本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる部品供給装置の一例である部品供給装置4を備え、この部品供給装置4から供給された部品を基板に実装する部品実装装置の一例である電子部品実装装置101の斜視図を図1に示す。部品供給装置4についての詳細な構造や動作の説明を行うに先だって、このような部品供給装置4を備える電子部品実装装置101の全体的な構成及び動作についての説明を、図1を用いて行う。
(電子部品実装装置について)
図1に示すように、電子部品実装装置101は、部品の一例であるチップ部品やベアICチップ等の電子部品2を基板に実装する実装動作を行う装置であり、大別して、複数の電子部品2を供給可能に収容する部品供給装置4と、この部品供給装置4から供給される各電子部品2を基板に実装する実装動作を行う実装部5とを備えている。
図1に示す部品供給装置4においては、基板に実装される多数の電子部品2のうちのウェハ供給部品2w(部品の一例である)が複数配置されたウェハをその上面に載置するウェハ供給用プレートと、上記多数の電子部品2のうちのトレイ供給部品2t(部品の一例である)が格子上に配列されて収容配置された部品供給トレイをその上面に複数載置するトレイ供給用プレートとを混載して上記夫々のプレートを選択的に供給可能に収納しているプレート収納部の一例であるリフター装置10が、部品供給装置4の図示Y軸方向手前側に設置されている。なお、以降の説明において、上記ウェハ供給用プレート又は上記トレイ供給用プレートを限定して用いない場合には、上記夫々のプレートとして記載するものとし、また、ウェハ供給部品2w又はトレイ供給部品2tを限定して用いない場合には、電子部品2として記載するものとする。なお、上記夫々のプレート等の構成の説明については、後述するものとする。また、ウェハ供給部品2wとしては、主にウェハがダイシングされることにより形成されるベアICチップ等があり、また、トレイ供給部品2tとしては、上記ベアICチップ及び上記ベアICチップ以外のICチップ(例えば、パッケージが施されたICチップ等)やチップ部品等がある。
また、部品供給装置4には、リフター装置10から選択的に供給される上記夫々のプレートを配置して、夫々より電子部品2を取り出し可能な状態とさせるプレート配置装置12が備えられている。なお、リフター装置10から上記ウェハ供給用プレートが供給されて、プレート配置装置12に配置されるような場合には、プレート配置装置12において、上記ウェハ供給用プレートに載置されているウェハに対してエキスパンド動作が施される。
さらに、部品供給装置4には、プレート配置装置12上に選択的に配置された上記プレート上に載置されている上記ウェハあるいは上記部品供給トレイから電子部品2を個別に吸着保持して、実装部5に向けて図示X軸方向沿いに移動させるとともに、上記吸着保持した電子部品2を上下方向に反転させる反転ヘッド装置14が備えられている。なお、このような反転ヘッド装置14を部品供給装置4が備えている場合に代えて、部品供給装置4とは別の構成の装置として、部品供給装置4とともに、電子部品実装装置101に備えられているような場合であってもよい。
また、図1に示すように、実装部5には、電子部品2を吸着保持して基板に実装する実装ヘッド部20が備えられている。また、互いに図示X軸方向沿いに配置された位置であって、反転ヘッド装置14により保持された電子部品2が実装ヘッド部20に受渡し可能な位置である部品供給位置と、基板に対する電子部品2の実装動作が行われる基板実装領域との間で、実装ヘッド部20を支持しながら、図示X軸方向に沿って進退移動させる移動装置の一例であるX軸ロボット22が、さらに実装部5に備えられている。
なお、実装ヘッド部20は、ボイスコイルモータ等の移動手段にて昇降駆動可能であり、かつ、吸着保持した電子部品2を介して、押圧エネルギーや超音波振動エネルギーや熱エネルギー等の接合エネルギーを、電子部品2と基板の接合部に付与できるように構成された保持部(図示しない)を備えており、電子部品2を基板に対して加圧しながら上記接合エネルギーを付与することが可能となっている。また、X軸ロボット22は、例えば、ボールねじ軸部とこのボールねじ軸部に螺合されたナット部とを用いた移動機構(図示しない)が備えられている。
また、図1に示すように、実装ヘッド部20及びX軸ロボット22の下方における実装部5の基台24上には、基板を図示X軸方向及びY軸方向に移動可能であって、かつ、実装ヘッド部20に対する基板上における電子部品2が実装される位置の位置決めを行うXYテーブル26が配設されている。このXYテーブル26は、図示X軸方向とY軸方向との夫々に、例えばサーボモータにて移動駆動するとともに、リニアスケールを用いてフルクローズ制御にて位置決めすることが可能となっている。また、このXYテーブル26の上面には、基板を解除可能に保持して固定する基板保持台28が設置されている。なお、図1において、X軸方向とY軸方向は、基板の表面沿いの方向であって、かつ、互いに直交する方向である。
また、図1に示すように、電子部品実装装置101には、基台24の上面における図示Y軸方向手前側の端部において、図示X軸方向左向きの方向である基板搬送方向Bに沿って基板を搬送し、基板保持台28への基板の供給及び基板保持台28からの基板の排出を行う基板搬送装置30が備えられている。基板搬送装置30は、電子部品実装装置101の図示X軸方向右側の端部からXYテーブル26上の基板保持台28にまで、基板を搬送して供給するローダ部の一例であるローダ32と、基板保持台28から電子部品実装装置101の図示X軸方向左側の端部にまで、基板を搬送して排出するアンローダ部の一例であるアンローダ34とを備えている。なお、本実施形態においては、電子部品実装装置101におけるXYテーブル26が、基板搬送装置30が備える基板保持移動装置と兼用されている例となっている。また、XYテーブル26と基板支持台28とが、基板の上記移動及び保持を行う基板保持移動装置の一例となっている。また、このように兼用されているような場合に代えて、電子部品実装装置101におけるXYテーブル26とは別に、基板保持移動装置が基板搬送装置30に備えられているような場合であってもよい。
なお、図1に示す電子部品実装装置101は、当該構成の説明の便宜を考慮して、基台24の上面全体を覆っているケーシングカバーが取り外された状態の斜視図となっている。
次に、このような構成を有する電子部品実装装置101における電子部品2の基板への実装動作について説明する。
図1の電子部品実装装置101において、基台24上におけるローダ32及びアンローダ34の間に位置するように、基板保持台28がXYテーブル26により移動される。それとともに、電子部品実装装置101にて夫々の電子部品2の実装が行われるべき基板が、例えば、電子部品実装装置101に隣接する他の装置等より基板搬送装置30のローダ32に供給されて、ローダ32にて基板搬送方向Bに基板が搬送されて、この基板が基板保持台28に供給されて保持される。その後、XYテーブル26が図示X軸方向又はY軸方向に移動されて、基板が上記基板実装領域に移動される。
一方、部品供給装置4にて、リフター装置10に収納されている夫々のプレートより1枚のプレートが選択されて取り出され、プレート配置装置12に配置される。その後、上記配置されたプレートより電子部品2が反転ヘッド装置14により吸着保持されて取り出されるとともに、当該電子部品2が、反転されて上記部品供給位置にまで移動される。また、実装部5にて実装ヘッド部20が、X軸ロボット22により、上記部品供給位置にまで移動されて、反転ヘッド装置14から実装ヘッド部20に電子部品2が受け渡される。その後、上記受け渡された電子部品2を吸着保持した状態の実装ヘッド部20が、X軸ロボット22により、上記基板実装領域の上方へと移動される。
その後、実装ヘッド部20により吸着保持されている電子部品2と、基板保持台28により保持されている基板における電子部品3が実装されるべき位置との位置合わせが、XYテーブル26の移動により行われる。この位置合わせの後、実装ヘッド部20の昇降動作等が行われて、電子部品2の基板への実装動作が行われる。複数の電子部品2の上記実装動作が行われるような場合にあっては、上記夫々の動作が繰り返して行うことにより、夫々の電子部品2の実装動作が行われる。
その後、夫々の電子部品2の上記実装動作が終了すると、夫々の電子部品2が実装された状態の基板が、基板保持台28とともに、XYテーブル26により、ローダ32とアンローダ34との上記間の位置にまで移動されて、基板保持台28より基板がアンローダ34に受け渡され、アンローダ34にて基板が基板搬送方向Bに沿って搬送されて、電子部品実装装置101より基板が排出される。上記排出された基板は、例えば、電子部品実装装置101に隣接して設置されている上記部品実装の次の処理等を行う他の装置に供給されたり、部品実装済みの基板として基板収納装置等に収納されたりする。
このようにして、電子部品実装装置101において、夫々の電子部品2の基板への実装動作が行われる。なお、夫々の電子部品2が実装された基板がアンローダ34により排出された後、新たな別の基板がローダ32により供給されることにより、順次供給される夫々の基板に対して夫々の電子部品2の実装が行われる。
(部品供給装置について)
次に、このような構成及び部品実装動作を行う電子部品実装装置101が備える部品供給装置4の詳細な構成について、特に、リフター装置10及びプレート配置装置12とこれらに関連する構成を中心に説明する。また、このような部品供給装置4におけるリフター装置10及びプレート配置装置12の半透過斜視図を図2に示す。
図2に示すように、部品供給装置4は、上述したリフター装置10とプレート配置装置12に加えて、さらに、リフター装置10に収納されている夫々のプレートを保持して取り出し、プレート配置装置12に配置させるように、上記プレートの移動を行うプレート移動装置40を備えている。また、プレート移動装置40は、プレート配置装置12に配置されたプレートを保持して、再びリフター装置10に収納するように、上記プレートの移動を行うことが可能となっている。
まず、リフター装置10は、複数の上記ウェハ供給用プレート及び複数の上記トレイ供給用プレートを混載して、上下方向に積層的に収納する箱体状の形状を有する収納体の一例であるマガジンカセット50と、このマガジンカセット50を支持するとともに、マガジンカセット50の昇降動作を行って、マガジンカセット50に収納されている上記夫々のプレートのうちの1枚のプレートを、プレート移動装置40により取り出し可能な昇降高さ位置に位置させる収納体昇降部の一例であるカセット昇降部51と、カセット昇降部51を取り付けられて、かつ、カセット昇降部51によるマガジンカセット50の昇降動作を案内可能な基台52とを備えている。
