JP2007136560A - 平面研磨装置 - Google Patents

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JP2007136560A JP2005329743A JP2005329743A JP2007136560A JP 2007136560 A JP2007136560 A JP 2007136560A JP 2005329743 A JP2005329743 A JP 2005329743A JP 2005329743 A JP2005329743 A JP 2005329743A JP 2007136560 A JP2007136560 A JP 2007136560A
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Yoshio Horie
芳男 堀江
Hiroshi Sugishita
寛 杉下
Kazuo Miya
和雄 宮
Akira Kobayashi
彰 小林
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Abstract

【課題】研磨面の全面を均一に冷却することで熱膨張を抑止するような平面研磨装置を提供する。
【解決手段】内周側流路40とミスト発生器33とを通流させるとともに外周側流路41と冷媒槽45とを通流させて熱交換室42の内周側へ冷媒を送出して外周側から回収する内周側冷却と、外周側流路41とミスト発生器33とを通流させるとともに内周側流路40と冷媒槽45とを通流させて外周側の熱交換室42へ冷媒を送出して内周側から回収する外周側冷却と、を交互に行って、下ラップ板1および上ラップ板2で均等に冷却するような平面研磨装置1000とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、水晶、シリコン、ガラス、金属その他種々の材料の表面の研磨加工を行う平面研磨装置に関する。
水晶、シリコンウエハ等を研磨する従来技術の平面研磨装置は、上ラップ板、下ラップ板、キャリヤ、太陽歯車および内歯車を備える。
上ラップ板および下ラップ板は、鋳鉄等の材料で造られている。
キャリヤは、その外周に歯車が形成され、ワーク(被加工物)を保持する穴が形成されている。
太陽歯車および内歯車は、キャリヤの外周の歯車と噛合っており、自転しつつ公転するという遊星運動をキャリヤに行わせる。
平面研磨装置の研磨動作を行わせるときは、ワークを保持した状態のキャリヤを、下ラップ板の上に載置し、さらにキャリヤの外周に形成された歯車を太陽歯車、内歯車と噛み合わせる。そして上側から上ラップ板を配置してワークを上ラップ板および下ラップ板により挟んだ状態とし、キャリヤに遊星運動をさせてワークの上下面を研磨加工する。
このような平面研磨装置では、装置に備えられている動力系や駆動系からの発生熱、各軸々受け等からの摩擦熱、加工時に発生する下ラップ板とワークとの摩擦熱およびワークと上ラップ板との摩擦熱(以下これら熱を単に熱という)が発生する。そしてこの熱のため、上ラップ板および下ラップ板の研磨面は、熱膨張により変形する。
平面研磨装置では、「ラップ加工及びポリシング加工は、ラップ板の研磨面の精度をワークに転写する加工である。」と言われている。ワークをラップ板に押しつけて研磨剤を媒体として研磨加工するためであるが、上ラップ板および下ラップ板で熱膨張が発生すると、研磨面の変形がそのままワークへ転写され、加工後のワークの平面精度の低下をきたす恐れがある。
そこで、上ラップ板および下ラップ板を冷却により一定温度として研磨面の平面精度を維持することが一般的である。このような従来技術の平面研磨装置として、例えば、特許文献1(実開昭63−30466号公報,発明の名称「定盤の温度制御装置」)が知られている。
この特許文献1に係る従来技術について図を参照しつつ説明する。図5は、従来技術の平面研磨装置の冷却機構を示す要部断面図である。
この冷却機構は、冷却媒体(以下、本明細書中で冷却媒体を単に冷媒とする。)を用いるものであり、図5で示すように、回転自在に支持された下ラップ板101の内部に、冷媒供給管102を形成し、冷媒の循環により下ラップ板101の全体から吸熱し、冷媒の外部への放出とともに放熱を行うような機構である。冷媒としては比熱差を活かし、水が最も多く使われている。
また、他の従来技術として、例えば、特許文献2(実公昭60−21172号,発明の名称「ラッピング装置」)などが知られている。
