JP2007122935A - 燃料電池及び膜電極接合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】カルボキシル基を有する有機酸を陽極燃料および酸素を陰極燃料とする燃料電池の特性を向上させる。
【解決手段】PtにP、PdにSを添加して粒径5nm未満のPtP触媒およびPdS触媒を得る。カルボキシル基を有する有機酸を陽極燃料および酸素を陰極燃料とする燃料電池の陽極にPdS触媒、酸素極にPtP触媒に使用し、触媒粒径減少による触媒比表面積増大により燃料電池特性を向上させる。
【選択図】図1
【解決手段】PtにP、PdにSを添加して粒径5nm未満のPtP触媒およびPdS触媒を得る。カルボキシル基を有する有機酸を陽極燃料および酸素を陰極燃料とする燃料電池の陽極にPdS触媒、酸素極にPtP触媒に使用し、触媒粒径減少による触媒比表面積増大により燃料電池特性を向上させる。
【選択図】図1
Description
本発明は新規な触媒を燃料極及び酸素極に有する燃料電池及び膜電極接合体に関する。更に詳細にはPdS及びPtPからなる二元系触媒をそれぞれ燃料極及び酸素極に有する燃料電池及び膜電極接合体に関する。
従来、電気エネルギーの大部分は、火力発電、水力発電又は原子力発電などにより供給されてきた。しかし、火力発電は石油や石炭などの化石燃料を燃焼させるため大規模な環境汚染をもたらすばかりか、石油などの資源枯渇が問題視されるようになってきた。また、水力発電は大規模なダム建設を必要とし、それによる自然破壊が懸念されるばかりか、建設適地も限られている。原子力発電は事故の際の放射能汚染が致命的であるばかりか、寿命を迎えた原子炉の廃炉問題などもあり、世界的には建設が抑制される方向に動いている。
大規模な施設を必要とせず、環境汚染も起こさない発電方法として風力発電や太陽光発電が世界各国で利用されるようになり、我が国でも一部の地域で実際に風力発電や太陽光発電が実用化されている。しかし、風力発電は風が吹かなければ発電できず、また太陽光発電は日光照射がなければ発電できないなど、自然現象に左右され、安定的な電力供給ができないという欠点がある。また、風力発電では、風の強さにより、発電した電力の周波数が変動し、電気機器の故障原因となっていた。
そこで、最近は、水素エネルギーから電気エネルギーを取り出すことができる発電装置、例えば、水素燃料電池などの開発研究が活発になってきた。水素は水を分解することにで得られ、地球上に無尽蔵に存在するばかりか、物質量当たりに含まれる化学エネルギー量が大きく、しかも、エネルギー源として利用するときに有害物質や地球温暖化ガスを発生しないという利点を有する。
水素ガスの代わりに、メタノールを使用する燃料電池の研究も活発に行われている。液体燃料であるメタノールを使用する直接メタノール型燃料電池(DMFC)は、燃料の取り扱い易さに加え、安価な燃料ということで家庭用や産業用の比較的小出力規模の電源として適している。メタノール−酸素燃料電池の理論出力電圧は、水素燃料のものとほぼ同じ1.2V(25℃)である。DMFCは理論的体積エネルギー密度がリチウムイオン電池の約10倍と高く、次世代の電池として期待されている。DMFCの中心にはプロトン導電膜があり、その両側に陽極と陰極触媒層が配置される。陽極にメタノールと水、陰極には酸素が供給される。陽極触媒には白金ルテニウム(PtRu)、陰極触媒には白金(Pt)触媒が使用される。
メタノールはPt触媒上で酸化され、最終的に二酸化炭素に変化する。この酸化反応の過程で一酸化炭素(CO)が生成する。COはPt触媒表面に化学吸着する触媒毒である。Pt単独触媒では、メタノール酸化反応の進行に伴ってCOがPt触媒表面を覆い、やがて失活する。このCO被毒の問題に対して多くの検討が行われ、PtにRuを添加する事でCO被毒が大幅に軽減される事が見出された。この機構は以下の様である。先ず、式(1)に従い、メタノールの酸化過程でCOが生成してPt触媒上に化学吸着する。これがCOによるPt触媒被毒である。一方Ru上では水が吸着し、式(2)に従い水酸基を生成する。このRuに結合した水酸基が式(3)に従ってPtに化学吸着したCOをアタックし、CO2に酸化する。
CH3OH+Pt=Pt-CO+4H++4e-‥‥(1)
Ru+H2O=Ru-OH+H++e-‥‥(2)
Pt-CO+Ru-OH=Pt+Ru+CO2+H++e-‥‥(3)
Ruにはメタノールを酸化する触媒作用は無く、RuはPtの被毒を軽減する助触媒である。上述した反応機構から、PtとRu原子は互いに近接して存在する事が理想的である。メタノール酸化反応に対してPtRu触媒の組成に関する検討が行われ、Pt50Ru50の組成が最も高活性である事が多くの研究者により報告されている。
