以下、本発明を適用したトナー搬送装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送基板1及び搬送電源回路5を、画像形成装置の感光体25とともに示す構成図である。同図において、トナー搬送部材たるトナー搬送基板1は、基体1a、複数の搬送電極1b、表面層1cなどを有している。板状の基体1aは絶縁性材料が板状に形成されたものである。複数の搬送電極1bは、それぞれ短冊状の形状をしており、同図において、長手方向を図紙面に直交する方向に延在させる姿勢で、図中左右方向に所定のピッチで並ぶように基体1aの表面に形成されている。表面層1cは、絶縁性材料からなり、基体1aの非電極形成面や複数の搬送電極1bの表面を覆っている。
それぞれの搬送電極1bに対しては、基板上に進行電界を形成するためのn相(例えば3相)のパルス電圧が搬送電源回路3によって印加される。具体的には、複数の搬送電極2のうち、潜像担持体たる感光体25との対向領域で且つ感光体25に比較的近い領域である現像領域R2に位置するものに対しては、3相のパルス電圧Va2〜Vc2が印加される。また、それ以外の搬送電極1bに対しては、3相のパルス電圧Va1〜Vc1が印加される。なお、現像領域R2よりもトナー搬送方向上流側の基板領域は、トナー搬送基板1上のトナーTを現像領域R2に向けて供給するための供給領域R1となっている。また、現像領域R2よりもトナー搬送方向下流側の基板領域は、感光体1の表面に過剰に付着したトナーTをトナー搬送基板1に回収する回収領域R3となっている。
トナー搬送基板1上のトナーTは、各搬送電極1bにパルス電圧が印加されることによって基板上に形成される進行電界により、基板上でホッピングしながら図中右側から左側へと搬送されていく。これにより、供給領域R1内に存在するトナーTが供給領域R1内から現像領域R2に向けて搬送され、現像領域R2内に進入する。トナー搬送基板1の上方には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるドラム状の感光体25がトナー搬送基板1と所定の間隙を介して対向するように配設されている。現像領域R2内では、ホッピングによって感光体25にある程度近づいたトナーTに対し、周知の電子写真プロセスによって感光体25の表面に形成された静電潜像による電界が作用して、トナーTが静電潜像に付着する。このとき、感光体25の非画像部(地肌部)上にはトナーTを静電反発させる電界が形成されているため、殆どのトナーTは非画像部に付着せずに、静電潜像だけに選択的に付着する。このような選択的なトナーTの付着により、感光体25上の静電潜像がトナー像に現像される。
現像領域R2内では、このようにしてトナーTの一部が現像に寄与しながら、残りがホッピングの繰り返しによって図中右側から左側へと搬送されていき、現像領域R2を通過して回収領域R3に進入する。
回収領域R3では、感光体25の非画像部電位と、各搬送電極1bのパルス電位との関係により、ホッピングしたトナーTを非画像部からトナー搬送基板1に向けて静電移動させる電界が形成される。これにより、非画像部上に付着してしまったトナーTがトナー搬送基板1に回収される。
図2は、トナー搬送基板1をおもて面側から示す平面図である。また、図3は、トナー搬送基板1の図2におけるA−A’断面を示す縦断面図である。また、図4は、トナー搬送基板1の図2におけるB−B’断面を示す横断面図である。また、図5は、トナー搬送基板1の図2におけるC−C’断面を示す横断面図である。また、図6は、トナー搬送基板1の図2におけるD−D’断面を示す横断面図である。なお、図2や図3における矢印Xは、トナーの搬送方向を示している。以下、これらの図を用いながら、トナー搬送基板1の構成について詳述する。
トナー搬送基板1の複数の搬送電極1bは、A相搬送電極1bAと、これに対してトナー搬送方向下流側で隣り合うB相搬送電極1bBと、これに対してトナー搬送方向下流側で隣り合うC相搬送電極1bCとからなる3層電極組が、トナー搬送方向に繰り返し並ぶように配設されたものである。これら搬送電極1bの表面には、上述したように、絶縁性の表面層1cが形成されている。なお、表面層1cと搬送電極1bとの間や、表面層1cと基体1aの非電極形成面との間に、中間層を設けてもよい。
搬送電極1bの長手方向の両端部には、それぞれトナー搬送方向に延在するリード電極が接続されている。このリード電極は、A相用、B相用、C相用のものがあり、A相用のものは、複数のA相搬送電極1bAに接続され、搬送電源回路(5)からA相のパルス電圧の印加を受けながら、それを各A相搬送電極1bAに導く。また、B相用のものは、複数のB相搬送電極1bBに接続され、搬送電源回路からB相のパルス電圧の印加を受けながら、それを各B相搬送電極1bBに導く。また、C相用のものは、複数のC相搬送電極1bCに接続され、搬送電源回路からC相のパルス電圧の印加を受けながら、それを各C相搬送電極1bCに導く。但し、上述のように、図1に示した現像領域R2における搬送電極1bに対しては、それぞれ供給領域R1や回収領域R3においける搬送電極とは異なる3相のパルス電圧(Va2、Vb2、Vc2)が印加される。このため、A相用のリード電極には、供給領域R1や回収領域R3の各A相搬送電極1bAに接続される搬送用A相リード電極2Aと、現像領域R2の各A相搬送電極1bAに接続される現像用A相リード電極3Aとがある。また、B相やC相も同様にして、搬送用B相リード電極2B、現像用B相リード電極3B、搬送用C相リード電極2C、現像用C相リード電極3Cがある。
基体1aの非電極形成面や各搬送電極1bと、表面層1cとの間には中間層1dが形成されている。この中間層1d材料は、表面層1cと同じであってもよいし、異なってもよい。A相搬送電極1bAと、B相やC相のリード電極(2B、2C、3B、3C)との間にこの中間層1dが介在することにより、両者間での絶縁性が確保されている。また、B相搬送電極1bBと、A相やC相のリード電極との間にも中間層1dが介在しており、これによって両者間での絶縁性が確保されている。また、C相搬送電極1cCも同様にして、A相やB相のリード電極との間の絶縁性が確保されている。
なお、各リード電極には、搬送電源回路(5)からの配線を接続するための図示しない入力端子が設けられている。この入力端子をリード電極と同じ層に設け、基体1aに設けたスルーホールに配線を通して入力端子に接続してもよいし、入力端子を中間層1dの上に設け、表面層1cに設けたスルーホールに配線を通して入力端子に接続してもよい。
基体1aとしては、ガラス、樹脂、セラミックスなどの絶縁性材料からなる基板、ステンレスなどの導電性材料からなる基板にSiO2等の絶縁膜を形成した基板、ポリイミドフィルムなどのフレキシブルに変形可能な材料からなる基板などを用いることができる。
搬送電極1bは、基体1a上にAl、Ni−Cr等の導電性材料を0.1〜10[μm](好ましくは0.5〜2.0μm)の厚みで成膜したものが、フォトリソグラフィー技術などによって所要の電極パターン形状に加工されたものである。搬送電極1bのトナー搬送方向Xにおける幅L(図3参照)については、トナーTの平均粒径の1倍以上20倍以下とし、かつ、搬送電極間の間隙Gを同様の長さにすることが望ましい。
表面層1cとしては、例えばSiO2、TiO2、TiO4、SiON、BN、TiN、Ta2O5などの材料が0.5〜10[μm](好ましくは0.5〜3μm)の厚みで成膜されたものである。これらの材料に代えて、SiN、Bn、Wなどの無機ナイトライド化合物を用いてもよい。特に、表面水酸基が増えるとトナーの帯電量が搬送途中で下がる傾向にあるので、表面水酸基(SiOH、シラトール基)の少ない無機ナイトライド化合物が好ましい。
かかる構成のトナー搬送基板1における複数の搬送電極1bに対し、搬送電源回路5からパルス電圧を印加すると、基板上に進行電界が形成される。そして、トナー搬送基板1上のトナーはこの進行電界による静電気力によってホッピングする。パルス電圧は、例えば、図7や図8に示すように、正(+)又は負(−)の値の矩形パルス波を所定の周期で立ち上がらせるA相パルス電圧Va、B相パルス電圧Vb、C相パルス電圧Vcであって、互いの位相がそれぞれずれているものである。A相パルス電圧Va、B相パルス電圧Vb、C相パルス電圧Vcは、A相搬送電極1bA、B相搬送電極1bB、C相搬送電極1bCに印加される。
例えば、B相搬送電極1bBの上に負帯電性のトナーTがあったとする。そして、時刻T1において、A相パルス電圧Vaを受けるA相搬送電極1bAと、B相パルス電圧Vbを受けるB相搬送電極1bBとが「0V(G)」になり、且つC相パルス電圧Vcを受けるC相搬送電極1bCが「+電位」になったとする。すると、B相搬送電極1bB上の負帯電性のトナーTがC相搬送電極1bCに向けて静電気的に引き寄せられて、基板面からホッピングする。そして、C相搬送電極1bCの上に移る。
次に、時刻T2において、A相搬送電極1bAが「+電位」になる一方で、B相搬送電極1bBと、C相搬送電極1cCとが「0V(G)」になったとする。すると、B相搬送電極1bBとC相搬送電極1bCとの間にはC相搬送電極1bC上のトナーTに対する反発電界が形成されるとともに、C相搬送電極1bCとA相搬送電極1cCとの間には同トナーTに対する吸引電界が形成される。これにより、C相搬送電極1bC上のトナーTがA相搬送電極1bAに向けてホッピングして、A相搬送電極1bA上に移る。
更に、時刻T3において、A相搬送電極1bAとC相搬送電極1bCとがそれぞれ「0V(G)」になる一方で、B相搬送電極1bBが「+電位」になったとする。すると、C相搬送電極1bCとA相搬送電極1bAとの間にはA相搬送電極1bA上のトナーTに対する反発電界が形成されるとともに、A相搬送電極1bAとB相搬送電極1bBとの間には同トナーに対する吸引電界が形成される。これにより、A相搬送電極1bA上のトナーTがB相搬送電極1bBに向けてホッピングして、B相搬送電極1bB上に移る。以上のような反発電界の出現及び消失と、吸引電界の出現及び消失とが繰り返される進行電界がトナー搬送基板1上に形成されるのである。
