JP2007138730A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】作動流体の圧力に関わらず、位相制御の応答性に優れるバルブタイミング調整装置を提供する。
【解決手段】遅角油圧室に接続する遅角通路には逆止弁90が設置され、遅角通路から分岐する遅角通路には制御弁100が設置されている。ベーンロータ21をスプリング18の押し付け方向とは逆の遅角側の目標位相に制御するとき、ベーンロータ21がカムシャフト20からトルク変動を受けても、逆止弁90が設置されている遅角油圧室からの作動油の流出は防止される。複数の遅角油圧室のうち一室の遅角油圧室から作動油の流出を防止することにより、他の遅角油圧室からの作動油の流出を防止することができる。その結果、位相制御中にベーンロータ21が目標位相から進角側へ戻ることを防止するので、ベーンロータ21は速やかに目標位相へ到達する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンの吸気弁および排気弁の開閉タイミング(以下、開閉タイミングを「バルブタイミング」という。)を変更するバルブタイミング調整装置に関する。
従来、エンジンのクランクシャフトの駆動力を受けるハウジングと、ハウジング内に収容され、カムシャフトにクランクシャフトの駆動力を伝達するベーンロータとを備えるバルブタイミング調整装置が知られている。このバルブタイミング調整装置では、遅角室および進角室の作動流体圧力によりハウジングに対し遅角側または進角側へベーンロータを相対回転駆動することにより、クランクシャフトに対するカムシャフトの位相、つまりバルブタイミングを調整している(例えば、特許文献1参照)。
バルブタイミング調整装置では、吸気弁または排気弁を開閉駆動するとき、吸気弁または排気弁からカムシャフトが受けるトルク変動がベーンロータに伝わり、ハウジングに対しベーンロータが遅角側または進角側へトルク変動を受ける。ベーンロータが遅角側にトルク変動を受けると、進角室の作動流体は進角室から流出する力を受け、ベーンロータが進角側にトルク変動を受けると、遅角室の作動流体は遅角室から流出する力を受ける。すると、例えば流体供給源から供給される作動流体の圧力が低いときに、進角室に作動流体を供給し、クランクシャフトに対してカムシャフトの位相を遅角側から進角側の目標位置に変更する場合、ベーンロータがトルク変動により遅角側へ押し戻される。その結果、カムシャフトの位相が目標の位相に達するまでの応答時間が長くなる。
そこで、特許文献1に開示されているように、作動流体を遅角室および進角室に供給する供給通路に逆止弁を設け、ベーンロータがトルク変動を受けたとき、遅角室または進角室からの作動流体の流出を防止することが考えられる。これにより、位相制御中にベーンロータがハウジングに対し目標位相と反対側へ戻ることを防止し、位相制御の応答性を高めることが知られている。
特開2003−106115号公報
ところで、従動軸で吸気弁または排気弁を駆動する場合、従動軸には吸気弁または排気弁の駆動反力による変動トルクが加わる。この変動トルクは、平均すると従動軸の回転を妨げる方向へ大きく加わる。その結果、カムシャフトの位相を制御する場合、進角側へ位相を制御する速度に対して遅角側へ位相を制御する速度は速くなる。この場合、エンジンの回転数が低く作動流体の圧力が低くなると、進角側へ位相を制御する際の応答性が著しく悪化する。あるいは、例えばスプリングなどのロータ付勢弾性部材を用いて、従動軸を駆動反力とは反対側、すなわち進角側へ押し付けることにより、変動トルクは平均すると従動軸の回転を促す方向へ大きく加わる。その結果、カムシャフトの位相を制御する場合、遅角側へ位相を制御する速度に対して進角側へ位相を制御する速度は速くなる。この場合、エンジンの回転数が低く作動流体の圧力が低くなると、遅角側へ位相を制御する際の応答性が著しく悪化する。すなわちロータ付勢弾性部材の付勢方向によって、進角側へ位相を制御する速度と遅角側へ位相を制御する速度の大小の関係が変化する。
そこで、本発明の目的は、作動流体の圧力に関わらず、位相制御の応答性に優れるバルブタイミング調整装置を提供することにある。
請求項1記載の発明では、ロータ付勢弾性部材は、ベーンロータを進角側または遅角側へ回転駆動する方向へ押し付けている。以下、このロータ付勢弾性部材の押し付け力が加わる方向を「押し付け順方向」といい、ロータ付勢弾性部材の押し付け力が加わる方向と逆方向を「押し付け逆方向」という。また、請求項1記載の発明では、流体供給源から進角室または遅角室への作動流体の流れを許可し、ロータ付勢弾性部材の押し付け力によって、ハウジングに対するベーンロータの相対回転駆動速度が進角側または遅角側の一方に対して遅角側または進角側の他方が遅くなる側の遅角室または進角室のうち少なくともいずれか一つの遅角室または進角室を制御室として、その制御室から流体供給源側への作動流体の流れを規制する逆止弁を第一通路に設置している。そのため、ハウジングまたはベーンロータのうち駆動軸とともに回転する駆動側回転体に対し、従動軸とともに回転する従動側回転体を進角側または遅角側の目標位相に相対回動駆動する位相制御時に、従動側回転体が従動軸からトルク変動を受けたり、ロータ弾性付勢部材から押し付け力を受ける場合でも、逆止弁が設置されている第一通路と接続している制御室から作動流体が流出することを防止できる。少なくとも一室の制御室からの作動流体の流出を防止すれば、制御室ともに作動流体が供給される側の遅角室または進角室からの作動流体の流出を防止できる。これにより、位相制御中に従動側回転体が目標位相から進角側または遅角側へ戻ることを防止するので、駆動側回転体に対し従動側回転体が目標位相に速やかに到達する。したがって、ベーンロータが押し付け逆方向へ相対回転する場合でも、位相制御の応答性が向上する。目標位相が押し付け順方向の場合、ベーンロータはロータ弾性部材の押し付け力によって相対回転するので、制御室とは異なる側の油圧室に作動流体を供給する通路に逆止弁を設置しなくても、駆動側回転体に対し従動側回転体は目標位相に速やかに到達する。
