JP2009266623A - PtP系触媒の製造方法、該製造方法により製造された触媒、該触媒を用いた燃料電池および膜電極接合体 - Google Patents

PtP系触媒の製造方法、該製造方法により製造された触媒、該触媒を用いた燃料電池および膜電極接合体 Download PDF

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Abstract

【課題】廃液処理の問題がなく、煩雑な浴管理を必要とせず、短時間でPtP系触媒を合成できるPtP系触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】燃料電池に使用されるPtP系触媒の製造方法であって、少なくとも、担体を溶液に分散させるステップと、次いで、P供給源を溶液に添加するステップと、次いで、Pt供給源を溶液に添加するステップと、担体、P供給源、Pt供給源が予め添加された溶液に対して電子線を照射するステップと、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、少なくともPtとPとから成るPtP系触媒の製造方法、該製造方法により製造された触媒、該触媒を用いた燃料電池および膜電極接合体に関する。
近年、燃料電池に関する技術が大きく進展している。燃料電池は、水素/メタノールといった燃料と酸素とを化学反応させて電気エネルギーを得る。この仕組みにより、燃料電池は、従来の発電方法と比較して様々な利点を有する。
例えば、燃料電池は、水力発電のように大規模なダム施設建設による自然破壊をもたらすことがない。また、燃料電池は、火力発電のように石油/石炭/天然ガス等を大量に使用することもない。また、燃料電池は、原子力発電のように事故の際の放射能汚染および寿命を迎えた原子炉の廃炉といった問題も生じさせない。
大規模な施設を必要とせず、環境汚染も起こさない発電方法として風力発電や太陽光発電が世界各国で利用されている。我が国でも一部の地域で実際に風力発電や太陽光発電が実用化されている。しかし、これらの発電方法はその発電効率が自然現象に大きく左右され、安定した電力供給能力に欠けるという問題がある。
常温から100℃以下の温度で作動する燃料電池として、水素ガスを燃料とするものとメタノールを燃料とするものとが知られている。前者は固体高分子型燃料電池(PEFC, Polymer Electrolyte Fuel Cell)、後者は、直接メタノール型燃料電池(DMFC, Direct Methanol Fuel Cell)と呼ばれている。
水素ガスは石油を改質することにより得られ、物質量当たりに含まれる化学エネルギー量が大きい。水素ガスを燃料として使用するPEFCにおける化学反応で発生するのは水のみである。従って、PEFCは、有害物質や地球温暖化の原因となっている二酸化炭素を発生しない。しかし、水素ガスは引火性が極めて高く、その取り扱いには厳重な注意が必要である。このため、水素ガス供給スタンドの建設は殆ど進まず、水素燃料電池は未だ実用段階には達していない。
一方、DMFCは液状のメタノールを燃料として使用する。メタノールは、安全性、貯蔵性及び取り扱い性に優れる。そのため、DMFCは、家庭用や産業用の比較的小出力規模の電源として期待されている。メタノール/酸素の燃料電池の熱力学的電池電圧は水素を燃料とするものとほぼ同じ1.2 V (25 ℃)であり、原理的には同様の特性が期待できる。
PEFCとDMFCは、2つの電極触媒層がプロトン導電性有機膜の両側を挟んだ構造を有する。また、2つの電極触媒層とは、陽極触媒層と負極触媒層である。各電極触媒層は、白金(Pt)系の触媒をカーボン(C)に担持させた触媒層を有している。そして、電極触媒層間に挟持されるプロトン導電性有機膜はプロトン導電性を有し、電解質層として機能する。
以下、PEFCにおける発電メカニズムについて概略的に説明する。
燃料となる水素ガスが陽極触媒層へ供給されると、白金系触媒により式(1)の反応が起こる。
H2 → 2H++2e- ・・・・・・(1)
式(1)の反応により得られたプロトンは、陽極触媒層と負極触媒層の間に挟持されたプロトン導電性有機膜を通じて負極触媒層側へと流れる。また、式(1)の反応により得られた電子は外部回路を通じて負極触媒層へ運ばれる。
負極触媒層では式(2)の反応によって水が生成される。
1/2O2 + 2H+ + 2e- → H2O ・・・・・・(2)
燃料電池全体としては式(3)に示される酸化還元反応が進行し、この時に外部回路を流れる電子を電子機器の電源に使用する。
H2 + 1/2O2 → H2O ・・・・・・(3)
