JP2007140674A - 死角情報提供装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な装置構成で他車両に対して自車両が生成する死角内の情報を他車両に把握させることができる死角情報提供装置を提供することを目的とする。
【解決手段】死角情報提供装置2は、全方位カメラ10により車両1の周囲の画像を撮像し、車両1の周囲に存在する他車両の位置を認識する。死角情報提供装置2は、他車両を基準とした場合に、車両1の後方となり他車両から死角となる領域の画像を、他車両に対して送信する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自車両で取得した周辺情報を、自車両周辺の移動物体へ送信することにより、移動物体から視認することのできない死角領域内の情報を知らせる死角情報提供装置に関する。
交差点を右折しようとする車両の運転者は、対向車線上を走行する直前の対向車両に視界を遮られ、その後方の情報を充分に得ることができない。直前の対向車両の後方の車両情報は、車の追い越しや二輪車のすり抜け等により刻々と変化している。右折車の運転者は右折操作に集中するあまり、交差点に侵入してくるこれらの対向車両を把握できないまま右折操作をしてしまうことがある。そのため、右折車両に、直前の対向車両後方の車両情報を知らせる装置が種々提案されている。例えば、特開2002−87188号公報には、車両に車両周辺の画像を撮像する撮像手段と、車両の外面に表示部とを備え、これにより、自車の周辺の車両、二輪車、歩行者などにとって死角となる視野の情報を、表示部に表示することにより、死角の存在が原因で発生する交通事故を防止する。
特開2002−87188号公報
しかしながら、上述した従来の技術では、周辺の車両の運転者に的確に情報を伝達するためには、表示部を大型なものにしなければならない。このため、車両の周囲に大型の表示部を搭載できる車両は、バス等の大型の車両に限られてしまう。また、車両の周囲に複数の表示部を備えなければならず、高価なものとなってしまう。また、従来の技術を備えた車両と周辺の車両との相対位置は一定のものではないため、例えば前後左右四面に設けられた表示部のみによって、周辺の車両の運転者にとっての死角内の状況を的確に知らしめることは難しい。
また、交差点で右折する車両に対して、路側で収集した対向車両情報を送信する技術も知られているが、路側インフラの整備が不可欠であり、実現性に乏しい。
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、簡易な装置構成で他車両に対して自車両が生成する死角内の情報を他車両に知らせることができる死角情報提供装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明に係る死角情報提供装置は、自車両の周辺情報を取得する周辺情報取得手段と、前記周辺情報に基づいて前記自車両周辺の移動物体の位置を検出する移動物体位置検出手段と、前記自車両と前記移動物体の位置に基づいて前記移動物体に対して前記自車両が生成する死角領域を算出する死角領域算出手段と、前記死角領域内の前記周辺情報を前記移動物体に送信する送信手段とを有する構成としたものである。
本発明の死角情報提供装置によれば、簡易な装置構成で他車両に対して自車両が生成する死角内の情報を他車両に知らせることが可能となる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は死角情報提供装置の構成図である。
本実施形態の死角情報提供装置2は、周辺情報取得手段である全方位カメラ10、移動物体位置検出手段及び死角領域算出手段である制御部20、送信手段である送信装置30、受信手段である受信装置40及び出力手段である表示部50を有する。これらの全方位カメラ10、送信装置30、受信装置40及び表示部50は、制御部20に信号線により電気的に接続されている。
全方位カメラ10は、路面から所定の高さを有する、車両1のルーフ上に配設されている。全方位カメラ10は、凸型ミラー11と、撮像装置12とを有する。凸型ミラー11は、例えば放物面状または双曲面状等の回転体からなる略球形状であり下に凸形状の反射鏡である。撮像装置12は、CCD等の撮像素子、レンズ及びA/D変換回路等を有する。撮像装置12は、レンズの光軸が凸型ミラー11の回転体の中心軸と略同軸上に位置するように配設されている。