ここで、マガジンカセット50の拡大斜視図(半透過斜視図)を図3に示す。図3に示すように、マガジンカセット50においては、図示C方向がプレート配置装置12への上記夫々のプレートの取り出し方向(以降、プレート取出方向Cとする)となっている。また、マガジンカセット50は、プレート取出方向Cと直交する方向において、互いに対向するように側壁部50aが夫々設けられており、夫々の側壁部50aの互いに対向する側面において、プレート取出方向に沿って複数の溝部50bが形成されている。上記夫々のプレート(以降、プレート6とする)は、その互いに対向する両端部において、夫々の側壁部50aの溝部50bと係合されることにより、マガジンカセット50に保持されて収納されている。なお、夫々の側壁部50aにおいて夫々の溝部50bは一定の間隔ピッチでもって形成されており、夫々の溝部50bに係合されて保持された状態で、プレート6はその表面が略水平な状態とされている。さらに、夫々のプレート6は、夫々の溝部50bの形成方向に沿って案内されながら、プレート取出方向沿いに進退移動(すなわち、スライド移動)可能な状態とされている。また、マガジンカセット50においては、収納されている夫々のプレート6の取り出しが行われるため、上記取り出しの障害とならないように、プレート取出方向C側には側壁部が設けられておらず、常時開放された状態とされている。なお、図3においては、図示上方に収納されているプレート6がウェハ供給用プレート6wであり、図示下方に収納されているプレート6がトレイ供給用プレート6tである。
次に、ウェハ供給用プレート6wの斜視図を図4に、トレイ供給用プレート6tの斜視図を図5に示し、夫々のプレートの構造について説明する。
図4に示すように、ウェハ供給用プレート6wは、直線状の部分と曲線状の部分とが組み合わされた外周部分を有する大略円盤状の形状を有している。また、プレート取出方向Cを挟んで互いに対向される夫々の端部は、マガジンカセット50の夫々の溝部50bと係合されることが考慮されて、上記直線状の外周部分となっている。また、図4に示すように、ウェハ供給プレート6wは、伸縮性を有するシートであって、ダイシングが施されたウェハ7がその上面に貼着されて載置されたウェハシート8と、環状プレートであって、その環状の内側にウェハ7が位置されるように、ウェハシート8をその外周端部近傍において保持するウェハリング9とを備えている。このようにウェハ供給用プレート6wが形成されていることにより、ウェハシート8を放射状に延伸させることで、格子状に配置されている夫々のウェハ供給部品2wの配置位置も放射状に延伸させることができ、いわゆるエキスパンドを行うことが可能となっている。
一方、図5に示すように、トレイ供給用プレート6tは、上述したウェハ供給用プレート6wと同様な外径形状を有している。これにより、共通のマガジンカセット50に、ウェハ供給用プレート6wとトレイ供給用プレート6tとを混載して収納することが可能となっている。また、図5に示すように、トレイ供給用プレート6tは、ウェハリング9と略同じ外周形状を有するとともに、略正方形状の内周孔部を有する環状プレートであるトレイリング59と、このトレイリング59の上記内周孔部分に取り付けられて形成され、複数の部品供給トレイ57を着脱可能に載置するトレイ載置部58とを備えている。トレイ載置部58は、トレイリング59の表面よりも一段低くなるように形成されており、部品供給トレイ57が載置された場合に、その部品供給トレイ57に収納されている夫々のトレイ供給部品2tの上面高さ位置が、トレイリング59の表面高さ位置と略同じとなるように形成されている。このように形成されていることで、トレイ供給用プレート6tにおけるトレイ供給部品2tの高さ位置を、ウェハ供給用プレート6wにおけるウェハ供給部品2wの高さ位置と略同じ高さ位置とされている。なお、図5においては、略正方形状の平面形状を有する4つの部品供給トレイ57が2列に配列されて、トレイ載置部58に載置されている。なお、トレイ載置部58がトレイリング59と別に形成されて、トレイリング59の内側に取り付けられるような場合に代えて、トレイ載置部58がトレイリング59と一体的に形成されるような場合であってもよい。また、図5に示すように、トレイ供給用プレート6tにおけるトレイリング59のプレート取出方向C側の端部近傍位置が、プレート移動装置40によるトレイ供給用プレート6tの保持位置となっており、また、この部分には、トレイ供給用プレート6tを識別するための識別孔56が形成されている。なお、図4のウェハ供給用プレート6wにおいても、当該部分が上記保持位置となっているものの、上記識別のための識別孔56は設けられていない。後述するように、識別孔56の有無の相違により、トレイ供給用プレート6tとウェハ供給用プレート6wとを識別するためである。
さらに、図6に示すように、リフター装置10におけるカセット昇降部51は、その上面にマガジンカセット50を配置させて保持するカセット支持台51aが備えられている。ここでリフター装置10において取り扱われるマガジンカセット50には、複数の種類のサイズのものがあり、例えば、6インチサイズのもの、8インチサイズのもの、又は、12インチサイズのものがある。このような夫々のマガジンカセット50のサイズの相違を検出するために、カセット支持台51aの上面には、夫々の平面的な大きさの相違を検出することでもって、配置されたマガジンカセット50のサイズを検出可能な6インチカセット検出センサ53a、8インチカセット検出センサ53b、及び12インチカセット検出センサ53cが夫々設置されている。
次に、プレート配置装置12の半透過斜視図を図7に示す。図7に示すように、プレート配置装置12は、配置されるプレート6をその外周部近傍における下面側より支持可能であって、かつ、その支持高さ位置が可変する複数の弾性支持部材の一例であるプレート支持部60と、これらのプレート支持部60により支持されたプレート6を、夫々のプレート支持部60の上端との間で挟むように、その上記外周部近傍における上面側より押圧して、このプレート6の支持位置の保持を行うプレート押圧体61と、このプレート押圧体61の昇降動作を行う押圧体昇降部62とを備えている。
また、図7に示すように、プレート押圧体61は、半円状の切り欠き部分を有して、当該切り欠き部分が互いに同一平面状において対向するように配置された対称形状を有する一対の板状体となっている。また、このように上記半円状の切り欠き部分が形成されているため、夫々のプレート押圧体61は、ウェハ供給用プレート6wのウェハリング9の上面のみに、その下面が当接されて押圧することが可能となっており、またトレイ供給用プレート6tのトレイリング59の上面のみに、その下面が当接されて押圧することが可能となっている。また、プレート配置装置12においては、例えば、4本のプレート支持部60が設けられており、夫々のプレート支持部60は、夫々のプレート押圧体61のウェハリング9又はトレイリング59を押圧する部分の下方に配置されている。これにより、夫々のプレート支持部60により、ウェハリング9又はトレイリング59を夫々の下面側において支持することが可能となっている。なお、夫々のプレート支持部60は、その上部に配置されるウェハリング9又はトレイリング59の外周に沿って、大略均等な間隔にて配置されていることが望ましい。また、図7に示すように、プレート配置装置12は、夫々のプレート支持部60が配置されている円周上近傍における図示Y軸方向左側において、その上端側の先端部に、テーパ形状の傾斜端部を有し、当該傾斜端部においてプレート6の端部が当接される別の弾性支持部材の一例であるテーパ支持部65を備えている。
さらに、プレート配置装置12は、ウェハリング9が夫々のプレート支持部60に支持された状態のウェハ供給用プレート6wにおいて、ウェハ7の外周とウェハリング9の内周との間におけるウェハシート8の下面に当接可能な環状の当接部分をその上端に備えるエキスパンド部材63と、このエキスパンド部材63をその上面において固定して支持する配置フレーム64とを備えている。なお、プレート配置装置12においては、2つの押圧体昇降部62が、配置フレーム64に取り付けられて備えられており、図7において、配置フレーム64の図示X軸方向における夫々の側面に取り付けられている。また、夫々の押圧体昇降部62より、夫々のプレート押圧体61の昇降動作が一体的に行われることとなっている。
次に、このような構成のプレート配置装置12にウェハ供給用プレート6wが配置された状態の当該配置部分の拡大断面図を図8に、トレイ供給用プレート6tが配置された状態の当該配置部分の拡大断面図を図9に示す。
まず、図8に示すように、環状形状を有するエキスパンド部材63は、下部に外周方向に向けて形成されたフランジ部63bを備えており、夫々のプレート支持部60及びテーパ支持部65は、このフランジ部63bに昇降可能に取り付けられている。プレート支持部60は、その上部先端にフラット状または緩やかな隆起状の形状を有する支持端部60aを備える軸状の支持ピン60bと、フランジ部63bに対してこの支持ピン60bを常時上方に付勢するように、支持ピン60bの外周に配置された付勢バネ60cとを備えている。なお、この付勢バネ60cによる支持ピン60bの上方への付勢における上限位置は機械的に制限されている。また、図8においては、プレート支持部60は、エキスパンド部材63のフランジ部63bに取付部材66を介して取り付けられており、この取付部材66に形成されているピン孔部66aの内周面に沿って、支持ピン60bの昇降が案内可能となっている。従って、支持端部60aに下方に向けて外力が加えられることにより、付勢バネ60cが縮められて支持ピン60bが、ピン孔部66aの内周面に沿って下降され、上記外力が弱められる若しくは解除されることにより、縮められていた付勢バネ60cが伸ばされて支持ピン60bが、ピン孔部66aの内周面に沿って上昇されることになる。
また、テーパ支持部65も、その上端部分の形状を除いては、夫々のプレート支持部60と同様な考え方に基づく機構を備えており、図7、図8及び図58に示すように、支持ピン65b、付勢バネ65c、取付部材67、及びピン孔部67aを備えている。また、その上端部分は、テーパ状の形状を有する傾斜端部65aとなっており、この傾斜端部65aの傾斜面にウェハリング9の外周端部が当接されることにより、この角度抵抗を利用して、ウェハリング9の表面沿いの方向における支持位置を保持することが可能となっている。なお、図7、図8、及び図58に示すように、テーパ支持部65には、支持ピン65bの昇降を案内するガイド部65dが備えられている。また、図8に示すように、エキスパンド部材63はその上部に環状の先端部63aが形成されており、この先端部63aがウェハ7の外周部とウェハリング9の内周部との間におけるウェハシート8の下面に当接可能となっている。