陽極燃料として、炭化水素を改質して得られる水素ガスを使用する場合、陽極触媒層では式(4)で示すようにメタノール酸化反応の中間物である一酸化炭素(CO)が白金触媒表面に化学吸着し、Pt触媒の触媒機能を失活させる問題がある。この問題はPt触媒のCO被毒と呼ばれている。
Pt+CO → Pt-CO・・・・・・(4)
この問題を解決するため、陽極触媒層の触媒としては白金-ルテニウム(PtRu)からなる触媒が一般的に使用されている。Ruは親水性が高く、式(5)に示されるように水と反応してRu−OHを生成する。生成したRu−OHは式(6)に従ってPt上に吸着したCOにアタックし、速やかにCOに酸化する。このRuの添加によるPt触媒の劣化軽減機構は、Bi-functional mechanismと呼ばれている。これは渡辺らによって提唱されたものである(非特許文献1参照)。
Ru + H2O → Ru-OH + H+ + e- ・・・・・・(5)
Pt-CO + Ru-OH → CO2 + H+ + e- + Pt + Ru ・・・・・・(6)
また、Ptは極めて高価な貴金属であるため、最小限のPt使用量で最大限の電気出力を得ることが望まれる。特許文献1には、Pt触媒に非金属元素であるリン(P)を添加する技術が開示されている。これはP添加によってPt触媒を微細化して比表面積の増加させることによって触媒活性を高めるものである。
特開2006−134835号公報 M. Watanabe and S. Motoo, Electrocatalysis by Ad-atoms Part II. Enhancement of the Oxidation of Methanol on Platinum by Ruthenium Ad-atom, J. Electroanal. Chem. Interfacial Electrochem., 60, 267 (1975).
従来、PtP系触媒は、アルコール還元法或いは無電解メッキ法により合成される。アルコール還元法では、溶媒及び還元剤としてアルコールを使用するため、濾液を廃液する際に注意する必要がある。一方、無電解メッキ法では、反応水溶液のpH及び浴温度を厳密に管理する必要がある。また、アルコール還元法と無電解メッキ法では、全ての貴金属を担体上に還元析出させるのに2〜3時間かかるため、合成時間が長いという問題がある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、廃液処理の問題がなく、煩雑な浴管理を必要とせず、短時間でPtP系触媒を合成できるPtP系触媒の製造方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる燃料電池に使用されるPtP系触媒の製造方法は、少なくとも、担体を溶液に分散させるステップと、P供給源を前記溶液に添加するステップと、Pt供給源を前記溶液に添加するステップと、前記担体、前記P供給源、前記Pt供給源が予め添加された前記溶液に対して電子線を照射するステップと、を備える。
また、前記溶液のpHを調整するステップを更に備え、前記pHを調整するステップが、前記担体、前記P供給源、前記Pt供給源を添加するステップの後に設けられることが好ましい。
また、単位時間当たりの電子線量が0.01kGy/s以上10kGy/s以下であることが好ましい。
本発明にかかる燃料電池のPtP系触媒は、上述のいずれかの製造方法により製造される。
本発明にかかる燃料電池は、少なくとも、陽極と、負極と、前記陽極と前記負極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池であって、前記陽極及び/又は前記負極が上述の前記PtP系触媒を含む。
本発明にかかる膜電極接合体は、陽極触媒層と、負極触媒層と、前記陽極触媒層と前記負極触媒層との間に間挿された固体高分子電解質膜とからなる膜電極接合体であって、前記陽極触媒層及び/又は前記負極触媒層が上述の前記PtP系触媒を含む。
本発明によれば、廃液処理の問題がなく、煩雑な浴管理を必要とせず、短時間でPtP系触媒を合成できる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
はじめに本実施形態にかかる触媒が用いられる燃料電池について説明する。図1に、燃料電池の概略的な構成を示す模式図を示す。なお、通常の燃料電池は、燃料セル100が積層されることによって構成される。
