JP2007119511A - スルホン化芳香族ブロック共重合体の製造方法およびそれから得られるスルホン化芳香族ブロック共重合体 - Google Patents

スルホン化芳香族ブロック共重合体の製造方法およびそれから得られるスルホン化芳香族ブロック共重合体 Download PDF

Info

Publication number
JP2007119511A
JP2007119511A JP2005309331A JP2005309331A JP2007119511A JP 2007119511 A JP2007119511 A JP 2007119511A JP 2005309331 A JP2005309331 A JP 2005309331A JP 2005309331 A JP2005309331 A JP 2005309331A JP 2007119511 A JP2007119511 A JP 2007119511A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
block copolymer
prepolymer
sulfonated
sulfonic acid
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005309331A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4892926B2 (ja
Inventor
Tetsuharu Hirano
徹治 平野
Shinji Kuno
信治 久野
Tatsuya Arai
竜哉 新井
Masayuki Kiuchi
政行 木内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority to JP2005309331A priority Critical patent/JP4892926B2/ja
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to PCT/JP2006/304067 priority patent/WO2006093257A1/ja
Priority to EP20110003542 priority patent/EP2362472B1/en
Priority to EP20110003543 priority patent/EP2362473B1/en
Priority to EP06715150A priority patent/EP1855339B1/en
Priority to US11/885,598 priority patent/US20080171252A1/en
Priority to EP20110003544 priority patent/EP2355218B1/en
Publication of JP2007119511A publication Critical patent/JP2007119511A/ja
Priority to US13/410,938 priority patent/US9005843B2/en
Priority to US13/410,992 priority patent/US8710176B2/en
Priority to US13/411,093 priority patent/US20120164557A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4892926B2 publication Critical patent/JP4892926B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】 安価で耐久性があり、かつ高いプロトン伝導性を保持したスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法とそれから得られるブロック共重合体を提供すること。
【解決手段】 スルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体において、スルホン酸基がカリウム塩である親水性セグメントのプレポリマーと疎水性セグメントのプレポリマーとをブロック化反応させることを特徴とする、スルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体の製造方法およびそれらか得られるブロック共重合体に関する。
本発明の製造方法により合成されるスルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体からなる高分子電解質およびその電解質膜は、優れたプロトン伝導性を有することから、燃料電池に好適に使用される。
近年、環境問題への対応として、燃料電池への期待が大きく高まり、特にプロトン伝導性の高分子電解質膜を用いた高分子型燃料電池は、低温で作動することが可能であり、また、小型軽量化の可能性があることから期待されている。高分子型燃料電池用の高分子電解質としては、例えばナフィオン(Nafion、デュポン社の登録商標。以下同様)に代表される超強酸基含有フッ素系高分子が知られている。しかし、超強酸基含有フッ素系高分子はフッ素系のポリマーであるため非常に高価であり、また、耐熱性が比較的低く、かつ、アルコールの透過性が大きい、合成時および廃棄時に環境への配慮が必要となる欠点を有している。
超強酸基含有フッ素系高分子が高価であり、耐熱性が比較的低く、また、アルコールの透過性が大きい問題に対し、より安価な非フッ素系高分子をベースとした高分子電解質膜について、既に多くの提案がなされている。特に、高分子電解質膜の耐久性、耐熱性、コストの点から、炭化水素系のスルホン化ポリアリールエーテルからなる高分子電解質が好ましく、特に、プロトン伝導性、耐水性、コストの点からスルホン酸基を含有する親水性セグメントと実質的にスルホン酸基を有さない疎水性セグメントからなるポリアリールエーテル系ブロック共重合体からなる電解質が好ましい。このような高分子電解質膜としては、例えば、特開2001−250567号公報(特許文献1)、特開2002−260687号公報(特許文献2)、特開2003−31232号公報(特許文献3)、特開2004−190002号公報(特許文献4)、特開2004−190003号公報(特許文献5)、特開2004−346305号公報(特許文献6)、特開2005−126684号公報(特許文献7)、特開2005−139432号公報(特許文献8)などが開示されている。特に、特開2003−31232号公報(特許文献3)などに例示されているような、両セグメントがポリアリールエーテルスルホン系あるいはポリアリールエーテルケトン系であり、両セグメント間を結合する特別な連結基を有しておらず、また、カップリング反応のような金属錯体を使う反応を用いずに合成されたものが耐熱性、耐久性およびコストの点から好ましい。特に、スルホン酸基含有ジクロリド化合物を原料として親水性セグメントのプレポリマーを合成し、別途、合成された疎水性セグメントプレポリマーとエーテル交換反応を利用してブロック共重合体を合成することが、より低コストとなることから好ましい。
特開2003-206354号公報(特許文献9)に、エーテル交換反応を用いたポリアリールエーテルスルホンブロック共重合体の製造方法が開示されているが、親水性セグメントのプレポリマーとして、スルホン酸基を有さないものに関してであり、スルホン酸基を有する親水性セグメントのプレポリマーを用いた、エーテル交換反応によるブロック共重合体の合成方法に関しては、具体的に記載されていない。
スルホン酸基含有ポリアリールエーテルスルホンあるいはポリアリールエーテルケトンの合成に用いられているスルホン酸基含有ジハライド化合物として、ハロゲン元素がフッ素と塩素のものが主に用いられている。しかし、ハロゲンがフッ素のスルホン酸基含有ジハライド化合物は高価である。これまで、スルホン化ポリアリールエーテルスルホンの合成に、具体的に用いられているスルホン酸基含有ジクロリドのアルカリ金属塩は、ほとんどがナトリウム塩であった。しかし、スルホン酸基含有ジクロリドのナトリウム塩を用いて、スルホン酸基がナトリウム塩となっている親水性セグメントのプレポリマーを合成し、それを用いてブロック化反応を試みても、エーテル交換反応によるブロック共重合体の合成ができない問題があった。

特開2001−250567号公報 特開2002−260687号公報 特開2003−31232号公報 特開2004−190002号公報 特開2004−190003号公報 特開2004−346305号公報 特開2005−126684号公報 特開2005−139432号公報 特開2003-206354号公報
本発明の目的は、安価で耐久性があり、かつ高いプロトン伝導性を保持したスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法とそれから得られるブロック共重合体を提供することにある。
すなわち、本発明は、化学式(1)、
Figure 2007119511
[ここで、DはSO2またはCOを示し、Ar1は含まれる全ての芳香環に電子吸引基が結合した二価の芳香族残基を示す。]
の構造単位を含有する疎水性セグメントと、化学式(2)
Figure 2007119511
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Ar2は二価の芳香族残基を示す。]
の構造に、スルホン酸基あるいはその誘導体が導入された構造単位を有する親水性セグメントからなるスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体において、
スルホン酸基がカリウム塩である親水性セグメントのプレポリマーと疎水性セグメントのプレポリマーとをブロック化反応させることを特徴とする、スルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法に関する。
また、本発明は上記の親水性セグメントのプレポリマーにおいて、末端基の水酸基がカリウム塩の形で反応をさせることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法に関する。
また、本発明は上記のスルホン酸基を有する親水性セグメントのプレポリマーの合成に、
Figure 2007119511
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、pおよびqは、独立して0、1、2の整数を示し、p+q≧1である。]
の構造式で示される二価のスルホン化芳香族ジクロリド化合物のカリウム塩を用いることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法に関する。
また、本発明は上記の親水性セグメントのプレポリマーが、化学式(4)

