JP2007119455A - 水中油型乳化組成物の調製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定な水中油型乳化組成物を提供する。更には、水中油型乳化組成物の調製方法において、油相の含量が70%以上である水中油型乳化組成物について、均質化工程を採らずに調製する調製方法、加えて、加熱工程を採らずに調製する方法を提供する。
【解決手段】水中油型乳化組成物に、ヒドロキシプロピルセルロースを添加する。
【選択図】なし
【解決手段】水中油型乳化組成物に、ヒドロキシプロピルセルロースを添加する。
【選択図】なし
Description
本発明は、乳化剤としてヒドロキシプロピルセルロースを添加する水中油型乳化組成物の調製方法に関する。
水中油型乳化組成物は、マーガリン、低カロリースプレッドを含むファットスプレッド、クリームチーズ、乳化油脂、離型油、化粧品クリーム、医薬品軟膏剤などで見られる形態である。これらは乳化剤を使用しなければ安定な形状を維持できないものが一般的である。
一方、ヒドロキシプロピルセルロースは、従来、医薬品のカプセル化剤や、滑沢剤、コーティング剤などに使用できることは知られている(特許文献1、特許文献2など)。また、水中油型エマルション消泡剤として、炭素数12〜30のアルコール及び/又は1〜6価の炭素数1〜30のアルコールと炭素数12〜30のカルボン酸との脂肪酸エステルを5〜60重量%含有し、かつ、分子量1万以上の天然又は半合成水溶性高分子と分子量10万以上のポリエチレンオキサイドを特定重量比で特定量含有する水中油型エマルション消泡剤(特許文献3)が記載されており、分子量1万以上の天然又は半合成水溶性高分子の一例として、ヒドロキシプロピルセルロースが記載されている。しかし、水中油型エマルションを調製するための乳化剤として、界面活性物質が別途添加されており、ヒドロキシプロピルセルロースを乳化剤として単独で使用した水中油型乳化組成物への用途は開示されていない。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、安定な水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行ったところ、水中油型乳化組成物に、ヒドロキシプロピルセルロースを含有することにより、安定性に優れた乳化組成物となることを見いだした。また、油相の含量が70%以上である当該乳化組成物については、ヒドロキシプロピルセルロースを添加することにより、均質化工程の必要がなく安定性に優れた水中油型乳化組成物を調製できることを見い出した。また、ヒドロキシプロピルセルロースを使用すれば加熱工程の必要がなく当該乳化組成物を調製できることを見い出して本発明を完成した。
以下、本発明は以下に記載の態様を有する水中油型乳化組成物の調製方法及び当該乳化組成物に関する;
項1.ヒドロキシプロピルセルロースを添加することを特徴とする水中油型乳化組成物の調製方法。
項2.油相の含量が70%以上である水中油型乳化組成物について、均質化工程を採らずに調製する項1に記載の水中油型乳化組成物の調製方法。
項3.更に、加熱工程を採らずに調製する項1又は2に記載の水中油型乳化組成物の調製方法。
項4.項1乃至3のいずれかの調製方法で調製された水中油型乳化組成物。
項1.ヒドロキシプロピルセルロースを添加することを特徴とする水中油型乳化組成物の調製方法。
項2.油相の含量が70%以上である水中油型乳化組成物について、均質化工程を採らずに調製する項1に記載の水中油型乳化組成物の調製方法。
項3.更に、加熱工程を採らずに調製する項1又は2に記載の水中油型乳化組成物の調製方法。
項4.項1乃至3のいずれかの調製方法で調製された水中油型乳化組成物。
本発明により、安定な水中油型乳化組成物を提供できる。油相の割合が高い系(油相の含量が70%以上)であれば、均質化する必要がなく安定な乳化組成物を調製することができる。更には、ヒドロキシプロピルセルロースを使用することにより、加熱工程の必要がなく乳化組成物を製造することができる製造上のメリットも有する。
本発明の水中油型乳化組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースを添加することを特徴とする。本発明の乳化組成物は、他の乳化剤を使用することなく、ヒドロキシプロピルセルロースを添加することで水中油型乳化組成物が調製できるものである。本発明の水中油型乳化組成物は、油相100重量部に対して、水相5〜1000重量部、好ましくは10〜300重量部、より好ましくは、30〜100重量部の割合で含む。