全方位カメラ10は、凸型ミラー11の中心軸を略鉛直として車両1のルーフ上に設置される。車両1の水平方向についての全周360度の像は、凸型ミラー11によって反射され、撮像装置12のCCDの受光面上に結像される。すなわち、全方位カメラ10は、周辺情報である車両1周囲の全周にわたる全方位画像を撮像するものであり、公知の技術である。また、全方位カメラ10による撮像は所定の時間間隔で連続的に行われるものである。
送信装置30は、車両1のルーフ上であり、全方位カメラ10の基部に配設されている。送信装置30は、データを光通信により送信するためのものであり、発光ダイオード(以下、LEDと称する)と集光レンズからなる光源装置31を複数有し、各光源装置31は、全方位カメラ10の基部の全周にわたって配設されている。LEDは、撮像装置12のCCDが感度を有する波長の光を発するものであり、本実施形態では、LEDは近赤外光を発する。LEDが発した近赤外光は、集光レンズにより指向性を有するように集光され、光源装置31から出射される。複数の光源装置31は、近赤外光の出射方向が放射状になるように送信装置30内に配設されている。このため、送信装置30は、複数の光源装置31のうちの一部から指向性を有する近赤外光を出射することにより、車両1から任意の方位に向けて光通信用の近赤外光を出射することが可能である。
受信装置40は、光源装置31から出射される光通信用の近赤外光に対し感度を有するフォトダイオードを有し、フォトダイオードに入射された近赤外光を電気信号に変換し出力する機能を有する。
表示部50は、車両1の運転席の前方であり、運転者から視認可能な位置に配設されている。表示部50は、例えば液晶ディスプレイ等の画像表示装置により構成される。表示部50は、カーナビゲーションシステムや、メーターパネルの表示を兼ねてもよい。なお、出力手段である表示部50は、運転者に所定の情報を伝えることが可能な装置であればよく、音、光又は振動等によって運転者に情報を出力する装置でもよい。
制御部20は、車両1の内部の例えばダッシュボード内等に配設されている。制御部20は、画像処理部21と、演算部22と、通信制御部23と、表示制御部24とを有している。
画像処理部21は、全方位カメラ10により撮像された周辺情報である車両1周囲の全方位画像について、画像処理を行う画像処理装置である。画像処理部21は、全方位カメラ10から連続して入力される全方位画像に対し差分等の画像処理を行うことにより、全方位画像内における路面等の背景と車両等の移動物体とを識別する機能を有する。ここで移動物体とは、路上を通行する物体のことを指し、車両に限らず、人物、自転車等を含むものである。また、画像処理部21は、全方位画像内に存在する移動物体の全方位画像内における座標を算出することで、全方位カメラ10に対する移動物体の相対位置を算出する機能を有する。
具体的には、全方位カメラ10により撮像された全方位画像は、一般に撮像装置12を中心として周囲を見渡すかたちの円形の画像となる。円形の全方位画像を、中心を原点とした円座標系とすれば、路面上に存在するある点について、その点の径方向位置は全方位カメラ10からの距離を表し、周方向位置は全方位カメラ10からの方位を表す。ここで、全方位画像内の径方向位置と、実際の全方位カメラ10からの距離とは線形の関係にはなく、両者の関係は、全方位カメラ10の路面からの高さと、凸型ミラー11の反射面の形状により決定される。全方位カメラ10で撮像された全方位画像内における座標と、実際の路面上における座標との相関関係は既知であるため、画像処理部21は、この相関関係から、全方位カメラ10に対する移動物体の相対位置を算出することが可能である。例えば、画像処理部21は、全方位画像内における移動物体の輪郭線を抽出し、該輪郭線の重心位置を求めることにより、全方位カメラ10に対する移動物体の方位角を算出する。