Figure 2007119511
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、pおよびqは、独立して0、1、2の整数を示し、p+q≧1である。また、Ar2は二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[A]と化学式(5)
Figure 2007119511
[ここで、D3はSO2またはCOを示し、Ar3は二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[B]からなり、その重量比[A]/[B]が、10/0から1/9の範囲であることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法に関する。
また、本発明は上記の化学式(1)から(5)のD、DおよびDがSO2であることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテルスルホン系ブロック共重合体の製造方法に関する。
また、本発明は上記の疎水性セグメントのプレポリマーが、化学式(6)
Figure 2007119511
[ここで、DはSO2またはCOを示し、mは3から1500の整数を示す。]
で表されるポリアリールエーテルスルホンであることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテルスルホン系ブロック共重合体の製造方法に関する。
また、本発明は上記の方法により製造されたスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体を、さらにスルホン化することを特徴とする高スルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法に関する。
また、本発明は上記の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体に関する。
また、本発明は上記のスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体を用いたプロトン伝導体に関する。
本研究者らは前述の問題について鋭意検討を重ねた結果、安価なスルホン化芳香族ジクロリド化合物を用いて合成された親水性セグメントのプレポリマーでも、スルホン酸基がカリウム塩である親水性セグメントのプレポリマーを使用することにより、疎水性セグメントのプレポリマーとのブロック化反応が進行し、スルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体が得られることを見出し、本発明に到達した。
本発明の親水性セグメントのプレポリマーは、スルホン酸基含有芳香族ジハライドのナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩と二価フェノール化合物との求核置換反応により合成される。このとき用いられるスルホン酸基含有芳香族ジハライドは、例えば、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3−スルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3−スルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルケトン、3−スルホ−4,4’−ジクロロジフェニルケトン、3−スルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルケトンなどを挙げることができ、反応性の点から、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3−スルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3−スルホ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホンが好ましく、さらにコストの点から、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、3−スルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンが最も好ましい。これらのスルホン酸基含有芳香族ジハライド化合物は、単独で用いられても良く、また、2種類以上用いられても良い。また、スルホン酸基と塩を形成するアルカリ金属としては、上記のものが挙げられる。このうち、後から置換しなくても良いことから、カリウムが最も好ましい。
本発明において親水性セグメントのプレポリマーの合成に用いられる二価フェノールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、2,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼンなどを挙げることができ、後述するブロック共重合体の合成反応およびブロック共重合体を合成後、さらにスルホン化可能なことから、芳香環にスルホン、ケトンなどの電子吸引基が結合していないものが好ましい。そのような化合物として、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、2,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼンなどを挙げることができる。これらの二価フェノールは、単独で用いられても良く、また、2種類以上用いられても良い。
本発明においては、スルホン酸基含有芳香族ジハライド化合物以外に、スルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド化合物を用いることができ、例えば、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、ビス(4−ブロモフェニル)スルホン、ビス(4−ヨードフェニル)スルホン、ビス(2−クロロフェニル)スルホン、ビス(2−フルオロフェニル)スルホン、ビス(2−メチル−4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−クロロフェニル)ケトン、ビス(4−フルオロフェニル)ケトン、ビス(4−ブロモフェニル)ケトン、ビス(4−ヨードフェニル)ケトン、ビス(2−クロロフェニル)ケトン、ビス(2−フルオロフェニル)ケトン、ビス(2−メチル−4−クロロフェニル)ケトン、などを挙げることができ、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いても良い。これらのなかで、好ましくは、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、ビス(4−クロロフェニル)ケトン、ビス(4−フルオロフェニル)ケトンを挙げることができ、特に好ましくは、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホンを挙げることができる。また、必要ならば、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,6−ジフルオロベンゾニトリルを用いても良い。これらのスルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド化合物と、前述のスルホン酸基含有芳香族ジハライド化合物のモル比は、0:10から9:1の範囲で用いられることが好ましく、0:10から8:2の範囲が更に好ましく、0:10から7:3の範囲が特に好ましく、0:10から6:4の範囲が最も好ましい。スルホン酸基含有芳香族ジハライド化合物が1より少ないと、プロトン伝導性が低くなることから好ましくない。
さらに、プレポリマーを合成してから、スルホン化することによりスルホン酸基を導入する場合は、スルホン酸基含有芳香族ジハライド化合物を用いる必要はなく、上記のスルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド化合物と電子吸引基が芳香環に結合していない二価フェノールとから合成することも可能である。
本発明において、親水性セグメントのプレポリマーの合成は、公知の求核置換反応によるポリアリールエーテルの合成方法を用いることができる。例えば、高分子学会、「新高分子実験学3 高分子の合成・反応(2) 縮合系高分子の合成」、共立出版、東京、1996年やR.N.Johnson 他,J.Polym.Sci.,A−1,Vol.5,2375(1967)や特公昭46−21458号公報に開示されているように、二価フェノール化合物のジアルカリ金属塩と上記芳香族ジハライド化合物との反応によって合成することが可能である。例えば、
1)芳香族ジハライド化合物、二価フェノール、アルカリ金属炭酸塩を、合成溶媒と生成水を共沸除去するための炭化水素系溶媒に混合する。
2)攪拌しながら加熱し、炭化水素系溶媒の還流下に生成水を除去する。
3)生成水の除去後、炭化水素系溶媒を除去しながら、あるいは、炭化水素系溶媒を除去後、さらに加熱、攪拌する。
ことにより合成することができる。このとき、2)の炭化水素系溶媒の還流工程は、100℃から170℃の範囲で、1時間から48時間の範囲で行われ、3)のさらなる攪拌、加熱は、140℃から220℃の範囲で、0.5時間から72時間の範囲で行われる。また、生成プレポリマーの合成溶媒に対する濃度は、生成プレポリマーと合成溶媒の重量を1としたとき、生成プレポリマーの重量が0.05から0.4の範囲が好ましく、0.07から0.35の範囲が更に好ましく、0.08から0.32の範囲が特に好ましく、最も好ましいのは0.1から0.3の範囲である。生成プレポリマーの重量が0.05より小さいと多量の溶媒が必要となることから好ましくなく、一方、0.4より大きいと目的とする反応が進行し難くなる事から好ましくない。
本発明において、二価フェノールの水酸基をアルカリ金属塩にするために、用いられるアルカリ金属炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどを挙げることができるが、あとからカリウム塩に置換する必要がないことから、炭酸カリウムが好ましい。二価フェノールと芳香族ジハライド化合物の仕込み量は、後からのブロック化反応を行わせるために、水酸基末端となるように調整される必要がある。二価フェノールと芳香族ジハライド化合物のモル比は、1.07:1から1.001:1の範囲であることが好ましく、1.05:1から1.0015:1の範囲が更に好ましく、1.03:1から1.002:1の範囲が特に好ましい。二価フェノールのモル比が、芳香族ジハライド化合物に対して1.07より大きくなると最終ブロック共重合体の機械的強度が低くなることから好ましくなく、1.001より少ないと、引き続くブロック化反応が進行しにくくなることから好ましくない。
本発明において、合成溶媒として用いられるものは、生成プレポリマーを溶解するものであり、例えば、ジメチルスルホキシド,スルホラン,N-メチル-2-ピロリドン,1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン,N,N-ジメチルホルムアミド,N,N-ジメチルアセトアミド,ジフェニルスルホンなどの極性溶媒を挙げることができる。また、生成水の共沸除去のために添加される炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤や、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水素溶剤を挙げることができる。
なお、スルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド化合物と二価フェノールから親水性セグメントのプレポリマーの未スルホン化物を合成した場合、後述するスルホン化方法で、スルホン化することにより、親水性セグメントのプレポリマーを合成することができる。このとき、スルホン化された親水性セグメントのプレポリマーは、硫酸溶液から単離された後、スルホン酸基をカリウム塩に置換する必要がある。この置換の方法は、特に限定されないが、例えば、単離されたスルホン化プレポリマーを、0.1重量%から20重量%の範囲の水酸化カリウムや炭酸カリウム水溶液に、10℃から80℃の範囲で、0.5分から48時間浸漬することで達成される。
本発明の親水性セグメントのプレポリマーは、化学式(7)
Figure 2007119511
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Ar2は二価の芳香族残基を示し、aは、20から1000の整数を示す。]
で表される構造からなるものであり、スルホン酸基は、芳香環に直接結合したものである。
より好ましくは、化学式(8)