図1に示すように、セル100は、紙面に向かって左から右へ、セパレータ1、集電層2、陽極触媒層3、高分子電解質膜(固体高分子電解質膜、プロトン導電性有機膜)4、負極触媒層5、集電層6およびセパレータ7を有する。燃料極触媒層(陽極)は、セパレータ1、集電層2および陽極触媒層3から形成される。酸素極触媒層(負極)は、負極触媒層5、集電層6およびセパレータ7から形成される。
通常、陽極触媒層3、高分子電解質膜4および負極触媒層5は熱圧着され、積層体として一体化される。以下、この積層体を膜電極接合体と呼ぶ。
セパレータ1は、導電性の薄層(カーボンシート、金属膜等)であって、膜電極接合体の左面上に形成される。セパレータ1は、複数の孔8を有する。燃料は、セパレータ1の孔8を介して膜電極接合体に導入される。燃料電池がPEFCである場合、燃料として水素ガスが用いられる。また、燃料電池がDMFCである場合、燃料として、メタノールと水の混合溶液が用いられる。
集電層2は、導電性の薄層(カーボンペーパー、カーボン布等)であって、陽極触媒層3の左面上に形成される。集電層2は、所定の厚みを有し、陽極触媒層3を支持する。集電層2は、燃料の通過経路を形成する共に、陽極触媒層3で生成する電子の移動経路を形成する。
陽極触媒層3は、PtP系触媒を担持したカーボン担体およびプロトン導電性高分子からなる薄層であって、高分子電解質膜4の左面上に形成される。
陽極触媒層3に含まれるカーボン担体はカーボンブラックで、カーボン担体は触媒で生成した電子を集電し、集電層2に電子を渡す。燃料電池がPEFCである場合、このカーボン担体に担持されたPtP系触媒の表面では次の式(1)の反応が起こる。また、燃料電池がDMFCである場合、カーボン担体に担持されたPtP系触媒の表面では次の式(7)の反応が起こる。
H2 → 2H++2e- ・・・・・・(1)
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- ・・・・・・(7)
高分子電解質膜4はフッ素樹脂系のプロトン交換膜である。高分子電解質膜4は水素イオン(プロトン)の透過性に優れている。上記の式(1)又は式(7)で生成した水素イオンは、陽極触媒層3から負極触媒層5に高分子電解質膜4を介して移動する。なお、高分子電解質膜4は陽極触媒層3で生成される電子を反対側へ透過させない。また、高分子電解質膜4は、上述の燃料を透過させない。
高分子電解質膜4としては、一般的にデュポン(E.I. DuPont de Namours and Company)社製のナフィオン(Nafion)(登録商標)膜が用いられる。ナフィオン膜はパーフルオロスルホン酸基を有している。パーフルオロスルホン酸基の水素原子はフッ素の高い電気陰性度により、プロトン(H)として容易にパーフルオロスルホン酸基から解離する。そのため、ナフィオン膜は高いプロトン導電性を有する。プロトン導電性が高いことは、同時にナフィオン膜が高い酸性を示すことを意味する。
負極触媒層5は、Pt触媒を担持したカーボン担体およびプロトン導電性高分子からなる薄膜であって、高分子電解質膜4の右面上に形成される。カーボン担体はいわゆるカーボンブラックである。
陽極触媒層3で生成した水素イオンは、高分子電解質膜4を介して負極触媒層5に供給される。陽極触媒層3で生成した電子は、集電層2、セパレータ1、負荷(図示省略)、セパレータ7、集電層6を介して負極触媒層5に供給される。負極触媒層5に含まれるPt触媒の表面では式(8)の反応が起こる。このように燃料側電極の陽極触媒層3で生成した電子は酸素側電極の負極触媒層5で消費される。
O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O ・・・・・・(8)
集電層6は、導電性の薄層(カーボンペーパー、カーボン布等)であって、負極触媒層5の右面上に形成される。集電層6は、所定の厚みを有し、負極触媒層5を支持する。セパレータ7から供給される電子は、集電層6を介して負極触媒層5に供給される。集電層6は、酸素の通過経路を形成すると共に、負極触媒層5で消費される電子の移動経路を形成する。
セパレータ7は、導電性の薄層(カーボンシート、金属膜等)であって、膜電極接合体の右面上に形成される。セパレータ7は、複数の孔9を有する。本実施形態では、酸素ガスを酸素源として用いる。酸素ガスはセパレータ7の孔9を介して膜電極接合体に導入される。また、セパレータ7は負荷を介してセパレータ1に接続される。従って、セパレータ7には負荷を介してセパレータ1にて生成された電子が供給される。
燃料電池がPEFCである場合、セル100では、全体として式(3)の酸化還元反応が起こる。また、燃料電池がDMFCである場合、セル100では、全体として式(9)の酸化還元反応が起こる。そして、セパレータ1とセパレータ7間には負荷が接続され、セル100は、その電源として機能する。