また、画像処理部21は、全方位画像内における移動物体の輪郭線のうち、径方向において最も画像中心に近い点を抽出する。画像処理部21は、この輪郭線の径方向において最も画像中心に近い点を基準として、全方位カメラ10に対する移動物体の距離を算出する。これは、移動物体の立体形状が不明なための措置であり、全方位画像上において移動物体の画像中心に最も近い点が、移動物体と路面との接点であると仮定して移動物体の距離を算出する。すなわち、移動物体との距離Lは、以下の数式で算出する。
L=√(Z−(ak)
ここで、数式中のaは、全方位画像上において移動物体の画像中心に最も近い点と、画像中心との距離を示す。係数kは、全方位画像内における距離aを実空間での距離値に変換させる係数であり、凸型ミラー11の反射面の形状に基づいて予め設定されている。また、数式中のZは、全方位カメラ10の路面からの高さを示す。
また、画像処理部21は、移動物体の輪郭線のうち、自車両を座標中心とした画像座標系において、座標系の水平軸と、座標中心と移動物体の輪郭線上の点とを結ぶ直線とのなす角度のうち、最大及び最小となる点を抽出する。画像処理部21は、この輪郭線上の最大及び最小となる点から、移動物体の見かけ上の幅を算出する。この見かけ上の幅の値は、具体的には、全方位カメラ10の位置から移動物体を見た場合の、移動物体の水平方向の最大幅を表す。
演算部22は、画像処理部21において算出された、全方位カメラ10に対する移動物体の相対位置と、予め記憶している車両1の形状とから、移動物体を基準とした場合に車両1の死角となる領域である死角領域を算出する機能を有する。
また、演算部22は、全方位カメラ10の周囲の像を円形に投影した全方位画像を、円筒形に投影したパノラマ画像に変換する。このように、全方位画像をパノラマ画像に変換することによって、人が直感的に画像内の情報を把握しやすくなる。また、演算部22は、このパノラマ画像について、パノラマ画像の一部を切り出して出力する機能を有する。
通信制御部23は、送信装置30及び受信装置40を制御することで、光通信により死角情報提供装置2の外部とのデータの送受信を行う機能を有する。通信制御部23は、送信装置30から出射する近赤外光の出射方位と、光源装置31のLEDの点灯パルスを制御する。例えば、通信制御部23は、演算部22によって切り出されたパノラマ画像の一部分のデータを、特定の方位へ向けて近赤外光を用いた光通信によって送信する機能を有する。また、通信制御部23は、受信装置40に入射された近赤外光に含まれたデータを復調する機能を有する。通信制御部23は、他車両に搭載された死角情報提供装置から送信されたパノラマ画像のデータを受信する。
表示制御部24は、表示部50を制御し、通信制御部23によって受信されたパノラマ画像のデータに基づいた情報を、表示部50に表示させる機能を有する。
以下に、本実施形態の死角情報提供装置2の動作を図面を参照して説明する。図2は、本実施形態の死角情報提供装置2が使用される状況を説明する図である。図2は、本実施形態の死角情報提供装置2を搭載した2台の車両である車両101および車両102が、互いに対向する方向から交差点に侵入し、それぞれ右折をしようとしている状況を示している。
図2に示された状況における、車両101に搭載された死角情報提供装置2の制御部20の動作を、図3のフローチャートを参照して説明する。まず、制御部20は、画像処理部21において、全方位カメラ10によって撮像された動画である全方位画像に対して画像処理を行う(ステップS1)。
次に、制御部20は、画像処理部21において、全方位画像内に存在する移動物体の有無を判断する。図2に示す状況においては、車両102が移動物体として認識される。全方位画像内に移動物体が認識された場合、画像処理部21は、移動物体の相対位置及び見かけ上の幅の情報を演算部22へ送信する(ステップS2のYES)。図2に示す状況では、車両101に対する車両102の相対位置と、車両101から見た車両102の見かけ上の幅の情報が演算部22へ送信される。
また、全方位画像内に移動物体が認識されない場合、ステップS1に戻る(ステップS2のNO)。
次に、制御部20は、演算部22において、移動物体の相対位置及び見かけ上の幅の情報から、車両102を基準とした場合に、車両101の後方となり、車両102から死角となる死角領域BAを算出する(ステップS3)。なお、死角領域BAの算出方法については後述する。
