JP6892349B2 - 電力需給制御装置、電力需給制御システム、電力需給制御用コンピュータプログラムおよび電力需給制御方法 - Google Patents
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Description
(1)電力系統に電力を供給する複数の発電設備。
(2)前記電力系統の周波数変化量および連系潮流電力変化量を測定し、前記複数の発電設備に発電目標値を指示する制御装置。
前記制御装置は、次のような構成を有する
(2−2)前記AR算出部により算出された前記地域要求電力(AR値)を周波数分解するAR平滑部。
(2−3)前記AR平滑部により周波数分解された地域要求電力(AR値)に基づき、前記複数の発電設備ごとの前記発電目標値を算出するAR配分部。
(2−4)前記AR配分部は、前記複数の発電設備のうち電力購入の対象となる発電機の単位電力量の価格が記憶された配分優先順位テーブルを有し、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、電力購入の対象となる発電機の、電力の購入優先順位を決定する第1のモードを有する。
また、上記の各部の動作を実行するステップを有する電力需給制御用コンピュータプログラムおよび電力需給制御方法も本実施形態に含まれる。
[1−1.構成]
図1を参照して本実施形態の一例として、電力需給制御システムについて説明する。なお、本実施形態において、同一構成の装置や部材が複数ある場合にはそれらについて同一の番号を付して説明を行い、また、同一構成の個々の装置や部材についてそれぞれを説明する場合に、共通する番号にアルファベットの添え字を付けることで区別する。
本電力需給制御システムは、電力系統9aに接続された複数の発電設備1、自然エネルギー発電設備2、検出装置3、制御装置4を有する。電力系統9aは、連系線9cを介し他の電力系統9b(以下、他系統9bと総称する)に接続される。また、各発電設備1は、検出用の信号線7および制御用の信号線8にて制御装置4に接続される。
a1.発電設備1ごとの発電電力値
b1.自然エネルギー発電設備2ごとの発電電力値
c1.周波数変化量:ΔF
c2.他系統9bとの連系線における潮流電力変化量:ΔPT
c3.電力系統9aの融通電力:P0
d1.発電目標値
f1.平滑前AR値
f2.平滑後AR値
f3.配分されたAR値
g1.当日需要実績値
g2.前日需要予測値
g3.当日自然エネルギー実績値(当日の自然エネルギーの出力値)
g4.前日自然エネルギー予測値
g5.ELD値(経済負荷配分の計算結果)
発電設備1は、発電機にて発電し電力系統9aに電力を供給する電力供給設備である。一例として、本実施形態の電力需給制御システムは、発電設備1a〜1nを有するものとする。例えば、発電設備1aは、出力変化速度の速い、例えば水力機等の高速機により構成される。発電設備1bは、出力変化速度のやや遅い、例えば石油火力機等の中速機により構成される。発電設備1nは、出力変化速度の極めて遅い、例えば石炭火力機等の低速機により構成される。発電設備1は、信号線7を介し制御装置4に、a1のデータを送信する。発電設備1は、制御線8を介し制御装置4から発電電力を制御される。なお、発電設備1a〜1nは、任意の個数である。
自然エネルギー発電設備2は、太陽光発電装置にて発電し電力系統9aに電力を供給する電力供給設備である。例として、本実施形態の電力需給制御システムは、自然エネルギー発電設備2a〜2nを有するものとする。自然エネルギー発電設備2は、制御装置4にb1のデータを送信する。なお、自然エネルギー発電設備2a〜2nは、任意の個数である。
検出装置3は、電力系統9aの電気量を検出する測定装置である。検出装置3は、電力系統9aに配置される。検出装置3は、電力系統9aに関するc1〜c3の項目を検出し制御装置4に報知する。
制御装置4は、パーソナルコンピュータ等により構成される。制御装置4は、電力の監視制御を行う制御室等に配置される。制御装置4は、発電設備1から送信される上記a1のデータ、自然エネルギー発電設備2から送信される上記b1のデータ、検出装置3から送信される電力系統9aに関する上記c1〜c3のデータが、入力される。制御装置4は、需給制御に関する演算を行い発電設備1に対し、d1のデータを送信する。
