JP2007126629A - ゴム用軟化剤及びゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ナフテン系減圧蒸留残渣油およびナフテン系減圧留分の混合油を溶剤抽出して得られるラフィネートからなることを特徴とするゴム用軟化剤である。
【選択図】なし
Description
しかし、この高芳香族系のプロセス油は、PCA(内容は後述する)の含有量が3質量%以上と多いため、発癌性を有する可能性があることが、欧州連合(以下、EUという)指令で勧告されている。従って、このようなプロセス油を用いることは、安全性の面からは好ましくない。
一方、PCA分が3質量%未満のパラフィン系及びナフテン系プロセス油を配合すると、これらは、ゴム成分との親和性が悪いため、オイルブリードが発生することがあったり、あるいは、オイルブリードは発生しないが、ゴム物性が大きく低下してしまうという問題があった。
しかしながら、今後、EUを中心にタイヤ用ゴムプロセスオイルの8PAHs(内容は後述する)の含有量規制が実施されると、ゴム用軟化剤のさらなる安全性の改善が求められることとなる。
すなわち、本発明の要旨は下記のとおりである。
1.ナフテン系減圧蒸留残渣油およびナフテン系減圧留分の混合油を溶剤抽出して得られるラフィネートからなることを特徴とするゴム用軟化剤。
2.PCA(IP346/98法によるジメチルスルホキシド抽出物)の含有量が3質量%未満の鉱油をさらに含有してなる上記1に記載のゴム用軟化剤。
3.100℃動粘度が50〜80mm2/s、アニリン点が80〜95℃、PCAが3質量%未満、8PAHsが全量で10ppm以下、ベンゾ(a)ピレンが1ppm以下、かつASTM E1687による変異原生指数(MI値)が1.0未満である上記1又は2に記載のゴム用軟化剤。
4.上記1〜3のいずれかに記載のゴム用軟化剤を、ゴム組成物全体を基準として、5〜40質量%配合してなるゴム組成物。
まず、減圧蒸留工程において、ナフテン基系原油又はその常圧残渣油を減圧蒸留にて目的に応じた沸点、粘度を有する3〜4の潤滑留分、即ちナフテン系減圧留分とナフテン系減圧蒸留残渣油を得る。減圧蒸留条件は特に限定したものでなくて良く、通常の条件でよい。
溶媒抽出工程の原料として、ナフテン系減圧蒸留残渣油とナフテン系減圧留出油の少なくとも1留分を混合して、好ましくは、40℃動粘度が500mm2/s以下となるようにしたものを用いる。減圧蒸留残渣油の溶媒抽出は高粘度のため、抽出操作が困難であるが、留出油を混合することにより粘度が下がるので、抽出が可能になり、かつ一回の抽出で所定の製品を得ることができるため、溶媒抽出工程を簡素化できる。ここで、ナフテン系減圧留分を混合するのは、パラフィン系に比べアニリン点が低いため、最終的に得られるラフィネート(プロセス油)のアニリン点を下げるためである。換言すれば、ナフテン系減圧留分以外のパラフィン系又は中間基系減圧留分を混合した場合、プロセス油のアニリン点が95℃以上となり、ゴムに配合するとオイルブリードが発生するか又は加硫ゴム物性が低下する可能性がある。
次に、溶剤抽出工程においては、一般に、フルフラール、スルホラン、フェノール,N−メチルピロリドンなどの溶剤を使用し、塔頂で120〜80℃、底部で80〜60℃、溶剤/油(質量)比0.7〜2.0の条件で行われるのが好ましい。
さらに、所望により、上記の溶剤抽出工程で得られたラフィネートを減圧蒸留して所定の軟化剤を得る。
ここで、PCAとは、英国石油学会(Institute of Petroleum)によるIP346/98法により測定されるジメチルスルホキシド抽出物をいい、これらは、多環芳香族化合物で構成される。
上記のPCAが3質量%未満の鉱油としては、例えば、各種原油の常圧蒸留、減圧蒸留、脱れき工程等により得られた留分を溶剤精製、水素化精製あるいは水素化分解などの各工程、また、必要に応じて溶剤抽出や脱ろう工程により精製したものを用いることができる。
100℃動粘度が50mm2/s以上であれば、加硫ゴム物性が低下することなく、熱老化特性も良好となる。そして、100℃動粘度が80mm2/s以下であれば、ゴム組成物の作業性向上効果を奏する。
また、アニリン点が80〜95℃であれば、ゴム成分との親和性が高まり、加硫ゴム物性が改良される。このアニリン点は、80〜90℃がより好ましい。
ここで、「8PAHs」とは、「ベンゾ(a)アントラセン、クレセン+トリフェニレン、ベンゾ(b)フルオランセン、ベンゾ(k)フルオランセン、ベンゾ(j)フルオランセン、ベンゾ(a)ピレン、ベンゾ(e)ピレン及びジベンゾ(a,h)アントラセンの混合物の総称」をいう。
また、ベンゾ(a)ピレンは、化学名を3,4−ベンゾピレン(C20H12)といい、少量投与で多種(species)に皮膚癌をひき起こす発癌性化学物質である。
なお、実施例,比較例における各種性能試験法は下記の方法に従って測定した。
(1)PCA分
IP346/98法に準拠して測定した。
(2)動粘度
100℃の温度条件で、JIS K2283に準拠して測定した。
(3)アニリン点
JIS K2256(U字管法)に準拠して測定した。
(4)8PAHs及びベンゾ(a)ピレン量