CH3OH+Pt=Pt-CO+4H++4e-‥‥(1)
Ru+H2O=Ru-OH+H++e-‥‥(2)
Pt-CO+Ru-OH=Pt+Ru+CO2+H++e-‥‥(3)
Ruにはメタノールを酸化する触媒作用は無く、RuはPtの被毒を軽減する助触媒である。上述した反応機構から、PtとRu原子は互いに近接して存在する事が理想的である。メタノール酸化反応に対してPtRu触媒の組成に関する検討が行われ、Pt50Ru50の組成が最も高活性である事が多くの研究者により報告されている。
DMFC熱力学的発生電池電圧は先に述べたように約1.2 Vである。しかし、実際の電池ではこの電圧は得られない。この主な原因は以下の二点である。第一に、メタノール酸化反応の活性化エネルギーがPtRu触媒を使用してもまだ大きく、アノード分極が大きい事、第二にメタノールがプロトン導電膜を透過してカソードに達し、カソードで直接酸化されるためである。メタノールの透過はメタノールクロスオーバーと呼ばれ、大きな問題である。
燃料電池に使用されるPtは極めて高価な貴金属である。2005年9月26日の金属Ptの小売価格は\3,546/gである。触媒に使用するPtは酸化状態にある化合物を最終的に還元して合成される。Ptの供給源として最も安価な化合物は六塩化白金酸で、試薬レベルの価格は\2,750/gである(和光純薬工業カタログ)。この試薬1 gから得られる金属Ptは0.38 gであり、1 gの金属Pt触媒を合成するために必要な試薬コストは\7,320である。DMFCの電極触媒の使用量は5 mg/cm2前後であり、モバイル機器で使用される燃料電池の電極触媒面積を3 cm2とすると、単電池の陽極と陰極で計30 mgの金属Pt触媒が必要となる。従って、DMFCの単電池で使用される金属Pt触媒を合成するための試薬コストは\220と算出される。DMFCの実効電池電圧は先に述べた大きな陽極分極のため0.4V 前後である。ノート型パソコンを駆動させているリチウム二次電池の電池電圧は約8 Vであり、この電圧をDMFCで得るためには約20個の単電池が必要であり、金属Pt触媒の試薬コストは\4,400にのぼる。この様な高額コストではDMFCを広く世の中に普及させる事は困難である。
DMFCにはメタノール酸化の困難さとメタノールクロスオーバーの問題が有り、多量の貴金属触媒を必要とする。この様な状況下、2004年、米国イリノイ大学から新しいタイプの燃料電池に関する報告が行われた(文献1)。それは直接ギ酸型燃料電池(DFAFC)で、陽極燃料としてギ酸、陰極燃料に酸素を使用するタイプのものである。この燃料電池のメリットはギ酸が酸化されて二酸化炭素に変化する際、メタノール酸化の場合と異なり途中で一酸化炭素を生じないこと、およびギ酸がプロトン導電膜中を殆ど透過しない点である。ギ酸の酸化反応を式(4)に示す。
HCOOH=CO2+2H++2e-‥‥(4)
この反応はギ酸からの直接脱プロトン反応である。一酸化炭素(CO)を生成しないため、被毒の問題が無い。また、ギ酸は酸であるため電離してギ酸イオン(HCOO-)を生成する。これは陰イオンであるため、代表的プロトン導電膜であるDuPont社のNafion膜中のスルフォン酸陰イオンと静電的に反発するため、プロトン導電膜中を透過し難く、クロスオーバー量がメタノールに比較して極端に少ない。この特長から、DFAFCではパッシブ状態(燃料供給のためにポンプ等を一切使用しないタイプ)でDMFC の2倍以上の出力密度を達成している。
HCOOH=CO2+2H++2e-‥‥(4)
この反応はギ酸からの直接脱プロトン反応である。一酸化炭素(CO)を生成しないため、被毒の問題が無い。また、ギ酸は酸であるため電離してギ酸イオン(HCOO-)を生成する。これは陰イオンであるため、代表的プロトン導電膜であるDuPont社のNafion膜中のスルフォン酸陰イオンと静電的に反発するため、プロトン導電膜中を透過し難く、クロスオーバー量がメタノールに比較して極端に少ない。この特長から、DFAFCではパッシブ状態(燃料供給のためにポンプ等を一切使用しないタイプ)でDMFC の2倍以上の出力密度を達成している。
DFAFCの燃料極触媒にはPdが使用される。Pdは常温でその体積の約900倍の水素を吸蔵する性質を有しており、この特徴がギ酸の直接脱プロトン反応に関与していると推測される。陰極は酸素還元反応で、従来通りPtが触媒として用いられる。DFAFCの出現は大きな出来事であるが、更に触媒材料の改良を進め、より大きな出力が得られれば燃料電池を携帯機器に使用することが可能になる。
