JP2007122920A - アルカリ電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルカリ電池の正極および負極間のセパレータでの酸化亜鉛の析出により生じる電池の内部短絡を抑制しその短寿命を防止する。
【解決手段】本発明のアルカリ電池では、そのゲル状亜鉛負極に炭素材料を含有させる。ここで、含有する炭素材料の量は、亜鉛合金粉末に対する質量比で20質量ppm〜5000質量ppmが好適であり、炭素材料として例えば黒鉛あるいは活性炭を用いると効果的である。
【選択図】なし

Description

本発明はアルカリ電池に関し、詳しくは無汞化亜鉛合金粉末を用いたゲル状亜鉛負極を備えたアルカリ電池に関する。
近年、使用済み電池による環境汚染が問題視されるようになってきたことから低公害化が社会的な要請となり、アルカリ電池に使用される亜鉛は無水銀化(無汞化亜鉛合金)されるようになった。しかし、この無汞化亜鉛合金をゲル状亜鉛負極に用いたアルカリ電池は、特定の負荷抵抗または特定の電流値の下で放電していると、そのアルカリ電池の放電容量が極端に低下する現象がある頻度で発生する。
この放電容量の低下は以下のようにして生じてくることが確認された。それは、ゲル状亜鉛負極のなかにおいて電子伝導性を有し樹枝状になった酸化亜鉛が、電池のセパレータ表面に析出し、さらに、その樹枝状に析出した酸化亜鉛がセパレータを貫通するようになり、電池の正極と負極とが前記酸化亜鉛により内部短絡し、セル内部で自己放電が起こってしまうためである。
そこで、前記内部短絡を防止するために、(1)セパレータを厚くして形成することで正極および負極間の距離を大きくし、前記酸化亜鉛のセパレータ貫通を起こり難くする方法、(2)セパレータに使用する繊維の径を小さくしセパレータの網目を緻密にして、正極および負極間の遮蔽効果を高める方法、等が検討されてきた(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−092411号公報
しかし、前記(1)の方法でセパレータを厚くしていくと電池内のゲル状亜鉛負極を充填できる容積が減少し、それに伴ってゲル状亜鉛負極の充填量が減少してくる。そのために、負極活物質になる亜鉛量が少なくなり放電容量の低下が不可避になるという問題があった。また、前記(2)の方法では、セパレータを構成する繊維の網目を緻密にしていくと、電池の内部抵抗が増大し電池性能の低下が生じてくるという問題があった。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、アルカリ電池の正極および負極間のセパレータにおいて酸化亜鉛の析出により生じる電池の内部短絡を防止し、アルカリ電池の短寿命を防止すると共にその放電容量を増大させることを目的とする。
本発明では、無汞化亜鉛合金粉末とゲル化剤およびアルカリ電解液を含むゲル状亜鉛負極を備えたアルカリ電池において、前記ゲル状亜鉛負極が炭素材料を含有する構成になっている。
本発明の好適な一態様では、前記炭素材料が黒鉛と活性炭のうちいずれか一方又は両方により構成される。
ここで、前記ゲル状亜鉛負極が含有する前記炭素材料量は、前記ゲル状亜鉛負極に含まれる亜鉛粉末の20質量ppm〜5000質量ppmの範囲にあることが好適である。
そして、本発明のゲル状亜鉛負極に用いられる前記亜鉛粉末は、インジウム0.01〜0.06質量%、ビスマス0.005〜0.02質量%、アルミニウム0.0035〜0.015質量%を含む亜鉛合金から成る。
アルカリ電池の放電において、前記ゲル状亜鉛負極に含有させた黒鉛、活性炭等の炭素材料が、ゲル状亜鉛負極の負極活物質である亜鉛合金が溶解して生成される水酸化亜鉛あるいは酸化亜鉛を吸着するようになる。そして、電池のセパレータ領域において酸化亜鉛等が析出し例えば樹枝状の亜鉛酸化物が形成されるのを抑制する。