最初に一般的な、電力需給制御と本実施形態の関係について説明する。
(イ)サイクリック分:数秒から数分周期までの微小周期の負荷変動をサイクリック分と呼ぶ。変動幅の小さい種々の振動周期を持った脈動成分や、不規則な変動成分が重畳したものと考えられる。
(ロ)フリンジ分:数分から10数分程度までの短周期の負荷変動をフリンジ分と呼ぶ。
(ハ)サステンド分:10数分以上の長周期の負荷変動をサステンド分と呼ぶ。
(a)定周波数制御(FFC):周波数変化量(ΔF)を検出して、ΔFを少なくするように発電設備の出力を調整し、系統の周波数のみを規定値に保つように制御する制御方式。
(b)定連系電力制御(FTC):連系線における潮流電力の変化量(ΔPT)を検出して、ΔPTを少なくするように発電設備の出力を調整し、連系線における潮流電力のみを規定値に保つように制御する制御方式。
(c)周波数バイアス連系線電力制御(TBC):周波数変化量(ΔF)と連系線における潮流電力の変化量(ΔPT)とを検出し、地域要求電力(AR)を算出し、地域要求電力(AR)に応じて発電設備の出力を制御する制御方式。
次に、本実施形態の電力需給制御システムの動作の概要を説明する。図2は、制御装置4に内蔵された電力需給制御用コンピュータプログラムのフロー図である。制御装置4は、下記の手順にて動作および演算を行う。
AR算出部44には、通信部(図中不示)を介し、以下の信号が入力される。
自然エネルギー発電設備2から送信された以下の信号
b1.自然エネルギー発電設備2ごとの発電電力値
検出装置3から送信された以下の信号
c1.周波数変化量:ΔF
c2.他系統9bとの連系線における潮流電力変化量:ΔPT
c3.電力系統9aの融通電力:P0
平滑前AR値=−K・ΔF+ΔPT ・・・(1)
AR値:地域要求電力[MW]
K:系統定数[MW/Hz]
ΔF:周波数偏差[Hz]
ΔPT:連系線における潮流電力の変化量
上記(1)式では、自系統に流入する電力の潮流方向を正の値としている。
ステップ20でAR算出部44により算出されたf1「平滑前AR値」に基づき、AR平滑部45により、f2「平滑後AR値」が算出される。f2「平滑後AR値」は、f1「平滑前AR値」が、フーリエ展開により周波数分解されることにより算出される。
ステップ21で、AR平滑部45により周波数分解されたf2「平滑後AR値」に基づき、AR配分部46により、f3「配分されたAR値」が算出される。f3「配分されたAR値」は、各発電設備1への配分量であり、発電設備1の出力応答速度または出力余裕度に応じ算出される。発電設備1への配分の動作については後述する。
上記のステップ20〜22に並行して、総需要算出部47により、需要算出にかかる演算が行われる。総需要算出部47は、以下の信号が入力される。
各発電設備1からから送信された以下の信号
a1.発電設備1ごとの発電電力値
各自然エネルギー発電設備2から送信された以下の信号
b1.自然エネルギー発電設備2ごとの発電電力値
g1.当日需要実績値
g2.前日需要予測値
g3.当日自然エネルギー実績値(当日の自然エネルギーの出力値)
g4.前日自然エネルギー予測値
次にステップ31で記憶部48に記憶された上記g1〜g4およびステップ21でAR平滑部45により周波数分解されたf2「平滑後AR値」に基づき、ELDスケジュール算出部49により、各発電設備1に対する経済負荷配分が行われ、発電設備1ごとに以下の値が算出される。
g5.ELD値
上記g5「ELD値」は、電力需給制御システム全体として経済的になるよう発電設備1ごとにスケジュール配分された発電電力値である。
各目標値作成部43(43a,43b,43n)には、以下の信号が入力される。
入力部41から出力された以下のデータ
a1.発電設備1ごとの発電電力値
ステップ22でAR配分部46により算出された発電設備1ごとの以下のデータ
f3.配分されたAR値
ステップ32でELDスケジュール算出49により算出された以下のデータ
g5.ELD値
ステップS23で算出されたd1「発電目標値」は、出力部42により、各発電設備1に送出される。
次に、AR配分部46の動作を説明する。図3は、ソフトウェアモジュールにて構成された機能ブロックであるAR配分部46のコンピュータプログラムのフロー図である。このAR配分部46のコンピュータプログラムのフロー図は、図2におけるステップS22の詳細である。