B. Adams et al., Fuel Cell Seminar, 2004.
従って本発明の目的は、DFAFCに使用される触媒の改良を行い、より高い出力密度を達成することである。
前記課題を解決するための手段として請求項1に係る発明は、燃料極と酸素極と、これら燃料極と酸素極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池において、前記燃料極は、PdとSを含有する粒子がカーボン担体上に担持された触媒を含むことを特徴とする燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項2に係る発明は、前記酸素極は、PtとPを含有する粒子がカーボン担体上に担持された触媒を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項3に係る発明は、前記燃料極において、
前記粒子中のS組成は1〜50at.%であることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池である。
前記粒子中のS組成は1〜50at.%であることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項4に係る発明は、前記酸素極において、
前記粒子中のP組成は1〜50at.%であることを特徴とする請求項2記載の燃料電池である。
前記粒子中のP組成は1〜50at.%であることを特徴とする請求項2記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項5に係る発明は、前記粒子の粒径が5nm未満であることを特徴とする請求項1〜4記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項6に係る発明は、前記カーボン担体の比表面積が20〜300m2/gである事を特徴とする請求項1〜5記載の燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項7に係る発明は、請求項1〜6に記載の燃料電池に用いる陽極燃料が、カルボキシル基を有する有機酸であることを特徴とする燃料電池である。
前記課題を解決するための手段として、請求項8に係る発明は、燃料極触媒層と、酸素極触媒層と、これら燃料極触媒層と酸素極触媒層との間に間挿された固体高分子電解質膜とからなる膜電極接合体において、前記燃料極触媒層は、PdとSを含有する粒子がカーボン担体上に担持された触媒を含むことを特徴とする膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として、請求項9に係る発明は、前記酸素極触媒層は、PtとPを含有する粒子がカーボン担体上に担持された触媒を含むことを特徴とする請求項7記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として、請求項10に係る発明は、前記燃料極触媒層において、前記粒子中のS組成は1〜50at.%であることを特徴とする請求項8又は9記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として、請求項11に係る発明は、前記酸素極触媒層において、前記粒子中のP組成は1〜50at.%であることを特徴とする請求項9記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として、請求項12に係る発明は、前記粒子の粒径が5nm未満であることを特徴とする請求項8〜11記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として、請求項13に係る発明は、前記カーボン担体の比表面積が20〜300m2/gである事を特徴とする請求項8〜12記載の膜電極接合体である。
前記課題を解決するための手段として、請求項14に係る発明は、請求項8〜13記載の膜電極接合体に用いる陽極燃料が、カルボキシル基を有する有機酸であることを特徴とする膜電極接合体である。
本発明によれば超音波還元法、無電解メッキ法、アルコール還元法によりカーボン担体上にPd及びPt触媒微粒子を析出させる際、Pd触媒にS、Pt触媒にPを添加してニ元系触媒とすると触媒粒子がカーボン担体上に析出する際、SおよびPが粒子の内部及び外部から作用し、析出するPdおよびPt触媒粒子を微細化し触媒の表面積を増大させ、その結果、触媒活性が向上する事が発見された。図1は本発明より得られたPdSおよびPtP触媒微粒子1の模式的断面図である。X線光電子分光分析(XPS分析)から、PdSおよびPtP触媒粒子では図に示すように、カーボン担体3に担持されたPdとPt粒子5の表面近傍にS或いはP7が酸化物として存在しており、それらの粒子内部にはS或いはP8が金属リン化物として存在していることが示唆されている。従って、S及びPがPd及びPt粒子5の外部あるいは内部から作用し、その粒子成長が抑制され、PdSおよびPtP触媒微粒子1全体が微細化されると考えられる。
一般的に燃料電池の燃料極触媒層と酸素極触媒層との間には、プロトン導電膜としてデュポン社製のナフィオン膜が使用されている。ナフィオン膜ではスルホン酸基の水素原子がH+となってプロトン導電性を発揮するため、ナフィオン膜自体は極めて高い酸性を示す。従って、ナフィオン膜と電極触媒層との界面及びナフィオン樹脂でペースト化された触媒粒子とナフィオン界面は強酸性になる。これまでPtの触媒活性を高めるため、第三金属元素(例えば、Mo、Mn、Fe,Co等)の添加が試みられてきた。しかし、これらの遷移金属は十分な耐酸性を有していないため、強酸性のナフィオン樹脂と接触する事により、金属イオンとして溶出する。溶出した金属イオンはナフィオン膜中のH+とイオン交換する結果、ナフィオンのプロトン導電性が低下し、電池特性が劣化する。しかし、Sは従来の第三金属元素とは異なり、耐酸性があるため酸に溶出する事無く、燃料電池用触媒の添加元素として極めて好適であることも発見された。
本発明において、触媒の担体には比表面積が20〜300m2/gのカーボン担体を使用している。この比表面積の範囲ではカーボン担体の多孔性は低く、カーボン担体中に存在する微細孔は少ない。また、アセチレンブラック(AB)やマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)等は全く微細孔を有さない非多孔質カーボン担体である。これら、低多孔質或いは非多孔質カーボン担体を使用すれば、微細孔中に埋没する触媒粒子が減少し、多くの触媒粒子をカーボン担体表面に析出させる事が可能となる。触媒粒子がカーボン担体表面に存在すれば、燃料とプロトン導電性高分子と接触する確立が高まり、その結果、触媒利用率を向上させる事ができる。また、MWCNTは従来使用されてきたカーボンブラックに比べて嵩高い。このため触媒をナフィオン樹脂でペースト化し、プレス機により電極触媒膜にした場合、従来のカーボンブラック担体に比較して電極触媒膜中に物理的な空隙が多く存在する。このため、PdSおよびPtP触媒上への燃料の拡散が十分確保される。また、カソードPtP触媒上で生成した水の拡散性が向上し、素早く生成水が電極触媒膜表面に移動する事ができ、結果として電池特性を高める事が可能となる。さらにMWCNTは従来使用されてきたカーボンブラックに比較して比抵抗が低い。このためIR損失を抑える事ができ、結果として電池電圧の低下を抑制できる事も発見された。
本発明の燃料電池に用いる陽極燃料は、カルボキシル基を有する有機酸が好適である。カルボキシル基を有する有機酸を陽極燃料に用いると、上述のように陽極では式(4)に示す有機酸からの直接脱プロトン反応が生じる。そして、Pdの水素貯蔵能力が、この酸の直接脱プロトン反応に何らか関与し触媒として働くと推測されている。更に、PdにSを加えた本発明の触媒を用いた燃料電池では、触媒粒子の微細化により、この触媒活性が向上し、結果、電池特性が改善する。
本発明に使用可能なカルボキシル基を有する有機酸としては、シュウ酸、酢酸、ギ酸、等を用いることが可能であるが、直接脱プロトン反応によるCO生成の点で、蟻酸が特に好適である。
本発明による燃料電池用陽極触媒は、カーボン担体上に担持された下記の一般式、
PdS
で示される二元系微粒子からなる。前記式中、Sの含有量は1〜50at.%であることが好ましい。S含有量1at.%以上では、Pd触媒の粒径微細化が更に促進され、触媒活性を十分に高める事ができる。また、S含有量が50at.%以下であると、Pdの含有量を十分確保でき、同様に触媒活性向上が図れる。
PdS