ところで、逆止弁により流体供給源側への排出を規制されている制御室の作動流体は、第二通路により制御室から排出される。また、逆止弁を設置していない通路は、作動流体の供給通路および排出通路を兼ねることができる。
このように、第一通路に逆止弁を設置し、その他の通路に逆止弁を設置していないので、部品点数および流体通路の本数を減少できる。
また、遅角室および進角室はそれぞれ複数形成され、各遅角室および各進角室に流体供給源から作動流体が供給される。そのため、従動側回転体が進角室または遅角室から作動流体圧力を受ける受圧面積が増加する。したがって、気筒数が多くトルク変動が小さいエンジンにおいて、エンジンの回転数が低く作動流体圧力が低圧でも、従動側回転体を押し付け逆方向へ駆動し目標位相に速やかに到達できる。
請求項2記載の発明では、遅角室および進角室はそれぞれ三室以上形成されているので、従動側回転体が進角室または遅角室から作動流体圧力を受ける受圧面積が増加する。したがって、気筒数が多くトルク変動が小さいエンジンにおいても、低い作動流体圧力で従動側回転体を進角側に駆動し目標位相に速やかに到達できる。
請求項3記載の発明では、制御室は複数の遅角室または進角室のうちの一室に設定され、逆止弁はこの制御室に作動流体を供給する第一通路に設置されている。そのため、逆止弁により流体供給源側への作動流体の流出を規制されている制御室以外の遅角室または進角室は、第一通路を排出通路として使用できる。これにより、流体通路の形成が容易になる。
請求項4記載の発明では、例えば押し付け順方向へ位相制御する場合、従動側回転体が押し付け逆方向へトルク変動を受けると、作動流体の流出を逆止弁により規制された制御室の圧力が上昇し、作動流体が漏れやすくなるおそれがある。そこで、請求項4記載の発明では、請求項3記載の発明において、逆止弁により作動流体の流出を規制される制御室から作動流体が漏れることを防止するシール部材のシール効果を、他の遅角室または進角室よりも高くしている。これにより、従動軸が押し付け順方向への位相制御時に押し付け逆方向へトルク変動を受けても、作動流体の流出を逆止弁により規制された遅角室または進角室から作動流体が漏れることを抑制する。
請求項5記載の発明では、逆止弁は従動軸の軸受部よりも第一通路の制御室側に設置されているので、押し付け順方向への位相制御時に従動側回転体が押し付け逆方向のトルク変動を受けると、軸受部よりも制御側で逆止弁が第一通路を閉塞する。これにより、従動側回転体がトルク変動を受け制御室の作動流体の圧力が変動しても、この圧力変動は逆止弁の軸受部側に位置する従動軸と軸受部との摺動部に伝達しない。したがって、従動側回転体がトルク変動を受けても、制御室の作動流体が従動軸と軸受部との摺動部から漏れることを防止するので、位相制御の応答性が向上する。
請求項6記載の発明では、遅角室および進角室への作動流体の供給、ならびに遅角室および進角室からの作動流体の排出を切り換える切換弁は、従動軸の軸受部よりも流体供給源側に設置されている。つまり、切換弁は、ハウジング、ベーンロータ、または従動軸の外部に設置されている。これにより、ハウジング、ベーンロータ、または従動軸が大型化することを防止できる。
請求項7記載の発明では、逆止弁はベーンロータに設置されているので、ハウジングに形成された収容室をベーンロータのベーンが仕切って形成した制御室と逆止弁との通路長が短くなる。その結果、制御室と逆止弁との間の第一通路が形成するデッドボリュームが小さくなるので、位相制御時に従動側回転体がトルク変動を受けても作動流体が供給されている制御室の圧力低下を防止できる。したがって、位相制御の応答性が向上する。
請求項8記載の発明では、請求項7の発明において、逆止弁はベーンロータの回転軸方向に作動するので、ベーンロータが回転することにより働く遠心力は逆止弁の作動をほとんど妨げない。
請求項9記載の発明では、第二進角通路に設置されている制御弁をさらに備えている。制御弁は、バルブタイミングを押し付け順方向へ制御するとき、第二通路を開放する。一方、制御弁は、バルブタイミングを押し付け逆方向へ制御するとき、第二通路を遮断する。そのため、押し付け順方向に制御するときの第二通路を介しての制御室からの作動流体の放出を、第一通路の逆止弁よりも流体供給源側に接続することができる。したがって、遅角室および進角室への作動流体の供給、ならびに遅角室および進角室からの作動流体の排出を切り換える切換弁において、第二通路のための専用ポートが必要なくなるので、切換弁を簡単に構成することができる。
ここで、制御室に作動流体を供給し従動側回転体を押し付け順方向側に制御するバルブタイミングの制御時に従動側回転体が従動軸から押し付け逆方向にトルク変動を受けると、第一通路の逆止弁よりも制御室側の作動流体圧力は、逆止弁が閉弁するので圧力が上昇する。その結果、従動側回転体が従動軸から受けるトルク変動により第一通路の逆止弁よりも制御室側の作動流体圧力は大きく変動するので、第一通路の逆止弁よりも制御室側の作動流体圧力で制御弁の弁部材を駆動すると、制御弁の弁部材の動きが不安定になる。
これに対し、遅角通路の作動流体圧力および第1の進角通路の逆止弁よりも流体供給源
側の作動流体圧力は、バルブタイミングの進角制御時に従動側回転体が従動軸からトルク
