JP2007139510A - 微細構造を有する試料支持体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生体分子、DNA等を高集積度で配列し、透過電子顕微鏡を用いて観察、解析できる高集積度バイオチップ用試料支持体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の試料支持体は、導電性薄膜10と、貴金属元素を含む複数の微小構造体12であって、導電性薄膜10中にそれぞれ一部が埋め込まれるように導電性薄膜10に設けられた複数の微小構造体12とを備えている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の試料支持体は、導電性薄膜10と、貴金属元素を含む複数の微小構造体12であって、導電性薄膜10中にそれぞれ一部が埋め込まれるように導電性薄膜10に設けられた複数の微小構造体12とを備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は透過電子顕微鏡で試料を観察するための試料支持体に関し、特にDNA、たんぱく質、糖鎖などの生体分子や、細胞などを支持するための支持体およびその製造方法に関する。
近年、生体分子の選択的な反応性を利用し、特定の生体分子や化学物質を検出するためのバイオチップが開発されてきている。バイオチップは、基板上に固定された生体分子や細胞(プローブ)を含み、固定された生体分子と検出したい生体分子や化学物質(ターゲット)とを接触させ、生じた特異的な相互作用を検出する。たとえば、基板上に核酸を高密度配列して固定し、ハイブリダイゼーションにより相補的な配列の存在を検出するDNAチップ(DNAマイクロアレイ)、たんぱく質を固定し、固定させたたんぱく質と相互作用を有するたんぱく質を検出するたんぱく質チップ(プロテインチップ)、糖鎖チップ、細胞チップなどが知られている。
バイオチップにおける相互作用の検出方法としては、検出したい生体分子や化学物質を蛍光標識し、相互作用によるスポット発光の有無を分光学的に検出する方法(蛍光検出方式)が主流である。しかし、分光学的な検出方法によれば、分解能が光の波長により制限されるため、バイオチップの基板上に固定すべき生体分子の集積密度はサブミクロンオーダー程度が限界となる。
分光学的検出方法を用いたバイオ分野における他の利用としては、遺伝子構造の解析が広く知られている。生物の遺伝子構造を解析するために、DNAの塩基配列を決定する必要があり、このために、サンガー法またはデオキシ法と呼ばれる方法を用いたDNAシーケンサーが今日広く用いられている。
この方法によれば、比較的短いDNA断片(800塩基程度)をクローニングの過程において蛍光物質などで標識し、電気泳動によってDNA断片の塩基配列情報を得る。得られたDNA断片の塩基配列を大型計算機などを用い、配列情報を再構成することにより遺伝子全体の塩基配列を決定することができる。
しかし、この方法では、クローニングなどの高価な前処理が必要である。また、理論的に低速であり、移動相に対する保持時間という一次元の情報しか得られない電気泳動法を利用しなければならない。したがって、比較的コストがかさみ、また、処理速度が遅いという問題がある。処理速度を向上させるために、今日のDNAシーケンサーでは、電気泳動を多数並列しておこなうように工夫がなされているが処理速度の向上には限界がある。このため、たとえば、ヒトの遺伝子を解析するのには、何百台のDNAシーケンサーを用いても一年以上を要する。
こうしたDNA塩基配列の決定に要する時間を短縮する技術として、特許文献1〜3は、透過電子顕微鏡の一種である電子位相差顕微鏡を用い、重元素でラベルしたDNAの分子を直接識別することにより、塩基配列を決定する方法を提案している。この方法は、DNAを一本鎖に融解し、支持膜上に固定した後、重元素で標識された識別子を用いて、DNAを染色する。その後、標識化されたDNAを電子位相差顕微鏡で撮像することにより、重元素の配列が確認可能な拡大画像を得ることができる。この画像を解析することによって、重元素の種類と配列情報を得ることができる。重元素は種類に応じて選択的に塩基と結合しているので、塩基の配列情報が決定できる。すべての断片の配列情報を再構成することによって、DNA全体の塩基配列を決定することができる。
この方法によれば、識別子に用いられる重元素を一原子ずつ電子位相差顕微鏡により直接観察あるいは特定することができる。このため、DNAの断片が1つあれば、その断片の塩基配列を決定でき、クローニングは不要となる。また、画像処理を用いることによって、DNA断片が2次元に配置されていても各断片の重元素の配列を解析することが可能となる。
