JP2007134535A - 電力貯蔵デバイス、電力貯蔵モジュール及びそれらに用いるガス収納袋 - Google Patents

電力貯蔵デバイス、電力貯蔵モジュール及びそれらに用いるガス収納袋 Download PDF

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憲朗 光田
Takashi Masuda
尚 増田
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Abstract

【課題】容器外部に放出されるガスの圧力が低い場合であっても、近くに設けられた電気回路等を腐食することなく継続してガスを放出できる電力貯蔵デバイス、電力貯蔵モジュール及びそれらに用いるガス収納袋を提供する。
【解決手段】容器6の内部に発生したガスを容器6の外部に放出するガス放出弁7にガス放出袋1を設ける。ガス放出袋1は、放出弁7から放出されるガスを内部に収納する。ガス放出袋1は、潰れた状態で折り畳まれてガス放出弁7に設けられている。ガス放出弁7からガスが放出されると、折り畳まれたガス収納袋1が伸張してガスを収納する。そのため、ガス放出弁7からの放出圧力が低い場合であっても継続してガスを収納できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、電気二重層キャパシタ、コンデンサ、リチウム二次電池、リチウムイオンキャパシタなどの電力貯蔵デバイス、電力貯蔵モジュール及びそれらに用いるガス収納袋に関する。
電気二重層キャパシタ(電気二重層コンデンサとも呼ばれる。)、アルミ電解コンデンサやリチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタなどの電力貯蔵デバイスは、急激な充放電を頻繁に繰り返した場合や、満充電した状態で長時間使用すると、残存する水分が水電解したり、カーボンの表面官能基が酸化分解したり、電解液そのものが電気分解を起こすなどして、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、酸素、有機ガスなどの分解ガスが発生する場合がある。また、動作環境温度が異常に高くなった場合に、寿命劣化が加速されたり、電解液が分解蒸発するなどしてガスが発生する場合がある。
そのため、特許文献1に記載の電気二重層キャパシタでは、容器の破壊を免れるために、容器にガス放出弁を設け、容器の内圧が高まるとガス放出弁に設けられたピンホールから容器内部のガスを放出し、内圧が下がるとオイルシール等によってピンホールが塞がるように構成されている。
しかし、特許文献1に記載の電気二重層キャパシタでは、内部のガスと共に例えば4級アンモニウム塩などの電解質を含むプロピレンカーボネートなどの有機電解液が容器から放出されるために、近くの基板の電子回路を腐食したり短絡したりする不具合があった。
また、ガスの放出が停止してピンホールが塞がるまでの時間に空気中の水分が進入し、水分の電気分解によるガスの発生が起こり易くなるという問題があった。
そこで、特許文献2には、ガス放出弁の外側にガスを収納して膨張する部材、具体的にはゴム風船を装着した電気二重層キャパシタの発明が開示されている。この構成を用いることで、近くの基板の電子回路への電解液の飛散や、ピンホールからの空気中の水分の侵入を防止することができる。
特開2003−37028号公報(図2) 特開平8−115859号公報(図5)
しかしながら、ガスを収納して膨張する部材は、圧力に応じて膨張の程度が変化するために、ガス収納袋の内圧が高くなると、ガス放出弁からのガスの放出が困難になる。
また、ゴムなどの膨張する部材は、有機溶媒によって劣化し、長時間膨らんだ状態が続くと軟化して破裂してしまうという問題点もある。
従来のガス放出弁のガス収納袋は、圧力に応じて膨張の程度が変化するために、膨張によってガス収納袋の圧力が高くなると、ガス放出弁からのガスの放出が困難になるという問題があった。