変動を受けるときに逆止弁が閉弁しても、第1の進角通路の逆止弁よりも進角室側の作動
流体圧力に比べて圧力変動が小さい。
そこで、請求項10記載の発明では、遅角通路または進角通路のうち第一通路が接続していない方の通路の作動流体圧力と、第一通路の逆止弁よりも流体供給源側の作動流体圧力との少なくともいずれか一方により、第二通路を開閉する制御弁の弁部材を駆動する。したがって、バルブタイミングの押し付け順方向への制御時に従動側回転体が従動軸からトルク変動を受けたときに、制御弁を駆動する作動流体圧力の変動を低減でき、制御弁を確実に作動させることができる。
請求項11記載の発明では、制御弁が従動軸の軸受部よりも遅角室または進角室側に設置されているので、第二通路を従動軸の軸受部および従動軸を通って形成する必要がない。したがって、軸受部および従動軸に形成する通路は、遅角通路および第一通路の2系統になり、逆止弁を用いた場合にも、逆止弁を用いない場合と同じ通路構成の従動軸の軸受部および従動軸を使用することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置を図1から図5に示す。本実施形態のバルブタイミング調整装置10は、作動流体として作動油を用いる油圧制御式であり、排気弁のバルブタイミングを調整する。
図1に示すように、駆動側回転体であるハウジング11は、チェーンスプロケット12、シューハウジング13およびフロントプレート15を有している。シューハウジング13は、図2に示す仕切部材としてのシュー131、132、133、134と、環状の周壁14とを有している。チェーンスプロケット12、シューハウジング13およびフロントプレート15は、ボルト16により同軸上に固定されている。チェーンスプロケット12は、図示しないチェーンにより図示しないエンジンの駆動軸としてのクランクシャフトと結合して駆動力が伝達され、クランクシャフトと同期して回転する。
従動軸としてのカムシャフト20は、バルブタイミング調整装置10を経由してクランクシャフトの駆動力が伝達される。カムシャフト20は、図示しない排気弁を開閉駆動する。カムシャフト20は、チェーンスプロケット12に対し所定の位相差をおいて回転可能にチェーンスプロケット12に挿入されている。
従動側回転体としてのベーンロータ21は、カムシャフト20の回転軸方向端面と接している。カムシャフト20およびベーンロータ21は、ボルト22により同軸上に固定されている。ベーンロータ21とカムシャフト20との回転方向の位置決めは、ベーンロータ21およびカムシャフト20に位置決めピン23をはめ込むことにより行われる。カムシャフト20、ハウジング11およびベーンロータ21は、図1に示す矢印X方向から見て時計方向へ回転する。以下、この回転方向をクランクシャフトに対するカムシャフト20の進角方向とする。
図2および図3に示すように、台形状に形成されたシュー131、132、133、134は、周壁14から径方向内側に伸びている。シュー131、132、133、134は、周壁14の回転方向にほぼ等間隔に配置されている。シュー131、132、133、134により回転方向に所定角度範囲で四個所に形成された間隙にはそれぞれベーンを収容する扇状の収容室135が四室形成されている。
ベーンロータ21は、カムシャフト20と軸方向端面で結合するボス部24と、ボス部24の外周側に回転方向へほぼ等間隔に配置されたベーン211、212、213、214とを有している。ベーンロータ21は、ハウジング11に対し相対回転可能にハウジング11の内部に収容されている。ベーン211、212、213、214は、各収容室135の内部に回転可能に収容されている。ベーン211、212、213、214は、各収容室135を遅角油圧室と進角油圧室とに仕切っている。図2に示す遅角方向、進角方向を表す矢印は、ハウジング11に対するベーンロータ21の遅角方向および進角方向を示している。
ハウジング11とベーンロータ21との間には、ロータ付勢弾性部材としてのスプリング18が設けられている。スプリング18は、一方の端部がフロントプレート15のピン部151に固定され、他方の端部がベーンロータ21のカムシャフト20とは反対側の端部に固定されている。スプリング18は、ハウジング11とベーンロータ21とを相対回転方向へ押し付けている。スプリング18は、図2においてハウジング11に対しベーンロータ21を進角方向へ押し付けている。これにより、図2において、進角方向はスプリング18による押し付け順方向であり、遅角方向はスプリング18による押し付け逆方向である。
シール部材25は、半径方向に向き合うシュー131、132、133、134とボス部24との間、ならびにベーン211、212、213、214と周壁14の内周壁との間に形成されている摺動隙間に配設されている。シール部材25は、シュー131、132、133、134の先端、およびベーン211、212、213、214の外周壁に設けた溝にはめ込まれており、例えばばねなどによりボス部24の外周壁および周壁14の内周壁に向けて押し付けられている。この構成により、シール部材25は各遅角油圧室と各進角油圧室との間に作動油が漏れることを防止している。
図1に示すように、円筒状に形成されたストッパピストン31は、ベーン211に回転軸方向へ摺動可能に収容されている。嵌合リング32は、チェーンスプロケット12に形成された凹部17に圧入保持されている。ストッパピストン31は、嵌合リング32に嵌合可能である。ストッパピストン31および嵌合リング32の嵌合側はテーパ状に形成されている。そのため、ストッパピストン31は、嵌合リング32に滑らかに嵌合する。押し付け手段であるスプリング33は、嵌合リング32側にストッパピストン31を押し付けている。ストッパピストン31、嵌合リング32およびスプリング33は、ハウジング11に対するベーンロータ21の相対回転を拘束する拘束手段を構成している。
