JP2007138733A - 回転式圧縮機 - Google Patents

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Takashi Shimizu
孝志 清水
Yoshitaka Shibamoto
祥孝 芝本
Kazuhiro Kosho
和宏 古庄
Ryuzo Sotojima
隆造 外島
Masanori Masuda
正典 増田
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Abstract

【課題】シリンダ又はピストンの一方が偏心回転体として偏心回転する回転式圧縮機において、偏心回転体の転覆を効果的に防止できるようにする。
【解決手段】圧縮機構(30)の可動側鏡板(41)の背面には、押し付け機構(60)の柱状ピストン(61)が設けられる。柱状ピストン(61)は、可動側鏡板(41)の背面に対して可動側鏡板(41)を固定側鏡板(33)側へ押し付ける軸方向押し付け力を作用させる。その結果、圧縮機構(30)内のガス力に起因して可動側鏡板(41)に作用する転覆モーメントは、押し付け機構(60)の押し付け力によって効果的にキャンセルされる。
【選択図】図8

Description

本発明は、回転式圧縮機に関し、特に、ピストンとシリンダとが相対的に偏心回転運動する圧縮機構についての転覆防止対策に係るものである。
従来より、同一平面上に複数のシリンダ室を有する回転式圧縮機として、ピストンとシリンダとが相対的に偏心回転して冷媒を圧縮する圧縮機が知られている。
例えば特許文献1には、図27及び図28に示すような圧縮機が開示されている。この圧縮機(100)は、密閉型のケーシング(110)内に、圧縮機構(120)と、該圧縮機構(120)を駆動する駆動機構としての電動機(図示省略)が収納されている。
上記圧縮機構(120)は、環状のシリンダ室(C1,C2)を有するシリンダ(121)と、このシリンダ室(C1,C2)に配置された環状のピストン(122)とを有している。上記シリンダ(121)は、固定側鏡板(121a)の前面側(下面側)に固定される外シリンダ部(124)及び内シリンダ部(125)とを備えている。外シリンダ部(124)と内シリンダ部(125)とは、互いに同心円上に配置され、両シリンダ部(124,125)の間に上記シリンダ室(C1,C2)が形成されている。
上記ピストン(122)は、駆動軸(133)の偏心部(133a)が係合される可動側鏡板(122a)の前面側(上面側)に固定されている。そして、上記駆動軸(133)がモータ(図示省略)によって回転されると、可動側鏡板(122a)及びピストン(122)は、駆動軸(133)の軸心を偏心回転中心として旋回する。つまり、ピストン(122)は、固定側となるシリンダ(121)に対して相対的に偏心回転運動を行う偏心回転体を構成する。このピストン(122)は、その外周面が外シリンダ部(124)の内周面と実質的に線接触し、その内周面が内シリンダ部(125)の外周面と実質的に線接触しながら、シリンダ(121)の中心に対して偏心回転する。
また、ピストン(122)の外側には外側ブレード(123A)が配置され、内側には外側ブレード(123A)の延長線上に内側ブレード(123B)が配置されている。上記外側ブレード(123A)は、外シリンダ部(124)に形成されたブレード溝に挿入されている。そして、この外側ブレード(123A)は、ピストン(122)の径方向内方に向かって付勢され、先端がピストン(122)の外周面に圧接している。一方、上記内側ブレード(123B)は、内シリンダ部(125)に形成されたブレード溝に挿入されている。そして、この内側ブレード(123B)は、ピストン(122)の径方向外側に向かって付勢され、先端がピストン(122)の内周面に圧接している。
以上のようにして、上記外側ブレード(123A)および内側ブレード(123B)は、外側シリンダ室(C1)および内側シリンダ室(C2)をそれぞれ高圧室(C1-Hp,C2-Hp)と低圧室(C1-Lp,C2-Lp)とに区画する。そして、この圧縮機(100)では、ピストン(122)の偏心回転運動に伴って、各シリンダ室(C1,C2)の各低圧室(C1-Lp,C2-Lp)で流体の吸入が行われると共に、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)で流体の圧縮が行われる。
ところで、このようにシリンダ(121)とピストン(122)とが相対的に偏心回転して、流体を圧縮する回転式圧縮機では、特に高圧室(C1-Hp,C2-Hp)の内圧の上昇に起因して、シリンダ(121)とピストン(122)とが軸方向に離反してしまう可能性がある。つまり、高圧室(C1-Hp,C2-Hp)で流体が圧縮されると、この流体の圧力は、高圧室(C1-Hp,C2-Hp)内に面する可動側鏡板(122a)に軸方向下向きのスラスト力を作用させるので、可動側鏡板(122a)はシリンダ(121)と離れる方向に押し付けられることになる。そして、このような流体のガス力に起因して、ピストン(122)の軸方向上端部と固定側鏡板(121a)の間や、シリンダ(121)の軸方向下端部と可動側鏡板(122a)の間の隙間が拡大されると、圧縮機構(120)の圧縮効率の低下を招く恐れがあった。また、このような軸方向のスラスト力が可動側鏡板(122a)の一部に局所的に作用すると、このスラスト力に起因して可動側鏡板(122a)を軸方向に対して傾かせるモーメント(いわゆる転覆モーメント)が発生してしまう。その結果、上記隙間が更に拡大し、圧縮効率の低下が顕著となってしまう恐れがあった。
特許文献1に開示されている圧縮機(100)では、このような軸方向のスラスト力に起因する圧縮機構(120)の圧縮効率の低下を回避するために、可動側鏡板(122a)を背面側から支持する支持板(117)と可動側鏡板(122a)の間に、シールリング(129)を介設している(図27参照)。このシールリング(129)の内側の空間は、高圧の流体が満たされており、この高圧流体の圧力が可動側鏡板(122a)の背面側に作用する。つまり、シールリング(129)の内側の高圧の流体は、ピストン側鏡板(126B)をシリンダ(121)側へ押し付けるための押し付け力をピストン側鏡板(126B)に作用させる。その結果、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)での流体の圧縮に起因する軸方向下向きのスラスト力は、シールリング(129)内の高圧流体の圧力によってキャンセルされるので、シリンダ(121)及びピストン(122)と各鏡板(121a,122b)との軸方向の隙間の拡大が抑えられる。
特開平6−288358号公報
ところで、特許文献1の圧縮機(100)では、シールリング(129)の内側に駆動軸(133)が貫通する状態となっており、駆動軸(133)の周りを囲むするようにシールリング(129)が配置されている。このため、シールリング(129)の位置は、駆動軸(133)によって規制されることとなり、シールリング(129)によって得られる軸方向の押し付け力の作用中心は、どうしても鏡板(122b)の背面における駆動軸(133)に近づいてしまう。一方、圧縮機構(120)による流体の圧縮に起因して生じる軸方向のスラスト力の作用中心は、高圧室(C1-Hp,C2-Hp)の位置、あるいは高圧室(C1-Hp,C2-Hp)で圧縮された流体の吐出口の位置に応じて、鏡板(122b)における外側寄りに作用することがある。従って、このような場合には、圧縮流体に起因して生じるスラスト力と、シールリング(129)によって得られる押し付け力とが、鏡板(122b)において径方向にずれてしまい、上述の転覆モーメントを低減することが困難となる。
本発明は、このような問題点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、シリンダ又はピストンの一方が偏心回転体として偏心回転する回転式圧縮機において、偏心回転体の転覆を効果的に防止できるようにすることである。
第1の発明は、シリンダ室(C)を形成するシリンダ(42)と、該シリンダ(42)に対して偏心した状態でシリンダ室(C)内に収納されるピストン(34)とを備えた圧縮機構(30)と、上記シリンダ(42)及びピストン(34)のいずれか一方で構成される偏心回転体(42,34)と連結する駆動軸(23)と、上記駆動軸(23)を回転させて上記シリンダ(42)及びピストン(34)を相対的に偏心回転させる駆動機構(20)とを備え、上記シリンダ(42)及びピストン(34)の軸方向基端部には、各々の前面がシリンダ室(C)を挟んで互いに向かい合うように鏡板(33,41)がそれぞれ形成され、上記圧縮機構(30)には、上記シリンダ室(C)を高圧室(C-Hp)と低圧室(C-Lp)とに区画するブレード(36)と、上記高圧室(C-Hp)で圧縮された流体を圧縮機構(30)の外部へ吐出させる吐出口(48)と、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)を固定側の鏡板(33)へ押し付けるための軸方向押し付け力を該偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)の背面に作用させる押し付け機構(60)とが設けられている回転式圧縮機を前提としている。そして、この回転式圧縮機は、上記押し付け機構(60)が、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)と当接しながら該鏡板(41)を押圧する一つ又は複数の押圧部材(61)を備えていることを特徴とするものである。
第1の発明では、シリンダ(42)とピストン(34)のうちの一方が偏心回転体となり、他方がケーシング等に固定される固定側となって、シリンダ(42)とピストン(34)とが相対的に偏心回転する。偏心回転体(42,34)には、該偏心回転体(42,34)と共に可動な鏡板(41)(可動側鏡板)が設けられ、固定側のピストン(34)又はシリンダ(42)には固定側の鏡板(33)(固定側鏡板)が設けられる。そして、両鏡板(33,41)の間に介在する空間には、シリンダ(42)によってシリンダ室(C)が形成される。このシリンダ室(C)は、ブレード(36)によって更に高圧室(C-Hp)と低圧室(C-Lp)とに区画される。
シリンダ(42)とピストン(34)とが相対的に偏心回転すると、シリンダ室(C)内の高圧室(C-Hp)と低圧室(C-Lp)の各容積が拡縮される。その結果、低圧室(C-Lp)に流体が吸入する一方、高圧室(C-Hp)で圧縮された流体が吐出口(48)より圧縮機構(30)の外部へ吐出される。
このような圧縮機構(30)の圧縮動作時には、高圧室(C-Hp)内のガス力に起因して、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)に軸方向のスラスト力が作用する。ここで、この圧縮機構(30)では、駆動軸(23)から高圧室(C-Hp)側へ偏心した箇所にスラスト力が作用し易いため、このスラスト力に起因して偏心回転体(42,34)が転覆してしまう恐れがある。
このような偏心回転体(42,34)の転覆を回避するべく、本発明では、可動側鏡板(41)の背面側に押し付け機構(60)を設けている。この押し付け機構(60)は、可動側鏡板(41)の背面側の所定箇所に配置される。そして、この押し付け機構(60)の押圧部材(61)は、可動側鏡板(41)の背面と当接しながら、可動側鏡板(41)を固定側鏡板(33)側へ押圧する。つまり、押圧部材(61)は、上記軸方向のスラスト力と反対向きの軸方向の押し付け力を可動側鏡板(41)に作用させる。
この押し付け機構(60)は、例えば図27に示した圧縮機(1)のシールリング(129)のように、その内側の高圧流体の圧力を利用して可動側鏡板(41)に押し付け力を作用させるものではなく、押圧部材(61)で可動側鏡板(41)を直接的に押圧して押し付け力を得ている。そして、従来例のシールリング(129)は、その内側に駆動軸(133)が貫通しているため、その配置箇所が駆動軸(133)に規制されるが、本発明の押し付け機構(60)は、駆動軸(133)によってその配置箇所が規制されることはない。つまり、本発明の押し付け機構(60)は、従来のものと比較して配置の自由度が高い。従って、上記スラスト力に起因する転覆モーメントを効果的に削減できる位置に、この押し付け機構(60)を配置し、転覆モーメントをキャンセルすることができる。
第2の発明は、第1の発明において、上記押圧部材(61)の軸方向押し付け力の作用中心が、駆動軸(23)の中心から上記吐出口(48)側へ偏心し、且つ上記偏心回転体(42,34)の偏心量を半径とする軌跡の外側に位置するように、押圧部材(61)が配置されていることを特徴とするものである。