このような構成において、夫々のプレート押圧体61の下面と夫々のプレート支持部60との間で挟まれて支持された状態のウェハリング9を、押圧体昇降部62による夫々のプレート押圧体61の下降動作によって下降させることにより、エキスパンド部材63の先端部63aをウェハシート8の下面に当接させながら、当該当接位置を支点として、ウェハリング9の下降とともに、ウェハシート8を放射状に延伸させることができる。これにより、ウェハシート8の上面に貼着されている夫々のウェハ供給部品2wの配置位置も放射状に延伸させられて、いわゆるウェハ7のエキスパンドを行うことができる。なお、図7にしめすように、配置フレーム64の上面おける夫々のプレート押圧体61の下方には、下降される夫々のプレート押圧体61の下面と当接されることにより、その下降の下限位置を規制可能な複数のエキスパンド下限ストッパー68が取り付けられており、このように下限位置が規制されることで、当該エキスパンドにおけるウェハシート8の延伸の範囲を規制可能としている。
次に、図9は上述のような構成を有するプレート配置装置12に、トレイ供給用プレート6tが配置された状態を示している。図9に示すように、夫々のプレート押圧体61と、夫々のプレート支持部60の支持端部60aとの間で、トレイリング59を挟むようにして、トレイ供給用プレート6tが支持されている。また、テーパ支持部65の傾斜端部65aの傾斜面にトレイリング59の外周端部が当接されていることにより、角度抵抗によってトレイリング59のその表面沿いの方向の支持位置が保持されている。また、トレイリング59よりも一段下がった高さ位置に位置されているトレイ載置部58は環状のエキスパンド部材63の内側に配置されている。さらに、このトレイ供給用プレート6tの保持状態において、エキスパンド部材63の先端部63aと、その上方に位置されているトレイリング59の下面との間には、互いに接触しないような隙間が確保されている。これにより、先端部63aがトレイリング59に接触することにより、当該先端部63aが傷付けられることを防止することが可能となっている。また、このような上記隙間の確保は、夫々のプレート押圧体61の下降位置が、他の部材により規制されることにより行なわれている。この規制方法について、図10に示すプレート配置装置12の部分拡大斜視図を用いて説明する。
図10に示すように、プレート配置装置12の配置フレーム64の上面における図示手前の端部近傍には、夫々のプレート押圧体61の上記下降位置を規制する規制部の一例である中間ストッパー駆動部69が備えられている。この中間ストッパー駆動部69は、配置フレーム64の上面における図示左手前側端部近傍に配置された当接部の一例である中間ストッパー69aと、この中間ストッパー69aを当該端部に沿って移動させる当接部移動機構の一例であるストッパー移動部69bとを備えている。なお、このストッパー移動部69bは、例えば、圧縮空気の給排気でもって上下方向に駆動可能なシリンダとそのシリンダに取り付けられて、中間ストッパー69aに当該シリンダの駆動を機械的に伝達するリンク機構とにより構成されている。ここで、この中間ストッパー駆動部69の動作を説明する模式説明図を図11に示す。
図11に示すように、プレート押圧体61の下部に規制ピン61aが設けられている。この規制ピン61aはプレート押圧体61の下降によって、その下端において中間ストッパー69aの上端と当接可能に配置されている。一方、ストッパー移動部69bは、配置フレーム64の上面に沿って、規制ピン61aの下方の位置であり、中間ストッパー69aが規制ピン61aと当接可能な当接位置と、規制ピン61aが下降されても、中間ストッパー69aが規制ピン61aとの当接を退避することができる退避位置との間で、中間ストッパー69aを進退移動させることが可能となっている。従って、中間ストッパー69aを上記退避位置に位置させた状態で、夫々のプレート押圧体61を下降させることにより、図8に示すウェハ供給用プレート6wの状態を成し得、また、中間ストッパー69aを上記当接位置に位置させた状態で、夫々のプレート押圧体61を下降させることにより、中間ストッパー69aと規制ピン61aとを当接させて、夫々のプレート押圧体61の下降位置を規制して、図9に示すトレイ供給用プレート6tの状態を成し得る。すなわち、中間ストッパー69aと規制ピン61aとが当接された状態で、図9に示すように、トレイリング59とエキスパンド部材63の先端部63aとの間に上記隙間が確保されるようになっている。なお、プレート配置装置12において、夫々のプレート押圧体61の下降における下限位置を規制可能に、個別に中間ストッパー駆動部69が夫々に設けられており、夫々の中間ストッパー駆動部69は互いに同期されて駆動される。
ここで、押圧体昇降部62における空気回路図を図13に示す。図13に示すように、押圧体昇降部62は、圧縮空気の給排気によって駆動可能な複数のシリンダ部71を備えており、昇降用圧縮空気供給部の一例である昇降用圧縮空気供給ライン73より供給された空気が、電磁弁77により選択的に上昇用レギュレータ75又は下降用レギュレータ76を通過されて、夫々のシリンダ部71に供給されることにより、選択的に上昇又は下降動作を行うことが可能となっている。
一方、このような圧縮空気を用いた昇降機構においては、安全性を図るための非常停止をどのように行うかが問題となる。一般的には、非常停止の際には、昇降用圧縮空気供給ライン73よりの圧縮空気の供給を停止させるとともに、夫々のシリンダ部71内の圧縮空気を全て抜いてしまうという対策が採られている。このような対策を採ることで、夫々のプレート押圧体61が下方に下がっているときに、急に上昇させることができないようにすることができるという利点がある。しかしながら、夫々のプレート押圧体61が上方に位置されている場合には、このような対策を採ると、上記非常停止を行った結果、夫々のプレート押圧体61が下方に移動してしまうことになる。これでは、夫々のプレート押圧体61により、その下方に位置されているもの、例えば、作業者の手や、移動エラー等により途中まで搬送された状態のプレート6等を誤って挟んでしまうという問題が起り得、非常に危険なものとなってしまう。
そのため、本実施形態においては、上方に位置されている状態の夫々のプレート押圧体61を非常停止により下降させることなく、その位置を保持することができるという構成を採っている。具体的には、圧縮空気選択弁の一例であるメカロックバルブ70を用いて、メカロックバルブ70のスイッチ部70aが機械的に入ることにより上昇用レギュレータ75を通しての夫々のシリンダ部71への昇降用圧縮空気ライン73よりの圧縮空気の供給を行なうようにしており、また、上記昇降用圧縮空気よりも低い圧力の別の圧縮空気を保持用圧縮空気ライン72より保持用レギュレータ74を通して夫々のシリンダ部71に供給するようにしている。このような保持用の圧縮空気の圧力は、夫々のプレート押圧体61の昇降位置を保持することができる圧力であって、かつ、上昇させることができないような圧力が用いられている。また、保持用レギュレータ74が保持用圧縮空気供給部の一例となっている。
このようなメカロックバルブ70は、図10及び図10の部分拡大斜視図である図12に示すように、そのスイッチ部70aを下向きとして、配置フレーム64に固定されており、また、プレート押圧体61には、このスイッチ部70aを押圧可能な当接部分を有する当接バー78が取り付けられている。また、プレート押圧体61がその昇降範囲における上方に位置されている場合には、当接バー78の上記当接部分がスイッチ部70aを押圧して、スイッチ部70aが入った状態とされ、一方、上記昇降範囲の下方に位置されている場合には、当接バー78の上記当接部分がスイッチ部70aに当接されることなく、スイッチ部70aは入っていない状態とされている。このように構成されていることにより、プレート押圧体61がその昇降範囲における上方(例えば、上限位置)に位置されている場合には、図13において、保持用圧縮空気ライン72から保持用レギュレータ74及びメカロックバルブ70を通して、夫々のシリンダ部71に保持用の圧縮空気が供給され、一方、プレート押圧体61がその昇降範囲における下方(例えば、上記上限位置以外の位置)に位置されている場合には、昇降用圧縮空気ライン73から電磁弁77により選択的に上昇用レギュレータ75又は下降用レギュレータ76を通して、昇降用の圧縮空気が供給される。
次に、プレート移動装置40の斜視図を図14に示す。図14に示すように、プレート6を解除可能に保持する保持部の一例であるチャック部41と、チャック部41がその先端に取り付けられた平面的に略L字形状を有するアーム機構42と、アーム機構42を図示Y軸方向に進退移動させる保持部移動部の一例である移動部44とを備えている。移動部44は、図示Y軸方向に配置されたボールねじ軸部44aと、ボールねじ軸部44aに螺合されたナット部44bと、ボールねじ軸部の一端に固定されて、ボールねじ軸部44aをその軸心回りに回転させることにより、ナット部44bを図示Y軸方向に進退移動させる移動モータ44cとを備えている。また、アーム機構42のチャック部が取り付けられていない側の端部はLMブロック43aに固定されており、LMブロック43aは図示Y軸方向に配置されたLMレール43bに沿って、アーム機構42の移動を案内可能とされているとともに、LMブロック43aがナット部44bに固定されて、ナット部44bとともに移動されることにより、アーム機構42の当該移動が可能となっている。
また、図14に示すように、チャック部41に隣接して、プレート6の端部の形状に基づいて、保持されるプレート6がウェハ供給用プレート6wなのか、又は、トレイ供給用プレート6tなのかを識別するプレート識別部の一例であるプレート識別センサ41bがアーム機構42に取り付けられている。このプレート識別センサ41bは、図4におけるウェハリング9に形成されていなくて、図5におけるトレイリング59に形成されている識別孔56の有無を、透過型センサを用いて識別することでもって、上記プレート6の識別を行っている。また、チャック部41を挟んでプレート識別センサ41bと逆側には、チャック部41がプレート6を保持しているかどうかを検出するプレート有無検出センサ41aがアーム機構42に取り付けられている。このプレート有無検出センサ41aは透過型センサを用いて、ウェハリング9又はトレイリング59の端部によりセンサの光の遮光が検出されるかどうかでもって、上記プレート6の有無を検出している。なお、プレート識別センサ41bの識別結果に基づいて、プレート配置装置12における中間ストッパー駆動部69による中間ストッパー69aの移動位置が決定される。
また、図14に示すように、アーム機構42は、チャック部41を図示X軸方向における揺れを機械的に収束させながら、そのX軸方向における位置のセンタリングを自動的に行うX軸方向センタリング部42aを備えている。なお、このようなセンタリング機構は、図示X軸方向に限定されるものではなく、図示Y軸方向におけるセンタリングが行われるようなものであってもよい。さらに、アーム機構42は、図示Y軸方向奥側にアーム機構42が他の構成部材に干渉(衝突)したことを検出可能な衝突検出センサ42bを備えている。この衝突センサ42bにより上記衝突が検出された場合には、移動部44の移動を停止させて、当該衝突による装置の故障や保持している夫々の電子部品2の破損等の防止を図っている。