次に、制御部20は、演算部22において、全方位画像をパノラマ画像に変換し、パノラマ画像の死角領域BA内に相当する範囲の画像を、死角画像データとして切り出す。死角画像データは、通信制御部23に送信される(ステップS4)。死角領域BAは、車両101及び車両102の相対位置の変化に対応して、更新される。このため、切り出される死角画像データの範囲も、車両102の相対位置の変化に対応して更新される。
次に、制御部20は、通信制御部23において、送信装置30を制御し死角画像データを車両102へ送信する。このとき、送信装置30の複数の光源装置31のうち、車両102方向へ近赤外光を投射することが可能な光源装置31のみから、近赤外光が投射される。すなわち、死角画像データは車両102が存在する方位にのみ送信される(ステップS5)。
以上のように、本実施形態の死角情報提供装置2は、死角情報提供装置2が搭載された車両101の周辺の情報を取得し、情報取得が可能な範囲内に移動物体(車両102)が存在する場合には、移動物体を基準とした場合に車両101の後方となる死角領域BA内の死角画像データを、移動物体に向けて送信する。なお、死角情報提供装置2の周辺情報取得の範囲内、すなわち全方位画像内に移動物体が複数存在する場合、それぞれの移動物体についての死角領域を算出し、それぞれの移動物体に向けて死角画像データを送信する。個々の移動物体が、死角画像データを受信可能であるかどうかは考慮しない。また、死角情報提供装置2のステップS1からステップS5の動作は、搭載された車両101の運転状況にかかわらず実施されてもよい。すなわち、車両101が駐車中であっても、死角情報提供装置2は、周囲の移動物体に死角画像データを送信するように動作し続けることが可能である。
一方、図2に示した状況における、車両102に搭載された死角情報提供装置2について、車両101から送信された死角画像データの受信動作を、図4のフローチャートを参照して説明する。
まず、車両102に搭載された死角情報提供装置2の制御部20は、通信制御部23において受信装置40を制御し、車両102へ向かって投射される光通信用の近赤外光に含まれた死角画像データを受信する。図2に示す状況においては、車両101から投射された近赤外光に含まれた死角画像データを受信する。死角画像データは表示制御部24へ送信される(ステップS11)。なお、制御部20は、車両102に対する車両101の位置関係及び相対移動速度から、車両101から送信された死角画像データが車両102の運行の安全上必要なものであるか否かを判定することで、選択的に死角画像データを受信もしくは利用してもよい。
次に、制御部20は、表示制御部24において表示部50を制御し、受信した死角画像データを表示部50に死角情報として表示する(ステップS12)。死角情報は、受信した死角画像データをそのまま表示する形態であってもよいし、受信した死角画像データに対し画像処理を施した結果を表示する形態であってもよい。例えば、死角画像データ中の移動物体を検出し、表示部50に移動物体の存在を強調して表示してもよい。また、表示部50の解像度が精細なものでなければ、死角情報は、死角画像データ中に移動物体が存在することを警報として表示する形態でもよい。
以上のように、車両102に搭載された死角情報提供装置2は、車両101に搭載された死角情報提供装置2から送信された死角画像データを受信し、表示部50に表示する。
上述した、本実施形態の死角情報提供装置2は、死角画像データの送信動作(ステップS1からステップS5)と、死角画像データの受信動作(ステップS11からステップS12)とを同時に行うものである。すなわち、上述した動作について、車両101及び車両102を入れ替えた動作も同時に行われるものであり、車両102に搭載された死角情報提供装置2は、車両101に向けて死角画像データを送信し、車両101に搭載された死角情報提供装置2は、車両102から送信された死角画像データを受信し表示する。
ここで、ステップS3における、死角領域BAの算出方法について、図面を参照して以下に説明する。図5は、死角領域BAの算出方法についての説明図である。図5は、車両101を路面に対して鉛直上方から見た平面図である。図5において、X軸は車両101の左右方向と平行であり右方向が正、Y軸は車両101の前後方向と平行であり前方が正としている。また、原点Oは、車両101の全方位カメラ10の搭載位置とする。