第2の発明では、圧縮機構(30)のガス力に起因するスラスト力を効果的にキャンセルするために、押圧部材(61)の位置が決定される。ところで、この圧縮機構(30)内で生じるスラスト力は、可動側鏡板(41)の前面において、高圧室(C-Hp)と連通する吐出口(48)の近傍に作用し易くなる。また、このスラスト力は、偏心回転体(42,34)の偏心量を半径とする軌跡m(偏心回転体(42,43)の中心の旋回軌跡)の外側に作用し易くなる。
本発明では、上記スラスト力の作用中心と押圧部材(61)の押し付け力の作用中心とを径方向に一致させるように、押圧部材(61)の押し付け力の作用中心を吐出口(48)側に偏心させ、更に軌跡mの外側に位置させている。その結果、押し付け機構(60)で転覆モーメントが効果的にキャンセルされる。
第3の発明は、第1の発明において、上記押し付け機構(60)が複数の押圧部材(61,61)を備え、上記複数の押圧部材(61,61)は、押圧部材(61,61)毎の軸方向押し付け力の合力の作用中心が、駆動軸(23)の中心から上記吐出口(48)側へ偏心し、且つ上記偏心回転体(42,34)の偏心量を半径とする軌跡の外側に位置するように配置されていることを特徴とするものである。
第3の発明では、複数の押圧部材(61,61)が、可動側鏡板(41)へそれぞれ軸方向の押し付け力を作用させる。本発明では、各押圧部材(61,61)の押し付け力の合力の作用中心が、第2の発明と同様、吐出口(48)側に偏心し、且つ偏心回転体(42,34)の軌跡mの外側に位置する。その結果、複数の押圧部材(61,61)によって偏心回転体(42,34)に作用する転覆モーメントが効果的にキャンセルされる。
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1の発明において、上記押圧部材(61)には、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)の背面との当接部に、該鏡板(41)に対して摺動自在な摺動部材(65)が設けられていることを特徴とするものである。
第4の発明では、押圧部材(61)についての可動側鏡板(41)側の部位に摺動部材(65)が設けられる。このため、押圧部材(61)で可動側鏡板(41)を押圧する際、可動側鏡板(41)に生ずる摺動抵抗が摺動部材(65)によって緩和される。
第5の発明は、第1乃至第3のいずれか1の発明において、上記押圧部材(61)は、偏心回転体(42,34)の鏡板(41)側の外径軌道上を跨るように配置されていることを特徴とするものである。
第5の発明では、押圧部材(61)の少なくとも一部が可動側鏡板(41)に跨るように押し付け機構(60)が配置される。このように、押し付け機構(60)を配置すると、駆動軸(23)と押圧部材(61)との径方向の距離が遠くなるので、押し付け機構(60)によって発生する転覆防止モーメントが増大する。
第6の発明は、第1乃至第3のいずれか1の発明において、駆動軸(23)には、偏心回転体(42,34)との摺動部に潤滑油を供給するための給油路が形成され、上記偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)の背面側の空間を径方向の内外に分離するとともに、その内側を駆動軸(23)が貫通し、その外側に上記押圧部材(61)が位置するように配置される軸側シールリング(55)を備えていることを特徴とするものである。
第6の発明では、可動側鏡板(41)の背面側に、駆動軸(23)を囲むようにして軸側シールリング(55)が設けられる。この軸側シールリング(55)は、固定側鏡板(41)の背面側の空間を径方向の内外に分離する。このため、駆動軸(23)と偏心回転体(42,34)との摺接部に供給される潤滑油が、可動側鏡板(41)の背面側より圧縮機構(30)の低圧室(C-Lp)側へ流出してしまうことが上記軸側シールリング(55)によって抑止される。
第7の発明は、シリンダ室(C)を形成するシリンダ(42)と、該シリンダ(42)に対して偏心した状態でシリンダ室(C)内に収納されるピストン(34)とを備えた圧縮機構(30)と、上記シリンダ(42)及びピストン(34)のいずれか一方で構成される偏心回転体(42,34)と連結する駆動軸(23)と、上記駆動軸(23)を回転させて上記シリンダ(42)及びピストン(34)を相対的に偏心回転させる駆動機構(20)とを備え、上記シリンダ(42)及びピストン(34)の軸方向基端部には、各々の前面がシリンダ室(C)を挟んで互いに向かい合うように鏡板(33,41)がそれぞれ形成され、上記圧縮機構(30)には、上記シリンダ室(C)を高圧室(C-Hp)と低圧室(C-Lp)とに区画するブレード(36)と、上記高圧室(C-Hp)で圧縮された流体を圧縮機構(30)の外部へ吐出させる吐出口(48)と、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)を固定側の鏡板(33)へ押し付けるための軸方向押し付け力を該偏心回転体(42,34)の鏡板(41)の背面に作用させる押し付け機構(60)とが設けられている回転式圧縮機を前提としている。そして、この回転式圧縮機は、上記押し付け機構(60)が、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)の背面側の空間を径方向の内外に分離するとともに、その外側に駆動軸(23)が位置するように設けられる1つ又は複数のシールリング(57)を備え、上記シールリング(57)の内側には、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)に軸方向押し付け力を作用させるための高圧流体が導入されることを特徴とするものである。
第7の発明では、第1の発明と同様の前提となる回転式圧縮機において、偏心回転体(42,34)の転覆を回避するための押し付け機構(60)としてシールリング(57)が用いられる。このシールリング(57)は、その内側に高圧流体が導入されることで、可動側鏡板(41)の背面に軸方向の押し付け力を作用させる。ここで、本発明のシールリング(57)は、その内側に駆動軸(23)が貫通しないように、駆動軸(23)の外側に配置される。このため、従来例のシールリング(129)であれば、その内側に駆動軸(133)が貫通しているため、その配置箇所が駆動軸(133)に規制されるが、本発明のシールリング(57)は、駆動軸(133)によってその配置箇所が規制されることはない。従って、上記スラスト力に起因する転覆モーメントを効果的に削減できる位置に押し付け機構(60)を配置し、高圧流体に起因する押し付け力を可動側鏡板(41)に作用させることができる。
第8の発明は、第7の発明において、上記シールリング(57)の軸方向押し付け力の作用中心が、駆動軸(23)の中心から上記吐出口(48)側へ偏心し、且つ上記偏心回転体(42,34)の偏心量を半径とする軌跡の外側に位置するように該シールリング(57)が配置されていることを特徴とするものである。
第8の発明では、圧縮機構(30)のガス力に起因するスラスト力を効果的にキャンセルするために、シールリング(57)の位置が決定される。ところで、この圧縮機構(30)内で生じるスラスト力は、可動側鏡板(41)の前面において、高圧室(C-Hp)と連通する吐出口(48)の近傍に作用し易くなる。また、このスラスト力は、偏心回転体(42,34)の偏心量を半径とする軌跡m(偏心回転体(42,43)の中心の旋回軌跡)の外側に作用し易くなる。
本発明では、上記スラスト力の作用中心とシールリング(57)の押し付け力の作用中心とを径方向に一致させるように、シールリング(57)の押し付け力の作用中心を吐出口(48)側に偏心させ、更に軌跡mの外側に位置させている。その結果、本発明の押し付け機構(60)で転覆モーメントが効果的にキャンセルされる。
第9の発明は、第7の発明において、上記押し付け機構(60)が、複数のシールリング(57,57)で構成され、上記複数のシールリング(57,57)は、シールリング(57)毎の軸方向押し付け力の合力の作用中心が、駆動軸(23)の中心から上記吐出口(48)側へ偏心し、且つ上記偏心回転体(42,34)の偏心量を半径とする軌跡の外側に位置するように配置されていることを特徴とするものである。
第9の発明では、複数のシールリング(57,57)が、可動側鏡板(41)へそれぞれ軸方向の押し付け力を作用させる。本発明では、各押圧部材(57,57)の押し付け力の合力の作用中心が、第8の発明と同様、吐出口(48)側に偏心し、且つ偏心回転体(42,34)の軌跡mの外側に位置する。その結果、複数の押圧部材(57,57)によって偏心回転体(42,34)に作用する転覆モーメントが効果的にキャンセルされる。
第10の発明は、第7乃至第9のいずれか1の発明において、上記偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)の背面側の空間を径方向の内外に分離するとともに、その内側を駆動軸(23)が貫通し、その外側に上記シールリング(57)が位置するように配置される軸側シールリング(55)を備えていることを特徴とするものである。
第10の発明では、可動側鏡板(41)の背面側に、シールリング(57)とは別に駆動軸(23)を囲むようにして軸側シールリング(55)が設けられる。この軸側シールリング(55)は、固定側鏡板(41)の背面側の空間を径方向の内外に分離する。このため、駆動軸(23)と偏心回転体(42,34)との摺接部に供給される潤滑油が、可動側鏡板(41)の背面側より圧縮機構(30)の低圧室(C-Lp)側へ流出してしまうことが上記軸側シールリング(55)によって抑止される。
第11の発明は、可動スクロール(84)と固定スクロール(82)を有し、互いに歯合する可動スクロール(84)と固定スクロールの間に圧縮室(C)を形成する圧縮機構(30)と、可動スクロール(84)の鏡板(41)を固定スクロール(82)の鏡板(33)へ押し付けるための軸方向押し付け力を可動スクロール(84)の鏡板(41)の背面に作用させる押し付け機構(60)とが設けられている回転式圧縮機を前提としている。そして、この回転式圧縮機は、上記押し付け機構(60)が、可動スクロール(84)の鏡板(41)と当接しながら該鏡板(41)を押圧する一つ又は複数の押圧部材(61)を備えていることを特徴とするものである。
第11の発明は、上記第1の発明の押し付け機構(60)が、スクロール型の回転式圧縮機に適用される。従って、上記スラスト力に起因する可動スクロール(84)の転覆モーメントを効果的に削減できる位置に、この押し付け機構(60)を配置し、転覆モーメントをキャンセルすることができる。
第12の発明は、第11の発明において、上記押圧部材(61)には、可動スクロール(84)の鏡板(41)の背面との当接部に、該鏡板(41)に対して摺動自在な摺動部材(65)が設けられていることを特徴とするものである。
第12の発明では、可動スクロール(84)の鏡板(41)と押圧部材(61)の間に摺動部材(62)が設けられる。このため、押圧部材(61)で可動スクロール(84)の鏡板(41)を押圧する際、鏡板(41)に生ずる摺動抵抗が摺動部材(65)によって緩和される。
第13の発明は、第11又は第12の発明において、上記押圧部材(61)が、可動スクロール(84)の鏡板(41)の外径軌道上を跨るように配置されていることを特徴とするものである。
第13の発明では、押圧部材(61)が可動スクロール(84)の外側寄りに配置されることになるので、オルダムリング等の他の部材の干渉を受けることなく、押圧部材(61)で鏡板(41)に押し付け力を作用させることができる。
第14の発明は、第1乃至第13のいずれか1の発明において、上記押し付け機構(60)の軸方向押し付け力の大きさを、偏心回転体(42,34)の1回転中におけるシリンダ室(C)の内圧の変動に応じて変更する調節機構(63,66)を備えていることを特徴とするものである。
第14の発明では、偏心回転体(42,34)の一回転中におけるシリンダ室(C)の内圧変動に応じて、調節機構(63,66)が押し付け機構(60)の軸方向押し付け力の大きさを変更する。
ところで、偏心回転体(42,34)の偏心回転時には、高圧室(C-Hp)や低圧室(C-Lp)の容積や吐出口(48)からの流体の吐出のタイミングに応じてシリンダ室(C)の内圧が変動する。そして、このようにシリンダ室(C)の内圧が変動すると、この内圧に起因して可動側鏡板(41)に作用するスラスト力も偏心回転体(42,34)の一回転中で大きく変動することになる(例えば図6参照)。従って、押し付け機構(60)による押し付け力を一定とする場合、上記スラスト力よりも押し付け力が大幅に大きくなってしまったり、上記スラスト力に対して押し付け力が不足しまったりする可能性があり、スラスト力を効果的にキャンセルすることができなくなる。