従来技術の平面研磨装置はこのようなものである。
実開昭63−30466号公報(第1図) 実公昭60−21172号公報(第2図,第3図)
さて、上記のような従来技術の平面研磨装置の冷却機構では、下ラップ板の半径方向の位置によっては温度差が生じて依然下ラップ板の研磨面に変形が生じるおそれがあった。この点について説明する。図5で示した従来技術では、下ラップ板101の回転軸側から冷媒供給管102に冷媒を供給し、下ラップ板101の外周側まで移動させた上で折り返し、外周側から中心軸側へ冷媒を通流させた上で排出口から冷媒戻し管103へ冷媒を排出させる構造である。
しかし、冷媒供給管102を通流する冷媒は、下ラップ板101へ流入した当初は冷たい冷媒であるが、外周側へ行くにつれて温度上昇し、さらに研磨面に近い上側を流れているうちにプレート研磨面の温度に近づいていく。つまり下ラップ板101は上側は暖かく下側は冷たいため、下ラップ板101は上側と下側との熱膨張差による平面度の狂いを生じることとなり、その結果研磨されたワークは、平面度や平衡度で精度低下をきたすおそれがあった。このような問題は特に図示していないが上ラップ板でも起こりうることである。
また、特許文献2のラッピング装置は、回転軸側から冷却空間へ冷媒を供給して同じ回転軸側で冷媒を吸引するというものであり、この場合も、供給口部分の近傍である内周側が最も冷却されラップ板外周部との温度差ができるためラップ板の平面を維持することが困難であった。
そこで、本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、研磨面の全面を均一に冷却することで熱膨張を抑止するような平面研磨装置を提供することにある。
本発明の請求項1に係る平面研磨装置は、
円状または環状であって、内部に熱交換室が形成されるラップ板と、
熱交換室の内周側で連通する内周側流路と、
熱交換室の外周側で連通する外周側流路と、
冷媒を供給する冷媒供給装置と、
冷媒を回収する回収装置と、
内周側流路、外周側流路、冷媒供給装置および回収装置に接続されて、内周側流路と冷媒供給装置とを通流させるとともに外周側流路と回収装置とを通流させて内周側の熱交換室へ冷媒を送出して外周側から回収する内周側冷却と、また、外周側流路と冷媒供給装置とを通流させるとともに内周側流路と回収装置とを通流させて外周側の熱交換室へ冷媒を送出して内周側から回収する外周側冷却と、を切替え制御する流路切替え部と、
を備え、
ラップ板の内周側冷却と外周側冷却とを交互に行って、ラップ板を内外周で均等に冷却することを特徴とする。
ラップ板を冷却する従来技術では、冷媒の供給側で最低温になり、冷媒が通流するに連れて温度が上昇していき、排出側で最高温になるというように供給側と排出側とで温度差を生じる。
一方、本発明では、ラップ板の冷却として、内周から外周へ冷媒を通流させる内周側冷却と、外周から内周へ冷媒を通流させる外周側冷却と、を行って流れを切り換えることにより冷媒の流れを定期的に変化させて、供給側と排出側というように位置によって温度差が生じないように防止する。これによりラップ板の内周側と外周側との温度差を無くして均一にし、ラップ板の研磨面の平面を維持する。
また、本発明の請求項2に係る平面研磨装置は、
請求項1に記載の平面研磨装置において、
前記冷媒供給装置は、水および圧縮空気が供給され、水および圧縮空気の混合量を調節して水と空気を混合させたミスト状態の冷媒とすることを特徴とする。
液体である水は、冷却効果が高いと言われている。また、気体である空気は、流通速度が速い。そこで、冷媒として主に空気と水とを混合したミストを用いる。このミストはラップ板温度や熱交換室内形状の影響も受けにくい冷媒である。このミストを用いることで、空気により高速に排気して急速な排熱を実現し、さらに、水滴を気化させることで冷却効果も高めて、最終的には冷媒による熱交換の効率を上げ且つ高速に流し、ラップ板全体を均一な温度とし冷却効率の向上に寄与し、高精度のワーク加工を可能とする。
また、本発明の請求項3に係る平面研磨装置は、
請求項2に記載の平面研磨装置において、
前記冷媒供給装置は、水のみの冷媒、または、圧縮空気のみの冷媒となるように混合量を調節可能とすることを特徴とする。
冷媒として冷却効果が高い水のみとして冷却効果を高めたり、または、流通速度が速い空気のみを選択して排気速度を速めるようにしても良い。