ストッパピストン31のチェーンスプロケット12側に形成された油圧室34、ならびにストッパピストン31の外周に形成された油圧室35に供給される作動油の圧力は、嵌合リング32からストッパピストン31が抜け出す方向へ働く。油圧室34は後述する遅角油圧室のいずれかと連通し、油圧室35は進角油圧室のいずれかと連通している。ストッパピストン31の先端部は、ハウジング11に対し最も進角側にベーンロータ21が位置するとき嵌合リング32に嵌合可能である。ストッパピストン31が嵌合リング32に嵌合した状態においてハウジング11に対するベーンロータ21の相対回転は拘束されている。
ハウジング11に対しベーンロータ21が最も進角側から遅角側へ回転すると、ストッパピストン31と嵌合リング32との回転方向の位置がずれる。そのため、ストッパピストン31は、嵌合リング32に嵌合不能となる。
図2に示すように、シュー131とベーン211との間に遅角油圧室41が形成され、シュー132とベーン212との間に遅角油圧室42が形成され、シュー133とベーン213との間に遅角油圧室43が形成され、シュー134とベーン214との間に遅角油圧室44が形成されている。また、シュー134とベーン211との間に進角油圧室51が形成され、シュー131とベーン212との間に進角油圧室52が形成され、シュー132とベーン213との間に進角油圧室53が形成され、シュー133とベーン214との間に進角油圧室54が形成されている。ここで、遅角油圧室41、42、43、44は特許請求の範囲の遅角室であり、進角油圧室51、52、53、54は特許請求の範囲の進角室である。
図1に示すように流体供給源としてのオイルポンプ1は、オイルタンク2から汲み上げた作動油を供給通路3に供給する。切換弁60は、公知の電磁スプール弁であり、カムシャフト20の軸受部6よりもオイルポンプ1側において、供給通路3および排出通路4と、遅角通路70、進角通路80との間に設置されている。切換弁60は、電子制御装置(ECU)5から電磁駆動部61に供給されるディーティ比制御された駆動電流により切換制御される。切換弁60のスプール62は、駆動電流のディーティ比に基づいて変位する。このスプール62の位置により、切換弁60は、遅角油圧室41、42、43、44および進角油圧室51、52、53、54への作動油の供給、ならびに遅角油圧室41、42、43、44および進角油圧室51、52、53、54からの作動油の排出を切り換える。切換弁60への通電をオフした状態では、スプリング63の押し付け力によりスプール62は図1および図3に示す位置にある。
図1に示すように、軸受部6により回転を支持されているカムシャフト20の外周壁には、環状通路26、27が形成されている。遅角通路71は切換弁60から環状通路26を通り、進角通路81は切換弁60から環状通路27を通ってカムシャフト20の内部およびベーンロータ21のボス部24の内部に形成されている。
図3および図4に示すように、遅角通路70は、遅角油圧室41、42、43、44と接続する遅角通路72、73、74、75に分岐している。遅角通路72、73、74、75は、遅角油圧室41、42、43、44に作動油を供給するとともに、遅角油圧室41、42、43、44から流体排出側である排出通路4を経由して作動油を排出する。したがって、遅角通路72、73、74、75は、遅角供給通路と遅角排出通路とを兼ねている。
進角通路80は、進角油圧室51、52、53、54と接続する進角通路82、83、84、85に分岐している。進角通路82、83、84、85は、進角油圧室51、52、53、54に作動油を供給するとともに、進角油圧室51、52、53、54から排出通路4を経由して作動油を排出する。したがって、進角通路82、83、84、85は、進角供給通路と進角排出通路とを兼ねている。
逆止弁90は、遅角通路74において軸受部6よりも遅角油圧室43側に設置されている。逆止弁90は、遅角通路74と遅角通路77との間を開閉する。遅角通路74および遅角通路77は、特許請求の範囲の第一通路を構成している。逆止弁90は、遅角通路74を経由して遅角油圧室43に接続している。すなわち、遅角油圧室43は特許請求の範囲の制御室である。逆止弁90は、オイルポンプ1から遅角通路77および遅角通路74を通って遅角油圧室43に作動油が流入することを許容し、遅角油圧室43から遅角通路74および遅角通路77を通ってオイルポンプ1側へ作動油が逆流することを規制する。
逆止弁90は、図1および図5に示すように弁部材93および弁ボディとしてのホルダ94を有している。ホルダ94は、ベーンロータ21のベーン213に軸方向へ形成された穴部28に収容されている。ホルダ94は、筒状に形成され、内周側に遅角通路74と遅角通路77とを接続する通路を形成している。ホルダ94は、内周側に弁部材93を移動可能に収容している。弁部材93は、球形状に形成されている。弁部材93は、例えばスプリングなどの弾性部材95によってフロントプレート15側へ押し付けられている。ホルダ94は、フロントプレート15側の端部にシート部96を有している。弁部材93は、ホルダ94のシート部96に着座可能である。弁部材93がシート部96から離座、または弁部材93がシート部96へ着座することにより、遅角通路74と遅角通路77との間は開閉される。
弁部材93を移動可能に収容するホルダ94は、弁部材93をベーンロータ21の軸方向へ移動可能に収容している。これにより、弁部材93は、ホルダ94の内部をベーンロータ21の軸方向へ往復移動可能である。そのため、ベーンロータ21が回転し遠心力が発生しても、弁部材93の移動は遠心力の影響をほとんど受けない。