Figure 2007119511
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Ar2は二価の芳香族残基を示し、aは、20から1000の整数を示す。pおよびqは、独立して0、1、2の整数を示し、p+q≧1である。]
の構造を有するものである。特に好ましくは、D2がSO2であるポリアリールエーテルスルホンのものである。
本発明において、親水性セグメントのプレポリマーのスルホン酸基がカリウム塩の状態で、濃度0.5g/dl、温度25℃の時の溶液粘度(還元粘度)が、0.3dl/g〜2.5dl/gの範囲にあることが好ましく、0.35dl/g〜2.3dl/gの範囲にあることが更に好ましく、0.4dl/g〜2.0dl/gの範囲にあることが特に好ましい。溶液粘度が、0.3dl/gより小さいと得られるブロック共重合体の物性が低下することから好ましくなく、2.5dl/gより大きいと、後のブロック化反応が困難となることがあり好ましくない。
本発明で用いられる疎水性セグメントのプレポリマーは、上記の親水性セグメントのプレポリマーと同様な方法で合成することができ、このとき用いられる二価フェノールと芳香族ジハライド化合物とは、前述の二価フェノールとスルホン酸基を含有しない芳香族ジハライド化合物を具体的に挙げることができる。ブロック共重合体を合成後、さらにスルホン化しない場合は、疎水性セグメントの合成に用いられる二価フェノールは特に限定はされないが、ブロック共重合体の合成し易さや、ブロック共重合体を合成後、さらに親水性セグメントをスルホン化することがあることから、二価フェノールの全ての芳香環が、電子吸引基と結合していることが好ましい。このような二価フェノールとしては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトンを挙げることができる。また、芳香族ジハライド化合物としては、プレポリマーの合成のし易さから、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホンを挙げることができる。二価フェノールと芳香族ジハライド化合物とのモル比は、1.05:1から1:1.05の範囲が好ましく、1.04:1から1:1.04の範囲が更に好ましく、1.03:1から1:1.03の範囲が特に好ましい。二価フェノールと芳香族ジハライド化合物とのモル比は、1.05:1から1:1.05の範囲を外れると、電解質膜の強度が低くなることから好ましくない。なお、水酸基末端を有する親水性セグメントのプレポリマーを用いたエーテル交換反応を利用してブロック化を行うことから、疎水性セグメントの末端基の構造は、特に制限されない。従って、疎水性セグメントのプレポリマーは、市販のポリマーを用いることも可能であり、例えば、化学式(7)
Figure 2007119511
で表される構造単位からなる市販のポリエーテルスルホンを用いることが可能である。
本発明において、疎水性セグメントのプレポリマーは、濃度0.5g/dl、温度25℃の時の溶液粘度(還元粘度)が、0.3dl/g〜2.5dl/gの範囲にあることが好ましく、0.35dl/g〜2.3dl/gの範囲にあることが更に好ましく、0.4dl/g〜2.0dl/gの範囲にあることが特に好ましい。溶液粘度が、0.3dl/gより小さいと得られるブロック共重合体の物性が低下することから好ましくなく、2.5dl/gより大きいと、後のブロック化反応が困難となることがあり好ましくない。
本発明において、親水性セグメントのプレポリマーと疎水性セグメントのプレポリマーとのブロック化反応は、特開2003-206354号公報に記載されている方法を利用して行うことができる。例えば、スルホン酸基および末端水酸基がカリウム塩である親水性セグメントのプレポリマーと疎水性セグメントのプレポリマーを、溶液中120 ℃から200 ℃の範囲で、好ましくは、130 ℃から195 ℃の範囲で、さらに好ましくは140 ℃から190 ℃の範囲で混合し、反応させることによって行なうことができる。温度が、120 ℃より低いと反応が進行し難くなり、また、200 ℃より高いとエーテル交換反応が進行し過ぎランダム共重合体となることから好ましくない。反応時間は、15分から48時間の範囲であり、15分より短いと反応が不十分になり易く、一方、48時間より長くなるとエーテル交換反応が進行し過ぎランダム共重合体となることから好ましくない。
ブロック共重合体の合成において、両成分の溶液は、合成された溶液をそのまま用いて、混合されても良い。また、両成分とも、あるいは、どちらかの成分が一度単離されたものを再度、溶媒に溶解したものを用いても良い。また、一方の溶液に、どちらかの成分を固体状態で投入、溶解させても良い。
ただし、単離された親水性セグメントのプレポリマーを再度溶解した場合は、水酸基をカリウム塩に変換する必要があり、プレポリマーの合成で用いた合成溶媒および炭化水素系溶剤中で、炭酸カリウムと共に加熱し、生成する水を除去することによって達成でき、その溶液をそのままブロック化反応に利用できる。また、スルホン酸基がナトリウム塩の場合は、親水性セグメントのプレポリマーのスルホン酸基を、カリウム塩に変換することによってブロック化反応に用いることができる。例えば、ナトリウム塩の形の親水性セグメントのプレポリマーを、塩酸、硫酸などの水溶液に浸漬することにより、スルホン酸基を酸の形に変換後、0.1重量%から20重量%の範囲の水酸化カリウムや炭酸カリウム水溶液に、10℃から80℃の範囲で、0.5分から48時間浸漬することで達成される。このようにして、カリウム塩の形にした親水性セグメントのプレポリマーを上記の水酸基のカリウム塩への変換と同様な方法で、ブロック化反応に用いる溶液にすることができる。
本発明において、ブロック共重合体の合成に用いられる溶媒は、両成分を溶解できるものであり、例えば、ジメチルスルホキシド,スルホラン,N-メチル-2-ピロリドン,1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン,N,N-ジメチルホルムアミド,N,N-ジメチルアセトアミド,ジフェニルスルホンなどの両プレポリマーの合成溶媒として用いられる極性溶媒を挙げることができる。また、両プレポリマーの合成に用いられた炭化水素系溶剤が含まれていても良い。ブロック化時の極性溶媒に対するポリマーの濃度は、両プレポリマーと極性溶媒を1としたとき、0.05〜0.4の範囲が好ましく、0.07〜0.35の範囲が更に好ましく、0.08〜0.3の範囲が特に好ましい。0.05より低くても0.4より高くてもブロック化反応が進行し難くなることから好ましくない。
本発明においては、得られたスルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体を、さらに追加スルホン化しても良い。追加のスルホン化は、80%から98%の濃硫酸にスルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体を2重量%〜30重量%の範囲で、好ましくは、3重量%〜25重量%の範囲で、さらに好ましくは、4重量%〜20重量%の範囲で溶解させ、10℃から65℃の範囲で、0.1時間から168時間反応させることで達成できる。ただし、この場合、親水性セグメントを選択的に追加スルホン化するために、親水性セグメントにスルホン、ケトン、ニトリル、ニトロなどの電子吸引基が結合していない芳香環を有しており、かつ、疎水性セグメントのほとんどの芳香環には、上記の電子吸引基が結合している必要がある。スルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体の濃度が、30重量%より高いと追加のスルホン化が困難となることがあり好ましくなく、2重量%より低くてもスルホン化反応に及ぼす効果は変らないことから、コストの点から好ましくない。濃硫酸の濃度が、80%より低いとスルホン化が進行しないことがあり好ましくなく、一方、98%より高いと、電子吸引基が結合した芳香環からなる疎水性セグメントまでスルホン化される可能性があり好ましくない。
