JP2007131726A - 導電性高分子塗料及び導電性塗膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の導電性高分子塗料は、π共役系導電性高分子と可溶化高分子混合物と溶媒とを含有する導電性高分子塗料であって、可溶化高分子混合物が、第1の可溶化高分子および第2の可溶化高分子を含み、第1の可溶化高分子の質量平均分子量M1と第2の可溶化高分子の質量平均分子量M2との比(M1/M2)が2以上である。本発明の導電性塗膜は、上述した導電性高分子塗料が塗布されて形成されたことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
電解重合法では、ド−パントとなる電解質とπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーとの混合溶液中に、予め形成した電極材料などの支持体を浸漬し、支持体上にπ共役系導電性高分子をフィルム状に形成する。そのため、大量に製造することが困難である。
一方、化学酸化重合法では、このような制約がなく、π共役系導電性高分子の前駆体モノマーに酸化剤及び酸化重合触媒を添加し、溶液中で大量のπ共役系導電性高分子を製造できる。
しかし、化学酸化重合法では、π共役系導電性高分子主鎖の共役系の成長に伴い、溶媒に対する溶解性が乏しくなるため、不溶の固形粉体で得られるようになる。不溶性のものでは、塗布によって基材表面上にπ共役系導電性高分子を含む導電性塗膜を均一に形成することが困難になる。
それらの問題を解決するために、遷移金属イオンを開始剤として用いる方法や、低温度で長時間反応させる方法などが採られることがある。しかしながら、これらの方法では、モノマーの脱水素により生成されたプロトンによるπ共役系導電性高分子の構造規則性低下を充分に防ぐことができなかった。
また、π共役系導電性高分子はそれ単身では不溶であり、適用できる用途が少ないという問題があった。
また、質量平均分子量が2,000〜500,000の範囲の可溶化高分子であるポリ酸(ポリアニオン)の存在下で、酸化剤を用いて、3,4−ジアルコキシチオフェンを化学酸化重合する方法が提案されている(特許文献2参照)。
また、特許文献2に記載の方法では、π共役系導電性高分子の溶媒可溶性が不充分になることがあった。溶媒可溶性が低くなると成膜性が低くなり、その結果、導電性を向上させることが困難になった。
本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、導電性、耐熱性、成膜性のいずれもが優れた導電性高分子塗料及び導電性塗膜を提供することを目的とする。
可溶化高分子混合物が、第1の可溶化高分子および第2の可溶化高分子を含み、第1の可溶化高分子の質量平均分子量M1と第2の可溶化高分子の質量平均分子量M2との比(M1/M2)が2以上であることを特徴とする。
本発明の導電性高分子塗料においては、第1の可溶化高分子および第2の可溶化高分子の質量平均分子量が共に10,000〜800,000の範囲にあることが好ましい。
本発明の導電性塗膜は、上述した導電性高分子塗料が塗布されて形成されたことを特徴とする。
本発明の導電性高分子塗料は、π共役系導電性高分子と、可溶化高分子混合物と、溶媒とを含有するものである。
以下、各構成要素について説明する。
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体等が挙げられる。重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類及びポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性、バインダへの相溶性を得ることができるが、導電性及びバインダへの分散性又は溶解性をより高めるためには、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入することが好ましい。
可溶化高分子混合物は、第1の可溶化高分子および第2の可溶化高分子を含むものである。ここで、第1の可溶化高分子および第2の可溶化高分子は別々に合成されたものであり、後述するように、第1の可溶化高分子は第2の可溶化高分子より質量平均分子量が大きいものである。
このポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
これらの中でも、不飽和結合とπ共役系導電性高分子との相互作用があること、置換若しくは未置換のブタジエンを出発物質として合成しやすいことから、置換若しくは未置換のブテニレンが好ましい。
ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド6,10等が挙げられる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
アルキル基は、極性溶媒又は非極性溶媒への溶解性及び分散性、樹脂への相溶性及び分散性等を高くすることができ、ヒドロキシル基は、他の水素原子等との水素結合を形成しやすくでき、有機溶媒への溶解性、樹脂への相溶性、分散性、接着性を高くすることができる。また、シアノ基及びヒドロキシフェニル基は、極性樹脂への相溶性、溶解性を高くすることができ、しかも、耐熱性も高くすることができる。
上記置換基の中では、アルキル基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基が好ましい。
これらのうち、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸が好ましい。ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸は、熱エネルギーを吸収して自ら分解することにより、π共役系導電性高分子成分の熱分解が緩和されるため、耐熱性、耐環境性に優れる。さらに、エステル基を有するため、バインダとの相溶性、分散性に優れる。
電子吸引基を有する高分子の具体例としては、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂や、水酸基あるいはアミノ基含有樹脂をシアノエチル化した樹脂(例えば、シアノエチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、アルキル化ポリビニルピロリドン、ニトロセルロースなどが挙げられる。