ところで、制御室である遅角油圧室43に接続する遅角通路74、77に逆止弁90を設置することにより、トルク変動によって遅角油圧室43からの作動油の流出を逆止弁90が規制するとき、遅角油圧室43における作動油の圧力は上昇する。そのため、遅角油圧室43からの作動油の漏れが生じやすくなる。そこで、遅角油圧室43に接するシール部材すなわちシュー133に設置されているシール部材25およびベーン213に設置されているシール部材25のシール効果は、他の各シューおよび各ベーンに設置されている各シール部材よりも高くしている。これにより、トルク変動が生じる場合でも、遅角油圧室43からの作動油の漏れを抑制することができる。
逆止弁90の遅角油圧室43側からは、図3および図4に示すように遅角通路74と遅角通路70とを接続する第二通路としての遅角通路78が分岐している。この遅角通路78には、制御弁100が設置されている。制御弁100は、図1および図5に示すようにベーンロータ21の内部に往復移動可能に弁部材としてのスプール101を収容したスプール弁である。制御弁100は、軸受部6よりも遅角油圧室43側に設置されている。
制御弁100には、図3および図4に示すように遅角通路70から分岐する遅角パイロット油路102および進角通路80から分岐する進角パイロット油路103が接続している。制御弁100は、スプール101を有している。スプール101は、ベーンロータ21の穴部29に収容されている。穴部29は、図1および図5に示すようにベーンロータ21のベーン213の内部をベーンロータ21の軸方向へ伸びて形成されている。これにより、スプール101は、ベーンロータ21の内部をベーンロータ21の軸方向へ往復移動可能である。
制御弁100のスプール101は、遅角パイロット油路102および進角パイロット油路103を経由して供給される作動油から受ける力のバランスによって移動する。遅角パイロット油路102は、遅角通路77を兼用し、スプール101のフロントプレート15側に接続している。一方、進角パイロット油路103は、ベーンロータ21のチェーンスプロケット12側に接続している。
進角パイロット油路103から作動油が導入されると、図5(A)に示すようにスプール101はフロントプレート15側へ移動する。そのため、遅角通路78は開放される。一方、遅角パイロット油路102から作動油が導入されると、図5(B)、図5(C)に示すようにスプール101はチェーンスプロケット12側へ移動する。そのため、遅角通路78は遮断される。このように、制御弁100は、遅角油圧室43と排出通路4とを接続する遅角通路78を開閉する。
上述のように、スプリング18はベーンロータ21をハウジング11に対し進角方向へ押し付けている。そのため、バルブタイミング調整装置10は、スプリング18の押し付け力によって、進角方向への位相変換速度が遅角方向への位相変換速度に比較して速くなる。すなわち、本実施形態の場合、バルブタイミング調整装置10は、遅角方向への位相変換速度が遅くなる。そこで、本実施形態では、逆止弁90および制御弁100は、位相変換速度が遅くなる遅角側の油圧室すなわち遅角油圧室43に接続している。
以上の通路構成により、オイルポンプ1から遅角油圧室41、42、43、44、進角油圧室51、52、53、54、油圧室34および油圧室35に作動油を供給可能になるとともに、各油圧室から排出通路4へ作動油を排出可能になる。
次に、バルブタイミング調整装置10の作動を説明する。
エンジンが停止しているとき、ストッパピストン31は図1に示すように嵌合リング32に嵌合している。エンジンを始動した直後の状態では、遅角油圧室41、42、43、44、進角油圧室51、52、53、54、油圧室34および油圧室35にオイルポンプ1から十分な圧力の作動油が供給されない。そのため、ストッパピストン31は嵌合リング32に嵌合したままであり、クランクシャフトに対しカムシャフト20は最進角位置に保持されている。これにより、作動油が各油圧室に供給されるまでの間、カムシャフト20が受けるトルク変動によってハウジング11とベーンロータ21との衝突による異音の発生が防止される。
エンジンが始動され、オイルポンプ1から作動油が十分に供給されると、油圧室34または油圧室35に供給される作動油の油圧によってストッパピストン31は嵌合リング32から抜け出す。そのため、ベーンロータ21は、ハウジング11に対し回転可能となる。そして、遅角油圧室41、42、43、44および進角油圧室51、52、53、54に供給する作動油を制御することにより、クランクシャフトに対するカムシャフト20の位相差が調整される。
(進角側への位相制御)
切換弁60への通電がオンのとき、スプール62はスプリング63の押し付け力に抗して加わる電磁駆動部61の駆動力によって図4に示す位置にある。この状態のとき、供給通路3から進角通路80に作動油が供給され、進角通路80から進角油圧室51、52、53、54へ作動油が供給される。また、この状態のとき、遅角油圧室41、42、44の作動油は、遅角通路70および切換弁60を経由して排出通路4に排出される。遅角油圧室43の作動油は、遅角通路73に接続している逆止弁90へ流入する。このとき、逆止弁90では、遅角通路77側よりも遅角油圧室43側の遅角通路74の作動油の圧力が高くなる。そのため、逆止弁90は、図5(A)に示すように弁部材93がシート部96に着座し、遅角油圧室43に接続する遅角通路74と遅角通路77との間を遮断する。
