JP2007119511A - スルホン化芳香族ブロック共重合体の製造方法およびそれから得られるスルホン化芳香族ブロック共重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 スルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体において、スルホン酸基がカリウム塩である親水性セグメントのプレポリマーと疎水性セグメントのプレポリマーとをブロック化反応させることを特徴とする、スルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
[ここで、D1はSO2またはCOを示し、Ar1は含まれる全ての芳香環に電子吸引基が結合した二価の芳香族残基を示す。]
の構造単位を含有する疎水性セグメントと、化学式(2)
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Ar2は二価の芳香族残基を示す。]
の構造に、スルホン酸基あるいはその誘導体が導入された構造単位を有する親水性セグメントからなるスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体において、
スルホン酸基がカリウム塩である親水性セグメントのプレポリマーと疎水性セグメントのプレポリマーとをブロック化反応させることを特徴とする、スルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法に関する。
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、pおよびqは、独立して0、1、2の整数を示し、p+q≧1である。]
の構造式で示される二価のスルホン化芳香族ジクロリド化合物のカリウム塩を用いることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法に関する。
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、pおよびqは、独立して0、1、2の整数を示し、p+q≧1である。また、Ar2は二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[A]と化学式(5)
[ここで、D3はSO2またはCOを示し、Ar3は二価の芳香族残基を示す。]
で表される構造単位[B]からなり、その重量比[A]/[B]が、10/0から1/9の範囲であることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法に関する。
[ここで、D4はSO2またはCOを示し、mは3から1500の整数を示す。]
で表されるポリアリールエーテルスルホンであることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテルスルホン系ブロック共重合体の製造方法に関する。
1)芳香族ジハライド化合物、二価フェノール、アルカリ金属炭酸塩を、合成溶媒と生成水を共沸除去するための炭化水素系溶媒に混合する。
2)攪拌しながら加熱し、炭化水素系溶媒の還流下に生成水を除去する。
3)生成水の除去後、炭化水素系溶媒を除去しながら、あるいは、炭化水素系溶媒を除去後、さらに加熱、攪拌する。
ことにより合成することができる。このとき、2)の炭化水素系溶媒の還流工程は、100℃から170℃の範囲で、1時間から48時間の範囲で行われ、3)のさらなる攪拌、加熱は、140℃から220℃の範囲で、0.5時間から72時間の範囲で行われる。また、生成プレポリマーの合成溶媒に対する濃度は、生成プレポリマーと合成溶媒の重量を1としたとき、生成プレポリマーの重量が0.05から0.4の範囲が好ましく、0.07から0.35の範囲が更に好ましく、0.08から0.32の範囲が特に好ましく、最も好ましいのは0.1から0.3の範囲である。生成プレポリマーの重量が0.05より小さいと多量の溶媒が必要となることから好ましくなく、一方、0.4より大きいと目的とする反応が進行し難くなる事から好ましくない。
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Ar2は二価の芳香族残基を示し、aは、20から1000の整数を示す。]
で表される構造からなるものであり、スルホン酸基は、芳香環に直接結合したものである。
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Ar2は二価の芳香族残基を示し、aは、20から1000の整数を示す。pおよびqは、独立して0、1、2の整数を示し、p+q≧1である。]
の構造を有するものである。特に好ましくは、D2がSO2であるポリアリールエーテルスルホンのものである。
で表される構造単位からなる市販のポリエーテルスルホンを用いることが可能である。
で求められる親水性セグメントの重量分率Faが、0.1〜0.8の範囲であることが好ましく、0.2〜0.7の範囲であることがより好ましく、0.25〜0.65の範囲であることが特に好ましい。この範囲が0.1より小さいとプロトン伝導度が低くなり、一方、0.8より大きくなるとブロック共重合体が水溶性となり好ましくない。
[式中、IECはブロック共重合体のイオン交換容量を、Wはブロック共重合体の重量を、Waはブロック共重合体中の親水性セグメントの重量を示す。]
3.6mmol/g以上であることがプロトン伝導性の点から好ましい。さらに好ましくは3.7mmol/g以上、特に好ましくは3.8mmol/g以上である。
N−メチル−2−ピロリドン(LiCl 0.5mmol/l添加)に、0.5g/dlの濃度で溶解し、ウベローデ粘度計を用いて、25℃の温度で測定し、次式(1)を用いて計算した。