本発明は、以上の問題点を解決するために為されたものであり、放出されるガスの圧力が低い場合であっても、外部にガスを放出できる電力貯蔵デバイス、電力貯蔵モジュール及びそれらに用いるガス収納袋を提供する。
請求項1に係る電力貯蔵デバイスは、外郭容器と、前記容器に設けられ、前記容器の内部に発生したガスを前記容器の外部に放出するガス放出弁と、前記ガス放出弁に連通して前記容器に装着され、前記ガス放出弁から放出される前記ガスを収納するガス収納袋と、を備え、前記ガス収納袋は、不透気性のフィルム材よりなり、排気され小さくされた状態で前記容器に装着されることを特徴とする。
請求項8に係るガス収納袋は、電力貯蔵デバイスの外郭容器に設けられたガス放出弁に連通して前記容器に装着され、前記ガス放出弁から放出されるガスを収納するために用いられるガス収納袋であって、前記ガス収納袋は、不透気性のフィルム材よりなり、排気され小さくされた状態で前記容器に装着されることを特徴とする。
請求項1に係る電力貯蔵デバイスによれば、ガス収納袋が膨らむことで、ガス放出弁から放出されたガスを収納できる。そのため、電力貯蔵デバイスは、ガスの圧力が低くても継続してガス放出弁からガスを放出できる。
請求項8に係るガス収納袋によれば、ガス収納袋は、膨らむことでガス放出弁から放出されたガスを収納できる。そのため、ガス収納袋を電力貯蔵デバイスに装着することで、電力貯蔵デバイスは、ガスの圧力が低くても継続してガス放出弁からガスを放出できる。
<実施の形態1>
<A.構成>
<A−1.全体構成>
図1は、本実施の形態1に係る電力貯蔵デバイスの正面図である。また、図2は、図1の側面図である。
電力貯蔵デバイスの外郭容器6には、容器6の内部に発生したガスを容器6の外部に放出するガス放出弁7が設けられている。
そして、電力貯蔵デバイスには、ガス放出弁7に連通して容器6に装着され、ガス放出弁7から放出されるガスを内部に収納するガス収納袋1が設けられている。
ガス収納袋1は、不透気性のフィルム材よりなり、排気され小さくされた状態で容器6に装着されている。図2では、ガス収納袋1は、蛇腹状に折り畳まれた状態で容器6に装着されている。
そして、電力貯蔵デバイスには、陽極電流端子8、陰極電流端子9が設けられている。
<A−2.ガス放出弁7の構成及び動作>
次に、図3,4を参照してガス収納袋1及びガス放出弁7の構成について詳細に説明する。
図3は、本実施の形態1に係る電力貯蔵デバイスのガス放出弁7近傍の上面図である。また、図4は、図3のA−A線断面図である。
まず、ガス放出弁7の構成について説明する。容器6に、容器内部に発生したガスを外部に放出するためのピンホール12(ガス放出口)が設けられている。そして、ピンホール12を囲うように、容器6の内側にカバー部17が設けられている。カバー部17には、容器6内部で発生したガスをガス放出弁7の内部に通すための通気口18が設けられている。
カバー部17の内側には、通気口18を覆うように、シリコンオイル16を介してフィルム15が配置されている。
フィルム15と容器6の間にはフィルム押さえ14が介挿されている。そしてフィルム押さえ14は、フィルム15に接合されている。フィルム押さえ14は、カバー部17からフィルム15が離れるのを防止するために配置されている。
次に、以上のように構成されたガス放出弁7の動作について説明する。
容器6の内部にガスが発生していない状態では、シリコンオイル16、フィルム15及びフィルム押さえ14により、通気口18はシールされている。
そして、ガスの発生により容器6の内圧が高まると、発生したガスは、フィルム15とフィルム押さえ14を押し上げ、通気口18からシリコンオイル16を通って、カバー部17の内部に侵入する。
ピンホール12とフィルム押さえ14の間はシールされておらず、カバー部17の内部に侵入したガスは、容器6とフィルム押さえ14の隙間を通ってピンホール12から容器外部に放出される。
<A−3.ガス収納袋1の構成>
次に、ガス収納袋1の構成について説明する。
ガス収納袋1は、ポリエチレンフィルムを2枚重ね合わせて形成されている。そして、空気を抜いて潰した状態で折り畳まれ、ガス放出弁7に設けられている。