本発明の製造方法で合成されるスルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体は、次式、
Figure 2007119511
[ここで、Faは、親水性セグメントの重量分率、Waは、親水性セグメントの重量、Wbは、疎水性セグメントの重量を表す。]
で求められる親水性セグメントの重量分率Faが、0.1〜0.8の範囲であることが好ましく、0.2〜0.7の範囲であることがより好ましく、0.25〜0.65の範囲であることが特に好ましい。この範囲が0.1より小さいとプロトン伝導度が低くなり、一方、0.8より大きくなるとブロック共重合体が水溶性となり好ましくない。
本発明の製造方法で合成されるスルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体は、そのイオン交換容量が0.5mmol/gから3.0mmol/gの範囲であり、好ましくは0.6mmol/gから2.9mmol/gの範囲、さらに好ましくは、0.7mmol/gから2.8mmol/gの範囲である。ブロック共重合体のイオン交換容量が0.5mmol/gより小さいとプロトン伝導性が悪くなることから好ましくなく、一方、3.0mmol/gより高いとブロック共重合体が水溶性になったり、吸水時の膜強度が大きく低下することから好ましくない。
本発明において、スルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体の親水性セグメントのイオン交換容量に特に制限はないが、次式により求められる親水性セグメントのみのイオン交換容量IECaが、
Figure 2007119511
[式中、IECはブロック共重合体のイオン交換容量を、Wはブロック共重合体の重量を、Waはブロック共重合体中の親水性セグメントの重量を示す。]
3.6mmol/g以上であることがプロトン伝導性の点から好ましい。さらに好ましくは3.7mmol/g以上、特に好ましくは3.8mmol/g以上である。
本発明において、スルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体は、70℃、相対湿度90%でのプロトン伝導度が、1×10‐2 S/cm以上であることが好ましく、1.5×10‐2 S/cm以上であることが、特に好ましい。プロトン伝導度が、1×10‐2 S/cmより低いと、発電特性が低下することから好ましくない。また、70℃、相対湿度30%でのプロトン伝導度が、1.0×10‐3 S/cm以上であることが好ましく、2.5×10‐3 S/cm以上であることがさらに好ましく、3.0×10‐3 S/cm以上であることが特に好ましい。70℃、相対湿度30%でのプロトン伝導度が、1×10‐3 S/cmより低いと、発電特性が低下することから好ましくない。
前述のようにして得られたスルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体を、高分子電解質膜として製膜する方法に特に制限はなく、例えば、スルホン化芳香族ブロック共重合体を溶媒に溶解後、支持体上に流延し、加熱することにより、溶媒を蒸発除去することによって製膜することができる。このとき、支持体上で完全に溶媒を除去する必要はなく、膜が自己支持性を有した段階で支持体から剥離し、さらに加熱することにより溶媒を除去しても良い。例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジフェニルスルホンなどの極性溶媒に溶解し、支持体上に流延後、80℃から250℃で、0.5分から48時間乾燥し、極性溶媒を蒸発除去することによって製膜することができる。また、自己支持性を有した段階で剥離し、さらに80℃から250℃で、0.5分から48時間乾燥し、極性溶媒を蒸発除去しても良い。温度が、80℃より低いと乾燥が十分行われないことから好ましくなく、また、250℃より高いと分解する可能性があることから好ましくない。
この高分子電解質膜の厚みは、5〜200μmであり、好ましくは10〜150μmである。5μmより薄いと膜の取扱いが難しく、また、200μmより厚いと燃料電池にしたときの発電効率が低下するため好ましく無い。
この高分子電解質膜は、必要ならば、本発明の特性を損なわない限り、スルホン酸基の一部が金属塩となっていても良い。また、繊維、多孔膜などで補強することができる。さらに、必要ならば、リン酸、次亜リン酸、硫酸などの無機酸あるいはそれらの塩、炭素数1〜14のパーフルオロアルキルスルホン酸あるいはそれらの塩、炭素数1〜14のパーフルオロアルキルカルボン酸あるいはそれらの塩、白金、シリカゲル、シリカ、ゼオライトなどの無機物、他の高分子をブレンドすることもできる。
この高分子電解質膜を用いた燃料電池の製造方法は、特に制限は無く、公知の方法を用いて製造することができ、芳香族ブロック共重合体からなる高分子電解質膜の両面に、触媒および集電体としての導電性物質を接合することにより製造することができる。また、本発明の芳香族ブロック共重合体を触媒層のイオン伝導成分として使用することも可能である。即ち、本発明の芳香族ブロック共重合体は、燃料電池に用いられる高分子電解質膜/電極接合体の電解質膜としても、触媒層のイオン伝導成分としても使用できる。両方に用いて膜/電極接合体を得ることもできる。
該触媒としては、水素または酸素との酸化還元反応を活性化できるものであれば特に制限はなく、公知のものを用いることができ、例えば、白金または白金合金の微粒子を用いることができる。白金の微粒子はしばしば活性炭や黒鉛などの粒子状または繊維状のカーボンに担持されて用いられる。
集電体としての導電性物質に関しても公知の材料を用いることができ、例えば、多孔質性のカーボン織布、カーボン不織布またはカーボンペーパーが、原料ガスを触媒へ効率的に輸送するために好ましい。
多孔質性のカーボン不織布またはカーボンペーパーに白金微粒子または白金微粒子を担持したカーボンを接合させる方法、およびそれを高分子電解質フィルムと接合させる方法については、例えば、J. Electrochem. Soc.: Electrochemical Science and Technology, 1988, 13 105(9), 2209 に記載されている方法等の公知の方法を用いることができる。
このようにして製造された燃料電池は、燃料として水素ガス、改質水素ガス、アルコール、エーテルなどを用いる各種の形式で使用可能である。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明する。尚、実施例および比較例中に示した測定値は以下の方法で測定した。
1)溶液粘度ηsp/c(還元粘度)の測定
N−メチル−2−ピロリドン(LiCl 0.5mmol/l添加)に、0.5g/dlの濃度で溶解し、ウベローデ粘度計を用いて、25℃の温度で測定し、次式(1)を用いて計算した。
Figure 2007119511
(ここで、tは溶液の測定時間、tは溶媒の測定時間、cは溶液濃度を示す。)
2)プロトン伝導度の測定
恒温恒湿機中で、幅1.9mm、長さ10mmのスリットを有し、スリットを挟んで白金線を装着した(間隔:2mm)テフロン(登録商標)板とテフロン(登録商標)平板の間に、膜(幅5mm×長さ20mm)を、長手方向が白金線と90度の方向で挟み、70℃、相対湿度90%、50%および30%で、日置電機(株)製3532 LCRハイテスタを用いて、複素インピーダンス測定によりプロトン伝導度を求めた。
3)イオン交換容量の測定
試料を含有量の明確な水酸化ナトリウム水溶液中で16時間、室温で撹拌後、ろ別した。ろ液を、0.01Nの塩酸水溶液で滴定することによって、消費された水酸化ナトリウム量を求め、イオン交換容量を算出した。
4)透過型電子顕微鏡観察
膜を厚み方向に切った薄片を作成し、日本電子(株)JEM−200CXを用いて、90000倍で観察を行った。