また、本発明の請求項4に係る平面研磨装置は、
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の平面研磨装置において、
前記熱交換室は略扇形であって前記ラップ板の内部を複数の熱交換室に区画形成することを特徴とする。
熱交換室を区分して空間容積を狭めたため、冷媒が滞留することなく確実に排出されて、排熱が行われる
また、本発明の請求項5に係る平面研磨装置は、
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の平面研磨装置において、
熱交換室内に突出する突出部を備えることを特徴とする。
突出部により冷媒と接触する熱交換室の表面積を増大させて冷却効果を大きくする。
また、本発明の請求項6に係る平面研磨装置は、
請求項5に記載の平面研磨装置において、
前記突出部は、通気性または吸水性を有する部材で形成されることを特徴とする。
熱交換室内を通気性および吸水性のある材質を使用した複数の突出部で仕切ることで、ミスト成分の多くは通気性により排出されるが、水分は吸水性により吸水された後に気化により冷却するため、冷媒のいっそうの流れを促進すると共に冷却効率の向上をはかる。
また、本発明の請求項7に係る平面研磨装置は、
請求項5または請求項6に記載の平面研磨装置において、
前記突出部は、その接触面に格子状又は線状の溝を備えることを特徴とする。
突出部の表面積をさらに増やすことで冷媒と突出部の接触面積を増大させて、さらに冷却効率の向上を図る。
また、本発明の請求項8に係る平面研磨装置は、
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の平面研磨装置において、
熱交換室、内周側流路、および、外周側流路の内部を減圧する減圧器を備えることを特徴とする。
ミスト発生器で発生させた水と空気を混合させたミスト状態とした冷媒を通流させるときに冷媒槽内を減圧することにより、熱交換室内の側壁や突出部の表面に付着した水滴の気化時の温度を下げて、水の蒸発を促進させて気化し易くし、冷却効率を高める。
また、本発明の請求項9に係る平面研磨装置は、
請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の平面研磨装置において、
前記ラップ板が上側と下側とにそれぞれ配置され、水平面内に組み込まれた太陽歯車と内歯車との間に、複数個のキャリヤを等間隔に配置させて被加工物であるワークを挿入した後、上側のラップ板を下降させて下側のラップ板とで挟み込んだ状態で、研磨剤を供給しつつキャリヤを自転及び公転させる遊星運動と上側および下側のラップ板の相対的な回転運動とを同時に行ってワークを上下面で研磨することを特徴とする。
4wayの平面研磨装置に適用したため、上下の研磨面が平行を維持して精度の高い平行平面を形成する。
本発明によれば、研磨面の全面を均一に冷却することで熱膨張を抑止するような平面研磨装置を提供することができる。
本発明の平面研磨装置を実施するための最良の形態について説明する。図1は本形態の平面研磨装置の断面構成図である。まず、駆動系について説明する。この平面研磨装置1000は、図1で示すように、研磨工具である下ラップ板1と上ラップ板2(図2も参照)とを有し、これら下ラップ板1と上ラップ板2とは互いに反対方向に回転するようになされている。これら下ラップ板1と上ラップ板2との間には、キャリヤ3が配置されている。キャリヤ3は、外周部が歯車状に形成され、複数個配置されるのが一般的である。このキャリヤ3は、単数または複数個のワーク200を穴に挿通して保持する。ポリシング加工では、下ラップ板1と上ラップ板2との研磨面にワーク材質に適合する樹脂等の図示されていないパットを貼り付ける場合もある。
これらキャリヤ3は内側にある太陽歯車4と噛み合い、さらに外側にある内歯車5とも噛み合っている。
これら下ラップ板1、上ラップ板2、太陽歯車4および内歯車5は、それぞれの駆動源により回転駆動されるようになされている。
下ラップ板1は、下ラップ板回動体6、大歯車7、小歯車8、下ラップ板減速機9により、下ラップ板電動機10からの駆動力が下ラップ板1へ伝達される伝達駆動系が構成されている。さらに、下ラップ板減速機9と下ラップ板電動機10とは、ベルトとプーリとにより駆動力が伝達されるようになされている。