トナー搬送基板1上のトナーの動きをより具体的に説明すると、図9(a)に示すように、A相、B相、C相の搬送電極1bが何れも0V(G)の状態でトナー搬送基板1上に負帯電性のトナーTが載っているとする。この状態から、図9(b)に示すようにA相搬送電極(A)だけが「+電位」になると、C相搬送電極(C)上のトナーTはA相搬送電極(A)に向けて静電吸引されてホッピングし、A相搬送電極(A)の上に移る。次に、図9(c)に示すように、B相搬送電極(B)だけが「+電位」になると、B相搬送電極(B)上のトナーTは、A相搬送電極(A)側から反発力を受けるとともに、C相搬送電極(C)側から吸引力を受ける。これにより、B相搬送電極(B)上のトナーは、C相搬送電極(C)に向けて基板面からホッピングして、C相搬送電極(C)上に移る。更に、図9(d)に示すように、C相搬送電極(C)だけが「+電位」になると、C相搬送電極(C)上のトナーTは、B相搬送電極(B)側から反発力を受けるとともに、A相搬送電極(A)側から吸引力を受ける。これにより、C相搬送電極(C)上のトナーは、A相搬送電極(A)に向けて基板面からホッピングして、A相搬送電極(A)上に移る。
なお、図8や図9により、トナーTとして負帯電性のものを用い、且つ、パルス電圧として正極性のものを電極に印加した例について説明したが、その逆に、正帯電性のトナーTと、負極性のパルス電圧との組み合わせを採用してもよい。また、正又は負帯電性のトナーTと、これと同極性のパルス電圧との組み合わせを採用してもよい。
次に、図10は、本実施形態に係るトナー搬送装置の電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、搬送電源回路5は、パルス信号を生成出力するパルス信号発生回路6、一般用A相波形増幅器7A、一般用B相波形増幅器7B、一般用C相波形増幅器7C、現像用A相波形増幅器8A、現像用B相波形増幅器8B、現像用C相波形増幅器8Cなどを有している。
パルス信号発生回路6は、例えばロジックレベルの入力パルスを受けて、互いに120°に位相ずれした2組みパルスで、次段の波形増幅器7A,B,C、(A,B,Cに含まれる図示しないスイッチング手段、例えばトランジスタを駆動して100[V]のスイッチングを行うことができるレベルの出力電圧10〜15Vのパルス信号を生成して出力する。
パルス発生回路6から発せられた一般用のA相パルス波,B相パルス波,C相パルス波は、一般用A相波形増幅器7A,一般用B相波形増幅器7B,一般用C相波形増幅器7Cによって増幅されて、一般用のA相パルス電圧Va1,B相パルス電圧Vb1,C相パルス電圧Vc1となる。そして、トナー搬送基板(1)における供給領域(R1)や回収領域(R3)に存在する一般用のA相,B相,C相搬送電極に印加される。また、パルス発生回路6から発せられた現像用のA相パルス波,B相パルス波,C相パルス波は、現像用A相波形増幅器8A,現像用B相波形増幅器8B,現像用C相波形増幅器8Cによって増幅されて、現像用のA相パルス電圧Va2,B相パルス電圧Vb2,C相パルス電圧Vc2となる。そして、トナー搬送基板(1)における現像領域(R2)に存在する現像用のA相,B相,C相搬送電極に印加される。
一般用のA相波形増幅器7A,B相波形増幅器7B,C相波形増幅器7Cは、パルス発生回路6から発せられたパルス波を、例えば図11に示すように、各相の+100[V]の印加時間taを繰り返し周期tfの1/3である約33%にした(これを「搬送電圧パターン」という)3相のパルス電圧Va1,Vb1,Vc1に変換する。また、現像用のA相波形増幅器8A,B相波形増幅器8B,C相波形増幅器8Cは、例えば図12又は図13に示すように、各相の+100[V]又は0]V]の印加時間taを繰り返し周期tfの2/3である約67%にした(これを「ホッピング電圧パターン」という)3相のパルス電圧Va2,Vb2,Vc2に変換する。このような搬送電圧パターンやホッピング電圧パターンにより、トナー搬送基板上でトナーTをホッピングさせるETH現象を生起せしめる。
ETH現像とは、現像ローラや現像スリーブなどといった表面を無端移動させる現像剤担持体上からのトナーのスモーク化あるいはクラウド化を意味するのではなく、表面移動しないトナー搬送部材の表面上でトナーのホッピングによる波移動が発生する現象を意味する。この波移動により、トナーを供給領域(R1)から現像領域(R2)に向けて搬送することができる。また、現像領域(R1)において、ホッピングしたトナーを潜像担持体の潜像に対しては現像担持体に向かわせる一方で、非画像部に対してはトナー搬送部材に向かわせる電界を形成することができる。
例えば、図13に示したホッピング電圧パターンのように、0〜−100Vで遷移するパルス状電圧波形を採用した場合、潜像担持体上の非画像部電位を−100Vより低くしたときには、現像領域(R1)でホッピングしたトナーを潜像の付近で潜像に向かわせる一方で、非画像部の付近で基板に向かわせる。非画像部の電位を−150Vや−170Vにすると、トナー非画像部の近くでトナーを非画像部に向かわせてしまう。
また、ホッピング電圧パターンのパルス電圧が20V〜−80Vで遷移するパルス波形を採用した場合、潜像の電位を約0V、非画像部の電位を−110Vにすると、パルス電圧のローレベルの電位が潜像電位と非画像部電位との間になる。このため、同様にして、現像領域(R1)でホッピングしたトナーを潜像の付近で潜像に向かわせる一方で、非画像部の付近で基板に向かわせる。
このように、パルス電圧のローレベルの電位を潜像電位と非画像部電位との間の値にすることで、潜像に対してトナーを吸引付着させる一方で、非画像部に対してはトナーを反発させることができる。ホッピングによってある程度まで潜像担持体に近づいたトナーに対しては、進行電界が及ばないので、そのトナーを容易に潜像に向けて飛翔させることができ、高い画像品質が得られる現像を低電圧で行うことができる。
これに対し、現像ローラなどの表面移動する現像剤担持体を用いるいわゆるジャンピング現像方式では、現像剤担持体の表面に付着しているトナーをそこから離脱させるためには、トナーと現像剤担持体との付着力を超える静電気力を作用させる必要がある。しかも、離脱させたトナーを潜像担持体の潜像に向けて引き寄せるとともに、非画像部と反発させる必要がある。このような条件では、現像担持体にDC600〜900Vもの現像バイアスをかけなければならない。これに対し、ETH現象を利用すると、前述の条件を進行電界の領域外で具備させればよいので、進行電界の強さとしては、トナーと現像剤担持体との付着力を超える静電気力を作用させ得るレベルであればよい。このため、搬送電極に印加するパルス電圧の振幅を|150〜100|V以下の低電圧にしても、トナーを潜像に対して選択的に付着させることが可能になる。また、OPC感光体等の潜像担持体における潜像と非画像部との電位差もジャンピング方式のような大きな値にする必要がないため、非画像部電位を相当に小さくすることが可能になる。これにより、潜像担持体の表面を非画像部電位に一様帯電させる際に発生するオゾンやNOxの量を非常に少なくして、環境に優しく且つ潜像担持体の寿命低下を抑えた現像を行うことができる。
例えば、潜像担持体として、表面のCTL(Charge Transport Layer)の厚さが15[μm]で且つその比誘電率εが3程度であるOPC感光体を使用し、トナーの電荷密度を10−3〜−4[C/m2]にした場合、ETH現象を利用すれば、各搬送電極に対して、0〜−100V、デューティー50%のパルス電圧を印加すればよい。すると、パルス電圧の値は平均で−50Vとなり、負に帯電しているトナーであれば、トナーの潜像に対する選択的な付着が可能になる。搬送電極に印加するパルス電位の平均値(平均値電位)を潜像担持体の潜像電位と非画像部電位との間の電位に設定することで、潜像担持体の潜像の画像部に対してはトナーが潜像担持体側に向かい、非画像部に対してはトナーが搬送基板側に向かう電界を発生させることができる。
なお、トナー搬送基板とOPC感光体とのギャップ(間隔)については、0.2〜0.3[mm]程度にすればよい。トナーの帯電量Q/M、パルス電圧の大きさ、OPC感光体の表面線速などによっても異なるが、負帯電性のトナーの場合、OPC感光体の非画像部電位が−300V以下、更には−100V以下であっても十分に現像を行うことができる。正帯電性のトナーの場合には、非画像部の電位が+電位となる。
また、パルス電圧としては、図示のような矩形波のものの他、sin波(サインカーブ)や三角波などを採用してもよい。パルス電圧のDutyは、3相の場合で33.3〜66.7[%]の範囲、4相の場合で25〜75[%]の範囲で調整することが可能である。
先に示した図3において、トナー搬送基板1における電極幅Lや電極間隙Gは、トナーの搬送効率やホッピング効率に大きく影響する。電極間の真ん中あたりを飛んでいるトナーにはほぼ水平方向の静電気力が作用するのに対し、搬送電極1bの真上にあるトナーには、基板面に対して垂直方向及び水平方向の成分をもった静電気力が作用するのであるが、これらの静電気力のバランスが電極幅Lや電極間隙Gによって左右されるからである。具体的には、搬送電極1bの上で且つ電極幅方向の端部付近にあるトナーは、ホッピングにより、隣の搬送電極1bを飛び越えることがあるため、電極幅Lが大きいと、ホッピング1回あたりにおける移動距離の大きいトナーが増える。これにより、トナーの搬送効率が上がる。但し、電極幅Lが大きすぎると、搬送電極1bの上で且つ電極幅方向の中央付近における電界強度が不足して、トナーの搬送効率が却って低下することになる。
また、電極間隙Gは、電極間の電界強度を左右する。電極間隙Gが小さくなるほど、電極間の電界強度が強くなって、ホッピングの初速(勢い)が高まる。しかし、搬送電極1bの真上から隣の搬送電極1bの真上に移動するトナーでは、ホッピング1回あたりにおける移動距離が短くなるため、駆動周波数を高くしないと所望のトナー搬送効率が得られなくなる。
さらには、搬送電極1bの表面を覆う表面層1cの厚さは、搬送電極1b上の電界強度を左右する。特に、垂直方向成分の電気力線への影響が大きくなる。
搬送電極1bの上には、搬送方向において最低1個のトナーを存在させることが望ましく、そのためには電極幅Lをトナーの平均粒径と同等以上に設定する必要がある。電極幅Lをこれよりも小さくすると、トナーに作用する電界が少なくなって搬送力が著しく飛翔力ため、実用上は十分でない。