演算部22は、車両101を路面上に投影した際の輪郭形状が内接する矩形状の自車形状OLを記憶している。全方位カメラ10は車両101のルーフ上に搭載されているため、平面図上では、矩形状である自車形状OLは原点Oを囲うように描画される。自車形状OLの四つのコーナーについて、第1象限(車両右前方)に位置するコーナーをC11とし、反時計回りにそれぞれのコーナーをC12(車両左前方)、C13(車両左後方)、C14(車両右後方)とする。また、全方位画像を画像処理することにより算出された車両102の位置座標をG2とする。図5においては、車両102は第1象限、すなわち車両101の右前方に存在するとする。
図5に示す位置関係において、まず演算部22は、G2を通過し、自車形状OLに接する二本の線分L1及びL2を求める。自車形状OLは矩形状のため、線分L1及びL2は、各コーナーC11、C12、C13又はC14のいずれかを通過する線分となる。図5においては、線分L1はC12を通過し、線分L2はC14を通過する。
ここで、演算部22は、G2を通過し自車形状OLに接する二本の線分に囲まれ、かつ原点Oを含む領域のうち、前記二本の線分と自車形状OLとの二箇所の接点を結ぶ線分よりもG2から遠い側の領域を死角領域BAとする。図5においては、線分L1及びL2に囲まれ、かつ原点Oを含む領域のうち、C12とC14とを結ぶ線分L3よりもG2から遠い側の領域が死角領域BAとなる。すなわち、G2から見て、自車形状OLの見かけ上の幅の内側となる領域が死角領域BAとして設定される。
ここで、G2は、全方位カメラ10の位置から見た場合における車両102の重心位置を表す座標であり、実際の路上に存在する車両102の運転者の視点位置を正確に表すものではない。このため、実際の車両102の運転者の死角を確実に覆うことができるように、死角領域BAは、上述した方法により求められた領域よりも、大きく設定されるようにしてもよい。
上述した構成及び動作を有する死角情報提供装置2によれば、以下のような作用及び効果を有する。例えば、図6は、それぞれ対向する方向から交差点に侵入し、それぞれ死角情報提供装置2を搭載した車両C1および車両C2が、それぞれ右折をしようと交差点内において対向している状況を示している。また、図6に示す状況において、二輪車MCが、車両C1の左側方を通過して交差点を直進しようとしている。この場合、車両C2の運転者からは、車両C1が存在するため、車両C1の後方に存在する二輪車MCを直接視認することができない状況である。しかし、車両C1に搭載された死角情報提供装置2は、車両C1の存在によって車両C2にとって死角となる領域の画像を、車両C2に向けて死角画像データとして送信する。そして、車両C2に搭載された死角情報提供装置2が、車両C1から送信された死角画像データを受信し、表示部50に表示することにより、車両C2の運転者は二輪車MCの存在を把握することが可能となる。これにより、車両C2の運転者は二輪車MCを先に通過させる判断をすることができ、車両C2と二輪車MCとの衝突事故を未然に防止することが可能となる。
また例えば、図7は、道路左側に駐車された車両C3の右側方を、その後方から走行してきた車両C4が通過しようとしている状況を示している。また、図7に示す状況において、自転車BCが、車両C3の前方を左から右へと道路を横断しようとしている。この場合、車両C4の運転者からは、車両C3が存在するために、車両C3の後方に存在する自転車BCを直接視認することができない状況である。しかし、車両C3に搭載された死角情報提供装置2は、車両C3の存在によって車両C4にとって死角となる領域の画像を、車両C4に向けて死角画像データとして送信する。そして、車両C4に搭載された死角情報提供装置2が、車両C3から送信された死角画像データを受信し、表示部50に表示することにより、車両C4の運転者は自転車BCの存在を把握することが可能となる。これにより、車両C4の運転者は、車両C4を停止させ、自転車BCを横断させる判断をすることができ、車両C2と自転車BCとの衝突事故を未然に防止することが可能となる。