したがって、この方法によれば、従来の方法に比べて、塩基配列決定に要するエネルギや費用も少なくてすみ、また、短い時間で大量の塩基配列を決定することができると考えられる。試算によれば、この方法が実用化された場合、一日に10億個の塩基の配列を決定できると推定される。この速度は従来の方法の約1000倍である。また、ヒト一人のDNAを解析するのに要する費用は300万円程度であり、現在の1000分の1程度で済むと推定されている。
特開2002−153271号公報
米国特許出願公開第2002/0086317号明細書
米国特許出願公開第2004/0038261号明細書
バイオチップにおいても、上述したDNAの解析方法を用い、ターゲットとなる特定の生体分子や化学物質を透過電子顕微鏡により直接観察できれば、基板上のプローブの集積密度を高めることが可能であると考えられる。現在最も高い形態分解能を有する分析方法は透過型電子顕微鏡であり、0.05nmの分解能があると報告されている。このため、この透過電子顕微鏡を用いて、バイオチップ上のプローブ生体分子に選択的に反応した生体分子や化学物質を直接観察することができれば、1つのバイオチップによって固定される生体分子や化学物質の集積密度は格段に向上し、極微量の試料でも観察できることが期待される。また、短時間で大量あるいは多種の生体分子や化学物質を検出することのできるバイオチップが実現すると考えられる。
従来、透過電子顕微鏡を用いてウイルス粒子やたんぱく質の形状を観察することが行われている。このためにウイルス粒子やたんぱく質を導電性支持膜上に保持し、ウイルス粒子やたんぱく質の表面に金属膜を形成することが知られている。しかし、短時間で大量の生体分子や化学物質を検出することのできるバイオチップを実現するためには、従来よりも高い集積密度で生体分子などを基板上に固定する必要がある。
本発明はこのような課題を解決し、バイオチップなどにおいて、高い集積密度で生体分子を配列するための試料支持体およびその製造方法を提供することを目的とする。また、透過電子顕微鏡を用いてDNAの塩基配列を決定するために、DNAを支持するための試料支持体およびその製造方法を提供することも目的とする。
本発明の試料支持体は、導電性薄膜と、貴金属元素を含む複数の微小構造体であって、前記導電性薄膜中にそれぞれ一部が埋め込まれるように前記導電性薄膜に設けられた複数の微小構造体とを備えている。
ある好ましい実施形態において、前記複数の微小構造体の前記導電性薄膜の主面からの高さは10nm以下である。
ある好ましい実施形態において、前記微小構造体は、少なくとも2nmの深さで前記導電性薄膜の主面から埋め込まれている。
ある好ましい実施形態において、前記導電性薄膜は、炭素またはベリリウムからなる。
ある好ましい実施形態において、前記複数の微小構造体は金、銀、白金族元素、または、これらを主成分とする合金からなる。
ある好ましい実施形態において、前記複数の微小構造体のそれぞれは前記導電性薄膜の主面上においてストライプ形状を有している。
ある好ましい実施形態において、前記複数の微小構造体のストライプ形状は前記導電性薄膜の主面上において第1の方向に伸びており、前記複数の微小構造体は、前記第1の方向と直交する第2の方向に所定のピッチで配置されている。
ある好ましい実施形態において、各微小構造体のストライプ形状の前記第2の方向に沿った幅は20nm以上200nm以下であり、前記第2の方向におけるピッチは0.5μm以上10μm以下である。
ある好ましい実施形態において、前記複数の微小構造体は前記導電性薄膜の主面上において点形状を有している。
ある好ましい実施形態において、前記複数の微小構造体は前記導電性薄膜の主面上において概ね円形状または多角形形状を有している。
ある好ましい実施形態において、各微小構造体の前記導電性薄膜の主面上における最大外形は20nm以上200nm以下である。
ある好ましい実施形態において、前記複数の微小構造体は、前記導電性薄膜の主面上において第1の方向および前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って2次元状に配列されている。
ある好ましい実施形態において、前記複数の微小構造体は、前記第1の方向および第2の方向に沿って所定のピッチで配列されており、前記第1の方向のピッチは、50nm以上300nm以下であり、前記第2の方向のピッチは、0.5μm以上10μm以下である。
ある好ましい実施形態において、前記導電性薄膜の厚さは、20nm以下である。
ある好ましい実施形態において、前記導電性薄膜は、矩形形状を有し、前記矩形の一辺は5mm以下である。
ある好ましい実施形態において、試料支持体は、貫通孔を有し、前記導電性薄膜を支持するグリッドをさらに備える。
ある好ましい実施形態において、前記グリッドは銅または銀からなる。
ある好ましい実施形態において、前記グリッドの貫通孔内または貫通孔上に前記複数の微小構造体が位置するよう前記導電性薄膜と前記グリッドとは位置合わせされている。
ある好ましい実施形態において、前記導電性薄膜の前記複数の微小構造体が形成された主面の平坦度は±100μm以下である。