搬送電極1bの上における電極幅方向中央付近では、電極幅Lが大きくなるに従って、電極表面から延びる電気力線が進行方向(水平方向)に向けて傾斜するため、、垂直方向の電界強度が低下する。そして、これにより、ホッピングの初速が小さくなる。よって、電極幅Lが大きくなり過ぎると、ホッピングのための電界強度よりも、トナーと基板面との鏡像力、ファンデルワールス力、水分等による吸着力が勝り、トナーをホッピングさせることができなくなる。
搬送効率やホッピングの初速などの観点からすると、搬送電極1bの上に電極幅方向において20個程度のトナーを存在させる電極幅Lであれば、100[V]程度の低電圧のパルス電圧でもトナーを良好にホッピングさせて、効率良く搬送することができる。例えば、トナーの平均粒径が5[μm]であれば、電極幅Lは5〜100[μm]の範囲がよい。電極幅Lがそれよりも大きいと、搬送電極1b上でのトナーの滞留が発生する。
パルス電圧による印加電圧を100[V]以下の低電圧でトナーを効率的に搬送するための電極幅Lのより好ましい範囲は、トナーの平均粒径の2〜10倍以下である。電極幅Lをこの範囲内にすることで、搬送電極1bの上の電極幅方向中央付近における電界強度の低下が1/3以下に抑えられ、ホッピングの効率低下は10%以下となって、効率の大幅な低下をきたすことがなくなる。これは、例えば、トナーの平均粒径を5[μm]とすると、10〜50[μm]の範囲に相当する。電極幅Lの更に好ましい範囲は、トナーの平均粒径の2〜6倍以下である。これは、例えば、トナーの平均粒径を5[μm]とすると、10〜30[μm]に相当する。
図14は、トナー搬送基板上における電界における進行方向(水平方向)電界強度TEと、高さ方向電界強度HEとの関係を示すグラフである。また、図15は、進行方向電界強度TEと電極幅Lと、電極間隙Gとの関係を示すグラフである。また、図16は、高さ方向電界強度HEと電極幅Lと、電極間隙Gとの関係を示すグラフである。これらのグラフは、トナー搬送基板として、搬送電極1bの電極幅Lを30[μm]、電極間隙Gを30[μm]、搬送電極1bの厚みを5[μm]、表面層1cの厚みを0.1[μm]にそれぞれ設定したものを用いた実験結果に基づいて作成したものである。A相搬送電極1bAが0[V]になり、且つB相搬送電極1bBが+100[V]になったときの電界強度である。同図では、細部を分かり易くするために2つの搬送電極しか示していないが、実験ではA,B,C相の搬送電極をそれぞれ複数設けたトナー搬送基板を用いた。トナーTとしては、粒径が8[μm]で、電荷量が−20[μC/g]のものを用いた。図15や図16で示す電界強度は搬送電極1b上における代表点の値であり、進行方向強度TEの代表点TEaは図14に示すように、搬送電極1bの端部から5[μm]上方の点である。また、高さ方向電界強度HEの代表点HEaは、搬送電極1bの幅方向中央部から5[μm]上方の点である。
これらのグラフから、トナーTにホッピングのための静電気力を作用させる電界強度としては、5E+5[V/m]以上が必要であることがわかる。また、トナーTに電極上で滞留させない程度に強い静電気力を作用させる電界強度としては、1E+6[V/m]以上が必要であり、さらに十分な静電気力を付与できるより好ましい電界強度としては、2E+6[V/m]以上であることがわかる。電極間隙Gを大きくするほど進行方向電界強度TEを低下させてしまう。トナーの平均粒径の1倍以上〜20倍以下、好ましくは2倍以上〜10倍以下、さらにより好ましくは2倍以上〜6倍以下であることが望ましい。
また、図16のグラフに示すように、電極間隙Gが大きくなるとホッピングの効率が低下するが、トナーTの平均粒径の20倍までは実用上差し支えないホッピング効率が得られる。トナーTの平均粒径の20倍を越えると多くのトナーが電極上で滞留するため、電極間隙Gはトナーの平均粒径の20倍以下にする必要がある。
本発明者らの実験によれば、トナーの平均粒径が2〜10[μm]、帯電量Q/Mが|3〜40|[μC/g]、より好ましくは、|10〜30|[μC/g]であるときに、特に効率の良いトナー搬送を実現することができた。
トナー搬送基板には、上述した表面層1cを設けることで、搬送電極1bの汚れや基板表面へのトナー固着を抑えることができる。先に図14に示した電極構成において、表面層1cの厚さを0.1〜80[μm]の範囲で変化させたときにおける進行方向電界強度TEを測定した結果を図17に示す。振幅100[V]のパルス電圧を各搬送電極1bに印加したときの結果である。実験に用いた表面層1cの誘電率εは空気より高い値であり、通常ε=2以上である。同図のグラフからわかるように、表面層1cの膜厚が大きすぎると、基板表面のトナーに作用する進行方向電界強度TEが低下する。トナー搬送効率や耐温湿度環境等を考慮すると、実用可能な表面層1cの厚さは、トナー搬送効率の低下を30[%]程度に留める10[μm]以下、より好ましくはトナー搬送効率の低下を数[%]程度に留める5[μm]以下である。
図18は、表面層1cの厚みが5[μm]である場合のトナー搬送基板上における電界の状態を示す模式図である。また、図19は、表面層1cの厚みが30[μm]である場合のトナー搬送基板上における電界の状態を示す模式図である。何れも、トナー搬送基板の電極幅Lが30[μm]、電極間隔Gが30[μm]であるトナー搬送基板の各搬送電極に、振幅100[V]のパルス電圧を印加した場合の電界の状態である。これらの図からわかるように、表面層1cの厚さが大きくなると空気より誘電率が高い表面層1c内で電極間を橋渡しする電気力線が増加するため、高さ方向に延びる電気力線数が減少する。また、表面層1cの厚みの分だけ、トナーに作用する電界強度が低下する。トナーのホッピングに寄与する高さ方向の電気力線数は、表面層1cの厚さに大きく左右されるのである。100[V]程度の小さなパルス電圧では、トナーの滞留を引き起こさない電界強度が1E+6[V/m]以上である。また、トナーを十分な勢いでホッピングさせ得る電界強度が2E+6[V/m]以上である。これらの条件を満足する表面層1cの厚みは、10[μm]以下、より好ましくは5[μm]以下である。
表面層1cの材料としては、比抵抗が106[Ωcm]以上で、且つ誘電率εが2以上のものを用いることが好ましい。また、負帯電性のトナーを用いる場合には、感光体の非画像部電位を−300Vあるいはこれよりも0Vに近い値にすることが望ましい。また、正帯電性のトナーを用いる場合には、+300V以下にすることが望ましい。このようにすることで、ファインピッチで配設した各搬送電極に150〜100[V]以下の低いパルス電圧を印加しても、トナーを良好にホッピングさせることができる。
トナーの樹脂材料としては、溶融温度や透明性等の観点から、一般的にはスチレン−アクリル系の共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂等が用いられる。トナーの帯電特性はこれらの樹脂材料によって影響を受けるが、帯電制御剤の添加によってその特性を調整することが可能である。ブラックトナー(BK)用の帯電制御剤としては、正帯電の場合には、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩類などが挙げられる。また、負帯電の場合には、アゾ系含金属錯体、サリチル酸金属錯体等が挙げられる。カラートナー用の帯電制御剤としては、正帯電の場合には、四級アンモニウム塩類、イミダゾール系錯体類等が挙げられる。また、負帯電の場合には、サリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類等が挙げられる。
トナーは、進行電界の作用によるトナー搬送基板上でのホッピングに伴って、表面層1cに対して接触と離脱とを繰り返すため、摩擦帯電の影響を受けることになるが、その帯電量と極性は材料相互の帯電系列によって左右される。トナーの帯電量を主に帯電制御剤によって決定される飽和帯電量、または多少低下する程度に維持することで、ホッピング効率や現像効率を向上させることができる。具体的には、負帯電性のトナーの場合には、表面層1cの材料として、トナーの帯電制御剤として用いられる材料に近い摩擦帯電性を発揮するものや、正帯電性のものを使用することが好ましい。例えば、トナーの帯電制御剤がサリチル酸金属錯体である場合には、ポリアミド66(商品名)、ナイロン11(商品名)などのポリアミド系樹脂が好ましい。また、正帯電性のトナーの場合には、表面層1cの材料として、トナーの帯電制御剤として用いられる材料に近い摩擦帯電性を発揮するものや、負帯電性のものを用いることが好ましい。例えば、帯電制御剤が四級アンモニウム塩類である場合には、テフロン(登録商標)等のフッ素含有樹脂がよい。
トナー搬送基板の表面には、表面層1cの下に電極がある領域と、ない領域とに対応した凹凸が生ずる。但し、搬送電極1bの厚さを3[μm]以下にすることで、その凹凸によるトナー搬送性の低下を抑えることができる。これにより、表面層1cの平坦化処理を省略して、基板製造コストを低減することが可能になる。
次に、本実施形態に係るトナー搬送装置の特徴的な構成について説明する。
本発明者らは、実験により、トナー搬送基板1上でホッピングを繰り返しながら搬送されるトナーは、トナー搬送基板1の表面層1cに対して接触と離脱とを繰り返すのに伴って、帯電量を徐々に低下させていくことを見出した。この低下には、接触摩擦に伴う電荷の発生や移動が関与していると考えられる。トナー帯電低下量と、トナーのホッピング回数とは比例の関係にあり、供給領域(R1)におけるトナー搬送距離が長くなるほど、トナー帯電低下量が増加して、トナーの帯電量が低下する。但し、トナーの帯電量がある程度まで低下すると、それ以降は、低下しなくなり、低下終息値に落ち着く。そして、トナーは低下終息値の帯電量で現像領域(R2)に進入して現像に寄与する。この低下終息値は、トナー搬送基板1の表面層1cの材料や環境によって異なってくる他、パルス電圧の大きさや周波数によっても異なってくることが実験によって判明した。