一方、このとき、制御弁100には、進角通路83に接続する進角パイロット油路103から作動油が供給されている。そのため、制御弁100は、図5(A)に示すように供給された作動油から受ける力によって遅角通路78を開放する。その結果、遅角油圧室43から排出された作動油は、遅角通路74、遅角通路78、制御弁100、遅角通路70および切換弁60を経由して排出通路4へ排出される。このように、進角油圧室51、52、53、54に作動油が供給され、遅角油圧室41、42、43、44から作動油が排出されることにより、ベーンロータ21は四室ある進角油圧室51、52、53、54の作動油から力を受けるとともに、スプリング18の押し付け力を受ける。その結果、ベーンロータ21はハウジング11に対し進角側へ回転する。
(遅角側への位相制御)
切換弁60への通電をオフすると、スプール62はスプリング63の押し付け力によって図1および図3に示す位置へ移動する。この状態において、供給通路3から遅角通路70に作動油が供給され、遅角通路70を経由して遅角油圧室41、42、43、44へ作動油が供給される。遅角油圧室43の場合、遅角通路77から逆止弁90を経由して作動油が供給される。一方、進角油圧室51、52、53、54の作動油は、進角通路82、83、84、85から進角通路80、切換弁60、排出通路4を経由して排出通路4に排出される。このように、遅角油圧室41、42、43、44に作動油が供給され、進角油圧室51、52、53、54から作動油が排出されることにより、ベーンロータ21は四室ある遅角油圧室41、42、43、44の作動油から力を受ける。その結果、ベーンロータ21はハウジング11に対し遅角側へ回転する。このとき、制御弁100には、遅角通路70に接続する遅角パイロット油路102から作動油が供給されている。そのため、制御弁100は、図5(B)および図5(C)に示すように供給された作動油から受ける力によって遅角通路78を遮断している。
遅角油圧室41、42、43、44に作動油を供給し、進角油圧室51、52、53、54から作動油を排出することによりベーンロータ21を遅角側の目標位相に位相制御するとき、ベーンロータ21はハウジング11に対し遅角側および進角側にトルク変動を受ける。このとき、ベーンロータ21が受けるトルク変動には、スプリング18の押し付け力が加わるため、平均すると進角側に大きく働く。ベーンロータ21が遅角側にトルク変動を受けるとき、ベーンロータ21の回転によって遅角油圧室43における作動油の圧力は低下する。その結果、遅角油圧室43に接続する遅角通路73における作動油の圧力は低下し、遅角通路77における作動油の圧力は遅角通路73における作動油の圧力よりも高くなる。したがって、図5(B)に示すように逆止弁90は開弁し、作動油は遅角油圧室43へ速やかに供給される。
一方、ベーンロータ21が進角側にトルク変動を受けると、遅角油圧室41、42、43、44の作動油は遅角通路72、73、74、75に流出する力を受ける。そのため、遅角油圧室43における作動油の圧力は上昇する。その結果、遅角油圧室43に接続する遅角通路73における作動油の圧力は上昇し、遅角通路77における作動油の圧力は遅角通路73における作動油の圧力よりも低くなる。したがって、図5(C)に示すように逆止弁90は遅角通路73と遅角通路77との間を遮断する。
上述のように、ベーンロータ21が遅角側へ移行するとき、制御弁100は遅角通路78を遮断している。これにより、ベーンロータ21が進角側へトルク変動を受けると、逆止弁90は遅角通路73を遮断し、制御弁100は遅角通路78を遮断する。そのため、遅角油圧室43の作動油は遅角通路73側へ排出されない。したがって、オイルポンプ1から供給される作動油の油圧が低いときに、ベーンロータ21が進角側にトルク変動を受けても、ベーンロータ21はハウジング11に対して進角側へ戻されない。その結果、遅角油圧室41、42、44からも作動油は排出されない。これにより、ベーンロータ21がカムシャフト20から進角側へトルク変動を受けても、ベーンロータ21がハウジング11に対し目標位相と反対の進角側へ戻ることが防止できる。その結果、ベーンロータ21は、遅角側の目標位相へ速やかに到達する。
ベーンロータ21が目標位相に到達すると、ECU5は切換弁60に供給する駆動電流のデューティ比を制御し、スプール62を図3と図4との中間位置に保持する。その結果、切換弁60は、遅角通路70および進角通路80と、オイルポンプ1および排出通路4との接続を遮断し、遅角油圧室41、42、43、44および進角油圧室51、52、53、54から排出通路4へ作動油が排出されることを防止する。したがって、ベーンロータ21は、目標位相に保持される。
本実施形態では、ベーンロータ21をハウジング11に対し進角側へ押し付けるスプリング18を備えている。そして、遅角油圧室43に接続する遅角通路73と遅角通路77との間に逆止弁90を設置し、遅角通路73から分岐する遅角通路78に制御弁100を設置している。逆止弁90は、遅角通路77側から遅角通路73および遅角油圧室43への作動油の供給を許容し、遅角油圧室43から遅角通路77側への作動油の排出を規制する。これにより、ベーンロータ21をスプリング18の押し付け方向とは逆の遅角側の目標位相に制御するとき、ベーンロータ21がカムシャフト20からトルク変動を受けても、逆止弁90が設置されている遅角通路73に接続する遅角油圧室43からの作動油の流出を防止することができる。複数の遅角油圧室41、42、43、44のうち一室の遅角油圧室43から作動油の流出を防止することにより、遅角油圧室41、42、44からの作動油の流出を防止することができる。その結果、位相制御中にベーンロータ21が目標位相から進角側へ戻ることを防止するので、ベーンロータ21は速やかに目標位相へ到達する。したがって、ベーンロータ21がスプリング18の押し付け方向と逆方向へ相対回転する場合でも、位相制御の応答性を向上させることができる。