5)H-NMR測定
日本電子AL-300およびEX-400WBを用いて、DMSO-d6を溶媒として測定した。
(合成例1)
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩の合成
ビス(4−クロロフェニル)スルホン120gと30%発煙硫酸250gとをフラスコに仕込み、撹拌しながら110℃で6時間加熱した。得られた溶液を、氷水に徐々に投入し、塩化カリウムを加えて固形分を析出させた。得られた固形分を再度水に溶解し、塩化カリウムを加えて固形分を析出させた。固形分をろ別し、エタノール/水(6/4)から2度再結晶し、乾燥して白色固体を得た。得られた白色固体は、H-NMRで7.66ppm、7.84ppm、8.35ppmに、積分強度が1:1:1のシグナルが観察され、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩であることを確認した。
(合成例2)
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのナトリウム塩の合成
ビス(4−クロロフェニル)スルホン120gと30%発煙硫酸250gとをフラスコに仕込み、撹拌しながら110℃で6時間加熱した。得られた溶液を、氷水に徐々に投入し、食塩を加えて固形分を析出させた。得られた固形分を再度水に溶解し、NaOHで中和後、食塩を加えて固形分を析出させた。エタノール/水(4/1)から2度再結晶し、乾燥して白色固体を得た。得られた白色固体は、H-NMRで7.6〜7.7ppm、7.8〜7.9ppm、8.3〜8.4ppmに、積分強度が1:1:1のシグナルが観察され、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのナトリウム塩であることを確認した。
(実施例1)
ポリエーテルスルホンブロック共重合体PB1の合成
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口セパラブルフラスコ中に、ビス(4−クロロフェニル)スルホン3.35g(0.012モル)、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩18.34g(0.035モル)、4,4’−ビフェノール8.79g(0.047モル)および炭酸カリウム8.22gを仕込み、ジメチルスルホキシド80gとトルエン35gを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら160℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して親水性セグメントのプレポリマーHP1溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.01:1であり、また、HP1溶液中の生成プレポリマーとジメチルスルホキシドに対するプレポリマーの濃度は、25.2重量%である。別に、スミカエクセル7600P(住友化学)40.38gを、ジメチルスルホキシド160gとトルエン80gに溶解して窒素気流下、加熱、撹拌した。流出した水をトルエンと共に除去しながら185℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して疎水性セグメントのプレポリマーSP1溶液を調製した。SP1溶液中のプレポリマーSP1とジメチルスルホキシドに対するプレポリマーSP1の濃度は、20.2重量%である。このSP1溶液をHP1溶液に添加し、160℃で、2時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ブロック共重合体PB1を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、1.05dl/gであった。また、イオン交換容量は、0.92mmol/gであった。
ブロック共重合体PB1のスルホン化(SPB1の合成)
ブロック共重合体PB1を98%硫酸332gに25g溶解し、40℃で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB1を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、2.00mmol/gであった。ブレンド体ならばスルホン化後水洗すると、水溶性の親水性ポリマーが除去されイオン交換容量が大きく低下する。しかし、SPB1のイオン交換容量は、スルホン化前のPB1のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量2.08mmol/gとほぼ一致している。このことは、SPB1がブレンド体ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。また、後述の方法で得られた膜のTEM観察で、相分離構造が見られたことから、SPB1は、ブロック共重合体であることを確認した。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されない。したがって、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有すると考えられる。H-NMRから求められたSPB1の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.41であった。また、SPB1の親水性セグメントのイオン交換容量は、4.88mmol/gとなった。
SPB1を20重量%となるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、ガラス板上に流延し、120℃で1時間乾燥後、得られた自己支持性膜をガラス板から剥離し、金属枠に固定して、さらに200℃で0.5時間熱風乾燥した。0.5N水酸化ナトリウム水溶液に室温で2時間浸漬後、水洗し、1N硫酸水溶液に4時間浸漬した。水洗を3回行い、洗浄水が中性であることを確認後、金属枠に固定して、40℃で乾燥して、厚み32μmの膜を得た。70℃で相対湿度を変化させてプロトン伝導度を測定した。得られた結果を、表1に示す。
(実施例2)
プレポリマーHP2の合成
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、4,4’−ビフェノール8.41g(0.045モル)、N,N−ジメチルアセトアミド50gを仕込み、窒素バブリングしながら60℃で撹拌、溶解した。これに、炭酸カリウム7.87g、トルエン15gを加え、窒素気流下、160℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。ビス(4−クロロフェニル)スルホン6.38g(0.022モル)、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩11.64g(0.022モル)をN,N−ジメチルアセトアミド60gと共に添加して、窒素気流下、160℃で16時間撹拌して、親水性セグメントのプレポリマーHP2溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.016:1であり、また、HP2溶液中の生成プレポリマーとN,N−ジメチルアセトアミドに対するプレポリマーの濃度は、18重量%である。不溶分をろ過し、ろ液を多量の2−プロパノールに投入し、白色固体を析出させ、100℃で真空乾燥した後、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解し、ろ過および2-プロパノールによる析出、乾燥を繰り返して、スルホン酸基がカリウム塩型のプレポリマーHP2を得た。HP2のηsp/cは、0.89dl/gであった。また、イオン交換容量は、1.91mmol/gであった。
ブロック共重合体PB2の合成
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、HP2を6.05g、N,N−ジメチルアセトアミド55gを仕込み、窒素気流下、80℃で一晩撹拌して、HP2を溶解した。これに、炭酸カリウム0.029g、トルエン10gを加え、窒素気流下、160℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。別に、スミカエクセル7600P(住友化学)7.36gをN,N−ジメチルアセトアミド36gに、窒素気流下、80℃で一晩撹拌して溶解し、これにトルエン10gを加えて同様に脱水し、疎水性セグメントのプレポリマーSP2溶液を調製した。このSP2溶液をHP2溶液に添加し、160℃で2時間撹拌した。ろ過して不溶分を除去した後、ろ液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ブロック共重合体PB2を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、1.09dl/gであった。また、イオン交換容量は、0.643mmol/gであった。
ブロック共重合体PB2のスルホン化(SPB2の合成)
ブロック共重合体PB2を95%硫酸63.6gに7.07g溶解し、室温で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB2を得た。ブレンド体ならばスルホン化後水洗すると、水溶性の親水性ポリマーが除去され、収率が大きく低下する。しかし、SPB2の収率は、スルホン化前のPB2のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算される収量の94%であった。このことは、SPB2はブレンド体ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。イオン交換容量は、1.72mmol/gであった。また、後述の方法で得られた膜のTEM観察で、相分離構造が見られたことから、SPB2はブロック共重合体であることを確認した。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されない。したがって、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有すると考えられる。H-NMRから求められたSPB2の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.46であった。また、SPB2の親水性セグメントのイオン交換容量は、4.20mmol/gとなった。
SPB2を20重量%となるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、ガラス板上に流延し、120℃で1時間乾燥後、得られた自己支持性膜をガラス板から剥離し、金属枠に固定して、さらに200℃で0.5時間熱風乾燥した。0.5N水酸化ナトリウム水溶液に室温で2時間浸漬後、水洗し、1N硫酸水溶液に4時間浸漬した。水洗を3回行い、洗浄水が中性であることを確認後、金属枠に固定して、40℃で乾燥して、厚み21μmの膜を得た。70℃で相対湿度を変化させてプロトン伝導度を測定した。得られた結果を、表1に示す。
(実施例3)
プレポリマーHP3の合成