本発明の試料支持体の製造方法は、支持基板上に複数の開口部を有するマスクパターンを形成する工程(A)と、各開口部内の前記支持基板上に貴金属を含む物質を設ける工程(B)と、前記マスクパターンを除去することにより、前記貴金属を含む物質からなる複数の微小構造体が設けられた支持基板を得る工程(C)と、前記支持基板上の前記複数の微小構造体を覆うように導電性薄膜を形成する工程(D)と、前記導電性薄膜を前記支持基板から剥離する工程(E)とを包含する。
ある好ましい実施形態において、試料支持体の製造方法は、前記工程(E)の後に、貫通孔を有するグリッドを用いて前記導電性薄膜を支持する工程(F)をさらに包含する。
ある好ましい実施形態において、試料支持体の製造方法は、前記工程(C)と工程(D)との間に、前記支持基板上の複数の微小構造体を囲むように前記支持基板上にグリッドを形成する工程(G)をさらに包含し、前記工程(D)において、前記支持基板上の複数の微小構造体およびグリッドを覆うように導電性薄膜を形成する。
ある好ましい実施形態において、前記工程(G)はめっき法または無電解めっき法により銀からなるグリッドを形成する。
ある好ましい実施形態において、前記マスクパターンの各開口部は、ストライプ形状またはドット形状を有する。
ある好ましい実施形態において、前記工程(B)は、置換めっきまたは無電解めっきにより、前記貴金属を含む物質を設ける。
ある好ましい実施形態において、前記工程(B)は、前記マスクパターンをマスクとして、蒸着法により、前記マスクパターン上および前記開口部内の前記支持基板上に前記貴金属を含む物質からなる膜を形成する。
ある好ましい実施形態において、試料支持体の製造方法は、前記工程(C)と(D)との間において、前記微小構造体を加熱する工程(H)をさらに包含する。
ある好ましい実施形態において、前記工程(A)は、レジスト膜を前記支持基板上に形成する工程と、前記レジスト膜に電子線を照射することにより前記レジスト膜を露光する工程と、前記レジスト膜を現像する工程とを含む。
ある好ましい実施形態において、前記工程(A)は、ナノインプリント法により前記マスクパターンを形成する。
ある好ましい実施形態において、前記支持基板は、シリコン基板と、前記シリコン基板表面に形成されたニッケル、銅、亜鉛、スズおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1つからなる金属膜とを含む。
ある好ましい実施形態において、前記工程(E)は、前記金属膜を除去することにより、前記導電性薄膜を前記支持基板から剥離する。
本発明によれば、チオール化された末端を持つ生体分子、DNA断片などの一端を結合により固定する微小構造体を導電性薄膜に有するため、導電性薄膜上に生体分子、DNA断片などを配列させて支持することが可能となる。これにより、透過電子顕微鏡を用いてプローブとして機能する生体分子が高い集積度で配置されたバイオチップを実現したり、DNAの塩基配列を高速で決定したりすることができる。また、微小構造体の少なくとも一部は導電性薄膜に埋め込まれているため、微小構造体が導電性薄膜から脱離するのを防ぐことがきる。
以下、本発明による試料支持体の実施形態を説明する。本実施形態では、透過電子顕微鏡を用いてDNAの塩基配列を決定ためのDNA支持膜として本発明を説明するが、本発明の試料支持体は、バイオチップのプローブとして機能する生体高分子を固定するための支持体としても好適に用いられる。また、DNAなどの生体分子や細胞を支持し、観察あるいは分析するための支持膜として広く一般的に用いることができる。
図1(a)は、は本発明による試料支持体51の模式的な斜視図であり、図1(b)および(c)は、試料支持体51の一部を拡大して示す平面図および断面図である。これらの図に示すように、試料支持体51は、導電性薄膜10と複数の微小構造体12とを備えている。
導電性薄膜10上にDNAを支持し、透過電子顕微鏡で観察をするためには、DNAがチャージアップしないよう導電性薄膜10は導電性を有していることが好ましい。また、導電性薄膜10の結晶構造により電子線が回折し、DNAの観察に悪影響が生じないよう、導電性薄膜10は結晶構造を備えていないほうが好ましい。具体的には、導電性薄膜10はアモルファス構造または非結晶性構造を有していることが好ましい。さらに、導電性薄膜10を透過した電子線の減衰が大きくならないように導電性薄膜10は原子番号の小さな元素で構成されていることが好ましい。このような条件を満たす物質として、導電性薄膜10は、炭素あるいはベリリウムからなる薄膜であることが好ましい。炭素からなる導電性薄膜としては、グラファイト膜、導電性が付与されたDLC膜などの炭素薄膜を用いることができる。ベリリウムを用いる場合にはその毒性に注意をする必要がある。取り扱いおよび形成が容易であるという観点を考慮すると、炭素薄膜を導電性薄膜10に用いることがより好ましい。