そこで、本発明では、このようなスラスト力、即ちシリンダ室(C)の内圧の変動に合わせて、調節機構(63,66)が押し付け機構(60)の押し付け力の大きさを変動させる。その結果、偏心回転体(42,34)の一回転中で変動するスラスト力に対応して、押し付け力を無駄なく可動側鏡板(41)に作用するので、偏心回転体(42,34)の転覆モーメントが一層効果的にキャンセルされる。
第15の発明は、第1乃至第13のいずれか1の発明において、上記押し付け機構(60)の軸方向押し付け力の大きさを、上記低圧室(C-Lp)へ吸入される吸入流体と、上記高圧室(C-Hp)から吐出された吐出流体の圧力差に応じて変更する調節機構(70,63)を備えていることを特徴とするものである。
第15の発明では、圧縮機構(30)の吐出圧と吸入圧との差圧に応じて、調節機構(70,63)が押し付け機構(60)の軸方向押し付け力の大きさを変更する。
ところで、この回転式圧縮機が空気調和装置等に利用される場合、この空気調和装置の運転条件に応じて圧縮機構(30)の吸入流体の圧力(低圧)や吐出流体の圧力(高圧)も変化する。つまり、圧縮機構(30)の吐出圧と吸入圧との差圧は常に一定ではなく、この回転式圧縮機の利用形態に応じて変化する。本発明では、このような吐出圧と吸入圧との差圧の変化に応じて押し付け機構(60)の押し付け力が調節される。その結果、運転条件に応じて最適な押し付け力を可動側鏡板(41)へ作用させることができ、過大な押し付けによる可動側鏡板(41)での摺動損失の増大を回避することができる。
第16の発明は、第1乃至第13のいずれか1の発明において、上記シリンダ(42)が、シリンダ室(C)の軸直角断面が環状となるように構成され、上記ピストン(34)は、環状に形成されて上記シリンダ室(C)を該ピストン(34)の外側の外側シリンダ室(C1)と該ピストン(34)の内側の内側シリンダ室(C2)とに区画しており、上記外側シリンダ室(C1)と内側シリンダ室(C2)のそれぞれが上記ブレード(36)によって高圧室(C1-Hp,C2-Hp)と低圧室(C1-Lp,C2-Lp)とに区画されていることを特徴とするものである。
第13の発明では、シリンダ室(C)が環状のピストン(34)によって外側シリンダ室(C1)と内側シリンダ室(C2)とに区画される。更に、各シリンダ室(C1,C2)は、ブレード(36)によってそれぞれ高圧室(C1-Hp,C2-Hp)と低圧室(C1-Lp,C2-Lp)とに区画される。シリンダ(42)とピストン(34)とが相対的に偏心回転すると、各低圧室(C1-Lp,C2-Lp)の容積の縮小に伴い各低圧室(C1-Lp,C2-Lp)に流体が吸入される一方、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)の容積の拡大に伴い各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)で流体が圧縮される。
第1の発明では、押し付け機構(60)の押圧部材(61)で可動側鏡板(41)を押圧し、圧縮機構(30)内のガス力に起因するスラスト力に抗して、可動側鏡板(41)に押し付け力を作用させるようにしている。従って、この押し付け機構(60)で偏心回転体(42,34)の転覆を抑制することができる。
ここで、本発明では、押し付け機構(60)の押圧部材(61)は、可動側鏡板(41)を直接的に押圧しており、その配置箇所が駆動軸(23)に規制されることがない。このため、押し付け機構(60)を最適な箇所に配置することで、転覆モーメントを効果的にキャンセルすることができる。従って、圧縮機構(30)の圧縮効率の改善できる。また、各鏡板(33,41)の前面内壁と、シリンダ(42)やピストン(34)の先端面とが片当たりしてしまうことも回避でき、各摺接部における摩耗や焼き付きも回避できる。
特に、第2の発明では、押圧部材(61)の押し付け力を吐出口(48)側に偏心させ、更に偏心回転体(42,34)の中心の旋回軌跡mよりも外側に作用させるようにしている。このため、圧縮機構(30)内で生じるスラスト力と、押圧部材(61)の押し付け力とが径方向に一致し易くなる。従って、本発明によれば、スラスト力によって生じる転覆モーメントと、押圧部材(61)の押し付け力で得られる転覆防止モーメントとがバランスし易くなり、必要最小限の押し付け力で転覆モーメントを効果的にキャンセルすることができる。
また、第3の発明では、複数の押圧部材(61)で可動側鏡板(41)を押圧するようにしている。このため、押圧部材(61)1つ当たりの押し付け力を小さくすることができるので、各押圧部材(61)をコンパクトに設計することができる。従って、駆動軸(23)や可動側鏡板(41)の外周軌道等に規制されにくくなり、押圧部材(61)を最適位置に配置することができる。更に、本発明では、各押圧部材(61)の押し付け力の合力の作用中心を、第2の発明と同様、吐出口(48)側に偏心させ、更に偏心回転体(42,34)の中心の旋回軌跡mよりも外側に作用させるようにしている。従って、第2の発明と同様の作用効果を奏することができる。
第4の発明では、押圧部材(61)と可動側鏡板(41)との当接部に摺動部材(65)を介在するようにしている。このため、本発明によれば、押圧部材(61)が可動側鏡板(41)に押し付け力を作用させる際、可動側鏡板(41)で生ずる摺動抵抗を低減することができる。従って、摺動抵抗に起因するエネルギー損失を低減すると共に、摺動部における摩耗や焼き付きを回避することができる。
第5の発明では、押し付け機構(60)を可動側鏡板(41)の外径軌道上に配置することで、駆動軸(23)から押圧部材(61)までの径方向距離を伸ばすことができる。このため、本発明によれば、駆動軸(23)を支点とした場合の偏心回転体(42,34)に係る転覆防止モーメントを増大することができる。従って、押圧部材(61)の押し付け力を低下させることができ、押圧部材(61)と可動側鏡板(41)の当接部で生じる摺動抵抗及び摺動損失を低下させることができる。
また、第6及び第10の発明では、駆動軸(23)の周囲に軸側シールリング(55)を配置することで、駆動軸(23)の潤滑に利用される潤滑油が、可動側鏡板(41)の背面を経由して低圧室(C-Lp)側へ流れてしまうのを回避できる。
第7の発明では、押し付け機構(60)のシールリング(57)で可動側鏡板(41)を押圧し、圧縮機構(30)内のガス力に起因するスラスト力に抗して、可動側鏡板(41)に押し付け力を作用させるようにしている。従って、この押し付け機構(60)で偏心回転体(42,34)の転覆を抑制することができる。
ここで、本発明では、駆動軸(23)の外側にシールリング(57)を配置しており、その配置箇所が駆動軸(23)に規制されることがない。このため、この押し付け機構(60)を最適な箇所に配置することで、転覆モーメントを効果的にキャンセルすることができる。従って、圧縮機構(30)の圧縮効率の改善できる。また、各鏡板(33,41)の前面内壁と、シリンダ(42)やピストン(34)の先端面とが片当たりしてしまうことも回避でき、各摺接部における摩耗や焼き付きも回避できる。
特に、第8の発明では、シールリング(57)の押し付け力を吐出口(48)側に偏心させ、更に偏心回転体(42,34)の中心の旋回軌跡mよりも外側に作用させるようにしている。このため、圧縮機構(30)内で生じるスラスト力と、押圧部材(61)の押し付け力とが径方向に一致し易くなる。従って、本発明によれば、スラスト力によって生じる転覆モーメントと、押圧部材(61)の押し付け力で得られる転覆防止モーメントとがバランスし易くなり、必要最小限の押し付け力で転覆モーメントを効果的にキャンセルすることができる。
また、第9の発明では、複数のシールリング(57,57)で可動側鏡板(41)を押圧するようにしている。このため、シールリング(57)1つ当たりの押し付け力を小さくすることができるので、各シールリング(57)をコンパクトに設計することができる。更に、本発明では、各押圧部材(61)の押し付け力の合力の作用中心を、第8の発明と同様、吐出口(48)側に偏心させ、更に偏心回転体(42,34)の中心の旋回軌跡mよりも外側に作用させるようにしている。従って、第8の発明と同様の作用効果を奏することができる。
第11の発明では、スクロール型の回転式圧縮機について、可動スクロール(84)の転覆を防止するために、第1の発明と同様の押し付け機構(60)を設けるようにしている。従って、押し付け機構(60)を最適な箇所に配置して、転覆モーメントを効果的にキャンセルすることができる。
特に、第12の発明によれば、摺動部材(65)によって、押圧部材(61)と可動側スクロール()の鏡板(41)との当接部で生じる摺動抵抗及び摺動損失を効果的に低減させることができる。
更に、第13の発明によれば、押し付け機構(60)を可動スクロール(84)の外側寄りに配置することで、オルダムリング等の他の部材に干渉されることなく、可動スクロール(84)の鏡板(41)に軸方向押し付け力を作用させることができる。
第14の発明では、偏心回転体(42,34)の一回転中におけるシリンダ室(C)の内圧の変動に応じて押し付け機構(60)の押し付け力を調節するようにしている。このため、シリンダ室(C)で生じるスラスト力の変動に応じた必要最小限の押し付け力を作用させることができる。従って、過剰な押し付けに起因する可動側鏡板(41)の摺動損失を効果的に低減できると同時に、偏心回転体(42,34)の転覆を確実に防止することができる。
一方、第15の発明では、圧縮機構(30)の吸入圧と吐出圧との差圧に応じて押し付け機構(60)の押し付け力を調節するようにしている。このため、回転式圧縮機の運転条件の変化に応じて、押し付け機構(60)の押し付け力を最適に調節することができる。従って、過剰な押し付けに起因する可動側鏡板(41)の摺動損失を効果的に低減できると同時に、偏心回転体(42,34)の転覆を確実に防止することができる。
第16の発明によれば、軸直角断面上に2つのシリンダ室(C1,C2)を有する圧縮機構(30)において、押し付け機構(60)によって偏心回転体(42,34)の転覆モーメントを効果的にキャンセルすることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
実施形態1の回転式圧縮機は、同一平面上に形成される2つのシリンダ室内でそれぞれ冷媒を圧縮する、いわゆる2シリンダタイプの圧縮機(1)を構成している。この圧縮機(1)は、冷房と暖房とを切り換えて行う空気調和装置の冷媒回路に接続され、この冷媒回路の冷凍サイクルにおいて、冷媒を圧縮する圧縮行程に利用されるものである。
<全体構成>
図1に示すように、圧縮機(1)は、ケーシング(10)、電動機(20)、及び圧縮機構(30)を備えている。
上記ケーシング(10)は、縦長で全密閉型の容器を構成している。このケーシング(10)は、円筒上の胴部(11)と、該胴部(11)の上端部に固定される上蓋部(12)と、該胴部(11)の下端部に固定される下蓋部(13)とを備えている。上記胴部(11)の下側寄りには、吸入管(14)が貫通して設けられている。この吸入管(14)は、一端がケーシング(10)の外部に開口し、他端が圧縮機構(30)の内部に開口している。上記上蓋部(12)の頂部には、吐出管(15)が貫通して設けられている。この吐出管(15)は、一端がケーシング(10)の内部における電動機(20)寄りの空間に開口し、他端がケーシング(10)の外部に開口している。また、ケーシング(10)の内部空間は、圧縮機構(30)の吐出冷媒で満たされている。つまり、本実施形態の圧縮機(1)は、ケーシング(10)の内部が高圧となる、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機となっている。
上記電動機(20)は、ケーシング(10)内の上側寄りの空間に配置されている。この電動機(20)は、ステータ(21)とロータ(22)とを備えている。ステータ(21)は、ケーシング(10)の胴部(11)の内壁に固定されている。ロータ(22)は、ステータ(21)の内周側に配置されている。このロータ(22)の内部には、駆動軸(23)が連結されている。そして、電動機(20)は上記駆動軸(23)を回転させる駆動機構を構成している。