本発明で使用するヒドロキシプロピルセルロースは、天然に広く存在するセルロース(パルプ)を原料とし、これを水酸化ナトリウムで処理した後、プロピレンオキサイド等のエーテル化剤と反応して得られる非イオン性の水溶性セルロースエーテルである。ヒドロキシプロピルセルロースの粘度は、室温(25度)時の2%粘度が1mPa・s〜10万mPa・s程度のものであるが、本発明では、粘度が、20℃における2%溶液の粘度が50〜500mPa・s、好ましくは100〜400mPa・s(BL型粘度計にて、60rpm、60秒間測定)程度のものを使用するのが好ましい。
ヒドロキシプロピルセルロースの水中油型乳化組成物への添加量は、油相、水相の配合割合や調製方法により適宜調整することができるが、当該乳化組成物全量に対して、0.05〜3.0重量%程度が添加される。好ましくは、0.1〜2.0重量%、更に好ましくは、0.5〜1.5重量%である。また、本発明で使用するヒドロキシプロピルセルロースは商業上入手することができ、例えば、ハーキュリーズ社製のクルーセル(KLUCEL)GF、クルーセルEF、クルーセルJF、クルーセルLFなどを使用することができる。なお、前記の好ましい粘度を示す製品としては、クルーセルGFなどを挙げることができる。
本発明で油相に使用される油脂は特に制限はなく、例えば、ナタネ油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、米油、大豆油、ヒマワリ油、パーム油、パーム軟質油、ヤシ油、亜麻仁油、エノ油、キリ油、麻実油等の植物性油脂、ラード、牛脂、乳脂、豚脂、鶏油、魚油などの動物性油脂、それらの水素添加油、分別油、エステル交換油など、更には、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロデカン、流動パラフィン、ワセリン、スクアラン、セレシン、ブリスタン、マイクロクリスタンワックスなどの炭化水素、ジヘプチルエーテル等のエーテル類、エチレングリコールジブチルエーテル等のジエーテル類、スフィンゴシン等の長鎖アミノアルコール、長鎖アルデヒド、長鎖ケトン、テルペノイド、ステロイド、カロチノイド、ワックス、アシルグリセロール、エーテルグリセリド、セラミド、リン脂質、糖脂質、リン糖脂質、アミノ酸脂質などを使用することができる。また、これらの油脂を単独又は2種以上の配合油を用いることができる。
本発明の水中油型乳化組成物の製造法であるが、油相に、ヒドロキシプロピルセルロースを添加混合した水相を加えるか、ヒドロキシプロピルセルロースを添加混合した水相に、油相を加えるかしたものを、攪拌して乳化して得られるものである。ヒドロキシプロピルセルロースの水相への配合方法は、常温(0〜40℃程度)の水にヒドロキシプロピルセルロースを添加し、加熱することなく攪拌混合することにより溶解する。また、水相と油相の攪拌方法であるが、ホモジナイザー等の均質化装置を用いて均質化を行うこともできるが、特に油相の割合が高い系(特に油相の割合が乳化組成物全量に対して70%を超える系)において、均質化までの高速剪断の必要がなく、通常の攪拌条件で乳化でき、容易にしかもより安定な系が得られる点が挙げられ、同時に製造プロセスの省力化を図ることができる。
よって、本発明では、特に油相の割合が乳化組成物全量に対して70%を超える系において、均質化工程を採る必要がなく、当該乳化組成物を製造可能であることが特徴である。更には、ヒドロキシプロピルセルロースを加熱することなく添加混合した水相に、油相を加えて、均質化を行わずに通常の攪拌条件で混合することにより乳化組成物が製造できる点で優れている。
なお、水相及び油相には、薬剤、タンパク質、澱粉類、ガム、有機酸、無機酸およびその塩、キレート剤、着色料、香料、保存料、防腐剤、酸化防止剤などを必要に応じて加えることができる。
本発明の水中油型乳化組成物は、マーガリン、低カロリースプレッドを含むファットスプレッド、クリームチーズ、乳化油脂、離型油などの食品、クレンジングローション、マッサージローション、エモリエントローションなどの乳液、リキッドファンデーション等のメーキャップ化粧料、化粧品クリーム、シェービングクリーム、プレシェービングローション、ヘアクリーム、医薬品軟膏剤などに使用することができる。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。特に記載のない限り「%」とは、「重量%」を意味するものとする。
実施例1〜3:水中油型乳化組成物の調製