本発明により、無汞化亜鉛合金をゲル状負極に用いたアルカリ電池において、その間欠放電時に酸化亜鉛の析出によって生じる電池の内部短絡が抑制され、アルカリ電池の短寿命は防止されると共にその放電容量は増大する。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明をいわゆるインサイドアウト構造(電池缶体が正極側、電池蓋側が負極側となっている構造)と呼ばれているJIS規格のLR6形(単3形)の電池に応用した例である。
図1において、アルカリ電池の正極端子を兼ねる有底円筒形の金属缶1の内部には、中空円筒状に成形された正極活物質を含有する正極合剤2が金属缶1の内面に接触するように収容されている。この正極合剤2の中空内部には有底円筒状のセパレータ3を介して、ゲル状亜鉛負極4が充填されている。そして、このゲル状亜鉛負極4には黄銅製の金属棒からなる負極集電棒5が挿着され、この負極集電棒5の一端はゲル状亜鉛負極4の表面から突出してリング状金属板7及び陰極端子を兼ねる金属封口板8に電気的に接続されている。そして、正極となる金属缶1内面と、負極集電棒5の突出部外周面には、二重環状のポリアミド樹脂からなる絶縁ガスケット6が配設され、これらは絶縁されている。また、金属缶1の開口部はかしめられて液密に封止されている。
以下に、本実施の形態で用いられる負極材料、セパレータ、正極合剤、及び電解液について詳細に説明する。
(負極材料)
本実施の形態で用いられるゲル状亜鉛負極4の負極材料は、負極活物質である亜鉛合金を主成分とし炭素材料を含有した負極材料であり、公知の二酸化マンガン−亜鉛一次電池で使用されている亜鉛ゲルに炭素材料を添加させたものである。この炭素材料の添加された亜鉛ゲルは、アルカリ電解液にゲル化剤(増粘剤)、炭素材料および亜鉛合金粉末を混合させることにより形成される。
本発明において用いられる前記炭素材料としては黒鉛あるいは活性炭が好ましい。更に、この炭素材料は粉末状にして使用すると好適である。ここで、粉末の平均粒径は例えば100μm〜200μmにする。
そして、好適な炭素材料の添加量は、前記亜鉛合金粉末に対する質量比で20質量ppm〜5000質量ppmの範囲が好適である。ここで、質量比が20質量ppm未満になると、前記樹枝状の亜鉛酸化物が吸着しきれないで、炭素材料添加による放電容量の低下の抑制効果が小さくなる。また、炭素材料の添加量が5000質量ppmを超えてくると亜鉛の自己溶解が進み易くなり、逆に放電容量が低下してくる。しかも、炭素材料の添加量がさらに増大すると、ガス発生が生じ易くなり、電池内部からの漏液などの弊害が生じる恐れがある。
そして、負極活物質である亜鉛合金には、無汞化亜鉛合金である水銀及び鉛を含まない次のような亜鉛合金が用いられる。すなわち、インジウム0.01〜0.06質量%、ビスマス0.005〜0.02質量%、アルミニウム0.0035〜0.015質量%を含む亜鉛合金であり、前記組成の亜鉛合金は水素ガス発生の抑制効果があり、前記インジウム、ビスマスは電池の放電性能を向上させる。その中でも、特にインジウム0.02質量%、ビスマス0.01質量%、アルミニウム0.01質量%を含む亜鉛合金が好適である。
前記亜鉛合金を負極活物質として用いると、亜鉛合金のアルカリ性電解液中での自己溶解速度は適宜な値になり、上述したような水素ガス発生が抑制されて、電池内部からの漏液などが防止される。
また、前記亜鉛合金の形状は、表面積を適宜に大きくして大電流放電にも対応できるような適当な粒径の粉末状にする。無汞化亜鉛合金粉末の好ましい粒径分布は、粉末の分級・配合により、例えば75μm以下の粒子の比率を適度に例えば10質量%以下になるように制御し、かつ、例えば425μmを超える粒子を除去する。このように亜鉛合金粉末の分級・配合を行い特定の粒径分布の亜鉛粉末原料とすることにより、アルカリ電池の高容量化および重負荷パルス特性が向上すると共に水素ガスの発生が抑止される。また、ゲル状亜鉛負極の充填作業性が向上する。ここで、無汞化亜鉛合金粉末は、その原料となる無汞化亜鉛合金をいわゆるアトマイズ法により粒子状にした後、JIS規格による所定のサイズを有する篩にかけることによって作製する。
そして、本実施の形態において用いられるゲル化剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、アルギン酸などを用いることができる。特に、ポリアクリル酸が、強アルカリに対する耐薬品性に優れているために好ましい。
(電解液)
本実施の形態で用いられる電解液は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ物質を電解質として用いた水溶液が好ましく、特に、水酸化カリウムを電解質として用いることが好ましい。また、前記水酸化カリウムなどの電解質を水に溶解して電解液とするが、さらに電解液中に亜鉛化合物を添加することが望ましい。かかる亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛などの化合物が挙げられるが、特に酸化亜鉛が好ましい。
電解液として前記亜鉛化合物を含有するアルカリ性水溶液を用いるのは、アルカリ性水溶液中での亜鉛合金の自己溶解が酸性系の電解液と比較して格段に少なく、更には亜鉛合金のアルカリ性電解液中での自己溶解を亜鉛化合物、例えば酸化亜鉛を溶解して亜鉛イオンを予め存在させておくことにより更に抑制するためである。
電解液の濃度は、7〜11mol/lの範囲とすることが、高い電気導電率を得るために最適である。
上述したようなゲル状亜鉛負極は、例えば図2に示す調製方法によって製造することができる。図2に示すように、水(HO)、防食剤として例えば酸化亜鉛(ZnO)、アルカリ性水溶液の電解質として例えば水酸化カリウム(KOH)をそれぞれに計量しステップS1の工程で、前記KOHおよびZnOを水中に溶解させて、アルカリ電解液を調製する。ここで、アルカリ電解液には、例えばKOH:40質量%,ZnO:4質量%が溶解される。
次に、ステップS2の計量・張込の工程において、前記アルカリ電解液を計量しその所定量を攪拌用容器に供給する。そして、ステップS3の計量の工程において、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、アルギン酸などのゲル化剤(増粘剤)を秤量し、これらを前記容器内に投入する。ここで、前記混合比は、アルカリ電解液が95〜98質量%であり、ゲル化剤が2〜5質量%で調製する。ここで、ゲル化剤としては、特に吸水性樹脂のポリアクリル酸塩が、強アルカリに対する耐薬品性に優れていることから好ましい。更には、粒状の架橋型ポリアクリル酸塩と非架橋型ポリアクリル酸塩の混合物がゲル化剤としては好適である。そして、前記粒状のゲル化剤の粒径は、ダマ発生を防止するために、100μm以下になるように分級・配合されることが好ましい。
そして、ステップS4の計量の工程において、上述した黒鉛あるいは活性炭等の炭素材料を計量し、これらを前記撹拌用容器内に投入しアルカリ電解液に混合させる。ここで、前記炭素材料の投入量は、後で混合することになる亜鉛合金粉末に対し上述したように適宜な質量比で行うとよい。
次に、ステップS5の撹拌の工程において、前記撹拌用容器内において一軸に回転駆動する例えばプロペラ型羽根を所定の速度で回転させ、所定の時間(例えば4時間程度)アルカリ電解液を撹拌し、前記ゲル化剤および炭素材料をアルカリ電解液内に混合させると共に、ゲル化剤にアルカリ電解液を含浸させる。このようにして、ゲル化剤によりアルカリ電解液はゲル状電解液になる。
そして、ステップS6の分級・配合の工程において、例えばインジウム、ビスマス、アルミニウム等の合金元素を含有する亜鉛合金粉末が、JIS規格の篩いを用いて分級・配合され、特定の粒径分布の亜鉛合金粉末が調製される。そして、この分級・配合された亜鉛合金粉末は、ステップS7の分散の工程において、ゲル状電解液中に分散・混合される。このようにして、本発明のアルカリ電池用の適宜な炭素材料を含有するゲル状亜鉛負極が製造される。
ゲル状亜鉛負極の製造方法は、上述したように、先ずゲル化剤および炭素材料を電解液に入れ攪拌により均一に分散させゲル状電解液を作製し、次いでゲル状電解液に亜鉛合金粉末を入れて混合させるウェットミックスの方法に限定されるものではない。その他に、先ずゲル化剤、炭素材料および亜鉛合金粉末を混合して乾式の粉体混合物を作製してから、次いで前記乾式混合物と電解液とを攪拌により混合するいわゆるドライミックスの方法であってもよい。
また、本発明の炭素材料は、前記黒鉛、活性炭に限らず、精製したコークス、有機物焼成体であってもよく、その種類あるいは形状には限定されない。いずれにしても、炭素材料は、負極活物質である亜鉛合金が溶解して生成される酸化亜鉛あるいは水酸化亜鉛を吸着するものであればよい。
(セパレータ)
本実施の形態で用いられるセパレータは、セルロース系繊維と、ポリビニルアルコール系繊維とからなっている。これらの繊維においては、セルロース系繊維が、アルカリ電解液との親和性がよいため、保液性を高めるために用いられ、一方、ポリビニルアルコール系繊維は、耐アルカリ性に優れており、セパレータ紙の基本骨格を形成するために用いられるもので、これらを併用することによって好適なセパレータが得られる。ここで、セルロース系繊維としては、セルロース繊維、アセチルセルロース繊維、マーセル化パルプ、レーヨン、ポリノジックレーヨンなどを単独でもしくは混合して用いることができる。また、ポリビニルアルコール系繊維(PVA系繊維)としては、ビニロン繊維、ポリビニルアルコール繊維などを単独でもしくは混合して用いることができる。
そして、これらのセルロース系繊維およびポリビニルアルコール系繊維をそれぞれ複数種混抄して製造したセパレータが好ましく、特にマーセル化パルプ、レーヨン、ビニロン、およびポリビニルアルコール繊維の混抄物が、セパレータ紙の保液性と強度とをバランスよく両立させることが可能になるという理由からもっとも好ましい。
また、前記繊維の構成比が、質量比で35:65〜75:25の範囲とすることが好ましい。さらに、これらの構成比は、50:50〜70:30の範囲が好適である。セルロース系繊維がこの範囲を上回ると、保液力が大きくなるものの、膨潤も合わせて過大となり、活物質を収容する電池の内容積が減少してしまう。一方、ポリビニルアルコール系繊維が、前記範囲を上回ると、保液力が低下し、内部電気抵抗が増加して電池容量の低下につながる。
本実施の形態においては、このセパレータ紙の保液率は、400〜600質量%の範囲が望ましい。この保液率が、この範囲を下回った場合、電池の内部抵抗が増加して、電池容量の低下につながる。一方、保液率が前記範囲を上回った場合、繊維の膨潤などにより電池内部の容積を過大に占めることになり、電池容量の低下に結びつく。
そして、これらのセルロース系繊維とポリビニルアルコール系繊維は、それぞれの繊維を混合して抄紙してもよいし、それぞれを個別に抄紙した後、張り合わせてもよい。そして、これらのセパレータ紙の最大気孔径は、10〜50μmの範囲が望ましい。最大気孔径がこの範囲を下回った場合、電解液の流通の抵抗となり、イオン電導性が低下して、電池の内部抵抗が増大し放電容量が低下する。一方、最大気孔径がこの範囲を上回った場合、活物質粒子が対極に移動しやすく、電気ショートの原因となり、電池寿命を低下させる。
このセパレータ紙を用いてセパレータとするには、セパレータ紙を捲回し、底部を接着して有底円筒状に形成する。この際、捲回セパレータ紙の側部を接着しても差し支えない。この接着は、セパレータ紙を成形した後熱接着してもよいし、また、接着剤を使用してもよい。接着剤を使用する場合には、耐薬品性のある接着剤である必要がある。
ここで、このセパレータ紙を捲回する際に、3重もしくは4重に重ね合わさるように捲回する必要がある。捲回数が2重以下の場合、活物質粒子移動防止の機能が発揮されず、電気ショートの原因となる。一方、捲回数が5重以上の場合、極間距離が大きくなり、内部抵抗が増加して好ましくない。
また、本実施の形態において捲回したセパレータの合計の厚さは、0.2〜0.4mmの範囲が好適である。このセパレータの合計厚さが、この範囲を下回った場合、セパレータ紙としては、機械的強度が十分ではなく、捲回作業が困難になる。一方、セパレータ厚さが前記範囲を上回った場合、電池の極間距離が増加して、内部抵抗が増加することになり好ましくない。
(正極合剤)
本実施の形態において、正極合剤は、従来の二酸化マンガンを主体とする正極合剤でもよいし、近年重負荷特性に優れている電池として知られているオキシ水酸化ニッケル系化合物を主体とする正極合剤であってもよい。
以下オキシ水酸化ニッケル系化合物を用いた正極合剤について説明する。正極合剤は、オキシ水酸化ニッケル化合物粒子からなる正極活物質、黒鉛からなる導電材、およびアルカリ電解液、また必要に応じてポリエチレン、ポリプロピレンなどのバインダなどを混合し、プレスにより、その外径が金属缶の内径にほぼ等しい中空円筒形状に成形して製造される。そして、成形された正極合剤は、正極活物質粒子、および導電材粒子が相互に結着し、粒子間の粒界には電解液が充填される。
また、正極活物質である前記オキシ水酸化ニッケル化合物は、水酸化ニッケルを一部酸化した化合物であり、ニッケル原子の価数が3価のγ−オキシ水酸化ニッケルでもよいし、水酸化ニッケルのニッケル原子の価数である4価のニッケル原子と、完全にオキシ水酸化物となっているニッケル原子の3価の中間的な価数を持っている化合物であってもよい。このオキシ水酸化ニッケル化合物粒子の表面は、オキシ水酸化コバルト、三酸化二コバルト、一酸化コバルト、水酸化コバルト、金属ニッケル、金属コバルトより選ばれる少なくとも一つの物質により被覆されている。
このオキシ水酸化ニッケル化合物粒子表面が電気伝導度の高い物質により被覆されることで、正極全体の電気伝導性が高まり、放電容量、高率放電特性を向上させる。これらの物質の内でも、オキシ水酸化コバルト、金属ニッケル、金属コバルトを用いることが、より導電性が高いという理由で好ましい。かかる被覆層の量は、正極活物質に対して、2〜6質量%の範囲が望ましい。被覆層の量がこの範囲を上回ると、コスト高の問題が生じ、またこの範囲を下回ると、集電性低下の問題が生じて好ましくない。
さらに、正極活物質であるオキシ水酸化ニッケル化合物自体が、亜鉛もしくはコバルト単独あるいはその両方と共晶しているものであってもよい。この正極活物質は低電解液比率でも安定した放電が行えるという特徴を有している。このオキシ水酸化ニッケル化合物に共晶させる亜鉛もしくはコバルトの量としては、4〜12%の範囲が好ましい。亜鉛の量がこの範囲を下回ると、利用率低下の問題が発生し、またこの範囲を上回ると、比重低下により容量密度が低下する問題があるからである。
また、前記オキシ水酸化ニッケル化合物の正極活物質に、Y、Er、Yb、Caの化合物を添加することにより、貯蔵時の容量維持率を改善することができる。本実施の形態において用いられる前記化合物としては、例えばY、Er、Yb、などの金属酸化物、およびCaFなどの金属フッ化物があげられる。これらの金属酸化物および金属フッ化物は、正極活物質であるオキシ水酸化ニッケル化合物に対して、0.1〜10質量%の範囲で用いることができる。金属酸化物もしくは金属フッ化物の配合量が前記範囲を下回った場合、十分な効果が得られない。一方配合量が前記範囲を上回った場合、容量低下の問題が発生し好ましくない。ここで、オキシ水酸化ニッケル化合物に金属酸化物あるいは金属フッ化物を添加するには、水性媒体に分散したニッケル水酸化物粒子に、前記金属酸化物粒子もしくは金属フッ化物粒子を添加することにより製造することができる。
前記正極活物質は、次の方法によって製造することができる。すなわち、亜鉛及びコバルトをドープした水酸化ニッケル粒子に、水酸化コバルトを添加し、大気雰囲気中で攪拌しながら水酸化ナトリウム水溶液を噴霧する。引き続きマイクロウェーブ加熱を施すことにより水酸化ニッケル表面にコバルト高次酸化物の層が形成された複合水酸化ニッケル粒子が生成する。
そして、この反応系に次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を添加して酸化を進め、コバルト高次酸化物が被着した複合オキシ水酸化ニッケルを製造することができる。これによって導電性が極めて優れた正極活物質を得ることができる。
また、前記正極合剤中に炭素粒子を配合し導電性を改善する。炭素粒子として、平均粒径が5〜40μmの黒鉛を用いる。その理由は、平均粒径が、この範囲を下回った場合には、本来黒鉛が持っている正極合剤成分を結着する能力が低下し、成形した正極合剤の強度が低下して電池製造の作業性に問題があるばかりでなく、正極合剤の導電性が低下するからである。一方、黒鉛の平均粒径が前記範囲を上回った場合、活物質の粒子と比較して径が大きくなるため、導電性が低下するからである。
そして、本実施の形態においては、前記正極合剤中のかかる黒鉛粒子の含有量を10質量%以下とすることが望ましい。正極合剤中の黒鉛粒子の含有量を大きくしすぎると、限られた金属缶の容積中に充填することのできる正極活物質自体が減少することと、黒鉛粒子が酸化されて生じる炭酸イオンが自己放電を加速して、放電容量を減少させるからである。
そのためには、正極合剤中の炭素粒子の含有量は、10質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以下である。
以下に本発明の実施例について説明し、本発明の効果について具体的に示す。以下の実施例では、亜鉛ゲルに添加する炭素材料を種々に変えてそれぞれ異なるゲル状亜鉛負極を調製し、この異なるゲル状亜鉛負極を用いて単3形アルカリ電池を製造した。このアルカリ電池の製造においては、ゲル状亜鉛負極の調製以外は同じにしている。
(負極の作製)
[実施例1〜7]
ゲル状亜鉛負極は図2で説明した手順に従って製造した。ゲル状電解液の調製において、水酸化カリウム水溶液と酸化亜鉛から構成されたアルカリ電解液(40質量%のKOH、4質量%のZnO)100gに対して、ゲル化剤Aを2g、ゲル化剤Bを0.2g混合させ、最終的に300gのゲル状亜鉛負極を調製/製造した。ここで、ゲル化剤Aは、25℃における40質量%水酸化カリウム水溶液中の0.5質量%水溶液の分散粘度が63Pa・s(BH型粘度計による計測値)であり、その粒径が10μm〜110μmを主として平均粒径70μmの架橋ポリアクリル酸塩である。そして、ゲル化剤Bは、25℃における40質量%水酸化カリウム水溶液中の0.5質量%分散粘度が0.3pa・s(ビスメトロンVS−1H型粘度計による計測値)であり、その粒径が100μm以下で平均粒径20μmの鎖状ポリアクリル酸塩である。
そして、実施例1〜実施例7では、前記アルカリ電解液に、人造黒鉛を次に述べる亜鉛合金粉末に対して、前記実施例番号の順に10質量ppm、20質量ppm、200質量ppm、2000質量ppm、5000質量ppm、10000質量ppm、20000質量ppmの比率になるように添加した。ここで、人造黒鉛の粒径は主に100μm〜200μm範囲にある。そして、前記亜鉛合金粉末は、インジウム0.02質量%、ビスマス0.01質量%、アルミニウム0.01質量%を含む亜鉛合金をアトマイズ法で粒子状にしたものである。その粒径は、JIS規格のサイズの網目を有する篩により、亜鉛合金粉末の例えば75μm以下と425μmを超えるものを篩い分けて除去し、別途篩い分けし分級した75μm以下の亜鉛合金の粒子の比率が7質量%以下であり、かつ、106μm以下の粒子の比率が22〜40質量%の範囲になるように配合した。
[実施例8〜14]
ゲル状亜鉛負極の製造において、炭素材料を活性炭にした点以外は前記実施例1〜7の場合と同一とした。ここで、活性炭は二村化学工業社製の太閤A(商標名)である。実施例8〜14の順に、前記亜鉛合金粉末に対して、活性炭を10質量ppm、20質量ppm、200質量ppm、2000質量ppm、5000質量ppm、10000質量ppm、20000質量ppmの比率になるように上述したアルカリ電解液に添加した。
[実施例15〜21]
同様にゲル状亜鉛負極の製造において、炭素材料を人工黒鉛と活性炭の炭素混合物(混合比が1:1)とした点以外は前記実施例1〜7の場合と同一である。ここで、活性炭は二村化学工業社製の太閤A(製品名)である。実施例15〜21の順に、前記亜鉛合金粉末に対して、炭素混合物を10質量ppm、20質量ppm、200質量ppm、2000質量ppm、5000質量ppm、10000質量ppm、20000質量ppmの比率になるように上述したアルカリ電解液に添加した。
[比較例]
従来技術の方法で作製するゲル状亜鉛負極であって、前記ゲル状電解液に炭素材料を添加しないゲル状亜鉛負極を製造した。ここで、その他の条件は実施例と全く同一である。
(正極の作製)
オキシ水酸化コバルトにより被覆されたオキシ水酸化ニッケル粉末90質量%に対して、黒鉛粉末5.4質量%を10分間混合し、これに、40質量%濃度の水酸化カリウム水溶液4.6質量%を添加し、汎用混合器で30分間混合し、混合粉末を得た。これを中空円筒状に加圧成形し、正極合剤ペレットを得た。
(セパレータの作製)
セルロース系繊維とポリビニルアルコール系繊維を、質量比で35:65の割合で混合し、抄紙して、厚さ0.1mmのセパレータ紙を作製した。このセパレータ紙の保液率を測定した結果、403質量%であった。また、最大気孔径は、30μmであった。
このセパレータ紙を、3重に捲回し、底部に厚さ0.3mmの円形のセパレータ紙を接着して、有底円筒状のセパレータを作製した。この捲回部の厚さは0.3mmであった。
(電池の組立)
図1において、金属缶1内には円筒状に加圧成形した正極合剤ペレットを3個積み重ねた状態で、再度加圧成形し正極合剤2を充填した。また、正極合剤2の中空部には、前記方法によって得た有底円筒状のセパレータ3を介して前記方法で製造した22種類のゲル状亜鉛負極をそれぞれに充填し、それぞれ異なるゲル状亜鉛負極4を形成した。ゲル状亜鉛負極4内には真鍮製の負極集電棒を、その上端部をゲル状亜鉛負極4より突出するように挿着した。負極集電棒5の突出部外周面及び金属缶1の上部内周面には二重環状のポリアミド樹脂からなる絶縁ガスケット6を配設した。また、絶縁ガスケット6の二重環状部の間にはリング状金属板7を配設し、かつ金属板7には負極端子を兼ねる帽子形の金属封口板8が集電棒5の頭部に当接するように配設した。そして、金属缶1の開口縁を内方に屈曲させることにより絶縁ガスケット6および金属封口板8で金属缶1内を密封口した。このようにして22種類の異なるゲル状亜鉛負極4を有する22種類の単3形アルカリ電池を試作品として組み立てた。
(評価)
上述したように、比較例も含めて前記実施例で作製した22種類のゲル状亜鉛負極を用い、それぞれのゲル状亜鉛負極に対してアルカリ電池を作製した。そして、これらの電池について、3.9Ωの抵抗負荷の下に1日に5分間の放電を行い、0.9Vまでの放電持続時間を計測し、アルカリ電池の放電容量について評価した。ここで、放電持続時間は、電池の作製時点(初度)、電池の作製後20日間にわたり一定温度60℃で保管した後(60℃−20days)から、それぞれ20個の電池について計測しその平均値を表1に示している。
Figure 2007122920
表1に示した結果から次のことが判る。(1)炭素材料(黒鉛、活性炭)の添加(特に20質量ppm以上)により放電持続時間が増大する。(2)炭素材料の添加の効果は黒鉛、活性炭によらない。(3)炭素材料の添加量は、20質量ppm〜5000質量ppmの範囲が好適である。
前記(1)については、比較例と実施例1〜7、実施例8〜14、実施例15〜21における前記初度、60℃−20daysでの放電持続時間の比較から明らかである。前記(2)については、実施例群(実施例1〜7)と実施例群(実施例8〜14)との間の比較から明らかなように、前記初度、60℃−20daysでの放電持続時間は炭素材料の添加量により決まり、その種類にはほとんど依存しない。(3)については、60℃−20daysでの放電持続時間において明らかなように、放電持続時間は、炭素材料が20質量ppm以上になると急増し、5000質量ppmを超えると急減する。そして、初度での放電持続時間についてみると、放電持続時間は、炭素材料が20質量ppm以上になると急増するが、2000質量ppmを超えるとその値は徐々に減少するようになる。
このように、ゲル状亜鉛負極に炭素材料を含有させることで、アルカリ電池の性能が向上する。しかも、その添加量は、亜鉛合金粉末に対する質量比で20質量ppm〜5000質量ppmが好適になる。ここで、この炭素材料としては、その他に、精製したコークス、セルロース等を焼成した有機物焼成体等であってもよいことが確かめられている。
本発明においてゲル状亜鉛負極に添加する炭素材料は、電池の放電時に生成される酸化亜鉛あるいは水酸化亜鉛をその表面に吸着してしまい、セパレータ表面に樹枝上の酸化亜鉛が析出するのを阻止するようになる。
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではない。この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。本発明は、上述したような、ゲル化剤、亜鉛合金、アルカリ電解液、セパレータ、および正極合剤に限定されるものではなく、他の種類のものであっても全く同様に適用できるものである。
本発明の実施の形態におけるアルカリ電池の断面図である。 本発明の実施の形態におけるゲル状亜鉛負極の製造流れ図である。
符号の説明
1 金属缶
2 正極合剤
3 セパレータ
4 ゲル状亜鉛負極
5 負極集電棒
6 絶縁ガスケット
7 リング状金属板
8 金属封口板

Claims (4)

  1. アルカリ電池の負極を構成するゲル状亜鉛負極が炭素材料を含有することを特徴とするアルカリ電池。
  2. 前記炭素材料が黒鉛と活性炭のうちいずれか一方又は両方により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ電池。
  3. 前記ゲル状亜鉛負極が含有する前記炭素材料の量は、前記ゲル状亜鉛負極に含まれる亜鉛粉末の20質量ppm〜5000質量ppmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリ電池。
  4. 前記亜鉛粉末が、インジウム0.01〜0.06質量%、ビスマス0.005〜0.02質量%、アルミニウム0.0035〜0.015質量%を含む亜鉛合金から成ることを特徴とする請求項1,2又は3に記載のアルカリ電池。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009035647A (ja) * 2007-08-02 2009-02-19 Daiso Chemical Co Ltd 粉塵飛散抑制剤および粉塵処理方法

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