上記駆動軸(23)は、上記電動機(20)及び圧縮機構(30)を貫通するように上下方向に延在している。この駆動軸(23)は、電動機(20)寄りに形成される主軸受け(24)及びケーシング(10)の下蓋部(13)寄りに形成される副軸受け(25)によって回転自在に支持されている。また、駆動軸(23)は、主軸(23a)と、該主軸(23a)の下側寄りに形成される偏心軸(23b)とで構成されている。主軸(23a)の下端部には、給油ポンプ(26)が設けられている。この給油ポンプ(26)は、ケーシング(10)の底部に貯まった潤滑油を汲み上げ、この潤滑油を駆動軸(23)の給油路(図示省略)を介して圧縮機構(30)の各摺動部へ供給する。また、上記偏心軸(23b)は、主軸(23a)よりも大径に形成され、該主軸(23a)の軸心から所定量だけ偏心している。
圧縮機構(30)は、その上部に位置するフロントヘッド(31)と、その下部に位置するリヤヘッド(32)と、フロントヘッド(31)及びリヤヘッド(32)の間に介設される偏心可動部材(40)とを備えている。
上記フロントヘッド(31)は、ケーシング(10)の胴部(11)に固定されている。フロントヘッド(31)の上部には、上記主軸受け(24)が上方に延びて形成されている。フロントヘッド(31)の下部には、扁平な円柱状の空間が形成され、その開放部が下側を向いている。また、フロントヘッド(31)には、詳細は後述する軸側シールリング(55)及び押し付け機構(60)が設けられている。
上記リヤヘッド(32)は、フロントヘッド(31)の下端部に固定されている。このリヤヘッド(32)は、円盤状の固定側鏡板(33)と、該固定側鏡板(33)から下方に延びる上記副軸受け(25)と、該固定側鏡板(33)から上方に立設するピストン(34)とを備えている。ピストン(34)は、駆動軸に直角な横断面がC型状に形成されている。このピストン(34)の径方向中心は、主軸(23a)の軸心と一致している(図2参照)。
上記偏心可動部材(40)は、フロントヘッド(31)及びリヤヘッド(32)によって閉塞される空間に収納されている。この偏心可動部材(40)は、円盤状の可動側鏡板(41)と、該可動側鏡板(41)から下方に突設するシリンダ(42)とを備えている。シリンダ(42)は、外シリンダ部(43)及び内シリンダ部(44)とで構成されている。外シリンダ部(43)は、可動側鏡板(41)の外周端部から下方に突設されている。この外シリンダ部(43)は、横断面が環状に形成されている。内シリンダ部(44)は、可動側鏡板(41)の内周端部から下方に突設されている。この内シリンダ部(44)は、外シリンダ部(43)と同心上に位置する環状に形成されている。また、内シリンダ部(44)及び可動側鏡板(41)の内側には、上記偏心軸(23b)が係合しており、偏心可動部材(40)は駆動軸(23)と連結している。これら外シリンダ部(43)及び内シリンダ部(44)の双方の径方向中心は、偏心軸(23b)の軸心と一致している。
<圧縮機構の具体構成>
図2に示すように、フロントヘッド(31)とリヤヘッド(32)とで閉塞される空間は、シリンダ(42)によって2つの空間に仕切られている。この2つの空間は、フロントヘッド(31)の内周面と外シリンダ部(43)の間に形成される無効空間(S)と、外シリンダ部(43)の内周面と内シリンダ部(44)の外周面の間に形成される環状のシリンダ室(C)とで構成される。
上記無効空間(S)には、上述した吸入管(14)の他端が接続されている。この無効空間(S)は、外シリンダ部(43)の旋回半径を確保するための空間であり、この無効空間(S)で冷媒が圧縮されることはない。
上記環状のシリンダ室(C)には、上述したピストン(34)が配置されている。ピストン(34)の外周面は、外シリンダ部(43)の内周面と実質的に線接触し、この接触部から180度位相がずれた箇所において、ピストン(34)の内周面が、内シリンダ部(44)の外周面と実質的に線接触している。つまり、環状のシリンダ室(C)は、ピストン(34)によって外側シリンダ室(C1)と内側シリンダ室(C2)とに仕切られている。外側シリンダ室(C1)は、外シリンダ部(43)の内周面とピストン(34)の外周面の間に形成されている。一方、内シリンダ室(C2)は、ピストン(34)の内周面と内シリンダ部(44)の外周面との間に形成されている。
ピストン(34)の分断箇所には、一対の揺動ブッシュ(35)と、ブレード(36)とが設けられている。
一対の揺動ブッシュ(35,35)は、ピストン(34)とブレード(36)とを相互に可動に連結する連結部材を構成している。各揺動ブッシュ(35,35)は、何れも横断面形状が略半円形に形成されている。そして、各揺動ブッシュ(35,35)において、互いに向かい合う平面の間には、上記ブレード(36)を径方向に進退可能に保持するブレード溝(37)が形成されている。また、揺動ブッシュ(35)の外側に形成される円弧状外周面は、ピストン(34)との摺接面を構成している。各揺動ブッシュ(35)は、その円弧状外周面がピストン(34)と摺接しながら該ピストン(34)に揺動自在に保持されている。
上記ブレード(36)は、外シリンダ部(43)の内周側の壁面から内シリンダ部(44)の外周側の壁面まで延在している。このブレード(36)は、その外側端部が外シリンダ部(43)の内周面に形成された嵌合溝に接合され、その内側端部が内シリンダ部(44)の外周面に形成された嵌合溝に接合されている。更に、ブレード(36)の上面側は、可動側鏡板(41)の下面に形成された嵌合溝に接合されている。このように、ブレード(36)は、可動側鏡板(41)、外シリンダ部(43)、及び内シリンダ部(44)の各嵌合溝に嵌合した状態で偏心可動部材(40)と一体となっている。そして、ブレード(36)は、シリンダ(42)の偏心回転に伴い、上記外側シリンダ室(C1)及び内側シリンダ室(C2)をそれぞれ高圧室(C1-Hp,C2-Hp)と低圧室(C1-Lp,C2-Lp)とに区画する。
圧縮機構(30)には、その外部から各低圧室(C1-Lp,C2-Lp)へ冷媒を吸入させるための第1,第2吸入口(46,47)と、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)の冷媒を外部へ吐出させるための第1,第2吐出口(48,49)とが設けられている。
上記第1吸入口(46)は、外シリンダ部(43)に形成されている。この第1吸入口(46)は、吸入管(14)と接続する無効空間(S)と外側の低圧室(C1-Lp)とを連通させている。上記第2吸入口(47)は、内シリンダ部(44)に形成されている。この第2吸入口(47)は、外側の低圧室(C1-Lp)と内側の低圧室(C2-Lp)とを連通させている。
図1に示すように、上記第1吐出口(48)及び第2吐出口(49)は、リヤヘッド(32)の固定側鏡板(33)に形成されている。第1吐出口(48)の上端は外側の高圧室(C1-Hp)に開口し、第2吐出口(49)の上端は内側の高圧室(C2-Hp)に開口している。一方、第1吐出口(48)及び第2吐出口(49)のそれぞれの下端は、圧縮機構(30)の下側の空間に開口している。なお、各吐出口(48,49)の下端開口部には、それぞれリード弁(図示省略)が設けられている。これらのリード弁は、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)の圧力が所定圧力以上になると開放する吐出弁を構成している。更に、各吐出口(48,49)の下端開口部の周囲には、吐出冷媒の圧力脈動を低減するためのマフラー(27)で覆われている。このマフラー(27)内の空間は、フロントヘッド(31)及びリヤヘッド(32)を軸方向に貫通する流体通路(50)を介して電動機(20)側の空間と連通している。
<軸側シールリングの構成>
図1及び図3に示すように、フロントヘッド(31)には、上記軸側シールリング(55)が設けられている。具体的に、軸側シールリング(55)は、偏心可動部材(40)の可動側鏡板(41)の上面(背面)とフロントヘッド(31)の内部壁面との当接部に介設されている。この軸側シールリング(55)は、円環状に形成されており、その径方向中心位置が主軸(23a)の軸心と一致している。そして、軸側シールリング(55)は、可動側鏡板(41)とフロントヘッド(31)の間の空間(微小隙間)を径方向の内外に分離している。
軸側シールリング(55)の内側には、駆動軸(23)が貫通している。また、軸側シールリング(55)の内側の空間は、上述した駆動軸(23)の給油路と繋がっている。つまり、軸側シールリング(55)の内側の空間は、高圧の潤滑油で満たされている。そして、軸側シールリング(55)は、給油路を流れる高圧の潤滑油が上記低圧室(C1-Lp,C2-Lp)や無効空間(S)へ漏れてしまうことを防止している。また、可動側鏡板(41)において、軸側シールリング(55)の内側の空間に臨む部位には、潤滑油の高圧が作用している。その結果、可動側鏡板(41)には、可動側鏡板(41)を固定側鏡板(33)へ押し付ける軸方向下向きの押し付け力が作用している。
<押し付け機構の構成>
フロントヘッド(31)には、上記押し付け機構(60)が2箇所に設けられている。図4に示すように、各押し付け機構(60)は、それぞれ柱状ピストン(61)、ピストン収容空間(62)、及び圧力導入路(63)とで構成されている。各ピストン収容空間(62)は、それぞれ横断面が円形の柱状に形成され、可動側鏡板(41)の背面に面するフロントヘッド(31)の内部壁面を切り欠くようにして形成されている。そして、各ピストン収容空間(62)には、それぞれ柱状ピストン(61)が収容されている。
各柱状ピストン(61)は、円柱状の基部(61a)と、該基部(61a)の上端に設けられる円柱状の圧力作用部(61b)と、該基部(61a)の下端に設けられる円柱状の押し付け部(61c)とをそれぞれ備えている。上記基部(61a)は、圧力作用部(61b)及び押し付け部(61c)よりも小径に形成されており、押し付け部(61c)の外周面とピストン収容空間(62)の内周面との間にOリング(64)が介設されている。
各ピストン収容空間(62)の上端は、上記圧力導入路(63)を介して圧縮機構(30)の外部の高圧空間と連通している。つまり、各柱状ピストン(61)の上部空間は、高圧冷媒で満たされるので、この高圧冷媒の圧力が各柱状ピストン(61)の圧力作用部(61b)に作用している。その結果、柱状ピストン(61)は、軸方向下側(可動側鏡板(41)側)へ進退し、押し付け部(61c)の下端側の部位が可動側鏡板(41)の背面と当接する。その結果、柱状ピストン(61)は、可動側鏡板(41)を固定側鏡板(33)側へ押し付けるための軸方向押し付け力を可動側鏡板(41)の背面に作用させる。つまり、柱状ピストン(61)は、可動側鏡板(41)と当接しながらこの可動側鏡板(41)を下側に押圧する押圧部材を構成している。
更に、各押し付け部(61c)と可動側鏡板(41)との当接部には、スラスト玉軸受け(65)がそれぞれ設けられている。このスラスト玉軸受け(65)は、その軸心(65a)が可動側鏡板(41)の径方向に延びている。このため、後述の圧縮機構(30)の運転動作時に偏心可動部材(40)が旋回すると、スラスト玉軸受け(65)の玉部(65b)は、可動側鏡板(41)と摺接しながら軸心(65a)を中心として回転する。つまり、スラスト玉軸受け(65)は、偏心可動部材(40)の旋回方向に回転しながら、可動側鏡板(41)に対して摺動する摺動部材を構成している。
図3に示すように、柱状ピストン(61)は、上記軸側シールリング(55)の外側において、可動側鏡板(41)の外周側寄りの2箇所に設けられている。各柱状ピストン(61,61)は、押し付け部(61c)の下端面が可動側鏡板(41)の少なくとも一部に跨るように配置されている。つまり、各柱状ピストン(61,61)は、偏心回転する偏心可動部材(40)(シリンダ(42))の外径軌道に跨る位置に配置されている。また、各柱状ピストン(61,61)は、図3の状態の偏心可動部材(40)の位置を基準0°とし、主軸(23a)の軸心Oを中止に時計回りに角度を視た場合において、柱状ピストン(61)が約260°から350°の範囲に収まるように配置されている。また、各柱状ピストン(61)は、所定の角度(例えば60°)を挟んで配置されている。
−運転動作−
次に、この圧縮機(1)の運転動作について図5を参照しながら説明する。電動機(20)を起動して駆動軸(23)が回転すると、この回転力が偏心軸(23b)を介してシリンダ(42)に伝達される。その結果、圧縮機構(30)では、シリンダ(42)が、固定側となるピストン(34)に対して偏心回転運動を行う。
シリンダ(42)の偏心回転時には、外シリンダ部(43)及び内シリンダ部(44)が揺動ブッシュ(31)と共に揺動しながらブレード(36)と共に進退し、シリンダ(42)が駆動軸(23)の軸心を偏心回転中心として旋回する。その結果、外シリンダ部(43)の内周面とピストン(34)の外周面との接触部、及び内シリンダ部(44)の外周面とピストン(34)の内周面との接触部は、互いに180度位相がずれた状態を維持しながら時計回りに変位する。
