JP2007131826A - 予備発泡樹脂粒子、発泡樹脂成形体及びその製造方法 - Google Patents

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弘 中岫
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Abstract

【課題】軋み音の発生が少ない成形体が得られ、かつ発泡成形性に優れた予備発泡スチレン樹脂粒子、並びにこれを発泡成形した発泡スチレン樹脂成形体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】粒子表面がパラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂でコーティング又は含浸されている予備発泡スチレン樹脂粒子であって、前記予備発泡スチレン樹脂粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5部分までを形成する表層部分の重量平均分子量が、前記中心から前記表面に向かって中心から1/5までを形成する中心部分の重量平均分子量に対して、1.2倍以上大きい予備発泡スチレン樹脂粒子。
【選択図】図1

Description

本発明は、発泡樹脂成形体、特に自動車内装材に関する。具体的には、床面の高さ調節と室内側での平面性確保、断熱性能の向上、遮音性能の向上等、乗員の居住性向上を目的とした自動車フロア嵩上げ材や、乗員の保護を目的とした衝撃吸収材等の軽量化部材に使用される硬質発泡プラスチック成形品、及びその製造方法に関する。
従来、自動車の車体軽量化や居住性の改善に対応して、内装床面に裏打ち付カーペットや、軟質発泡ウレタンのような軟質で高密度の発泡プラスチックを埋設する方法が採用されている。裏打ち付カーペットは、凹凸を有する床面の形状に即した形状とすることが難しく室内側に凹凸形状が反映され易いことや、一定の厚みを稼ぐための単位体積あたりの重量が重くなる欠点を有していた。軟質発泡ウレタンは高発泡品では、軟質のためフィット感がでないばかりでなく、吸水や剛性不足による床面へたりや、陥没の問題が生じやすいことから、高密度の発泡体とならざるを得なく、結果として、もう一つの目的である、軽量化を達成しえないものであった。
そこで、近年では単位体積あたりの軽量化とフィット感、さらには経済性とリサイクルのし易さから熱可塑性の硬質発泡プラスチックである発泡ポリスチレン系樹脂や発泡ポリプロピレン樹脂が多く使用されるに至っている。
この他に、乗員の安全性の向上を目的に、衝突時に乗員へのダメージを軽減するための発泡樹脂を衝撃吸収材として、乗員の足回り、鞍部、頭部等の各部位に使用することが一般的となってきている。この衝撃吸収材である発泡樹脂も嵩上げ材と同様に、経済性、リサイクルのし易さ、賦形性に優れた、発泡ポリスチレン系樹脂や発泡ポリプロピレン樹脂が多く使用されている。
しかしながら、これらの硬質発泡プラスチックは、嵩上げ材や、各種の衝撃吸収材としての優れた特性と経済性を持つ反面、固有の軋み音が発生しやすい欠点があり、その対策を行うことを余儀なくされていた。これは、独立気泡を有する硬質発泡プラスチックは、発泡体同士もしくは発泡体と車体の間で接触・振動したとき、接した気泡が変形し、その変形が戻るときに気泡が太鼓の膜となって振動することに由来していると推定される。
対策として、従来既知の方法で硬質発泡プラスチックを製造した後、2次加工として硬質発泡プラスチックのフロア面等の接触面に不織布やフェルトを貼ることが提案されている。しかしながら、不織布やフェルトを貼る際、接触面の形状が不定形である場合が多いことから、形状に即した貼り作業には多大な労力を要し、後加工費が高くなる問題があった。
発泡体の軋み音を低減する方法として、粒子表面にワックスをコーティング又は含浸させた予備発泡粒子を用い発泡成形体とする方法が提案されている。ここで用いる予備発泡粒子としては、発泡スチレン樹脂、発泡ポリプロピレン樹脂、発泡アクリロニトリル・スチレン樹脂等が挙げられるが、これら予備発泡粒子のなかで、発泡スチレン樹脂が最も安価に入手できコスト面で優位であり、リサイクルが容易である。しかし、発泡スチレン樹脂粒子にこの方法を採用した場合、樹脂がワックスにより侵され、発泡性及び成形性が著しく低下するとともに、ワックスが粒子表面及び表層付近に留まらず、粒子内部にまで浸透するため、本来の目的である軋み音低減効果が著しく低下する問題があった。
