JP2007123674A - 配線基板、及び電子装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】リフロー処理を行っても基材上の下地電極層がSnによって侵食されることもなく電極喰われを効果的に防止することのできるようにする。
【解決手段】配線基板1上の端子部3が、Cu等の下地電極層4と、該下地電極層の表面に形成されたNi層5と、該Ni層5の表面に形成されたCu層6と、該Cu層6の表面に形成されたSn層7とからなる4層構造とされている。そして、表面実装型電子部品を配線基板1上に搭載してリフロー処理を施すと、溶融したSnが、Cu層6、場合によってはNi層とも反応して金属間化合物を生成し、凝固後にはCu層6又はNi層5上にSn−Cu層又はSn−Cu−Ni層が形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は配線基板、及び電子装置に関し、より詳しくは表面実装型の電子部品を実装するための配線基板、及び該配線基板上に電子部品が実装された電子装置に関する。
従来より、リフロー処理により表面実装型の電子部品を配線基板上に実装することが行われているが、この種の配線基板は、通常、リフロー処理に先立ち、はんだ等のSnを含有した材料で端子部を表面処理している。
例えば、特許文献1では、図13に示すように、析出粒子が均一微細な2層構造のめっき皮膜(Sn皮膜101及びPb皮膜102)をCu又はCu合金素材(以下、「Cu電極」という。)103上に無電解めっき法で形成し、これらめっき皮膜を加熱することにより、Sn皮膜とPb皮膜とを互いに拡散させてはんだ皮膜を形成し、ウィスカー(髭状突起物)の発生を防止するようにしたはんだ皮膜の形成方法が開示されている。
また、特許文献2には、Cu導体パッドの表面に無電解めっきによるニッケルバリア層を形成した後、はんだをホットエアナイフから噴き出す熱風により均一な厚さにコーティングし、はんだコートを形成するようにした技術が開示されている。
この特許文献2では、Cu導体パッド(端子部)とはんだコートとの間にNi層を介在させることにより、はんだ中のSn成分とCu導体パッドとが化合して合金化するのを回避し、これによりはんだ濡れ性が低下したり、配線基板と実装部品との間の接合強度が低下するのを防止している。
特開平5−106018号公報 特開平5−55729号公報
しかしながら、特許文献1では、図14に示すように、表面実装型の電子部品105を実装する際、リフロー処理時の加熱によって所謂電極喰われが生じ、Cu電極103の一部が消失して断線するおそれがあるという問題点があった。
すなわち、表面実装型の電子部品105としては、例えば、チップ型セラミック電子部品があるが、このチップ型セラミック電子部品は、図14に示すように、通常、セラミック材料で形成されたセラミック素体106の両端部に外部電極107a、107bが形成され、かつ該外部電極107a、107bはSn皮膜108a、108bで被覆されている。
そして、この電子部品105をCu電極103上に実装する場合、リフロー時の加熱処理によってSn皮膜101及びPb皮膜102が溶融し、その後の凝固によってはんだ皮膜109が形成され、このはんだ皮膜109を介して電子部品105はCu電極103上に実装される。
しかしながら、リフロー時の加熱によってCu電極103上のSnやはんだが溶融すると、これらSnやはんだがCu電極103内に拡散してCu電極を侵食する電極喰われ(図14中、Aで示す。)が生じ、特に、近年における配線基板の小型化、高密度化に伴い、Cu電極103も薄層化(例えば、30μm以下)が進展しており、電極喰われによってCu電極103の一部が消失し、断線してしまうおそれがある。
また、特許文献2は、Cu導体パッド(Cu電極)とはんだコートとの間にニッケル層を介在させているものの、Ni層上に直接はんだ層が形成されているため、リフロー処理によってはんだが溶融すると、その後、再凝固してもはんだ層とNi層との密着性が低下し、またNi層もある程度溶融するおそれがあるためCu導体パッドが十分に保護されないという問題点があった。