H2 + 1/2O2 → H2O ・・・・・・(3)
CH3OH + 3/2O2 → CO2 + 2H2O ・・・・・・(9)
より具体的には、燃料電池がPEFCである場合、水素ガス燃料がセパレータ1、集電層2を介して陽極触媒層3に導入される。そして、陽極触媒層3に含まれるPtP系触媒の表面では、上記した式(1)の反応が進行し、水素イオンと電子が生成する。また、燃料電池がDMFCである場合、メタノール燃料がセパレータ1、集電層2を介して陽極触媒層3に導入される。そして、陽極触媒層3に含まれるPtP系触媒の表面では、上記した式(7)の反応が進行し、水素イオンと電子が生成する。
水素イオンは高分子電解質膜4を介して陽極触媒層3から負極触媒層5に移動する。電子は集電層2およびセパレータ1を介して負荷(不図示)に供給される。
負極触媒層5には陽極触媒層3から高分子電解質膜4を介して水素イオンが供給される。また、負極触媒層5には陽極触媒層3で生成した電子が集電層2、セパレータ1、負荷(不図示)、セパレータ7および集電層6を介して供給される。負極触媒層5に含まれるPt触媒の表面では、上記した式(8)の反応が生じて水が生成される。このように、セル100は酸化還元反応から電気エネルギーを発生させる。
以下、図2を参照して、上述の陽極触媒層3及び負極触媒層5で使用するPtP系触媒の製造方法について具体的に説明する。
まず図2(a)に示すように、100mlのバイアル瓶15にイオン交換水50mlを入れる。
次に、図2(b)に示すように、イオン交換水にカーボン担体(担体)、P供給源及びPt供給源をこの順で添加する。これにより、イオン交換水にカーボン担体が分散され、P供給源及びPt供給源が溶解される。
カーボン担体としては、比表面積20m/g〜1000m/g程度のカーボンが適する。具体的には、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブなどが好適である。また、担体であるカーボンの酸化による触媒劣化を抑制するため、一部分がグラファイト化されSP2成分の多いカーボン担体を使用してもよい。なお、触媒粒子を担持する担体はカーボンに限定されるものではない。
P供給源としては、次亜リン酸又は次亜リン酸塩を使用することができる。次亜リン酸及び次亜リン酸塩に含まれるリン(P)は、Ptの結晶成長を抑止することにより、Pt触媒の粒径を微細化する。これによりPt触媒の比表面積を増加させることができ、触媒活性を高めることができる。
また、次亜リン酸及び次亜リン酸塩は、還元剤としても機能する。
Pt供給源としては、水溶性の前駆体として六塩化白金酸(HPtCl)、六塩化白金酸塩(KPtCl)、四塩化白金酸(HPtCl)および四塩化白金酸塩(KPtCl)等を用いるとよい。これらの白金塩は、単独で使用されてもよい。また、2種類以上の白金塩が併用されてもよい。
次に、pH調整剤を添加して、水溶液のpHを調整する。pH調整剤としては、水酸化ナトリウム水溶液などを用いることができる。一般的還元剤の還元作用は高pH領域で高まる。そのため、水溶液のpHは4以上に調整されることが好ましい。
次に、図2(c)に示すように、トレイ16にバイアル瓶15を載置する。
次に、図2(d)に示すように、電子線照射装置40にてバイアル瓶15に対して高強度の電子線を照射する。単位時間に照射する電子線の量は、0.01kGy/s以上10kGy/s以下が好ましい。また、0.1kGy/s以上5kGy/s以下がより好ましい。また、電子線の照射時間は、30秒以下であることが好ましい。溶液の温度上昇を抑えるため、電子線の照射時間は10秒以下であることがより好ましい。
電子線照射装置40の構成および動作について簡単に説明する。図2(d)に示すように、電子線照射装置40は電子線発生室20および照射室21を有する。また、電子線照射装置40はロータ23〜28およびベルト29からなる搬送機構を有する。なお、電子線発生室20と照射室21は金属薄膜31で隔てられている。
電子線発生室20内には、電子線発生源30が設けられる。照射室21には上述の搬送機構により被照射物が配置される。電子線発生源30から放出された電子は形成された電界に従って加速され、被照射物に照射される。このようにして被照射物に高強度の電子が照射される。
なお、還元反応を均一に行う必要性から、一度に被照射物の全体に電子線を照射させる照射方法が好ましい。
ここでは、バイアル瓶15が載置されたトレイ16を電子線照射装置40の搬送機構により照射室21の所定部分まで搬送する。そして、電子線発生源30により、バイアル瓶15の全体に対して電子線を照射させる。