複数の微小構造体12は、導電性薄膜10のひとつの主面10aに形成されており、DNAの一端を導電性薄膜10上において固定するためのアンカーとして機能する。具体的には、DNAの一部をチオール化し、DNAのチオールを微小構造体12に結合させる。これにより、主面10a上の所定の位置にDNAを固定し、支持することができる。つまり、導電性薄膜10上においてDNAを配列させて支持することができる。チオールは金属表面に結合しやすいため、微小構造体12は金属を含むことが好ましい。以下において詳細に説明するように、水溶液中に浮遊しているDNA断片を微小構造体12に結合させて導電性支持膜10に支持させるため、微小構造体12の表面は水溶液中においても酸化膜等が形成されず活性を維持し得ることが好ましい。このためには微小構造体12は貴金属元素を含むことが好ましく、金、銀、白金族元素、または、これらを主成分とする合金からなることがより好ましい。ここで、白金族元素とはルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金を言う。
また、複数の微小構造体12のそれぞれに1つのDNA断片が結合するよう、微小構造体12は、導電性薄膜10の主面10aにおいて微細な点形状を有していることが好ましい。具体的には、微小構造体12は導電性薄膜10の主面10a上において概ね円形状または多角形形状を有している。図1(b)に示すように、主面10a上における最大外形L3は20nm以上200nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。200nmよりも最大外形が大きくなると複数のDNA断片が1つの微小構造体12に結合しやすくなる。その結果、結合した複数のDNAが重なって導電性薄膜10上に支持され、透過電子顕微鏡による観察によってそれぞれの塩基配列の決定が困難となる場合がある。
本発明の試料支持体51は、多数のDNA断片を配列させて支持し、DNAを重元素で標識した後、重元素の配列を透過電子顕微鏡で二次元的に撮像するために用いられる。このためには、試料支持体51は多数のDNA断片を配列させて支持できることが好ましく、微小構造体12は、好ましいDNAの配置に対応した位置に配列されていることが好ましい。具体的には図1(a)に示すように、破線で示すDNA30をx方向に沿って伸びるように支持する場合、複数の微小構造体12をx方向およびx方向と垂直なy方向へそれぞれ所定のピッチP2およびP1で導電性薄膜10上に配置することが好ましい。ここでピッチとは微小構造体12のピッチを規定する方向における中心間距離をいう。ピッチP1は50nm以上300nm以下であることが好ましく、ピッチP2は0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。
ピッチP1が50nmより小さい場合、隣接するDNAと接触しやすくなったり、透過電子顕微鏡による解析の精度が低下したりする。ピッチP2は、支持するDNA断片の長さに依存する。各DNA断片は長いほど、一度に決定できる塩基配列を長くできるので好ましい。しかし、あまり長くなるとDNAを伸長させて試料支持体51に支持するのが困難となる。上述の範囲にピッチP2がある場合、1500から30000程度の塩基を含むDNAを支持できる。前述したように、サンガー法によれば一度に配列を決定できるDNAの長さは800塩基程度である。したがって、本発明の試料支持体を用いれば、一度に配列を決定できるDNAを長くすることができ、DNA断片の塩基配列情報からDNA全体の塩基配列を決定する際に必要な演算を大幅に減らすことが可能となる。
図1(c)に示すように、微小構造体12は少なくともその一部が導電性薄膜10内に埋め込まれていることが好ましい。特に導電性薄膜10が炭素からなる場合、炭素と微小構造体12を構成する貴金属とは結合が弱いため、導電性薄膜10上に微小構造体12が形成されているだけでは微小構造体12が導電性薄膜10から脱離し易いからである。また、微小構造体12が小さくなると、熱などによるマイグレーションも生じ得る。十分な強度で微小構造体12が導電性薄膜10に保持されるために、微小構造体12が導電性薄膜10の主面10aから埋め込まれる深さD1は、少なくとも2nm以上であることが好ましく、5nm以上埋め込まれていることがより好ましい。
また、微小構造体12は、導電性薄膜10の主面10aからできるだけ突出していないほうが好ましい。具体的には、微小構造体12の上面12aと導電性薄膜10の主面10aとの距離である高さH1は、10nm以下であることが好ましい。図2に示すように、微小構造体12が導電性薄膜10の主面10aから大きく突出している場合、微小構造体12に端部30eで結合したDNA30は、その一部30nが導電性薄膜10から突出するように配置されてしまう。この場合、DNA30の一部30nではDNAを標識した重原子が重なって透過電子顕微鏡に観測されてしまい、正しく塩基配列を決定できない可能性がある。同様の理由から、図3に示すように、支持したDNA30を正しく観測するために、導電性薄膜10の主面10aの1mm四方における平坦度R1が±100μm以下であることが好ましい。