で示される二元系微粒子からなる。前記式中、Sの含有量は1〜50at.%であることが好ましい。S含有量1at.%以上では、Pd触媒の粒径微細化が更に促進され、触媒活性を十分に高める事ができる。また、S含有量が50at.%以下であると、Pdの含有量を十分確保でき、同様に触媒活性向上が図れる。
本発明による燃料電池用陰極触媒は、カーボン担体上に担持された下記の一般式、
PtP
で示される二元系微粒子からなる。P含有量1at.%以上では、Pt触媒の粒径微細化が更に促進され、触媒活性を十分に高める事ができる。また、P含有量が50at.%以下であると、Ptの含有量を十分確保でき、同様に触媒活性向上が図れる。
PtP
で示される二元系微粒子からなる。P含有量1at.%以上では、Pt触媒の粒径微細化が更に促進され、触媒活性を十分に高める事ができる。また、P含有量が50at.%以下であると、Ptの含有量を十分確保でき、同様に触媒活性向上が図れる。
PdSおよびPtP触媒の粒径は5nm未満が適する。触媒粒径が5nm未満の場合、単位重量当たりの触媒比表面積が更に増大し、触媒活性を高める事が出来る。
触媒担体となるカーボン担体の比表面積は20〜300m2/gが適する。比表面積20m2/g以上では、触媒担持量を更に向上させることができる。また、比表面積が300m2/g以下のカーボン担体は微細孔が比較的少なく、触媒粒子が微細孔内に埋没することを防止でき、触媒利用効率を高めることができる。
アルコール還元法による本発明のPdSおよびPtP触媒の製造方法は基本的に、
(1)一種類以上のアルコールまたはアルコール水溶液中に比表面積が20〜300m2/gのカーボン担体を分散させるステップと、
(2)前記カーボン担体が分散されたアルコールまたはアルコール水溶液中に、Pd供給源或いはPt供給源と還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を添加するステップと、
(3)前記カーボン担体、Pd供給源或いはPt供給源およびS含有化合物或いは還元性P含有化合物を含むアルコールまたはアルコール水溶液のpHを調整するステップと、
(4)不活性雰囲気中で前記pHを調整したアルコールまたはアルコール水溶液を加熱還流するステップを含み、カーボン担体上に、下記の一般式、
PdS或いはPtP
で示される触媒を担持した燃料電池用触媒を生成する事からなる。
(1)一種類以上のアルコールまたはアルコール水溶液中に比表面積が20〜300m2/gのカーボン担体を分散させるステップと、
(2)前記カーボン担体が分散されたアルコールまたはアルコール水溶液中に、Pd供給源或いはPt供給源と還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を添加するステップと、
(3)前記カーボン担体、Pd供給源或いはPt供給源およびS含有化合物或いは還元性P含有化合物を含むアルコールまたはアルコール水溶液のpHを調整するステップと、
(4)不活性雰囲気中で前記pHを調整したアルコールまたはアルコール水溶液を加熱還流するステップを含み、カーボン担体上に、下記の一般式、
PdS或いはPtP
で示される触媒を担持した燃料電池用触媒を生成する事からなる。
無電解メッキ法による本発明PdSおよびPtP触媒の製造方法は基本的に、
(1)純水中に比表面積が20〜300m2/gのカーボン担体を分散させるステップと、
(2)前記カーボン担体が分散された純水溶液中に、Pd供給源或いはPt供給源と還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を添加するステップと、
(3)カーボン担体、Pd供給源或いはPt供給源および還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を含む水溶液のpHを調整するステップと、
(4)大気中或いは不活性雰囲気中で上記カーボン担体、Pd供給源或いはPt供給源および還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を含む水溶液を昇温するステップを含み、前記カーボン担体上に下記の一般式、
PdS或いはPtP
で示される触媒を担持した燃料電池用触媒を生成する事からなる。
(1)純水中に比表面積が20〜300m2/gのカーボン担体を分散させるステップと、
(2)前記カーボン担体が分散された純水溶液中に、Pd供給源或いはPt供給源と還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を添加するステップと、
(3)カーボン担体、Pd供給源或いはPt供給源および還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を含む水溶液のpHを調整するステップと、
(4)大気中或いは不活性雰囲気中で上記カーボン担体、Pd供給源或いはPt供給源および還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を含む水溶液を昇温するステップを含み、前記カーボン担体上に下記の一般式、
PdS或いはPtP
で示される触媒を担持した燃料電池用触媒を生成する事からなる。
超音波還元法による本発明のPdSおよびPtP触媒の製造方法は基本的に、
(1)純水中に比表面積が20〜300m2/gのカーボン担体を分散させるステップと、
(2)前記カーボン担体が分散された水溶液中に、Pd供給源或いはPt供給源と還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を添加するステップと、
(3)カーボン担体が分散され、Pd供給源或いはPt供給源と還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を含む水溶液のpHを調整するステップと、
(4)大気中或いは不活性雰囲気中で上記水溶液に超音波を照射するステップ
を含み、前記カーボン担体上に下記の一般式、
PdS或いはPtP
で示される触媒を担持した燃料電池用触媒を生成する事からなる。
(1)純水中に比表面積が20〜300m2/gのカーボン担体を分散させるステップと、
(2)前記カーボン担体が分散された水溶液中に、Pd供給源或いはPt供給源と還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を添加するステップと、
(3)カーボン担体が分散され、Pd供給源或いはPt供給源と還元性S含有化合物或いは還元性P含有化合物を含む水溶液のpHを調整するステップと、
(4)大気中或いは不活性雰囲気中で上記水溶液に超音波を照射するステップ
を含み、前記カーボン担体上に下記の一般式、
PdS或いはPtP
で示される触媒を担持した燃料電池用触媒を生成する事からなる。
本発明の製造方法により生成されたPdSおよびPtP触媒の粒径は、S或いはPの存在により従来のPdおよびPt触媒の粒径に比較して減少する。一般的に、従来の製造方法により生成されたPdおよびPt触媒の粒径は〜10nmであるが、本発明によるPdSおよびPtP触媒の粒径は5nm未満に減少する。この粒径減少により触媒の比表面積が増加して触媒活性が大きく向上する。PdSおよびPtP触媒の別の特徴は、その粒径が比表面積の小さいカーボン担体を使用しても維持される事である。これまで、比表面積の小さなカーボン担体を使用すれば、微細孔が少なく、微細孔中に触媒が埋没せず触媒利用率を高める事ができた。しかしその半面、触媒粒径が増大し、触媒活性を高める事ができなかった。本発明によるPdSおよびPtP触媒の粒径は使用するカーボン担体の比表面積に依存しない。従って、比表面積が小さいカーボン担体上にPdSおよびPtP触媒を析出させても微細な粒径が維持され、高活性を保ちつつ触媒利用率を高める事ができる。
合成溶液のpHを酸性側に調整するために使用する酸としては沸点が200℃より高い硫酸であることが好ましい。アルコール還元法では還流を200℃程度の高温で行う場合があり、酸の沸点が200℃未満の酸の場合、高温の還流によって酸が消散しまう可能性があり、合成系内のpHを所定範囲内に維持することが困難になる。従って、塩酸及び硝酸は沸点が低く加熱還流中に消散するため好ましくない。同様の理由から、合成溶液のpHをアルカリ側に調整するにはNaOH或いはKOHが適する。しかし、アルカリ側では、PtとRuイオンが水酸化物として沈殿して還元析出が困難になり、担持率を高められない場合がある。この様な場合、アルカリとして錯体を形成して水酸化物沈殿を抑制するアンモニア水を使用しても良い。