ステップS21で、AR平滑部45により周波数分解されたf2「平滑後AR値」を取得する。このf2「平滑後AR値」は、ステップS21でAR平滑部45によりフーリエ展開により地域要求電力(AR)値が、周波数分解され算出された値である。
ステップS41で取得されたf2「平滑後AR値」のうち、例えば10秒〜2分周期である地域要求電力(AR)値分が判断される。f2「平滑後AR値」のうち、10秒〜2分周期である地域要求電力(AR)値分(S42の「YES」)は、ステップS43に移行し処理が行われる。一方f2「平滑後AR値」のうち、10秒〜2分周期に該当しない地域要求電力(AR)値分(S43の「NO」)は、ステップS44に移行し処理が行われる。
ステップS42にて、f2「平滑後AR値」のうち10秒〜2分周期であると判断された地域要求電力(AR)値分は、高速発電機(例えば水力機)にて発電を行うように分担される。
ステップ42でf2「平滑後AR値」のうち、10秒〜2分周期に該当しないと判断された地域要求電力(AR)値分は、f2「平滑後AR値」のうち、例えば2分〜10分周期である地域要求電力(AR)値分が判断される。f2「平滑後AR値」のうち、2分〜10分周期である地域要求電力(AR)値分(S44の「YES」)は、ステップS45に移行し処理が行われる。一方f2「平滑後AR値」のうち、2分〜10分周期に該当しない地域要求電力(AR)値分(S43の「NO」)は、ステップS46に移行し処理が行われる。
ステップ44にて、f2「平滑後AR値」のうち2分〜10分周期であると判断された地域要求電力(AR)値分は、中速発電機(例えば石油火力機)にて発電を行うように分担される。
ステップ44にて、f2「平滑後AR値」のうち2分〜10分周期に該当しないと判断された地域要求電力(AR)値分は、低速発電機(例えば石炭火力機)にて発電を行うように分担される。
さらにAR配分部46のステップS43、S45および46は、配分優先順位の決定を行うプログラムモジュールを有する。ステップS43、S45および46に含まれるAR配分部46の配分優先順位の決定を行うコンピュータプログラムは、対象となる発電設備が異なるが処理手順は同じである。図4に、ステップS43に含まれるコンピュータプログラムのフロー図を示す。
AR配分部46は、購入の対象となる電力を発電する発電機の、メリットオーダーによる優先順位、制御性による優先順位、重み係数による優先順位を決定するためのデータが設定された配分優先順位テーブルを記憶している。図5に配分優先順位テーブルを示す。
最初に、AR配分部46は、作業者により設定された配分優先順位決定動作のモードを取得する。各モードは以下を表す。
モード1:メリットオーダーによる優先順位
モード2:制御性による優先順位
モード3:重み係数による優先順位
モード4:計画値による優先順位
上記各モードは、作業者によりAR配分部46に設定される。上記各モードは、時々刻々作業者により更新される。
次に、AR配分部46は、作業者により設定された配分優先順位決定動作のモードを識別する。モード1、2、3、4に応じ各ステップへ移行する。
ステップS52により、モード1であると判断された場合、以下の処理を行う。図5に示す配分優先順位テーブルには電力購入の対象となる各発電機の単位電力量の価格が記憶されている。
モード1であると判断された場合、ステップS53において、AR値が正であるかの判断が行われる。ステップS53は、AR配分部46の処理として行われる。AR値が正であることは、インバランスが不足していることを表す。インバランスとは、未来の時間帯における、自社の発電または購入により手当されている電力量と、要求された電力量との差分であり、インバランスが不足していることは調達すべき電力量が不足していることを表す。AR値が正である(インバランスが不足している)と判断された場合、ステップS54aに移行し、AR値が負である(インバランスが不足していない)と判断された場合、ステップS54bに移行する。