上ラップ板2は、具体的には図1で示すように、中心軸11、大歯車12、小歯車13、上ラップ板減速機14により、上ラップ板電動機15からの駆動力が上ラップ板2(図1,図2参照)に伝達される伝達駆動系が構成されている。さらに、上ラップ板減速機14と上ラップ板電動機15とは、ベルトとプーリとにより駆動力が伝達されるようになされている。
また、太陽歯車4は、太陽歯車回動体16、大歯車17、小歯車18、太陽歯車減速機19により、太陽歯車電動機20からの駆動力が太陽歯車4へ伝達される伝達駆動系が構成されている。さらに、太陽歯車減速機19と太陽歯車電動機20とは、ベルトとプーリとにより駆動力が伝達されるようになされている。
また、内歯車5は、内歯車回動体21、大歯車22、小歯車23、内歯車減速機24により、内歯車電動機25からの駆動力が内歯車5へ伝達される伝達駆動系が構成されている。さらに、内歯車減速機24と内歯車電動機25とは、ベルトとプーリとにより駆動力が伝達されるようになされている。
続いて、平面研磨装置1000の上ラップ板2について図を参照しつつさらに説明する。図2は本形態の平面研磨装置の上側断面構成図である。
上ラップ板2の上側には、上ラップ板昇降機26、昇降軸27、軸受28、上側上ラップ板吊り板29、吊上軸30、下側上ラップ板吊り板31が形成されている。
上ラップ板昇降機26は上ラップ板2の上方に設置されるものであり、棒状の中心軸である昇降軸27を上下動できるように構成されている。昇降軸27には軸受28が嵌め込まれて固着されており、この軸受28の外輪側には上側上ラップ板吊り板29が固定されている。上側上ラップ板吊り板29と下側上ラップ板吊り板31とは複数の吊上軸30を介して一体に形成されている。下側上ラップ板吊り板31には上ラップ板2が取付けられている。つまり上ラップ板昇降機26が昇降軸27を昇降させると、上ラップ板2も昇降する。また、上ラップ板2が回転すると、上側上ラップ板吊り板29や下側上ラップ板吊り板31も回動するが軸受28により昇降軸27までは回動しない。
さらに、これら下ラップ板1や上ラップ板2を回転駆動するための研磨装置制御盤32を備える。研磨装置制御盤32は、下ラップ板電動機10、上ラップ板電動機15、太陽歯車電動機20、内歯車電動機25と接続されるとともに、これら各電動機10,15,20,25の回転数を制御しつつ回転駆動する。また、研磨装置制御盤32は上ラップ板昇降機26と接続されるとともに、この上ラップ板昇降機26の昇降制御を行う。
これらは駆動系を形成している。
このような構成を採用した駆動系では以下のように動作する。加工作業開始時は、被加工物であるワーク200をキャリヤ3に取り付ける為に、上ラップ板昇降機26により上ラップ板2を上方に移動させてワーク200をセットする。セットが終わると上ラップ板2を下降させ下ラップ板1の上に載置されたキャリヤ3に保持されたワーク200の上に積載してワーク200を挟持押圧する。そして、研磨装置制御盤32は設定されたプログラム(加工前の状態、材質、加工研磨代及び仕上がり面に応じて上ラップ板昇降機26に適正押し圧を供与しつつ回転駆動させる加工プログラム)により研磨剤の供給を開始するとともに下ラップ板1、上ラップ板2、太陽歯車4および内歯車5を回転させる。
すると、上ラップ板2の下降後に太陽歯車4および内歯車5が適切な回転比で回転駆動されて、キャリヤ3は、公転方向を一定にした状態で、自転しつつ公転する。
したがって、下ラップ板1および上ラップ板2に両面が接触するワーク200は、上ラップ板2・上ラップ板昇降機26の荷重調整機構により適正荷重を付与しつつ、下ラップ板1および上ラップ板2の反対方向の回転とキャリヤ3の自転・公転とにより、一方向に偏らずに多方向に移動する。この状態で研磨液が供給されてワーク200の上下両面を同時に研磨加工し、ワーク200を平行且つ平面とする。
平面研磨装置1000の駆動系はこのようなものである。
続いて、平面研磨装置1000の冷却系について説明する。図3は上ラップ板および下ラップ板の熱交換室の横断面図、図4は上ラップ板および下ラップ板の熱交換室の縦断面図である。
まず、下ラップ板1の冷却系について図1を参照しつつ説明する。
冷却系としては、圧縮空気発生器(コンプレッサー)33、圧縮空気供給管34、圧縮空気供給調整弁35、ミスト発生器36、冷媒供給管37、冷媒供給調整弁38、冷媒供給・停止弁39、内周側流路40、外周側流路41、熱交換室42、冷媒戻し・停止弁43、冷媒戻し管44、冷媒槽45、冷却コイル46、水供給管47、水供給調整弁48、減圧機49を備える。