次に、トレイ供給プレート6tへの夫々の部品供給トレイ57の載置方法について説明する。また、図15にトレイ載置部58の部分拡大斜視図を示し、図16にトレイ載置部58の断面の模式説明図を示す。
図15に示すように、トレイ載置部58には、プレート取出方向Cと直交する方向沿いに互いに平行に配置されて、部品供給トレイ57の互いに対向する夫々の端部と当接されて、部品供給トレイ57を挟むように、その配置位置を保持可能な2つの保持部材が取り付けられている。また、上記2つの保持部材のうちのプレート取出方向C側に配置されている上記保持部材は、その部品供給トレイ57との当接側端部に、部品供給トレイ57を付勢するように個別にスライド可能な2つのスライド部80aを備えたスライド側保持部材80(可動側保持部材の一例である)となっており、他方の上記保持部材はその部品供給トレイ57の当接側端部において、当該部品供給トレイ57の配置位置を固定する固定側保持部材81となっている。このように構成されていることにより、スライド側保持部材80の夫々のスライド部80aをプレート取出方向Cにスライドさせるように、部品供給トレイ57をトレイ載置部58の上方から挿入して、スライド側保持部材80と固定側保持部材81とで挟んで、部品供給トレイ57をトレイ載置部58に載置することができる。なお、図16に示すように、スライド側保持部材80と固定側保持部材81とにおける部品供給トレイ57の端部との当接部分は、互いに向き合うように傾斜されており、このような傾斜によって、部品供給トレイ57のトレイ載置部58からの飛び出しを防止している。なお、図15においては、トレイ載置部58には、2列に配列されて合計4個の部品供給トレイ57が載置されることから、固定側保持部材81の上記部品供給トレイ57との当接側端部と逆側の端部に、スライド側保持部材80の夫々のスライド部80aを備えさせて、上記部品供給トレイ57とプレート取出方向Cにおいて隣接されて配置される別の部品供給トレイ57(図示しない)に対してのスライド側保持部材80としての機能を併せ持つように構成されている。また、スライド側保持部材80に夫々のスライド部80aが個別にスライド可能に備えられている場合に代えて、図17に示すように、2つの当接部分を有するスライド部80bが一体的に備えられているような場合であってもよい。また、スライド側保持部材80において備えられている夫々のスライド部80aのスライド動作をロック可能なロック機構が備えられているような場合であってもよい。
また、このようなトレイ供給プレート6tには、微小な部品2が配置された部品供給トレイ57が載置されるような場合もある。特に、このような微小な部品2は、部品供給トレイ57に微小な振動が与えられるだけでも、部品供給トレイ57から飛び出してしまう場合も考えられ、このような部品供給トレイ57のトレイ供給プレート6tへの載置作業には注意が必要である。
特に、図16に示すような部品供給トレイ57の載置方法では、作業者が一方の手で部品供給トレイ57を保持しながら、他方の手でスライド側保持部材80をスイライドさせるというように、両手を用いた作業が必要となり、作業状態が不安定となって、部品供給トレイ57に対して振動を与えてしまう恐れもある。
そのため、例えば、図57に示すように、作業者が一方の手、あるいは両手で部品供給トレイ57を保持しながら、部品供給トレイ57の端部で、スイライド側保持部材80をスライドさせて、部品供給トレイ57を載置すれば、より安定した状態で当該載置作業を行なうことができる。
なお、作業者が他方の手でトレイ供給プレート6tを保持する必要がある場合も考えられるため、図39に示すトレイ供給プレート206tのように、その中央部分近傍に、作業者の指が入る程度の複数の保持用穴293が形成されるようにすることもできる。このような場合にあっては、より確実な保持ができ、微小部品の飛び出しを確実に防止することができる。
(部品供給装置の動作について)
次に、このような構成を有する部品供給装置4におけるマガジンカセット50より夫々のプレート6を取り出して、プレート配置装置12に夫々の電子部品2を取り出し可能に配置させるまでの動作について説明する。
まず、図2において、リフター装置10のカセット昇降部51によりマガジンカセット50を上昇又は下降させて、マガジンカセット50より取り出されるべきプレート6を、プレート移動装置40のチャック部41の高さ位置に位置させる。それとともに、プレート配置装置12において押圧体昇降部62により夫々のプレート押圧体61をその昇降の上限位置に上昇させて停止させる。なお、このとき、メカロックバルブ70のスイッチ部70aが当接バー78により押圧されて、スイッチ部70aが入った状態とされており、保持用の圧縮空気が押圧体昇降部62の夫々のシリンダ部71に供給されて、夫々のプレート押圧体61の昇降位置が上記昇降の上限位置にて保持された状態となっている。
次に、プレート移動装置40における移動部44によりアーム機構44が図2の図示Y軸方向左向きに移動されて、チャック部41がマガジンカセット50内に移動される。その後、マガジンカセット50より取り出されるべきプレート6の外周端部近傍が、チャック部41に隣接して設置されているプレート有無識別検出センサ41aにより検出されると、当該外周部近傍がチャック部41により保持される。それとともに、チャック部41に隣接して設置されているプレート識別センサ41bにより、当該保持されたプレート6が、ウェハ供給用プレート6wであるか、又は、トレイ供給用プレート6tであるかが識別される。その後、移動部44によるアーム機構42の図示Y軸方向右向きの移動が開始されて、上記保持されたプレート6がマガジンカセット50の夫々の溝部50bに沿って移動されて取り出される。
その後、チャック部41により保持されたプレート6が、プレート配置装置12の夫々のプレート押圧体61と夫々のプレート支持部60との間を通過するように移動されて、夫々のプレート支持部60によりプレート6が支持可能となる位置に位置されて停止される。その後、押圧体昇降部62により夫々のプレート押圧体61が下降されて、プレート6の外周部分の上面を下方に押し下げるとともに、上記外周部分の下面を夫々のプレート支持部60の上端に当接させて、夫々のプレート押圧体61と夫々のプレート支持部60にて挟むようにしてプレート6が保持される。それとともに、チャック部41によるプレートの保持が解除されて、移動部44によりアーム機構42が図2の図示Y軸方向右側に移動されて、チャック部41とプレート6との平面的な位置の干渉がなくなる位置にて停止される。
一方、プレート識別センサ41bによるプレート6の種類の識別結果を受けて、中間ストッパー駆動部69により中間ストッパー69aの移動位置が決定される。まず、当該プレート6が、ウェハ供給用プレート6wであるような場合にあっては、中間ストッパー69aが上記退避位置に移動されて、夫々の規制ピン61aと中間ストッパー69aの当接が退避された状態とされる。その後、夫々のプレート押圧体61がさらに下降されて、夫々のプレート支持部60が押し下げられて、エキスパンド部材63の先端部63aを支点として、ウェハシート8の延伸が行われて、エキスパンドが行われる。なお、下降されている夫々のプレート押圧体61は、夫々のエキスパンド下限ストッパー68に当接されてその下降における下限位置が規制され、この状態で夫々のプレート押圧体61の下降が停止される。このような状態において、ウェハ供給用プレート6wより、夫々のウェハ供給部品2wの取り出し供給が可能なり、ウェハシート8の下方より、夫々のウェハ供給部品2wを突き上げて、突き上げられたウェハ供給部品2wを反転ヘッド装置14にて保持して取り出すことにより、夫々のウェハ供給部品2wの取り出しが行われる。
一方、当該プレート6が、トレイ供給用プレート6tであるような場合にあっては、中間ストッパー69aが上記当接位置に移動されて、夫々の規制ピン61aと中間ストッパー69aの当接が可能な状態とされる。その後、夫々のプレート押圧体61がさらに下降されて、夫々のプレート支持部60が押し下げられるが、夫々の規制ピン61と夫々の中間ストッパー69aが当接されて、夫々のプレート押圧体61の下降位置が規制された状態とされる。この状態において、図9に示すように、トレイリング59の下面と、エキスパンド部材63の先端部63aとの間に互いに当接しないような隙間が確保された状態とされる。また、このような状態とされると、夫々のプレート押圧体61の下降が停止されて、トレイ供給用プレート6tより、夫々のトレイ供給部品2tが取り出し可能な状態となる。このような状態において、反転ヘッド装置14により、トレイ載置部58に載置された夫々の部品供給トレイ57より夫々のトレイ供給部品2tの保持による取り出しが行われる。
なお、上述のようにウェハ供給用プレート6w又はトレイ供給用プレート6tより夫々の電子部品2の取り出しが行われた後、夫々のプレート6が上述の手順の逆を追って、プレート移動装置40によりマガジンカセット50に移動されて収納される。
次に、部品供給装置4におけるメンテナンス性を良好とさせる構成について説明する。
まず、リフター装置10のマガジンカセット50に収納されている夫々のプレート6のマガジンカセット50からの飛び出し防止板について説明する。なお、図1に示す電子部品実装装置101においては、従来の構成の飛び出し防止板がリフター装置10に取り付けられている状態を示している。
図18に示すように、部品供給装置4は、移動可能なリフター装置10と、それ以外の部分とに大別されており、上記それ以外に部分は、ケーシング82により覆われている。また、ケーシング82のリフター装置10側には、跳ね上げ式に開閉可能な扉83が設置されている。この扉83の下方部分に飛び出し防止板84(プレート規制部の一例でもある)が取り付けられている。ここで、図19にこの扉83付近の模式的な断面の説明図を示す。図19に示すように、扉83が閉止された状態で、飛び出し防止板84が、マガジンカセット50に収納されている取出されるべき1枚のプレート6を除いた夫々のプレート6が、マガジンカセット50より飛び出さないように、マガジンカセット50の図示左側前面に配置されている。また、飛び出し防止板84の下方には、プレート取出口部84aが設けられており、このプレート取出口部84aに、上記取出されるべき1枚のプレート6が通過されて、プレート配置装置12に配置可能とされている。
また、図20及び図21に示すように、扉83の下方にさらに別の飛び出し防止板86が設けられているような場合であってもよい。このような場合にあっては、別の飛び出し防止板86の下方にプレート取出口部86aが設けられることになる。さらに、プレート取出口部86aの両端部に、プレート取出口部86aを通過するプレート6を検出可能な飛び出し検出部85を設けることができる。このように、飛び出し検出部85が設けられているような場合には、図21に示すように、メンテナンス時等において、扉83が開放されて飛び出し防止板84が機能を果たすことができない場合であっても、マガジンカセット50から飛び出したプレート6を検出することができる。