しかも、特許文献2では、ホットエアナイフから噴き出す熱風によりはんだをコーティングするHAL(Hot Air Leveling)法を使用しているため、Cu導体パッド(Cu電極)が小さい場合(例えば、縦0.6mm、横、0.3mm)は、はんだの濡れ性が悪化し、所謂「不濡れ」が生じるおそれがあるという問題点があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、リフロー処理を行っても基材上の下地電極層がSnによって侵食されることもなく電極喰われを効果的に防止することのできる配線基板、及び該配線基板上に電子部品が実装された電子装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明者が鋭意研究を行ったところ、基材上の下地電極層の表面にNiを主成分とした金属層、Cuを主成分とした金属層、及びSnを主成分とした金属層を順次積層し、電子部品が実装される端子部を4層構造とすることにより、リフロー処理を行っても下地電極が侵食されるのを回避することができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る配線基板は、表面に端子部が形成され、該端子部を介して電子部品が実装される配線基板において、前記端子部は、Cu、Ag、及びAg−Pdの中から選択された1種以上の金属成分を主成分とする下地電極層と、該下地電極層の表面に形成されたNiを主成分とする第1の金属層と、該第1の金属層の表面に形成されたCuを主成分とする第2の金属層と、該第2の金属層の表面に形成されたSnを主成分とする第3の金属層とを有していることを特徴としている。
また、本発明の配線基板は、前記第1の金属層、前記第2の金属層及び第3の金属層は、無電解めっき処理により形成されていることを特徴としている。
さらに、本発明の配線基板は、前記第3の金属層は、前記第2の金属層の一部が置換されて形成されていることを特徴としている。
また、本発明の配線基板は、前記端子部は、はんだを主成分とする第4の金属層が、前記第3の金属層の表面に形成されていることを特徴としている。
また、本発明に係る電子装置は、基材上に端子部が形成された配線基板を有し、表面実装型の電子部品がSnを主成分とする接合材を介して前記配線基板の前記端子部に実装された電子装置において、前記端子部が、Cu、Ag、及びAg−Pdの中から選択された1種以上の金属成分を主成分とする下地電極層と、該下地電極層の表面に形成されたNiを主成分とする第1の金属層と、該第1の金属層の表面に形成されたSn−Cu−Ni金属間化合物を主成分とする第5の金属層を有していることを特徴としている。
また、本発明の電子装置は、Cuを主成分とする第2の金属層が、前記第1の金属層と前記第5の金属層との間に介在されていることを特徴としている。
さらに、本発明の電子装置は、基材上に端子部が形成された配線基板を有し、表面実装型の電子部品がSnを主成分とする接合材を介して前記配線基板の前記端子部に実装された電子装置において、前記端子部が、Cu、Ag、及びAg−Pdの中から選択された1種以上の金属成分を主成分とする下地電極層と、該下地電極層の表面に形成されたNiを主成分とする第1の金属層と、該第1の金属層の表面に形成されたSn−Cu−Ni金属間化合物を主成分とする第5の金属層を有していることを特徴としている。
また、本発明の電子装置は、前記電子部品が、前記端子部との接合面がSnを主成分とする材料で形成されると共に、前記第5の金属層の表層面がSnを含有し、前記表層面中のSnと前記接合面中のSnとが一体化して前記電子部品が前記端子部に接合されていることを特徴としている。
さらに、本発明の電子装置は、前記接合材がはんだを含有すると共に、前記第5の金属層の表層面がSnを含有し、前記表層面中のSnと前記接合材中のはんだとが一体化して前記電子部品が前記端子部に接合されていることを特徴としている。