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、4,4’−ビフェノール8.93g(0.048モル)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン80gを仕込み、窒素バブリングしながら60℃で撹拌、溶解した。これに、4.8N水酸化ナトリウム水溶液20ml(0.1モルのNaOH)を加え、100℃で1時間撹拌して均一液を得た。トルエン40mlを添加して、窒素気流下、140〜170℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。ビス(4−クロロフェニル)スルホン9.38g(0.033モル)、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのナトリウム塩7.12g(0.0145モル)を1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン40gと共に添加して、窒素気流下、180℃で16時間撹拌して、親水性セグメントのプレポリマーHP3溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.016:1であり、また、HP3溶液中の生成プレポリマーと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンに対するプレポリマーの濃度は、15重量%である。不溶分をろ過し、ろ液を多量の2−プロパノールに投入し、固体を析出させ、100℃で真空乾燥した後、2−プロパノール、エタノールで洗浄を繰り返して、固体を100℃で真空乾燥した。得られた固体を1N硫酸中で撹拌した後、大量の水で洗浄して、100℃で真空乾燥して、スルホン酸基がH型のプレポリマーHP3を得た。HP3のηsp/cは、0.31dl/gであった。また、イオン交換容量は、1.30mmol/gであった。
ブロック共重合体PB3の合成
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、スルホン酸基がH型のプレポリマーHP3を5.0g、ジメチルスルホキシド25gを仕込み、窒素気流下、120℃で撹拌して、HP3を溶解した。これに、炭酸カリウム1.04g、トルエン5gを加え、窒素気流下、175℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。別に、スミカエクセル7600P(住友化学)7.5gをジメチルスルホキシド30gに、窒素気流下、170℃で撹拌して溶解し、これにトルエン5gを加えて同様に脱水し、疎水性セグメントのプレポリマーSP3溶液を調製した。このSP3溶液にHP3溶液をジメチルスルホキシド4gと共に添加し、175℃で2時間撹拌した。ろ過して不溶分を除去した後、ろ液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ブロック共重合体PB3を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、0.21mmol/gであった。
ブロック共重合体PB3のスルホン化(SPB3の合成)
ブロック共重合体PB3を95%硫酸36gに4g溶解し、室温で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB3を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、1.68mmol/gであった。ブレンド体ならばスルホン化後水洗すると、水溶性親水性ポリマーが除去されイオン交換容量が大きく低下する。しかし、SPB3のイオン交換容量は、スルホン化前のPB3のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量1.77mmol/gとほぼ一致している。このことは、SPB3はブレンド体ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。また、後述の方法で得られた膜のTEM観察で、相分離構造が見られたことから、SPB3は、ブロック共重合体であることを確認した。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されない。したがって、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有すると考えられる。H-NMRから求められたSPB3の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.43であった。また、SPB3の親水性セグメントのイオン交換容量は、3.91mmol/gとなった。
(比較例1)
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口セパラブルフラスコ中に、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩の代わりに、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのナトリウム塩13.58g(0.028モル)を用い、ビス(4−クロロフェニル)スルホン7.94g(0.028モル)と4,4’−ビフェノール10.46g(0.0562モル)及び炭酸カリウム9.78gを仕込み、ジメチルスルホキシド100gとトルエン45gを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら160℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して親水性セグメントのプレポリマーHP4溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.016:1であり、また、HP4溶液中の生成プレポリマーとジメチルスルホキシドに対するプレポリマーの濃度は、21.8重量%である。
別に、スミカエクセル7600P(住友化学)38.52gを、ジメチルスルホキシド160gとトルエン70gに溶解して窒素気流下、加熱、撹拌した。流出した水をトルエンと共に除去しながら185℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して疎水性セグメントのプレポリマーSP4溶液を調製した。SP4溶液中のプレポリマーSP4とジメチルスルホキシドに対するプレポリマーSP4の濃度は、20.0重量%である。このSP4溶液をHP4溶液に添加し、160℃で、2時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ポリマーPB4を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、0.52dl/gであった。
ポリマーPB4を98%硫酸90gに10g溶解し、室温で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB4を得た。SPB4のイオン交換容量を、滴定で測定することができなかった。これは、HP4のスルホン酸基がナトリウム塩では、ブロック化工程を行うとブロック化反応が進行せず、スルホン化後の水洗で、スルホン酸基の導入された水溶性の親水性ポリマーが、ほとんど除去されたためである。また、H-NMRでは、親水性セグメント由来のシグナルはほとんど観察されなかった。
(比較例2)
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、4,4’−ビフェノール8.924g(0.048モル)、ジメチルスルホキシド50gを仕込み、窒素バブリングしながら60℃で撹拌、溶解した。これに、4.794N水酸化ナトリウム水溶液20ml(0.096molのNaOH)を加え、100℃で1時間撹拌して均一液を得た。トルエン60mlを添加して、窒素気流下、150〜170℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。ビス(4−クロロフェニル)スルホン6.77g(0.0236モル)、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのナトリウム塩11.585g(0.0236モル)をジメチルスルホキシド40gに溶解した溶液を別のジメチルスルホキシド10gと共に添加して、窒素気流下、180℃で16時間撹拌して、親水性セグメントのプレポリマーHP5溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.016:1であり、また、HP5溶液中の生成プレポリマーとジメチルスルホキシドに対するプレポリマーの濃度は、19重量%である。
別に、スミカエクセル7600P(住友化学)33.5gを、ジメチルスルホキシド134gに溶解して、トルエン50mlを加え、窒素気流下、加熱、撹拌した。流出した水をトルエンと共に除去しながら170℃まで昇温し、その温度で2時間撹拌して疎水性セグメントのプレポリマーSP5溶液を調製した。SP5溶液中のプレポリマーSP5とジメチルスルホキシドに対するプレポリマーSP5の濃度は、20重量%である。このSP5溶液にHP5溶液をジメチルスルホキシド20gと共に添加し、160〜170℃で3時間撹拌した。ろ過して不溶分を除去した後、ろ液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ポリマーPB5を得た。
ポリマーPB5を95%硫酸18gに2g溶解し、室温で24時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB5を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、0.209mmol/gであった。スルホン化前のPB5のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量1.89mmol/gと比べて大きく減少した。これは、HP5のスルホン酸基がナトリウム塩のままブロック化工程を行った結果、ブロック化反応が進行せず、PB5がブレンド体であったため、スルホン化後の水洗により、水溶性の親水性ポリマーの多くが除去されたことを示す。
(参考例1)
スミカエクセル7600Pを98%硫酸180gに20g溶解し、室温で24時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄した。得られたポリマーのイオン交換容量は測定できず、スルホン酸基の導入は認められなかった。
(参考例2)
実施例2で得られた親水性プレポリマーHPを6.1g、スミカエクセル7600Pを7.4g、20重量%となるようにジメチルスルホキシドに室温で混合、溶解したのち、水に投入して固体を得ることにより、親水性プレポリマーと疎水性プレポリマーとのブレンド体を調製した。得られたブレンド体10gを98%硫酸90gに溶解し、室温で24時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄した。得られたポリマーのイオン交換容量は測定できなかった。また、H-NMR測定で、疎水性プレポリマーに基づくシグナルのみ観察された。これは、ブロック共重合体ではないブレンド体では、スルホン化後、親水性プレポリマーが水溶性となり、水洗工程で除去されることを示す。