導電性薄膜10の形状およびサイズは、DNAの観察に用いる透過電子顕微鏡の試料室内に導入が可能であり、試料を支持するステージに保持可能な大きさであれば特に制限はない。しかし、上述したピッチで微小構造体12を形成し、透過電子顕微鏡により効率的に観察を行うために、図1(a)に示すように導電性薄膜10は矩形を有しており、二辺の長さL1およびL2はそれぞれ5mm以下であることが好ましい。より好ましくは、長さL1およびL2は1mm程度である。また、図1(c)に示すように、導電性薄膜10の厚さT1は、5nm以上20nm以下であることが好ましい。5nmより導電性薄膜10が薄いと、DNAを支持して取り扱うのに十分な強度が得られない可能性がある。また、20nmよりも導電性薄膜10が厚いと、透過電子顕微鏡による観察の際電子線が導電性薄膜10によって減衰し、十分な精度で観察を行えない可能性がある。
上述のサイズを有する試料支持体51を用いる場合、長さ10μmのDNA断片を30万個程度1つの試料支持体51に配列させて支持することが可能である。これにより、90億個程度塩基配列を決定することが可能である。
試料支持体51は、実用的な観点から透過電子顕微鏡の観察に一般的に用いられるグリッドをさらに備え、グリッドにより導電性薄膜10を支持することが好ましい。図4は、導電性薄膜10の主面10aを表側とした場合に裏面となる主面10b側から導電性薄膜10を支持するグリッド14をさらに備えた試料支持体51の一部を模式的に示している。グリッド14は貫通孔14hを有し、導電性薄膜10に設けられた微小構造体12が貫通孔14h上または貫通孔14h内に位置するよう、グリッド14と導電性薄膜10とが位置合わせされていることが好ましい。グリッド14の部分は透過電子顕微鏡により観測ができないためである。グリッド14は、導電性薄膜10の微小構造体12が設けられた主面10aと接するように導電性薄膜10を支持してもよい。また、グリッド14は、透過電子顕微鏡に用いられる一般的なもの以外に、試料支持体51の作製時にめっきあるいは無電解めっきなどによって同時に形成してもよい。
これまで説明した試料支持体51は点状の微小構造体12を備えていたが、微小構造体は他の形状を有していてもよい。図5(a)および(b)はストライプ状の微小構造体20を有する試料支持体52を模式的に示している。試料支持体52は導電性薄膜10および貴金属元素またはその合金を含む複数の微小構造体20を備えている。各微小構造体20は、導電性薄膜10の主面10a上においてy方向に伸びるストライプ形状を有している。図5(b)に示すように各微小構造体20のx方向の幅L4は20nm以上200nm以下であることが好ましい。また、複数の微小構造体20はx方向にピッチP3で配列されており、ピッチP3は0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。
試料支持体52を用いてDNAを支持する場合、図5(a)に示すようにDNA30はx方向に伸びるようにDNAの一端が微小構造体20に結合され、導電性薄膜10上に支持される。y方向には微小構造体20が連続しているため、DNA30のy方向における配列を制御するためには、DNA30の一端を微小構造体20に結合させる際に溶液中のDNA30の濃度などを調節する。試料支持体52においても微小構造体20は導電性薄膜10にその一部が埋め込まれていることが好ましく、また、微小構造体20は導電性薄膜10の主面10aからあまり突出していないことが好ましい。
このような構造を有する試料支持体51または52によれば、チオール化された末端を持つDNA断片の一端を結合により固定する微小構造体を導電性薄膜に有するため、導電性薄膜上にDNA断片を配列させて支持することが可能となる。微小構造体の少なくとも一部は導電性薄膜に埋め込まれているため、微小構造体の外形が小さく、微小構造体を構成する原子と導電性薄膜を構成する原子との間の結合が弱くても微小構造体が導電性薄膜から脱離することがない。また、微小構造体を導電性薄膜の主面からあまり突出しないようにすることによって、DNAを透過電子顕微鏡により正しく観察し易いように導電性薄膜上に支持することができる。
次に、図6から図10を参照しながら本発明による試料支持体の製造方法を説明する。まず図6(a)に示すように支持基板100を用意する。支持基板100は平滑な表面を備えており、微小構造体が埋め込まれた導電性薄膜を剥離するのに容易であればどのような基板を用いてもよい。本実施形態ではこれらの特徴を備えており、入手が容易であるという理由で支持基板100として2インチのSiウエハを用いる。次に、用意した支持基板100を洗浄する。洗浄にはシリコン半導体プロセスにおいて用いられる脱脂および洗浄工程を用いることができる。具体的には、160度に加熱した王水(硝酸:塩酸=1:3)に支持基板100を10分間浸す。その後、純水をオーバーフローさせながら支持基板100を10分間洗浄する。