さらに上ラップ板2にも冷却系が形成され、図2で示すように、内周側流路40、外周側流路41、ロータリージョイント50を備える。
そして、熱交換室42については、図3で示すように、略扇型に形成された八区画の熱交換室42が形成され、それぞれに内周側流路40および外周側流路41が連通している。さらにこの熱交換室42の中には、図4で示すように、突出部である通気吸水格子板状熱交換上プレート51、通気吸水格子板状熱交換下プレート52が形成されている。
続いて冷却系の動作について説明する。
圧縮空気発生器(コンプレッサー)33は、圧縮空気を生成して圧縮空気供給管34、圧縮空気供給調整弁35を経てミスト発生器36へ圧縮空気を供給している。
また、冷媒槽45では冷却コイル46により水が冷却されており、ミスト発生器36へは、この冷媒槽45から水供給管47、水供給調整弁48を経て冷却水が供給される。
このミスト発生器36では圧縮空気と冷却水とを混合してミストを生成し、このミストを冷媒として供給している。なお、冷媒については、ミスト発生器36に供給する圧縮空気の供給量を圧縮空気供給調整弁35で、また、水の供給量を水供給調整弁48で、それぞれ調整することが可能であり、最適な状態のミストを冷媒として用いることができる。このようなミスト状の冷媒とする理由は後述する。冷媒は、冷媒供給調整弁38により最適な量に調整された上で、冷媒供給管37を介して冷媒供給・停止弁39へ出力される。なお、ミスト状の冷媒に限定するというものではなく、従来より使用されている冷却効果が高いと言われている液体の水のみの冷媒としてもよく、また、流通効果の高い圧縮空気のみの冷媒としても良い。
これら圧縮空気発生器(コンプレッサー)33、圧縮空気供給管34、圧縮空気供給調整弁35、ミスト発生器36、冷媒供給管37、冷媒供給調整弁38、冷媒槽45、冷却コイル46、水供給管47、水供給調整弁48は、冷媒を供給する冷媒供給装置の一具体例である。
冷媒供給・停止弁39は二個設けられ、いずれもミスト発生器36と通流する冷媒供給管37と接続される。本形態では一個の冷媒供給調整弁38から供給される一定の供給量の冷媒を分岐した冷媒供給管37により冷媒供給・停止弁39へ流入させる構成としている。一方の冷媒供給・停止弁39には内周側流路40が、また、他方の冷媒供給・停止弁39には外周側流路41が、それぞれ接続されている。この場合、一方の冷媒供給・停止弁39は開成されて冷媒が供給され、他方の冷媒供給・停止弁39は閉成されて冷媒の供給は停止されている。説明の具体化のため、内周側流路40が接続された冷媒供給・停止弁39が開成されているものとして説明する。
内周側流路40は途中で分岐して下ラップ板1と上ラップ板2とに連通している。まず、下ラップ板1について説明する。内周側流路40を介して供給された冷媒は、図1で示すように下ラップ板1では、そのまま熱交換室42へ流入する。下ラップ板1では、図3で示すように八区画全てに内周側流路40が連通しており、下ラップ板1の内周側へ冷媒が供給される。そして熱交換室42では、内周側から外周側へ冷媒が通流して、外周側流路41で吸引回収される。この熱交換室42では、図4で示すように通気吸水格子板状熱交換上プレート51、通気吸水格子板状熱交換下プレート52が配置され、これらプレート51,52に沿って昇降するような経路としているため、冷媒は、確実に熱交換室42内の表面に当接して熱交換効率を高めるようにしている。また、通気吸水格子板状熱交換上プレート51、通気吸水格子板状熱交換下プレート52の側壁に線状または格子状の溝を形成して、接触面積を増大させることで、より冷却効率を高めるようにしても良い。
続いて、上ラップ板2について説明する。内周側流路40を介して供給された冷媒は、図2で示すように上ラップ板2では、ロータリジョイント50を介して熱交換室42へ流入する。この上ラップ板2では、図2で示すように、昇降軸27の軸内に内周側流路40および外周側流路41が連通しており、図示しないがロータリージョイント50まで連通している。ロータリジョイント50は自らが回転したときにも、回転しない昇降軸27との内周側流路40および外周側流路41を維持形成するようになされており、最終的に内周側流路40は熱交換室42の内周側と、また、外周側流路41は熱交換室42の外周側と連通している。