また、本発明者らは実験により、トナーの帯電量がトナーのホッピングの高さや搬送速度に大きく影響することを見出した。具体的には、トナーの帯電量が比較的大きい場合には、トナーに対して進行電界による静電気力が大きく働いて、トナーは勢い良くホッピングする。また、トナー同士の静電反発力が大きく働いて、トナー粒子間の距離が大きくなることから、トナーの密度が小さくなる。また、表面層1cに付着したトナーに対しては、表面層1cから大きな鏡像力が働くため、ホッピングのための電界が形成されてから、トナーが鏡像力に打ち勝って表面層1cから離脱するまでの時間が長くなる。更には、パルス電圧が印加される搬送電極1bの並びに正確に追従するようになり、隣の搬送電極1bを飛び越えるトナーの量が減少する。これらの結果、トナーの帯電量が大きくなるほど、トナーはより高くホッピングするとともに、トナーの搬送速度が遅くなる。
これに対し、トナーの帯電量が比較的小さい場合には、トナーに対する進行電界による静電気力がそれほど大きくならないため、トナーのホッピングの初速は比較的小さくなる。また、トナー同士の静電反発力が比較的小さいために、トナー粒子間の距離が小さくなる。これにより、トナーの密度が大きくなる。また、表面層1cに付着したトナーに対する表面層1cからの鏡像力が比較的小さいために、ホッピングのための電界が形成されてから、トナーが鏡像力に打ち勝って表面層1cから離脱するまでの時間が短くなる。更には、隣の搬送電極1bを飛び越えるトナーの量が増加する。これらの結果、トナーの帯電量が小さくなるほど、トナーはより低くホッピングするとともに、トナーの搬送速度が速くなる。
更に、本発明者らは既に述べたように、トナーの帯電量が比較的小さくなると、文字画像などといった低面積率の画像で画像濃度不足が発生し易くなることも見出した。このため、トナーを十分な低下終息値で現像領域(R2)に進入させる必要があるが、低下終息値が大きすぎると地汚れやトナー散りを引き起こしてしまう。
そこで、本実施形態に係るトナー搬送装置においては、供給領域(R1)内で搬送されるトナーの帯電量を検知する帯電量検知手段を設け、これによる検知結果に応じて、各搬送電極1bに印加するパルス電圧の大きさ又は周波数を補正する電圧補正手段としての電圧補正回路を搬送電源回路(5)に設けている。この電圧補正回路は、トナーの帯電量の検知結果が小さくなるほど、パルス電圧の大きさを小さくしたり、パルス電圧の周波数を高くしたりする。これにより、トナーの帯電量の低下終息値を目標値付近に維持して、帯電量不足による画像濃度低下を抑えたり、帯電量過多による地汚れやトナー散りを抑えたりすることができる。
なお、パルス電圧を小さくするとトナーの帯電量の低下終息値が大きくなるのは、パルス電圧の低下によってトナーと表面層1cとの接触摩擦力が小さくなるからだと考えられる。
また、パルス電圧の周波数を高くするとトナーの帯電量の低下終息値が大きくなるのは、次のような理由からであると考えられる。即ち、ホッピングしたトナーには、ある程度の距離まではトナー搬送基板1から離れる方向の静電気力が進行電界によって作用するが、やがて、トナー搬送基板1の搬送電極1bに向かう静電気力が作用する。これにより、トナーは、ある程度の高さまで飛ぶと、今度はトナー搬送基板1の搬送電極1bに向けて引き寄せられ、電界強度に応じた運動エネルギーで表面層1cに衝突する。衝突したトナーはそのまま表面層1cに付着しないで、所定の反発係数をもって表面層1c上で跳ね返る。跳ね返ったトナーには、搬送電極1bに向かう静電気力が引き続き作用するため、トナーはすぐに表面層1cに衝突した後、再び表面層1c上で跳ね返る。このようにして跳ね返りと衝突とを繰り返す度にトナーの帯電量が低下していく。パルス電圧の周波数が低くなると、1つの搬送電極1b上でのトナーの繰り返し衝突回数が多くなることから、トナー帯電低下量が増大する。これにより、トナーの帯電量の低下終息値は比較的小さくなる。逆に、周波数が高くなっていくと、それにつれて電圧の持続時間が短くなっていく。そして、トナーの繰り返し衝突回数が徐々に少なっていき、やがて、搬送電極1cに向けて引き寄せられるトナーが表面層1cに衝突する前に電界の反転によってホッピングするトナーが出現し始め、その量が徐々に増えていく。この結果、周波数が高くなるほど、トナー帯電低下量が低下して、低下終息値が大きくなる。
トナー搬送装置1の供給領域R1内で搬送されるトナーの帯電量を検知する帯電量検知手段については、供給領域R1のうち、現像領域R2の近傍におけるトナーの帯電量を検知させ得る位置に配設することが望ましい。かかる位置では、トナーの帯電量の低下終息値を検知させることができるからである。
帯電量検知手段としては、様々な方法によってトナーの帯電量を検知するものが考えられる。例えば、トナー搬送基板1の供給領域R1に対向する位置に電極等の導電部材であって且つ絶縁性の表面層を低くした対向部材を配設し、これに電圧を印加してトナーを付着させ、その付着量を測定する方法などである。但し、かかる方法では、対向部材に付着したトナーを除去するトナー除去手段が必要になってコスト高になったり、対向部材によって供給領域R1内における進行電界に悪影響を及ぼすおそれがあったりする。そこで、本実施形態に係るトナー搬送装置では、帯電量検知手段として、発光素子から発した光を受光素子で受光する光学センサと、その受光素子による受光量に基づいてトナーの帯電量を演算する演算手段とを有するものを用いている。かかる構成では、トナー除去手段を設けることによるコストアップを回避し、且つ、進行電界に悪影響を及ぼすことなく、トナーの帯電量を検知することができる。なお、受光素子による受光量に基づいてトナーの帯電量を演算する具体的方法については、後に詳述する。
次に、実施形態に係るトナー搬送装置に、より特徴的な構成を付加した各実施例のトナー搬送装置について説明する。
[第1実施例]
上述したように、本発明者らは、トナー搬送基板1上で搬送されるトナーの帯電量が変化すると、それに応じてトナーのホッピングの高さが変化すること、即ち、帯電量とホッピング高さとに相関関係が成立することを見出した。このため、トナーのホッピング高さに基づいて、トナーの帯電量を把握することができる。そこで、本第1実施例に係るトナー搬送装置の帯電量検知手段においては、光学センサの受光素子よる受光量に基づいてトナーのホッピングの高さを検知し、その検知結果に基づいてトナーの帯電量を演算回路で演算するようになっている。
図20は、本第1実施例に係るトナー搬送装置におけるトナー搬送基板1と、帯電量検知手段の一部である高さ検知光学センサ10とを基板の上方から示す平面図である。同図において、高さ検知光学センサ10は、発光素子群11と受光素子群12とを有している。発光素子群11は、トナー搬送基板1におけるトナー搬送方向(矢印X方向)と直交する方向の一端側に配設されている。そして、トナーホッピング方向(図紙面に直交する方向)に並ぶ図示しない複数の発光素子を有している。一方、受光素子群12は、トナー搬送基板1におけるトナー搬送方向と直交する方向の他端側に配設されている。そして、発光素子群11の複数の発光素子にそれぞれ個別に対応するように配設された図示しない複数の受光素子を有している。なお、発光素子群11や受光素子群12は、トナー搬送基板1の側方において、電極間隙Gの中心線上に位置している。
発光素子群11の図示しない複数の発光素子から発せられた光は、図中一点鎖線矢印で示すように、トナー搬送基板1の表面上でホッピングする図示しないトナーを介して対向する受光素子群12におけるそれぞれの受光素子で受光される。トナー搬送基板1上でトナーが搬送されていないときは、発光素子群11における複数の発光素子から発せられた光が、それぞれトナーに遮られることなく受光素子群12に向けて進行して、図示しない複数の受光素子にそれぞれ受光される。一方、トナー搬送基板1上でトナーが搬送されているときには、発光素子群11における複数の発光素子のうち、トナーのホッピング高さ以下の位置にあるものに入射する光がトナー搬送基板1上でホッピングするトナーによって一部遮られる。このため、ホッピング高さ以下の位置にある受光素子の受光量は、トナー搬送中のときの方がトナー搬送停止中のときよりも少なくなる。なお、一般的なホッピング高さは数百[μm]程度である。
図21は、受光素子の高さとその受光素子からの出力電圧値との関係を示すグラフである。受光素子はその受光量の増大に応じて出力電圧を大きくするタイプのものである。よって、光を遮るトナーの量が多くなるほど、受光素子からの出力電圧が小さくなる。同グラフにおいて、V2は、光を遮るトナーが全く存在しない状態における受光素子からの飽和出力電圧値を示している。受光素子群12における複数の受光素子のうち、この飽和出力電圧値V2よりも若干低い判定閾値V1を出力する受光素子の高さh1がホッピング高さとなる。
受光素子群12における複数の受光素子からの出力電圧は、図示しないA/Dコンバーターによってアナログデータからデジタルデータに変換された後、演算回路に送られる。この演算回路は、複数の受光素子から送られてくる出力電圧値のデジタルデータに基づいて、どの受光素子が判定閾値V1を出力しているのかを特定する。そして、その特定結果と、メモリチップ等のデータ記憶手段に予め記憶しているデータテーブルとに基づいて、ホッピング高さを特定する。このデータテーブルは、各受光素子と、それにホッピング高さとを関係付けるデータテーブルである。
なお、図20では、トナー搬送基板1の一端側に配設した発光素子群11の発光素子から発した光を、トナー搬送基板1の他端側に配設した受光素子群12の受光素子で受光させるようにした例について説明したが、次のようにしてもよい。即ち、トナー搬送基板1における一端側と他端側とのうち、何れか一方に発光素子群11と受光素子群12との両方を配設する。そして、発光素子群11の発光素子から発した光をホッピングするトナーの表面で反射させ、その反射光を受光素子群12の受光素子で受光させるのである。
ところで、環境やパルス電圧条件(大きさや周波数)が一定である場合には、トナーのホッピングの高さがトナーの帯電量に最も大きく左右されるが、トナーの搬送量にも少なからず影響を受ける。これは次に説明する理由による。トナーの搬送量が比較的多い場合には、それに応じてホッピングするトナーの密度も比較的高くなって、トナー粒子同士の静電反発が比較的強くなる。この静電反発が強くなると、トナーのホッピングの高さが大きくなる。このため、環境、パルス電圧条件及びトナーの帯電量が一定であっても、トナー搬送量が多くなるほど、ホッピングの高さが増大する。よって、ホッピングの高さだけに基づいてトナーの帯電量を演算すると、その演算結果には、トナー搬送量に応じた誤差が含まれてしまう。