ところで、本発明者らは、発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する際に、重合後期に酸素濃度を低くして、表層部分の重量平均分子量を高めた粒子を得ている(例えば、特許文献1〜3)。
特開2004−137448号公報 特開2004−250655号公報 国際公開第03/025052号パンフレット
本発明は、以上のような問題点を鑑みてなされたものであり、軋み音の発生が少ない成形体が得られ、かつ発泡成形性に優れた予備発泡スチレン樹脂粒子、並びにこれを発泡成形した発泡スチレン樹脂成形体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば以下の予備発泡スチレン樹脂粒子及び発泡スチレン樹脂成形体等を提供できる。
1.粒子表面がパラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂でコーティング又は含浸されている予備発泡スチレン樹脂粒子であって、
前記パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂が、前記予備発泡スチレン樹脂粒子の1重量%〜30重量%であり、
前記予備発泡スチレン樹脂粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5部分までを形成する表層部分の重量平均分子量が、前記中心から前記表面に向かって中心から1/5までを形成する中心部分の重量平均分子量に対して、1.2倍以上大きい予備発泡スチレン樹脂粒子。
2.前記パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂が、前記予備発泡スチレン樹脂粒子の1重量%〜30重量%である1記載の予備発泡スチレン樹脂粒子。
3.前記表層部分の重量平均分子量が30万〜45万、前記中心部分の重量平均分子量が20万〜30万の範囲である1又は2記載の予備発泡スチレン樹脂粒子。
4.前記パラフィンワックスの融点が、40℃〜100℃であり、
前記パラフィンワックス100重量部に対し前記エチレン−酢酸ビニル樹脂が5重量部以上30重量部以下であり、
前記エチレン−酢酸ビニル樹脂の酢酸ビニル成分含有量が、10重量%以上50重量%以下である1〜3のいずれか記載の予備発泡スチレン樹脂粒子。
5.1〜4のいずれか記載の予備発泡スチレン樹脂粒子を熱融着成形させた発泡スチレン樹脂成形体。
6.自動車用フロア嵩上げ材、又は衝撃吸収材である5記載の発泡スチレン樹脂成形体。
7.パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂を、共融混合し、
前記共融混合したパラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂を、発泡性スチレン樹脂粒子と混合し、
前記混合物を、前記パラフィンワックスの融点以上の温度で予備発泡して、前記発泡性スチレン樹脂粒子の表面に、パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂をコーティング又は含浸させて、予備発泡スチレン樹脂粒子を得、
前記予備発泡スチレン樹脂粒子を発泡成形する、5又は6記載の発泡スチレン樹脂成形体の製造方法。
本発明により、軋み音の発生が少ない成形体が得られ、かつ発泡成形性に優れた予備発泡スチレン樹脂粒子、並びにこれを発泡成形した発泡スチレン樹脂成形体及びその製造方法を提供することができる。
以下に、本発明の予備発泡樹脂粒子及び発泡樹脂成形体を詳細に説明する。
本発明の予備発泡スチレン樹脂粒子は、粒子表面がパラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂でコーティング又は含浸されている。ここで、コーティング又は含浸は、コーティング及び含浸されている場合も含む。
本発明の予備発泡樹脂粒子は、表面から中心に向かって5等分した表面から1/5部分までを形成する表層部分の重量平均分子量が、中心から表面に向かって中心から1/5までを形成する中心部分の重量平均分子量に対して、1.2倍以上大きい。
表層部分の重量平均分子量が、中心部分の重量平均分子量に対して1.2倍未満であると、発泡性、成形性及び擦れ音防止のバランスをとれない恐れがある。
好ましくは、表層部分の重量平均分子量が30万〜45万、中心部分の重量平均分子量が20万〜30万である。
表層部分の重量平均分子量が30万未満では粒子表層がワックスに侵され発泡性、成形性が低下する恐れがある。また、ワックスが粒子内部にまで浸透し表層のワックス濃度が低下するため、十分な擦れ音防止効果が得られない恐れがある。45万を超えると成形品融着が低下する恐れがある。
