JP2007135327A - 自動車用駆動モータ及びモータ駆動制御方法 - Google Patents

自動車用駆動モータ及びモータ駆動制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型軽量で無駄な電力消費が少なく安価な構成により、高回転領域での弱め界磁運転が行なえ、しかも、1台で自動車の左右の駆動輪を独立に駆動することができる、従来にない新規な自動車用駆動モータを提供する。
【解決手段】第1のロータ5aの全ての磁極磁石をN極側永久磁石体53aで構成し、第2のロータの全ての磁極磁石をS極側永久磁石体53bで構成し、両ロータ5a、5bのモータ軸51a、51bを磁性体の連結部6により相互に独立して回転する状態で連接し、両ロータ5a、5b間にモータ軸方向の共通の界磁を発生する界磁コイル部7を設け、第1、第2のステータ4a、4b間の磁路を磁性体フレーム3によって形成し、界磁コイル部7の電流の向き、大きさを調整することで高速回転域での弱め界磁運転を行なってモータ軸51a、51bの左右の駆動輪9a、9bを独立に駆動する。
【選択図】図1

Description

この発明は、ロータに永久磁石体を配設した固定子(ステータ)電機子型同期モータの自動車用駆動モータ及び該モータを駆動するモータ駆動制御方法に関する。
従来、電気自動車、燃料電池自動車やハイブリッド自動車等の動力源としての自動車用駆動モータは、小型軽量な構成で低速回転域から高速回転域の広い回転範囲にわたって効率よく十分な出力を発生することが要求され、一般に、磁性体(鋼材等)のロータに永久磁石体を配設した固定子(ステータ)電機子型のPM(Permanent Magnet)同期モータで形成される。
このPM同期モータには、永久磁石体の配置構造が異なる、表面貼り付け型のSPM(Surface Permanent Magnet)モータ、埋め込み型のIPM(Interior Parmanent Magnet)モータ等があるが、いずれも、ロータの周部に円周方向に一定間隔でN磁極用の永久磁石体とS磁極用の永久磁石体とを交互に配置して形成される。また、永久磁石体の保持エネルギを極力大きくして効率の向上等を図るため、各永久磁石体には希土類磁石が用いられる。
そして、IPMモータは高速回転域で弱め界磁運転が行なえることから、近年、この種の自動車用駆動モータに多用されつつある。
ところで、高速回転域で弱め界磁運転を行なうのは、モータ電圧が車載バッテリの電源電圧(バッテリ電圧)を超えないようにして高速回転を実現するためである。
そして、例えば三相のIPMモータにつき、ステータの電機子電流制御を周知のd軸、q軸の直交2軸座標系制御で行なう場合の弱め界磁運転の効果について説明すると、高回転数でない定トルク領域においては、図13の(a)に示すように励磁電流であるd軸電流Id(<0)は大きくなく、各永久磁石体が発生するd軸のマグネット磁束Ψmと、トルク電流であるq軸電流Iq(>0)及びロータのq軸リラクタンス成分Lqの積Lq・Iq(>0)とに基くモータ磁束Ψに対して、d軸電流Idとロータのd軸リラクタンス成分Ldとの積Ld・Id(<0)のロータの回転によって生じる逆起電力も小さい。なお、この定トルク領域がほぼ通常走行状態の領域であり、図中のIはd軸電流Id、q軸電流Iqをベクトル合成した電機子電流(モータ電流)、Vはモータ電圧である。
一方、高速回転域、換言すれば、弱め界磁運転が必要になる弱め界磁領域においては、前記のマグネット磁束Ψmによる誘起電圧が大きくなってモータ電圧Vが電源電圧近くに上昇しようとするが、図13の(b)に示すようにd軸電流Id(<0)を増大することで積Ld・Id(<0)の逆起電力が大きくなって弱め界磁量が大きくなり、磁束Ψが図中の矢印αに示すように引き下げられてモータ電圧Vの上昇が抑えられ、一層の高速回転が可能になる。
しかし、上述の弱め界磁運転を行なう場合、高速回転域(弱め界磁運転領域)ではd軸電流Idを強制的に増大する必要があり、その分の電力が無駄に消費されてモータの効率が低下する。
すなわち、高速回転域での弱め界磁運転を行う場合、前記IPMモータの1相分のモータ電圧、トルク、トルク電流Iq、励磁電流Idは、負荷時及び無負荷時にモータの回転数に対して、例えば図14、図15の(a)〜(d)に示すように変化する。なお、図14は負荷時の特性図、図15は無負荷時の特性図であり、両図の(a)はモータ電圧、(b)はトルク、(c)はq軸電流(トルク電流)Iq、(d)はd軸電流(励磁電流)Idである。
そして、図14の回転数r1、図15の回転数r2が、それぞれ定トルク領域(低回転領域)と、弱め界磁領域(高回転領域)とのしきい値の回転数であり、負荷時は勿論、無負荷時であっても、モータの回転数がしきい値以上に高くなって弱め界磁領域(高回転領域)になると、回転数に応じた弱め界磁を発生するため、d軸電流(励磁電流)Idが回転数に応じて増大し(負の方向に大きくなる)、その分、モータは電力消費が増えて効率が低下する。