上記配線基板によれば、配線基板を構成する端子部が、Cu、Ag、及びAg−Pdの中から選択された1種以上の金属成分を主成分とする下地電極層と、該下地電極層の表面に形成されたNiを主成分とする第1の金属層と、該第1の金属層の表面に形成されたCuを主成分とする第2の金属層と、該第2の金属層の表面に形成されたSnを主成分とする第3の金属層とを有しているので、リフロー処理時に第3の金属層に含有されるSnが溶融し、少なくともSnと第2の金属層との間で金属間化合物が生成され、これにより金属間化合物は第1の金属層と強固に密着し、第1の金属層は下地電極層に対するバリア層としての作用を呈することから、Sn成分が下地電極層内に拡散して該下地電極層を侵食するのを防止することができ、電極喰われが生じることもなく、したがって小さな下地電極層であってもその一部が消失することがなく、下地電極層が断線するのを防止することができる。
また、本発明の配線基板によれば、前記第1の金属層、前記第2の金属層及び第3の金属層は、無電解めっき処理により形成されているので、微細で煩雑な配線パターンに対しても均一な膜厚を有する第1〜第3の金属層を容易に得ることができる。
また、本発明の配線基板によれば、前記第3の金属層は、前記第2の金属層の一部が置換されて形成されているので、前記第3の金属層は置換めっきで形成されることとなり、したがって還元剤が不要となり、また被めっき物の表面を触媒活性化処理する必要もなく、高純度な第2及び第3の金属層を得ることができる。
前記端子部が、はんだを主成分とする第4の金属層が前記第3の金属層の表面に形成されている場合は、はんだを介して電子部品を接合することが可能となり、接合強度の向上を図ることができる。
また、本発明の電子装置によれば、端子部が、Cu、Ag、及びAg−Pdの中から選択された1種以上の金属成分を主成分とする下地電極層と、該下地電極層の表面に形成されたNiを主成分とする第1の金属層と、該第1の金属層の表面に形成されたSn−Cu金属間化合物を主成分とする第5の金属層を有しているので、第2の金属層と第1の金属層とが強固に密着し、第1の金属層が下地電極層に対するバリア層としての作用を呈し、これにより電極喰われが生じることなく電子部品が配線基板上に実装された電子装置を得ることができる。
また、前記端子部が、Cu、Ag、及びAg−Pdの中から選択された1種以上の金属成分を主成分とする下地電極層と、該下地電極層の表面に形成されたNiを主成分とする第1の金属層と、該第1の金属層の表面に形成されたSn−Cu−Ni金属間化合物を主成分とする第5の金属層を有している場合も、上述と同様の作用効果を奏することができる。
また、本発明の電子装置によれば、電子部品が、端子部との接合面がSnを主成分とする材料で形成されると共に、前記第5の金属層の表層面がSnを含有し、前記表層面中のSnと前記接合面中のSnとが一体化して前記電子部品が前記端子部に接合されているので、リフロー炉に別途はんだを供給することなく、電子部品が配線基板上に実装された電子装置を得ることができる。
また、本発明の電子装置は、前記接合材がはんだを含有すると共に、前記第5の金属層の表層面がSnを含有し、前記表層面中のSnと前記接合材中のはんだとが一体化して前記電子部品が前記端子部に接合されているので、電子部品の端子部との接合面がSnで形成されている場合は、接合強度を向上させることができ、また前記接合面がSnで形成されていない場合であっても、電子部品を配線基板上に実装することができる。
このように本発明によれば、小型化・高密度化に対応し、かつ種々の用途に応じた電極喰われの生じることのない信頼性の優れた配線基板及び電子装置を実現することができる。
次に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳説する。
図1は本発明に係る配線基板の一実施の形態(第1の実施の形態)を示す要部断面図である。
同図において、配線基板1は、セラミック材料で形成された基材2上に端子部3が形成され、表面実装型の電子部品が前記端子部3上に実装可能とされている。
端子部3は、具体的には、Cu、Ag、及びAg−Pdの中から選択された1種以上の金属成分を主成分とする下地電極層4と、該下地電極層4の表面に形成されたNiを主成分とする第1の金属層(以下、「Ni層」という。)5と、該Ni層5の表面に形成されたCuを主成分とする第2の金属層(以下、「Cu層」という。)6と、該Cu層6の表面に形成されたSnを主成分とする第3の金属層(以下、「Sn層」という。)7とからなる4層構造とされている。