また、ベーンロータ21をスプリング18の押し付け方向へ回転させる場合、ベーンロータ21はスプリング18の押し付け力および進角油圧室51、52、53、54に供給された作動油から受ける力により相対回転する。したがって、進角油圧室51、52、53、54に接続する進角通路81、82、83、84に逆止弁を設置しなくても、ベーンロータ21は速やかに目標位相へ到達する。
本実施形態では、遅角通路78に設置されている制御弁100は、ベーンロータ21をスプリング18の押し付け方向すなわち進角側へ位相制御するとき、遅角通路78を開放する。一方、制御弁100は、ベーンロータ21をスプリング18の押し付け方向と逆方向すなわち遅角側へ位相制御するとき、遅角通路78を遮断する。そのため、ベーンロータ21をスプリング18の押し付け方向へ位相制御するとき、遅角通路78を経由した遅角油圧室43からの作動油の排出を逆止弁90よりもオイルポンプ1側へ接続することができる。したがって、遅角油圧室41、42、43、44、および進角油圧室51、52、53、54への作動油の供給、ならびにこれらからの作動油の排出を切り換える切換弁60に、専用ポートを設置する必要がなく、切換弁60の構造を簡単にすることができる。
本実施形態では、遅角油圧室41、42、43、44および進角油圧室51、52、53、54がそれぞれ複数形成され、各遅角油圧室および各進角油圧室にオイルポンプ1から作動油が供給される。そのため、ベーンロータ21が各遅角油圧室および各進角油圧室の作動油から遅角側および進角側に油圧を受ける受圧面積が大きい。その結果、気筒数が多くトルク変動の小さいエンジンであっても、低い油圧でベーンロータ21を所定の位相に制御することができる。また、逆止弁90は遅角油圧室43に接続する遅角通路73、77に設置される。そのため、逆止弁90の部品点数を低減することができる。
さらに、本実施形態では、逆止弁90は軸受部6よりも遅角油圧室43側に設置されている。そのため、遅角側への位相制御時にベーンロータ21がカムシャフト20から進角側へトルク変動を受けると、軸受部6よりも遅角油圧室43側で逆止弁90が遅角通路73および遅角通路77を遮断する。これにより、ベーンロータ21が遅角側および進角側にトルク変動を受け遅角油圧室43における作動油の油圧が変動しても、この圧力変動は逆止弁90のオイルポンプ1側に位置するカムシャフト20と軸受部6との摺動部に伝達されない。したがって、ベーンロータ21がトルク変動を受けても、遅角油圧室43の作動油がカムシャフト20と軸受部6との摺動部から漏れることが防止され、位相制御の応答性を高めることができる。
さらに、本実施形態では、切換弁60は、軸受部6のオイルポンプ1側において、ベーンロータ21、ハウジング11およびカムシャフト20の外部に設置されている。したがって、ベーンロータ21、ハウジング11およびカムシャフト20の大型化を招くことはない。
(その他の実施形態)
本実施形態では、バルブタイミング調整装置10を排気バルブのバルブタイミングの調整に適用する例について説明した。しかし、バルブタイミング調整装置10は、吸気バルブのバルブタイミングの調整に適用することもできる。
また、本実施形態では、スプリング18を用いてベーンロータ21を進角側へ押し付け、スプリング18の押し付け方向とは逆方向へベーンロータ21を押し付ける遅角油圧室43に逆止弁90を設置する例について説明した。しかし、スプリング18の押し付け方向は進角側に限らず遅角側でもよく、スプリング18によって位相変換速度が低下する側の油圧室に逆止弁90を設置する構成としてもよい。
本実施形態では、カムシャフト20の軸受部6の遅角油圧室43側に遅角油圧室43からの作動油の排出を規制する逆止弁90を設置したが、軸受部6のオイルポンプ1側に逆止弁90を設置してもよい。また、カムシャフト20の軸受部6の遅角油圧室43側に制御弁100を設置したが、軸受部6のオイルポンプ1側に制御弁100を設置してもよい。
また、本実施形態では、チェーンスプロケット12によりクランクシャフトの回転駆動力をカムシャフト20に伝達する構成を採用したが、タイミングプーリまたはタイミングギアなどを用いる構成にすることも可能である。また、駆動軸としてのクランクシャフトの駆動力をベーンロータ21で受け、従動軸としてのカムシャフト20とハウジング11とを一体に回転させることも可能である。
また、本実施形態において、制御弁100が設置されている遅角通路78の排出側は、逆止弁90のオイルポンプ1側の遅角通路70と接続せず、オイルタンク2に直接作動油を排出してもよい。
本実施形態では、逆止弁90の弁部材93はベーンロータ21の回転軸方向に作動したが、オイルポンプ1から遅角油圧室43への作動油の流れを許容し、遅角油圧室43からオイルポンプ1側への作動油の流れを規制できるのであれば、逆止弁90は回転軸方向以外に作動してもよい。
本実施形態では、ストッパピストン31が軸方向に移動して嵌合リング32に嵌合したが、ストッパピストンが半径方向に移動し嵌合リングに嵌合する構成にすることも可能である。また、ストッパピストン31、嵌合リング32およびスプリング33からなる拘束手段によりハウジング11に対するベーンロータ21の相対回動を拘束したが、バルブタイミング調整装置10が拘束手段を持たない構成も可能である。