上述のように、本実施形態の死角情報提供装置2は、他車両に対して自車両が生成する死角領域を自車両に対する他車両の相対位置に基づいて生成するため、他車両との位置が常に変化する状況であっても、自車両の存在によって死角となる領域内の状況を、確実に他車両の運転者に知らせることが可能である。また、死角情報提供装置2は、大型の表示装置を車両外部に複数台設ける必要がなく、さらに表示部50としてカーナビゲーションシステムに用いられるディスプレイや、メーター等の表示部を用いることができる。また、死角情報提供装置2は、路側に設置された監視装置等のインフラを必要としない。このため、死角情報提供装置2は、安価かつ簡易な構成で実現可能であり、小型の車両にも容易に搭載することができる。上述のように、本実施形態の死角情報提供装置2は、簡易な装置構成で他車両に対して自車両が生成する死角内の状況を他車両に知らせることが可能である。
また、死角情報提供装置2は、車両の周囲に存在する移動物体に対して、通信の可否を問わずに死角画像データを送信する。このため、車両以外にも死角画像データを受信することが可能な装置を有する自転車や歩行者も死角画像データを利用することが可能である。例えば図7に示した状況において、死角画像データを受信し、死角情報を出力可能な装置が自転車BCに搭載されている場合、自転車BCの運転者は車両C4の接近を把握することができ、より的確に事故を防止することが可能となる。
なお、本実施形態においては、車両の周辺情報を取得する手段として、一台の全方位カメラを用いているが、車両の全方位について同様な画像が得られれば、周辺情報取得手段は一台の全方位カメラを用いる方法に限らない。例えば、所定の視野角を有する複数台の撮像装置を互いに異なる方位を撮像するように設置し、これら撮像装置により得られた画像を合成することで、車両周囲の画像を取得する方法であってもよい。この場合、一部の方位においてのみ死角領域の算出を行うのであれば、必ずしも車両の全方位を撮像できるように撮像装置を複数設けなくても良い。このように、撮像装置を複数設けて車両の周囲を撮像するようにすれば、撮像装置の設置位置の自由度が拡がるため、車両の外観のデザインに容易に死角情報提供装置を溶け込ませることが可能となる。また、一台の撮像装置を用いる方法に比べ、取得できる画像の分解能を上げることも容易となる。
また、画像の解像度が、他車両の運転者の顔の位置を認識するに足る場合は、この他車両の運転者の顔の位置を基準として、死角領域を算出してもよい。この方法によれば、死角領域をより正確に算出することが可能となる。
また、一台の車両について撮像装置を複数台配置する構成においては、撮像された複数の画像間から、視差を用いた三角測量の原理により、自車両と移動物体との距離を測定してもよい。このような構成によれば、正確に自車両と移動物体との距離を測定することが可能となり、他車を基準として自車の後方となる死角領域をより正確に算出することができるため、死角内の情報を他車により的確に知らせることができる。
さらに、本実施形態においては、車両の周辺情報取得手段として撮像装置を用いているが、周辺情報取得手段は撮像装置に限らない。例えば、超音波センサ、ミリ波式レーダ又はレーザ式レーダ等により構成された、車両周囲全周に対して検知範囲を有するセンサを用いて、周辺情報を取得してもよい。超音波センサ、ミリ波式レーダ、レーザ式レーダ等の方式を用いて車両周囲の状況を取得すれば、自車に対する移動物体との距離を正確に測定することが可能となる。
また、本実施形態においては、死角情報提供装置同士の通信方法を近赤外光による光通信により行っているが、死角情報提供装置同士の通信方法は近赤外光以外の波長を用いる光通信を用いてもよく、また電波を用いた通信を用いてもよい。可視光による光通信を用いる場合、例えばLEDにより構成された前照灯、尾灯及び方向指示器等の点灯パルスを制御することによりデータの送信を行う。
また、本実施形態の死角情報提供装置2は、他車両を基準とした死角内の情報を取得し送信する手段と、自車両を基準とした死角内の情報を受信し表示する手段とを備えているものであるが、本発明はこの形態に限るものではない。例えば、本発明に係る死角情報提供装置は、図1に示した構成のうち、受信装置40及び表示部50を備えていない構成とし、自車両の周辺に存在する移動物体を基準とした場合に自車両の後方となる死角内の情報を該移動物体に送信する動作のみを行う構成であってもよい。