電子線から直接的に電子が供給されることでバイアル瓶15内の液体中のPtイオンは瞬時に還元される。そして、カーボン担体にPt原子が析出する(次の式(10)参照)。
H2PtCl6+4e-=Pt+2H++6Cl- ・・・・・・(10)
次に図2(e)に示すように、バイアル瓶15内の溶液を洗浄、濾過する。そして、濾物(残渣)45をシャーレ46上に塗布し、ヒータ50内に配置して、濾物45を乾燥させる。
上述の手順により、本発明の実施の形態にかかるPtP系触媒が合成される。
本実施形態にかかるPtP系触媒の製造方法では、アルコールなどの有機溶媒を一切使用しない。そのため、濾液の廃液処理が簡便である。
表1に、種々の還元法においてPtイオンの還元に要する反応時間を比較して示す。アルコール還元法と無電解メッキ法では全てのPtイオンを還元するために要する時間は3時間であるが、電子線照射法ではその時間は10秒未満である。従って、電子線照射法では従来の還元法に比較して数千倍の極めて速い還元速度が得られる。このため、電子線照射法では他の還元方法と比較して極めて短時間でPtP系触媒を合成することが可能である。また、還元時間が極めて短時間であることから、pHや浴温度を長時間にわたって調整する必要がなく、簡便な合成方法を構築できる。
以下、実施例により上述の実施形態における説明を具体的に例証する。
[実施例1]
容積100mlのバイアル瓶にイオン交換水50mlを加え、カーボン担体(Ketjen black EC)を33.3mg添加し、超音波を印加してカーボン担体を分散させた。その後、次亜リン酸ナトリウムを25.0mmol添加した。次に、六塩化白金酸六水和物(HPtCl・6HO)12.5mmolを添加した。次に、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶液のpHを略4に調整した。次に、バイアル瓶をトレイに配置した。専用のコンベア(搬送機構)にトレイ載せ、電子線照射装置を用いて電子線照射を行った。照射時間は7秒、電子線の照射線量は21kGyであり、単位時間当たりの電子線量は3kGy/sであった。電子線照射終了後、触媒を濾過洗浄し、80℃のオーブン(ヒータ)で乾燥した。
[比較例1]
比較例1では、PtP触媒を無電解メッキ法によって合成した。300mlのイオン交換水にカーボン担体(Ketjen black EC)0.5gを添加し、超音波を印加してカーボン担体を分散させた。そして、カーボン担体を分散させたエチレングリコール溶液に、六塩化白金酸六水和物(HPtCl・6HO)1.69mmolを加えた後、緩衝材であるリン酸二水素ナトリウムを5.1mmol加え、撹拌した後、還元剤である次亜リン酸を3.4mmol加えた。その後、0.1規定の水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、溶液のpHを略8に調整した。その後、浴温度85℃でこの溶液を3時間撹拌し、PtP触媒をカーボン担体上に還元析出させた。反応終了後、触媒を濾過洗浄し、80℃のオーブン(ヒータ)で乾燥した。
LSV(Linear sweep voltammetry)により、合成されたPtP触媒の酸素還元活性を評価した。実施例1及び比較例1において合成したPtP触媒各50mgをNafion溶液(溶媒の組成は、イオン交換水:イソプロピルアルコール=1:3)中に分散させ、ペーストを作製した。このペースト30μlをマイクロピペットで回転電極上のグラシーカーボン電極上に塗布し、乾燥した。35℃、0.5mol/lの硫酸水溶液中に、当該回転電極、Ag/AgCl参照極、Au対極をセットした。そして、酸素ガス雰囲気下、1600rpmで酸素還元活性を評価した。
LSVの測定結果を図3に示す。図3から明らかなように、実施例1の電子線照射法によって合成したPtP触媒は、比較例1の無電解メッキ法により合成したPtP触媒と同等の酸素還元活性を有していることが分かる。なお、アルコール還元法によって合成されるPtP触媒は、無電解メッキ法により合成されるPtP触媒とほぼ同等の酸素還元活性を有する。
本実施形態にかかるPtP系触媒の製造方法は、少なくとも、担体を溶液に分散させるステップと、P供給源を前記溶液に添加するステップと、Pt供給源を前記溶液に添加するステップと、前記担体、前記P供給源、前記Pt供給源が予め添加された前記溶液に対して電子線を照射するステップと、を備える。
これにより、電子線照射によりPtイオンが還元されるため、還元剤としてアルコールなどの有機溶媒を用いる必要がない。そのため、濾液の廃液処理が簡便である。