そこで、本第1実施例に係るトナー搬送装置の帯電量検知手段は、トナーのホッピングの高さに加えて、トナー搬送基板1上における単位面積あたりのトナー搬送量にも基づいて、トナーの帯電量を演算するように構成されている。トナー搬送量については、演算回路が受光素子群12における複数の受光素子からの出力電圧値の積分処理することによって演算する。具体的には、先に示した図21において、受光素子からの出力電圧値を示す曲線と、判定閾値V1を示す直線とで囲まれたハッチング領域の面積は、トナーの搬送量と相関関係にある。そこで、積分処理によってハッチング領域の面積を演算し、演算結果に対応するトナー搬送量を、データ記憶手段に記憶している搬送量データテーブルから特定する。この搬送量データテーブルは、ハッチング領域の面積と、それに対応するトナー搬送量とを関係付けるデータテーブルである。かかる搬送量データテーブルを用いる代わりに、ハッチング領域の面積に基づいてトナー搬送量を算出するためのアルゴリズムを用いるようにしてもよい。
演算回路は、トナー搬送量を演算すると、その演算結果と、データ記憶手段に記憶している高さ補正データテーブルとに基づいて、高さ補正量を特定する。この高さ補正データテーブルは、トナー搬送量と、これに対応する高さ補正量とを関連付けるデータテーブルで、トナー搬送量の変動量とそれに伴うホッピング高さ(帯電量)の変動量とを調べる実験結果に基づいて構築されたものである。この高さ補正データテーブルに基づいて特定された高さ補正量を、先に特定しておいたホッピング高さに増減することで、トナー搬送量によるホッピング高さの検知誤差が取り除かれる。
演算回路は、このようにしてホッピング高さの検知結果を補正すると、補正後の値をデジタルデータあるいはアナログデータとして搬送電源回路(5)の電圧補正回路に送る。補正後のホッピング高さのデータを受け取った電圧補正回路は、各搬送電極に出力するパルス電圧の大きさをホッピング高さに応じた値に補正する。これにより、トナー搬送基板1上で搬送されるトナーの帯電量の低下終息値が適切な値に調整される。なお、パルス電圧の大きさを補正する代わりに、周波数を補正してもよい。
[第2実施例]
本第2実施例に係るトナー搬送装置において、図20に示した高さ検知光学センサ10とは別の第2光学センサによる検知結果に基づいてトナー搬送量を演算する点の他は、第1実施例に係るトナー搬送装置と同様の構成になっている。図22は、本第2実施例に係るトナー搬送装置におけるトナー搬送基板1と、帯電量検知手段の一部である高さ検知光学センサ10及び第2光学センサ15とを基板の上方から示す平面図である。図示のように、帯電量検知手段は、トナーのホッピング高さを検知するための高さ検知光学センサ10よりも搬送方向上流側のトナーを検知する第2光学センサ13を有している。この第2光学センサ13は、トナー搬送基板1の上方にて、基板面と対向するように配設されている。そして、図23に示すように、発光素子14から基板面に向けて光を出射する。出射された光は、トナー搬送基板1上で搬送されるトナーの集合からなるトナー層TLの表面で拡散反射して、複数の拡散反射光となる。拡散反射光の一部は、発光素子14の側方に位置する受光素子15によって受光される。なお、発光素子14と受光素子15との位置関係を逆にしてもよい。
トナー搬送基板1の図示しない表面層は、トナー層TLよりも低い光反射率を発揮する材料からなる。トナー層TLにおける単位面積あたりのトナー量が少なくなるほど、トナー層TLを通り抜けてトナー搬送基板1の表面層に到達する光量が増える。これに対し、トナー搬送量が多くなるほど、トナー層TLの表面で拡散反射する光量が増加して、受光素子15による受光量が多くなる。帯電量検知手段の演算回路は、受光素子15による受光量に基づいて、単位面積あたりにおけるトナー搬送量を求める。但し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーのうち、Kトナーは光を吸収してしまうため、そのトナー層TL表面で拡散反射光が得られない。このため、Kトナーのトナー搬送量を求めることができない。
[第3実施例]
本第3実施例に係るトナー搬送装置において、第2光学センサ13及びトナー搬送基板1の構成が異なる点の他は、第2実施例に係るトナー搬送装置と同様の構成になっている。図24は、本第3実施例に係るトナー搬送装置のトナー搬送基板1と、第2光学センサ13とを示す側面図である。同図において、トナー搬送基板1の中間層1dは、アルミなどといった光反射率の比較的高い材料からなる。また、表面層1cは、透明なポリエチレンテレフタレートなどといった光透過性の比較的高い材料からなる。第2光学センサ13は、発光素子14から基板面に向けて光を出射する。出射された光は、トナー搬送基板1上で搬送されるトナーの集合からなるトナー層TLの表面に到達し、その一部がトナー層TL内を通過する。通過した光は、トナー搬送基板1の表面層1cを透過した後、中間層1dで正反射する。そして、正反射光は、表面層1cとトナー層TLとを逆方向に再通過した後、受光素子15によって受光される。トナー層TL内の単位面積あたりのトナー量が多くなるほど、トナー層TLを通過する光量が増えるため、受光素子15による受光量が増加する。帯電量検知手段の演算手段は、受光素子15による正反射光の受光量に基づいて、トナー搬送基板1上での単位面積あたりにおけるトナー搬送量を求める。
かかる構成では、トナー搬送基板1上で搬送されるトナーが光を吸収するKトナーであっても、その搬送量に応じた正反射光が得られるため、Y,M,Cトナーのみならず、Kトナーであっても、その単位面積あたりにおけるトナー搬送量を求めることができる。なお、発光素子14と受光素子15との位置関係を逆にしてもよい。
[第4実施例]
本第4実施例に係るトナー搬送装置においても、第2光学センサ13及びトナー搬送基板1の構成が異なる点の他は、第2実施例に係るトナー搬送装置と同様の構成になっている。図25は、本第4実施例に係るトナー搬送装置のトナー搬送基板1と、第2光学センサ13とを示す側面図である。同図において、トナー搬送基板1の基体やその他の各層は、透明なポリエチレンテレフタレートなどといった光透過性の比較的高い材料からなる。トナー搬送基板1の下方に配設された発光素子14と、トナー搬送基板1の上方に配設された受光素子15とは、互いに、トナー搬送基板1及びトナー層TLを介して対向している。発光素子14からトナー搬送基板1の裏面に向けて出射された光は、トナー搬送基板1とトナー層TLとを順次透過した後、受光素子15に受光される。トナー層TLの厚み方向における透過光量は、トナー層TL中の単位面積あたりのトナー量に応じて異なってくる。トナー量が多くなるほど、透過光量が少なくなるため、受光素子15による受光量が低下する。帯電量検知手段の演算手段は、受光素子15による透過光の受光量に基づいて、トナー搬送基板1上での単位面積あたりにおけるトナー搬送量を求める。
かかる構成でも、Kトナーの単位面積あたりにおけるトナー搬送量を求めることができる。なお、発光素子14と受光素子15との位置関係を逆にしてもよい。
[第5実施例]
上述したように、本発明者らは、トナー搬送基板1上で搬送されるトナーの帯電量が変化すると、トナーの搬送速度が変化すること、即ち、帯電量と搬送速度とに相関関係が成立することを見出した。このため、トナー搬送基板1上におけるトナーの搬送速度に基づいて、トナーの帯電量を把握することができる。そこで、本第5実施例に係るトナー搬送装置の帯電量検知手段においては、トナー搬送方向に並ぶ2つの光学センサによる検知結果に基づいてトナーの搬送速度を検知し、その検知結果に基づいてトナーの帯電量を演算回路で演算するようになっている。
図26は、本第5実施例に係るトナー搬送装置におけるトナー搬送基板1と、帯電量検知手段の一部である第1光学センサ16及び第2光学センサ19とを基板の上方から示す平面図である。同図において、第1光学センサ16は、第1発光素子17と第1受光素子18とを有している。第1発光素子17は、トナー搬送基板1におけるトナー搬送方向と直交する方向の一端側に配設されている。また、第1受光素子18は、トナー搬送基板1における同方向の他端側に配設されており、トナー搬送基板1上で搬送される図示しないトナーを介して第1発光素子17に対向している。第1発光素子17から発せられた光は、トナー搬送基板1上で搬送されるトナーの集合体からなるトナー層内を通過した後、第1受光素子18に受光される。トナー搬送基板1上で搬送されるトナーが存在する場合と、存在しない場合とでは、第1受光素子18による受光量に大きな差がある。帯電量検知手段の図示しない演算手段は、第1受光素子18による受光量に基づいて、第1発光素子から発せられた光の光路内におけるトナーの有無を判断する。
第2光学センサ19は、第1光学センサ16よりもトナー搬送方向下流側に配設されている点の他が、第1光学センサ16と同様の構成になっている。帯電量検知手段の演算手段は、第2受光素子21による受光量に基づいて、第2発光素子20から発せられた光の光路内におけるトナーの有無を判断する。
トナー搬送基板1上の供給領域(R1)には、所定量のトナーが、図示しない供給手段によって所定のタイミングで供給される。供給されたトナーは、ホッピングしながら図中X方向に搬送され、やがて第1光学センサ16の光路内に進入する。そして、第1光学センサ16によってトナーの存在が検知される。トナーが更にホッピングしながら図中X方向に搬送されていくと、やがて、第2光学センサ19の光路内に進入し、第2光学センサ19によってその存在が検知される。帯電量検知手段の演算手段は、第1光学センサ16によってトナーが検知され始めてから、第2光学センサ19によってトナーが検知され始めるまでの時間をカウントし、その結果と、前述した2つの光路間の距離とに基づいて、トナー搬送基板1上におけるトナーの搬送速度を演算する。
演算回路は、このようにしてトナーの搬送速度を演算すると、その演算結果と、データ記憶手段に記憶しているデータテーブルとに基づいて、トナーの帯電量を特定する。このデータテーブルは、トナーの搬送速度と、それに対応する帯電量とを関係付けるデータテーブルである。