すなわち、配線基板1上に形成された下地電極層4の表面に直接Sn層7を形成した場合、〔発明が解決しようとする課題〕でも述べたように、リフロー処理時の加熱によってSn層7中のSnが溶融して下地電極層4を侵食し、電極喰われが生じる。特に、下地電極層4の膜厚が30μm以下の超薄層の場合、下地電極層4の一部が消失して断線してしまうおそれがある。
そこで、本実施の形態では、下地電極層4とSn層7との間にNi層5及びCu層6を介在させ、これによりSnによる電極喰われが発生するのを防止している。
すなわち、下地電極層4とSn層7との間にNi層5及びCu層6を介在させることにより、配線基板1をSnの融点(232℃)以上に加熱した場合、図2に示すように、Cu層6の一部が、溶融したSnと反応して金属間化合物を生成し、その後の凝固によってSn−Cuを主成分とする金属層(第5の金属層)(以下、「Sn−Cu層」という。)8が形成される。そして、Sn−Cu層8はCu層6の上面に強固に密着し、さらにCu層6とNi層5との密着力も強く、SnがこれらCu層6やNi層5に拡散することもない。そして、Ni層5は下地電極層4に対するバリア層としての作用を呈して該下地電極層4を保護し、その結果Snは下地電極層4内に侵入するのを阻止することができ、電極喰われが生じるのを防止することができる。
上記配線基板1は、例えば、以下のようにして製造することができる。
すなわち、図3に示すように、まず、セラミック材料で形成された平板状の基材2上に、所定の配線パターンが形成されるように電極ペーストを塗布した後、例えば温度600〜1000℃で3〜12時間焼成処理を行い、膜厚5〜30μmの下地電極層4を形成する。
次に、下地電極層4(4a、4b)上にNi層5(5a、5b)、Cu層6(6a、6b)及びSn層7(7a、7b)の各積層膜を無電解めっき法で作製する。
すなわち、これら各積層膜の作製方法としては、無電解めっき法の他、電解めっき法に依ることも考えられるが、配線基板1のように微細で複雑な配線パターンを有する下地電極層4上に積層膜を形成する場合、電解めっき法では被めっき物に通電させるため装置が複雑となり、また工程も煩雑化し、さらには電流密度の制御が困難であるため膜厚にバラツキが生じ易い。
そこで、本実施の形態では、無電解めっき法で各積層膜を作製している。
具体的には、まず、被めっき物をPd触媒等で表面処理して触媒活性化した後、ホスフィン酸塩等の還元剤が含有された浴温65〜90℃の無電解Niめっき液に前記被めっき物を20〜40分間浸漬し、下地電極層4の表面に、例えば膜厚2〜5μmのNi層5を形成する。
次いで、置換めっきを行ってNi層5の表面にCu層6及びSn層7を形成し、これにより配線基板1を作製する。
すなわち、Ni層5が形成された被めっき物を無電解Cuめっき液に浸漬すると、例えば3〜10μmのCu層6が形成される。尚、めっき条件は例えば浴温45〜70℃、浸漬時間120〜240分で上記膜厚を有するCu層6を形成することができる。
次に、このようにNi層5及びCu層6が形成された被めっき物を無電解Snめっき液に浸漬すると、化学式(1)、(2)に示すように、Snよりも電気化学的に卑な金属であるCuの溶解によって電子が放出されると共に、該電子によってCuよりも電気化学的に貴なSnイオンが還元され、その結果、Cu層6上には該Cu層6の一部が置換される形態で、例えば0.5〜2μmのSn層7が形成される。尚、めっき条件は例えば浴温55〜85℃、浸漬時間5〜20分で上記膜厚を有するSn層7を形成することができる。
Cu→Cu2++2e…(1)
Sn2++2e→Sn…(2)
このように本実施の形態では、Cu、Snの各元素のイオン化傾向の差を利用して置換めっきを行い、これによりSn層7を形成しているので、還元剤を必要とせず、高純度のSn層7を形成することができる。また、被めっき物の表面をPd等で触媒活性化する必要もなく、簡便な工程で所望のSn層7を得ることができる。
次に、上記配線基板1に表面実装型の電子部品を実装した電子装置について説明する。
表面実装型の電子部品としては、積層セラミックコンデンサや圧電部品、コイル部品等の各種チップ型電子部品、BGA(ball glid array)やCSP(chip scale package)等、配線基板1の端子部3との接合部に多数のボール(バンプ)が格子状に設けられたパッケージ電子部品、各種リード線付きトランジスタ等の電子部品があるが、本実施の形態では積層セラミックコンデンサを使用した場合について述べる。