ガス収納袋1には袋頭部穴11が設けられている。そして、袋頭部穴11の周囲には両面テープ22(後述する図5参照)が貼られており、ガス収納袋1は、ピンホール12を覆うように容器6に接着されている。
また、ガス収納袋1は、市販のスプレー糊等の粘着力の弱い接着剤が、両面に薄く吹きかけられて折り畳まれており、折り畳まれた状態を維持している。
<A−4.ガス収納袋1の製造方法>
次に、図5を参照してガス収納袋1の製造方法について説明する。図5は、ガス収納袋1の製造工程を示すである。
まず、2枚の黄色に着色された四角形状のポリエチレンフィルム29を重ね合わせる。裏面側のポリエチレンフィルム29の一端である袋頭部2には、袋頭部穴11が設けられ、袋頭部穴11の周囲には両面テープ22が貼り付けられている。
ここで、袋頭部穴11は、ポリエチレンフィルム29に両面テープ22を貼り付けたのち、穴あけプレスを行うことで形成する。
次に、130℃に加熱した金属板を当てて2枚のポリエチレンフィルム29を熱融着する。熱融着は、ポリエチレンフィルム29の4辺及び熱融着部21において行われる。
以上の工程により、図5に示した構成を得る。また、熱融着部21において区切られた各々のポリエチレンフィルム29がガス収納袋1に対応している。
次に、2枚のポリエチレンフィルム29の表裏にスプレー糊を薄くスプレーした後、山折り部19、谷折り部20で折り曲げることにより、ポリエチレンフィルム29を蛇腹状に折り畳む。その後、熱融着部21においてカッターを用いて切断する。
以上説明した製造方法によりガス収納袋1を製造することで、ガス収納袋1を安価に大量生産することが可能になる。
ここで、ガス収納袋1は、ポリエチレンフィルム以外に、ポリプロピレンフィルムや、アルミラミネートフィルムなど各種の不透気性のフィルムを用いることができる。
また、ガス収納袋1の製造方法は、2枚のポリエチレンフィルム29を重ね合わせるのではなく、例えば、押し出し成形することでポリエチレンフィルム29を袋状に加工してもよい。
<B.動作>
次に本実施の形態1に係る電力貯蔵デバイスの動作について説明する。
電気貯蔵デバイスの急激な充放電の繰り返し等により、容器6の内部にガスが発生して容器6の内圧が高まるとガス放出弁7からガスが放出される。
ガス放出弁7からガスが放出されると、ガス収納袋1の中にガスが入り、ガス収納袋1の折り目が広がって徐々に伸張する。すなわち、内部にガスが収納されることで、排気さされ小さくされた状態のガス収納袋1が徐々に膨らむ。
図6は、ガス収納袋1にガスが溜まり始めて、折り畳まれたガス収納袋1が伸び始めた状態を示す電力貯蔵デバイスの正面図であり、図7は側面図である。
さらにガスが放出されると、ガス収納袋1はさらに伸長し、図8,9に示す状態となる。図8は、ガス収納袋1の内部にガスが充満した状態の電力貯蔵デバイスの正面図であり、図9は側面図である。
ガス収納袋1にガスが充満するまでの間は、ガス収納袋1が膨らんで伸長することによってガスを内部に収納するので、ガス放出弁7から放出された後のガスの圧力は常圧に近い状態に保たれる。
<C.効果>
以上の構成を備えているので、ピンホール12から電力貯蔵デバイスの容器外部に放出されたガスはガス収納袋1内に収納される。
ガス収納袋1は不透気性の材質であり密閉されているので、電解液や電解質が外部に飛散して、近くにある電子回路を腐食したりショートさせる恐れがない。
また、ガス収納袋1が膨らんでガスを収納するので、電力貯蔵デバイスは、ガスの圧力が低くても継続してガスを容器6の外部に放出できる。
また、ガス収納袋1は排気された状態で容器6に装着されている。そのため、ガスが放出された際に、空気中の水分が電力貯蔵デバイスのピンホール12から内部に侵入する恐れもない。
ピンホール12から水分や空気が侵入することがないので、ガスの放出後も電力貯蔵デバイスは正常に動作できる。
ガス収納袋1は、折り畳まれた状態で容器6に装着されているので、ガス収納袋1の伸長具合でどの程度ガスが放出されたかを判別することができる。