次に160度に加熱したアンモニア過酸化水素水(水酸化アンモニウム:過酸化水素水:水=1:1:6)に支持基板100を10分間浸す。さらに160度に加熱した塩酸過酸化水素水(塩酸:過酸化水素水:水=1:1:6)に支持基板100を10分間浸す。その後、純水をオーバーフローさせながら支持基板100を10分間洗浄する。希フッ酸(フッ酸:水=1:50)に支持基板100を30秒間浸した後、純水をオーバーフローさせながら支持基板100を5分間洗浄する。その後、スピナーを用いて支持基板をスピン乾燥させる。
図6(b)に示すように、支持基板100上に厚さ10nmの金属膜104を形成する。金属膜104の形成には、スパッタリング装置、電子ビーム加熱蒸着装置、抵抗加熱蒸着装置、MBE装置など種々の蒸着装置を用いることができる。金属膜104は支持基板100と支持基板100上に形成する試料支持体との剥離を容易にするために形成されている。したがって、金属膜104が形成された支持基板を用いてもよいし、剥離が容易であれば金属膜104は形成しなくてもよい。好ましくは、硫酸や塩酸などの強酸に金属膜104を溶解させることによって、支持基板100から試料支持体を剥離する。このために、金属膜104としてニッケル、亜鉛、スズ、アルミニウムなど酸に容易に溶解する金属を用いることが好ましい。
次に図6(c)に示すように、支持基板100の金属膜104上にフォトレジスト106を形成する。支持基板100をアセトンおよびメタノールで洗浄し、支持基板100を180℃で20分間保持した後、プライマーを塗布する。ベーク後、レジスト(日本ゼオン:ZEP520A−7)をスピンコートし、プリベークを行う。
図7(a)に示すように、所定の開口部パターンとなるように電子線108をフォトレジスト106に照射し、露光を行う。露光にはEB描画装置(日本電子:JBX-5SG)を用いる。その後キシレンを用いて現像を行い、溶剤でリンス後、ポストベークを行う。これにより、図7(b)に示すようにフォトレジスト106に開口部110が形成される。さらに酸素アッシャーを用いてレジスト残渣を除去することによって、開口部110を有するマスクパターン106’が得られる。なお、本実施形態では、電子線描画法を用いた露光によってマスクパターン106’を形成しているが、マスクパターン106’は公知のナノインプリント技術を用いて形成してもよい。微小構造体を形成するための開口部110のパターンは単純であるため、ナノインプリント技術を好適に用いることができる。
図7(d)に示すように、マスクパターン106’の開口部110内において露出している金属膜104上にニッケル112を無電解めっきによって形成する(メルテック社:NI−867)。さらに図8(a)に示すように、開口部110内に金114が堆積するように、置換金メッキ浴に支持基板100を浸し、置換めっき(化学めっき)を行う(メルテック社:AU−7620)。これにより、開口部110内のニッケル112が溶出し、金114が開口部110内の金属膜104上に析出する。置換めっきは微細なパターンを制御よく形成することができるため、開口部110のサイズが小さい本発明に好適に用いられる。その後マスクパターン106’をUV-オゾンクリーナで溶剤に溶解しやすくなるよう処理し、溶剤にて残渣を完全に除去することにより、図8(c)に示すように、金属膜104上に所定のパターンを有する金が形成される。
なお本実施形態では、開口部110内にまずニッケルを無電解めっきによって形成し、その後、置換金メッキにより堆積したニッケルを溶解させながら金114を開口部110内において堆積していた。しかし、無電解金メッキなどによって、開口部110内の金属膜104上に金を直接形成してもよい。また、図8(b)に示すように蒸着法などによって開口部110内の金属膜104上およびマスクパターン106’上に金からなる膜116を蒸着法などによって形成し、リフト法によってマスクパターン106’およびマスクパターン106’上に堆積した金からなる膜の一部を除去することにより図8(c)に示すように所定のパターンを有する金114を金属膜104上に形成してもよい。
図8(d)に示すように、その後、好ましくは、支持基板100を500℃程度の温度で10分間加熱することによって、金属膜104上の金114を溶解および凝固させる。めっきによって形成された金の密度は低いことがあるが、加熱をおこなうことによって、密度の高い金を得ることができる。これにより、図8(d)に示すように金からなる微小構造体114’が形成される。
図9(a)に示すように、次に、導電性薄膜118を形成する。導電性薄膜118は炭素からなり、微小構造体114’を覆うように形成される。導電性薄膜118を形成には炭素をターゲットとしてスパッタリング法に形成することができる。本実施形態では導電性薄膜118の厚さは10nmである。