ところで、ロータに永久磁石体を配設したこの種の同期モータにおいて、ステータを、モータ軸方向のN極側ステータとS極側ステータとに分割した構造に形成し、両極側ステータ間に界磁コイル部を設け、さらに、ロータも、共通の一本のモータ軸にN極側ステータに対向したN磁極のロータ部とS極側ステータに対向したS磁極のロータ部とを装着した構造に形成し、N磁極のロータ部にはN極を外側に向けた永久磁石体を円周方向に間隔をとって設け、S磁極のロータ部にはS極を外側に向けた永久磁石体をモータ軸方向から見て前記の各N磁極の間に位置するように設け、界磁コイル部によって発生した界磁の磁束によって前記の逆起電力を調整し、弱め界磁運転等を行なうことが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、この種の同期モータの効率の改善等を図るため、ロータに円周方向に間隔をとって設けた磁極磁石を全てN極またはS極を外側に向けた永久磁石体とし、例えば各永久磁石体とした場合、各永久磁石体の外向きのN極からステータを介して各永久磁石体の内側(モータ軸側)のS極に戻る磁束の磁路を形成することで、各永久磁石体間の磁性体(鋼材)が結果としてS極を形成し、ロータが回転するようにしたコンシクエントポール形(consequent−pole)モータが提案され、このモータはステータに前記の界磁電流の給電が不要であり、高効率化が期待できると考えられている(例えば、非特許文献1参照。)。
特開平9−44319号公報([0015]‐[0020]、[0034]‐[0039]、図1等) 雨宮 潤、外4名、"コンシクエントポール形ベアリングレスモータの電動機特性"、平成15年電気学会全国大会講演論文集05−090(第五分冊)、p.140−141
ところで、前記特許文献1の従来モータの場合、界磁コイル部が発生する磁束(以下、界磁磁束という)によって弱め界磁運転を実現する構成であり、界磁コイル部の電流を適切に調整することによって効率を高め、無駄な電力消費を防止することは可能であるが、N極側のステータ及びロータと、S極側のステータ及びロータと、界磁コイル部とを備えた構成により、全体として一つのモータ軸を有する1台の同期モータを形成することから、大型化し、とくに、自動車の前又は後の左、右の2輪或いは4輪(全輪)を独立駆動して姿勢制御の向上を図るようなときには、この同期モータを駆動輪毎に設けなければならず、極めて大型化して高価になり、実用的でない。
また、前記非特許文献1の従来モータの場合、ステータ、ロータはそれぞれ1個でよく、ロータにNまたはSの一方の磁極を外側に向けた永久磁石体を配設する構成であるため、ロータにN磁極の永久磁石体とS磁極の永久磁石体とを交互に配設する従来のIMPモータより永久磁石体の個数が半減して小型軽量になるとともに、界磁電流が不要で効率も高くなると考えられるが、高速回転域では、d軸電流を増大する必要があるため、モータ効率が低下し、しかも、駆動輪毎に備える必要もある。
本発明は、小型軽量で無駄な電力消費が少なく安価な構成により、高回転領域での弱め界磁運転が行なえ、しかも、1台で左、右の駆動輪を独立に駆動することができる、従来にない新規な自動車用駆動モータ及びそのモータ駆動制御方法を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明の自動車用駆動モータは、第1のステータの内側に磁性体の第1のロータを設けて形成され、該第1のロータの周部に円周方向に間隔をとって配設された全ての磁極磁石がN極を外側に向けたN極側永久磁石体で構成された第1のモータ部と、第2のステータの内側に磁性体の第2のロータを設けて形成され、該第2のロータの周部に円周方向に間隔をとって配設された全ての磁極磁石がS極を外側に向けたS極側永久磁石体で構成された第2のモータ部と、前記両ロータのモータ軸を相互に独立して回転する状態に連結する磁性体の連結部と、前記両ロータ間に前記両モータ部の前記モータ軸が貫通するように設けられ、前記両モータ部に前記モータ軸方向の共通の界磁を発生する界磁コイル部と、前記両ステータ間の磁路を形成する磁性体のステータ間磁路体とを備え、前記第1のモータ部の前記モータ軸に左右の駆動輪のいずれか一方が取り付けられ、前記第2のモータ部の前記モータ軸に前記左右の駆動輪のいずれか他方が取り付けられることを特徴としている(請求項1)。
また、本発明の自動車用駆動モータは、前記ステータ間磁路体を、前記両ステータを内装した磁性体フレームが形成することを特徴としている(請求項2)。
さらに、本発明の自動車用駆動モータは、前記ステータ間磁路体として前記両ステータの周部の複数個所を橋絡する複数個の接続体を備え、前記各接続体を前記両モータ部のモータ軸方向の短冊状の複数個の磁性板を貼り合わせた積層磁性体により形成し、前記積層磁性体の一端部、他端部を前記両モータ部の周部の前記各個所に嵌入したことを特徴としている(請求項3)。
また、本発明の自動車用駆動モータは、前記両ロータぞれぞれの前記モータ軸に接する内周部の複数個所に、前記層状磁性体が形成する渦電流防止体を配設したことを特徴としている(請求項4)。
加えて、本発明の自動車用駆動モータは、前記界磁コイル部が円筒形の磁心体にコイルを巻回して形成されることを特徴としている(請求項5)。
つぎに、本発明のモータ駆動制御方法は、前記両ロータそれぞれの磁極位置の検出に基いて前記両ステータそれぞれの電流を個別に制御し、前記両ロータの回転速度の検出に基く前記界磁コイル部の電流制御により前記界磁コイル部が発生する界磁を調整し、前記両モータ部のモータ電圧が電源電圧近くに上昇する高速回転域のときに、前記界磁により前記両モータ部を弱め界磁運転の状態にすることを特徴としている(請求項6)。