次に、リフター装置10の部品供給装置4への装備及び装備解除を行う構成について説明する。
図22に示すように、リフター装置10は、マガジンカセット50とともにカセット昇降部51を支持する基台52と、この基台52の部品供給装置4への装備時における配置位置の保持が可能であって、上記保持を解除して、上記装備解除を行うことが可能な基台保持部の一例である基台保持フレーム91とを備えている。なお、基台保持フレーム91は、基台52をその下部における前面部を除く3方向において接されるようにして、基台52の保持を行うことが可能となっている。また、図22に示すように、基台保持フレーム91は、基台52の図示X軸方向右側の下部側面と係合されることにより、基台52の直線的な移動である直動や、回転させながらの移動である回動を案内する機構を備えている。以下に、この機構について説明する。
図22に示すように、基台保持フレーム91は、上記機構として、基台52の上記装備解除を行う際、すなわち、部品供給装置4より基台52を移動させる場合に、その基台52の直動を案内可能な直動案内部の一例であって、その下部近傍におけるY軸方向に配置された直動案内レール93と、この直動案内レール93の図示Y軸方向左側の端部に隣接されるように配置された基台52の回動を案内可能な回動案内部の一例である回動案内レール94とを備えている。また、基台52におけるその上記機構と接される側の側面下方においては、直動案内レール93に当接された状態でその直動が案内され、また、回動案内レール94と係合された状態でその回動が案内される係合部の一例である第1の案内ローラ92が取り付けられている。さらに、基台52の上記側面には、図示Y軸方向沿いに配設された2本のLMレール96が固定されている。また、この2本のLMレール96には、夫々にLMブロック97が係合されて、夫々のLMレール96に沿って移動可能とされている。また、この夫々のLMブロック97は、基台支持フレーム91に取り付けられた回動軸98に固定されており、回動軸98の軸心を回転中心として回動可能とされている。また、基台52の底面には、4つの移動ローラ99が設置されており、夫々の移動ローラ99により基台52が移動可能に支持されている。さらに、回動案内レール94の外側には、基台52の上記側面下部と当接可能であるとともに、基台52の上記直動を案内する第2の案内ローラ99が設置されている。
このような構成において、基台保持フレーム91に保持されている状態の基台52を、上記保持を解除して部品供給装置4から引き出す動作について説明する。また、このような一連の動作状態を平面的に重ねて表示したものを図23に示す。
図22及び図23に示すように、基台52が基台保持フレーム91に保持されている状態においては、第1の案内ローラ92は直動案内レール93の奥側の端部近傍において当接された状態にあり、また、夫々のLMブロック97は、夫々のLMレール96の手前側の端部近傍に位置されている。なお、この状態においては、基台52の後側の側面において、図示しない基台保持フレーム91が備える保持機構によりその保持位置が固定された状態とされている。
基台52の移動を開始するには、まず、上記保持機構による保持の解除を行う。その後、保持が解除された基台52を、図22のY軸方向左向きに引き出すように移動を開始させる。これにより、第1の案内ローラ92が直動案内レール94に当接されたまま、回転走行されるようにして案内されて、基台52の直動が案内される。また、第2の案内ローラ95も基台52の側面に当接されたまま、回転走行されて基台52の上記直動を案内する。また、夫々のLMレール96が、夫々のLMブロック97に案内されながら走行される。このとき、第1の案内レール92と直動案内レール93により基台52の回動が規制されているため、回動軸98は回動することができない。
その後、第1の案内ローラ92が直動案内レール93の手前側の端部を通過して、直動案内レール93との当接が解除されると、それとともに、回動案内レール94に第1の案内ローラ92が係合される。これにより、規制されていた回動が可能な状態とされ、第1の案内ローラ92が回動案内レール94に案内されながら基台52の回動が行われる。なお、このとき、LMブロック97は回動軸98に固定されているため、その回転中心周りに回動される。このようにして基台52の回動が行われて、図23に示すように、基台52が平面的に略90度回動されながら、部品供給装置4より引き出された状態とさせることができる。
(実施形態による効果)
上記実施形態によれば、以下のような種々の効果を得ることができる。
まず、部品供給装置4のプレート配置装置12における夫々のプレート押圧体61の下降位置を中間ストッパー駆動部69により選択的に規制することができるため、プレート配置装置12に配置されるプレート6の種類に応じて、上記下降位置の規制を行うことにより、トレイ供給用プレート6tの保持を確実に行うことができ、上記下降位置の規制を解除することにより、ウェハ供給用プレート6wを確実に保持しながら、ウェハシート8の延伸を行ってエキスパンドを行うことができる。従って、配置供給されるプレート6の種類に応じて、適切な保持動作やエキスパンド動作を選択的にかつ自動的に行うことができ、部品供給を効率的に行うことを可能とすることができる。
また、上記プレート6の種類の識別は、マガジンカセット50に混載されている夫々のプレート6をプレート移動装置40により取り出す際に、プレート6の端部を把持するチャック部41に隣接して備えられているプレート識別センサ41bを用いて行うことができる。具体的には、プレート6の端部に、トレイ供給用プレート6tの場合にのみ識別孔56を設けて、当該識別孔56の有無をプレート識別センサ41bにより識別することにより、上記プレート6の種類の識別行うことができる。また、この識別結果に基づいて中間ストッパー駆動部69による中間ストッパー69aの移動位置を決定することにより、夫々のプレート押圧体61の下降位置の規制を選択的に行うことができる。
また、ウェハ供給用プレート6wのウェハシート8に当接されることによりエキスパンドを行うエキスパンド部材63の先端部63aが、トレイ供給用プレート6tの下面に接触しないように、上記夫々のプレート押圧体61の下降位置が規制されているため、エキスパンド部材63の先端部を傷付けることを防止することができる。
また、プレート配置装置12においては、その支持高さ位置が可変可能とされた複数のプレート支持部60が備えられていることにより、夫々のプレート6の外周部近傍において夫々のプレート6を支持することができるとともに、夫々のプレート押圧体61の昇降動作に合わせて、上記支持を行いながらその支持高さ位置を自由に可変することができ、上述の効果を達成することが可能となっている。
また、その先端に傾斜端部65aを有するテーパ支持部65が備えられていることにより、この傾斜端部65aにプレート6の端部を当接させて、角度抵抗によりプレート6の表面沿いの方向の支持位置の保持を行うことができ、確実かつ正確な保持が可能となる。
また、トレイ供給用プレート6tのトレイ載置部58において、プレート取出方向Cに直交する方向に、スライド側保持部材80と、固定側保持部材81とが設けられていることにより、部品供給トレイ57をその載置位置の略上方より当該載置位置に載置させて、スライド側保持部材80と固定側保持部材81とで挟むようにして部品供給トレイ57を保持させることができるため、部品供給トレイ57の載置のために必要な空間を小さくすることができる。従って、トレイ供給用プレート6tのトレイ載置部58に2列に合計4つの部品供給トレイ57を載置させることができ、トレイ供給プレート6tにおける部品供給トレイ57の面積収容率を向上させることができる。
また、従来の部品供給装置においてはマガジンカセットからの夫々のプレートの飛び出しを防止する飛び出し防止板が、リフター装置に取り付けられていたため、メンテナンスの際に、当該飛び出し防止板が邪魔となって、プレート配置装置等のメンテナンスを行うことが困難であるという問題があった。しかしながら、本実施形態においては、飛び出し防止板84を扉83に設ける構成としていることにより、扉83を開閉させることで、飛び出し防止板84を移動させることができ、メンテナンス性を向上させることができる。さらに、プレート取出口部86aの両端部に、プレート取出口部86aを通過するプレート6を検出可能な飛び出し検出部85を設けているため、当該メンテナンス時等において、扉83が開放されて飛び出し防止板84が機能を果たすことができない場合であっても、マガジンカセット50から飛び出したプレート6を検出することができ、安全性を高めながらメンテナンス性の向上を図ることができる。
また、部品供給装置4へのリフター装置10の装備又は装備解除を行う際の移動を直動及び回動を組み合わせて行うことができる機構を備えさせているため、より狭い空間にリフター装置10を確実に収めて装備させること、あるいは、当該空間からより簡単かつ円滑にリフター装置10を引き出すことが可能となる。従って、このような部品供給装置4をよりコンパクトな空間に配置させるような場合であっても、リフター装置10の出し入れを容易かつ円滑に行うことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
(第2実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本発明の第2の実施形態にかかる部品供給装置について、以下に説明する。なお、本第2実施形態の部品供給装置は、上記第1実施形態の部品供給装置4と、以下に示す部分的な構成が異なるもののその基本的な構成は共通しているため、以降の説明の理解を容易なものとすることを目的として、上記第1実施形態の部品供給装置4と同様な構成部分には、同じ参照番号を付している。
図24に示す部品供給装置204において、リフター装置10には、複数の上記ウェハ供給用プレート及び複数の上記トレイ供給用プレートを混載して収納するマガジンカセット250が備えられている。このマガジンカセット250は、上記第1実施形態と同様に、プレート取出方向Cと直交する方向において、互いに対向するように側壁部250aが夫々設けられており、夫々の互いに対向する側面において、プレート取出方向Cに沿って、複数の溝部250bが形成されている。また、夫々のプレートは、その互いに対向する両端部において、夫々の側壁部250aの互いに対向して配置された夫々の組の溝部250bの係合して支持されることにより、マガジンカセット250に保持されて収納されており、これら夫々の溝部250bが、支持ガイド部の一例となっている。なお、夫々の側壁部250aにおいて夫々の溝部250bは一定の間隔ピッチでもって形成されており、夫々の溝部250bに係合されて保持された状態で、夫々のプレートはその表面が略水平な状態とされている。さらに、夫々のプレートは、上記互いに対向する組の溝部50bの形成方向に沿って案内されながら、プレート取出方向C沿いに進退移動(すなわち、スライド移動)可能な状態とされている。