次に、支持基板100を0.5N塩酸水に約4時間浸す。これにより、金属膜104が0.5N塩酸水に溶解し、図9(b)に示すように導電性薄膜118が支持基板100から遊離する。0.5N塩酸水を水で希釈しながら塩酸水を水に置換し、その後純水で洗浄する。図9(c)に示すように、遊離した導電性薄膜118の空気に接している側の面から透過電子顕微鏡用のグリッド120を静かに押し当てて、微小構造体114’が形成された面から導電性薄膜118をすくい上げる。このとき、グリッド120の貫通孔122に微小構造体114’位置するようにグリッド120を導電性薄膜118を位置合わせすることが好ましい。これにより、グリッド120に支持された導電性薄膜118を備えた試料支持体が完成する。
グリッドも一体的に形成する場合には微小構造体114’の形成後(図8(d))、以下の工程を行う。図9(d)に示すように、微小構造体114’を覆うようにレジストパターン122を金属膜104上に形成する。金属膜104の表面が露出している部分にはグリッドが形成される。次に図10(a)に示すように、金属膜104の表面が露出している部分に銅または銀メッキを施し、グリッド124を形成する。グリッド124は以下の工程におい硫酸水を使用するため硫酸水に溶解しにくい導電性材料から形成されることが好ましい。金もこのような条件に適した材料であるが、金を用いた場合、微小構造体114’と同程度に生体分子のチオール末端に対して活性を有する。このため、完成した試料支持体に生体分子を支持させる際、グリッドにも生体分子のチオールが結合する可能性がある。したがって、酸に溶解しにくく、金に比べて酸化膜が形成しやすい銅または銀を用いてグリッドを形成することが好ましい。
図10(b)に示すように、レジスト122を除去することによって微小構造体114’をグリッド124の貫通孔126内において露出させる。次に導電性薄膜128を形成する。導電性薄膜128は炭素からなり、微小構造体114’およびグリッド124を覆うように形成される。導電性薄膜128を形成するには炭素をターゲットとしてスパッタリング法に形成することができる。その後図10(d)に示すように0.5N塩酸水に約4時間浸し、金属膜104を溶解する。0.5N塩酸水を水で希釈しながら塩酸水を水に置換し、その後純水で洗浄する。これにより、グリッド124に支持された導電性薄膜128が遊離する。導電性薄膜128を純水から引き上げることによって、グリッド124に支持された導電性薄膜128を備えた試料支持体が得られる。
図11は、上述の方法によって作製された試料支持体を走査電子顕微鏡で観察したSEM画像を示している。図11では、直径約100nmの円形を有する微小構造体が1μmピッチで炭素からなる導電性薄膜上に2次元に配置されている。微小構造体が導電性薄膜に埋め込まれており、微小構造体が脱離することなく規則的に配置されているのがわかる。
本発明は、生体分子を高集積度で透過電子顕微鏡により観察あるは分析するための支持体として好適に用いられる。
10、118、128 導電性薄膜
12、20、114’ 微小構造体
14、120、124 グリッド
30 生体分子
100 支持基板
104 金属膜
106 フォトレジスト
106’ マスクパターン
108 電子線
110 開口部
112 ニッケル
114 金
116 金膜
12、20、114’ 微小構造体
14、120、124 グリッド
30 生体分子
100 支持基板
104 金属膜
106 フォトレジスト
106’ マスクパターン
108 電子線
110 開口部
112 ニッケル
114 金
116 金膜
Claims (31)
- 導電性薄膜と、
貴金属元素を含む複数の微小構造体であって、前記導電性薄膜中にそれぞれ一部が埋め込まれるように前記導電性薄膜に設けられた複数の微小構造体と、
を備えた試料支持体。 - 前記複数の微小構造体の前記導電性薄膜の主面からの高さは10nm以下である請求項1に記載の試料支持体。
- 前記微小構造体は、少なくとも2nmの深さで前記導電性薄膜の主面から埋め込まれている請求項1または2に記載の試料支持体。
- 前記導電性薄膜は、炭素またはベリリウムからなる請求項1から3のいずれかに記載の試料支持体。
- 前記複数の微小構造体は金、銀、白金族元素、または、これらを主成分とする合金からなる請求項1から4のいずれかに記載の試料支持体。
- 前記複数の微小構造体のそれぞれは前記導電性薄膜の主面上においてストライプ形状を有している請求項1から5のいずれかに記載の試料支持体。
- 前記複数の微小構造体のストライプ形状は前記導電性薄膜の主面上において第1の方向に伸びており、前記複数の微小構造体は、前記第1の方向と直交する第2の方向に所定のピッチで配置されている請求項6に記載の試料支持体。
- 各微小構造体のストライプ形状の前記第2の方向に沿った幅は20nm以上200nm以下であり、前記第2の方向におけるピッチは0.5μm以上10μm以下である請求項7に記載の試料支持体。