外側シリンダ室(C1)では、図5(E)から図5(F)に至るまでの状態で低圧室(C1-Lp)の容積がほぼ最小となる。この状態から駆動軸(23)が時計回りに回転してシリンダ(42)が図5(G)、(H)、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の順に旋回すると、低圧室(C1-Lp)の容積が徐々に増大する。その結果、冷媒は、吸入管(14)、無効空間(S)、及び第1吸入口(46)を介して低圧室(C1-Lp)に吸入される。シリンダ(42)が一回転して図5(F)の状態から更に旋回すると、低圧室(C1-Lp)への冷媒の吸入が完了する。そして、この低圧室(C1-Lp)が冷媒を圧縮する高圧室(C1-Hp)となり、ブレード(36)を隔てて新たな低圧室(C1-Lp)が形成される。
シリンダ(42)が更に旋回すると、低圧室(C1-Lp)に冷媒が漸次吸入される一方、高圧室(C1-Hp)の容積が減少し、この高圧室(C1-Hp)で冷媒が圧縮される。そして、この高圧室(C1-Hp)の圧力が所定圧力以上になると、第1吐出口(48)のリード弁が開放され、高圧の冷媒が吐出冷媒として圧縮機構(30)の外部へ吐出される。
内側シリンダ室(C2)では、図5(A)から図5(B)に至るまでの状態で低圧室(C2-Lp)の容積がほぼ最小となる。この状態から駆動軸(23)が時計回りに回転してシリンダ(42)が図5(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(A)の順に旋回すると、低圧室(C2-Lp)の容積が徐々に増大する。その結果、冷媒は、吸入管(14)、無効空間(S)、第1吸入口(46)、及び第2吸入口(47)を介して低圧室(C2-Lp)に吸入される。シリンダ(42)が一回転して図5(B)の状態から更に旋回すると、低圧室(C2-Lp)への冷媒の吸入が完了する。そして、この低圧室(C2-Lp)が冷媒を圧縮する高圧室(C2-Hp)となり、ブレード(36)を隔てて新たな低圧室(C2-Lp)が形成される。
シリンダ(42)が更に旋回すると、低圧室(C2-Lp)に冷媒が漸次吸入される一方、高圧室(C2-Hp)の容積が減少し、この高圧室(C2-Hp)で冷媒が圧縮される。そして、この高圧室(C2-Hp)の圧力が所定圧力以上になると、第2吐出口(49)のリード弁が開放され、高圧の冷媒が吐出冷媒として圧縮機構(30)の外部へ吐出される。
以上のようにして、各吐出口(48,49)から吐出された高圧の吐出冷媒は、マフラー(27)内の空間から流体通路(50)を流通し、電動機(20)側の高圧空間へ流れる。そして、この吐出冷媒は、吐出管(15)からケーシング(10)の外部へ流出し、冷媒回路で凝縮行程、膨張行程、および蒸発行程を経た後、再び圧縮機(1)に吸入される。
<圧縮機構内のガス力の軌跡について>
上述の圧縮機構(30)の運転動作時には、冷媒の圧縮に伴い圧縮機構(30)内で生じる軸方向のガス力が可動側鏡板(41)の内面に作用する。具体的に、実施形態1では、特に高圧室(C1-Hp,C2-Hp)で圧縮された冷媒のガス力が可動側鏡板(41)を軸方向上側(固定側鏡板(33))へ押圧するスラスト力として可動側鏡板(41)へ作用する。以下には、この冷媒のガス力に起因するスラスト力の軌跡について図5〜図7を参照しながら説明する。
図6は、偏心回転体となるシリンダ(42)の偏心角と、可動側鏡板(41)へ作用するスラスト力の大きさとの関係を示すグラフである。なお、図6は、シリンダ(42)が図5(A)に位置している状態を基準(偏心角0°)とし、この状態のシリンダ(42)が図5の時計回りに偏心回転する際のスラスト力の変化を観察したものである。また、図6は、この圧縮機(1)を備える空気調和装置で冷房運転(中間条件)を行った際のものである。
空気調和装置の中間条件での冷房運転時には、冷媒回路の高低差圧の関係から、シリンダ(42)の偏心角が約330°となると第1吐出口(48)のリード弁が開放され、その偏心角が約150°となると第2吐出口(49)のリード弁が開放される。
まず、シリンダ(42)の偏心角が0°から90°に至るまでの間には、高圧室(C1-Hp)の第1吐出口(48)のリード弁が開放状態となっている。このため、高圧室(C1-Hp)の容積の減少(高圧冷媒の流出)に伴い、可動側鏡板(41)へ作用するスラスト力も徐々に減少していく。
次に、シリンダ(42)の偏心角が90°から約150°に至るまでは、内側の高圧室(C2-Hp)の第2吐出口(49)のリード弁が閉状態となっている。このため、高圧室(C2-Hp)の容積の減少に伴い、高圧室(C2-Hp)内の冷媒が圧縮されるので、可動側鏡板(41)へ作用するスラスト力が徐々に増大していく。
更に、シリンダ(42)の偏心角が150°を越えると第2吐出口(49)のリード弁が開放状態となる。このため、シリンダ(42)の偏心角が約225°に至るまでの間には、高圧室(C2-Hp)の容積の減少(高圧冷媒の流出)に伴い、スラスト力も徐々に減少していく。一方、偏心角が約225°を越えたあたりから、第1吐出口(48)が閉状態となっている高圧室(C1-Hp)の容積が次第に減少していく。このため、シリンダ(42)の偏心角が約225°を越えると、スラスト力が急激に増大していく。
その後、シリンダ(42)の偏心角が約330°に達すると、第1吐出口(48)のリード弁が開放される。その結果、その後は高圧室(C1-Hp)の容積減少に伴いスラスト力も低下していく。ここで、シリンダ(42)の偏心角が約330°となる場合の外側の高圧室(C1-Hp)の容積は、シリンダ(42)の偏心角が約150°となる場合の内側の高圧室(C2-Hp)の容積よりも大きいため、圧縮機構(30)内のガス力に起因して可動側鏡板(41)に作用するスラスト力は、偏心角が約330°となると最大(最大スラスト力)となる。
一方、図7は、シリンダ(42)の偏心角と、可動側鏡板(41)へ作用するスラスト力の作用中心位置の軌跡との関係を示すグラフである。なお、図7における中心座標は、主軸(23a)の軸心Oを示すものである。
上述のように、可動側鏡板(41)には、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)内の冷媒のガス力に起因して軸方向のスラスト力が作用する。ここで、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)は、軸心Oから各吐出口(48,49)側へ偏心するように形成される。従って、シリンダ(42)の偏心回転時におけるスラスト力の軌跡は、シリンダ(42)の旋回軌跡に対して各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)側へ偏心するような軌跡を辿る。特に、シリンダ(42)が約330°の偏心角となり可動側鏡板(41)に最大スラスト力が作用する位置では、内側のシリンダ室(C2)のガス力と比較して外側の高圧室(C1-Hp)のガス力が著しく高い状態となる。このため、この最大スラスト力の作用中心は、軸心Oから最も離れた位置となる。従って、この圧縮機構(30)では、シリンダ(42)の偏心角が約330°となる際に、可動側鏡板(41)を転覆させようとする転覆モーメント(軸方向のガス力×支点(例えば軸心O)からガス力の作用中心までの距離)も最大となる。
<押し付け機構の転覆防止作用>
以上のように、本実施形態の可動側鏡板(41)には、圧縮機構(30)による冷媒の圧縮動作に起因して図6及び図7に示すような挙動でスラスト力が作用する。その結果、このスラスト力に起因して可動側鏡板(41)に転覆モーメントが作用する。ここで、仮に偏心可動部材(40)が軸方向のスラスト力によって転覆してしまうと、ピストン(34)の歯先と固定側鏡板(33)の内壁、あるいはシリンダ(42)の歯先と可動側鏡板(41)の内壁との間の微小隙間の間隔が拡がってしまい、冷媒の漏れの起因して圧縮機構(30)の圧縮効率が低下してしまう。また、ピストン(34)やシリンダ(42)の歯先と、対応する各鏡板(33,41)とが局所的に摺接していわゆる片当たりが生じると、摺動抵抗が増大してエネルギー損が生じる。また、各摺動部で摩耗や焼き付きが生じる恐れもある。そこで、本実施形態の圧縮機(1)では、このような偏心可動部材(40)の転覆を回避するため、上記押し付け機構(60)によって転覆モーメントをキャンセルするようにしている。
図8に示すように、可動側鏡板(41)には、上述したように軸側シールリング(55)の内側の高圧潤滑油に起因して、可動側鏡板(41)を固定側鏡板(33)へ押し付ける軸方向下向きの押し付け力F1が作用している。軸側シールリング(55)の中心は、主軸(23a)と同心であるため、可動側鏡板(41)に作用する押し付け力F1の作用中心は、軸心Oとほぼ一致することになる。
また、可動側鏡板(41)には、上述したように2つの柱状ピストン(61)によって軸方向の押し付け力p1,p2がそれぞれ作用している。その結果、可動側鏡板(41)には、各柱状ピストン(61,61)の合力としての押し付け力F2が作用する。ここで、各柱状ピストン(61)の位置は、上記押し付け力F2が以下の点を満たしていることが好ましい。
即ち、上述の圧縮機構(30)内のガス力に起因するスラスト力の軌跡lは、吐出口(48,49)側に偏心するので、これに対応するように、1)押し付け力F2の作用中心も吐出口(48,49)側へ偏心させる。また、スラスト力の軌跡lは、シリンダ(42)の偏心量を半径とする軌跡m(シリンダの中心の旋回軌跡)よりも外側に外れることがあるので、これに対応するように、2)押し付け力F2の作用中心を軌跡mの外側に位置させる。シリンダ(42)の偏心回転時のスラスト力の軌跡l上では、偏心角330°で最大スラスト力(Ptmax)が発生し、転覆モーメントも最大となるので、この転覆モーメントを効果的に抑えるため、3)押し付け力F2の作用中心を最大スラスト力Ptmaxと軸心Oとを結ぶ線n上に位置させる。更に、押し付け力F2の作用中心は、軸心Oから離れれば離れる程、転覆モーメントをキャンセルするためのモーメント(転覆防止モーメント)も増大する。換言すると、押し付け力F2の作用中心と軸心Oとの距離が長くなる程、小さい押し付け力F2で転覆モーメントをキャンセルすることができる。従って、4)押し付け力F2の作用中心は、極力、可動側鏡板(41)の径方向外側寄りに位置させる。
また、上述のように、可動側鏡板(41)には軸側シールリング(55)に起因する押し付け力F1が作用している。このため、最大スラスト力Ptmaxに起因する転覆防止モーメントを効果的に防止するためには、5)軸側シールリング(55)に起因する押し付け力F1と、各柱状ピストン(61,61)に起因する押し付け力F2との合力の作用中心を、最大スラスト力Ptmaxに作用位置と一致させる。更に、必要以上に可動側鏡板(41)に押し付け力を作用させると、シリンダ(42)やピストン(34)と、各鏡板(33,41)との摺動抵抗が増大してしまうので、6)押し付け力F1及びF2の合力を、最大スラスト力Ptmaxよりも僅かに大きくさせる。なお、このF1とF2との合力を最適に調整するためには、各柱状ピストン(61)の横断面積や、軸側シールリング(55)の内径を適宜調整すれば良い。
以上のように構成された押し付け機構(60)では、高圧冷媒によって下側に押し込まれる各柱状ピストン(61)が可動側鏡板(41)と当接しながら該可動側鏡板(41)に対して軸方向下向きの押し付け力を作用させる。この際、柱状ピストン(61)と可動側鏡板(41)との当接部には、図4に示すスラスト玉軸受け(65a)が介在することになるので、スラスト玉軸受け(65a)は、可動側鏡板(41)の回転方向に沿うように転動する。その結果、柱状ピストン(61)の押し付け部(61c)で可動側鏡板(41)を直接押圧する場合と比較して、可動側鏡板(41)における摺動抵抗が低減される。そして、各柱状ピストン(61)の合力(押し付け力F2)と軸側シールリング(55)に起因する押し付け力F1とが、可動側鏡板(41)の背面に作用することで、圧縮機構(30)内のガス力に起因して偏心可動部材(40)に作用する転覆モーメントが効果的にキャンセルされる。
−実施形態1の効果−
上記実施形態1では、 押し付け機構(60)の柱状ピストン(61)で可動側鏡板(41)を押圧し、圧縮機構(30)内のガス力に起因するスラスト力に抗して、可動側鏡板(41)に押し付け力を作用させるようにしている。従って、この押し付け機構(60)で偏心可動部材(40)の転覆を抑制することができる。