本発明のPdSの製造方法において使用できる還元性S含有化合物としては、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム等のチオ硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、硫化ナトリウム、三硫化ナトリウム、四硫化ナトリウム等の硫化物、テトラチオン酸ナトリウム、ハイドロサルファイトナトリウム等を使用する事が出来る。基本的には、原子価が+6未満の硫黄化合物を使用する事が出来る。Sの供給源として硫酸と硫酸塩は本発明に使用する事は出来ない。硫酸イオンはその原子価は+6価であり最高原子価に達している。+6価のSはその電子配置が希ガスであるNeと同じ状態となっている。このため、+6価のSはオクテット則により極めて安定化してS供給源とならないため、本発明には適さない。PdS触媒合成には原子価+6未満のS含有化合を試用しなければならない。また、本発明のPtP触媒の製造方法において使用できる還元性P含有化合物としては、亜燐酸、亜燐酸塩(正塩及び酸性塩の両方を含む)、次亜燐酸、次亜燐酸塩である。塩としてはアルカリ金属塩(例えば、亜燐酸ナトリウム、亜燐酸水素ナトリウム、次亜燐酸ナトリウム等)又はアンモニウム塩(亜燐酸アンモニウム、亜燐酸水素アンモニウム、次亜燐酸アンモニウム等)が好ましい。燐酸や燐酸塩中のPの酸化数は+5価である。+5価の原子価はPの最高原子価であり、その電子配置はNeと同じ希ガス電子配置である。このため、オクテット則により燐酸や燐酸塩中のP原子は化学的に安定化してP供給源とならないため、本発明には適さない。PtP触媒の合成には、原子価+5未満のPを有する化合物を使用しなければならない。
本発明で使用されるPt供給源には、例えばジニトロジアミン白金錯体、白金トリフェニルホスフィン錯体、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)及び六塩化白金酸、テトラクロロ白金(II)酸カリウムなどが使用できる。これらの白金化合物を単独で使用しても、或いは2種類以上を併用してもよい。
本発明で使用されるPd供給源には、例えば酢酸パラジウム(II)、アセチルアセトナトパラジウム(II)、塩化パラジウム(II)ナトリウム、硝酸パラジウム(II)などが使用できる。これらのパラジウム化合物を単独で使用しても、或いは2種類以上を併用してもよい。
アルコール還元法では、アルコール系溶媒に触媒を合成するための化合物を添加し、アルコール系溶媒の沸点近傍の温度で還流すると、アルコール(R−OH)が加熱還流中に電子を放出してPdおよびPtイオンを還元し、自らは酸化されてアルデヒド(R’−CHO)に変化する。また、無電解メッキ法では、例えば次亜燐酸イオンが亜燐酸イオン或いは燐酸イオンに酸化される際、電子を放出し、この電子をPdおよびPtイオンが受け取って金属に還元される。超音波還元法ではキャビテーションにより高圧、高温の場が形成されて還元性の化学種が発生し、これによりPdおよびPtイオンが還元される。
本発明におけるアルコール還元法で使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、イソアミルアルコール、n−アミルアルコール、アリルアルコール、2−エトキシアルコール及び1,2−ヘキサデカンジオールが挙げられる。これらアルコールを1種類又は2種類以上を適宜選択して使用することができる。還流の際、PdとPt微粒子の酸化を防止するため、反応系内を窒素或いはアルゴン等の不活性ガスで置換しながら還流を行うことが好ましい。
アルコール還元法における加熱温度及び還流時間は使用するアルコールの種類に応じて変化する。一般的には、加熱温度は60〜300℃程度であり、還流時間は30分間〜6時間の範囲内である。無電解メッキ法の場合、一般的浴温は50〜90℃であり、還元時間は30分〜2時間である。超音波還元法の場合、超音波照射時間は30分〜4時間である。
本発明において、アルコール還元法の場合、Pd供給源或いはPt供給源と還元性P含有化合物或いは還元性S含有化合物は、少なくとも一種類のアルコールに溶解される。このアルコールは、アルコールのみからなる場合の他、水を含有しても良い。また、無電解メッキ法及び超音波還元法の場合、Pd供給源或いはPt供給源と還元性P含有化合物或いは還元性S含有化合物は基本的に純水に添加される。無電解メッキ法及び超音波還元法では、還元助剤として、上記したアルコールを添加しても良い。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.28ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.28ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.28ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.28ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積254m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム5.12ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させ加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH11に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて浴温を80℃に昇温して2時間無電解メッキを行い、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m2/g)0.5g純水中に分散させた。六塩化白金酸・六水和物2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム5.12ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH11に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して2時間無電解メッキを行い、PtP触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m2/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム5.12ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH11に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して2時間無電解メッキを行い、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積254m2/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム5.12ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH11に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して2時間無電解メッキを行い、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム2.56ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄装置を使用して2時間超音波照射処理し、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m2/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム2.56ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄装置を使用して2時間超音波照射処理し、PtP触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m2/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム2.56ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄装置を使用して2時間超音波照射処理し、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積254m2/g)0.5gを分散させた。六塩化白金酸・六水和物2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム2.56ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄装置を使用して2時間超音波照射処理し、PtP触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
アセチルアセトナトパラジウム(II)4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム2.35ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PdS触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
アセチルアセトナトパラジウム(II)4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム2.35ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PdS触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
アセチルアセトナトパラジウム(II)4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム2.35ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PdS触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
アセチルアセトナトパラジウム(II)4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム2.35ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコールに溶解させ、多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積254m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PdS触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた。塩化パラジウム(II)ナトリウム三水和物4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム2.35ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH11に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して2時間無電解メッキを行い、PdS触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m2/g)0.5gを分散させた。塩化パラジウム(II)ナトリウム三水和物4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム2.35ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH11に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して2時間無電解メッキを行い、PdS触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m2/g)0.5gを分散させた。塩化パラジウム(II)ナトリウム三水和物4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム2.35ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH11に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して2時間無電解メッキを行い、PdS触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積254m2/g)0.5gを分散させた。塩化パラジウム(II)ナトリウム三水和物4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム2.35ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH11に調整した。大気中、攪拌しながらホットプレートを用いて液温を80℃に昇温して2時間無電解メッキを行い、PdS触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた。塩化パラジウム(II)ナトリウム三水和物4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム1.18ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄装置を使用して2時間超音波照射処理し、PdS触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m2/g)0.5gを分散させた。塩化パラジウム(II)ナトリウム三水和物4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム1.18ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄装置を使用して2時間超音波照射処理し、PdS触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m2/g)0.5gを分散させた。塩化パラジウム(II)ナトリウム三水和物4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム1.18ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄装置を使用して2時間超音波照射処理し、PdS触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
イオン交換水に多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積254m2/g)0.5gを分散させた。塩化パラジウム(II)ナトリウム三水和物4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム1.18ミリモルをイオン交換水500mlに溶解させて加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pHメーターを用いて溶液をpH10に調整した。大気中、この溶液を市販の超音波洗浄装置を使用して2時間超音波照射処理し、PdS触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
六塩化白金酸・六水和物2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.28ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコール水溶液(エチレングリコール:イオン交換水=50vol.%:50vol.%)に溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた200mのエチレングリコール水溶液(エチレングリコール:イオン交換水=50vol.%:50vol.%)に加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、130℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
六塩化白金酸・六水和物2.56ミリモルと次亜燐酸ナトリウム1.28ミリモルをそれぞれ100mlのエタノール水溶液(エタノール:イオン交換水=50vol.%:50vol.%)に溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた200mのエタノール水溶液(エタノール:イオン交換水=50vol.%:50vol.%)に加えた。水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、95℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PtP触媒微粒子をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