恒温恒湿機中で、幅1.9mm、長さ10mmのスリットを有し、スリットを挟んで白金線を装着した(間隔:2mm)テフロン(登録商標)板とテフロン(登録商標)平板の間に、膜(幅5mm×長さ20mm)を、長手方向が白金線と90度の方向で挟み、70℃、相対湿度90%、50%および30%で、日置電機(株)製3532 LCRハイテスタを用いて、複素インピーダンス測定によりプロトン伝導度を求めた。
試料を含有量の明確な水酸化ナトリウム水溶液中で16時間、室温で撹拌後、ろ別した。ろ液を、0.01Nの塩酸水溶液で滴定することによって、消費された水酸化ナトリウム量を求め、イオン交換容量を算出した。
膜を厚み方向に切った薄片を作成し、日本電子(株)JEM−200CXを用いて、90000倍で観察を行った。
5)H-NMR測定
日本電子AL-300およびEX-400WBを用いて、DMSO-d6を溶媒として測定した。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩の合成
ビス(4−クロロフェニル)スルホン120gと30%発煙硫酸250gとをフラスコに仕込み、撹拌しながら110℃で6時間加熱した。得られた溶液を、氷水に徐々に投入し、塩化カリウムを加えて固形分を析出させた。得られた固形分を再度水に溶解し、塩化カリウムを加えて固形分を析出させた。固形分をろ別し、エタノール/水(6/4)から2度再結晶し、乾燥して白色固体を得た。得られた白色固体は、H-NMRで7.66ppm、7.84ppm、8.35ppmに、積分強度が1:1:1のシグナルが観察され、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩であることを確認した。
3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのナトリウム塩の合成
ビス(4−クロロフェニル)スルホン120gと30%発煙硫酸250gとをフラスコに仕込み、撹拌しながら110℃で6時間加熱した。得られた溶液を、氷水に徐々に投入し、食塩を加えて固形分を析出させた。得られた固形分を再度水に溶解し、NaOHで中和後、食塩を加えて固形分を析出させた。エタノール/水(4/1)から2度再結晶し、乾燥して白色固体を得た。得られた白色固体は、H-NMRで7.6〜7.7ppm、7.8〜7.9ppm、8.3〜8.4ppmに、積分強度が1:1:1のシグナルが観察され、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのナトリウム塩であることを確認した。
ポリエーテルスルホンブロック共重合体PB1の合成
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口セパラブルフラスコ中に、ビス(4−クロロフェニル)スルホン3.35g(0.012モル)、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩18.34g(0.035モル)、4,4’−ビフェノール8.79g(0.047モル)および炭酸カリウム8.22gを仕込み、ジメチルスルホキシド80gとトルエン35gを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら160℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して親水性セグメントのプレポリマーHP1溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.01:1であり、また、HP1溶液中の生成プレポリマーとジメチルスルホキシドに対するプレポリマーの濃度は、25.2重量%である。別に、スミカエクセル7600P(住友化学)40.38gを、ジメチルスルホキシド160gとトルエン80gに溶解して窒素気流下、加熱、撹拌した。流出した水をトルエンと共に除去しながら185℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して疎水性セグメントのプレポリマーSP1溶液を調製した。SP1溶液中のプレポリマーSP1とジメチルスルホキシドに対するプレポリマーSP1の濃度は、20.2重量%である。このSP1溶液をHP1溶液に添加し、160℃で、2時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ブロック共重合体PB1を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、1.05dl/gであった。また、イオン交換容量は、0.92mmol/gであった。
ブロック共重合体PB1を98%硫酸332gに25g溶解し、40℃で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB1を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、2.00mmol/gであった。ブレンド体ならばスルホン化後水洗すると、水溶性の親水性ポリマーが除去されイオン交換容量が大きく低下する。しかし、SPB1のイオン交換容量は、スルホン化前のPB1のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量2.08mmol/gとほぼ一致している。このことは、SPB1がブレンド体ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。また、後述の方法で得られた膜のTEM観察で、相分離構造が見られたことから、SPB1は、ブロック共重合体であることを確認した。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されない。したがって、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有すると考えられる。H-NMRから求められたSPB1の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.41であった。また、SPB1の親水性セグメントのイオン交換容量は、4.88mmol/gとなった。