また、照射時間は10秒未満で十分である。換言すれば、還元時間は10秒未満で十分であり、従来のアルコール還元法や無電解メッキ法よりも大幅に還元時間を短縮することができる。そのため、pHや浴温度を長時間にわたって調整する必要がなく、簡便な合成方法を構築できる。
また、溶液のpHを調整するステップを更に備え、pHを調整するステップが、担体、P供給源、Pt供給源を添加するステップの後に設けられる。
一般的に還元剤の還元作用は高pH領域において高い。従って、溶液のpHを調整することにより、還元剤の還元力を高めることができる。
さらに、単位時間当たりの電子線量が0.01kGy/s以上10kGy/s以下である。
これにより、電子線照射による急激な温度上昇を抑えることができる。
また、燃料電池のPtP系触媒は、上述の製造方法により製造されることが好ましい。これにより、廃液処理の問題がなく、煩雑な浴管理を必要とせず、短時間で燃料電池用のPtP系触媒を合成できる。
また、燃料電池の陽極及び/又は負極は、上述の製造方法により製造されたPtP系触媒を含むことが好ましい。これにより、廃液処理の問題がなく、煩雑な浴管理を必要とせず、短時間で燃料電池を製造できる。
また、膜電極接合体の陽極触媒層及び/又は負極触媒層が上述製造方法により製造されたPtP系触媒を含むことが好ましい。これにより、廃液処理の問題がなく、煩雑な浴管理を必要とせず、短時間で膜電極接合体を製造できる。
本発明の技術的な範囲は、上述の実施形態、実施例に限定されない。PtP系触媒に、他の元素を混合させることも可能である。また、PtP触媒の製造方法は、上述の方法に限定されるべきものではない。
燃料電池の構成を示す概略的な模式図である。 PtP触媒の製造方法を説明するための説明図である。 実施例1及び比較例1で合成されたPtP触媒のLSVによる酸素還元活性評価結果を示す図である。
符号の説明
1 セパレータ
2 集電層
3 陽極触媒層
4 高分子電解質膜
5 負極触媒層
6 集電層
7 セパレータ
8 孔
9 孔
15 バイアル瓶
16 トレイ
20 電子線発生室
21 照射室
29 ベルト
30 電子線発生源
31 薄膜
40 電子線照射装置
45 濾物
46 シャーレ
50 ヒータ
100 セル

Claims (6)

  1. 燃料電池に使用されるPtP系触媒の製造方法であって、少なくとも、
    担体を溶液に分散させるステップと、
    P供給源を前記溶液に添加するステップと、
    Pt供給源を前記溶液に添加するステップと、
    前記担体、前記P供給源、前記Pt供給源が予め添加された前記溶液に対して電子線を照射するステップと、
    を備えるPtP系触媒の製造方法。
  2. 前記溶液のpHを調整するステップを更に備え、
    前記pHを調整するステップが、前記担体、前記P供給源、前記Pt供給源を添加するステップの後に設けられる請求項1に記載のPtP系触媒の製造方法。
  3. 単位時間当たりの電子線量が0.01kGy/s以上10kGy/s以下である請求項1又は2に記載のPtP系触媒の製造方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか一項に記載の製造方法により製造された燃料電池のPtP系触媒。
  5. 少なくとも、陽極と、負極と、前記陽極と前記負極との間に間挿された固体高分子電解質膜を有する燃料電池であって、前記陽極及び/又は前記負極が請求項4に記載の前記PtP系触媒を含む燃料電池。
  6. 陽極触媒層と、負極触媒層と、前記陽極触媒層と前記負極触媒層との間に間挿された固体高分子電解質膜とからなる膜電極接合体であって、前記陽極触媒層及び/又は前記負極触媒層が請求項4に記載の前記PtP系触媒を含む膜電極接合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2014514451A (ja) * 2011-04-12 2014-06-19 コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート 酸化安定性に優れたコアシェル構造の金属ナノ粒子の製造方法
WO2019093765A3 (ko) * 2017-11-07 2019-06-27 광주과학기술원 자동차용 연료전지를 위한 다기능성 비백금 담지 촉매 및 그 제조 방법
CN110627030A (zh) * 2019-09-19 2019-12-31 西安交通大学 一种磷化铂纳米催化剂及其制备方法和在电催化氧还原中的应用

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