ここで、押し付け機構(60)の柱状ピストン(61)は、可動側鏡板(41)を直接的に押圧しており、その配置箇所が駆動軸(23)に規制されることがない。従って、この押し付け機構(60)を上記1)〜6)のような条件を満たすように最適な箇所に配置することで、転覆モーメントを効果的にキャンセルすることができる。従って、圧縮機構(30)の圧縮効率の改善できる。また、各鏡板(33,41)の前面内壁と、シリンダ(42)やピストン(34)の先端面とが片当たりしてしまうことも回避でき、各摺接部における摩耗や焼き付きも回避できる。
また、上記実施形態1では、上記柱状ピストン(61)と可動側鏡板(41)との間に、スラスト玉軸受け(65)を介設するようにしている。このため、柱状ピストン(61)が可動側鏡板(41)へ押し付け力を作用させる際、可動側鏡板(41)で生じる摺動抵抗(摺動損失)を低減することができる。
更に、上記実施形態1では、柱状ピストン(61)を複数配置するようにしているので、各柱状ピストン(61)の押し付け力を少なくすることができる。従って、可動側鏡板(41)で生じる摺動抵抗(摺動損失)を更に低減することができる。
《発明の実施形態2》
実施形態2の回転式圧縮機は、上記実施形態1の圧縮機(1)と、圧縮機構(30)の構成が異なるものである。具体的に、上記実施形態1の圧縮機構(30)は、可動側(偏心回転体)となるシリンダ(42)が、固定側となるピストン(34)に対して偏心回転運動を行うものであるのに対し、実施形態2の圧縮機構(30)は、可動側(偏心回転体)となるピストン(34)が、固定側となるシリンダ(42)に対して偏心回転運動を行うものである。以下には、実施形態2の圧縮機(1)について、上記実施形態1と異なる点について説明する。
図9に示すように、フロントヘッド(31)には、駆動軸(23)が貫通する円盤状の固定側鏡板(33)と、外シリンダ部(43)及び内シリンダ部(44)とから成るシリンダ(42)とが一体に形成されている。上記シリンダ(42)は、固定側鏡板(33)の下面から下方に突設されている。一方、リヤヘッド(32)の上部には、扁平な円柱状の空間が形成され、その開放部が上側を向いている。また、リヤヘッド(32)には、詳細は後述する軸側シールリング(55)及び押し付け機構(60)が設けられている。
フロントヘッド(31)とリヤヘッド(32)との間に設けられる偏心可動部材(40)は、円盤状の可動側鏡板(41)と、該可動側鏡板(41)の外周側寄りから上方に立設するC型環状のピストン(34)と、該可動側鏡板(41)の内周端部から上方に立設する偏心軸受部(41a)とを備えている。この偏心軸受部(41a)は、筒状に形成されており、その内周側に偏心軸(23b)が係合している。
図10に示すように、外シリンダ部(43)の内周面と内シリンダ部(44)の外周面との間には、環状のシリンダ室(C)が形成されている。このシリンダ室(C)は、ピストン(34)によって外側シリンダ室(C1)と内側シリンダ室(C2)とに区画されている。一方、内シリンダ部(44)の内周面と偏心軸受部(41a)の外周面との間には、無効空間(S)が形成されている。この無効空間(S)は、偏心軸受部(41a)の旋回半径を確保するための空間であり、上記シリンダ室(C)とは遮断されている。
ピストン(34)の分断箇所には、実施形態1と同様、一対の揺動ブッシュ(35)と、ブレード(36)とが設けられている。実施形態2では、固定側となるシリンダ(42)にブレード(36)が固定されている。そして、揺動ブッシュ(35)は、ブレード(36)の伸長方向に進退する一方、ピストン(34)は、揺動ブッシュ(35)の円弧状外周面に沿って揺動する。
圧縮機構(30)には、その外部から各低圧室(C1-Lp,C2-Lp)へ冷媒を吸入させるための吸入口(46)と、各高圧室(C1-Hp,C2-Hp)の冷媒を外部へ吐出させるための第1,第2吐出口(48,49)とが設けられている。上記吸入口(46)は、ピストン(34)に形成されており、外側シリンダ室(C1)と内側シリンダ室(C2)とを連通させている。一方、上記第1,第2吐出口(48,49)は、フロントヘッド(31)の固定側鏡板(33)に形成されている。また、実施形態2のマフラー(27)は、フロントヘッド(31)の上部に取り付けられており、各吐出口(48,49)の周囲を覆っている。
−運転動作−
次に、実施形態2の圧縮機(1)の運転動作について図11を参照しながら説明する。電動機(20)を起動して駆動軸(23)が回転すると、この回転力が偏心軸(23b)を介してピストン(34)に伝達される。その結果、圧縮機構(30)では、ピストン(34)が、固定側となるシリンダ(42)に対して偏心回転運動を行う。
ピストン(34)の偏心回転時には、該ピストン(34)がブレード(36)に対して進退しながら揺動ブッシュ(31)に対して揺動し、駆動軸(23)の軸心Oを偏心回転中心として旋回する。その結果、外シリンダ部(43)の内周面とピストン(34)の外周面との接触部と、内シリンダ部(44)の外周面とピストン(34)の内周面との接触部とは、互いに180度位相がずれた状態を維持しながら時計回りに変位する。
外側シリンダ室(C1)では、図11(A)から図11(B)に至るまでの状態で低圧室(C1-Lp)の容積がほぼ最小となる。この状態から駆動軸(23)が時計回りに回転してピストン(34)が図11(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(A)の順に旋回すると、低圧室(C1-Lp)の容積が徐々に増大する。その結果、冷媒は、吸入管(14)を介して低圧室(C1-Lp)に吸入される。ピストン(34)が一回転して図11(B)の状態から更に旋回すると、低圧室(C1-Lp)への冷媒の吸入が完了する。そして、この低圧室(C1-Lp)が冷媒を圧縮する高圧室(C1-Hp)となり、ブレード(36)を隔てて新たな低圧室(C1-Lp)が形成される。
ピストン(34)が更に旋回すると、低圧室(C1-Lp)に冷媒が漸次吸入される一方、高圧室(C1-Hp)の容積が減少し、この高圧室(C1-Hp)で冷媒が圧縮される。そして、この高圧室(C1-Hp)の圧力が所定圧力以上になると、第1吐出口(48)のリード弁が開放され、高圧の冷媒が吐出冷媒として圧縮機構(30)の外部へ吐出される。
内側シリンダ室(C2)では、図11(E)から図11(F)に至るまでの状態で低圧室(C2-Lp)の容積がほぼ最小となる。この状態から駆動軸(23)が時計回りに回転してシリンダ(42)が図11(G)、(H)、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の順に旋回すると、低圧室(C2-Lp)の容積が徐々に増大する。その結果、冷媒は、吸入管(14)及び第1吸入口(46)を介して低圧室(C2-Lp)に吸入される。ピストン(34)が一回転して図11(F)の状態から更に旋回すると、低圧室(C2-Lp)への冷媒の吸入が完了する。そして、この低圧室(C2-Lp)が冷媒を圧縮する高圧室(C2-Hp)となり、ブレード(36)を隔てて新たな低圧室(C2-Lp)が形成される。
ピストン(34)が更に旋回すると、低圧室(C2-Lp)に冷媒が漸次吸入される一方、高圧室(C2-Hp)の容積が減少し、この高圧室(C2-Hp)で冷媒が圧縮される。そして、この高圧室(C2-Hp)の圧力が所定圧力以上になると、第2吐出口(49)のリード弁が開放され、高圧の冷媒が吐出冷媒として圧縮機構(30)の外部へ吐出される。
以上のようにして、各吐出口(48,49)から吐出された高圧の吐出冷媒は、マフラー(27)及び電動機(20)の周囲を通過した後、吐出管(15)を流通する。そして、吐出管(15)からケーシング(10)の外部へ流出した冷媒は、冷媒回路で凝縮行程、膨張行程、および蒸発行程を経た後、再び圧縮機(1)に吸入される。
<押し付け機構の構成及び転覆防止作用>
実施形態2の圧縮機構(30)は、各鏡板(33,41)の上下関係が逆転しており、圧縮機構(30)のガス力が可動側鏡板(41)に対して軸方向下向きに作用する。そこで、実施形態2では、軸側シールリング(55)及び押し付け機構(60)をリヤヘッド(32)側に配置している。その結果、軸側シールリング(55)に起因する押し付け力F1や各押し付け機構(60)に起因する押し付け力F2は、可動側鏡板(41)に対して軸方向上向きの押し付け力を作用させる。
軸側シールリング(55)及び押し付け機構(60)のそれ以外の構成については、上記実施形態1と同じである。つまり、各柱状ピストン(61)は、実施形態1で上述した各条件1)〜6)を満たすように位置や大きさが調節される。その結果、可動側鏡板(41)には、転覆モーメントをキャンセルさせる転覆防止モーメントが作用するので、偏心可動部材(40)の転覆が効果的に回避される。
《発明の実施形態3》
実施形態3の回転式圧縮機は、上記実施形態1及び2の圧縮機(1)と、圧縮機構(30)の構成が異なるものである。具体的に、上記実施形態1及び2の圧縮機構(30)は、いわゆる2シリンダタイプであったのに対し、実施形態3の圧縮機構(30)は、図12に示すように、1つのシリンダ室で冷媒を圧縮する、いわゆる1シリンダタイプで構成されている。
フロントヘッド(31)には、駆動軸(23)が貫通する円盤状の固定側鏡板(33)と、該固定側鏡板(33)の下面から下方向に突設するシリンダ(42)とが一体に形成されている。シリンダ(42)には、円形状のシリンダ室(C)が形成されている。一方、リヤヘッド(32)の上部には、扁平な円柱状の空間が形成され、その開放部が上側を向いている。
フロントヘッド(31)とリヤヘッド(32)との間に設けられる偏心可動部材(40)は、円盤状の可動側鏡板(41)と、該可動側鏡板(41)の内周端部から上方に立設するピストン(34)とを備えている。このピストン(34)は、環状に形成されており、その内周側に偏心軸(23b)が係合している。
上記シリンダ室(C)は、図示しないブレードによって高圧室(C-Hp)と低圧室(C-Lp)とに区画される。そして、駆動軸(23)の回転に伴いピストン(34)がシリンダ室(C)の内周面に沿って偏心回転すると、吸入管(14)より低圧室(C-Lp)へ冷媒が吸入される一方、高圧室(C-Hp)の容積が縮小し、冷媒の圧縮動作が行われる。そして、高圧室(C-Hp)の圧力が所定圧力以上に達すると、高圧の吐出冷媒が吐出口(48)より吐出される。
ここで、実施形態3では、高圧室(C-Hp)のガス圧に起因する転覆モーメントをキャンセルさせるように、実施形態1や2と同様の押し付け機構(60)が設けられる。その結果、高圧室(C-Hp)での冷媒圧縮時に増大する転覆モーメントが効果的にキャンセルされ、偏心可動部材(40)の転覆が回避される。
《各実施形態の変形例》
上述した実施形態1から3については、押し付け機構(60)を以下のように構成することもできる。
<変形例1>
図13及び図14に示すように、変形例1の圧縮機構(30)では、上記実施形態1に係る圧縮機構(30)の駆動軸(23)の軸心(23a)に環状の切り欠き溝(66)が形成されている。この切り欠き溝(66)は、駆動軸(23)の給油路(図示省略)と連通しており、給油路を流れる高圧の潤滑油が導入可能となっている。また、切り欠き溝(66)は、シリンダ(42)の偏心角が0°である状態を基準として、約120°の箇所から時計回りに約30°の箇所までに亘って形成されている。
一方、フロントヘッド(31)には、上記切り欠き溝(66)と連通可能な圧力導入路(63)が形成されている。この圧力導入路(63)の一端は、駆動軸(23)の軸周りの約270°の箇所であって、上記切り欠き溝(66)と同じ高さに開口している。一方、圧力導入路(63)の他端は、2箇所に設けられる押し付け機構(60)のうち、一方のピストン収容空間(62)と接続している。また、フロントヘッド(31)には、両押し付け機構(60)のピストン収容空間(62)同士を接続する連絡通路(63a)が形成されている。また、この変形例1の各柱状ピストン(61)は、上述した各実施形態と異なり、その外周にOリング(64)が介設されていない。従って、柱状ピストン(61)の外周面とピストン収容空間(62)の内壁との間にわ微小隙間が形成されている。
この変形例1では、上記切り欠き溝(66)及び圧力導入路(63)が、シリンダ(42)の一回転中におけるシリンダ室(C1,C2)の内圧の変動に応じて、各押し付け機構(60)の軸方向押し付け力を変更する調整機構を構成している。即ち、上述のように、圧縮機構(30)では、ガス力に起因するスラスト力が、シリンダ(42)の一回転中に変動するので、調整機構(63,66)は、このスラスト力の変動に対応するように、各押し付け機構(60)の押し付け力を調節する。