中心部分の重量平均分子量が20万未満では成形品強度が低下する恐れがあり、30万を超えると発泡性が低下する恐れがある。
尚、本発明において、予備発泡樹脂粒子の重量平均分子量の測定方法は実施例に記載するとおりである。
上記のような予備発泡樹脂粒子は、特開2004−137448号公報、特開2004−250655号公報、WO03/025052等に記載の方法によって製造することができる。また、日立化成工業製:ハイビーズSB−TX−7、ハイビーズSSB−TX−7等の市販品を使用できる。
本発明で使用するパラフィンワックスは、分子量が300から800のパラフィンワックスが好ましく、融点が40℃から100℃の範囲にあるものが好ましい。
融点が、40℃未満では、作業性が低いばかりでなく、ワックスとしての軋み音防止効果が低い場合があり、100℃を超えると、予備発泡工程での加工温度と融点が近づくため、発泡樹脂粒子へのコーティングが不均一となり好ましくない。
通常、原料として使用するパラフィンワックスの形状はブロック状、粒子状、粉状等があるが、本発明では限定されない。ただし、ブロック状の場合後述する予備発泡工程でのパラフィンワックスの溶融が不完全になる場合があることから、別途溶融槽と定量供給機が必要となる。パラフィンワックスは、単一の種類のものを使用してもよいし、異なる融点の物を複数種、混合して使用してもよい。
本発明に使用できるエチレン−酢酸ビニル樹脂の酢酸ビニル成分含有量は、10重量%以上50重量%以下であることが好ましい。酢酸ビニル成分量が10重量%未満では、成形工程での粒子同士の融着させるために加熱温度が高くなる場合があるため好ましくない。酢酸ビニル成分が50重量%を超えるとパラフィンワックスとの共融が難しく、固化するときに層分離を起こすため、コーティングが不均一となり、コーティング剤の脱離や、成形工程での粒子同士の融着性改善効果が無くなる恐れがある。エチレン−酢酸ビニル樹脂の分子量は、メルトフローインデックスで表すことができる。メルトフローインデックスは、パラフィンワックスとの共融の可否、成形工程での粒子同士の融着性、粒子とコーティング層の接着性(凝集力)を考慮して選択される。
パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂は、個別もしくは予め共融混合して、発泡性樹脂粒子の予備発泡工程に供することができるが、より均一なコーティングを行うためには、後者が特に好ましい。パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の共融混合比率は、パラフィンワックスの分子量、エチレン−酢酸ビニル樹脂の分子量と共重合比率、相容化剤の有無により範囲は異なるものとなるが、例えば概ねパラフィンワックス100重量部に対しエチレン−酢酸ビニル樹脂が5重量部以上30重量部以下から選ばれる。パラフィンワックスが多すぎると成形時の融着性が低下する恐れがあり、パラフィンワックスが少なすぎると軋み音が発生する恐れがある。
本発明の予備発泡樹脂粒子において、コーティング又は一部が含浸されるパラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂は、融着性と成形体の軋み音低減の観点から、好ましくは予備発泡樹脂粒子の1重量%〜30重量%であり、より好ましくは5重量%〜20重量%である。また、パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂は、表面を覆うだけでなく、粒子表層に一部が取り込まれる(含浸)される場合も含まれる。
一般に、本発明に使用される予備発泡前の発泡性樹脂粒子は、ポリスチレン樹脂粒子に炭化水素系の発泡剤を含浸したものであり、本発明の予備発泡粒子は、予備発泡と呼ばれる(一次)発泡工程で予備発泡粒子としたものである。この予備発泡粒子は、さらに、閉塞しうるが密閉し得ない金型に充填された後、型内で再度スチーム等により加熱されることで再発泡(二次発泡)し発泡樹脂粒子間にある空隙を無くすと共に、発泡樹脂粒子同士が熱融着して所望の形状の成形体を得る(熱融着成形)。本発明に使用される予備発泡前の発泡性樹脂粒子は、このような予備発泡及び熱融着成形が可能であれば特に限定されない。
本発明における予備発泡樹脂粒子の密度は、好ましくは0.016g/ml〜0.1g/mlである。
発泡樹脂成形体の密度は、好ましくは0.016g/ml〜0.1g/mlである。密度が、0.016g/ml未満では、要求される応力を達成する物性を得ることが難しく、0.1g/mlを超えると、重量が増し軽量化の要求を満足できないばかりでなく、経済性が劣るため好ましくない。