ステップS53でAR値が正である(インバランスが不足している)と判断された場合、電力購入の対象となる発電機に対し、メリットオーダーの安い順に、AR値が配分される。ステップS54aは、AR配分部46の処理として行われる。メリットオーダーの安い順とは、単位電力量当たりの価格(コスト)が安い順である。図5に示す配分優先順位テーブルには電力購入の対象となる各発電機の単位電力量の価格が記憶されている。図5に示す配分優先順位テーブルに基づき、メリットオーダーの安い発電機の順番は、発電機イ、ロ、ハ、ニ、ホの順となる。図6にAR値が正である場合のメリットオーダーにより決定された、配分優先順位を示す。
ステップS53でAR値が負である(インバランスが過多である)と判断された場合、電力購入の対象となる発電機に対しメリットオーダーの高い順に、AR値が配分される。ステップS54bは、AR配分部46の処理として行われる。図5に示す配分優先順位テーブルには電力購入の対象となる各発電機の単位電力量の価格が記憶されている。図5に示す配分優先順位テーブルに基づき、メリットオーダーの高い発電機の順番は、発電機ホ、ニ、ハ、ロ、イの順となる。図7にAR値が負である場合のメリットオーダーにより決定された、配分優先順位を示す。
ステップS52により、モード2であると判断された場合、以下の処理を行う。送配電事業者は、通常、電力購入の対象となる発電機をメリットオーダーの順に配分する。送配電事業者は、電力を販売する市場参加者に対し中立であることが要求されるためである。しかしながら、メリットオーダーの順による需給調整、周波数調整では電力品質を確保することができない場合がある。
モード2であると判断された場合、ステップS55において、AR値が正であるかの判断が行われる。ステップS55は、AR配分部46の処理として行われる。AR値が正である(インバランスが不足している)と判断された場合、ステップS56aに移行し、AR値が負である(インバランスが不足していない)と判断された場合、ステップS56bに移行する。
ステップS55でAR値が正である(インバランスが不足している)と判断された場合、上げ側の出力変化速度の速い発電機の順に、AR値が配分される。ステップS56aは、AR配分部46の処理として行われる。図5に示す配分優先順位テーブルには各発電機の出力変化速度に関するデータが記憶されている。図5に示す配分優先順位テーブルに基づき、出力変化速度の速い発電機の順番は、発電機ハ、イ、ホ、ロ、ニの順となる。図8にAR値が正である場合の制御性による優先順位により決定された、配分優先順位を示す。出力変化速度が同じである発電機についてはメリットオーダーの安い順に配分される。
ステップS55でAR値が負である(インバランスが過多である)と判断された場合、下げ側出力変化速度の速い発電機の順に、AR値が配分される。ステップS56bは、AR配分部46の処理として行われる。図5に示す配分優先順位テーブルには各発電機の出力変化速度に関するデータが記憶されている。図5に示す配分優先順位テーブルに基づき、出力変化速度の速い発電機の順番は、発電機ハ、ホ、イ、ニ、ロの順となる。図9にAR値が負である場合の制御性による優先順位により決定された、配分優先順位を示す。出力変化速度が同じである発電機についてはメリットオーダーの高い順に配分される。
ステップS52により、モード3であると判断された場合、以下の処理を行う。モード3では、送配電事業者により重み係数が設定され、この重み係数により発電機の優先順位が決定される。例えば、発電機の現在出力が定格出力付近である場合、その発電機の定格出力を超える電力量を要求することはできない。また、発電機の現在出力が下限付近である場合、その発電機の下限値を下回る電力量を要求することはできない。発電機の出力のマージンを表す数値として重み係数が、図5に示す配分優先順位テーブルに設定される。作業者によりモード3が選択され、電力購入の対象となる発電設備は、重み係数の順に配分される。図5に示す配分優先順位テーブルには各発電機の出力のマージンを表す数値である重み係数が記憶されている。
モード3であると判断された場合、ステップS57において、AR値が正であるかの判断が行われる。ステップS57は、AR配分部46の処理として行われる。AR値が正である(インバランスが不足している)と判断された場合、ステップS58aに移行し、AR値が負である(インバランスが不足していない)と判断された場合、ステップS58bに移行する。