試料1gを50mlフラスコにてヘキサンに溶解し、2質量%の試料溶液を調製する。この試料溶液1mlを5質量%含水シリカゲル5gに負荷し、ヘキサン20mlで洗浄後、5容積%のアセトンを含んだヘキサン溶液50mlで吸着していた対象成分を溶出させる。溶出液を1mlまで濃縮後、内部標準物質としてクリセンd12又はベンゾ(a)ピレンd12を1μg添加してガスクロマトグラフ質量分析計にて測定した。
(5)変異原生指数(MI値)
ASTM E1687に準拠して測定した。
(6)安全性
上記のPCA分、8PAHs及びベンゾ(a)ピレン量及び変異原生指数(MI値)を評価し、将来にわたって安全性の高いものを○、そうでないものを×とした。
(7)粘度指数
JIS K2283に準拠して測定した。
(8)引火点(C.O.C)
JIS K2265−1989(クリーブランド開放式)に準拠して測定した。
(9)流動点
JIS K2269に準拠して測定した。
(10)%CA
ASTM D−3238 環分析(n−d−M法)により測定した。
(11)硬さ
JIS K2653−1993(タイプAデュロメータ法)に準拠して測定した。比較例1の測定値を100として、{(実施例の測定値)/(比較例1の測定値)}×100により、指数で表示した。
(12)伸び
JIS K2651−1993に準拠して測定した。比較例1の測定値を100として、{(実施例の測定値)/(比較例1の測定値)}×100により、指数で表示した。
(13)引張強さ
JIS K2651−1993に準拠して測定した。比較例1の測定値を100として、{(実施例の測定値)/(比較例1の測定値)}×100により、指数で表示した。
(14)ブリードの有無
目視により評価した。
オーストラリア産ナフテン基系原油を減圧蒸留し、留分として第1留分から第4留分と減圧蒸留残渣油に分留した。それぞれの留分性状を表1に示す。
その留分のうち、第2〜4留分及び残渣油を混合して40℃動粘度が360mm2/sの混合油を調製し、溶剤抽出の原料とした。これをフルフラールで溶剤/油(質量)比0.90、塔頂温度90℃、底部60℃にて溶剤抽出し、得られたラフィネートを減圧蒸留し、ボトムから目的とするゴム用軟化剤Aを得た。このゴム用軟化剤Aの性状を表3に示す。
実施例1で得られた減圧蒸留残渣油に第4留分と第1留分を混合して40℃動粘度が410mm2/sの混合油を調製し、溶剤抽出の原料とした。これをフルフラールで溶剤/油(質量)比0.80、塔頂温度90℃、底部60℃にて溶剤抽出し、得られたラフィネートを減圧蒸留し、ボトムを得た。このボトムにPCA3%未満の鉱油A(出光興産製、商品名:ダイアナ フレシア U−130、鉱油Aの性状は表2参照)を混合して動粘度を調整し、目的とするゴム用軟化剤Bを得た。このゴム用軟化剤Bの性状を表3に示す。
実施例2で得られたボトムに、PCA3%未満の鉱油Bを混合して動粘度を調整し、目的とするゴム用軟化剤Cを得た。このゴム用軟化剤Cの性状を表3に示す。
なお、ここで用いた鉱油Bは、以下のようにして調整した。
中東系パラフィン系原油を常圧蒸留し、その常圧残渣油を更に減圧蒸留して得られた減圧残渣油をプロパンを溶剤として脱暦れきし、PCA1.6%の脱れき油を得た。この脱れき油をN‐メチルピロリドンで溶剤/油(質量)比1.0、抽出温度110℃で抽出し、得られたエキストラクトをさらにN‐メチルピロリドンを用いて溶剤/油(質量)比1.5、抽出温度120℃で抽出し、ラフィネートを得た。このラフィネートを鉱油Bとした(鉱油Bの性状は表2参照)。
実施例1で得られた減圧蒸留残渣油にPCA3%未満の鉱油A(出光興産製、商品名:ダイアナ)フレシア U−130、鉱油Aの性状は表2参照)を混合してゴム用軟化剤Dを得た。このゴム用軟化剤Dの性状を表3に示す。
表4にゴム用軟化剤A、B、C及びDを用いたゴム組成物の配合処方を示す。配合剤種は[1]〜[7]で表す。
バンバリーミキサーにて、配合剤[1]SBRを1分間練り、可塑化させた後、配合剤[2]〜[5]を混合し、バンバリーミキサーで4分間素練りした。その後、二本ロールにて、配合剤[6]及び[7]を混合し、10分間混練りし、未加硫ゴムを得た。
(加硫)
未加硫ゴムを、加硫プレスにて、145℃、60分の条件で加硫し、厚さ2mmのゴム シートを得た。
Claims (4)
- ナフテン系減圧蒸留残渣油およびナフテン系減圧留分の混合油を溶剤抽出して得られるラフィネートからなることを特徴とするゴム用軟化剤。
- PCA(IP346/98法によるジメチルスルホキシド抽出物)の含有量が3質量%未満の鉱油をさらに含有してなる請求項1に記載のゴム用軟化剤。
- 100℃動粘度が50〜80mm2/s、アニリン点が80〜95℃、PCAが3質量%未満、8PAHsが全量で10ppm以下、ベンゾ(a)ピレンが1ppm以下、かつASTM E1687による変異原生指数(MI値)が1.0未満である請求項1又は2に記載のゴム用軟化剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム用軟化剤を、ゴム組成物全体を基準として、5〜40質量%配合してなるゴム組成物。
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