さて、内周側流路40に冷媒が供給されると、上ラップ板2では、ロータリジョイント50を介して熱交換室42へ冷媒が供給される。上ラップ板2でも、図3で示すように、八区画全てに内周側流路40が連通しており、上ラップ板2の内周側へ冷媒が供給される。そして熱交換室42では、内周側から外周側へ冷媒が通流して、外周側流路41で吸引回収される。この上ラップ板2の熱交換室42でも、図4で示すように通気吸水格子板状熱交換上プレート51、通気吸水格子板状熱交換下プレート52が配置され、これらプレート51,52に沿って昇降するような経路としているため、冷媒は、確実に熱交換室42内の表面に当接して熱交換効率を高めるようにしている。また、気吸水格子板状熱交換上プレート51、通気吸水格子板状熱交換下プレート52の側壁に線状または格子状の溝を形成して、接触面積を増大させることで、より冷却効率を高めるようにしても良い。
下ラップ板1と上ラップ板2とに連通する外周側流路41は途中で合流して冷媒戻し・停止弁43と接続されている。この冷媒戻し・停止弁43は二個設けられ、一方の冷媒戻し・停止弁43にはこの外周側流路41が接続されているが、他方の冷媒戻し・停止弁43には後述する内周側流路40が接続されている。先に説明したが内周側流路40が接続された冷媒供給・停止弁39が開成されているときは、外周側流路41に接続された冷媒戻し・停止弁43が開成されることとなる。二個の冷媒戻し・停止弁43はいずれも冷媒槽45と連通している。冷媒はこの冷媒槽45へ入力される。この際、減圧機49により熱交換室42や外周側流路41の内部が低圧に維持されて冷媒が余すことなく回収される。また、減圧機49により冷媒槽45内の空気が排気されているため冷媒のうち空気は排気され、冷媒槽45へは冷媒のうち水のみが回収される。冷媒槽45内の水は冷却コイル46により冷却されて冷却水となり、ミスト発生器36へ戻される。このように内周側流路40から冷媒が供給されるとともに外周側流路41で冷媒が回収されることとなる。これが内周側冷却である。
ここに冷媒戻し管44、冷媒槽45は、冷媒を回収する回収装置の一具体例である。
そして、内周冷却後に外周側冷却が行われる。この場合、供給側では内周側流路40が接続された冷媒供給・停止弁39が閉成されるとともに外周側流路41が接続された冷媒供給・停止弁39が開成される。さらに同時に、回収側では内周側流路40が接続された冷媒戻し・停止弁43が開成されるとともに外周側流路41が接続された冷媒戻し・停止弁43が閉成される。そして外周側流路41から冷媒が供給されるとともに内周側流路40で冷媒が回収されることとなる。これにより外周側より冷却がなされる。
外周側流路41は途中で分岐して下ラップ板1と上ラップ板2とに連通している。まず、下ラップ板1について説明する。外周側流路41を介して供給された冷媒は、図1で示すように下ラップ板1では、そのまま熱交換室42へ流入する。下ラップ板1では、図3で示すように八区画全てに外周側流路41が連通しており、下ラップ板1の外周側へ冷媒が供給される。そして熱交換室42では、外周側から内周側へ冷媒が通流して、内周側流路40で吸引回収される。この熱交換室42では、図4で示すように通気吸水格子板状熱交換上プレート51、通気吸水格子板状熱交換下プレート52が配置され、これらプレート51,52に沿って昇降するような経路としているため、冷媒は、確実に熱交換室42内の表面に当接して熱交換効率を高めるようにしている。
また、外周側流路41に冷媒が供給されると、上ラップ板2では、ロータリジョイント50を介して熱交換室42へ冷媒が供給される。上ラップ板2でも、図3で示すように、八区画全てに外周側流路41が連通しており、上ラップ板2の内周側へ冷媒が供給される。そして熱交換室42では、内周側から外周側へ冷媒が通流して、内周側流路40で吸引回収される。この熱交換室42でも、図4で示すように通気吸水格子板状熱交換上プレート51、通気吸水格子板状熱交換下プレート52が配置され、これらプレート51,52に沿って昇降するような経路としているため、冷媒は、確実に熱交換室42内の表面に当接して熱交換効率を高めるようにしている。
下ラップ板1と上ラップ板2とに連通する内周側流路40は途中で合流して冷媒戻し・停止弁43と接続されている。この冷媒戻し・停止弁43を介して最終的に冷媒槽45で水が回収される。外周側冷却では、このように循環している。
そして、研磨装置制御盤32は、二個の冷媒供給・停止弁39、および、二個の冷媒戻し・停止弁43を制御して、内周側冷却および外周側冷却を交互に行うようにする。これにより下ラップ板1および上ラップ板2の熱交換室では、図3で示すように、冷媒が内外周方向で往復動するように流れる。