ステップS57でAR値が正である(インバランスが不足している)と判断された場合、各発電機に対し重み係数の順(上げ側)に、AR値が配分される。ステップS58aは、AR配分部46の処理として行われる。図5に示す配分優先順位テーブルには各発電機の出力のマージンを表す数値である重み係数が記憶されている。図5に示す配分優先順位テーブルに基づき、重み係数による発電機の順番は、発電機ロ、ニ、ハ、イ、ホの順となる。図10にAR値が正である場合の重み係数による優先順位により決定された、配分優先順位を示す。出力変化速度が同じである発電機についてはメリットオーダーの安い順に、AR値が配分される。
ステップS57でAR値が負である(インバランスが過多である)と判断された場合、各発電機に対し重み係数の順(下げ側)に、AR値が配分される。ステップS58bは、AR配分部46の処理として行われる。図5に示す配分優先順位テーブルには各発電機の出力のマージンを表す数値である重み係数が記憶されている。図5に示す配分優先順位テーブルに基づき、重み係数による発電機の順番は、発電機ロ、ニ、ハ、イ、ホの順となる。図11にAR値が正である場合の重み係数による優先順位により決定された、配分優先順位を示す。出力変化速度が同じである発電機についてはメリットオーダーの高い順に、AR値が配分される。
ステップS52により、モード4であると判断された場合、以下の処理を行う。モード4では、各発電機の発電計画値と現在出力(発電実績)の差分の大小関係に基づき発電機の優先順位が決定される。発電実績が発電計画値よりも大きい場合は、その差分の電気料金を発電事業者に支払う。発電実績が発電計画値よりも小さい場合は、その差分の電気料金を発電事業者から徴収する。この電気料金の支払いまたは徴収は煩雑である。
モード4であると判断された場合、ステップS59において、AR値が正であるかの判断が行われる。ステップS53は、AR配分部46の処理として行われる。AR値が正である(インバランスが不足している)と判断された場合、ステップS60aに移行し、AR値が負である(インバランスが不足していない)と判断された場合、ステップS60bに移行する。
ステップS59でAR値が正である(インバランスが不足している)と判断された場合、(現在出力値−発電計画値)>0である発電機に対し、図5に示す配分優先順位テーブルに基づきメリットオーダーの安い順に、AR値が配分される。一方、(現在出力値−発電計画値)<0の発電機である発電機に対し、図12に示すように発電計画値まで出力を増加させる制御が行われる。ステップS60aは、AR配分部46の処理として行われる。
ステップS59でAR値が負である(インバランスが過多である)と判断された場合、(現在出力値−発電計画値)<0である発電機に対し、図5に示す配分優先順位テーブルに基づきメリットオーダーの高い順に、AR値が配分される。一方、(現在出力値−発電計画値)>0である発電機に対し、図12に示すように発電計画値まで出力を減少させる制御が行われる。ステップS60bは、AR配分部46の処理として行われる。
次に、総需要算出部47の動作詳細について動作原理を含め説明する。総需要算出部47は、以下のa1,b1の信号に基づきg1〜g4を算出する。
a1.発電設備1ごとの発電電力値
b1.自然エネルギー発電設備2ごとの発電電力値
g1.当日需要実績値
g2.前日需要予測値
g3.当日自然エネルギー実績値(当日の自然エネルギーの出力値)
g4.前日自然エネルギー予測値
ELD総需要(t)=需要予測値(t)−自然エネルギー予測値(t) ・・・(2)
ELD総需要(t):時刻tに必要とされることが予測される発電設備1a〜1n
の発電電力の合計値[MW]
需要予測値:時刻tに必要とされることが予測される総需要電力値[MW]
自然エネルギー予測値:時刻tに必要とされることが予測される自然エネルギー
発電設備2a〜2nの発電電力の合計値[MW]
なお、需要予測値および自然エネルギー予測値は、予め定められた一定時間ごとに算出され新たな需要予測値および自然エネルギー予測値に更新される。その結果、ELD総需要も一定時間ごとに新たなELD総需要に更新される。
需要予測値(t)=現在時刻における需要実績−ΔPm ・・・(3)
ΔPm=α1×ΔP1+α2×ΔP2 ・・・(4)
ΔP1:u分前に算出された需要予測値(t)と需要実績との差
ΔP2:u×2分前に算出された需要予測値(t)と需要実績との差
α1:重み付け係数
α2:重み付け係数