このようにして帯電量が特定されると、その結果がデジタルデータあるいはアナログデータとして搬送電源回路(5)の電圧補正回路に送られる。電圧補正回路は、各搬送電極に出力するパルス電圧の周波数を、帯電量(低下終息値)に応じた値に補正する。これにより、トナー搬送基板1上で搬送されるトナーの帯電量の低下終息値が適切な値に調整される。なお、パルス電圧の周波数を補正する代わりに、大きさ(振幅:Vp−p)を補正してもよい。
第1光学センサ16や第2光学センサ19として、互いにトナー搬送基板1の面方向の他端側に位置しながら対向する発光素子と受光素子との組み合わせを有するものを用いた例について説明したが、次のような構成を採用してもよい。即ち、図23のようにトナー層TL表面で拡散反射光を得て受光素子に検知する構成、図24のようにトナー搬送基板1の中間層1dで正反射光を得て受光素子に検知する構成、あるいは、図25のようにトナー搬送基板1及びトナー層TLを厚み方向に透過した透過光を得て受光素子で検知する構成である。
次に、これまで説明してきたトナー搬送装置を有する現像装置を搭載した画像形成装置の実施形態について説明する。図27は、本実施形態に係る画像形成装置の感光体25と、現像装置30とを示す概略構成図である。同図において、潜像担持体たる感光体25は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。この感光体25の側方には、トナー搬送装置を有する現像装置30が配設されている。
現像装置30は、そのケーシング31内に、トナーと磁性キャリアとを含有する図示しない現像剤を収容する収容部有している。また、収容部から供給されるトナーを受け取って感光体25との対向領域である現像領域まで搬送するトナー搬送部33も有している。
収容部は、第1収容部32aと第2収容部32bと第3収容部32cとに分かれており、第1収容部32aと第2収容部32bとは仕切壁31aによって区切られている。第1収容部32a内には、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられながら、現像剤を図紙面に直交する方向の手前側から奥側に向けて搬送する第1搬送スクリュウ34が配設されている。また、第2収容部32a内には、図示しない駆動手段によって回転駆動せしめられながら現像剤を同方向の奥側から手前側に向けて搬送する第2搬送スクリュウ35が配設されている。また、第3収容部32c内には、供給ロール36が配設されている。また、トナー搬送部33内には、筒状に形成されたトナー搬送基板1及び回収オーガ39が配設されている。
第1収容部32a内において、第1搬送スクリュウ34の回転に伴って図中手前側から奥側の端部付近まで搬送された現像剤は、仕切壁31aに設けられた図示しない連通口を通って第2収容部32b内に進入する。そして、第2搬送スクリュウ34の回転に伴って、今度は図中奥側から手前側に向けて搬送される。
第3収容部32c内に配設された供給ロール36は、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる非磁性パイプからなる供給スリーブ36aと、これに連れ回らないように内包されるマグネットローラ36bとを有している。そして、マグネットローラ36bは、その周方向にN極とS極とが交互に並ぶ6つの磁極を具備している。
第2収容部32b内において第2搬送スクリュウ34の回転に伴って図中奥側から手前側に搬送される現像剤の一部は、マグネットローラ36bの発する磁力によって供給スリーブ36aの表面に吸着される。そして、現像剤担持体たる回転する供給スリーブ36aに汲み上げられて第3収容部32c内に進入する。その後、供給スリーブ36aに連れ回りながら、ドクターグレード37との対向位置でスリーブ上での層厚が規制された後、トナー搬送部33内における筒状のトナー搬送基板1との対向位置に至る。
供給ロール36には、ロール電源回路38によってロールバイアスが印加されている。供給スリーブ36aに連れ回りながらトナー搬送基板1との対向位置に進入した現像剤中のトナーは、このロールバイアスと、トナー搬送基板1の搬送電極に印加されるパルス電圧との電位差により、現像剤から離脱してトナー搬送基板1上に転位する。この転位により、トナー搬送基板1の供給領域にトナーが供給される。
トナー搬送基板1の供給領域に供給されたトナーは、進行電界により、トナー搬送基板1の曲面に沿ってホッピングしながら、図中反時計回り方向に搬送される。そして、第2光学センサ13による検知結果に基づいて単位面積あたりのトナー搬送量が検知された後、高さ検知光学センサ10による検知結果に基づいてホッピング高さが検知される。この直後に、現像領域に進入して現像に寄与した後、回収領域に進入する。
回収領域の下方には、図示しない駆動手段によって回転駆動される回収オーガ39が配設されており、これには必要に応じて回収電源回路41から回収バイアスが印加される。通常のプリント時には、回収領域に進入したトナーは、そのままホッピングを続け、供給ロール36との対向位置に再進入する。これに対し、回収オーガ39に回収バイアスが印加されると、搬送電極に印加されるパルス電圧と回収バイアスとの電位差により、トナー搬送基板1上から回収オーガ39上に転位する。そして、回収オーガ39の回転に伴って現像装置30の端部付近まで搬送された後、図示しない回収経路を経て第1収容部32a内に戻される。
第3収容部32cの供給スリーブ36a上において、トナー搬送基板1にトナーを供給した現像剤は、スリーブの回転に伴ってトナー搬送基板1との対向位置を通過した後、第2収容部32bとの対向位置に戻ってくる。そして、マグネットローラ36bの2つの反発磁極の磁力によってスリーブ表面から離脱して、第2収容部32bに戻る。更に、第2搬送スクリュウ35の回転に伴って図紙面に直交する方向の手前側端部付近まで搬送された後、仕切壁31aに設けられた図示しない連通口を通って第1収容部32a内に戻る。
第1収容部32a内に戻った現像剤は、第1搬送スクリュウ34の回転に伴って図中手前側から奥側に搬送される過程で、ケーシング31の底面に固定された透磁率センサ等からなるトナー濃度センサ40によってトナー濃度が検知される。この検知結果は、図示しないトナー濃度制御部に送られる。トナー濃度制御部は、トナー濃度センサ40による検知結果が所定の閾値以下であると、図示しないトナー補給装置を所定時間だけ駆動する。これにより、ケーシング31のトナー補給口31bを通して第1収容部32a内にトナーが補給され、トナー濃度の回復を図る。
第1収容部32a内に補給されたトナーは、第1搬送スクリュウ34や第2搬送スクリュウ35によって磁性キャリアと撹拌混合されながら搬送されたり、供給スリーブ36a上でドクターブレード37による現像剤層厚規制で加圧されたりすることで、十分に帯電する。そして、この状態でトナー搬送基板1の供給領域に供給される。本実施形態では、トナーとして、負帯電性のものを用いているが、正帯電性のものを用いてもよい。
供給ロール36に印加するロールバイアスとしては、直流バイアスのみでも、直流バイアスに交流バイアスを重畳させた重畳バイアスでもよい。重畳バイアスにおける交流成分の波形は、sin波、矩形波、三角波の何れであっても良い。本実施形態では、電圧が瞬時に切り替わることによってトナーを磁性キャリアから離脱させ易くなる矩形波を採用している。矩形波を用いることにより、供給スリーブ36aからトナー搬送基板1へのトナー供給量が増加すると考えられる。
重畳バイアスの交流成分の矩形波におけるピーク間電圧V1ppについては、直流成分V1dcより大きくしている。これにより、供給スリーブ36aとトナー搬送基板1との間の電界を大きく変化させ、トナーを磁性キャリアから離脱させ易くなる。そして、供給スリーブ36aからトナー搬送基板1へのトナー供給量を増加させることができる。
交流成分の矩形波における周囲については、次のように設定している。即ち、一周期のうち、直流成分V1dcよりも大きくする時間を、トナー搬送基板1の搬送電極のパルス電圧における直流成分よりも小さくする時間よりも長くしている。このように重畳バイアスの交流成分を設定することで、トナーをげんぞう剤から離脱させてトナー搬送基板1に転位させ易くなる。本実施形態では、矩形波の一周期のうち、直流成分V1dcよりも大きくする時間の割合を80[%]としている。
図28は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。同図におて、潜像担持体としてのドラム状の感光体25(例えば、有機感光体:OPC)は、図中時計回り方向に回転駆動される。
操作者がコンタクトガラス50に図示しない原稿を載置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源25及びミラー52を具備する第1走査光学系53と、ミラー54,55を具備する第2走査光学系56とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。
走査された原稿画像がレンズ57の後方に配設された画像読み取り素子58で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化された後に画像処理される。そして、処理後の信号でレーザーダイオード(LD)が駆動され、このレーザーダイオードからのレーザー光がポリゴンミラー59で反射した後、ミラー60を介して感光体25を走査する。この走査に先立って、感光体25は帯電装置61によって一様に帯電せしめられており、レーザー光による走査により、感光体25の表面に静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像装置30によってトナーが付着せしめられてトナー像に現像された後、感光体25の回転に伴って、転写チャージャー66との対向領域である転写領域に搬送される。この転写領域には、感光体25上のトナー像と同期するように、第1給紙コロ64を具備する第1給紙部62、又は第2給紙コロ65を具備する第2給紙部63から記録紙Pが送り込まれる。そして、感光体25上のトナー像は、転写チャージャー66のコロナ放電によって記録紙P上に転写される。このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、分離チャージャー67のコロナ放電によって感光体25表面から分離された後、搬送ベルト68によって定着ローラ対69に向けて搬送される。そして、定着ローラ対69の2つのローラの当接によって形成された定着ニップ内に進入して、トナー像が定着せしめられた後、機外の排紙トレイ70に向けて排紙される。