SPB1を20重量%となるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、ガラス板上に流延し、120℃で1時間乾燥後、得られた自己支持性膜をガラス板から剥離し、金属枠に固定して、さらに200℃で0.5時間熱風乾燥した。0.5N水酸化ナトリウム水溶液に室温で2時間浸漬後、水洗し、1N硫酸水溶液に4時間浸漬した。水洗を3回行い、洗浄水が中性であることを確認後、金属枠に固定して、40℃で乾燥して、厚み32μmの膜を得た。70℃で相対湿度を変化させてプロトン伝導度を測定した。得られた結果を、表1に示す。
プレポリマーHP2の合成
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、4,4’−ビフェノール8.41g(0.045モル)、N,N−ジメチルアセトアミド50gを仕込み、窒素バブリングしながら60℃で撹拌、溶解した。これに、炭酸カリウム7.87g、トルエン15gを加え、窒素気流下、160℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。ビス(4−クロロフェニル)スルホン6.38g(0.022モル)、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩11.64g(0.022モル)をN,N−ジメチルアセトアミド60gと共に添加して、窒素気流下、160℃で16時間撹拌して、親水性セグメントのプレポリマーHP2溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.016:1であり、また、HP2溶液中の生成プレポリマーとN,N−ジメチルアセトアミドに対するプレポリマーの濃度は、18重量%である。不溶分をろ過し、ろ液を多量の2−プロパノールに投入し、白色固体を析出させ、100℃で真空乾燥した後、N,N−ジメチルアセトアミドに再溶解し、ろ過および2-プロパノールによる析出、乾燥を繰り返して、スルホン酸基がカリウム塩型のプレポリマーHP2を得た。HP2のηsp/cは、0.89dl/gであった。また、イオン交換容量は、1.91mmol/gであった。
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、HP2を6.05g、N,N−ジメチルアセトアミド55gを仕込み、窒素気流下、80℃で一晩撹拌して、HP2を溶解した。これに、炭酸カリウム0.029g、トルエン10gを加え、窒素気流下、160℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。別に、スミカエクセル7600P(住友化学)7.36gをN,N−ジメチルアセトアミド36gに、窒素気流下、80℃で一晩撹拌して溶解し、これにトルエン10gを加えて同様に脱水し、疎水性セグメントのプレポリマーSP2溶液を調製した。このSP2溶液をHP2溶液に添加し、160℃で2時間撹拌した。ろ過して不溶分を除去した後、ろ液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ブロック共重合体PB2を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、1.09dl/gであった。また、イオン交換容量は、0.643mmol/gであった。
ブロック共重合体PB2を95%硫酸63.6gに7.07g溶解し、室温で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB2を得た。ブレンド体ならばスルホン化後水洗すると、水溶性の親水性ポリマーが除去され、収率が大きく低下する。しかし、SPB2の収率は、スルホン化前のPB2のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算される収量の94%であった。このことは、SPB2はブレンド体ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。イオン交換容量は、1.72mmol/gであった。また、後述の方法で得られた膜のTEM観察で、相分離構造が見られたことから、SPB2はブロック共重合体であることを確認した。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されない。したがって、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有すると考えられる。H-NMRから求められたSPB2の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.46であった。また、SPB2の親水性セグメントのイオン交換容量は、4.20mmol/gとなった。
プレポリマーHP3の合成
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、4,4’−ビフェノール8.93g(0.048モル)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン80gを仕込み、窒素バブリングしながら60℃で撹拌、溶解した。これに、4.8N水酸化ナトリウム水溶液20ml(0.1モルのNaOH)を加え、100℃で1時間撹拌して均一液を得た。トルエン40mlを添加して、窒素気流下、140〜170℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。