次に、本発明の発泡樹脂成形体の製造方法の一例について説明する。
パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の共融混合は、攪拌機をつけた加熱槽の中に、規定量のパラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂を入れ、パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の共融物の融点以上に加熱することでおこなわれ、適宜ペレタイザ等により粒状、又は板状等に成形される。
予備発泡工程において、発泡剤を含有した発泡前の原料樹脂(発泡性樹脂粒子)を、予備発泡機と呼ばれる攪拌機付きの加熱槽に定量供給し、スチーム等を熱媒として一定容量になるまで加熱することで、所定の密度まで発泡し、予備発泡樹脂粒子を得る。
続いて、予備発泡樹脂粒子は通気性のよいサイロで乾燥と予備発泡樹脂粒子内の減圧緩和をおこなった(熟成工程)のち、成形機に供給される。熟成工程を経た予備発泡樹脂粒子は、アルミニウム等で作られた、閉塞しうるが密閉しえない閉塞部を有する金型に充填し再度スチーム等を熱媒として加熱し再発泡させる。これにより発泡樹脂粒子同士が熱融着し(成形工程)で発泡樹脂成形体が得られる。
本発明においては、パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の発泡性樹脂粒子へのコーティング及び/又は含浸は、前述した工程のうち、予備発泡工程で行われる。予備発泡機は、従来公知の機械に、予め共融混合されたパラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂を定量供給するための装置を追加することで、そのまま転用できる。発泡機の方式には、連続式のものと回分式のものが公知であり共に転用が可能であるが、より精度良く定量供給するためには、回分式予備発泡機を基本に定量供給装置を追加することが好ましい。
一次発泡工程に用いられる予備発泡機は、通常、攪拌翼を備えた発泡槽と、発泡槽へスチームを供給するためのチャンバーからなり、これら2槽は金網等で仕切られ材料の移動はないものの、熱媒であるスチームは金網等を通過し発泡槽へ導入される構造となっている。
回分式発泡機での発泡性樹脂粒子へのパラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂のコーティングは、常時攪拌しながら、通常次の6工程を経て行われる。
(1)発泡槽を予備加熱する。
(2)発泡性樹脂粒子を規定量供給する。
(3)パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の共融混合物を規定量供給する。
(4)発泡槽へスチームを導入して発泡槽内温度を上昇させる(パラフィンワックスの融点以上まで上昇することで発泡しながらパラフィンワックスは溶融する)。
(5)レベルセンサーまで発泡したら、加熱を停止する。
(6)発泡槽に空気を導入し、空冷により温度降下させた後、発泡槽外へパラフィンワックス等がコーティングされた予備発泡樹脂粒子を排出する。
尚、工程(6)の、発泡機からの取り出しは、パラフィンワックスの融点以下に冷却した後に行う方が、予備発泡樹脂粒子のケーキング防止が可能となる等、ハンドリングを行う上で好ましい。
熟成工程は、従来公知の設備、方法がそのまま適用できる。通常、通気性の良い布製、サラン製、もしくは金網製のサイロに、常温にて、約8時間以上、72時間以内保管することで熟成は行われる。
成形工程は、従来公知の設備、方法がそのまま適用できる。
通常、発泡スチロール等の熱融着成形に用いられる、加熱媒体であるスチーム、冷却水、圧縮エアーを、タイマーや圧力スイッチによって電気的に制御される成形機に、一定量のスチームをより均一に供給するためのチャンバー室と、成形体部分となる閉塞しうるが密閉しえない空隙を有する金型を取り付け、これに予備発泡樹脂粒子を充填したのちスチームを熱媒として加熱発泡、及び冷却することで発泡樹脂成形体が得られる。
本発明においても、この方法がそのまま適応できるが、パラフィンワックスの融点以上の温度での減圧冷却や、脱型は好ましくない。パラフィンワックスの融点以上の温度で減圧冷却すると、溶融したパラフィンワックスがスリットと呼ばれるスチームベント孔を通じ、金型チャンバー室に移行し、系外に流出する恐れがあるためである。