転写領域を通過した感光体25表面に付着している転写残トナーは、クリーニング装置71によって感光体25表面から除去される。このようにしてクリーニング処理が施された感光体25表面は、除電ランプ72によって除電されて次の潜像形成に備えられる。
図29は、本実施形態に係る画像形成装置によって実施されるパルス電圧補正処理の制御フローを示すフローチャートである。この制御フローが開始されると、まず、補正カウント値C1が「0」にリセットされた後(ステップ1:以下、ステップをSと記す)、トナー供給処理が行われる(S2)。このトナー供給処理により、現像装置内において、供給スリーブからトナー搬送基板へのトナー供給が行われるが、この際、搬送電源回路からトナー搬送基板の各搬送電極へのパルス電圧出力が行われた後に、ロール電源回路による供給ロールへのロールバイアスの印加が行われる。そして、供給スリーブの回転駆動が開始されて、供給スリーブ上の現像剤からトナー搬送基板へのトナー供給が行われる。
なお、パルス電圧出力に先立ってロールバイアスの印加及び供給スリーブの回転が行われると、トナー搬送基板に供給されたトナーが供給領域に堆積するおそれがある。トナーが供給領域に何層も堆積してしまうと、その後のパルス電圧の出力によってトナー搬送基板上に進行電界を形成しても、進行電界による静電気力がトナー自身の電荷によって作用し難くなり、堆積したトナーがいつまでも供給領域で滞留してしまう。よって、パルス電圧を各搬送電極に出力してから、ロールバイアスを供給ロールに印加したり、供給スリーブを回転させたりするのである。
供給領域に供給されたトナーが進行電界によって搬送され始めてから、所定時間が経過すると、トナー帯電量(Q/M)検知処理が行われる(S3)。このQ/M検知処理において、高さ検知光学センサ(10)による検知結果に基づくトナー帯電量(ホッピング高さ)の演算が行われる。その後、Q/M補正処理が行われる(S4)。そして、このQ/M補正処理において、第2光学センサ(13)による検知結果に基づいてトナー搬送量が演算された後、その演算結果に基づいてトナー帯電量が補正される。
このようにしてトナー帯電量の演算結果が補正されると、補正カウント値C1に「1」が加算された後(S5)、補正後のトナー帯電量と、予め定められた標準Q/Mとの差について、所定の閾値以下であるか否かが判断される(S6)。そして、閾値以下である場合には(S6でY)、トナー搬送基板上で搬送されるトナーの帯電量の低下終息値が適切であるとみなされて、トナー搬送基板に対するトナー供給が停止されてから(S10)、一連の制御フローが終了する。
これに対し、S6の制御で閾値以下でないと判断されると(S6でN)、トナー帯電量と標準Q/Mとの差に応じたパルス電圧(ピークツウピーク電圧値又は周波数)の補正が行われる(S7)。なお、パルス電圧の大きさ(ピークツウピーク電圧値)と、周波数との両方を補正するようにしてもよい。
パルス電圧の補正が行われると、次に、補正カウント値C1について、所定のエラー値N以上であるか否かが判断される(S8)。ここで、「C1≧N」であると判断されると(S8でY)、即ち、パルス電圧の補正がエラー値N以上に繰り返されたと判断されると、何らかの異常によってトナー帯電量の調整ができなくなっているとみなされる。そして、エラー処理が行われた後(S9)、トナー供給が停止されてから(S10)、一連の制御フローが終了する。このエラー処理により、図示しない液晶ディスプレイ等からなる表示部に異常である旨のメッセージが表示される。更に、遠隔地にある保守サービス機関に設置された中央管理装置に対し、電話回線などを介してエラーメッセージが送信される。なお、エラー値Nについては、固定値としてもよいし、画像形成装置の動作時間やプリント枚数などに応じて変化させてもよい。
上記S8の制御において、補正カウント値C1がエラー値N以上でないと判断されると(S8でN)、制御フローが上述のS3にループせしめられる。これにより、トナー帯電量の再検知や補正カウント値C1のカウントアップが行われた後(S3〜S5)、トナー帯電量と標準Q/Mとの差について、所定の閾値以下であるか否かが再判断される(S6)。先のS7の制御におけるパルス電圧の補正によってトナー帯電量が適切な値になった場合には、このS6において前述の差が閾値以下であると判断されて(S6でY)、一連の制御フローが終了するが、まだトナー帯電量が適切な値になっていない場合もある。この場合、S6において前述の差が閾値以下でなないと判断されて(S6でN)、S7、S8、S3〜S6の制御が再び行われる。
なお、以上の制御フローを具備するパルス電圧補正処理は、画像形成装置の図示しない電源が投入された直後の他、電源投入中における所定時間経過毎や所定枚数のプリントアウト毎などに行われる。図29では、電源投入直後に実行されるパルス電圧補正処理の制御フローを示している。所定枚数のプリントアウト毎に行われるパルス電圧補正処理は、プリントアウト直後や、連続プリントアウト中に発生するため、トナー搬送基板に対するトナー供給やトナー搬送基板上でのトナー搬送が行われている最中である。このため、S2のトナー供給処理が省略される。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、既に述べたように、トナーのホッピング高さに基づいてトナー帯電量を把握するものであり、トナーの搬送速度を検知する必要がない。このため、トナー搬送基板上でトナーを連続的に搬送している最中であっても、トナー帯電量を把握することができる。トナーのホッピング高さに代えて、トナーの搬送速度に基づいてトナー帯電量を把握させるようにした場合には、第5実施例で説明したように、第1光学センサの光路と第2光学センサの光路との間におけるトナーの挙動を捉える必要がある。具体的には、トナー粉体のある程度のまとまりを、それよりも搬送方向下流側にトナーを存在させない状態で搬送し、そのまとまりの先端を第1光学センサや第2光学センサに検知させることで、光路間の挙動を捉えるのである。このため、連続プリントアウト中では、パルス電圧補正処理の開始に先立って、次のような制御が必要になってくる。即ち、まず、連続プリントアウト動作を紙間タイミングで一時中断してトナー搬送基板に対するトナー供給を停止する。そして、トナー搬送基板上のトナーを回収領域で回収するとともに、供給領域における少なくとも最上流側におけるトナーをより下流側に搬送して、最上流側の領域をトナーのない状態にする。その後、トナー搬送基板の供給領域の最上流側にトナーを再供給して、これによって基板上で得られるトナーのまとまりにおける先端側を第1光学センサや第2光学センサに検知させ得るようにする。
図30は、実施形態に係る画像形成装置の第1変形例装置における感光体25と現像装置30とを示す概略構成図である。この第1変形例装置における現像装置30内には、非磁性のトナーと磁性キャリアとを含む現像剤ではなく、非磁性のトナーだけが収容されている。トナーを収容するトナー収容部には、第1撹拌ローラ42と第2撹拌ローラ43とによって撹拌せしめられながら、摩擦帯電する。このようにして摩擦帯電したトナーは、図中反時計回り方向に回転駆動される現像剤担持体たる供給ローラ44によって汲み上げられた後、ローラの回転に伴って筒状のトナー搬送基板1における供給領域との対向位置に運ばれる。
この供給ローラ44には、ロール電源回路38によってロールバイアスが印加されており、供給ローラ44上のトナーは、ロールバイアスと、各搬送電極に印加されるパルス電圧との電位差による静電気力を受けて、供給ローラ44からトナー搬送基板1の供給領域に転位する。このようにして供給領域に供給されたトナーは、トナー搬送基板上の進行電界により、トナー搬送基板1の曲面に沿ってホッピングしながら、図中反時計回り方向に搬送される。そして、第1光学センサ16の光路と第2光学センサ19の光路とを横切った後、現像領域に進入して現像に寄与する。
現像装置30の帯電量検知手段は、トナー搬送基板1上で搬送されるトナーのまとまりの先端部を第1光学センサ16で検知したタイミング、第2光学センサ19で検知したタイミング、及び光路間距離に基づいてトナーの搬送速度を演算する。そして、演算結果に基づいてトナー帯電量を特定する。トナー搬送基板1の各搬送電極にパルス電圧を出力する搬送電源回路5は、この特定結果に基づいて、必要に応じてパルス電圧(ピークツウピーク電圧や周波数)を補正する。
図31は、実施形態に係る画像形成装置の第1変形例装置を示す概略構成図である。この第1変形例装置は、Y,M,C,Kの4色にそれぞれ個別に対応する4つの光書き込み装置80Y,M,C,Kや、4つのプロセスユニット81Y,M,C,Kを備えている。また、記録紙を収納する給紙カセット82、このカセットから記録紙を給紙する給紙ローラ83、記録紙を所定のタイミングで転写ベルト84に送り出すレジストローラ対85なども備えている。更には、レジストローラ対85から送り出された記録紙を各プロセスユニットの転写部に搬送する転写ベルト84、記録紙に対して画像を定着せしめる定着ユニット86、画像定着後の記録紙を排紙トレイ88に向けて排紙する排紙ローラ対87なども備えている。
4つのプロセスユニット81Y,M,C,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他は同様の構成になっている。Yトナー像を形成するためのYプロセスユニット81Yを例にすると、これは、図32に示すように、感光体25Y、帯電手段たる帯電ローラ51Y、現像装置30Y、クリーニングブレード52Yなどを、支持体たるケーシング内に有している。そして、画像形成装置本体に対して着脱可能になっている。
現像装置30Y内には、第1撹拌ローラ42Y、第2撹拌ローラ43Y、供給ローラ44Y、供給領域がフレキシブルプリント基板からなるトナー搬送基板1などを備えている。Yプロセスユニット50Yのケーシング背面側には、Y光書き込み装置(70Y)からのレーザービームLをケーシング内に入射するためのスリットが設けられている。