図4はこの種の積層セラミックコンデンサの一実施の形態を模式的に示した断面図である。
すなわち、該積層セラミックコンデンサ9は、BaTiO等の誘電体セラミック材料からなるセラミック素体10に内部電極11(11a〜11f)が埋設されると共に、該セラミック素体10の両端部には外部電極12a、12bが形成され、また該外部電極12a、12bの表面にはNi皮膜13a、13bが形成され、さらにNi皮膜13a、13bの表面にはSn皮膜14a、14bが形成されている。
次に、配線基板1に対し、メッシュスクリーンをマスクとして塗布厚みが7〜25μmとなるようにフラックスを塗布した後、図5に示すように、積層セラミックコンデンサ9を配線基板1上に搭載し、リフロー処理を行い、該積層セラミックコンデンサを配線基板1上に実装する。すなわち、まず、温度150〜180℃で被処理物を60〜120秒間予熱した後、酸素濃度が100〜5000ppmの窒素雰囲気下、Snの融点である232℃以上の温度(例えば、240〜250℃)に被処理物を15〜90秒間加熱し、リフロー処理を行う。そしてこれにより、図6に示すように、積層セラミックコンデンサ9が配線基板1上に実装され、電子装置が製造される。
このとき、リフロー処理によりSn層7a、7b中のSn成分が溶融し、該Sn成分がCu層6a、6bと反応して金属間化合物を生成し、その後の凝固によってSn−Cu層8a、8bが形成される。そして、前記Sn−Cu層8a、8bは残部のCu層6a、6bと強固に密着し、これによりSnがCu層6やNi層5方向に拡散することはなく、またNi層5は下地電極層4のバリア層としての作用を呈することから、Snが下地電極層4a、4bに侵入するのを回避することができ、所謂電極喰われが生じるのを防止することができ、下地電極層4a、4bが超薄層の場合であっても該下地電極層4a、4bが消失することもなく断線するのを回避することができる。
一方、上記リフロー処理によりSn−Cu層8a、8bの表層面におけるSnと積層セラミックコンデンサ9のSn皮膜14a、14bとが一体的に接合されて該セラミックコンデンサ9が配線基板1の端子部3a、3b上に接合される。
尚、上記実施の形態では、Cu層6a、6bの一部が残存し、該Cu層6a、6b上にSn−Cu層8a、8bを形成しているが、Cu層6a、6bをSn−Cu層8a、8bの形成に全て消費するようCu層6a、6bの膜厚を制御してもよく、その場合はSn−Cu層8a、8bはNi層5と強固に密着することとなり、したがって上述と同様、SnがNi層5内に拡散することはなく、Ni層5は下地電極層4のバリア層としての作用を呈することとなる。すなわち、この場合もSnが下地電極層4a、4bに侵入するのを回避することができ、所謂電極喰われが生じるのを防止することができ、下地電極層4a、4bが超薄層の場合であっても該下地電極層4a、4bが消失することもなく断線するのを回避することができる。
図7は本発明の第2の実施の形態を示す配線基板1′の要部断面図であって、端子部3′のCu層6′が第1の実施の形態のCu層6よりも薄層に形成されている。
本第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の方法・手順で、基材2上に下地電極層4及Ni層5を形成した後、例えば、浴温45〜70℃、処理時間45〜80分のめっき条件でNi層5上に無電解めっきを施し、第1の実施の形態のCu層6よりも薄層となるようにめっき処理時間を40〜80分に短縮し、これにより、膜厚が例えば1.5〜3μmのCu層6′を形成している。そしてその後は第1の実施の形態と同様の方法・手順でCu層6′上にSn層7を形成し、これにより配線基板1′を作製している。
このように形成された配線基板1′上に積層セラミックコンデンサ9を搭載してリフロー処理を行うと、Cu層6′が薄層であるため、図8に示すように、Sn層7(7a、7b)中のSn成分はCu層6′(6a′、6b′)、及びNi層5(5a、5b)の一部と反応して金属間化合物を生成し、その後の凝固によって残部のNi層5上にSn−Cu−Ni層8′(8a′8b′)を形成する。
そして、Sn−Cu−Ni層8′はNi層5と強固に密着し、Ni層5が下地電極層4のバリア層としての作用を効果的に呈することから、Sn成分が下地電極層4a、4bに侵入するのを回避することができ、所謂電極喰われが生じるのを防止することができ、第1の実施の形態と同様、下地電極層4が超薄膜であっても、該下地電極4の一部が消失して断線するのを回避することができる。
図9は第1の実施の形態で得られた電子装置をエポキシ樹脂等の外装樹脂15で被覆している。
第1の実施の形態の電子装置では、別途はんだを供給することなく、Sn−Cu層8a、8bに含有されるSnと積層セラミックコンデンサ9のSn皮膜14a、14bとが一体化して接合されているのでので、被覆処理時の加熱によって所謂はんだフラッシュが生じることもなく、したがってSn皮膜14aとSn皮膜14bとが接触して短絡不良が生じるのを防止することができる。
しかも、電子装置を外装樹脂15で被覆しているので、耐湿性を向上させることができると共に、電子部品である積層セラミックコンデンサ9と配線基板1との接合の信頼性向上を図ることができる。
尚、図示は省略するが、電子部品を多層樹脂基板内に内蔵するように実装させた部品内蔵基板の場合も、図9の場合と同様、はんだフラッシュの発生を回避して短絡不良を防止することができ、また、耐湿性を向上させることができると共に、電子部品である積層セラミックコンデンサ9と配線基板1との接合の信頼性向上を図ることができる。
図10は本発明に係る配線基板の第3の実施の形態を示す要部断面図であって、該配線基板1″の端子部3″(3a″、3b″)は、下地電極層4上にNi層5、Cu層6、及びSn層7が形成され、さらに該Sn層7上に接合材としての膜厚50〜150μmのはんだ層16(16a″、16b″)が形成されている。すなわち、本第3の実施の形態では、Sn層7の形成された基材2に対し、メタルマスクを使用してはんだペースト(例えば、主組成がSn−3Ag−0.5Cuで表されるPbフリーのはんだペースト)を塗布し、その後、焼付処理を行ってSn層7上にはんだ層16を形成し、これにより配線基板1″を作製している。
そしてその後、図11に示すように、配線基板1″上に電子部品としての積層セラミックコンデンサ9を搭載し、上述と同様のリフロー処理を行うことにより、図12に示すような電子装置が製造される。
すなわち、本第3の実施の形態でも、リフロー処理時の加熱によって、第1の実施の形態と同様、Sn−Cu層8が形成されてSnの下地電極層4への侵食が防止される一方で、はんだ及びSn−Cu層8中のSn及びSn皮膜14a、14bが一体化されて積層セラミックコンデンサ9が端子部3″に接合され、配線基板1″上に実装されている。
この第3の実施の形態では、接合材であるはんだが別途供給されており、したがって前記積層セラミックコンデンサ9の配線基板1″への接合性が向上し、また、端子部3″と積層セラミックコンデンサ9のSn皮膜14との間により大きなフィレットが形成され、斯かる点からも接合強度を向上させることが可能となる。
また、本第3の実施の形態では別途はんだを供給していることから、電子部品の端子部3″への接合面材料はSnに限られることはなく、はんだ等のSn合金材料であってもよい。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。Ni層5、Cu層6、6′、及びSn層7はそれぞれNi、Cu、及びSnを主成分として含有していればよく、例えば、Ni層5中にP等の還元剤成分が含んでいてもよく、或いはSn層7中にAg等を含有していてもよい。
また、上記実施の形態では基材2をセラミック材料で形成しているが、エポキシ樹脂等の樹脂材料で形成した場合にも、同様に適用できるのはいうまでもない。この場合、例えば、エポキシ樹脂(基材2)上へのCu電極(下地電極層4)の形成は、エポキシ樹脂上にCu箔を形成した後、エッチング処理をすることにより行われる。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
下地電極層として焼成処理されたCu電極を有するセラミック基板を用意し、該セラミック基板をホスフィン酸ナトリウム(還元剤)を含有した市販の無電解Niめっき液(浴温85℃)に25分間浸漬し、Cu電極上に膜厚約3μmのNi−P層を形成した。