ここで、α1+α2=1、α1>α2となることが望ましい。u×2分前よりu分前に算出された需要予測値と需要実績との差の方が、信頼性が高いと考えられるためである。
ELDスケジュール算出部49は、記憶部48に記憶された上記のg1〜g4のデータに基づき経済負荷配分を行い、g5のデータを作成し各目標値作成部43に出力する。
上記により算出されたAR配分部46からのf3「配分されたAR値」、ELDスケジュール算出部49からのg5「ELD値」のデータが目標値作成部43に入力される。目標値作成部43は、上記a1,f3,g5のデータに基づき、出力部42を介しd1のデータを出力し発電設備1の発電量を制御する。
(1)本実施形態によれば、AR配分部は、複数の発電設備のうち電力購入の対象となる発電機の単位電力量の価格が記憶された配分優先順位テーブルを有し、配分優先順位テーブルに記憶された単位電力量の価格に基づき、電力購入の対象となる発電機の、電力の購入優先順位を決定するので、事前に定められた購入条件にて電力の購入を行うことができる。送配電事業者は、電力購入に関するこの購入条件を、事前に発電事業者にインターネット等で報知することにより公平性が担保された電力の取引を行うことができる。
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
AR値=−K・ΔF ・・・(5)
AR値:地域要求電力[MW]
K:系統定数[MW/Hz](エリア全体)
ΔF:周波数偏差[Hz]
ELD総需要(t)=需要予測値(t)−自然エネルギー予測値(t)
+(P0(n+1)−P0(n)) ・・・(6)
ELD総需要(t):時刻tに必要とされることが予測される発電設備1a〜1n
の発電電力の合計値[MW]
需要予測値:時刻tに必要とされることが予測される総需要電力値[MW]
自然エネルギー予測値:時刻tに必要とされることが予測される自然エネルギー
発電設備2a〜2nの発電電力の合計値[MW]
P0(n):現時刻(n)における融通電力量P0の値[MW]
P0(n+1):次のP0更新時刻(n+1)における融通電力量P0の値[MW]
上記の式(6)では、自系統に流入する電力の潮流方向を正の値としている。(P0(n+1)−P0(n))は融通電力量の予測変化量となる。融通電力量P0の値の変化分を予測してELD総需要の算出を行うので、より経済性に優れた発電設備1による発電を行うことができる。
2,2a〜2n・・・自然エネルギー発電設備
3・・・検出装置
4・・・制御装置
7,7a〜7n・・・検出用の信号線
8,8a〜8n・・・制御用の信号線
9,9a・・・電力系統
9b・・・他の電力系統
9c・・・連系線
41,41a〜41n・・・入力部
42,42a〜42n・・・出力部
43・・・目標値作成部
44・・・AR算出部
45・・・AR平滑部
46・・・AR配分部
47・・・総需要算出部
48・・・記憶部
49・・・ELDスケジュール算出部
Claims (10)
- 複数の発電設備により電力が供給される電力系統の、周波数変化量および連系潮流電力変化量に基づき地域要求電力(AR値)を算出するAR算出部と、
前記AR算出部により算出された前記地域要求電力(AR値)を周波数分解するAR平滑部と、
前記AR平滑部により周波数分解された地域要求電力(AR値)に基づき、前記複数の発電設備ごとの発電目標値を算出するAR配分部と、を備え、
前記AR配分部は、作業者により選択される第1のモードまたは第4のモードを有し、
前記第1のモードでは、
前記複数の発電設備のうち電力購入の対象となる発電機の単位電力量の価格が記憶された配分優先順位テーブルを有し、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、電力購入の対象となる発電機の、電力の購入優先順位を決定し、
前記第4のモードでは、
AR値が正であると判断した場合、前記発電機のうち、現在出力値が発電計画値より大きい発電機に対して、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、メリットオーダーの安い順に前記AR値を配分し、更に、現在出力値が発電計画値より小さい発電機について、発電計画値まで出力を増加させ、