これら冷媒供給・停止弁39、冷媒戻し・停止弁43、研磨装置制御盤32は流路切替え部の一具体例である。
冷却系はこのようなものである
続いて、平面研磨装置1000の特徴について説明する。
先に説明したように、平面研磨装置1000では二個の冷媒供給・停止弁39、および、二個の冷媒戻し・停止弁43を制御して、内周側冷却および外周側冷却を交互に行っている。これにより、下ラップ板1および上ラップ板2の内周側と外周側の温度差を無くして全面で一定温度とする。また、熱交換室42は内外方向について中央に配置されているのみならず、上下方向についても中央に配置されているため、下ラップ板1でも上面と下面とに接しており、上下面でも一定温度にする。これにより、下ラップ板1および上ラップ板2の内外上下の全体を一定温度とし、熱膨張差が発生しないようにして最終的にはワーク研磨面の平面を維持する。
さらに冷媒として水を蒸発し易いミスト状としている。このため、熱交換室42内から熱を奪い気化して冷却する。この原理は、1ccの水の温度を1℃上げるためには1カロリーを必要とするが、1ccの水を気化させるためには、539カロリーが必用とするというものであり、高い冷却効果が望める。
また、通常の水よりも流れやすいミスト状の冷媒では、熱交換室を仕切る通気吸水格子板状熱交換上プレート51、通気吸水格子板状熱交換下プレート52による流体抵抗も低いため、高速に排熱して下ラップ板1および上ラップ板2の全体を、より均一に冷却できる。
また、ミスト状態とした冷媒だけではなく、水のみ及び空気のみの冷媒としての選択が可能なため、ワークの材質及び加工条件により最適な冷媒を選択して高精度な加工も実現できる。
また、熱交換室内を仕切る通気吸水格子板状熱交換上プレート51、通気吸水格子板状熱交換下プレート52は、通気及び吸水性を有し、さらに好ましくはこれらプレート51,52の側壁に線状または格子状の溝を形成しており、ミストである冷媒との接触面積を大幅に増大させており、通過する冷媒が吸熱していき冷却効率を向上させている。さらに、これらプレート51,52は、冷媒のうち水分を吸水するため、気化熱による冷却も見込め、さらに冷却効率を高めている。
また、減圧器49により冷媒が循環する流路(下ラップ板1および上ラップ板2内の熱交換室42、内周側流路40や外周側流路41など)の内部圧力を低下させることにより冷媒が残留することなく高速に移動するため、この点でも下ラップ板1および上ラップ板2の冷却効率を向上させている。また、冷媒を高圧力として流通することもないので、この点でも下ラップ板1および上ラップ板2の内圧による機械変形を抑止し、冷媒の漏れを防止できる。さらに内部圧力を低くしたため、熱交換室42内の側壁や突出部の表面に付着した水滴の気化時の温度を下げて、水の蒸発を促進させて冷却効率を高める。
以上、本形態の平面研磨装置1000について説明したが、さらに改良された形態として、図示しないが、下ラップ板1および上ラップ板2に内蔵された温度センサ(図示せず)により温度を検知して温度信号を研磨装置制御盤32に出力し、研磨装置制御盤32が冷媒供給調整弁38を制御して冷媒の出力量を調整して予め設定されている温度を維持するような温度安定化制御を行うようにするとよい。この温度制御により下ラップ板1および上ラップ板2の変形が抑止されて同一形状を保ち、高精度を要求されるポリシング加工でも対応できるようになる。
また、下ラップ板1と上ラップ板2とがある平面研磨装置1000を想定して説明したが、このような構成に限定する趣旨ではなく、例えば、下ラップ板のみ、上ラップ板のみ、という平面研磨装置に適用しても良い。
以上説明したような本発明の平面研磨装置1000によれば、下ラップ板および上ラップ板の変形については、熱膨張及び冷媒による圧力差による膨張もないため、下ラップ板および上ラップ板のワーク研磨面を高精度に維持でき、ワークも平面度を高めて高精度に加工できる。
本発明を実施するための最良の形態の平面研磨装置の断面構成図である。 本発明を実施するための最良の形態の平面研磨装置の上側断面構成図である。 上ラップ板および下ラップ板の熱交換室の横断面図である。 上ラップ板および下ラップ板の熱交換室の縦断面図である。 従来技術の平面研磨装置の冷却機構を示す要部断面図である。
符号の説明
1000:平面研磨装置
1:下ラップ板
2:上ラップ板
3:キャリヤ
4:太陽歯車