ビス(4−クロロフェニル)スルホン9.38g(0.033モル)、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのナトリウム塩7.12g(0.0145モル)を1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン40gと共に添加して、窒素気流下、180℃で16時間撹拌して、親水性セグメントのプレポリマーHP3溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.016:1であり、また、HP3溶液中の生成プレポリマーと1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンに対するプレポリマーの濃度は、15重量%である。不溶分をろ過し、ろ液を多量の2−プロパノールに投入し、固体を析出させ、100℃で真空乾燥した後、2−プロパノール、エタノールで洗浄を繰り返して、固体を100℃で真空乾燥した。得られた固体を1N硫酸中で撹拌した後、大量の水で洗浄して、100℃で真空乾燥して、スルホン酸基がH型のプレポリマーHP3を得た。HP3のηsp/cは、0.31dl/gであった。また、イオン交換容量は、1.30mmol/gであった。
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、スルホン酸基がH型のプレポリマーHP3を5.0g、ジメチルスルホキシド25gを仕込み、窒素気流下、120℃で撹拌して、HP3を溶解した。これに、炭酸カリウム1.04g、トルエン5gを加え、窒素気流下、175℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。別に、スミカエクセル7600P(住友化学)7.5gをジメチルスルホキシド30gに、窒素気流下、170℃で撹拌して溶解し、これにトルエン5gを加えて同様に脱水し、疎水性セグメントのプレポリマーSP3溶液を調製した。このSP3溶液にHP3溶液をジメチルスルホキシド4gと共に添加し、175℃で2時間撹拌した。ろ過して不溶分を除去した後、ろ液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ブロック共重合体PB3を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、0.21mmol/gであった。
ブロック共重合体PB3を95%硫酸36gに4g溶解し、室温で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB3を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、1.68mmol/gであった。ブレンド体ならばスルホン化後水洗すると、水溶性親水性ポリマーが除去されイオン交換容量が大きく低下する。しかし、SPB3のイオン交換容量は、スルホン化前のPB3のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量1.77mmol/gとほぼ一致している。このことは、SPB3はブレンド体ではなく、親水性セグメントと疎水性セグメントが結合していることを示している。また、後述の方法で得られた膜のTEM観察で、相分離構造が見られたことから、SPB3は、ブロック共重合体であることを確認した。疎水性セグメントは、このスルホン化条件ではスルホン化されない。したがって、親水性セグメントのみがスルホン酸基を有すると考えられる。H-NMRから求められたSPB3の組成から、スルホン酸基をSO3H化した後の親水性セグメントの重量分率は、0.43であった。また、SPB3の親水性セグメントのイオン交換容量は、3.91mmol/gとなった。
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口セパラブルフラスコ中に、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのカリウム塩の代わりに、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのナトリウム塩13.58g(0.028モル)を用い、ビス(4−クロロフェニル)スルホン7.94g(0.028モル)と4,4’−ビフェノール10.46g(0.0562モル)及び炭酸カリウム9.78gを仕込み、ジメチルスルホキシド100gとトルエン45gを添加して窒素気流下、加熱、撹拌した。発生した水をトルエンと共に除去しながら160℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して親水性セグメントのプレポリマーHP4溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.016:1であり、また、HP4溶液中の生成プレポリマーとジメチルスルホキシドに対するプレポリマーの濃度は、21.8重量%である。
別に、スミカエクセル7600P(住友化学)38.52gを、ジメチルスルホキシド160gとトルエン70gに溶解して窒素気流下、加熱、撹拌した。流出した水をトルエンと共に除去しながら185℃まで昇温し、その温度で8時間撹拌して疎水性セグメントのプレポリマーSP4溶液を調製した。SP4溶液中のプレポリマーSP4とジメチルスルホキシドに対するプレポリマーSP4の濃度は、20.0重量%である。このSP4溶液をHP4溶液に添加し、160℃で、2時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ポリマーPB4を得た。得られたポリマーの溶液粘度ηsp/cは、0.52dl/gであった。
ポリマーPB4を98%硫酸90gに10g溶解し、室温で48時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB4を得た。SPB4のイオン交換容量を、滴定で測定することができなかった。これは、HP4のスルホン酸基がナトリウム塩では、ブロック化工程を行うとブロック化反応が進行せず、スルホン化後の水洗で、スルホン酸基の導入された水溶性の親水性ポリマーが、ほとんど除去されたためである。また、H-NMRでは、親水性セグメント由来のシグナルはほとんど観察されなかった。