AR値が負であると判断した場合、前記発電機のうち、現在出力値が発電計画値より小さい発電機に対して、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、メリットオーダーの高い順に前記AR値を配分し、更に、現在出力値が発電計画値より大きい発電機について、発電計画値まで出力を減少させる、
電力需給制御装置。 - 前記配分優先順位テーブルは、前記複数の発電設備のうち電力購入の対象となる発電機の出力変化速度に関するデータをさらに記憶しており、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記発電機の出力変化速度に関するデータに基づき、電力購入の対象となる発電機の、電力の購入優先順位を決定する第2のモードを有し、作業者により前記第1のモードまたは前記第2のモードが選択される、
請求項1に記載の電力需給制御装置。 - 前記配分優先順位テーブルは、前記複数の発電設備のうち電力購入の対象となる発電機の出力のマージンを表す数値である重み係数をさらに記憶しており、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記重み係数に基づき、電力購入の対象となる発電機の、電力の購入優先順位を決定する第3のモードを有し、作業者により前記第1のモードまたは前記第3のモードが選択される、
請求項1に記載の電力需給制御装置。 - 前記複数の発電設備のうち電力購入の対象となる前記発電機は、複数エリアの電力系統に配置された、請求項1乃至請求項3に記載の電力需給制御装置。
- 電力系統に電力を供給する複数の発電設備と、
前記電力系統の周波数変化量および連系潮流電力変化量を測定し、前記複数の発電設備に発電目標値を指示する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
測定された前記周波数変化量および前記連系潮流電力変化量に基づき地域要求電力(AR値)を算出するAR算出部と、
前記AR算出部により算出された前記地域要求電力(AR値)を周波数分解するAR平滑部と、
前記AR平滑部により周波数分解された地域要求電力(AR値)に基づき、前記複数の発電設備ごとの発電目標値を算出するAR配分部と、を備え、
前記AR配分部は、は、作業者により選択される第1のモードまたは第4のモードを有し、
前記第1のモードでは、
前記複数の発電設備のうち電力購入の対象となる発電機の単位電力量の価格が記憶された配分優先順位テーブルを有し、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、電力購入の対象となる発電機の、電力の購入優先順位を決定し、
前記第4のモードでは、
AR値が正であると判断した場合、前記発電機のうち、現在出力値が発電計画値より大きい発電機に対して、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、メリットオーダーの安い順に前記AR値を配分し、更に、現在出力値が発電計画値より小さい発電機について、発電計画値まで出力を増加させ、
AR値が負であると判断した場合、前記発電機のうち、現在出力値が発電計画値より小さい発電機に対して、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、メリットオーダーの高い順に前記AR値を配分し、更に、現在出力値が発電計画値より大きい発電機について、発電計画値まで出力を減少させる、
電力需給制御システム。 - 前記AR配分部は、前記配分優先順位テーブルに、前記複数の発電設備のうち電力購入の対象となる発電機の出力変化速度に関するデータをさらに記憶しており、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記発電機の出力変化速度に関するデータに基づき、電力購入の対象となる発電機の、電力の購入優先順位を決定する第2のモードを有し、作業者により前記第1のモードまたは前記第2のモードが選択される、
請求項5に記載の電力需給制御システム。 - 複数の発電設備により電力が供給される電力系統の、周波数変化量および連系潮流電力変化量に基づき地域要求電力(AR値)を算出するAR算出モジュールと、
前記AR算出モジュールにより算出された前記地域要求電力(AR値)を周波数分解するAR平滑モジュールと、