また、本実施の形態1に係るガス収納袋1は、黄色に着色されているので、透明のガス放出袋1に比べて、伸長具合が観察し易くなる。
ここで、ガス収納袋1を黄色に着色する必要はなく、赤色や緑色などガス収納袋1の伸長具合を観察し易い色であれば何色であってもよい。
また、本実施の形態1では、長方形状のガス収納袋1を用いたが、ガス収納袋1は、内部にガスが収納できるように袋状であればよく、長方形状である必要はない。
<実施の形態2>
<A.構成>
<A−1.全体構成>
図10は、実施の形態2に係る電力貯蔵デバイスの側面図である。本実施の形態2に係る電力貯蔵デバイスでは、ガス収納袋1が渦巻き状に折り畳まれている。
その他の構成は、実施の形態1と同様であり、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<A−2.ガス収納袋1の製造方法>
次に本実施の形態2に係るガス収納袋1の製造方法について説明する。
まず、図5に示したように、ポリエチレンフィルム29を2枚貼り合わせる。そして、袋頭部穴11が設けられた面とは反対の面にのみスプレー糊を少し吹き付ける。
そして、ポリエチレンフィルム29の両面テープ22が設けられた端とは反対の端から、スプレー糊が吹き付けられた面が内側になるように折り畳む。
以上のようにして、図10に示したガス収納袋1を得る。
<B.動作>
次に、本実施の形態2に係る電力貯蔵デバイスの動作について説明する。
容器6の内部にガスが発生し、容器6の内圧が高まるとガス放出弁7からガスが放出される。
ガス放出弁7からガスが放出されると、ガス収納袋1の中にガスが収納され、ガス収納袋1の折り目が広がって徐々に伸張する。
図11は、ガス収納袋1にガスが溜まり始めて、渦巻き状に折り畳まれたガス収納袋1が伸び始めた状態を示す電力貯蔵デバイスの側面図である。
さらにガスが放出されるとガス収納袋1はさらに伸長し、ガス収納袋1内部にガスが充満すると最終的に図9に示したのと同じ状態となる。
ガスがガス収納袋1に充満するまでの間、ガス放出弁7から放出された後のガスの圧力は、常圧に近い状態に保たれる。
<C.効果>
本実施の形態2に係る電力貯蔵デバイスは、以上の構成を備えているので実施の形態1と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態2に係る電力貯蔵デバイスは、ガス収納袋1が渦巻き状であるので、蛇腹状に折り畳むのに比べて容易に折り畳むことができる。
また、ガス収納袋1の一方の面にのみスプレー糊を吹き付ければよいので、製造コストを下げることができる。
なお、実施の形態1、2では、ガス収納袋1を蛇腹状に折り畳んだり、渦巻き状に折り畳んだ例を示したが、ガス収納袋1の体積が小さくなっていればよく、巻紙のように丸めたり、異なる折り畳み方をしてもよい。
<実施の形態3>
<A.構成>
<A−1.全体構成>
図12は、本実施の形態3に係る電力貯蔵デバイスの正面図である。また、図13は、ガス収納袋近傍の側面図である。
本実施の形態3では、ガス収納袋1が、電力貯蔵デバイスのガス放出弁7以外の部分に袋尾部(接着部)4がさらに接着されている。そして、袋尾部4には、袋尾部穴(穴)27が設けられている。
その他の構成は、実施の形態1と同様であり、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<A−2.ガス収納袋1の製造方法>
次に、図14を参照して、本実施の形態3に係るガス収納袋1の製造方法について説明する。図14は、ガス収納袋1の製造工程を示す図である。
実施の形態1(図5参照)と同様に、2枚のポリエチレンフィルム29が貼り付けられている。そして、裏面のポリエチレンフィルム29に袋頭部穴11が設けられている。そして、袋頭部穴11の周囲には両面テープ22が貼り付けられている。
本実施の形態3に係るガス放出袋1では、裏面のポリエチレンフィルム29の袋頭部穴11が設けられた端とは反対の端である袋尾部4に、袋尾部穴27がさらに設けられている。そして、袋尾部穴27の周囲には両面テープ28が貼り付けられている。