具体的には、図15(A)に示すように、シリンダ(42)の偏心角が約240°となると、切り欠き溝(66)と圧力導入路(63)とが連通状態となる。その結果、駆動軸(23)の給油路を流れる潤滑油は、切り欠き溝(66)及び圧力導入路(63)を経由して一方の押し付け機構(60)のピストン収容空間(62)へ流入する。更に、この潤滑油は、連絡通路(63a)を介して他方の押し付け機構(60)のピストン収容空間(62)へも流入する。このように、両ピストン収容空間(62)に潤滑油が流入すると、各柱状ピストン(61)は、高圧の潤滑油の圧力によって下側(可動側鏡板(41)側)へ押し下げられる。その結果、可動側鏡板(41)には、軸方向下向きの押し付け力が作用する。この際、潤滑油は、柱状ピストン(61)の外周面とピストン収容空間(62)の内壁との間の微小隙間を介して可動側鏡板(41)の背面側へ流出する。この潤滑油は、圧縮機構(30)の低圧室(C1-Lp,C2-LP)等に流入し、各摺動部の潤滑に利用される。その後、シリンダ(42)が更に回転し、その偏心角が約150°となると、切り欠き溝(66)と圧力導入路(63)とが非連通状態となる。
以上のように、この変形例1では、シリンダ(42)の偏心角が約240°から約150°までの範囲で各押し付け機構(60)に潤滑油が供給され、押し付け機構(60)による押し付け力が相対的に大きくなる。一方、図6に示したように、圧縮機構(30)内のガス力に起因するスラスト力は、約240°から約150°の範囲に亘って大きく上昇するため、この範囲におけるスラスト力に起因する転覆モーメントは、各押し付け機構(60)によって効果的にキャンセルされる。
一方、切り欠き溝(66)と圧力導入路(63)とが非連通状態となると、両ピストン収容空間(62)内の潤滑油が徐々に可動側鏡板(41)の背面に流出して減少していく。その結果、各柱状ピストン(61)に作用する潤滑油の圧力が低下し、押し付け機構(60)による押し付け力も低下する。その後、シリンダ(42)が更に回転して、その偏心角が240°となると、切り欠き溝(66)と圧力導入路(63)とが再び連通状態となる。その結果、押し付け機構(60)による押し付け力が再び増大する。
以上のように、この変形例1では、シリンダ(42)の偏心角が約150°から約240°までの間に各押し付け機構(60)の押し付け力が次第に低下していく。一方、図6に示したように、圧縮機構(30)内のガス力に起因するスラスト力は、シリンダ(42)の偏心角が150°から240°に近づくに連れて減少する。従って、この範囲においても、スラスト力に応じた押し付け力が可動側鏡板(41)に作用し、転覆モーメントが各押し付け機構(60)によって効果的にキャンセルされる。
<変形例2>
図16に示すように、変形例2の圧縮機構(30)では、上記実施形態1に係る圧縮機構(30)のフロントヘッド(31)に差圧弁(70)が設けられている。この差圧弁(70)は、弁体(71)と、該弁体(71)を収容する弁体収容空間(72)を備えている。
上記弁体収容空間(72)は、弁体(71)によって上下の空間に仕切られている。弁体(71)の上側の空間は高圧連通孔(73)を介してケーシング(10)内の高圧空間と連通している。つまり、弁体(71)の上面部には、ケーシング(10)内の高圧冷媒(吐出冷媒)の圧力が常時作用する。弁体(71)の下側の空間は低圧連通孔(74)を介して吸入管(14)と連通している。つまり、弁体(71)の下面部には、低圧冷媒(吸入冷媒)の圧力が常時作用する。
また、弁体収容空間(72)の内周壁には、ケーシング(10)内の高圧空間と連通する高圧流入孔(75)が開口している。更に、弁体収容空間(72)の内周壁には、高圧流入孔(74)と反対側の位置に圧力導入路(63)の一端が開口している。この圧力導入路(63)の他端は、押し付け機構(60)のピストン収容空間(62)と接続している。なお、この変形例2においても、変形例1と同様、両押し付け機構(60)のピストン収容空間(62)は、図示しない連絡通路によって互いに連通している。
上記弁体(71)の胴回りには、環状の切り欠きによって連通路(76)が形成されている。この連通路(76)は、上記高圧流入孔(75)と圧力導入路(63)とを互いに連通可能としている。また、弁体(71)の下部には、バネ(77)が取り付けられている。このバネ(77)は、弁体(71)を上方に付勢している。
以上のような差圧弁(70)及び圧力導入路(63)は、低圧室(C1-Lp,C2-Lp)へ吸入される吸入冷媒と、高圧室(C1-Hp,C2-Hp)から吐出された吐出流体の圧力差に応じて、各押し付け機構(60)の軸方向押し付け力を変更する調節機構を構成している。つまり、調節機構(63,70)は、この圧縮機(1)が用いられる空気調和装置の運転条件に応じて押し付け機構(60)の押し付け力を調節可能となっている。この点について、以下に詳細に説明する。
空気調和装置の冷房運転等では、冷房負荷等に応じて冷媒回路の高低差圧が変化する。つまり、圧縮機(1)の吸入冷媒と吐出冷媒の圧力差は、空気調和装置の運転条件に応じて変化する。そして、このような運転条件の変化に伴い吸入冷媒と吐出冷媒の圧力差が大きくなり過ぎると、例えば上記実施形態1の押し付け機構(60)では、柱状ピストン(61)による押し付け力が極端に大きくなってしまい、可動側鏡板(41)と柱状ピストン(61)との間の摺動抵抗が増大してしまうことが懸念される。そこで、変形例2の調節機構(63,70)では、このような運転条件においては、押し付け機構(60)の押し付け力の極端な上昇を抑制するようにしている。
具体的に、吸入冷媒と吐出冷媒の圧力差が通常の圧力差である運転条件の場合、差圧弁(70)の弁体(71)は、バネ(77)によって図16(A)に示す位置に保持される。その結果、ケーシング(10)内の高圧空間と各ピストン収容空間(62)とは、低圧連通孔(74)、連通路(76)、圧力導入路(63)、及び連絡通路(63a)を介して互いに連通することになる。従って、各押し付け機構(60)では、柱状ピストン(61)が所定の押し付け力で可動側鏡板(41)を押圧する。
一方、吸入冷媒と吐出冷媒の圧力差が通常よりも大きくなる運転条件の場合、差圧弁(70)の弁体(71)は、高低差圧によってバネ(77)に抗して下方に変位する(図16(B)参照)。その結果、低圧連通孔(74)と圧力導入路(63)との連通開度が小さくなるので、各押し付け機構(60)の柱状ピストン(61)を押し下げる圧力も低下する。従って、この運転条件においても、各押し付け機構(60)の押し付け力が過大となってしまうことが回避される。
<変形例3>
図17及び図18に示すように、変形例3の圧縮機構(30)は、上記各実施形態と押し付け機構(60)の構成が異なるものである。具体的に、変形例3のフロントヘッド(31)には、可動側鏡板(41)の背面とフロントヘッド(31)の内部壁面との間に2つの小径シールリング(57)が介設されている。各小径シールリング(57)は、軸側シールリング(55)よりも小径であり、駆動軸(23)及び小径シールリング(57)の外側に位置している。そして、各小径シールリング(57)は、可動側鏡板(41)とフロントヘッド(31)との間の微小隙間を径方向の内外に分離している。
各小径シールリング(57)の内側の空間は、フロントヘッド(31)を軸方向に貫通する圧力導入路(63)を介してケーシング(10)内の高圧空間と連通している。その結果、可動側鏡板(41)の背面において、小径シールリング(57)の内側の箇所には、高圧空間の圧力が作用する。つまり、可動側鏡板(41)には、小径シールリング(57)の内側において、可動側鏡板(41)を固定側鏡板(33)へ押し付ける軸方向下向きの押し付け力が作用している。
図18に示すように、この変形例3の押し付け機構(60)においても、上記実施形態1と同様の各条件1)〜6)を満たすように、小径シールリング(57)の位置や内径が決定される。その結果、圧縮機構(30)内のガス力に起因して生ずる転覆モーメントは、この押し付け機構(60)によって効果的にキャンセルされる。
<変形例4>
図19に示すように、変形例4の圧縮機構(30)は、変形例1の押し付け機構(60)を小径シールリング(57)に置き換えたものである。この変形例4では、変形例1と同様、シリンダ(42)の一回転中のスラスト力の変動に応じて、小径シールリング(57)内の押し付け力が変化する。その結果、シリンダ(42)の一回転中で変化する転覆防止モーメントが効果的にキャンセルされる。
<変形例5>
図20に示すように、変形例5の圧縮機構(30)は、変形例2の押し付け機構(60)を小径シールリング(57)に置き換えたものである。この変形例5では、変形例1と同様、空気調和装置の運転条件の変化、すなわち吸入冷媒と吐出冷媒との圧力差の変化に応じて、小径シールリング(57)内の押し付け力が変化する。その結果、可動側鏡板(41)に作用する押し付け力が過大となってしまうことが回避される。
《実施形態4》
図21に示すように、実施形態4の回転式圧縮機(1)は、可動スクロール(84)と固定スクロール(82)とが歯合することで流体の圧縮室が形成される圧縮機構(30)を有する、スクロール型の圧縮機で構成されている。このスクロール型圧縮機は、ケーシング(10)内が吐出冷媒で満たされる高圧ドーム式となっている。
具体的に、このスクロール型圧縮機のケーシング(10)には、図示しない電動機の上側にハウジング(81)が固定されている。このハウジング(81)には、駆動軸(23)が貫通している。駆動軸(23)の上部には、該駆動軸(23)の軸心と偏心して偏心軸(23b)が形成さされている。
ハウジング(81)の上部には、固定スクロール(82)と可動スクロール(84)とから成る圧縮機構(30)が設けられている。固定スクロール(82)は、ケーシング(10)に固定される固定側鏡板(33)と、固定側鏡板(33)から下方に延びる固定歯(83)とで構成されている。一方、可動スクロール(84)は、その下部側が偏心軸(23b)と係合する可動側鏡板(41)と、該可動側鏡板(41)から上方に延びる可動歯(85)とで構成されている。上記固定歯(83)と可動歯(85)とは、軸直角断面がインボリュート曲線から成る渦巻き状に構成されている。そして、固定歯(83)と可動歯(85)とは、その側壁同士が互いに摺接するように噛み合っている。また、ハウジング(81)と可動側鏡板(41)の間には、可動スクロール(84)の自転を規制するオルダムリング(86)が介設されている。更に、ハウジング(81)と可動側鏡板(41)との間には、上述の実施形態と同様、軸側シールリング(55)が介設されている。
駆動軸(23)が駆動されると、固定スクロール(82)に対して可動スクロール(84)が偏心回転する。その結果、吸入管(14)から吸入された冷媒は、圧縮機構(30)の外側より圧縮室内に吸入される。圧縮機構では、固定歯(83)と可動歯(85)との間の隙間の減少に伴い、圧縮室の容積が次第に縮小されていく。その結果、冷媒は圧縮機構(30)の中心に向かうに連れて次第に圧縮されている。以上のようにして、圧縮機構(30)で圧縮された冷媒は、吐出口(48)より圧縮機構(30)の外部に吐出される。この冷媒は、ハウジング(81)の下側に位置する吐出管(15)よりケーシング(10)の外部に送られる。
実施形態4では、ハウジング(81)の上部において、上記実施形態1と同様の押し付け機構(60)が構成されている。具体的に、押し付け機構(60)は、押圧部材としての柱状ピストン(61)で構成されており、ハウジング(81)に形成された圧力導入路(63)から導入される冷媒によって上方に押し付けられている。つまり、実施形態4では、押し付け機構(60)が可動スクロール(84)の可動側鏡板(41)を上側に押圧しており、該可動側鏡板(41)が固定側鏡板(33)側に押し付けられている。また、この柱状ピストン(61)の上部には、実施形態1と同様、摺動部材を構成するスラスト玉軸受け(65)が設けられており、柱状ピストン(61)と可動側鏡板(41)との摺動抵抗が緩和されている。
また、図22に示すように、実施形態4の柱状ピストン(61)は、可動側鏡板(41)の外側寄りの4箇所と当接するようにハウジング(81)に設けられている。これらの柱状ピストン(61)は、可動側鏡板(41)の外径軌道上に跨って配置されている。
以上のように、実施形態4においても、柱状ピストン(61)によって可動側鏡板(41)に軸方向押し付け力を作用させているので、可動側スクロールの転覆モーメントを効果的にキャンセルすることができる。また、このような柱状ピストン(61)を可動側鏡板(41)の外径軌道上に配置すると、オルダムリング(86)に干渉されることなく、可動側鏡板(41)に押し付け力を作用させることができる。
なお、実施形態4においても、上述した変形例1や変形例2のような調節機構を設けることで、押し付け機構(60)の軸方向押し付け力を可変とするようにしても良い。
《その他の実施形態》
本発明は、上述した各実施形態について、以下のような構成としても良い。
上述した各実施形態では、押し付け機構(60)を2箇所に設けているが、この押し付け機構(60)を2箇所以上、あるいは1箇所に設けるようにしてもよい。