前記AR平滑モジュールにより周波数分解された地域要求電力(AR値)に基づき、前記複数の発電設備ごとの発電目標値を算出するAR配分モジュールと、を備え、
前記AR配分モジュールは、作業者により選択される第1のモードまたは第4のモードを有し、
前記第1のモードでは、
前記複数の発電設備のうち電力購入の対象となる発電機の単位電力量の価格が記憶された配分優先順位テーブルを有し、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、電力購入の対象となる発電機の、電力の購入優先順位を決定し、
前記第4のモードでは、
AR値が正であると判断した場合、前記発電機のうち、現在出力値が発電計画値より大きい発電機に対して、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、メリットオーダーの安い順に前記AR値を配分し、更に、現在出力値が発電計画値より小さい発電機について、発電計画値まで出力を増加させ、
AR値が負であると判断した場合、前記発電機のうち、現在出力値が発電計画値より小さい発電機に対して、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、メリットオーダーの高い順に前記AR値を配分し、更に、現在出力値が発電計画値より大きい発電機について、発電計画値まで出力を減少させる、
電力需給制御用コンピュータプログラム。 - 前記配分優先順位テーブルには、前記複数の発電設備のうち電力購入の対象となる発電機の出力変化速度に関するデータが、さらに記憶されており、前記AR配分モジュールは、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記発電機の出力変化速度に関するデータに基づき、電力購入の対象となる発電機の、電力の購入優先順位を決定する第2のモードを有し、作業者により前記第1のモードまたは前記第2のモードが選択される、
請求項7に記載の電力需給制御用コンピュータプログラム。 - 複数の発電設備により電力が供給される電力系統の、周波数変化量および連系潮流電力変化量に基づき地域要求電力(AR値)を算出するAR算出手順と、
前記AR算出手順により算出された前記地域要求電力(AR値)を周波数分解するAR平滑手順と、
前記AR平滑手順により周波数分解された地域要求電力(AR値)に基づき、前記複数の発電設備ごとの発電目標値を算出するAR配分手順と、を有し、
前記AR配分手順は、作業者により選択される第1のモードまたは第4のモードを有し、
前記第1のモードでは、
前記複数の発電設備のうち電力購入の対象となる発電機の単位電力量の価格が記憶された配分優先順位テーブルを有し、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、電力購入の対象となる発電機の、電力の購入優先順位を決定し、
前記第4のモードでは、
AR値が正であると判断した場合、前記発電機のうち、現在出力値が発電計画値より大きい発電機に対して、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、メリットオーダーの安い順に前記AR値を配分し、更に、現在出力値が発電計画値より小さい発電機について、発電計画値まで出力を増加させ、
AR値が負であると判断した場合、前記発電機のうち、現在出力値が発電計画値より小さい発電機に対して、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記単位電力量の価格に基づき、メリットオーダーの高い順に前記AR値を配分し、更に、現在出力値が発電計画値より大きい発電機について、発電計画値まで出力を減少させる、
電力需給制御方法。 - 前記配分優先順位テーブルには、前記複数の発電設備のうち電力購入の対象となる発電機の出力変化速度に関するデータが、さらに記憶されており、前記AR配分手順は、前記配分優先順位テーブルに記憶された前記発電機の出力変化速度に関するデータに基づき、
電力購入の対象となる発電機の、電力の購入優先順位を決定する第2のモードを有し、作業者により前記第1のモードまたは前記第2のモードが選択される、
請求項9に記載の電力需給制御方法。
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