ここで、両面テープ28の接着面積は両面テープ22の接着面積に比べて小さく形成されている。
<B.動作>
次に、本実施の形態3に係る電力貯蔵デバイスの動作について説明する。
容器6の内部にガスが発生し、容器6の内圧が高まるとガス放出弁7からガスが放出される。
ガス放出弁7からガスが放出されると、ガス収納袋1の中にガスが収納され、ガス収納袋1の折り目が広がって徐々に伸張する。
図15は、ガス収納袋1にガスが溜まり始めて、折り畳まれたガス収納袋1が伸び始めた状態を示すガス放出弁7近傍の側面図である。
ガスがさらに放出されると、ガス収納袋1はさらに伸長する。ガス収納袋1が伸長するために、ガス収納袋1にガスが充満するまでの間は、ガス放出弁7から放出された後のガスの圧力は常圧に近い状態に保たれる。
ガス収納袋1にガスが充満した後に、ガス収納袋1にさらにガスが収納されると、袋尾部穴27からのガスの圧力によって、袋尾部4が容器6から剥れる。ここで、両面テープ22よりも両面テープ28の方が接着面積が小さいため、袋尾部4が容器6から剥れる。そして、容器6から袋尾部4が剥れると、袋尾部穴27からガスが放出されるようになる。
図16は、袋尾部4が容器6から剥れ、ガスが充満した状態のガス収納袋1を示す側面図である。
<C.効果>
本実施の形態3に係る電力貯蔵デバイスは、ガス収納袋1がガス放出弁7以外に部分に接着された袋尾部4を備えている。
そのため、袋尾部4の接着位置により、ガス収納袋1が伸長する方向を予め制御することができる。
ここで、電力貯蔵デバイスの容器6に袋尾部4を接着する必要はなく、ガス収納袋1が伸張する方向をガイドするための板を別に設け、その板に接着するようにしてもよい。
本実施の形態3に係る電力貯蔵デバイスは、袋尾部4に形成された袋尾部穴27をさらに備えている。
ガス収納袋1内にガスが充満しても、袋尾部4が剥れることで、電力貯蔵デバイスは、容器6の外部にガスを放出できる。
ここで、ガスに含まれる電解液や電解質の大部分は、袋尾部穴27から放出されるまでの間に温度が下がることにより、ガス収納袋1の内部で液状になり、ガス収納袋1内の内壁にトラップされる。
そのため、本実施の形態3に係る電力貯蔵デバイスは、ガス収納袋1の収納限界を超えたガスが発生した場合であっても、電力貯蔵デバイスの近傍に設けられた電子回路の腐食やショート等を低減しつつ、ガスを放出することができる。
<実施の形態4>
<A.構成>
図17は、本実施の形態4に係る電力貯蔵デバイスのガス放出弁7近傍の上面図である。そして図18は、図17のB−B線断面図である。
実施の形態4では、ガス放出弁7にピンホール12、通気口18がそれぞれ2個設けられている。
その他の構成は実施の形態1と同様であり、同一の構成には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
<B.動作>
本実施の形態4に係る電力貯蔵デバイスの動作は、実施の形態1と同様であるので詳細な説明は省略する。
<C.効果>
ピンホール12が2個存在すると、一方のピンホール12が電解液や電解質によって塞がった場合でも、もう一方のピンホール12を使ってガスを放出することができる。そのため、ガス放出弁7の信頼性が高められる。
しかし、ピンホール12を複数個設けると、ピンホール12から外部の空気や水分が容器6の内部に侵入する恐れが増大する。
本実施の形態4では、ガス収納袋1がガス放出弁7に設けられている。そして、ガス収納袋1内部には空気やこれに含まれる水分が殆ど存在しないため、複数のピンホール12から外部の空気や水分が容器6の内部に侵入する恐れはない。
そのため、外部の空気や水分の容器6への浸入の恐れなく、ガス放出弁7の信頼性を高めるために複数個のピンホール12を形成することが可能になる。
なお、本実施の形態4では、2個のピンホール12を設けているが、もっと多くのピンホール12を設けてもよい。
ピンホール12の数が多くなるほど、ガス放出弁7のピンホール12に電解質の析出物などが詰まってガス放出弁7としての機能が発揮されなくなる恐れを回避することができる。