さらに、第1の可溶化高分子の質量平均分子量は、π共役系導電性高分子との溶解性が高くなることから、100,000〜800,000であることが好ましく、200,000〜500,000であることがより好ましい。
また、第2の可溶化高分子の質量平均分子量は、第1の可溶化高分子とπ共役導電性高分子との間隙に入り込むことができ、導電性及び溶媒可溶性をより高くできることから、10,000〜100,000であることが好ましい。なお、第2の可溶化高分子の質量平均分子量が50,000以下である場合には(M1/M2)が4〜10であることが好ましく、第2の可溶化高分子の質量平均分子量が100,000以下である場合には(M1/M2)が3〜5であることが好ましい。
可溶化高分子の質量平均分子量を所定の範囲内とするには、可溶化高分子製造時に重合条件を適宜選択したり、上記範囲の市販の可溶化高分子を使用したりすればよい。
導電性高分子塗料に含まれる溶媒としては、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンホスホルトリアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよいし、他の有機溶媒との混合物としてもよい。
上記溶媒の中でも、環境への負荷が小さいことから、水、アルコール類が好ましい。
導電性高分子塗料には、導電性をより向上させるために、ドーパントを添加してもよい。ドーパントとしては、π共役系導電性高分子を酸化還元させることができればドナー性のものであってもよく、アクセプタ性のものであってもよい。
ドナー性ドーパントとしては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム等の4級アミン化合物等が挙げられる。
アクセプタ性ドーパントとしては、例えば、ハロゲン化合物、ルイス酸、プロトン酸、有機シアノ化合物、有機金属化合物、フラーレン、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、カルボン酸化フラーレン、スルホン酸化フラーレン等を使用できる。
さらに、ハロゲン化合物としては、例えば、塩素(Cl2)、臭素(Br2)、ヨウ素(I2)、塩化ヨウ素(ICl)、臭化ヨウ素(IBr)、フッ化ヨウ素(IF)等が挙げられる。
ルイス酸としては、例えば、PF5、AsF5、SbF5、BF5、BCl5、BBr5、SO3等が挙げられる。
有機シアノ化合物としては、共役結合に二つ以上のシアノ基を含む化合物が使用できる。例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、ジクロロジシアノベンゾキノン(DDQ)、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン等が挙げられる。
スルホ基を一つ含むものとして、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−ヘプタンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ノナンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、1−テトラデカンスルホン酸、1−ペンタデカンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、コリスチンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アミノメタンスルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ペンチルベンゼンスルホン酸、ヘキチルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ノニルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ウンデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、5−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アセトアミド−3−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロ−3−ニトロベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ペンチルナフタレンスルホン酸、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、8−クロロナフタレン−1−スルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン重縮合物、アントラキノンスルホン酸、ピレンスルホン酸等が挙げられる。また、これらの金属塩も使用できる。
上記導電性高分子塗料を製造する方法としては、例えば、まず、第1の可溶化高分子及び第2の可溶化高分子を各々合成し、第1の可溶化高分子と第2の可溶化高分子と溶媒の存在下でπ共役系導電性高分子の前駆体モノマーを化学酸化重合する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/又は重合触媒の存在下で、酸化重合又はラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/又は重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。
また、溶媒としては、導電性高分子塗料を構成する溶媒を用いることができる。