以上のように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置の概略を示す断面図。 図1のII−II線で切断した断面図であって、ベーンロータの位相が遅角側にある状態を示す図。 本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置およびその油圧回路の構成を示す概略図であって、ベーンロータの位相が遅角側にある状態を示す図。 本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置およびその油圧回路の構成を示す概略図であって、ベーンロータの位相が進角側にある状態を示す図。 本発明の一実施形態によるバルブタイミング調整装置の逆止弁および制御弁の近傍を拡大した図。
符号の説明
1 オイルポンプ(流体供給源)、6 軸受部、10 バルブタイミング調整装置、11 ハウジング、18 スプリング(ロータ付勢弾性部材)、20 カムシャフト(従動軸)、21 ベーンロータ、25 シール部材、41、42、44 遅角油圧室(遅角室)、43 遅角油圧室(遅角室、制御室)、51、52、53、54 進角油圧室(進角室)、60 切換弁、70、71、72、73、75 遅角通路、74、77 遅角通路(第一通路)、78 遅角通路(第二通路)、80、81、82、83、84 進角通路、90 逆止弁、100 制御弁、101 スプール(弁部材)、135 収容室、211、212、213、214 ベーン

Claims (11)

  1. 内燃機関の駆動軸から吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、
    前記駆動軸または前記従動軸の一方とともに回転し、所定角度範囲で回転方向に形成された収容室を回転方向に複数有するハウジングと、
    前記駆動軸または前記従動軸の他方とともに回転し、前記収容室に収容されるベーンを有し、前記ベーンにより各収容室を仕切って形成された複数の遅角室および進角室の作動流体圧力により前記ハウジングに対し遅角側または進角側に相対回転駆動されるベーンロータと、
    前記ハウジングと前記ベーンロータの間に設けられ、前記ハウジングに対して前記ベーンロータを進角側または遅角側へ回転駆動する方向に押し付けるロータ付勢弾性部材と、
    前記ロータ付勢弾性部材の押し付け力によって、前記ハウジングに対する前記ベーンロータの相対回転駆動速度が進角側または遅角側の一方に対して遅角側または進角側の他方が遅くなる側の前記遅角室または前記進角室のうち少なくともいずれか一つの遅角室または進角室を制御室とし、前記遅角室または前記進角室と作動流体を供給する流体供給源とを接続する遅角通路または進角通路のうち前記制御室に接続する通路を第一通路とするとき、前記第一通路に設けられ前記流体供給源から前記制御室への作動流体の流れを許容し、前記制御室から前記流体供給源側への作動流体の流れを規制する逆止弁とを備え、
    前記制御室から第二通路を経由して作動流体を排出するバルブタイミング調整装置。
  2. 前記遅角室および前記進角室は、それぞれ三室以上形成されている請求項1記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記制御室は前記複数の遅角室および進角室のうち一室に設定され、前記逆止弁は前記制御室のみに作動流体を供給する前記第一通路に設置されている請求項1または2記載のバルブタイミング調整装置。
  4. 前記制御室からの作動流体の漏れを防止するシール部材のシール効果は、他の遅角室または進角室よりも高い請求項3記載のバルブタイミング調整装置。
  5. 前記遅角通路、前記進角通路および前記第一通路は、前記従動軸の軸受部および前記従動軸を通って前記遅角室または前記進角室に接続しており、
    前記逆止弁は、前記軸受部よりも前記第一通路の前記制御室側に設置されている請求項1から4のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
  6. 前記遅角室および前記進角室への作動流体の供給、ならびに前記遅角室および前記進角室からの作動流体の排出を切り換える切換弁をさらに備え、
    前記遅角通路、前記進角通路、前記第一通路および前記第二通路は、前記従動軸の軸受部および前記従動軸を通って前記遅角室または前記進角室に接続しており、
    前記切換弁は、前記軸受部よりも前記流体供給源側に設置されている請求項1から5のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
  7. 前記逆止弁は、前記ベーンに設置されている請求項1から6のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
  8. 前記逆止弁は、前記ベーンロータの回転軸方向に作動する請求項7記載のバルブタイミング調整装置。
  9. 前記第二通路に設置され、前記第二通路における作動流体の流れを制御する制御弁をさらに備える請求項1から8のいずれか一項記載のバルブタイミング調整装置。
  10. 前記制御弁は、前記第二通路を開閉する弁部材を有し、
    前記弁部材は、前記第一通路の前記逆止弁よりも流体供給源側の作動流体圧力と、前記遅角通路または前記進角通路のうち前記第一通路が接続していない方の通路の作動流体圧力のいずれか一方により開閉駆動される請求項9記載のバルブタイミング調整装置。
  11. 前記遅角通路、前記進角通路および前記第一通路は、前記従動軸の軸受部および前記従動軸を通って前記遅角室または前記進角室に接続しており、
    前記制御弁は、前記軸受部よりも前記制御室側に設置されている請求項9または10記載のバルブタイミング調整装置。



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