また、通気口18を2つ設けているので、一方の通気口18が塞がった場合であっても、ガスを外部に放出することができる。
<実施の形態5>
<A.構成>
図19は、本実施の形態5に係る電力貯蔵モジュールの構成を示す斜視図である。本実施の形態5に係る電力貯蔵モジュール(以下、単に「モジュール」と称する場合がある。)では、モジュール容器23内に7個の電力貯蔵デバイスが配置されている。
ここで、本実施の形態5に係る電力貯蔵モジュールは、実施の形態1の電力貯蔵デバイスを用いた例を示している。
図19に示すように各々の電力貯蔵デバイスは、正極電流端子8と負極電流端子9が交互に配線30により接続され直列に連結されている。
そして、電力貯蔵デバイスへの充放電を制御するための均等化回路や電圧モニターなどの電子回路を装着した電子回路基板24がモジュール容器23内に装着されている。
そして、モジュール容器23には、透明板10が設けられている。透明板10は、透明なアクリルで構成されており、側面から、各々のガス収納袋1を観察することができる。
ここで、透明板10の材料としては、アクリルの他、ポリカーボネート、ガラス、塩化ビニールなどを用いることができる。
<B.動作>
図19において、最も手前の電力貯蔵デバイスに設けられたガス収納袋26には、ガスが充満しておりかなり伸張している。そして、ガス収納袋25は、放出ガスを少し収納し、少し伸張している。
<C.効果>
本実施の形態5に係る電力貯蔵モジュールは、透明板10を通して、ガス収納袋1の伸張した様子を即座に確認することができる。そのため、点検の際に、モジュールを分解して内部を調べる手間を省いて、ガスを放出した電力貯蔵デバイスの有無を確認できる。確認後、ガス収納袋1の伸張が著しい電力貯蔵デバイス等があれば、何らかの対処をすればよい。
以上説明したように、透明板10を容器23に設けることで、モジュール内の電力貯蔵デバイスの状況を簡単に把握することができ、電力貯蔵デバイスの寿命を予測することもできる。
なお、モジュールの外部から内部を観察できるように透明部を備えていればよく、透明板10を別に設けるのではなく、容器23の一部を透明な材質としてもよい。
また、本実施の形態5に係る電力貯蔵モジュールでは、電力貯蔵デバイスにガス放出袋1を設けているので、電子回路基板24上に形成された電子回路をガスに含まれる電解液や電解質で腐食したりショートさせる恐れがない。
ここで、モジュールの内壁や透明板10の内壁にガス収納袋1の袋尾部4を接着してもよい。
透明板10の内壁にガス収納袋1の袋尾部4を接着した場合には、透明板10の近傍にガス収納袋1が存在するために、外部からのガス収納袋1の観測が容易になる。
実施の形態1から3に示したガス収納袋1を電気二重層キャパシタ(定格電圧2.7V、2ΩF、指月電機製)に装着して、70℃、3.5Vの寿命加速を実施し、ガスの発生によるガス収納袋1の伸張と効果を確認した。
また、20個の電気二重層キャパシタを収納した電力貯蔵モジュールによる寿命加速試験についても実施した。
その結果、ガス収納袋1を装着しないものについては、放出されたガスに含まれる電解液や電解質で電子回路が腐食してショートする不具合が生じた。そして、電気二重層キャパシタには外部から水分が侵入して、ガスの発生が加速されて、短時間で性能劣化した。
これらに対して、本実施の形態1から5に係る発明では、発生したガスは全て、ガス収納袋1に収まっていて、透明板10からその様子が観測でき、電気二重層キャパシタ6も長時間にわたって安定に動作できた。
また、円筒型の電気二重層キャパシタに実施の形態1のガス放出弁7のガス収納袋1を装着して寿命加速試験を実施したところ、ガス収納袋1が伸張して、本発明の機能を発揮することを確認した。
同様に、大型のリチウムイオン電池や大型のコンデンサのガス放出弁7にガス収納袋1を装着して乾燥機に入れ、温度と充電電圧を高めてガスが放出される条件に設定した。そうして、ガス収納袋1が伸張して、本発明の目的としての機能を発揮することを確認した。