塩化パラジウム(II)ナトリウム三水和物4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム1.18ミリモルをそれぞれ100mlのエチレングリコール水溶液(エチレングリコール:イオン交換水=50vol.%:50vol.%)に溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた200mのエチレングリコール水溶液(エチレングリコール:イオン交換水=50vol.%:50vol.%)に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、130℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PdS触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
塩化パラジウム(II)ナトリウム三水和物4.70ミリモルとチオ硫酸ナトリウム1.18ミリモルをそれぞれ100mlのエタノール水溶液(エタノール:イオン交換水=50vol.%:50vol.%)に溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた200mのエタノール水溶液(エタノール:イオン交換水=50vol.%:50vol.%)に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、95℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、PdS触媒微粒子をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例1)
(比較例1)
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)2.56ミリモルを200mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、Pt触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例2)
(比較例2)
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)2.56ミリモルを200mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、Pt触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例3)
(比較例3)
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)2.56ミリモルを200mlのエチレングリコールに溶解させ、多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、Pt触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例4)
(比較例4)
ビス(アセチルアセトナト)白金(II)2.56ミリモルを200mlのエチレングリコールに溶解させ、多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積254m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、Pt触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例5)
(比較例5)
アセチルアセトナトパラジウム(II)4.70ミリモルを200mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT,比表面積30m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、Pd触媒をマルチウォールカーボンナノチューブ上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例6)
(比較例6)
アセチルアセトナトパラジウム(II)4.70ミリモルを200mlのエチレングリコールに溶解させ、非多孔質担体であるアセチレンブラック(AB,比表面積68m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、Pd触媒をアセチレンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例7)
(比較例7)
アセチルアセトナトパラジウム(II)4.70ミリモルを200mlのエチレングリコールに溶解させ、多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積140m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、Pd触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
(比較例8)
(比較例8)
アセチルアセトナトパラジウム(II)4.70ミリモルを200mlのエチレングリコールに溶解させ、多孔質担体であるカーボンブラック(CB,比表面積254m2/g)0.5gを分散させた200mlのエチレングリコール溶液に加えた。硫酸水溶液を滴下し、pH試験紙を用いて溶液をpH3に調整した。窒素ガス雰囲気下、200℃でこの溶液を攪拌しながら4時間還流し、Pd触媒をカーボンブラック上に析出担持させた。反応終了後、濾過、洗浄、乾燥させ触媒を得た。
実施例1〜28及び比較例1〜8で得られた各触媒の組成を蛍光X線分析(XRF)で調べた。またその粒径を透過型電子顕微鏡(TEM)で調べた。結果を表1に示す。実施例1〜12では合成系内に次亜燐酸ナトリウムを添加する事により、Pt触媒中にPが添加され、実施例13〜24では合成系内にチオ硫酸ナトリウムを添加する事により、Pd触媒中にSが添加されている事が分かる。実施例1〜28で得られたPtPおよびPdS触媒の粒径は2 nm以下に減少している。PtへのPおよびPdへのS添加は比表面積の小さい非多孔質カーボン担体を使用した場合においても、PtおよびPd触媒の粒径を2nm以下に減少させる効果を有している。比表面積の小さい非多孔質カーボン担体の使用は、触媒を全て担体表面に析出させ、触媒利用効率を向上させる。PtへのPおよびPdへのS添加は低比表面積の非多孔質カーボン担体を使用してもその触媒粒径を2nm以下に減少させ、高い触媒活性を維持出来る。従って、PtPおよびPdS触媒は触媒の高活性化と触媒利用率向上を同時に達成させる事が出来る極めて有用な触媒材料である。また、実施例25と27ではアルコールとしてエチレングリコール水溶液を使用し、還流温度を200℃から130℃に低下させてPtPおよびPdS触媒を合成している。微粒子の成長は合成温度の低減により抑制される。従って、合成温度を130℃に低下させることにより、粒径1.8nmのPtP触媒およびPdS触媒が得られている。同様に、実施例26および28ではエタノール水溶液を使用し、還流温度95℃でPtPおよびPdS触媒を合成している。その結果、粒径1.5nmのPtP触媒およびPdS触媒が得られている。一方、比較例1〜8ではP或いはSを含有しないため、PtおよびPd触媒の粒径は6〜10nmと大きい。使用するカーボン担体の比表面積増加に従い、PtおよびPd触媒の粒径は減少する傾向を示すが、比表面積254m2/gのCBを使用しても、その粒径は〜6nm程度である。