さらに、本実施形態の死角情報提供装置2は、自車両の演算部22によって他車両を基準とした死角内の情報を演算して送信するように構成しているが、本発明はこの形態に限るものではない。例えば、自車両の撮像装置で撮像した画像データを送信し、この画像データを受信した他車両の演算部22において、死角内の情報を演算するようにしても良い。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る死角情報提供装置は、第1の実施形態に係る死角情報提供装置2に対し、図3に示した動作のステップS3における死角領域BAを算出する方法のみが異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1の実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図8は、死角領域の決定方法についての説明図である。図8は、車両101を路面に対し鉛直上方から見た平面図である。図8において、X軸は車両101の左右方向と平行であり右方向が正、Y軸は車両101の前後方向と平行であり前方が正としている。また、原点Oは、車両101の全方位カメラ10の搭載位置とする。
演算部22は、車両101を路面上に投影した際の輪郭形状が内接する矩形状の自車形状OLを記憶している。全方位カメラ10は車両101のルーフ上に搭載されているため、平面図上では、矩形状である自車形状OLは原点Oを囲うように描画される。自車形状OLの四つのコーナーについて、第1象限(車両右前方)に位置するコーナーをC11とし、反時計回りにそれぞれのコーナーをC12(車両左前方)、C13(車両左後方)、C14(車両右後方)とする。図8においては、車両102は第1象限、すなわち車両101の右前方に存在するとする。
また、全方位画像を画像処理することにより算出された車両102の位置座標をG2とする。さらに、車両102の見かけ上の幅を、原点O及びG2を通過する線分に直交する線分L6上に、W1及びW2としてプロットする。W1は、原点Oから見て車両102のシルエットの右側となる端点であり、W2は、原点Oから見て車両102のシルエットの左側となる端点である。
図8に示す位置関係において、まず演算部22は、W1を通過し、かつG2から見て自車形状OLの右側となる端点を通過する線分L4を求める。また、演算部22は、W2を通過し、かつG2から見て自車形状OLの左側となる端点を通過する線分L5を求める。
すなわち、L4及びL5は、原点O及びG2の互いの方向から見て、互いの見かけの形状の同じ方向側となる端点同士を通過する2本の線分であり、L4及びL5は、原点OとG2の間で交差する。自車形状OLは矩形状のため、線分L4及びL5は、各コーナーC11、C12、C13又はC14のいずれかを通過する線分となる。図8においては、線分L4はW1及びC12を通過し、線分L5はW2及びC14を通過する。
ここで、演算部22は、線分L4及びL5に囲まれ、かつ原点Oを含む領域のうち、前記二本の線分と自車形状OLとの二箇所の接点を結ぶ線分よりもG2から遠い側の領域を死角領域BAとする。図8においては、線分L4及びL5に囲まれ、かつ原点Oを含む領域のうち、C12とC14とを結ぶ線分L7よりもG2から遠い側の領域が死角領域BAとなる。
上述の方法によれば、車両101から見た車両102の見かけ上の幅のうち、どの位置に車両102の運転者の視点が存在したとしても、死角領域BAは、車両102の運転者にとっての死角をカバーすることが可能となる。本第2の実施形態の作用及び効果は、第1の実施形態の作用及び効果と同一であるので説明を省略する。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態に係る死角情報提供装置202について、第1及び第2の実施形態に係る死角情報提供装置に対する相違点のみを以下に説明し、第1及び第2の実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図9は、本実施形態の死角情報提供装置202の構成を示す説明図である。本実施形態の死角情報提供装置202は、周辺情報取得手段及び受信手段である全方位カメラ10、移動物体位置検出手段及び死角領域算出手段である制御部20、送信手段である送信装置30及び出力手段である表示部50を有する。すなわち、本実施形態の死角情報提供装置202は、第1及び第2の実施形態に係る死角情報提供装置に対して受信装置40を備えておらず、周辺情報取得手段である全方位カメラ10が受信手段として機能するものである。
本実施形態に係る死角情報提供装置202の動作は、第1及び第2の実施形態に係る死角情報提供装置の動作に対し、死角画像データを受信する動作のみが異なる。死角情報提供装置202の、死角画像データの受信動作を、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、死角情報提供装置202の制御部20は、画像処理部21において、全方位カメラ10によって撮像された動画である全方位画像に対して画像処理を行う。(ステップS211)。
次に、制御部20は、画像処理部21において、全方位画像内に存在する光通信用の近赤外光に載せられた死角画像データを受信する。死角画像データは表示制御部24へ送られる(ステップS212)。
次に、死角情報提供装置202は、表示制御部24において、受信した死角画像データを死角情報として表示部50に表示する(ステップS213)。
上述のように、本実施形態に係る死角情報提供装置202は、光信号を全方位カメラ10の撮像素子によって受信することで、死角画像データを受信する。このため、第1及び第2の実施形態に係る死角情報提供装置に対し、本実施形態に係る死角情報提供装置202は、より簡易な装置構成で他車両に対して自車両が生成する死角内の状況を他車両に知らせることが可能となる。
死角情報提供装置の構成図である。 死角情報提供装置が使用される状況を説明する図である。 死角情報提供装置の動作手順を示したフローチャートである。 死角情報提供装置の動作手順を示したフローチャートである。 死角領域の決定方法についての説明図である。 死角情報提供装置が使用される状況を説明する図である。 死角情報提供装置が使用される状況を説明する図である。 死角領域の決定方法についての説明図である。 死角情報提供装置の構成図である。 死角情報提供装置の動作手順を示したフローチャートである。
符号の説明
1 車両、 2 死角情報提供装置、 10 全方位カメラ、 11 凸型ミラー、 12 撮像装置、 20 制御部、 21 画像処理部、 22 演算部、 23 通信制御部、 24 表示制御部、 30 送信装置、 31 光源装置、 40 受信装置、 50 表示部

Claims (6)

  1. 自車両の周辺情報を取得する周辺情報取得手段と、
    前記周辺情報に基づいて前記自車両周辺の移動物体の位置を検出する移動物体位置検出手段と、
    前記自車両と前記移動物体の位置に基づいて前記移動物体に対して前記自車両が生成する死角領域を算出する死角領域算出手段と、
    前記死角領域内の前記周辺情報を前記移動物体に送信する送信手段とを有することを特徴とする死角情報提供装置。
  2. 前記周辺情報を受信する受信手段と、
    前記周辺情報を出力する出力手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の死角情報提供装置。
  3. 前記死角領域算出手段は、前記移動物体の位置から見た場合における前記自車両の見かけ上の幅を算出し、前記移動物体の位置と前記自車両の見かけ上の幅とから前記死角領域を算出することを特徴とする請求項1に記載の死角情報提供装置。
  4. 前記死角領域算出手段は、さらに前記自車両から見た場合における前記移動物体の見かけ上の幅を算出し、前記移動物体の位置と前記自車両の見かけ上の幅と前記移動物体の見かけ上の幅とから前記死角領域を算出することを特徴とする請求項3に記載の死角情報提供装置。
  5. 前記周辺情報取得手段は撮像装置であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の死角情報提供装置。
  6. 前記撮像装置は全方位カメラであることを特徴とする請求項5に記載の死角情報提供装置。
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