表1 実施例1および実施例2のプロトン伝導度(70℃)

Figure 2007119511

Claims (9)

  1. 化学式(1)、
    Figure 2007119511
    [ここで、DはSO2またはCOを示し、Ar1は含まれる全ての芳香環に電子吸引基が結合した二価の芳香族残基を示す。]
    の構造単位を含有する疎水性セグメントと、化学式(2)
    Figure 2007119511
    [ここで、D2はSO2またはCOを示し、Ar2は二価の芳香族残基を示す。]
    の構造に、スルホン酸基あるいはその誘導体が導入された構造単位を有する親水性セグメントからなるスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体において、
    スルホン酸基がカリウム塩である親水性セグメントのプレポリマーと疎水性セグメントのプレポリマーとをブロック化反応させることを特徴とする、スルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法。
  2. 請求項1記載の親水性セグメントのプレポリマーにおいて、末端基の水酸基がカリウム塩の形で反応をさせることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法。
  3. 請求項1及び請求項2において、スルホン酸基を有する親水性セグメントのプレポリマーの合成に、
    Figure 2007119511
    [ここで、D2はSO2またはCOを示し、pおよびqは、独立して0、1、2の整数を示し、p+q≧1である。]
    の構造式で示される二価のスルホン化芳香族ジクロリド化合物のカリウム塩を用いることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法。

  4. 請求項1から請求項3において、親水性セグメントのプレポリマーが、化学式(4)

    Figure 2007119511

    [ここで、D2はSO2またはCOを示し、pおよびqは、独立して0、1、2の整数を示し、p+q≧1である。また、Ar2は二価の芳香族残基を示す。]
    で表される構造単位[A]と化学式(5)
    Figure 2007119511
    [ここで、D3はSO2またはCOを示し、Ar3は二価の芳香族残基を示す。]
    で表される構造単位[B]からなり、その重量比[A]/[B]が、10/0から1/9の範囲であることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法。
  5. 請求項1から4において、化学式(1)から(5)のD、DおよびDがSO2であることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテルスルホン系ブロック共重合体の製造方法。
  6. 請求項1から5において、疎水性セグメントのプレポリマーが、化学式(6)
    Figure 2007119511
    [ここで、DはSO2またはCOを示し、mは3から1500の整数を示す。]
    で表されるポリアリールエーテルスルホンであることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテルスルホン系ブロック共重合体の製造方法。
  7. 請求項1記載の方法により製造されたスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体を、さらにスルホン化することを特徴とする高スルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法。
  8. 請求項1〜7の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体。
  9. 請求項8記載のスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体を用いたプロトン伝導体。