具体的には、ビニルスルホン酸及びその塩類、アリルスルホン酸及びその塩類、メタリルスルホン酸及びその塩類、スチレンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩類、アリルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩類、α−メチルスチレンスルホン酸及びその塩類、アクリルアミド−t−ブチルスルホン酸及びその塩類、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩類、シクロブテン−3−スルホン酸及びその塩類、イソプレンスルホン酸及びその塩類、1,3−ブタジエン−1−スルホン酸及びその塩類、1−メチル−1,3−ブタジエン−2−スルホン酸及びその塩類、1−メチル−1,3−ブタジエン−4−スルホン酸及びその塩類、アクリル酸エチルスルホン酸(CH2CH-COO-(CH2)2-SO3H)及びその塩類、アクリル酸プロピルスルホン酸(CH2CH-COO-(CH2)3-SO3H)及びその塩類、アクリル酸−t−ブチルスルホン酸(CH2CH-COO-C(CH3)2CH2-SO3H)及びその塩類、アクリル酸−n−ブチルスルホン酸(CH2CH-COO-(CH2)4-SO3H)及びその塩類、アリル酸エチルスルホン酸(CH2CHCH2-COO-(CH2)2-SO3H)及びその塩類、アリル酸−t−ブチルスルホン酸(CH2CHCH2-COO-C(CH3)2CH2-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸エチルスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-(CH2)2-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸プロピルスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-(CH2)3-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸−n−ブチルスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-(CH2)4-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸−t−ブチルスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-C(CH3)2CH2-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸フェニレンスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-C6H4-SO3H)及びその塩類、4−ペンテン酸ナフタレンスルホン酸(CH2CH(CH2)2-COO-C10H8-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸エチルスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-(CH2)2-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸プロピルスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-(CH2)3-SO3H)及びその塩類
、メタクリル酸−t−ブチルスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-C(CH3)2CH2-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸−n−ブチルスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-(CH2)4-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸フェニレンスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-C6H4-SO3H)及びその塩類、メタクリル酸ナフタレンスルホン酸(CH2C(CH3)-COO-C10H8-SO3H)及びその塩類、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸)、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。また、これらを2種以上含む共重合体であってもよい。
これらアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合することで溶媒溶解性やバインダへの相溶性をコントロールすることができる。
溶媒としては、前記前駆体モノマーを溶解又は分散しうる溶媒であり、酸化剤及び酸化触媒の酸化力を維持させることができるものであればよく、例えば、導電性高分子塗料に含まれるものと同様のものが挙げられる。
本発明の導電性塗膜は、上述した導電性高分子塗料が塗布されて形成されたものである。導電性高分子塗料の塗布方法としては、例えば、浸漬、コンマコート、スプレーコート、ロールコート、グラビア印刷などが挙げられる。
塗布後、加熱処理や紫外線照射処理により塗膜を硬化することが好ましい。
加熱処理としては、例えば、熱風加熱や赤外線加熱などの通常の方法を採用できる。紫外線照射処理としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプなどの光源から紫外線を照射する方法を採用できる。
[質量平均分子量]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、スチレン又はプルラン換算の質量平均分子量を測定した。
[電気伝導度]
導電性高分子塗料をガラス板上に6滴滴下し、オーブンで乾燥させて導電性塗膜を形成し、ローレスタ(三菱化学社製)により測定した。
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した2.28gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を滴下した。これにより得られた溶液を2時間攪拌し、80℃の恒温槽中に一晩静置した。その後、1500mlのメタノール中で再沈殿させ、沈殿物をろ過してポリスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液を得た。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。そして、得られた溶液中の水を減圧除去して、質量平均分子量220,000のポリスチレンスルホン酸を得た。
なお、限外ろ過条件は下記の通りとした(他の例でも同様)。
限外ろ過膜の分画分子量:30K
クロスフロー式
供給液流量:3000ml/分
膜分圧:0.12Pa