次に、Ni−P層が形成されたセラミック基板を市販の無電解Cuめっき液(浴温60℃)に150分間浸漬して膜厚約6μmのCu層をNi−P層上に形成した。
その後、Cu層が形成されたセラミック基板を市販の無電解Snめっき液(浴温70℃)に12分間浸漬して置換めっきを行い、Cuの一部をSnと置換させて膜厚約1μmのSn層をCu層上に形成し、これによりセラミック基板上に端子部が形成された配線基板を得た。
次に、電子部品として縦0.4mm、横0.2mm、厚み0.2mm、及び縦1.6mm、横0.8mm、厚み0.8mmのチップ型積層セラミックコンデンサ、3端子リードトランジスタ、BGA、CSPを用意した。尚、これら各種電子部品のうち、前三者については電極表層面がいずれもSn皮膜で形成され、後二者については下面(端子部との接合部)がSn系はんだボールで形成されている。
次いで、メッシュスクリーンマスクを使用して塗布厚みが約15μmとなるようにセラミック基板上にフラックスを塗布し、その後、前記各電子部品を前記端子部上に搭載し、リフロー処理を行った。すなわち、配線基板を150〜180℃で90秒間予熱し、その後、酸素濃度200ppmの窒素雰囲気下、最高温度250℃で35秒間加熱し、チップ型積層セラミックコンデンサのSn皮膜と端子部とを接合させ、これにより電子装置を製造した。
次に、EDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:エネルギー分散型X線分析装置)を使用し、試料である上記電子装置に電子線を照射して端子部を分析したところ、Sn−Cu層が生成されていることが確認され、また実装前のCu層が十分に厚いことからSnはNiとは反応せず、したがってSn−Cu層の下層には密着強度の強いCu層及びNi層が形成されていることが分かり、また、Cu電極中にSnが侵食していないことも分かった。
〔実施例1〕と同様、下地電極層として焼成処理されたCu電極を有するセラミック基板を用意し、該セラミック基板をホスフィン酸ナトリウム(還元剤)を含有した市販の無電解Niめっき液(浴温85℃)に25分間浸漬し、Cu電極上に膜厚約3μmのNi−P層を形成した。
次に、Ni−P層が形成されたセラミック基板を市販の無電解Cuめっき液(浴温60℃)に50分間浸漬して膜厚約2μmのCu層をNi−P層上に形成した。
その後は〔実施例1〕と同様の方法・手順でCu層上にSn皮膜を形成して配線基板を作製した。
次に、〔実施例1〕と同様の方法・手順でフラックスを塗布した後、リフロー処理を行い、これにより電子装置を作製した。
次に、〔実施例1〕と同様、EDXを使用し、試料である電子装置に電子線を照射して端子部を分析したところ、Cu層が薄いことから、SnはCu層、及びNi層の一部が反応して、Sn−Cu−Ni層が形成されていることが確認され、しかもSn−Cu−Ni層と該Sn−Cu−Ni層の下層に形成されたNi層とは強固に密着し、SnがCu電極を侵食しないことも確認された。
本発明に係る配線基板の一実施の形態(第1の実施の形態)を示す要部断面図である。 前記配線基板に加熱処理を施し、その後冷却させた状態を示す要部断面図である。 基材上に2個の端子部が形成されている状態を示す配線基板の断面図である。 表面実装型電子部品としての積層セラミックコンデンサの一例を示す断面図である。 積層セラミックコンデンサを配線基板上に搭載した状態を示す断面図である。 リフロー処理により積層セラミックコンデンサが配線基板上に実装された状態を示す断面図である。 本発明に係る配線基板の第2の実施の形態を示す要部断面図である。 第2の実施の形態の配線基板を使用して積層セラミックコンデンサを実装した状態を示す断面図である。 図8に示す実装品に樹脂で外装を施した状態を示す図である。 本発明に係る配線基板の第3の実施の形態を示す要部断面図である。 第3の実施の形態の配線基板に積層セラミックコンデンサを搭載した状態を示す断面図である。 第3の実施の形態の配線基板を使用して積層セラミックコンデンサを実装した状態を示す断面図である。 特許文献1に記載されたはんだ皮膜の形成方法を説明するための図である。 特許文献1のはんだ皮膜の形成方法を電子部品実装用配線基板に適用した場合の問題点を説明するための図である。