実施例1〜4および実施例25と26で得られたカーボンに担持したPtP触媒に純水とナフィオン(デュポン社製)のアルコール溶液を加えて撹拌した後、その粘度を調整して触媒用インクとした。これをテフロン(登録商標)シート上に、PtP触媒の塗布量が5mg/cm2(酸素極用)になるように塗布した。実施例13〜16および実施例27と28で得られたカーボンに担持したPdS触媒に純水とナフィオン(デュポン社製)のアルコール溶液を加えて撹拌した後、その粘度を調整して触媒用インクとした。これをテフロン(登録商標)シート上に、PdS触媒の塗布量が5mg/cm2(燃料極用)になるように塗布した。乾燥後、上記で作製した触媒電極を固体高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン膜112)の両側にホットプレスにて転写後、テフロン(登録商標)シートを剥がし、膜電極接合体を作製した。この膜電極接合体を用い、図2に示す燃料電池を作製した。図2において、符号40は燃料電池を示す。また、符号44は酸素極側集電体、43は酸素極側拡散層、41は固体高分子電解質膜、48は燃料極側拡散層、47は燃料極側集電体、42は空気導入孔、45は酸素極PtP触媒層、46は燃料極PdS触媒層、49は燃料導入孔をそれぞれ示す。酸素極側集電体44は、空気導入孔42を介して空気(酸素)を取り込む構造体としての機能を有すると共に、集電機能も有している。固体高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン膜112)41は、燃料極で発生したプロトンを酸素極側に輸送する機能と、更に燃料極と酸素極の短絡を防止するセパレータとしての機能を備えてなるものである。このように構成される燃料電池40において、燃料極側集電体47から供給される燃料は燃料極側拡散層48を介して燃料極触媒層46に導かれて酸化され電子とプロトンに変換され、このプロトンは固体高分子電解質膜41を介して酸素極側に移動する。酸素極では酸素極側集電体44から取り込まれた酸素が燃料極で生成した電子により還元され、これと上記のプロトンとが反応して水を生成する。図2に示される燃料電池40では、このような燃料の酸化反応及び酸素の還元反応により発電が起こる。陽極燃料として濃度10 mol/lのギ酸、陰極燃料として大気中の酸素を使用した。
(比較例9)
(比較例9)
実施例29におけるPtP触媒およびPdS触媒の代わりに、比較例1〜4で得られたPt触媒および比較例5〜8で得られたPd触媒をそれぞれ酸素極触媒および燃料極触媒として使用したこと以外は、実施例29と同様にして燃料電池を作製した。
実施例29及び比較例9で得られた燃料電池について出力密度を測定した。測定結果を表2に示す。実施例29ではPtP触媒とPdS触媒を使用しているため、触媒粒径が2nm以下である。また、触媒担体として、非多孔質カーボン担体或いは多孔質担体であるが比表面積が300m2/g未満で微細孔が少ないカーボン担体を使用している。そのため、触媒活性が高まると同時に、触媒利用率が高まり、出力密度は130mW/cm2以上の高い値が得られている。表中、出力密度はカーボン担体がCB、AB、MWCNTの順に高まっている事が分かる。CBが最も低い出力密度を与えた原因は、CBが多孔質担体であるため、一部の触媒が微細孔中に埋没し、ギ酸酸化および酸素還元反応に寄与できなくなっているためである。ABは非多孔質担体であるため、CB担体に比較して高い出力密度を与える。MWCNT担体は非多孔質であることに加え、その形状から、電極触媒層中に多くの物理的空隙を有している。このため、燃料であるギ酸と酸素ガス及びカソード極で発生する水の拡散が促進される。更に、MWCNTの比抵抗がCBに比べて低いため、IR損失を低減させる事ができ、電池電圧の低下を抑制できた結果、高い出力密度を与えたと考えられる。更に、実施例25と実施例27では還流温度を200℃から130℃へ、実施例26と実施例28ではさらに95℃に下げてPtP触媒およびPdS触媒を合成している。この合成温度の低減によって触媒粒子成長が抑制され、PtPおよびPdS触媒の粒径は2nmから1.8nm及び1.5nmに減少している。この粒径減少によって触媒の比表面積が増加して触媒活性が高まり、出力密度は170mW/cm2以上の高い値が得られている。一方、比較例9において、PおよびSを含有しないPt触媒およびPd触媒を使用した場合、触媒粒径は5nm以上であり、出力密度は95mW/cm2から110mW/cm2である。
本発明によるPtPおよびPdSからなる触媒は、特にカルボキシル基を有する有機酸を陽極燃料、酸素を陰極燃料とする燃料電池のそれぞれ陽極および陰極に使用できる。また、この燃料電池用の膜電極接合体における触媒層として使用することができる。
1 本発明のPtPおよびPdS触媒微粒子
3 カーボン担体
5 Pt或いはPd粒子
7 P或いはS
8 P或いはS
40 燃料電池
41 固体高分子電解質膜
42 空気導入孔
43 酸素極側拡散層
44 酸素極側集電体
45 酸素極PtP触媒層
46 燃料極PdS触媒層
47 燃料極側集電体
48 燃料極側拡散層
49 燃料導入孔
3 カーボン担体
5 Pt或いはPd粒子
7 P或いはS
8 P或いはS
40 燃料電池
41 固体高分子電解質膜
42 空気導入孔
43 酸素極側拡散層
44 酸素極側集電体
45 酸素極PtP触媒層
46 燃料極PdS触媒層
47 燃料極側集電体
48 燃料極側拡散層
49 燃料導入孔
Claims (14)
- 燃料極と酸素極と、これら燃料極と酸素極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池において、
前記燃料極は、PdとSを含有する粒子がカーボン担体上に担持された触媒を含むことを特徴とする燃料電池。 - 前記酸素極は、PtとPを含有する粒子がカーボン担体上に担持された触媒を含むことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
- 前記燃料極において、
前記粒子中のS組成は1〜50at.%であることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池。 - 前記酸素極において、
前記粒子中のP組成は1〜50at.%であることを特徴とする請求項2記載の燃料電池。 - 前記粒子の粒径が5nm未満であることを特徴とする請求項1〜4記載の燃料電池。
- 前記カーボン担体の比表面積が20〜300m2/gである事を特徴とする請求項1〜5記載の燃料電池。
- 請求項1〜6記載の燃料電池に用いる陽極燃料が、カルボキシル基を有する有機酸であることを特徴とする燃料電池。
- 燃料極触媒層と、酸素極触媒層と、これら燃料極触媒層と酸素極触媒層との間に間挿された固体高分子電解質膜とからなる膜電極接合体において、
前記燃料極触媒層は、PdとSを含有する粒子がカーボン担体上に担持された触媒を含むことを特徴とする膜電極接合体。 - 前記酸素極触媒層は、PtとPを含有する粒子がカーボン担体上に担持された触媒を含むことを特徴とする請求項8記載の膜電極接合体。
- 前記燃料極触媒層において、
前記粒子中のS組成は1〜50at.%であることを特徴とする請求項8又は9記載の膜電極接合体。 - 前記酸素極触媒層において、
前記粒子中のP組成は1〜50at.%であることを特徴とする請求項9記載の膜電極接合体。 - 前記粒子の粒径が5nm未満であることを特徴とする請求項8〜11記載の膜電極接合体。
- 前記カーボン担体の比表面積が20〜300m2/gである事を特徴とする請求項8〜12記載の膜電極接合体。
- 請求項8〜13記載の膜電極接合体に用いる陽極燃料が、カルボキシル基を有する有機酸であることを特徴とする膜電極接合体。
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JP2005310629A JP2007122935A (ja) | 2005-10-26 | 2005-10-26 | 燃料電池及び膜電極接合体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009008544A1 (ja) * | 2007-07-12 | 2009-01-15 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | 燃料電池用電極触媒、及びそれを用いた固体高分子型燃料電池 |
-
2005
- 2005-10-26 JP JP2005310629A patent/JP2007122935A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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WO2009008544A1 (ja) * | 2007-07-12 | 2009-01-15 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | 燃料電池用電極触媒、及びそれを用いた固体高分子型燃料電池 |
US8383287B2 (en) | 2007-07-12 | 2013-02-26 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Fuel cell electrode catalyst and polymer electrolyte fuel cell using the same |
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