先に示した図31において、Y,M,C,K光書き込み装置80Y,M,C,Kは、半導体レーザー、コリメートレンズ、ポリゴンミラー等の光偏向器、走査結像用光学系等から構成されている。そして、装置外部のパーソナルコンピュータ等のホスト(画像処理装置)から入力される各色用の画像データに応じて変調されたレーザービームを出射する。出射されたレーザービームは、Y,M,C,K用の感光体25Y,M,C,Kを走査して、静電潜像を書き込む。
画像形成動作が開始されると、各プロセスユニット81Y,M,C,Kの感光体25Y,M,C,Kが帯電ローラによって一様帯電せしめられた後、光書き込み装置80Y,M,C,Kから画像データに応じたレーザービームが照射されて静電潜像を担持する。この静電潜像は、現像装置のトナー搬送基板によるETH現像により、各色のトナーによって現像され顕像化される。
各プロセスユニット81Y,M,C,Kの各色の画像形成に同期して、供給カセット82内の記録紙が給紙ローラ83によって送り出された後、レジストローラ対85によって所定のタイミングで転写ベルト84に向けて搬送される。そして、記録紙は無端移動する転写ベルト84に保持されながら各プロセスユニット81Y,M,C,Kにおける転写部に順次送られる。そして、各転写部で、感光体25Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて転写される。これにより、記録紙にフルカラー画像が形成される。記録紙は、定着ユニット86内に送られてフルカラー画像が定着せしめられた後、排紙ローラ対87を軽油して機外の排紙トレイ88に向けて排紙される。
図33は、実施形態に係る画像形成装置の第3変形例装置を示す概略構成図である。この第3変形例装置は、鉛直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の姿勢で張架されながら図中反時計回り方向に無端移動せしめられる転写ベルト84を備えている。この転写ベルト84の水平な上部張架面の上方には、4つのプロセスユニット81Y,M,C,Kがベルト移動方向に沿って並ぶように配設されている。
これらプロセスユニット81Y,M,C,Kは、使用するトナーの色が異なる点の他が同様の構成になっている。Yプロセスユニット81Yを例にすると、これは図34に示すように、ドラム状の感光体25Yの周囲に、帯電ローラ51Y、現像装置30Y、ドラムクリーニング装置45Y等を有しており、これらを支持体たるケーシングによって一体的に支持している。そして、画像形成装置本体に対して着脱可能になっている。
ここで、各色のプロセスユニット81Y,M,C,Kの感光体25Y,M,C,K上で現像されたY,M,C,Kトナー像は、転写ベルト84に重ね合わせて転写されて4色トナー像となる。そして、転写ベルト84の無端移動に伴って、転写ベルト84のおもて面と、2次転写ローラ89とが当接する2次転写ニップに送り込まれ、同時にニップに進入してきた記録紙P上に一括2次転写される。
以上、実施形態に係るトナー搬送装置においては、帯電量検知手段による検知結果に基づいて、トナー搬送基板1の各搬送電極に出力されるパルス電圧の大きさ(ピークツウピーク電圧)を補正する電圧補正手段たる電圧補正回路を搬送電源回路5に設けているので、パルス電圧の大きさの補正により、トナー帯電量の低下終息値を適切な範囲に維持することができる。
また、帯電量検知手段による検知結果に基づいて、トナー搬送基板1の各搬送電極に出力されるパルス電圧の周波数を補正する電圧補正手段たる電圧補正回路を搬送電源回路5に設けているので、パルス電圧の周波数の補正により、トナー帯電量の低下終息値を適切な範囲に維持することができる。
また、第1実施例、第2実施例、第3実施例及び第4実施例のトナー搬送装置においては、帯電量検知手段として、トナー搬送基板1の表面上におけるトナーのホッピングの高さに基づいて、トナーの帯電量を演算するものを用いている。かかる構成では、既に述べたように、トナーの搬送速度に基づいてトナーの帯電量を演算する場合とは異なり、連続プリントアウトにおいても、連続プリントアウトを中断しないで、トナーの帯電量を検知することができる。
また、帯電量検知手段が、トナー搬送基板1におけるトナー搬送方向(X)と直交する方向の一端側でトナーのホッピングの高さ方向に並ぶ複数の発光素子からなる発光素子群11と、同方向の他端側でそれら受光素子にそれぞれ個別に対向する複数の受光素子からなる受光素子群12とを具備する高さ検知光学センサ10を有している。そして、複数の発光素子から発した光をそれぞれトナー搬送基板1の表面上でホッピングするトナーを介して対向する受光素子で受光し、それら受光素子のそれぞれにおける受光量に基づいてトナーのホッピングの高さを演算している。かかる構成では、光を吸収してしまうKトナーであっても、そのホッピングの高さを高さ検知センサ10によって検知することができる。
また、帯電量検知手段として、トナーのホッピングの高さに加えて、トナー搬送基板1の表面上の単位面積あたりにおけるトナー量にも基づいて、トナーの帯電量を演算するものを用いている。かかる構成では、トナー量の違いによるホッピングの高さの検知誤差を取り除いて、トナー帯電量をより高精度に検知することができる。
また、第1実施例のトナー搬送装置においては、高さ検知光学センサ10の複数の受光素子による受光量に基づいて、トナーのホッピングの高さと、トナー搬送基板1の表面上の単位面積あたりにおけるトナー量とを演算させるように、帯電量検知手段を構成している。かかる構成では、トナー量を検知させるための専用の光学センサを省略して、低コスト化を図ることができる。
また、第2実施例、第3実施例及び第4実施例のトナー搬送装置においては、帯電量検知手段が、発光素子群11における複数の発光素子とは別の発光素子14と、受光素子群12における複数の受光素子とは別の受光素子15との組合せからなる第2光学センサ13を有し、第2光学センサ13の受光素子15による受光量に基づいて、トナー搬送基板1上の単位面積あたりにおけるトナー量を演算するように構成されている。かかる構成では、高さ検知光学センサ10による検知結果だけに基づいてトナー量を検知する場合に比べて、トナー量の検知精度を高くすることができる。
なお、第2光学センサ13における発光素子14をトナー搬送基板1の一端側に配設するとともに、第2光学センサ13における受光素子15を他端側に配設し、発光素子14から発した光をトナー搬送基板1の表面上でホッピングするトナーを介して対向する受光素子15で受光させ、その受光量に基づいてトナー量を演算させるように、帯電量検知手段を構成すれば、光を吸収してしまうKトナーでも、そのトナー量を第2光学センサ13によって検知することができる。
また、第5実施例のトナー搬送装置においては、帯電量検知手段として、トナー搬送基板1の表面上におけるトナーの搬送速度に基づいて、トナーの帯電量を検知するものを用いている。かかる構成では、トナーの帯電量の検知結果をトナー搬送基板1上の単位面積あたりにおけるトナー量に基づいて補正しなくても、帯電量を正確に検知することができる。
また、帯電量検知手段として、トナー搬送基板1の表面上のトナー搬送方向における所定位置に存在するトナーを検知する第1トナー検知手段たる第1光学センサ16と、その所定位置よりも搬送方向下流側に存在するトナーを検知する第2トナー検知手段たる第2光学センサ19とを有するものを用いている。かかる構成では、両検知手段におけるトナー検知タイミングの差と、両検知手段の距離とに基づいて、トナーの搬送速度を求めることができる。
また、第1トナー検知手段として、第1発光素子17から発した光を受光する第1受光素子18による受光量に基づいてトナーを検知する第1光学センサ16を用いるとともに、第2トナー検知手段として、第2発光素子20から発した光を受光する第2受光素子21による受光量に基づいてトナーを検知する第2光学センサ19を用いている。かかる構成では、両検知手段ともに、市販の汎用の光学センサを用いて、トナー搬送基板1上のトナーを検知することができる。
また、第1光学センサ16、第2光学センサ19として、それぞれ、第1発光素子17、第2発光素子20がトナー搬送基板1におけるトナー搬送方向と直交する方向の一端側に配設されるとともに、第1受光素子18、第2受光素子21が同方向の他端側に配設され、第1発光素子17、第2発光素子20から発した光を、トナー搬送基板1の表面上でホッピングするトナーを介して対向する第1受光素子18、第2受光素子21で受光し、その受光量に基づいてトナーを検知するものを用いている。かかる構成では、光を吸収してしまうKトナーでも、第1光学センサ16、第2光学センサ19にそれぞれトナーを検知させることができる。
また、第2実施例のトナー搬送装置においては、第2光学センサ13として、発光素子14から発した光をトナー搬送基板1の表面上で搬送されるトナーの集合からなるトナー層TLの表面で拡散反射させながら、その拡散反射光を受光素子15で受光させるようにしたものを用いている。かかる構成では、第2光学センサ13として、市販の拡散反射型フォトセンサを用いることができる。
また、第3実施例のトナー搬送装置においては、第2光学センサ13として、発光素子14トナー層TLを介してトナー搬送基板1の表面に向けて発した光を基板表面で正反射させながら、その正反射光を受光素子15で受光させるようにしたものを用いている。かかる構成では、第2光学センサ13として、市販の正反射型フォトセンサを用いることができる。また、光を吸収してしまうKトナーであっても、第2光学センサ13に検知させることができる。
また、第4実施例のトナー搬送装置においては、第2光学センサ13として、発光素子14と受光素子15とを、トナー搬送基板1及びこれの表面上のトナー層TLを介して対向させて配設したものを用い、発光素子14から発した光にトナー搬送基板1及びトナー層TLを透過させ、透過光を受光素子15に受光させるようにしている。かかる構成においても、第2光学センサ13として、市販の透過型フォトセンサを用いることができる。また、光を吸収してしまうKトナーであっても、第2光学センサ13に検知させることができる。