JP2005309331A 2005-03-04 2005-10-25 スルホン化芳香族ブロック共重合体の製造方法 Expired - Fee Related JP4892926B2 (ja)

Priority Applications (10)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005309331A JP4892926B2 (ja) 2005-10-25 2005-10-25 スルホン化芳香族ブロック共重合体の製造方法
EP20110003542 EP2362472B1 (en) 2005-03-04 2006-03-03 Production method for polymer electrolyte
EP20110003543 EP2362473B1 (en) 2005-03-04 2006-03-03 Producion method for polymer electrolyte
EP06715150A EP1855339B1 (en) 2005-03-04 2006-03-03 Novel polymer electrolyte, polymer electrolyte composition, electrolyte membrane, and production method and use thereof
US11/885,598 US20080171252A1 (en) 2005-03-04 2006-03-03 Novel Polymer Electrolyte, Polymer Electrolyte Composition, Electrolyte Membrane, and Production Method and Use Thereof
EP20110003544 EP2355218B1 (en) 2005-03-04 2006-03-03 Novel polymer electrolyte, polymer electrolyte composition, electrolyte membrane, and production method and use thereof
PCT/JP2006/304067 WO2006093257A1 (ja) 2005-03-04 2006-03-03 新規高分子電解質、高分子電解質組成物、電解質膜およびその製造法と用途
US13/410,938 US9005843B2 (en) 2005-03-04 2012-03-02 Polymer electrolyte composition
US13/410,992 US8710176B2 (en) 2005-03-04 2012-03-02 Method for producing a sulfonated polyarylether block copolymer
US13/411,093 US20120164557A1 (en) 2005-03-04 2012-03-02 Method for producing a polymer electrolyte membrane

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005309331A JP4892926B2 (ja) 2005-10-25 2005-10-25 スルホン化芳香族ブロック共重合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007119511A true JP2007119511A (ja) 2007-05-17
JP4892926B2 JP4892926B2 (ja) 2012-03-07

Family

ID=38143698

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005309331A Expired - Fee Related JP4892926B2 (ja) 2005-03-04 2005-10-25 スルホン化芳香族ブロック共重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4892926B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009235158A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Tokyo Institute Of Technology プロトン酸基含有ブロックコポリマー、及びその製造方法、並びに高分子電解質膜
WO2010050468A1 (ja) 2008-10-31 2010-05-06 塩野義製薬株式会社 カテコール基を有するセファロスポリン類
US8178622B2 (en) 2010-02-16 2012-05-15 Hyundai Motor Company Amphiphilic block copolymer, method for manufacturing the same, and polymer electrolyte membrane using the same

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003031232A (ja) * 2001-05-08 2003-01-31 Ube Ind Ltd 固体高分子型燃料電池用高分子電解質及び燃料電池
JP2003297145A (ja) * 2002-01-29 2003-10-17 Sumitomo Chem Co Ltd 高分子電解質、それとリン酸類を含有する高分子電解質組成物及びそれらを用いた電池
JP2004002596A (ja) * 2002-03-25 2004-01-08 Sumitomo Chem Co Ltd 芳香族系高分子、その製造方法およびその用途
JP2004031307A (ja) * 2001-11-29 2004-01-29 Ube Ind Ltd 高分子電解質組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003031232A (ja) * 2001-05-08 2003-01-31 Ube Ind Ltd 固体高分子型燃料電池用高分子電解質及び燃料電池
JP2004031307A (ja) * 2001-11-29 2004-01-29 Ube Ind Ltd 高分子電解質組成物
JP2003297145A (ja) * 2002-01-29 2003-10-17 Sumitomo Chem Co Ltd 高分子電解質、それとリン酸類を含有する高分子電解質組成物及びそれらを用いた電池
JP2004002596A (ja) * 2002-03-25 2004-01-08 Sumitomo Chem Co Ltd 芳香族系高分子、その製造方法およびその用途

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009235158A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Tokyo Institute Of Technology プロトン酸基含有ブロックコポリマー、及びその製造方法、並びに高分子電解質膜
WO2010050468A1 (ja) 2008-10-31 2010-05-06 塩野義製薬株式会社 カテコール基を有するセファロスポリン類
US8178622B2 (en) 2010-02-16 2012-05-15 Hyundai Motor Company Amphiphilic block copolymer, method for manufacturing the same, and polymer electrolyte membrane using the same

Also Published As

Publication number Publication date
JP4892926B2 (ja) 2012-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3599041B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用高分子電解質及び燃料電池
KR101383938B1 (ko) 고분자 전해질 재료, 이를 이용한 고분자 전해질 성형체 및그의 제조 방법, 막 전극 복합체 및 고체 고분자형 연료 전지
KR101319764B1 (ko) 고분자 전해질 성형체의 제조 방법, 고분자 전해질 재료,고분자 전해질막 및 고분자 전해질형 연료 전지
TWI236486B (en) Crosslinkable aromatic resin having protonic acid group, and ion conductive polymer membrane, binder and fuel cell using the resin
US8710176B2 (en) Method for producing a sulfonated polyarylether block copolymer
WO2002091507A1 (fr) Electrolyte polymere destine a une pile a combustible a polymere solide et pile a combustible
WO2006132207A1 (ja) スルホン酸基含有ポリマーおよびその製造方法、該スルホン酸基含有ポリマーを含有する樹脂組成物、高分子電解質膜、高分子電解質膜/電極接合体、燃料電池
WO2011016444A1 (ja) 新規スルホン酸基含有セグメント化ブロック共重合体ポリマー及びその用途
JP4807007B2 (ja) 高分子電解質組成物およびその用途
JP5061474B2 (ja) 新規高分子電解質、電解質膜およびその用途
JP2004131662A (ja) スルホアルキル化ポリスルホン系イオン交換樹脂及びそれを含有するイオン交換膜
JP4892926B2 (ja) スルホン化芳香族ブロック共重合体の製造方法
JP2007039525A (ja) イオン交換膜、イオン交換樹脂、その製造方法およびイオン交換樹脂の精製方法
JP2006019240A (ja) 固体高分子型燃料電池用高分子電解質膜
JP4089821B2 (ja) プロトン伝導性樹脂組成物、プロトン伝導性膜および架橋物
JP5590568B2 (ja) ブロック共重合体、およびその利用
JP4887686B2 (ja) 高分子電解質膜及びその製造方法
JP2008069188A (ja) 樹脂組成物及びその用途
JP2011225737A (ja) 新規イオン伝導性ブロック共重合体ポリマーおよびその用途

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110524

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110624

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110714

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110809

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110902

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20111007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111025

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20111122

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20111205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4892926

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150106

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees