏差を求めることができる。同様に、EDC発電機出力偏差取得部170は、更にEDC発電機20bの出力変化速度の情報に基づいて、短周期のEDC発電機出力偏差を求めることができる。
===発電機の制御方法===
図2〜図4を参照しつつ、前述した構成を備えた自動給電システム10の発電機の制御方法について説明する。図2は、本実施の形態の自動給電システム10の動作例を示すフローチャートである。図3は、本実施の形態の一般負荷30aの総需要量及びこれに対する発電機20a、20bの総発電量の変動例を示す時間ダイアグラムである。図4は、本実施の形態の負荷30の総需要量及びこれに対する発電機20a、20bの総発電量の変動例を示す時間ダイアグラムである。
図2に例示されるように、自動給電システム10におけるAR取得部140は、電力系統における現在(時刻t)の周波数変化量(ΔF)及び連系線潮流変化量(ΔPT)に基づいて、現在(時刻t)におけるARを求める。図3の例示では、このARは、時刻tにおける総需要量と総発電量との差ΔPに相当するものである。同図の例示によれば、過去から現在(時刻t)に至るまでの総需要量の変動を示す曲線に対して、総発電量の変動を示す折れ線が追従している。
また、図2に例示されるように、自動給電システム10における特定負荷偏差取得部150や一般負荷偏差取得部160等は、負荷変動予測装置70、LFC用データ120a等に基づいて、例えば数十秒〜数分程度の短周期に対応する時間Δtにおける特定負荷偏差や一般負荷偏差等を求める。図3の例示では、一般負荷偏差は、時刻tから時刻(t+Δt)までの総需要量の偏差ΔDに相当するものである。例えば一般負荷偏差取得部160は、或る時間(Δt)後までの需要量の差ΔDを求めている。尚、図3の例示では、特定負荷30aの需要変動は発生していない。
また、図2に例示されるように、自動給電システム10におけるEDC発電機出力偏差取得部170は、時間(t+Δt)における出力を予測し、現在出力との偏差を求める(S100)。EDC発電機出力は、指令値に到達するべく徐々に減少している。時刻t及び時刻(t+Δt)の何れのEDC発電機出力に対してもこの減少の影響があるため、この2つの時刻の間でもEDC発電機出力には差があることになる。時刻tから時刻tLまでの下げ幅がΔSLである場合に、例えばこの下げ幅と時間とが線形関係にあると仮定すれば、時刻tから時刻(t+Δt)までの下げ幅、即ちEDC発電機出力偏差ΔSは、ΔSL×(Δt/(tL−t))となる。
また、図2に例示されるように、自動給電システム10における協調制御部110は、前述したステップS100で求めたAR(ΔP)、特定負荷偏差や一般負荷偏差等(ΔD)、及びEDC発電機出力偏差(ΔS)を合計して、LFC発電機20aへの指令値とする(S101)。
自動給電システム10における出力制御部100は、LFC発電機20bへ、協調制御部110により生成された指令値を送信する(S102)。
以上により、時間Δt内に、総需要量がΔDだけ増加するとともに、EDC発電機出力がΔSだけ減少した場合でも、時刻tにおけるΔPに対してこのΔD及びΔSを考慮した新たな指令値をLFC発電機20aに与えることにより、時刻(t+Δ)におけるARは低減されたことになる(図3)。
図4に例示される総需要量の変動曲線は、時刻t及び時刻(t+Δt)の間で一般負荷30aの変動及び特定負荷30bの変動がともに発生したことを示すものである。
前述と同様に、一般負荷30aの需要量は、長周期で見れば時間の経過とともに例えば減少傾向にある。この長周期予測に基づいて、過去(時刻t以前)において、EDC発電機出力を下げるための指令値が与えられ、EDC発電機出力は徐々に減少している。図4の例示によれば、時刻tから時刻(t+Δt)までの一般負荷偏差はΔDであり、EDC発電機出力偏差はΔSである。
一方、特定負荷30bの需要量は、例えば時刻tにおいて0から急峻に立ち上がるため、例えばこの時刻tで出力が最大値の半分に到達するようなLFCの上げ指令値(ΔC)が与えられている。これにより、特定負荷30bのためのLFC出力は徐々に(変化率は最大で)増加している。尚、この指令値ΔCは、LFC発電機20aの出力上限を示す指令値であるものとする。但し、変化率最大で動作するようになっていればよく、上限に限定する必要はない。
以上、AR(ΔP)、特定負荷偏差(LFC発電機20aへの指令値ΔC)、一般負荷偏差(ΔD)、及びEDC発電機出力偏差(ΔS)は、前述したステップS100で同様に求めることができる。これらを合計して、時刻(t+Δt)におけるLFC発電機20aへの指令値とする。
尚、前述したステップS100〜S102における自動給電システム10の各制御部100、110及び各取得部140、150、160、170の動作は、例えばメモリ100bに記憶された所定のプログラムに基づくものである。
===需給差の低減===
図5に例示されるように、前述した自動給電システム10によれば、本実施の形態のLFCは、時間Δt経過後の総需要量の変化と、EDC発電機20bの長周期予測に基づく出力の変化とに基づく、いわゆる予測先行制御ということになる。
尚、図5(a)は、総需要量とEDC発電機20bからの出力とがともに変化した場合の負荷30の総需要量及びこれに対する発電機20a、20bの総発電量の偏差例を示す時間ダイアグラムである。また、図5(b)は、EDC発電機20bからの出力が変化した場合の負荷30の総需要量及びこれに対する発電機20a、20bの総発電量の偏差例を示す時間ダイアグラムである。
図3及び図4に例示される発電機の制御方法による総発電量の偏差は、図5(a)に例示される(P+ΔP)(時刻t)から(P’+ΔP+ΔD+ΔS)(時刻(t+Δt))への偏差に対応する。図5(a)の例示では、時刻tにおける実際の総発電量Pは、EDCからの出力の変化により、時刻(t+Δt)における予定の総発電量とはならない。代わりに、この予定の総発電量はP’となる。これは、総需要量のレベルがD”からDLへ長周期変動するという予測に対応するべく、総発電量の予定レベルがS”からSLへ変化することによるものである。ここで、予定の総発電量とは、LFCを実施する前の総発電量を意味する。本実施の形態の自動給電システム10によれば、レベルD”及びレベルS”の間をLFCにより補償することができるため、ARが低減されることになる。尚、図5(a)に例示される時刻tLと時刻tとの差である(tL−t)が、本実施の形態における所定期間を意味する。
但し、本実施の形態の自動給電システム10においてLFCが、いわゆる予測先行制御となることは、総需要量とEDCからの出力とがともに変化した場合に限定されるものではない。例えば、EDCからの出力のみが変化する場合にも、LFCが後追い制御ではなく、いわゆる予測先行制御となることによりはじめてARが低減される。
図5(b)に例示されるように、総需要量の偏差は、(P+ΔP)(時刻t)から(P’+ΔP+ΔS)(時刻(t+Δt))への偏差に対応する。図5(b)の例示では、時刻tにおける実際の総発電量Pは、EDCからの出力の変化により、時刻(t+Δt)における予定の総発電量とはならない。代わりに、この予定の総発電量はP’となる。これは、総需要量のレベルがD’(但しD=D’)からDLへ長周期変動するという予測に対応するべく、総発電量の予定レベルがS’からSLへ変化することによるものである。本実施の形態の自動給電システム10によれば、レベルD’及びレベルS’の間をLFCにより補償することができるため、ARが低減されたことになる。尚、図5(a)に例示される時刻tLと時刻tとの差である(tL−t)が、本実施の形態における所定期間を意味する。
尚、前述した実施の形態では、一般負荷偏差取得部160は、長周期予測を行って、現在から所定期間(tL−t)後までの需要量の差(D−DL)を求め、更にこれに基づいて、現在から或る時間(Δt)後までの需要量の差(D”−D)(一般負荷偏差)を求めるものであったが(図5(a)参照)、これに限定されるものではない。例えば、長周期予測により求める需要量の差は、所定期間前から現在までのものであってもよい。
また、前述した実施の形態では、EDC発電機出力偏差取得部170は、長周期予測を行って、現在から所定期間(tL−t)後までの発電量の差(S−SL)を求め、更にこれに基づいて、現在から或る時間(Δt)後までの発電量の差(S−S”)、(S−S’)(EDC発電機出力偏差)を求めるものであったが(図5(a)、図5(b)参照)、これに限定されるものではない。例えば、長周期予測により求める発電量の差は、所定期間前から現在までのものであってもよい。
更に、前述した実施の形態では、需要量の差及び発電量の差の両方は、現在から所定期間(tL−t)後までものであったが(図5(a)参照)、これに限定されるものではない。例えば、需要量の差及び発電量の差の両方が所定期間前から現在までの差であってもよいし、需要量の差が現在から所定期間後までの差であり、且つ、発電量の差が所定期間前から現在までの差であってもよいし、需要量の差が所定期間前から現在までの差であり、且つ、発電量の差が現在から所定期間後までの差であってもよい。
また更に、需要量の差及び発電量の差のそれぞれに対する所定期間は互いに異なる長さの期間であってもよい。
===その他の実施の形態===
前述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されるとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
前述した実施の形態では、協調制御部110は、AR(ΔP)、特定負荷偏差(LFC発電機20aへの指令値ΔC)、一般負荷偏差(ΔD)、及びEDC発電機出力偏差(ΔS)を全て合計してLFC発電機20aへの指令値としていたが、これに限定されるものではない。例えば、3つの偏差(ΔC、ΔD、ΔS)のうちで絶対値の大きい偏差を選択してもよい。つまり、絶対値が最大の偏差を1つ選択してこれを指令値としたり、絶対値が所定値以上の偏差を合計して指令値としたりしてもよい。
また、前述した実施の形態では、特定負荷は製鉄会社の電気炉であるとしたが、これに限定されるものではない。特定負荷は、不定期に需要量が変動するとともに総需要量に対するその変動幅が比較的大きいものであれば如何なる負荷であってもよい。
本実施の形態の自動給電システムの構成例を示すブロック図である。 本実施の形態の自動給電システムの動作例を示すフローチャートである。 本実施の形態の負荷(一般負荷のみ)の総需要量及びこれに対する発電機の総発電量の変動例を示す時間ダイアグラムである。 本実施の形態の負荷(特定負荷及び一般負荷)の総需要量及びこれに対する発電機の総発電量の変動例を示す時間ダイアグラムである。 (a)は、総需要量とEDC発電機からの出力とがともに変化した場合の負荷の総需要量及びこれに対する発電機の総発電量の偏差例を示す時間ダイアグラムであり、(b)は、EDC発電機からの出力が変化した場合の負荷の総需要量及びこれに対する発電機の総発電量の偏差例を示す時間ダイアグラムである。 負荷の総需要量及びこれに対する発電機の総発電量の偏差例を示す時間ダイアグラムである。
符号の説明
10 自動給電システム 20 発電機群
20a LFC発電機 20b EDC発電機
25 検出部 30 負荷
30a 一般負荷 30b 特定負荷
40 送配電線 50 通信網
60 通信網 70 負荷変動予測装置
80 通信網 100 出力制御部
100a CPU 100b メモリ
100c タイマ 110 協調制御部
120 データベース 120a LFC用データ
130 受信部 140 AR取得部
150 特定負荷偏差取得部 160 一般負荷偏差取得部
170 EDC発電機出力偏差取得部

Claims (7)

  1. 負荷の過去の需要量を参照して発電する第1発電機と、
    前記第1発電機とともに発電し、前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機の発電量を含む現在の総発電量との差に基づいて発電する第2発電機と、
    の発電量を制御する発電機制御装置であって、
    前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機及び前記第2発電機の現在の総発電量との差と、前記第1発電機の現在を基準とする所定期間における発電量の差と、に基づいて、前記第2発電機の発電量を制御する制御部、
    を備えたことを特徴とする発電機制御装置。
  2. 前記制御部は、
    前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機及び前記第2発電機の現在の総発電量との差と、前記第1発電機の現在を基準とする所定期間における発電量の差と、前記負荷の現在を基準とする所定期間における需要量の差と、に基づいて、前記第2発電機の発電量を制御する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の発電機制御装置。
  3. 前記制御部は、
    前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機及び前記第2発電機の現在の総発電量との差を検出する第1検出部と、前記第1発電機の現在を基準とする所定期間における発電量の差を検出する第2検出部と、前記負荷の現在を基準とする所定期間における需要量の差を検出する第3検出部と、を有し、
    前記第1検出部、前記第2検出部、前記第3検出部の検出出力に基づいて、前記第2発電機の発電量を制御することを特徴とする請求項2に記載の発電機制御装置。
  4. 前記第2検出部は、前記負荷の過去の需要量に基づいて予測される、前記第1発電機の現在から所定期間後までの発電量の差を検出することを特徴とする請求項3に記載の発電機制御装置。
  5. 前記第3検出部は、前記負荷の過去の需要量に基づいて予測される、前記負荷の現在から所定期間後までの需要量の差を検出することを特徴とする請求項4に記載の発電機制御装置。
  6. 前記負荷は、電気炉を示す第1負荷と前記電気炉以外を示す第2負荷との少なくとも一方である、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の発電機制御装置。
  7. 負荷の過去の需要量を参照して発電する第1発電機と、
    前記第1発電機とともに発電し、前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機の発電量を含む現在の総発電量との差に基づいて発電する第2発電機と、
    の発電量を制御する発電機の制御方法であって、
    前記負荷の現在の需要量と前記第1発電機及び前記第2発電機の現在の総発電量との差と、前記第1発電機の現在を基準とする所定期間における発電量の差と、に基づいて、前記第2発電機の発電量を制御する、
    ことを特徴とする発電機の制御方法。

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