具体的に、図23は、実施形態1の押し付け機構(60)を3箇所に設けたものである。なお、この例では、実施形態1の2箇所の押し付け機構(60)と駆動軸(23)を挟んで反対側に1つの押し付け機構(60)を付与している。この例においても、3つの押し付け機構(60)の押し付け力の合力F2が、上述した各条件1)〜6)を満たすように各押し付け機構(60)の位置や大きさを決めることで、圧縮機構(30)内のガス力に起因する転覆モーメントを効果的にキャンセルできる。
また、図24は、実施形態1の押し付け機構(60)を1箇所に設けたものである。この例においても、1つの押し付け機構(60)の押し付け力F2について、上述した各条件1)〜6)を満たすように押し付け機構(60)の位置や大きさを決めることで、転覆モーメントを効果的にキャンセルできる。
更に、例えば図25や図26に示すように、押し付け機構(60)として小径シールリング(57)を用いる場合にも、この小径シールリング(57)を2箇所以上、あるいは1箇所に設けるようにしてもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、ピストンとシリンダとが相対的に偏心回転運動する圧縮機構についての転覆防止対策に関し有用である。
本発明の実施形態1に係る圧縮機の縦断面図である。 圧縮機の圧縮機構の横断面図である。 圧縮機構の可動側鏡板を上方から視た図である。 押し付け機構の縦断面図である。 圧縮機構の動作を示す横断面図である。 可動側鏡板の偏心角と、スラスト力の関係を示すグラフである。 可動側鏡板の偏心回転時におけるスラスト力の軌跡を示すグラフである。 押し付け機構の押し付け力の作用点を示す圧縮機構の概略図である。 本発明の実施形態2に係る圧縮機の縦断面図である。 圧縮機の圧縮機構の横断面図である。 圧縮機構の動作を示す横断面図である。 本発明の実施形態3に係る圧縮機の圧縮機構の縦断面図である。 変形例1の圧縮機構の縦断面図である。 圧縮機構の要部の横断面図である。 圧縮機構の押し付け機構の動作を示す横断面図である。 変形例2の圧縮機構の縦断面図である。 変形例3の圧縮機構の横断面図である。 押し付け機構の押し付け力の作用点を示す圧縮機構の概略図である。 変形例4の圧縮機構の横断面図である。 変形例5の圧縮機構の横断面図である。 本発明の実施形態4に係る圧縮機の縦断面図である。 可動側スクロールの鏡板を背面から視た図である。 その他の実施形態の例1の押し付け機構を示す横断面図である。 その他の実施形態の例2の押し付け機構を示す横断面図である。 その他の実施形態の例3の押し付け機構を示す横断面図である。 その他の実施形態の例4の押し付け機構を示す横断面図である。 従来例の圧縮機の要部の縦断面図である。 従来例の圧縮機構の横断面図である。
符号の説明
1 圧縮機
20 電動機(駆動機構)
23 駆動軸
30 圧縮機構
33 固定側鏡板(鏡板)
34 ピストン(偏心回転体)
36 ブレード
41 可動側鏡板(鏡板)
42 シリンダ(偏心回転体)
48 吐出口
55 軸側シールリング
57 小径シールリング(シールリング)
60 押し付け機構
61 押圧部材
63 圧力導入路
65 スラスト玉軸受け(摺動部材)
70 差圧弁(調整機構)
C シリンダ室(外側シリンダ室(C1),内側シリンダ室(C2)
C-Hp 高圧室(C1-Hp,C2-Hp)
C-Lp 低圧室(C1-Lp,C2-Lp)

Claims (16)

  1. シリンダ室(C)を形成するシリンダ(42)と、該シリンダ(42)に対して偏心した状態でシリンダ室(C)内に収納されるピストン(34)とを備えた圧縮機構(30)と、
    上記シリンダ(42)及びピストン(34)のいずれか一方で構成される偏心回転体(42,34)と連結する駆動軸(23)と、
    上記駆動軸(23)を回転させて上記シリンダ(42)及びピストン(34)を相対的に偏心回転させる駆動機構(20)とを備え、
    上記シリンダ(42)及びピストン(34)の軸方向基端部には、各々の前面がシリンダ室(C)を挟んで互いに向かい合うように鏡板(33,41)がそれぞれ形成され、
    上記圧縮機構(30)には、上記シリンダ室(C)を高圧室(C-Hp)と低圧室(C-Lp)とに区画するブレード(36)と、上記高圧室(C-Hp)で圧縮された流体を圧縮機構(30)の外部へ吐出させる吐出口(48)と、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)を固定側の鏡板(33)へ押し付けるための軸方向押し付け力を該偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)の背面に作用させる押し付け機構(60)とが設けられている回転式圧縮機であって、
    上記押し付け機構(60)は、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)と当接しながら該鏡板(41)を押圧する一つ又は複数の押圧部材(61)を備えていることを特徴とする回転式圧縮機。
  2. 請求項1において、
    上記押圧部材(61)は、その軸方向押し付け力の作用中心が、駆動軸(23)の中心から上記吐出口(48)側へ偏心し、且つ上記偏心回転体(42,34)の偏心量を半径とする軌跡の外側に位置するように配置されていることを特徴とする回転式圧縮機。
  3. 請求項1において、
    上記押し付け機構(60)は、複数の押圧部材(61,61)を備え、
    上記複数の押圧部材(61,61)は、押圧部材(61,61)毎の軸方向押し付け力の合力の作用中心が、駆動軸(23)の中心から上記吐出口(48)側へ偏心し、且つ上記偏心回転体(42,34)の偏心量を半径とする軌跡の外側に位置するように配置されていることを特徴とする回転式圧縮機。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1において、
    上記押圧部材(61)には、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)の背面との当接部に、該鏡板(41)に対して摺動自在な摺動部材(65)が設けられていることを特徴とする回転式圧縮機。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1において、
    上記押圧部材(61)は、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)の外径軌道上を跨るように配置されていることを特徴とする回転式圧縮機。
  6. 請求項1乃至3のいずれか1において、
    駆動軸(23)には、偏心回転体(42,34)との摺動部に潤滑油を供給するための給油路が形成され、
    上記偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)の背面側の空間を径方向の内外に分離するとともに、その内側を駆動軸(23)が貫通し、その外側に上記押圧部材(61)が位置するように配置される軸側シールリング(55)を備えていることを特徴とする回転式圧縮機。
  7. シリンダ室(C)を形成するシリンダ(42)と、該シリンダ(42)に対して偏心した状態でシリンダ室(C)内に収納されるピストン(34)とを備えた圧縮機構(30)と、
    上記シリンダ(42)及びピストン(34)のいずれか一方で構成される偏心回転体(42,34)と連結する駆動軸(23)と、
    上記駆動軸(23)を回転させて上記シリンダ(42)及びピストン(34)を相対的に偏心回転させる駆動機構(20)とを備え、
    上記シリンダ(42)及びピストン(34)の軸方向基端部には、各々の前面がシリンダ室(C)を挟んで互いに向かい合うように鏡板(33,41)がそれぞれ形成され、
    上記圧縮機構(30)には、上記シリンダ室(C)を高圧室(C-Hp)と低圧室(C-Lp)とに区画するブレード(36)と、上記高圧室(C-Hp)で圧縮された流体を圧縮機構(30)の外部へ吐出させる吐出口(48)と、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)を固定側の鏡板(33)へ押し付けるための軸方向押し付け力を該偏心回転体(42,34)の鏡板(41)の背面に作用させる押し付け機構(60)とが設けられている回転式圧縮機であって、
    上記押し付け機構(60)は、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)の背面側の空間を径方向の内外に分離するとともに、その外側に駆動軸(23)が位置するように設けられる1つ又は複数のシールリング(57)を備え、
    上記シールリング(57)の内側には、偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)に軸方向押し付け力を作用させるための高圧流体が導入されることを特徴とする回転式圧縮機。
  8. 請求項7において、
    上記シールリング(57)は、その軸方向押し付け力の作用中心が、駆動軸(23)の中心から上記吐出口(48)側へ偏心し、且つ上記偏心回転体(42,34)の偏心量を半径とする軌跡の外側に位置するように配置されていることを特徴とする回転式圧縮機。
  9. 請求項7において、
    上記押し付け機構(60)は、複数のシールリング(57,57)で構成され、
    上記複数のシールリング(57,57)は、シールリング(57)毎の軸方向押し付け力の合力の作用中心が、駆動軸(23)の中心から上記吐出口(48)側へ偏心し、且つ上記偏心回転体(42,34)の偏心量を半径とする軌跡の外側に位置するように配置されていることを特徴とする回転式圧縮機。
  10. 請求項7乃至9のいずれか1において、
    上記偏心回転体(42,34)側の鏡板(41)の背面側の空間を径方向の内外に分離するとともに、その内側を駆動軸(23)が貫通し、その外側に上記シールリング(57)が位置するように配置される軸側シールリング(55)を備えていることを特徴とする回転式圧縮機。
  11. 可動スクロール(84)と固定スクロール(82)を有し、互いに歯合する可動スクロール(84)と固定スクロールの間に圧縮室(C)を形成する圧縮機構(30)と、
    可動スクロール(84)の鏡板(41)を固定スクロール(82)の鏡板(33)へ押し付けるための軸方向押し付け力を可動スクロール(84)の鏡板(41)の背面に作用させる押し付け機構(60)とが設けられている回転式圧縮機であって、
    上記押し付け機構(60)は、可動スクロール(84)の鏡板(41)と当接しながら該鏡板(41)を押圧する一つ又は複数の押圧部材(61)を備えていることを特徴とする回転式圧縮機。
  12. 請求項11において、
    上記押圧部材(61)には、可動スクロール(84)の鏡板(41)の背面との当接部に、該鏡板(41)に対して摺動自在な摺動部材(65)が設けられていることを特徴とする回転式圧縮機。
  13. 請求項11又は12において、
    上記押圧部材(61)は、可動スクロール(84)の鏡板(41)の外径軌道上を跨るように配置されていることを特徴とする回転式圧縮機。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1において、
    上記押し付け機構(60)の軸方向押し付け力の大きさを、偏心回転体(42,34)の1回転中におけるシリンダ室(C)の内圧の変動に応じて変更する調節機構(63,66)を備えていることを特徴とする回転式圧縮機。
  15. 請求項1乃至13のいずれか1において、
    上記押し付け機構(60)の軸方向押し付け力の大きさを、上記低圧室(C-Lp)へ吸入される吸入流体と、上記高圧室(C-Hp)から吐出された吐出流体の圧力差に応じて変更する調節機構(70,63)を備えていることを特徴とする回転式圧縮機。
  16. 請求項1乃至13のいずれか1において、
    上記シリンダ(42)は、シリンダ室(C)の軸直角断面が環状となるように構成され、
    上記ピストン(34)は、環状に形成されて上記シリンダ室(C)を該ピストン(34)の外側の外側シリンダ室(C1)と該ピストン(34)の内側の内側シリンダ室(C2)とに区画しており、
    上記外側シリンダ室(C1)と内側シリンダ室(C2)のそれぞれが上記ブレード(36)によって高圧室(C1-Hp,C2-Hp)と低圧室(C1-Lp,C2-Lp)とに区画されていることを特徴とする回転式圧縮機。
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