また、ここで、このマガジンカセット250の側壁部250aの部分断面図を図25に示す。図25に示すように、側壁部250aは、金属材料であるアルミニウム製のプレート250cに、熱可塑性樹脂であるジュラコン(登録商標、DURACON : POM:ポリオキシメチレン(Polyoxymethylene))を用いて一体的に形成された夫々の溝部250bが固定された構造を有している。このジュラコンは、トレイリング59やウェハリング9の形成材料であるステンレス材料(例えば、JIS規格:SUS304)よりもその表面硬度が低く、軟らかい材料であるという特徴を有しているため、夫々の溝部250bとプレート6とが、互いに夫々の接触表面において接触されるような場合であっても、当該接触磨耗による切粉等の発生量を低減させることができる。また。熱可塑性樹脂材料が用いられていることにより、複数の凹凸部が連続するような構造の夫々の溝部250bを容易に形成することが可能となる。なお、このような夫々の溝部250bとトレイリング59等の形成材料の組み合わせは、上記組み合わせに限定されるものではない。トレイリング59の形成材料に対して、夫々の溝部250bの形成材料の硬度が低ければよく、このような条件のもとにおいてその他様々な組み合わせを採用することが可能である。
また、このような夫々の溝部250bのさらに詳細な構造を示す一の溝部250bの側面図を図26Aに示し、その正面図を図26Bに示す。なお、夫々の溝部250bは一体的に形成されているものの、以下における溝部250bの構造の説明の理解を容易なものとするために、図26A及び図26Bにおいては、その上記一の溝部250bを切り出して表示した図としている。
図26Aに示すように、溝部250bにおけるプレート取出方向C側の端部、すなわち、夫々のプレート6の挿入端部250dには、プレート取出方向Cに対して、僅かに傾斜された面である傾斜面(滑面部の一例である)が形成されている。また、図26Bに示すように、この傾斜面は、プレート取出方向Cに対して、プレート6の大略表面に直交する方向である図示下向きに傾斜された下部側傾斜面250eと、プレート6の大略表面沿いの方向である図示左向きに傾斜された側部側傾斜面250fとにより構成されている。
このように夫々の溝部250bの挿入端部250dにおいて、下部側傾斜面250e及び側部側傾斜面250fが形成されていることにより、図示プレート取出方向Cと逆向きに、プレート6を挿入するような場合であっても、プレート6の端部と、このプレート6を支持案内する夫々の溝部250bの挿入端部250dとの接触による摩擦を軽減することができ、滑らかなプレート6の挿入を実現することができる。また、このプレート6の挿入の際に、プレート取出方向Cと直交する方向において、夫々の溝部250bによるプレート6の支持位置と、夫々の溝部250bへのプレート6の挿入位置との間に位置ズレが生じているような場合であっても、下部側傾斜面250eと側部側傾斜面250fとによりプレート6を案内しながら挿入して、上記位置ズレを補正することができるという効果もある。
次に、図27に、トレイ供給プレート6tの外観斜視図を示す。図27に示すトレイ供給プレート6tのトレイリング59のプレート取出方向C沿いの互いに対向する端部(直線的に形成された端部)と部分円弧状の端部との4箇所の連結部分(R)においては、その下面端部の角部分が削り取られて滑らかな曲線により構成される滑面部59aとされている。このような夫々の連結部分Rは、マガジンカセット250の夫々の組の溝部250bとの接触部分であるため、図28に示すように、夫々の溝部250bに支持された状態で、プレート取出方向Cに沿って、トレイ供給プレート6tが進退移動されるような場合であっても、夫々の滑面部59aと溝部250bとの間の摩擦力を低減することができる。従って、マガジンカセット250に対する夫々のトレイ供給プレート6tの挿入又は取出しの際に、トレイ供給プレート6tと夫々の溝部250bとの接触磨耗による切粉等の発生量を低減することができる。なお、このようなトレイ供給プレート6tにおける滑面部59aの形成は、その重量が、ウェハ供給プレート6wに比して重いという特徴を有するトレイ供給プレート6tに適用することが有効であるが、ウェハ供給プレート6wに対しても夫々の滑面部を形成し、更なる切粉の発生量を低減させるような場合であってもよい。
また、マガジンカセット250の夫々の溝部250bにおいて、図29に示すように、夫々のプレート6を支持するとともに、そのプレート取出方向C沿いの移動を案内する回転部材の一例である複数のローラ部250gが備えられているような場合であってもよい。このような夫々のローラ部250gが備えられていることにより、夫々のプレート6と溝部250bとの間の接触による摩擦力を著しく低減することができ、上記接触による切粉等の発生を抑制することができる。なお、図30に示すように、このような夫々のローラ部261aは、夫々のプレート6が挿入配置されるプレート配置装置212のプレート押圧体261の下面において、夫々のプレート6を支持するように備えられるような場合であってもよい。このような場合にあっては、マガジンカセット250だけでなく、プレート配置装置12においても、夫々のプレート6の接触磨耗による切粉等の発生量を低減させることが可能となる。
ここで、マガジンカセット250の側壁部250aにおいて、アルミニウム製のプレート250cに、熱可塑性樹脂であるジュラコンを用いて夫々の溝部250bが形成され、トレイリング59やウェハリング9がステンレス材料により形成されているような場合に代えて、その他の材料により形成される場合について説明する。
上述のように、夫々の溝部250bを樹脂で形成することにより、夫々のプレート6との接触による切粉等の発生量を低減させることができるが、部品実装の現場においては、マガジンカセット250の汎用性を考慮して、マガジンカセット250をできるだけ標準仕様としたいという要望も多い。このような場合にあっては、逆に、マガジンカセット250における夫々の溝部250bの形成材料よりも、夫々のプレート6の形成材料を表面硬度を低くするように、上記夫々の形成材料の選定を行なうことで、上記効果と同様な効果を得ることができる。
具体的には、図42のプレート、例えば、トレイ供給プレート306tの外観斜視図に示すように、トレイリング359のプレート取出方向C沿いの互いに対向する端部359bを、樹脂、例えばPEEK樹脂にて形成する。また、図42におけるプレート取出方向Cから見たマガジンカセットの夫々の溝部350bに支持された状態のトレイ供給プレート306tの側面図(一部断面含む)に示すように、夫々の溝部350bは、アルミニウムで形成されている。また、図43に示すように、トレイリング359の本体部359aは、例えば、アルミニウム板で形成されており、この本体部359aにおける夫々の端部が折り曲げられて段部359cが形成され、夫々の段部359cにPEEK樹脂にて形成された板が例えばネジ止めにて取り付けられることにより、夫々の端部359bが形成されている。
このようにトレイリング359の端部359b及びマガジンカセットの夫々の溝部350bが構成されることにより、汎用性が求められるマガジンカセットを特殊な仕様とすることなく、互いの接触磨耗による切粉等の発生量を低減させることができる。なお、トレイリング359の端部359bの表面、あるいは、マガジンカセットの夫々の溝部350bの表面において、簡易的な表面処理を施すような場合であってもよい。
次に、本第2実施形態の部品供給装置204におけるトレイ供給プレート6tからのトレイ供給部品2tの飛び出し防止対策を実現する構成について説明する。
上記第1実施形態においては詳細については説明しなかったが、プレート配置装置212のプレート押圧体261の下面には、図31の模式図に示すように、プレート配置装置212に供給されたプレート6を、その互いに対向する端部夫々において支持する支持部材の一例である支持部261bが備えられている。また、これら夫々の支持部261bは、プレート押圧体261の下面とで互いに対向する面が開放された凹部を構成しており、この凹部内においてプレート6の端部を挿入して支持することが可能となっている。また、図31に示すように、上記凹部内にその端部が挿入して支持された状態のプレート6が、容易にスライド移動することができるように、上記夫々の凹部は、プレート6の厚みに対して十分に余裕を持つように形成されている。
このような構成のプレート配置装置212において、後述する本第2実施形態の構成を有していない場合の動作及びその問題点について図31〜図34を用いて説明する。
まず、プレート配置装置212に供給されたトレイ供給プレート6tは、プレート押圧体261の夫々の支持部261bにより支持された状態とされる。この状態においては、トレイ供給プレート6tの端部の上面と、夫々のプレート押圧体261の下面とは互いに接触されることなく、隙間が確保された状態にある。その後、押圧体昇降部62により夫々のプレート押圧体261が下降されると、トレイ供給プレート6tの端部下面が夫々のプレート支持部60に当接されることとなる。さらに下降されることで、図32に示すように、トレイ供給プレート6tの端部が夫々のプレート押圧体261の下面と夫々のプレート支持部60とで挟まれた状態で支持されることとなる。なお、このような状態においては、トレイ供給プレート6tの端部は夫々の支持部261bから浮き上げられた状態となっている。逆に、このような状態から、夫々のプレート押圧体261を上昇させるような場合にあっては、図33に示すように、トレイ供給プレート6tの下面が夫々のプレート支持部60より浮き上げられた状態とされるが、その際に、上記夫々の凹部内において、トレイ供給プレート6tが上下方向に振動することとなる。このような場合にあっては、図33及び図34に示すように、当該振動により部品供給トレイ57よりトレイ供給部品2tが飛び出してしまうという問題が発生する場合がある。このような場合にあっては、円滑な部品供給が阻害されることとなる。
このようなトレイ供給部品2tの飛び出し防止対策を達成する本第2実施形態における構成を以下に説明する。
図35に示すように、プレート配置装置212における夫々のプレート押圧体261には、夫々の支持部261bにより支持された状態又は夫々のプレート支持部60により支持された状態のトレイ供給プレート6tを、その上面から常に下方に向けて押圧して、夫々の支持部261b又はプレート支持部60に付勢する付勢部材の一例である付勢部261cが備えられている。夫々の付勢部261cは、夫々のプレート押圧体261に2個ずつ備えられている。