5:内歯車
6:下ラップ板回動体
7:大歯車
8:小歯車
9:下ラップ板減速機
10:下ラップ板電動機
11:中心軸
12:大歯車
13:小歯車
14:上ラップ板減速機
15:上ラップ板電動機
16:太陽歯車回動体
17:大歯車
18:小歯車
19:太陽歯車減速機
20:太陽歯車電動機
21:内歯車回動体
22:大歯車
23:小歯車
24:内歯車減速機
25:内歯車電動機
26:上ラップ板昇降機
27:昇降軸
28:軸受
29:上側上ラップ板吊り板
30:吊上軸
31:下側上ラップ板吊り板
32:研磨装置制御盤
33:圧縮空気発生器(コンプレッサー)
34:圧縮空気供給管
35:圧縮空気供給調整弁
36:ミスト発生器
37:冷媒供給管
38:冷媒供給調整弁
39:冷媒供給・停止弁
40:内周側流路
41:外周側流路
42:熱交換室
43:冷媒戻し・停止弁
44:冷媒戻し管
45:冷媒槽
46:冷却コイル
47:水供給管
48:水供給調整弁
49:減圧機
50:ロータリージョイント
51:通気吸水格子板状熱交換上プレート
52:通気吸水格子板状熱交換下プレート

Claims (9)

  1. 円状または環状であって、内部に熱交換室が形成されるラップ板と、
    熱交換室の内周側で連通する内周側流路と、
    熱交換室の外周側で連通する外周側流路と、
    冷媒を供給する冷媒供給装置と、
    冷媒を回収する回収装置と、
    内周側流路、外周側流路、冷媒供給装置および回収装置に接続されて、内周側流路と冷媒供給装置とを通流させるとともに外周側流路と回収装置とを通流させて熱交換室の内周側へ冷媒を送出して外周側から回収する内周側冷却と、また、外周側流路と冷媒供給装置とを通流させるとともに内周側流路と回収装置とを通流させて熱交換室の外周側へ冷媒を送出して内周側から回収する外周側冷却と、を切替え制御する流路切替え部と、
    を備え、
    ラップ板の内周側冷却と外周側冷却とを交互に行って、ラップ板を内外周で均等に冷却することを特徴とする平面研磨装置。
  2. 請求項1に記載の平面研磨装置において、
    前記冷媒供給装置は、水および圧縮空気が供給され、水および圧縮空気の混合量を調節して水と空気を混合させたミスト状態の冷媒とすることを特徴とする平面研磨装置。
  3. 請求項2に記載の平面研磨装置において、
    前記冷媒供給装置は、水のみの冷媒、または、圧縮空気のみの冷媒となるように混合量を調節可能とすることを特徴とする平面研磨装置。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の平面研磨装置において、
    前記熱交換室は略扇形であって前記ラップ板の内部を複数の熱交換室に区画形成することを特徴とする平面研磨装置。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の平面研磨装置において、
    熱交換室内に突出する突出部を備えることを特徴とする平面研磨装置。
  6. 請求項5に記載の平面研磨装置において、
    前記突出部は、通気性または吸水性を有する部材で形成されることを特徴とする平面研磨装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載の平面研磨装置において、
    前記突出部は、その接触面に格子状又は線状の溝を備えることを特徴とする平面研磨装置。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の平面研磨装置において、
    熱交換室、内周側流路、および、外周側流路の内部を減圧する減圧器を備えることを特徴とする平面研磨装置。
  9. 請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の平面研磨装置において、
    前記ラップ板が上側と下側とにそれぞれ配置され、水平面内に組み込まれた太陽歯車と内歯車との間に、複数個のキャリヤを等間隔に配置させて被加工物であるワークを挿入した後、上側のラップ板を下降させて下側のラップ板とで挟み込んだ状態で、研磨剤を供給しつつキャリヤを自転及び公転させる遊星運動と上側および下側のラップ板の相対的な回転運動とを同時に行ってワークを上下面で研磨することを特徴とする平面研磨装置。
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