JP2007136526A - ステンレス鋼製スパイラル・スクリューの製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼製スパイラル・スクリューの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐食性に優れるステンレス鋼を素材とし、直径比が3.5を超えるような大型スパイラル・スクリューを低コストで製造する。
【解決手段】所定幅にせん断されたステンレス鋼帯のせん断端面に切削又は研削加工を施してせん断加工により導入されたカエリ,破断面及び加工硬化層を除去したステンレス鋼帯を、芯金の周りに螺旋状に巻き付ける。 せん断端面のカエリ,破断面及び加工硬化層を除去して応力集中を招くカエリ,破断面をなくすとともに、全伸びを確保し、当該外径側端部に生じやすい割れや内径側に生じやすいしわの発生を防ぐことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、農業用機械,建設用機械あるいは食品製造機械の搬送コンベア等に用いられるスパイラル・スクリューの製造方法に関する。
例えばアースオーガ掘削機のオーガや搬送コンベアを構成するスパイラル・スクリューは、通常、図1に示されるように、回転する芯金の周りにスリットされた金属帯を螺旋状に巻き付け、必要に応じてその後に金属帯と芯金とを溶接接合して製造されている(例えば特許文献1,2)。
ところで、上記巻き付け方法は、外径寸法が比較的小さなスパイラル・スクリューの製造には適しているが、外径寸法が大きなスパイラル・スクリューの製造は困難である。
すなわち、幅広金属帯を芯金の周りに巻き付けようとする際、加工度の大きい面内曲げが必要となり、スパイラル・スクリューの外周側に相当する金属帯の側端に亀裂が発生する。また、内周側には座屈によるしわが発生する。
そこで、外径寸法が大きなスパイラル・スクリューを製造する際には、金属板から芯金の外径に合致した内径と所望外径を有し、内側と外側との間に分割線が入れられ中空円板を切り出し、当該中空円板をスクリューの翼状に押し曲げ成形した後、当該押し曲げ成形体をスパイラル・スクリューの軸となる芯金に外挿し、中空円板の分割線で形成された押し曲げ成形体の端部同士を溶接して継ぎ合わせ、必要に応じて芯金との接合部を溶接接合する継ぎ式方法が採用されている(例えば特許文献3)。
このような寸法の大小は、一応、外径/内径の直径比で区分されている。そして、金属板素材が普通鋼の場合、上記直径比が4程度までは、前段の金属帯巻き付け法が採用されている。
特開平6−55223号公報 特開平6−254642号公報 特開2005−54388号公報
金属板の素材、すなわち、スパイラル・スクリューの素材としては、昨近、耐久性の観点から錆び難いステンレス鋼が用いられるようになってきた。ところが、ステンレス鋼、殊にオーステナイト系ステンレス鋼を素材とした場合、加工硬化しやすいために、面内曲げ加工がし難くなる。このため、普通鋼で可能であった直径比4程度の面内曲げ加工は、ステンレス鋼を素材とした場合には不可能である。
したがって、ステンレス鋼を素材として直径比が3.5を超えるようなスパイラル・スクリューを製造する際には、継ぎ式方法を採用せざるを得ない。
ところが、継ぎ式方法は、溶接箇所が増えるために外観が低下するばかりでなく、全体としての強度も低下する。さらに生産性も劣る。
本発明は、このような問題を解消するために案出されたものであり、直径比が3.5を超えるようなスパイラル・スクリューであっても、ステンレス鋼を素材とし、スパイラル・スクリューとしての特性に優れたものを低コストで提供することを目的とする。
本発明のステンレス鋼製スパイラル・スクリューの製造方法は、その目的を達成するため、所定幅にせん断されたステンレス鋼帯のせん断端面に切削又は研削加工を施してせん断加工により導入されたカエリ,破断面及び加工硬化層を除去したステンレス鋼帯を、芯金の周りに螺旋状に巻き付けることを特徴とする。