ここで付勢部261cの拡大外観図を図36に示す。図36に示すように、付勢部261cは、トレイ供給プレート6tの上面に当接されるとともに、プレート取出方向Cに沿って回転可能な付勢ローラ部262と、この付勢ローラ部262をその一端に回転可能に備える棒状部材であって、その中間位置を支点としてプレート6と略直交する面内において回転可能に支持された回動部材263と、回動部材263をプレート押圧体261に固定するとともに、上記中間位置を支点として、付勢ローラ部262を常時下方に付勢されるように、回動部材263を回動付勢する固定部材264とを備えている。
図37及び図38に示すように、このような付勢部261cが備えられていることにより、夫々のプレート押圧体261の昇降の位置に拘らず、常に、トレイ供給プレート6tの端部下面を、夫々の支持部261b又はプレート支持部60に当接されるように押圧付勢することができるため、上記凹部内を振動により上下動するようなことを、確実に防止することができる。従って、プレート押圧体261の昇降に伴うトレイ供給プレート6tの上記上下動を確実に防止することができ、部品供給トレイ57よりのトレイ供給部品2tの飛び出しの発生を確実に防止することができる。また、付勢ローラ部262を介して、トレイ供給プレート6tの上面を下方に向けて押圧するように付勢した状態で、付勢ローラ部262がトレイ供給プレート6tの表面に沿って回転可能とされており、さらに当該回転の方向が、プレート取出方向C沿いであることにより、プレート配置装置212へのトレイ供給プレート6tの供給配置動作、又はプレート配置装置212よりのトレイ供給プレート6tの取り出し動作の際に、夫々の付勢ローラ部262が上記夫々の動作を阻害しないようにされている。なお、上記においては、夫々のプレート6のうちの比較的その重量が重いという特徴を有するトレイ供給プレート6tについて説明したが、ウェハ供給プレート6wに対しても同様に適用することができる。なお、付勢部261cの設置数は、上記4個の場合のみに限られるものではなく、平面を安定して支持するために、3個以上設けることが好ましい。ただし、付勢部における付勢部分の形状が、例えば、棒状あるいはU字状等比較的大きな面積を有しているような場合にあっては、1個又は2個のみが設置される場合でもよい。
次に、ウェハ供給プレート6wよりも、その重量が比較的重いという特徴を有するトレイ供給プレート206tを、マガジンカセット250より確実に引き出すことができる構成について説明する。
まず、図39にトレイ供給プレート206tの平面図を示し、また、このトレイ供給プレート206tを解除可能に保持するチャック部241の平面図を図40に、図40に示すチャック部241の先端部における断面図を図41に示す。図39に示すように、トレイ供給プレート206tにおけるトレイリング259の図示上側の端部には、上記第1実施形態のトレイ供給プレート6tとは異なり、細長い長孔部291(係合部の一例である)がさらに形成されている。また、図40及び図41に示すように、チャック部241の先端部には、この長孔部291と係合可能な突起部241cが形成されている。なお、チャック部241の両側には、上記第1実施形態と同様に、プレート有無検出センサ241aとプレート識別センサ241bとが備えられている。
このようにトレイ供給プレート206tのチャック部241による保持位置において、長孔部291が形成され、かつ、この長孔部291がチャック部241の先端に形成された突起部241cと係合された状態で、チャック部241によりトレイ供給プレート206tを保持することが可能とされていることにより、その重量が比較的重いという特徴を有するトレイ供給プレート206tを確実に保持することが可能となる。
また、このようなチャック部241の突起部241cに併せて、ウェハ供給プレート6wにも長孔部291を形成することで、ウェハ供給プレート6wをも確実に保持することができる。また、このチャック部241の突起部は、ウェハ供給プレート6wの上面に当接する側にのみ形成されていることより、当該係合の際に、ウェハシート7を損傷させることもない。
なお、図37に示すように、トレイ供給プレート206tにおいて、複数の孔292を形成することで、トレイ供給プレート206tの軽量化を図ることもできる。
上記第2実施形態によれば、ウェハ供給プレート6wよりも、その重量が重いという特徴を有するトレイ供給プレート6tを、マガジンカセット250に挿入して収納させる場合、あるいはマガジンカセット250から取出すような場合であっても、夫々の溝部250bとプレート6とが接触移動されても、その摺動磨耗による切粉の発生量を著しく低減させることができる。
また、トレイ供給プレート6tは、ウェハ供給プレート6wと異なり、多数の種類の部品を1枚のトレイ供給プレート6tに混載して収納可能な構成とされているため、ある種類の部品の取出しが完了する度に、当該トレイ供給プレート6tをマガジンカセット250に収納し、その後、収納されたトレイ供給プレート6tから異なる部品を取り出す場合には、マガジンカセット250から再び取り出すというように、マガジンカセット250に対する出し入れの頻度が多いという特徴も備えている。このように出し入れの頻度が多いような場合であっても、上記切粉の発生抑制対策が施されているため、当該切粉発生による駆動トラブルの発生やメンテナンス性の低下等の併発を防止することができ、ウェハ供給プレート6wとトレイ供給プレート6tとが混載された部品供給装置において、メンテナンス性の向上を図り、効率的な部品供給を実現することができる。
また、夫々のプレート押圧体261の昇降動作に伴ってトレイ供給プレート6tに発生する振動を、夫々のプレート押圧体に261に付勢部261cを備えさせることで、確実に防止することができ、部品供給トレイ57よりのトレイ供給部品2tの飛び出しを確実に防止することができ、ウェハ供給プレートとトレイ供給プレートとを混載して供給することの弊害を防止することができ、効率的な部品供給を実現することができる。
また、トレイ供給プレート206tに、チャック部241の突起部241cと係合可能な長孔部291を形成することにより、両者を互いに係合させながらチャック部241によりトレイ供給プレート206tの保持を行なうことができ、比較的その重量が重いという特徴を有するトレイ供給プレート206tを確実かつ安定して保持することができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態にかかる部品供給装置について、以下に説明する。本第3実施形態の部品供給装置は、上記第1実施形態の部品供給装置4と、以下に示す部分的な構成が異なるものの、その基本的な構成は共通しているため、以降の説明の理解を容易なものとすることを目的として、上記第1実施形態の部品供給装置4と同様な構成部分には、同じ参照番号を付している。
本第3実施形態の部品供給装置についての説明を行なうに先だって、上記第1実施形態の部品供給装置4にて、夫々のプレート6へのランダムアクセスを行なう場合に生じる可能性があるいくつかの問題点について説明する。
まず、図2の部品供給装置4の斜視図に示すように、マガジンカセット50に収納されている夫々のプレート6を、プレート移動装置40により保持しながら取出して移動させ、プレート配置装置12に配置させる際において、例えば、プレート6が大略円盤状の形状を有していることにより、図44の模式図に示すように、マガジンカセット50内において、プレート6が、プレート取出方向Cに対して水平方向に傾斜した姿勢で収容されている場合があり、このような場合にあっては、プレート6の周部とマガジンカセット50の溝部との接触(あるいは衝突)が発生し、プレート6のガタツキが発生する場合がある。特に、プレート6が、その上面に複数のトレイ供給部品2tを載置するようなトレイ供給プレート6tであるような場合にあっては、上記ガタツキの発生により、上記載置されている夫々のトレイ供給部品2tがトレイ供給プレート6tから飛び散る場合がある。
また、マガジンカセット50に収容されている複数のプレート6へのランダムアクセスを部品実装に対して、より効果的なものとするため、マガジンカセット50には、夫々の溝部50bの間隔の狭ピッチ化を行ない、溝部50bの形成数量の増大化を図って、より多数のプレート6の収納を可能としている。しかしながら、このような夫々の溝部50bの間隔の狭ピッチ化は、作業者によるマガジンカセット50への夫々のプレート6の収容の際に、図45の模式説明図に示すように、互いに対向する溝部50bへのプレート6の支持収容を困難なものとし、マガジンカセット50において、プレート6を水平な支持姿勢で収容させることが困難(すなわち、斜め入れ状態)となる場合がある。このような場合にあっては、マガジンカセット50よりの当該プレート6の取出し作業に障害が生じることとなる。
従って、本第3実施形態においては、このようなマガジンカセット50への夫々のプレート6の収容姿勢に起因する諸問題点を解決し、マガジンカセット50よりの夫々のプレート6の取出しを円滑に行なうことができ、ランダムアクセスをさらに効果的なものとする工夫について説明する。
本第3実施形態にかかる部品供給装置が備えるマガジンカセット450をプレート取出方向Cを正面側として、当該正面側より見たマガジンカセット450の模式説明図を図46に示す。
図46に示すように、マガジンカセット450における夫々の側壁部450aの内側には、互いに対向して配置された多数の溝部450bが形成されており、互いに対向する夫々の組の溝部450bにプレート6の夫々の端部が支持されることで、略水平な姿勢を保ちながら当該プレート6を収容することが可能となっている。さらに、マガジンカセット450における図示奥側にも奥側壁部450cが設けられており、この奥側壁部450cには、プレート6の端部と係合されることにより、プレート6の水平姿勢と、プレート取出方向Cに対する水平方向の姿勢とを正常な姿勢に保つことを可能とする姿勢ガイド部490が備えられている。
さらに具体的に説明すると、上記第1実施形態においては詳細には説明しなかったが、図5に示すように、トレイ供給プレート6tにおけるプレート取出方向Cと逆側の端部(すなわち、トレイリング59の端部)の下面には、姿勢ガイド部490と係合可能な姿勢ガイドブロック59aが形成されている。
ここで、このトレイ供給プレート6tに備えられた姿勢ガイドブロック59aと、マガジンカセット450の奥側壁部450cに備えられた姿勢ガイド部490との互いの係合状態の拡大平面図を図47に示す。また、マガジンカセット450における図46と同じ向きの詳細な正面図を図48に示し、図48のマガジンカセット450におけるV−V矢視断面図を図49に示す。
図48及び図49に示すように、マガジンカセット450の奥側壁面450cの略中央付近には、夫々の溝部450bの形成間隔ピッチと同じ間隔ピッチにて、複数の姿勢ガイド部490が、上下方向に一列に配列されて備えられている。また、図47に示すように、姿勢ガイド部490は、折り曲げられた状態の2つのピン状部材491が、互いに対向しかつ所定の間隔が保たれるように、例えば、奥側壁面450cにネジ止め等により取り付けられることにより形成されている。また、上記夫々のピン状部材491の上記所定の間隔は、奥側壁部450cの近傍において、トレイ供給プレート6tの姿勢ガイドブロック59aの形成幅と略同じ寸法とされており、奥側壁部450cから離れるに従って、上記間隔が広くなるように形成されている。