撹拌機、水分定量器、温度計、窒素導入管の付いた4つ口フラスコ中に、4,4’−ビフェノール8.924g(0.048モル)、ジメチルスルホキシド50gを仕込み、窒素バブリングしながら60℃で撹拌、溶解した。これに、4.794N水酸化ナトリウム水溶液20ml(0.096molのNaOH)を加え、100℃で1時間撹拌して均一液を得た。トルエン60mlを添加して、窒素気流下、150〜170℃で加熱、撹拌して、発生した水をトルエンと共に除去した。ビス(4−クロロフェニル)スルホン6.77g(0.0236モル)、3,3’−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホンのナトリウム塩11.585g(0.0236モル)をジメチルスルホキシド40gに溶解した溶液を別のジメチルスルホキシド10gと共に添加して、窒素気流下、180℃で16時間撹拌して、親水性セグメントのプレポリマーHP5溶液を調製した。このとき、二価フェノールである4,4’−ビフェノールと、芳香族ジクロリドとの比は、1.016:1であり、また、HP5溶液中の生成プレポリマーとジメチルスルホキシドに対するプレポリマーの濃度は、19重量%である。
別に、スミカエクセル7600P(住友化学)33.5gを、ジメチルスルホキシド134gに溶解して、トルエン50mlを加え、窒素気流下、加熱、撹拌した。流出した水をトルエンと共に除去しながら170℃まで昇温し、その温度で2時間撹拌して疎水性セグメントのプレポリマーSP5溶液を調製した。SP5溶液中のプレポリマーSP5とジメチルスルホキシドに対するプレポリマーSP5の濃度は、20重量%である。このSP5溶液にHP5溶液をジメチルスルホキシド20gと共に添加し、160〜170℃で3時間撹拌した。ろ過して不溶分を除去した後、ろ液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を熱水中で2回、メタノール中で1回洗浄し、ポリマーPB5を得た。
ポリマーPB5を95%硫酸18gに2g溶解し、室温で24時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄し、ポリマーSPB5を得た。得られたポリマーのイオン交換容量は、0.209mmol/gであった。スルホン化前のPB5のビフェノール残基の各芳香環に1個づつスルホン酸基が導入したとして計算されるイオン交換容量1.89mmol/gと比べて大きく減少した。これは、HP5のスルホン酸基がナトリウム塩のままブロック化工程を行った結果、ブロック化反応が進行せず、PB5がブレンド体であったため、スルホン化後の水洗により、水溶性の親水性ポリマーの多くが除去されたことを示す。
スミカエクセル7600Pを98%硫酸180gに20g溶解し、室温で24時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄した。得られたポリマーのイオン交換容量は測定できず、スルホン酸基の導入は認められなかった。
実施例2で得られた親水性プレポリマーHPを6.1g、スミカエクセル7600Pを7.4g、20重量%となるようにジメチルスルホキシドに室温で混合、溶解したのち、水に投入して固体を得ることにより、親水性プレポリマーと疎水性プレポリマーとのブレンド体を調製した。得られたブレンド体10gを98%硫酸90gに溶解し、室温で24時間撹拌した。溶液を多量の水に投入し、白色固体を析出させ、ろ別した。得られた固体を水中で5回洗浄した。得られたポリマーのイオン交換容量は測定できなかった。また、H-NMR測定で、疎水性プレポリマーに基づくシグナルのみ観察された。これは、ブロック共重合体ではないブレンド体では、スルホン化後、親水性プレポリマーが水溶性となり、水洗工程で除去されることを示す。
Claims (9)
- 化学式(1)、
[ここで、D1はSO2またはCOを示し、Ar1は含まれる全ての芳香環に電子吸引基が結合した二価の芳香族残基を示す。]
の構造単位を含有する疎水性セグメントと、化学式(2)
[ここで、D2はSO2またはCOを示し、Ar2は二価の芳香族残基を示す。]
の構造に、スルホン酸基あるいはその誘導体が導入された構造単位を有する親水性セグメントからなるスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体において、
スルホン酸基がカリウム塩である親水性セグメントのプレポリマーと疎水性セグメントのプレポリマーとをブロック化反応させることを特徴とする、スルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法。
- 請求項1記載の親水性セグメントのプレポリマーにおいて、末端基の水酸基がカリウム塩の形で反応をさせることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法。
- 請求項1から4において、化学式(1)から(5)のD1、D2およびD3がSO2であることを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテルスルホン系ブロック共重合体の製造方法。
- 請求項1記載の方法により製造されたスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体を、さらにスルホン化することを特徴とする高スルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体の製造方法。
- 請求項1〜7の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするスルホン化ポリアリールエーテルブロック共重合体。
- 請求項8記載のスルホン化ポリアリールエーテル系ブロック共重合体を用いたプロトン伝導体。
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