また、パラフィンワックスの融点以上の温度での成形体の金型からの脱型は、溶融したパラフィンワックスの一部が、脱型のための圧縮エアーに同伴し冷却され蜘蛛の巣状に飛散してしまうことから好ましくない。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した樹脂等の特性の測定方法は以下の通りである。
〔重量平均分子量〕
予備発泡樹脂粒子の重量平均分子量は、発泡性スチレン粒子を発泡させて測定した。発泡性スチレン粒子は、飽和水蒸気中で嵩倍数80ml/gに発泡した。任意の発泡粒子2〜3粒を採取し、剃刀で図1に示すように発泡粒子10を半分等間隔に5等分して、外側から、部分1、2、3、4、5を形成した。最も外側の部分1(表層部分)についてはそのまま、最も内側の部分5についてはこの部分を5等分した中心(中心部分)を注射針(直径1mm)でくり抜いて取り出した。分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ(HPC)法により以下の装置及び条件で測定した。この結果を表1に示した。
測定装置:株式会社日立製作所製、L−4000
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、流量:2ml/分
検出器:UV220nm
カラム:日立化成工業株式会社社製 GL−R400M 2本
〔パラフィンワックスの融点〕
融点測定方法は、JIS K 2235の5.3項に準じて行った。
(実施例1)
〔パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の共融混合物の作成〕
融点が55℃のパラフィンワックス(日本精蝋社製)160g、エチレン−酢酸ビニル樹脂(エチレン/酢酸ビニル=72/28)(三井・デュポンケミカル社製)40gを150℃の加熱槽に入れ、1時間放置したのち撹拌し、均一に溶融したパラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の混合物(以下、単にワックスという場合がある)を得た。溶融したワックスを硝子板の上に垂らし、約5mmの厚さの板状ワックスを得た後、おおよそ10mm角に切断し、パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂の共融混合物を得た。このワックスの見かけの融点は、65℃であった。
〔発泡性樹脂粒子へのワックスコーティング〕
発泡性樹脂粒子として、表層部分の重量平均分子量が41.5万、中心部の重量平均分子量が23.1万、平均粒子径が1.11mmである発泡性スチレン樹脂粒子(日立化成工業株式会社製、商品名:ハイビーズSB−TX−7)、パラフィンワックスとエチレン−酢酸ビニル樹脂共融混合物を、発泡スチロール用の回分式予備発泡機(日立化成テクノプラント株式会社製発泡機、商品名:HBP−500LW)にて以下の工程により、予備発泡を行い、ワックスがコーティングされた予備発泡樹脂粒子を得た。
(1)発泡槽の予備加熱は、スチーム加熱により、約60℃に上げた。
(2)撹拌翼を回しながら、発泡性樹脂粒子を1.1kg発泡槽上部より投入した。
(3)攪拌翼を回しながら、粒状のワックス55gを発泡槽上部より投入した。
(4)泡槽へスチーム導入し、発泡槽内温度を約100℃まで上げるとともに加熱を維持し、スチーム投入開始後、所定の時間で、発泡槽容積50Lに設けられた、レベルセンサーに通達した。
(5)空冷エアーで、60℃まで発泡槽温度を下げた。
(6)発泡槽外へワックスがコーティングされた予備発泡樹脂粒子を排出した。
こうして得られた、予備発泡樹脂粒子の嵩密度は、0.025g/ml(発泡倍数:40倍)であった。
〔熟成と成形〕
前項で得られた予備発泡樹脂粒子をサラン製袋に入れて、約17時間熟成させた。こうして得られた予備発泡樹脂粒子を成形までの18時間、通気性の良いサイロに保管した。引き続き、発泡スチロール用成形機(日立化成工業株式会社製、商品名:モルデックスC10VS)に所定の金型をセットし、図2〜4に示す自動車用フロア嵩上げ材である成形体(縦580mm×横490mm×厚み85,55,18mm)を得た。図2は自動車用フロア嵩上げ材の上面図である。図3は、図2におけるII−II線視した側面図であり、図4は、図2におけるIII−III線視した側面図である。図3のa,b,cは各々厚みを表しており、aは85mm、bは18mm、cは55mmである。
〔成形体の評価〕
得られた成形体について、下記の試験方法により、軋み音の評価を行った。縦、横、深さそれぞれ約300mmの内寸を持つコンクリート容器(厚み15mm)の内壁に厚さ10mmのフェルトを貼り、容器の下部に自動車のフロア材である防錆処理を施した鉄板を固定した。この上に成形体に一定の重りを載せ、エアーシリンダーを用いて前後に振幅させて発生した音を、普通騒音計(リオン株式会社製、商品名:NA―29)で周波数(Hz)別に音圧レベル(dB)を測定した。この結果を表1に示した。