実施の形態1に係る電力貯蔵デバイスの正面図である。 実施の形態1に係る電力貯蔵デバイスの側面図である。 実施の形態1に係る電力貯蔵デバイスのガス放出弁近傍の上面図である。 実施の形態1に係る電力貯蔵デバイスのガス放出弁近傍の断面図である。 実施の形態1に係るガス収納袋の製造工程を示す図である。 実施の形態1に係る電力貯蔵デバイスの正面図である。 実施の形態1に係る電力貯蔵デバイスの側面図である。 実施の形態1に係る電力貯蔵デバイスの正面図である。 実施の形態1に係る電力貯蔵デバイスの側面図である。 実施の形態2に係る電力貯蔵デバイスの側面図である。 実施の形態2に係る電力貯蔵デバイスの側面図である。 実施の形態3に係る電力貯蔵デバイスの正面図である。 実施の形態3に係る電力貯蔵デバイスのガス収納袋近傍の側面図である。 実施の形態3に係るガス収納袋の製造工程を示す図である。 実施の形態3に係る電力貯蔵デバイスのガス収納袋近傍の側面図である。 実施の形態3に係る電力貯蔵デバイスのガス収納袋近傍の側面図である。 実施の形態4に係る電力貯蔵デバイスのガス放出弁近傍の上面図である。 実施の形態4に係る電力貯蔵デバイスのガス放出弁近傍の断面図である。 実施の形態5に係る電力貯蔵モジュールの構成を示す斜視図である。
符号の説明
1,25,26 ガス収納袋、4 袋尾部、6 容器、7 ガス放出弁、8 陽極電流端子、9 陰極電流端子、10 透明板、11 袋頭部穴、12 ピンホール、14 フィルム押さえ、15 フィルム、16 シリコンオイル、17 カバー部、18 通気口、19 山折り部、20 谷折り部、21 熱融着部、22,28 両面テープ、23 モジュール容器、24 電子回路基板、27 袋尾部穴、29 ポリエチレンフィルム、30 配線。

Claims (8)

  1. 外郭容器と、
    前記容器に設けられ、前記容器の内部に発生したガスを前記容器の外部に放出するガス放出弁と、
    前記ガス放出弁に連通して前記容器に装着され、前記ガス放出弁から放出される前記ガスを収納するガス収納袋と、
    を備え、
    前記ガス収納袋は、不透気性のフィルム材よりなり、排気され小さくされた状態で前記容器に装着されることを特徴とする電力貯蔵デバイス。
  2. 前記ガス収納袋は、折り畳まれた状態で前記容器に装着されることを特徴とする請求項1に記載の電力貯蔵デバイス。
  3. 前記ガス放出弁は、前記ガスを放出するガス放出口を複数個備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力貯蔵デバイス。
  4. 前記ガス収納袋は、前記電力貯蔵デバイスの前記ガス放出弁以外の部分に接着された接着部をさらに備えることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の電力貯蔵デバイス。
  5. 前記ガス収納袋は、前記接着部に形成された穴をさらに備えることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の電力貯蔵デバイス。
  6. 前記ガス放出袋は、有色であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の電力貯蔵デバイス。
  7. 請求項1から6の何れかに記載の電力貯蔵デバイスを複数個モジュール容器内に備える電力貯蔵モジュールであって、
    前記ガス収納袋を外部から観察できるように、前記モジュール容器に設けられた透明部を備えることを特徴とする電力貯蔵モジュール。
  8. 電力貯蔵デバイスの外郭容器に設けられたガス放出弁に連通して前記容器に装着され、前記ガス放出弁から放出されるガスを収納するために用いられるガス収納袋であって、
    前記ガス収納袋は、不透気性のフィルム材よりなり、排気され小さくされた状態で前記容器に装着されることを特徴とするガス収納袋。
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