- 前記複数の微小構造体は前記導電性薄膜の主面上において点形状を有している請求項1から5のいずれかに記載の試料支持体。
- 前記複数の微小構造体は前記導電性薄膜の主面上において概ね円形状または多角形形状を有している請求項9に記載の試料支持体。
- 各微小構造体の前記導電性薄膜の主面上における最大外形は20nm以上200nm以下である請求項10に記載の試料支持体。
- 前記複数の微小構造体は、前記導電性薄膜の主面上において第1の方向および前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って2次元状に配列されている請求項11に記載の試料支持体。
- 前記複数の微小構造体は、前記第1の方向および第2の方向に沿って所定のピッチで配列されており、前記第1の方向のピッチは、50nm以上300nm以下であり、前記第2の方向のピッチは、0.5μm以上10μm以下である請求項12に記載の試料支持体。
- 前記導電性薄膜の厚さは、20nm以下である請求項1から13のいずれかに記載の試料支持体。
- 前記導電性薄膜は、矩形形状を有し、前記矩形の一辺は5mm以下である請求項14に記載の試料支持体。
- 貫通孔を有し、前記導電性薄膜を支持するグリッドをさらに備える請求項1から15のいずれかに記載の試料支持体。
- 前記グリッドは銅または銀からなる請求項16に記載の試料支持体。
- 前記グリッドの貫通孔内または貫通孔上に前記複数の微小構造体が位置するよう前記導電性薄膜と前記グリッドとは位置合わせされている請求項17に記載の試料支持体。
- 前記導電性薄膜の前記複数の微小構造体が形成された主面の平坦度は±100μm以下である請求項1から18のいずれかに記載の試料支持体。
- 支持基板上に複数の開口部を有するマスクパターンを形成する工程(A)と
各開口部内の前記支持基板上に貴金属を含む物質を設ける工程(B)と、
前記マスクパターンを除去することにより、前記貴金属を含む物質からなる複数の微小構造体が設けられた支持基板を得る工程(C)と、
前記支持基板上の前記複数の微小構造体を覆うように導電性薄膜を形成する工程(D)と、
前記導電性薄膜を前記支持基板から剥離する工程(E)と、
を包含する試料支持体の製造方法。 - 前記工程(E)の後に、貫通孔を有するグリッドを用いて前記導電性薄膜を支持する工程(F)をさらに包含する請求項20に記載の試料支持体の製造方法。
- 前記工程(C)と工程(D)との間に、前記支持基板上の複数の微小構造体を囲むように前記支持基板上にグリッドを形成する工程(G)をさらに包含し、
前記工程(D)において、前記支持基板上の複数の微小構造体およびグリッドを覆うように導電性薄膜を形成する請求項20に記載の試料支持体の製造方法。 - 前記工程(G)において、めっき法または無電解めっき法により銀からなるグリッドを形成する請求項22に記載の試料支持体の製造方法。
- 前記マスクパターンの各開口部は、ストライプ形状またはドット形状を有する請求項20に記載の試料支持体の製造方法。
- 前記工程(B)において、置換めっきまたは無電解めっきにより、前記貴金属を含む物質を設ける請求項20に記載の試料支持体の製造方法。
- 前記工程(B)は、前記マスクパターンをマスクとして、蒸着法により、前記マスクパターン上および前記開口部内の前記支持基板上に前記貴金属を含む物質からなる膜を形成する請求項20に記載の試料支持体の製造方法。
- 前記工程(C)と(D)との間において、前記微小構造体を加熱する工程(H)をさらに包含する請求項20から25のいずれかに記載の試料支持体の製造方法。
- 前記工程(A)は、
レジスト膜を前記支持基板上に形成する工程と、
前記レジスト膜に電子線を照射することにより前記レジスト膜を露光する工程と、
前記レジスト膜を現像する工程と、
を含む請求項20に記載の試料支持体の製造方法。 - 前記工程(A)は、ナノインプリント法により前記マスクパターンを形成する請求項20に記載の試料支持体の製造方法。
- 前記支持基板は、シリコン基板と、前記シリコン基板表面に形成されたニッケル、銅、亜鉛、スズおよびアルミニウムから選ばれる少なくとも1つからなる金属膜とを含む請求項20に記載の試料支持体の製造方法。
- 前記工程(E)は、前記金属薄膜を除去することにより、前記導電性薄膜を前記支持基板から剥離する請求項30に記載の試料支持体の製造方法。
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JP7515579B2 (ja) | 2019-10-04 | 2024-07-12 | マイテジェン エルエルシー | クライオ電子顕微鏡法のための試料支持及び試料冷却システム |
-
2005
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