また、本発明のモータ駆動制御方法は、前記両モータ部がそれぞれ三相以上の多相構造であって、前記両ステータの各相巻き線に前記両モータ部それぞれの多相電源から給電し、前記界磁コイル部に単相電源から給電することを特徴としている(請求項7)。
請求項1の発明によれば、第1のモータ部と第2のモータ部とは互いのモータ軸が連結部により磁気的に連結された状態で独立に回転する。また、ステータ間磁路体によって第1、第2のステータの間の磁束の磁路が形成される。
そして、界磁コイル部に界磁電流を通流しないときは、第1のロータの各N磁極から出た磁束が第1のステータ、ステータ間磁路体、第2のステータを通って第2のロータのS磁極に至る磁路を通り、このとき、第1のロータの各N磁極間の磁性体は結果としてS磁極を形成し、また、第2のロータの各S磁極間の磁性体は結果としてN磁極を形成し、第1、第2のステータそれぞれに給電して励磁することにより、両モータ部がそれぞれの電流に応じた速度.トルクで別個独立に回転する。
つぎに、界磁コイル部に界磁電流を通流して両モータ部のモータ軸方向の界磁を発生すると、その向き及び大きさによって界磁の作用が異なる。
すなわち、界磁コイル部の界磁により第2のロータのモータ軸から出て第1のロータのモータ軸に入る向きの磁束が発生すると、この磁束により、第1のロータの各N磁極間の磁性体はS磁極に、第2のロータの各S磁極間の磁性体はN磁極にそれぞれ励磁され、両モータ部は励磁エネルギが増加してモータ電圧が上昇し、出力が増大し、その大きさは界磁電流にしたがって調整される。
逆に、界磁コイル部の界磁により第1のロータのモータ軸から出て第2のロータのモータ軸に入る向きの磁束が発生すると、この磁束により第1のロータの各N磁極間の磁性体はN磁極に、第2のロータの各S磁極間の磁性体はS磁極にそれぞれ励磁され、両モータ部は励磁エネルギが減少し、逆起電力が減少してモータ電圧の上昇が抑制される。そのため、両モータ部のモータ電圧が電源電圧近くに上昇する高速回転域のときに、両モータ部のステータの励磁電流を不必要に増大するより少ない電力消費で、両モータ部を弱め界磁運転の状態にしてモータ電圧の上昇を抑制することができ、その抑制の程度は界磁電流にしたがって調整される。
そして、両モータ部のモータ軸に左、右の駆動輪のいずれか一方、他方それぞれを接続することにより、1台のモータで左、右の駆動輪を独立して運転することができる。
したがって、小型軽量で無駄な電力消費が少ない構成により高速回転域での弱め界磁運転が行なえ、しかも、1台で自動車の左右の駆動輪を独立に駆動することができる、従来にない新規な自動車用駆動モータを提供することができる。
そして、前記ステータ間磁路体は、簡単には両ステータのケースとしての磁性体フレームで形成することができる(請求項2)。
また、前記ステータ間磁路体は、第1、第2のステータの周部の複数個所に各接続体を形成する積層磁性体の一端、他端を嵌入し、両ステータの複数個所を各接続体により橋絡状に連結して形成してもよく(請求項3)、この場合は、積層磁性体を用いることにより渦電流損が少なくなり、自動車用駆動モータの効率が一層向上する利点もある。なお、前記の磁性体フレームのように両ステータを全体に収納しなくてよく、請求項2の場合より簡素、安価な構成で界磁コイル部の界磁磁束の磁路を形成することも可能である。
つぎに、請求項4の発明によれば、第1、第2のロータのモータ軸に接する内周部の複数個所に、層状磁性体が形成する渦電流防止体を配設したことにより、渦電流損が一層少なくなって自動車用駆動モータの効率がさらに一層向上する。
また、請求項5の発明によれば、界磁コイル部を円筒形の磁心体にコイルを巻回して簡単に自動車用駆動モータを形成することができる。
さらに、請求項6の発明によれば、請求項1〜5のいずれかに記載の自動車用駆動モータにつき、第1、第2のモータ部それぞれのロータ(第1、第2のロータ)の磁極位置を検出してそれぞれのステータ(第1、第2のステータ)の電流を制御し、両モータ部を個別に駆動制御して左右の駆動輪を独立して制御することができる。
また、両モータ部のロータの回転速度の検出に基き、両モータ部の駆動制御と別個に界磁コイル部の電流を制御し、両モータ部に対する界磁の影響を調整することができ、この界磁の調整により、両モータ部のモータ電圧が電源電圧近くに上昇する高速回転域においては、両モータ部のモータ電圧の上昇を抑制して弱め界磁運転の状態にすることができる。
したがって、請求項1〜5のいずれかに記載の自動車用駆動モータについて、高回転領域での弱め界磁運転が行なえ、しかも、1台で自動車の左右の駆動輪を独立に駆動することができ、従来にない新規な自動車用駆動モータのモータ駆動制御方法を提供することができる。
請求項7の発明によれば、請求項1〜5のいずれかに記載の自動車用駆動モータが第1、第2のモータ部を三相以上の多相構造である場合の具体的なモータ駆動制御方法を提供することができる。
(一実施形態)
つぎに、本発明をより詳細に説明するため、電気自動車に適用した一実施形態について、図1〜図9にしたがって詳述する。
(構成)
まず、構成について説明する。図1は電気自動車の駆動系のブロック図であり,同図において、1Aは本発明の自動車用駆動モータであり、モータ軸方向(紙面左右方向)に連結状態(ニ分割状態)に配設された第1、第2のモータ部2a、2bを備える。なお、両モータ部2a、2bは両端が開放した鋼板等の磁性体の円筒ケース形状のフレーム3内に、フレーム3に接して又は近接して設けられ、フレーム3は磁性体のステータ間磁路体を形成して後述のステータ間の磁路を形成する。
4a、4bはモータ部2a、2bの同一構成の第1、第2のステータであり、図2のステータ2aの斜視図に示すように、それぞれ薄いドーナツ板状の鋼板(磁性体)Maをモータ軸方向に多数枚重ねて形成された積層鋼板製円筒体のコア41a、41bを有し、コア41a、41bの内周部に例えば三相のステータコイル42a、42bを嵌入して形成されている。
5a、5bは第1、第2のステータ4a、4bそれぞれの内側に設けられた第1、第2のロータであり、それぞれの磁性体のモータ軸51a、51bに、コア41a、41bより小径の薄いドーナツ板状の鋼板をモータ軸方向に多数枚重ねて形成された積層鋼板製の円筒体のロータ本体52a、52bを軸着して形成されている。
そして、第1、第2のロータ5a、5bのロータ本体52a、52bの周部には、図3のロータ部分の斜視図、図4の(a)、(b)の同部分の左、右の端面図に示すように、円周方向に間隔をとって磁極磁石を形成する複数個(図では2個)の永久磁石体53a、53bが嵌入して配設され、磁極ロータ本体52aの全ての永久磁石体53aはN極を外側に向けたN極側永久磁石体であり、磁極ロータ本体52bの全ての永久磁石体53bはS極を外側に向けたS極側永久磁石体である。この場合、一般的な同期モータのロータであれば、前述したようにN極側の永久磁石体とS極側の永久磁石体とを円周方向に間隔をとって交互に配設しなければならないが、第1のロータ5aはN極側永久磁石体のみを設ければよく、第2のロータ5bはS極側永久磁石体のみを設ければよいことから、ロータ5a、5bの永久磁石体は、前述の一般的な同期モータの場合よりロータに配置する個数が半減し、そのため、一個ずつを大きくして発生磁束を多くし、モータ出力を大きくすることができる。
つぎに、第1、第2のモータ部2a、2bのモータ軸51a、51bは、例えば磁性体の互いの軸受けを接続して形成された図1の連結部6により、相互に独立して回転するように連結されて磁気的に接続される。なお、図3の2本の矢印はロータ部5a、5bが別個独立に回転することを示す。
さらに、図1の7は第1、第2のロータ5a、5b間にモータ軸51a、51bが貫通するように設けられた界磁コイル部であり、簡単にはコイルのみであってもよいが、この実施形態においては発生する界磁磁束を大きくするため、円筒形の磁心体7aに適当な界磁コイル7bを巻回して形成され、直流の界磁電流の通電により第1、第2のモータ部2a、2bにモータ軸方向の共通の界磁を発生する。
また、図1の8a、8bはモータ軸51a、51bに取り付けられた第1、第2のモータ部2a、2bそれぞれの回転センサであり、両モータ部2a、2bの磁極位置それぞれを検出する。9a、9bは電気自動車の左、右のいずれか一方、他方の駆動輪であり、この実施形態の場合、駆動輪9aはリダクションギヤ10aを介してモータ軸51aに取り付けられ、駆動輪9bはリダクションギヤ10bを介してモータ軸51bに取り付けられている。なお、駆動輪9a、9bが第1、第2のモータ部2a、2bによって別個独立に駆動されるため、デファレンシャルギヤは設けられていない。また、リダクションギヤ10a、10bは必要に応じて介在させればよく、省いてもよいのは勿論である。
つぎに、図1の11は電気自動車の電源であるバッテリ、12a、12bはバッテリ10により動作する同一構成のインバータであり、この実施形態の場合、第1、第2のモータ部2a、2bが三相モータ構成であることから、それぞれ三相インバータに形成され、マイクロコンピュータ構成のコントローラ13の前述した直交2軸(p軸、q軸)座標系制御にしたがって別個独立に動作し、ロータ5a、5bそれぞれの磁極位置の検出に基いて第1、第2のステータ4a、4bそれぞれの電機子電流(d軸電流Idとq軸電流Iq)を制御する。
14はバッテリ11により動作して界磁コイル部7に直流電源を給電する単相インバータであり、コントローラ13の制御にしたがって動作し、第1、第2のロータ5a、5bの回転速度の検出に基く界磁コイル部7の通電制御により、界磁コイル部7が発生する界磁の向き及び大きさを調整する。ところで、第1、第2のロータ5a、5bの回転速度は例えば回転センサ8a、8bの検出出力から求められ、界磁コイル部7の電流制御の指標となる検出速度は、設計仕様や運転モードの選択等に基き、第1、第2のロータ5a、5bの平均の回転速度や、いずれか速い方或いは遅い方の回転速度に、固定的に或いは走行状態等に応じて可変的に設定され、例えば第1、第2のモータ部2a、2bの少なくともいずれか一方或いは両方のモータ電圧が電源電圧(バッテリ電圧)近くに上昇する高速回転域のときには、界磁コイル部7が第1、第2のモータ部2a、2bの磁束を低減する向き、大きさの界磁を発生するように電流制御し、第1、第2のモータ部2a、2bを弱め界磁運転の状態にする。
(動作)
まず、界磁コイル部7が発生する界磁の作用について、図5〜図7の界磁の作用の説明図を参照して説明する。なお、図5〜図7の(a)はロータ5a、5bの連結状態の斜視図であり、(b)、(c)は(a)のロータ5a、5bそれぞれの端面側からみた磁束を示し、それぞれの実線矢印は磁束の方向を示す。また、以下の説明においては、モータ部2a側から界磁コイル部7を見て、時計回転方向の界磁電流を界磁電流(正)と表記し、反時計回転方向の界磁電流を界磁電流(負)と表記する。
(1)界磁コイル部7に界磁電流が流れない場合(図5の場合)
第1、第2のロータ5a、5bは、モータ軸51a、51bが磁気的に接続されているので、別個独立に回転しても全体の界磁磁気抵抗は一定であり変化することはない。
そして、界磁コイル部7に界磁電流が流れない場合、両ロータ5a、5bは、第1のロータ5aをN磁極側、第2のロータ5bをS磁極側とする一個のロータとみなせ、この場合、前記一個のロータの磁束は図5の(a)の実線矢印に示す磁路φ1、すなわち、N極側の各永久磁石体53aから第1のステータ4a、フレーム3、第2のステータ4b、S極側の各永久磁石体53bを通ってモータ軸51b、51aに至る磁路を通る。
ここで、第1、第2のロータ5a、5bに各2個の永久磁石体53a、53bそれぞれが180度間隔れた対向位置に配設されているとし、第1、第2のステータ4a、4bの一相分のステータコイル42a、42bを電機子コイル42Lとすると、図5の(b)、(c)に示すように、第1のロータ5aの磁極は永久磁石体53aの180度間隔のN磁極のみとなり、両N磁極から出た磁束(マグネット磁束)が電機子コイル42Lに交錯し、第2のロータ5bの磁極は永久磁石体53bの180度間隔のS磁極のみとなり、両S磁極に入る磁束(マグネット磁束)が電機子コイル42Lに交錯し、第1のロータ5aの両永久磁石体53a間、第2のロータ5bの両永久磁石体53b間の磁性体部分(いわゆる鉄心部分)には磁極が発生せず、交錯する磁束もない。
この状態は前記特許文献1に記載の同期モータと同様の構成の状態であり、第1、第2のステータ4a、4bのd軸電流(励磁電流)を適当に制御することにより、第1、第2のロータ5a、5bは、図5の(b)、(c)のように永久磁石体53aと永久磁石体53aとがほぼ90度ずれて交互に配置されたような状態になって回転する。
(2)界磁コイル部7に界磁電流(正)が流れる場合(図6の場合)
この場合、界磁電流(正)に基いて、第2のロータ5bから出て第1のロータ5aに入る向き、すなわち、磁路φ1の磁束に抗する向きの磁束(以下、界磁磁束という)が発生し、第1のロータ5aのN極側の両永久磁石体53a間の磁性体部分は等価的にS磁極となり、第2のロータ5bのS極側の両永久磁石体53b間の磁性体部分は等価的にN磁極となり、図6の(a)に示すように第1のロータ5aのN極側の各永久磁石体53aから出た磁束は磁路φ2を通って両永久磁石体53a間のS極側の磁性体に入るようになり、同様に、第2のロータ5bのN極側の各磁性体部分から出た磁束は磁路φ2と同様の磁路を通ってS極側の両永久磁石体53bに入るようになる。
そのため、第1、第2のロータ5a、5bは、それぞれ従来の一般的なこの種の同期モータのロータのようにN極とS極とが交互に配置された状態になって回転し、その回転速度やトルクは第1、第2のステータ4a、4bのd軸電流Id、q軸電流Iqにしたがって別個独立に変化する。
すなわち、図6の(b)、(c)に示すように、第1のロータ5aは両永久磁石体53aのN磁極の間に磁性体部分のS磁極が位置し、第2のロータ5bは両永久磁石体53bのS磁極の間に磁性体部分のN磁極が位置し、両ロータ5a、5bはそれぞれ電機子コイル42Lに交錯する磁束が90度毎に反転し、両モータ部2a、2bが回転する。
このとき、第1、第2のロータ5a、5bの永久磁石体53a、53bの個数は、永久磁石体の磁極がN、Sに交互に変化する一般的な同期モータのロータに配設される永久磁石体の半分(N磁極又はS磁極のみ)でよく、その結果、自動車用駆動モータ1Aが小型軽量で安価になるだけでなく、各永久磁石体53a、53bを、前記の一般的な同期モータの各永久磁石体より大面積かつ厚くしてそれぞれの発生磁束を大きくすることができる。
そのため、第1、第2のモータ部2a、2bは、第1、第2のロータ5a、5bの各磁極の磁束が大きく、しかも、第1、第2のステータ4a、4bのd軸電流Idを多くすることなく、界磁コイル部7の界磁電流(正)を調整することで、モータ電圧が上昇してモータ出力が増大するため、とくに高負荷時に効率よく従来にない大出力を発生することができる。
(3)界磁コイル部7に界磁電流(負)が流れる場合(図7の場合)
この場合、界磁電流(負)に基いて、第1のロータ5aから出て第2のロータ5bに入る向き、すなわち、界磁電流(正)の場合と逆向きの界磁コイル磁束が発生し、第1のロータ5aのN極側の両永久磁石体53a間の磁性体部分は等価的にN磁極となり、第2のロータ5bのS極側の両永久磁石体53b間の磁性体部分は等価的にS磁極となる。
そして、図7の(a)に示すように、例えば第1のロータ5aのN極側の両永久磁石体53aから出た磁束、両永久磁石体53a間のN極側の磁性体部分から出た磁束は、第1のステータ4a、フレーム3、第2のステータ4bの磁路φ1、φ3を通って第2のロータ5bのS極側の両永久磁石体53b、該両永久磁石体53b間のS極側の磁性体部分に入るようになる。
そして、図7の(b)、(c)に示すように、第1のロータ5aは両永久磁石体53aのN磁極の間の磁性体部が界磁電流(正)の場合と逆のN磁極になり、各N磁極から出た磁束が電機子コイル42Lに交錯し、同様に、第2のロータ5bは両永久磁石体53bのS磁極の間の磁性体部分が界磁電流(正)の場合と逆のS磁極になり、各S磁極に入る磁束が電機子コイル42Lに交錯する。その結果、第1、第2のロータ5a、5bの回転に有効な永久磁石体53a、53bのマグネット磁束が界磁コイル磁束の影響によって減少する。
そのため、第1、第2のモータ部2a、2bは、界磁コイル部7の界磁電流(負)を調整することで、モータ電圧の上昇を抑えることができ、モータ電圧が電源電圧近くに上昇する高速回転域での弱め界磁運転が可能になる。
つぎに、上述の界磁の作用に基く、図1の自動車用駆動モータ1Aの駆動制御について説明する。
第1、第2のモータ部2a、2bそれぞれの回転センサ8a、8bの磁極位置の検出、図示省略したアクセル操作系等からの加速指令、ステータ4a、4bの各相のモータ電圧等とに基き、コントローラ13は、両モータ部2a、2bの同期運転駆動制御のプログラムにしたがって、両モータ部2a、2bそれぞれの各相のd軸電流(励磁電流)Id(<0)、q軸電流(トルク電流)Iqが目標電流になるように、三相インバータ12a、12bを制御する。
そして、バッテリ11の直流電源が両インバータ12a、12bによってモータ部2a、2bそれぞれの駆動用の三相電源に変換され、この三相電源の給電によって第1、第2のステータ4a、4bの電流(モータ電流)が制御されることにより、モータ部2a、2bが駆動されてそれぞれ回転し、これらの回転がリダクションギヤ10a、10bを介して左、右の駆動輪9a、9bに伝わり、両駆動輪9a、9bが駆動される。
また、コントローラ13は、界磁コイル部7の界磁電流制御のプログラムを実行し、例えば回転センサ8a、8bの検出結果から両モータ部2a、2bの平均回転数又は、速い方或いは遅い方の回転数を検出し、検出した回転数に基いて単相インバータ14を制御し、界磁コイル部7の界磁コイル7bに前記の界磁電流(正)、界磁電流(負)に変化する単相の界磁電流を給電する。
このとき、両モータ部2a、2の励磁状態が界磁コイル部7の界磁磁束に基く第1、第2のロータ5a、5bの磁束(マグネット磁束)の増減によって調整可能であるため、第1、第2のステータ4a、4bのd軸電流Idはモータ部2a、2bの回転数によらず、ほぼ一定に保つ。一方、両ステータ4a、4bのq軸電流Iqは要求トルク(負荷状態)に応じて可変する。
また、両モータ部2a、2bの回転数が高くなり、モータ電圧が電源電圧近くまで上昇すると、モータ電圧を電源電圧以下に保ちつつ回転数を増大するため、界磁電流(負)の界磁磁束によって両モータ部2a、2bの励磁量を低減し、弱め界磁運転にする。
そのため、自動車用駆動モータ1Aの回転数(回転速度)に対するモータ電圧、トルク、トルク電流(q軸電流Iq)、励磁電流(d軸電流Id)の変化は、例えば要求トルクが一定の領域、すなわち、通常の走行状態である定トルク域においては、図8に示すようになる。なお、図中のVccは電源電圧(バッテリ電圧)である。
ところで、界磁コイル部7の界磁電流は、具体的には、例えば目標回転数と前記の検出回転数とのフィードバック制御等により、モータ電圧がバッテリ11の電源電圧近くの設定した限界電圧に上昇するまでは0又は界磁電流(正)の範囲で制御し、この制御によってロータ5a、5bのマグネット磁束を増加方向に調整する。また、モータ電圧が前記の限界電圧に上昇して図14、図15のしきい値r1、r2を超えた高速回転域になると、界磁コイル部7の界磁電流を回転数に比例した前記の界磁電流(負)の電流に制御し、ロータ5a、5bのマグネット磁束を減少方向に調整する。
そして、界磁コイル部7の界磁磁束の影響によってロータ5a、5bのマグネット磁束が増減することにより、とくに回転数が低い低回転の高負荷時には従来にない大出力が得られ、高速回転域では弱め界磁運転が実現する。
なお、高負荷時の大出力(高トルク力)運転及び、軽負荷時の弱め界磁運転それぞれにおけるモータ部2a、2bのモータ電圧V、電流I、発生磁束Ψのベクトル図は、例えば図9の(a)、(b)それぞれに示すようになり、図中のLd、Lqはd軸リラクタンス成分、q軸リラクタンス成分であり、積Ld・Idがロータ5a、5bの逆起電圧である。また、Ψm、Ψnはロータ5a、5bが発生するマグネット磁束、界磁コイル部7の界磁磁束である。
そして、高負荷時はロータ5a、5bの発生磁束が、界磁電流(正)の界磁コイル磁束Ψnによって本来のマグネット磁束Ψmから増加し、ロータ5a、5bの逆起電圧である積Ld・Idの影響が界磁コイル磁束Ψnによって低減され、十分な磁束Ψの交錯によって従来にない大出力が発生する。なお、高負荷時でなくても、界磁電流(正)の界磁磁束Ψnによってモータ部2a、2bの出力が増大することにより効率が向上する。
一方、軽負荷時、回転数の増加によって自動車用駆動モータ1Aのモータ電圧が前記の限界電圧に上昇して高速回転域に達すると、励磁電流(d軸電流Id)を増加することなく、界磁電流(負)の界磁コイル磁束Ψnによって励磁電流(d軸電流Id)を増加したのと等価な状態にし、弱め界磁の運転を実現して前記のモータ電圧の上昇を抑制し、十分な高速回転を確保する。なお、磁束Ψは図9の実線矢印βに示すように減少する。
そして、高負荷時においても、自動車用駆動モータ1Aのモータ電圧が前記の限界電圧に上昇して高速回転域に達したときには、界磁電流(負)の界磁コイル磁束Ψnによって励磁電流(d軸電流Id)を増加したのと等価な状態にして弱め界磁の運転を実現し、前記のモータ電圧の上昇を抑制して十分な高速回転を確保することができる。
このようにして両モータ部2a、2bそれぞれが駆動制御されることにより、1台の自動車用駆動モータ1Aで高速から低速の広い範囲にわたって左、右の駆動輪9a、9bが独立運転駆動される。
したがって、ロータの永久磁石体数が少なく小型軽量で安価な構成により、低速回転域では大きなトルクを発生することができ、高速回転域では励磁電流(d軸電流Id)の無駄な消費をすることなく弱め界磁運転を行なって効率よく高速回転することができ、しかも、左、右の駆動輪9a、9bを独立に駆動することができ、電気自動車等の駆動モータに最適な従来にない新規な自動車用駆動モータ1A及びその駆動制御方法を提供することができる。
また、モータ部2a、2bのモータ軸51a、51bによって左、右の駆動輪9a、9bをによって別個独立に回転駆動するため、一つのモータ軸を共用して左、右の駆動輪を駆動する際には必ず必要になるディファレンシャルギヤが不要であり、ディファレンシャルギヤを省いて小型化等を図ることができる利点もあり、さらに、左、右の駆動輪9a、9bのいずれか一方が空転しても、残りの他方の駆動輪9b、9aは駆動制御されて回転し、駆動力を発生するため、走行の自由度が高く、どのような道路条件の道等でも安定に走行することができる利点もある。
なお、界磁電流の調整によりモータ力率を自在に調整することができるため、回転数に応じた効率の高い運転が可能になるのは勿論である。
(他の実施形態)
つぎに、界磁コイル部7が発生する界磁磁束の変動に基く渦電流損を抑止してモータ効率の一層の向上を図るようにした他の実施形態について、図10〜図12を参照して詳述する。
図10は自動車用駆動モータ1Aの渦電流損の説明図、図11の(a)、(b)はこの実施形態の自動車用駆動モータ1Bの斜視図、その一部拡大図、図12は自動車用駆動モータ1Bの界磁磁束の説明図である。
そして、一実施形態の自動車用駆動モータ1Aの場合、ステータ間磁路体は円筒鋼板の磁性体フレーム3によって形成され、界磁コイル部7の界磁磁束は図10のループ状の2矢印線aに示すように束になってフレーム3を通る。
このとき、磁性体フレーム3、モータ軸51a、51bはいわゆる単層のソリッド材であり、前記の界磁磁束が変動(脈動)すると、図10の各矢印線bに示すように、渦電流が容易に発生し、渦電流損が生じて自動車用駆動モータ1Aの効率が低下する。
そこで、この実施形態の自動車用駆動モータ1Bは図11の(a)、(b)に示すように、モータ部2a、2bのステータ4a、4bにつき、外周部(ステータ鉄心外周部)の例えば等間隔の複数個所を接続体15によって橋絡する。各接続体15はモータ部2a、2bのモータ軸方向の短冊状の複数個の磁性板Mbを貼り合わせた積層磁性体、具体的には、短冊状の鋼板を貼り合わせた積層鋼板体により形成され、各接続体15の積層鋼板体の一端部、他端部が両モータ部2a、2bの周部の前記複数個所に嵌入される。
また、両モータ部2a、2bのロータ5a、5bぞれぞれのモータ軸51a、51bに接する内周部(ロータ鉄心内周部)の複数個所に、前記のモータ軸方向の短冊状の複数個の磁性板Mbを貼り合わせた積層磁性体が形成する渦電流防止体16を嵌入して配設する。
この場合、ステータ4a、4b間の前記界磁の磁路が各接続体15の積層鋼板体によって形成されるので、界磁磁束が図12の矢印線cに示すように分散化して通流し、界磁磁束の変動による渦電流ループの形成が抑制される。また、各渦電流防止体16によっても界磁磁束の変動による渦電流ループの形成が抑制される。
そのため、自動車用駆動モータ1Bは、自動車用駆動モータ1Aより渦電流損が少なくなり、効率がより向上する利点も備える。
なお、ステータ4a、4b間の前記界磁の磁路が各接続体15によって形成されるため、自動車用駆動モータ1Bは一実施形態の磁性体フレーム3を省くことも可能である。
また、各接続体15、各渦電流防止体16のいずれか一方のみを設けた構成であっても、渦電流損が少なくなって効率が向上するのは勿論である。
さらに、各接続体15、各渦電流防止体16の個数、配設間隔等は実験等に基いて適当に設定すればよく、各接続体15、各渦電流防止体16を形成する層状磁性体は積層鋼板体に限られるものでなく、種々の磁性体の積層体であってよいのも勿論である。
そして、本発明は上記した両実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、例えば、両モータ部2a、2bは三相に限られるものでなく6相等の三相以上の適当な多相の構成であってよいのは勿論である。なお、両モータ部2a、2bの相数に応じて、図1の三相インバータ12a、12bは両モータ部2a、2bの相数のものに変更すればよい。また、両モータ部2a、2bの電源が種々の構成の多相電源であってよいのも勿論である。
また、前記一実施形態においては、界磁コイル部7の給電に単相インバータ14の電源を用いたが、界磁コイル部7の給電にチョッパ電源等を用いるようにしてもよい。
さらに、前記の単相インバータ14の電源やチョッパ電源等の直流入力エネルギは電気自動車のいわゆる補機電池によって形成するようにしてもよい。
そして、本発明は、電気自動車だけでなく、燃料電池自動車やハイブリッド自動車等の種々の車両の動力源としての自動車用駆動モータ及びそのモータ駆動制御方法に適用することができる。
本発明の一実施形態の電気自動車の駆動系のブロック図である。 図1の自動車用駆動モータの一部の構造説明用の斜視図である。 図1の第1、第2のモータ部の連結状態の斜視図である。 (a)、(b)は図3の第1、第2のモータ部の端面図である。 (a)〜(c)は界磁コイル部に電流が流れないときの図3の磁束の説明図である。 (a)〜(c)は界磁コイル部に正方向の電流が流れるときの図3の磁束の説明図である。 (a)〜(c)は界磁コイル部に負方向の電流が流れるときの図3の磁束の説明図である。 (a)〜(d)は図1の自動車用駆動モータの回転数に対する各種の特性説明図である。 (a)、(b)は図1の自動車用駆動モータの高負荷時、軽負荷時の状態説明用のベクトル図である。 図1の自動車用駆動モータの渦電流損の説明図である。 (a)、(b)は本発明の他の実施形態の要部の斜視図、その一部の構成説明用の斜視図である。 図11の磁束の状態の説明図である。 (a)、(b)は従来モータの定トルク領域、弱め界磁領域の状態説明用のベクトル図である。 (a)〜(d)は従来モータの負荷時の特性説明図である。 (a)〜(d)は従来モータの無負荷時の特性説明図である。
符号の説明
1A、1B 自動車用駆動モータ
2a、2b 第1、第2のモータ部
3 磁性体フレーム
4a、4b 第1、第2のステータ
5a、5b 第1、第2のロータ
51a、51b モータ軸
53a、53b 永久磁石体
6 連結部
7 界磁コイル部
8a、8b 回転センサ
9a、9b 駆動輪
12a、12b 三相インバータ
14 単相インバータ
15 接続体
16 渦電流防止体

Claims (7)

  1. 第1のステータの内側に磁性体の第1のロータを設けて形成され、該第1のロータの周部に円周方向に間隔をとって配設された全ての磁極磁石がN極を外側に向けたN極側永久磁石体で構成された第1のモータ部と、
    第2のステータの内側に磁性体の第2のロータを設けて形成され、該第2のロータの周部に円周方向に間隔をとって配設された全ての磁極磁石がS極を外側に向けたS極側永久磁石体で構成された第2のモータ部と、
    前記両ロータのモータ軸を相互に独立して回転する状態に連結する磁性体の連結部と、
    前記両ロータ間に前記両モータ部の前記モータ軸が貫通するように設けられ、前記両モータ部に前記モータ軸方向の共通の界磁を発生する界磁コイル部と、
    前記両ステータ間の磁路を形成する磁性体のステータ間磁路体とを備え、
    前記第1のモータ部の前記モータ軸に左右の駆動輪のいずれか一方が取り付けられ、前記第2のモータ部の前記モータ軸に前記左右の駆動輪のいずれか他方が取り付けられることを特徴とする自動車用駆動モータ。
  2. 請求項1記載の自動車用駆動モータにおいて、
    前記ステータ間磁路体を、前記両ステータを内装した磁性体フレームが形成することを特徴とする自動車用駆動モータ。
  3. 請求項1記載の自動車用駆動モータにおいて、
    前記ステータ間磁路体として前記両ステータの周部の複数個所を橋絡する複数個の接続体を備え、
    前記各接続体を前記両モータ部のモータ軸方向の短冊状の複数個の磁性板を貼り合わせた積層磁性体により形成し、
    前記積層磁性体の一端部、他端部を前記両モータ部の周部の前記各個所に嵌入したことを特徴とする自動車用駆動モータ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用駆動モータにおいて、
    前記両ロータぞれぞれの前記モータ軸に接する内周部の複数個所に、前記層状磁性体が形成する渦電流防止体を配設したことを特徴とする自動車用駆動モータ。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用駆動モータにおいて、
    前記界磁コイル部が円筒形の磁心体にコイルを巻回して形成されることを特徴とする自動車用駆動モータ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の自動車用駆動モータを駆動するモータ駆動制御方法であって、
    前記両ロータそれぞれの磁極位置の検出に基いて前記両ステータそれぞれの電流を個別に制御し、
    前記両ロータの回転速度の検出に基く前記界磁コイル部の電流制御により前記界磁コイル部が発生する界磁を調整し、
    前記両モータ部のモータ電圧が電源電圧近くに上昇する高速回転域のときに、前記界磁により前記両モータ部の磁束を低減して弱め界磁運転の状態にすることを特徴とするモータ駆動制御方法。
  7. 請求項6記載のモータ駆動制御方法において、
    前記両モータ部がそれぞれ三相以上の多相構造であって、
    前記両ステータの各相巻き線に前記両モータ部それぞれの多相電源から給電し、前記界磁コイル部に単相電源から給電することを特徴とするモータ駆動制御方法。
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