ステンレス鋼帯を芯金の周りに巻き付けた後、ステンレス鋼帯と芯金の接合部を溶接接合することが好ましい。
本発明により、せん断端面に切削又は研削加工が施されることによって表面性状が均一化され、かつ全体が均一な硬さ及び伸びを有するように調整されたステンレス鋼帯に面内曲げ加工を施す態様となり、表面性状や加工硬化に起因した割れやしわの発生を抑制することができる。このため、ステンレス鋼を素材としても、直径比が3.5を超え4程度であっても普通鋼と同様に容易にスパイラル・スクリューを製造することができる。
したがって、耐久性に優れるステンレス鋼製スパイラル・スクリューを安価に提供することができる。
本発明者等は、ステンレス鋼帯を素材として巻き付け法によってスパイラル・スクリューを製造しようとするとき、直径比が大きくなると、外径側の端面に亀裂及び内径側にしわが発生しやすくなる原因及び対策について検討を重ねてきた。
その結果、ステンレス鋼、特にオーステナイト系ステンレス鋼を素材とした場合に、せん断加工で所定幅に調製された鋼帯の、せん断端部にせん断加工で導入された加工硬化層やカエリ或いは破断面が、その後の面内曲げ加工の際に外径側端面の亀裂の起点になると推測した。また、せん断端部にせん断加工で導入された加工硬化層が、面内曲げ加工の際の内径側のしわ発生要因となると推測した。そして、せん断加工でせん断端部に導入された加工硬化層やカエリ或いは破断面を何らかの手段で除去すれば、直径比が大きな面内曲げ加工であっても、外径側の端面に亀裂及び内径側にしわを発生させることなく、曲げ加工できることを見出した。
以下にその詳細を説明する。
巻き付け法によりスパイラル・スクリューを製造する際には、通常所定幅にカットされた金属帯が用いられる。そして、カット法としては、手軽なせん断法が採用されている。
せん断加工された金属板のせん断端面には、通常、せん断面,破断面及びカエリが生成され、端部近くの金属板は加工硬化されている。ステンレス鋼、特にオーステナイト系ステンレス鋼の場合、その加工硬化度合いは普通鋼よりも格段に硬化されている。
このようなステンレス鋼帯に面内曲げ加工を施そうとするとき、先ずせん断端面の破断面及びカエリが外径側の端面に発生する亀裂の起点となる。したがって、亀裂の発生を抑制するためには、起点となる破断面やカエリを除去する必要がある。
また、破断面やカエリが除去されていても、破断端部が加工硬化されていると、加工硬化部と他の部分とでは伸び特性が全く相違し、加工硬化している部分は他の部分の伸びに対応できなくなるために、加工度が大きくなると破断、すなわち亀裂を発生することになる。この端部の加工硬化層は、内径側においても加工硬化部と他の部分では圧縮特性が全く相違するため、加工硬化している部分が他の部分の圧縮に対応できなくなり、加工度が大きくなると座屈変形、すなわちしわが発生することになる。
したがって、ステンレス鋼帯を素材として、加工度の大きい面内曲げ加工を可能にするためには、加工硬化層を予め除去する必要がある。
せん断端面の破断面及びカエリを除去し、せん断端部近傍の加工硬化層を除去する手段としては、切削又は研削加工を採用することが有効である。加工硬化を引き起こすような加工法は採用できない。
切削又は研削加工が施され、硬度及び全伸びが側端部を含め全体に均等にされたステンレス鋼帯を、芯金の周りに螺旋状に巻き付けてスパイラル・スクリューを製造する。また、ステンレス鋼帯と芯金の接合部を必要に応じて溶接接合する。この巻き付け方法や溶接接合法には制限はない。通常の巻き付け方法や溶接方法が採用される。
せん断端面の破断面やカエリ、或いはせん断端部近傍の加工硬化層が除去され、全体が均質にされているので、加工硬化しやすいステンレス鋼であっても、前記直径比が3.5を超える面内曲げも可能になる。このため、大径のステンレス鋼製スパイラル・スクリューを製造することができる。
直径比が大きいスパイラル・スクリューを巻き付け法によって製造すると、次のような効果も付随してくる。
すなわち、直径比が大きい面内曲げ加工を施すことになるので、スパイラル・スクリュー状に成形加工された鋼帯の加工端部は相当に加工硬化された状態となっている。加工強化され、しかも耐摩耗性も向上されているので、結果的に耐久性に優れたスパイラル・スクリューが得られることになる。
従来の継ぎ式方法で製造されたものと比べてスクリューに溶接による継ぎ目が全くないため、平滑で奇麗な表面仕上げが可能で見栄えもよくなる。しかも溶接による強度・硬度の低下もなく、全面が均質な特性を発揮するスクリューが得られる。
ともに板厚3mmの普通鋼とSUS304の熱延鋼板を素材として用いた。
まず、2種の鋼板を、L2400×W45にシャーでせん断し、そのまま芯金の周りに螺旋状に巻き付けることにより、図2に示すような、外径φ122×内径φ38×ピッチ70のスパイラル・スクリューを製造した。このスパイラル・スクリューの定寸切断後の外径/内径の比は3.2となっている。素材として用いた2種の鋼板とも、加工後のスパイラル・スクリューの外径側端面には割れは観察されなかった。しかし、SUS304では圧縮される内径側では座屈によるしわが発生した。
次に、上記2種の鋼板を、L2400×W61にシャーでせん断し、そのまま芯金の周りに螺旋状に巻き付けることにより、同じく、外径φ145×内径φ38×ピッチ70のスパイラル・スクリューを製造した。このスパイラル・スクリューの定寸切断後の外径/内径の比は3.8となっている。加工後のスパイラル・スクリューの外径側端面及び内径側を目視観察したところ、普通鋼を素材としたものでは割れ及びしわは認められなかったが、SUS304を素材としたものでは外径側端面に割れ及び内径側にしわが認められた。
そこで、L2400×W61にシャーせん断したSUS304鋼板の、スパイラル・スクリューの外径側及び内径側に相当するせん断端面を、エンドミルを用いてそれぞれ0.5mmの幅で切削した。その後に、芯金の周りに螺旋状に巻き付けることにより、スパイラル・スクリューを製造した。このスパイラル・スクリューの外径側端面及び内径側を目視観察したところ、外径側端面の割れ及び内径側のしわは認められなかった。
以上の結果を纏めると表1に示すとおりとなる。
Figure 2007136526
以上の結果からもわかるように、せん断したままのステンレス鋼帯を芯金の周りに螺旋状に巻き付けてスパイラル・スクリューを製造する際、外径/内径比が小さく3.2の場合では外径側端面に割れが発生していないのに対して、外径/内径比を大きく3.8にした場合には外径側端面に割れが発生していた。外径/内径比が大きくなると、加工時に最外周の延性が不足するとともにバリ等への応力集中を起こして、端面を起点とした割れが発生したものと推測される。また、外径/内径比が小さい3.2の場合でも、圧縮変形する内径側では、座屈によるしわが発生した。これは、加工硬化層が他の部分に比べて、圧縮変形能が小さいため、供試材の面外に座屈したものと推測される。
そして、外径/内径比を大きくしたスパイラル・スクリューを製造する際には、せん断したステンレス鋼帯のせん断端面に切削加工を施したものを用いると、せん断端面の破断面やカエリ、或いはせん断端部近傍の加工硬化層が除去されているために全体が均質にされており、外径側端部に割れ及び内径側にしわを発生させることなくスパイラル・スクリューを製造することができる。
巻き付け方式のスパイラル・スクリュー製造方法を説明する図 スパイラル・スクリューの形状を説明する図

Claims (2)

  1. 所定幅にせん断されたステンレス鋼帯のせん断端面に切削又は研削加工を施してせん断加工により導入されたカエリ,破断面及び加工硬化層を除去したステンレス鋼帯を、芯金の周りに螺旋状に巻き付けることを特徴とするステンレス鋼製スパイラル・スクリューの製造方法。
  2. ステンレス鋼帯を芯金の周りに巻き付けた後、ステンレス鋼帯と芯金の接合部を溶接接合する請求項1に記載のステンレス鋼製スパイラル・スクリューの製造方法。
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