符号の説明
1 配線基板
1′配線基板
1″配線基板
3 端子部
4 下地電極層
5 Ni層(第1の金属層)
6 Cu層(第2の金属層)
6′Cu層(第2の金属層)
7 Sn層(第3の金属層)
8 Sn−Cu層(第4の金属層)
8′Sn−Cu−Ni層(第4の金属層)
9 積層セラミックコンデンサ(電子部品)
14a、14b Sn皮膜
16 はんだ層(第4の金属層)

Claims (9)

  1. 表面に端子部が形成され、該端子部を介して電子部品が実装される配線基板において、
    前記端子部が、Cu、Ag、及びAg−Pdの中から選択された1種以上の金属成分を主成分とする下地電極層と、該下地電極層の表面に形成されたNiを主成分とする第1の金属層と、該第1の金属層の表面に形成されたCuを主成分とする第2の金属層と、該第2の金属層の表面に形成されたSnを主成分とする第3の金属層とを有していることを特徴とする配線基板。
  2. 前記第1の金属層、前記第2の金属層及び前記第3の金属層は、無電解めっき処理により形成されていることを特徴とする請求項1記載の配線基板。
  3. 前記第3の金属層は、前記第2の金属層の一部が置換されて形成されていることを特徴とする請求項2記載の配線基板。
  4. 前記端子部は、はんだを主成分とする第4の金属層が、前記第3の金属層の表面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の配線基板。
  5. 基材上に端子部が形成された配線基板を有し、表面実装型の電子部品がSnを主成分とする接合材を介して前記配線基板の前記端子部に実装された電子装置において、
    前記端子部が、Cu、Ag、及びAg−Pdの中から選択された1種以上の金属成分を主成分とする下地電極層と、該下地電極層の表面に形成されたNiを主成分とする第1の金属層と、該第1の金属層の表面に形成されたSn−Cu金属間化合物を主成分とする第5の金属層を有していることを特徴とする電子装置。
  6. Cuを主成分とする第2の金属層が、前記第1の金属層と前記第5の金属層との間に介在されていることを特徴とする請求項5記載の電子装置。
  7. 基材上に端子部が形成された配線基板を有し、表面実装型の電子部品がSnを主成分とする接合材を介して前記配線基板の前記端子部に実装された電子装置において、
    前記端子部が、Cu、Ag、及びAg−Pdの中から選択された1種以上の金属成分を主成分とする下地電極層と、該下地電極層の表面に形成されたNiを主成分とする第1の金属層と、該第1の金属層の表面に形成されたSn−Cu−Ni金属間化合物を主成分とする第5の金属層を有していることを特徴とする電子装置。
  8. 前記電子部品が、前記端子部との接合面がSnを主成分とする材料で形成されると共に、前記第5の金属層の表層面がSnを含有し、
    前記表層面中のSnと前記接合面中のSnとが一体化して前記電子部品が前記端子部に接合されていることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の電子装置。
  9. 前記接合材がはんだを含有すると共に、前記第5の金属層の表層面がSnを含有し、
    前記表層面中のSnと前記接合材中のはんだとが一体化して前記電子部品が前記端子部に接合されていることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の電子装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013080875A (ja) * 2011-10-05 2013-05-02 Rohm Co Ltd 電子部品の電極構造
JP2016105501A (ja) * 2016-02-03 2016-06-09 ローム株式会社 電子部品の電極構造
JP2018133460A (ja) * 2017-02-15 2018-08-23 日本特殊陶業株式会社 セラミックパッケージ
WO2023037748A1 (ja) * 2021-09-08 2023-03-16 株式会社村田製作所 基板

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