100mlのイオン交換水に124.14gのメタクリル酸エチルスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した76.9mgの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を滴下した。これにより得られた溶液を5時間攪拌し、80℃の恒温槽中に一晩静置した。その後、1500mlのメタノール中で再沈殿させ、沈殿物をろ過してポリメタクリル酸エチルスルホン酸ナトリウム含有溶液を得た。
得られたポリメタクリル酸エチルスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法を用いてポリメタクリル酸エチルスルホン酸ナトリウム含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。そして、得られた溶液中の水を減圧除去して、質量平均分子量40,000のポリメタクリル酸エチルスルホン酸を得た。
過硫酸アンモニウム酸化剤の量を57.7mgに変更したこと以外は製造例2と同様にして、質量平均分子量280,000のポリメタクリル酸エチルスルホン酸を得た。
過硫酸アンモニウム酸化剤の量を43.3mgに変更したこと以外は製造例2と同様にして、質量平均分子量400,000のポリメタクリル酸エチルスルホン酸を得た。
過硫酸アンモニウム酸化剤の量を28.85mgに変更したこと以外は製造例2と同様にして、質量平均分子量600,000のポリメタクリル酸エチルスルホン酸を得た。
3.4gのピロールと、製造例1により得られた5.4gのポリスチレンスルホン酸(質量平均分子量;220,000)および24.6gの4−スルホフタル酸(50質量%水溶液)とを2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを混合した後、これを5℃に冷却した。
これにより得られた混合溶液を5℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした14.82gの過硫酸アンモニウムと4.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液をゆっくり加え、1時間攪拌して反応させた。この反応中、π共役系導電性高分子およびポリスチレンスルホン酸との複合体を採取し、120℃のオーブン中で乾燥させて電気伝導度を測定した(測定A)。
その後、反応液に3.4gのヒドロキノンスルホン酸カリウムを添加して反応を停止させて導電性高分子塗料(1)を得た。次いで、上記限外ろ過により不純物等を除去し、120℃のオーブン中で10分間乾燥させて電気伝導度を測定した(測定B)。
電気伝導度の測定結果を表1に示す。
製造例1により得られたポリスチレンスルホン酸5.4gの代わりに製造例2により得られたポリメタクリル酸エチルスルホン酸(質量平均分子量;40,000)10.8gを添加したこと以外は比較例1と同様にして導電性高分子塗料(2)を得た。そして、比較例1と同様にして電気伝導度を測定した。その測定結果を表1に示す。
製造例1により得られたポリスチレンスルホン酸5.4gの代わりに製造例3により得られたポリメタクリル酸エチルスルホン酸(質量平均分子量;280,000)10.8gを添加したこと以外は比較例1と同様にして導電性高分子塗料(3)を得た。そして、比較例1と同様にして電気伝導度を測定した。その測定結果を表1に示す。
製造例1により得られたポリスチレンスルホン酸5.4gの代わりに製造例4により得られたポリメタクリル酸エチルスルホン酸(質量平均分子量;400,000、第2の可溶化高分子M2)10.8gと、製造例5により得られたポリメタクリル酸エチルスルホン酸(質量平均分子量;600,000、第1の可溶化高分子M1)10.8gとを添加したこと以外は比較例1と同様にして導電性高分子塗料(4)を得た。そして、比較例1と同様にして電気伝導度を測定した。その測定結果を表1に示す。
製造例1により得られたポリスチレンスルホン酸5.4gの代わりに製造例2により得られたポリメタクリル酸エチルスルホン酸(質量平均分子量;40,000、第2の可溶化高分子M2)10.8gと製造例3により得られたポリメタクリル酸エチルスルホン酸(質量平均分子量;280,000、第1の可溶化高分子M1)10.8gとを添加したこと以外は比較例1と同様にして導電性高分子塗料(5)を得た。そして、比較例1と同様にして電気伝導度を測定した。その測定結果を表1に示す。
製造例1により得られたポリスチレンスルホン酸5.4gの代わりに製造例2により得られたポリメタクリル酸エチルスルホン酸(質量平均分子量;40,000、第2の可溶化高分子M2)10.8gと製造例4により得られたポリメタクリル酸エチルスルホン酸(質量平均分子量;400,000、第1の可溶化高分子M1)10.8gとを添加したこと以外は比較例1と同様にして導電性高分子塗料(6)を得た。そして、比較例1と同様にして電気伝導度を測定した。その測定結果を表1に示す。
製造例1により得られたポリスチレンスルホン酸5.4gの代わりに製造例2により得られたポリメタクリル酸エチルスルホン酸(質量平均分子量;40,000、第2の可溶化高分子M2)10.8gと製造例5により得られたポリメタクリル酸エチルスルホン酸(質量平均分子量;600,000、第1の可溶化高分子M1)10.8gとを添加したこと以外は比較例1と同様にして導電性高分子塗料(7)を得た。そして、比較例1と同様にして電気伝導度を測定した。その測定結果を表1に示す。
これに対し、1種類の可溶化高分子のみ含む比較例1〜3、また、質量平均分子量が異なる2種類の可溶化高分子を含有し、これら可溶化高分子の質量平均分子量の比(M1/M2)が2未満である比較例4では、導電性が低かった。
Claims (3)
- π共役系導電性高分子と可溶化高分子混合物と溶媒とを含有する導電性高分子塗料であって、
可溶化高分子混合物が、第1の可溶化高分子および第2の可溶化高分子を含み、第1の可溶化高分子の質量平均分子量M1と第2の可溶化高分子の質量平均分子量M2との比(M1/M2)が2以上であることを特徴とする導電性高分子塗料。 - 第1の可溶化高分子および第2の可溶化高分子の質量平均分子量が共に10,000〜800,000の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の導電性高分子塗料。
- 請求項1又は2に記載の導電性高分子塗料が塗布されて形成されたことを特徴とする導電性塗膜。
Priority Applications (1)
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