このようにマガジンカセット450において夫々の姿勢ガイド部490が備えられ、夫々のトレイ供給プレート6tに姿勢ガイドブロック59aが備えられていることにより、マガジンカセット450の互いに対向する組の溝部450bに、その互いに対向する端部が支持された状態のトレイ供給プレート6tを、さらに、図47に示すように、姿勢ガイドブロック59aと姿勢ガイド部490とを係合させることで、トレイ供給プレート6tをプレート取出方向Cに対して水平方向に正常な姿勢に保つことができ、さらに、夫々の溝部450bによる支持姿勢を水平な姿勢に保つことができる。特に、姿勢ガイド部490における夫々のピン状部材491の間隔が、図47に示すようにテーパ状に形成されていることにより、姿勢ガイドブロック59aと姿勢ガイド部490との係合を容易なものとすることができるとともに、プレート取出方向Cに対して水平方向に傾斜されたトレイ供給プレート6tの姿勢を、この係合過程において補正しながら係合することが可能となる。
このようにマガジンカセット450に収容された夫々のプレート6の支持姿勢が正常な状態に保たれていることにより、図50の模式図に示すように、マガジンカセット450よりの夫々のプレート6の取出しを円滑に行なうことができ、トレイ供給プレート6tからの部品2の飛び出しが発生することも防止することができる。従って、マガジンカセット450に収容されている夫々のプレート6へのランダムアクセスを効率的に行なうことができ、効率的な部品供給を実現することができる。
なお、上記説明においては、プレート6がトレイ供給プレート6tである場合について代表して説明したが、ウェハ供給プレート6wについても同様な構成を採ることができる。
また、このようなウェハ供給プレート6wやトレイ供給プレート6tが収容されるマガジンカセット450においては、マガジンカセット450の帯電による夫々の部品2への影響が懸念されることが考えられる。例えば、その帯電量は、通常400V〜600V程度となる。また、図56に示すように、マガジンカセット450の底部には、マガジンカセット450と基台52とを連結(固定)するための連結ブロック471(固定部の一例である)が、例えば3個備えられている。このような帯電による部品への影響を防止するために、例えば、3個の連結ブロック471のうちの少なくとも1つの連結ブロック471を、導電性材料にて形成することで、接地端子部としての機能を備えさせてマガジンカセット450を接地することができ、その帯電量を数V程度、例えば2V程度にまで低減することができる。
上記説明においては、マガジンカセット450の奥側壁面450cに、姿勢ガイド部490が形成されるような場合について説明したが、本第3実施形態はこのような場合にのみ限定されるものではない。このような場合に代えて、上述の姿勢ガイド部490の装備による効果を得ながら、さらに作業性を改善することができるマガジンカセットについて、本第4実施形態の変形例として以下に説明する。
多数のプレート6を収容するマガジンカセットが用いられる部品供給装置や部品実装装置においては、マガジンカセット内に収容されている夫々のプレート6の交換や補給作業等を行なうことが必要となる。従って、効率的な部品実装や部品供給にあっては、このようなマガジンカセットに対するプレート6の交換作業における作業性を良好なものとすることが求められる。
しかしながら、図51の模式図に示すようなマガジンカセット500においては、マガジンカセット500のプレート取出方向Cから見て、奥側壁面500cがマガジンカセット500の本体に固定されており、夫々のプレート6の交換等のためには、マガジンカセット500をカセット昇降部51により所定の場所に位置させて、基台52よりマガジンカセット500を取り外して、マガジンカセット500におけるプレート取出方向C側の開口部より夫々のプレート6の交換作業等を行なう必要がある。また、このようなマガジンカセットは、その重量も総じて大きなものとなり、例えば、20〜30kg程度の重量となるため、このような作業者によるマガジンカセット500の脱着作業は、作業効率の向上を阻害する要因となる。また、マガジンカセット500を取り外すことは、部品供給装置の稼動を停止させることにもなり、このような観点からも、作業効率の向上が望まれている。本変形例は、このようなランダムアクセスにおける諸問題を解決して、さらなる作業効率の向上を実現することを目的としている。
まず、本変形例にかかるマガジンカセット550の模式的な斜視図を図52に示し、さらに、このマガジンカセット550の断面図的な模式説明図を図53に示す。
図52及び図53に示すように、マガジンカセット550においては、プレート取出方向Cに対して奥側壁面が、開閉可能な扉部の一例である開閉カバー部550cとなっている点において、上記第3実施形態のマガジンカセット450と異なる構成を有している。また、この開閉カバ−部550cの内側には、上記マガジンカセット450の奥側壁面450cと同様に、夫々のプレート6の支持姿勢を正常な姿勢に保つための姿勢ガイド部590が備えられている。
このように開閉カバ−部550cが設けられていることにより、マガジンカセット550を基台52から取り外すことなく、開閉カバー部550cを開放させることで、夫々のプレート6の交換作業を行なうことが可能となる。従って、このような交換作業における作業性を著しく向上させることができる。また、開閉カバー部550cに夫々の姿勢ガイド部590が備えられていることにより、マガジンカセット550内に夫々のプレート6を収容した後、開閉カバー部550cを閉止することで、夫々のプレート6の姿勢ガイドブロックと開閉カバー部550cの姿勢ガイド部590とを係合させることができ、当該係合により夫々のプレート6の姿勢を正常に保つことができる。
また、マガジンカセット550内にプレート6が水平状態ではなく傾斜された姿勢で収容された場合には、姿勢ガイドブロックと姿勢ガイド部590とが互いに係合することができず、開閉カバー部550cを完全に閉止することができないこととなる。このような特徴を利用して、作業者がマガジンカセット550において、夫々のプレート6の交換作業を終えた後、開閉カバー部550cを閉止する際に、完全に閉止されたかどうかを確認することにより、夫々のプレート6が正常な姿勢で収容されたかどうかを判断することが可能となる。
なお、このように作業者が目視で開閉カバー部550cの開閉状態を確認するような場合に代えて、開閉カバー部550cに開閉状態を検出可能な開閉検出センサ580を備えさせるような場合であってもよい。例えば、図52及び図53に示すように、開閉カバー部550cに開閉検出センサ580の被検出部580aを備えさせ、開閉カバー部550cが閉止した際に、この被検出部580aを検出可能に、マガジンカセット550の本体側に検出部580bを備えさせるようにすることができる。
このように制御的に開閉を検出することで、作業者の視認ミス等を防止することができ、確実な検出を行なうことができるとともに、例えば、この開閉検出センサ580による開閉カバー部550cの閉止を検出して初めて、部品供給装置を稼動させるというインターロック回路を設けることもできる。
また、図53に示すように、カセット昇降部51によりマガジンカセット550が収納されている夫々のプレート6を交換可能な位置、例えば原点位置に位置された状態において、プレート移動装置40によりマガジンカセット550との間でプレート6の出し入れが可能なプレート収容部570が、マガジンカセット550の下部に設けられている。このプレート収容部570には、例えば、1枚のプレート6のみが収容可能となっており、上記原点位置に位置された状態のマガジンカセット550に対して、夫々のプレート6の交換作業中であっても、プレート収容部570に収容されたプレート6を、プレート移動装置40により取出して、部品2の供給を行なうこと、及び、部品2の供給が行われたプレート6をプレート収容部570に収容させることが可能となっている。
このようなプレート収容部570がマガジンカセット550に備えられていることにより、マガジンカセット550の収容されている夫々のプレート6の交換作業を行なっている間であっても、プレート収容部570に収容されたプレート6を用いて、部品供給を継続して行なうことができ、効率的な部品供給を行なうことができる。
また、図54A、図54Bは、マガジンカセット550の本体部における開閉カバー部550cの開口端部における夫々の側壁部550aの部分拡大図(左側、右側)であるが、これらに示すように、マガジンカセット550の内部に備えられている夫々の溝部550bにおける互いに対向する組ごとに、例えば段番号を表示することもできる。このような場合にあっては、マガジンカセット550内に作業者が夫々のプレート6を収容する場合に、左右の溝部550bの段数を間違うことを防止することができる。
上述のような夫々の構成を利用したマガジンカセット550内に収容されている夫々のプレート6の交換作業を、プレート交換作業工程(あるいは部品供給作業工程)として、図55のフローチャートにその手順を示す。
図55に示すように、ステップS1にて、プレート交換作業を開始する。この作業開始は、例えば交換作業モードとして、部品実装装置が備える制御装置等を操作することにより行なうことができる。次に、ステップS2にて、マガジンカセット550が、カセット昇降部51により昇降されて、上記原点位置に位置される。
その後、ステップS3において、マガジンカセット550の開閉カバー部550cを開放して、夫々のプレート6の交換作業を行なう。このとき、プレート配置装置12において、部品供給中のプレート6があるような場合であって、当該部品供給が完了した場合には、このプレート6は、プレート移動装置40によりプレート収容部570に収容させることができる(ステップS4)。
夫々のプレート6の交換作業が完了すると、ステップS5において、夫々のプレート6が収容された段番号の確認を行なって、斜め姿勢にて収容されていないことを確認する。その後、開閉カバー部550cを閉止し、この閉止を確認することで、夫々のプレート6が正常な姿勢で収容されたことを確認することができる。なお、この閉止の確認は、上述したように開閉検出センサ580でもって行なうこともできる。これにより、プレート交換作業が完了する(ステップS7)。
このような手順にて上記プレート交換作業を行なうことにより、部品供給装置による部品供給作業を中断させることなく、上記夫々のプレートの交換を、円滑かつ効率的に行なうことができ、より効率的な部品供給を行なうことができる。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。