〔成形体の融着度〕
また、得られた成形体にて、強度の指標の一つである、融着度の評価を行った。成形体の中心部を手で破断させ、その破断面を目視して、発泡粒が破断しているもの、発泡粒が破断していないものとの数を測定し、その比率を融着度とした。この方法によれば、実施例1で得た成形品と、後述する比較例1で得た成形品は、双方とも融着度85%であった。
(実施例2)
実施例1において、発泡性樹脂粒子に対するワックスの添加量を165gとした以外は、実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示した。
(比較例1)
実施例1において、ワックスを添加しない以外は、実施例1と同様な操作を行った。この結果を表1に示した。
(比較例2)
実施例1において、発泡性樹脂粒子を、表層部分の重量平均分子量が31.1万、中心部の重量平均分子量が31.4万、平均粒子径が1.14mmである発泡性スチレン樹脂(日立化成工業株式会社製、商品名:ハイビーズB−SB−H)とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。この結果を表1に示した。
Figure 2007131826
本発明の予備発泡樹脂粒子から製造される発泡樹脂成形体は、軋み音の発生が少なく、自動車用フロア嵩上げ材等の自動車内装材として有用に使用できる。
予備発泡樹脂粒子の分子量の測定方法を示す模式図である。 実施例1で製造した自動車用フロア嵩上げ材の上面図である 図2におけるII−II線視した側面図である。 図2におけるIII−III線視した側面図である。
符号の説明
1 発泡粒子の最も外側の部分(表層部分)
2 発泡粒子の外側から2番目の部分
3 発泡粒子の外側から3番目の部分
4 発泡粒子の外側から4番目の部分
5 発泡粒子の最も内側の部分(中心部分)
10 発泡粒子

Claims (7)

  1. 粒子表面がパラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂でコーティング又は含浸されている予備発泡スチレン樹脂粒子であって、
    前記予備発泡スチレン樹脂粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5部分までを形成する表層部分の重量平均分子量が、前記中心から前記表面に向かって中心から1/5までを形成する中心部分の重量平均分子量に対して、1.2倍以上大きい予備発泡スチレン樹脂粒子。
  2. 前記パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂が、前記予備発泡スチレン樹脂粒子の1重量%〜30重量%である請求項1記載の予備発泡スチレン樹脂粒子。
  3. 前記表層部分の重量平均分子量が30万〜45万、前記中心部分の重量平均分子量が20万〜30万の範囲である請求項1又は2記載の予備発泡スチレン樹脂粒子。
  4. 前記パラフィンワックスの融点が、40℃〜100℃であり、
    前記パラフィンワックス100重量部に対し前記エチレン−酢酸ビニル樹脂が5重量部以上30重量部以下であり、
    前記エチレン−酢酸ビニル樹脂の酢酸ビニル成分含有量が、10重量%以上50重量%以下である請求項1〜3のいずれか記載の予備発泡スチレン樹脂粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか記載の予備発泡スチレン樹脂粒子を熱融着成形させた発泡スチレン樹脂成形体。
  6. 自動車用フロア嵩上げ材、又は衝撃吸収材である請求項5記載の発泡スチレン樹脂成形体。
  7. パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂を、共融混合し、
    前記共融混合したパラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂を、発泡性スチレン樹脂粒子と混合し、
    前記混合物を、前記パラフィンワックスの融点以上の温度で予備発泡して、前記発泡性スチレン樹脂粒子の表面に、パラフィンワックス及びエチレン−酢酸ビニル樹脂をコーティング又は含浸させて、予備発泡スチレン樹脂粒子を得、
    前記予備発泡スチレン樹脂粒子を発泡成形する、請求項5又は6記載の発泡スチレン樹脂成形体の製造方法。
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