下記表1に掲げる処方のうち、イオン交換水にヒドロキシプロピルセルロース(以下、「HPC」という、KLUCEL GF;ハーキュリーズ社製、20℃における2%溶液の粘度が220mPa・s)を加えて攪拌溶解した溶液にプロペラ攪拌しながら(水温25℃)、少しずつ油を添加する。その後、ホモジナイズ(150kg/cm2)して水中油型乳化組成物を調製した。
下記表1に掲げる処方のうち、イオン交換水にヒドロキシプロピルセルロース(以下、「HPC」という、KLUCEL GF;ハーキュリーズ社製、20℃における2%溶液の粘度が220mPa・s)を加えて攪拌溶解した溶液にプロペラ攪拌しながら(水温25℃)、少しずつ油を添加する。その後、ホモジナイズ(150kg/cm2)して水中油型乳化組成物を調製した。
得られた水中油型乳化組成物の形状及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。形状については目視及び触感にて観察し、保存安定性については、保存試験(2ヶ月・4℃/常温(20℃)保存)を行った。保存安定性は以下の基準で評価した。
◎:離油がなく、乳化が安定しており保存性に優れる。
○:離油が少しみられるものの、軽く振とうすると元の乳化組成物に戻る。
△:離油が見られるが、軽く振れば元の乳化組成物に戻る。
◎:離油がなく、乳化が安定しており保存性に優れる。
○:離油が少しみられるものの、軽く振とうすると元の乳化組成物に戻る。
△:離油が見られるが、軽く振れば元の乳化組成物に戻る。
油相と水相の割合を調節することにより、油相の割合が多いもの(油相が全量の70%以上)はマヨネーズ状となり、更には、水相の割合が多くなると(水相が全量の70%以上)、化粧ローションのような形状となった。更に、保存安定性については、いずれも良好な乳化安定性を示したが、特に低温保存において安定化効果が高く、更には、油相の含量が高くなる実施例3(油相が全量の70%以上)の乳化組成物は特に乳化安定効果が高かった。なお、実施例3の75%油相品は、均質化(ホモジナイズ)することなく水中油型乳化組成物を調製することができた。HPCを使用することで、製造時加熱工程が必要なく、長期的に安定な乳化性を有する乳化組成物を得ることができた。
実施例4:ファットスプレッド
下記表2の処方のうち、水に対して、HPC、脱脂粉乳を添加し溶解して、水相を調製した。別途、サラダ油及び香料を添加して混合した油相を調製し、水相を攪拌しながら、徐々に油相を加えて攪拌し、均質化工程を採ることなく、ファットスプレッドを調製した。
このファットスプレッドを4℃で5ヶ月間保存したが、油の分離は認められなかった。
下記表2の処方のうち、水に対して、HPC、脱脂粉乳を添加し溶解して、水相を調製した。別途、サラダ油及び香料を添加して混合した油相を調製し、水相を攪拌しながら、徐々に油相を加えて攪拌し、均質化工程を採ることなく、ファットスプレッドを調製した。
このファットスプレッドを4℃で5ヶ月間保存したが、油の分離は認められなかった。
実施例5:クリーム&ローションの調製
(1)クリームの調製
下記表3の処方のうち、イオン交換水にHPC、エチルアルコール及びグリセリンを溶解した液を攪拌しながら、オリーブ油を徐々に加えて、均質化することなく、クリームを調製した。
(1)クリームの調製
下記表3の処方のうち、イオン交換水にHPC、エチルアルコール及びグリセリンを溶解した液を攪拌しながら、オリーブ油を徐々に加えて、均質化することなく、クリームを調製した。
(2)ローションの調製
下記表3の処方のうち、イオン交換水にHPC、エチルアルコール及びグリセリンを溶解した液を攪拌しながら、オリーブ油を徐々に加えてクリーム状物を調製した後、このクリーム状物を、ホモミキサー(7000rpm、3分)にて攪拌してローションを調製した。
下記表3の処方のうち、イオン交換水にHPC、エチルアルコール及びグリセリンを溶解した液を攪拌しながら、オリーブ油を徐々に加えてクリーム状物を調製した後、このクリーム状物を、ホモミキサー(7000rpm、3分)にて攪拌してローションを調製した。
得られたクリームとローションを25℃で3ヶ月間保存したが、油の分離は認められなかった。
本発明により、安定な水中油型乳化組成物を提供できる。油相の割合が高い系(70%以上)であれば、均質化する必要がなく安定な乳化組成物を調製することができる。更には、ヒドロキシプロピルセルロースを使用することにより、加熱工程の必要がなく乳化組成物を製造することができる製造上のメリットも有する。
Claims (4)
- ヒドロキシプロピルセルロースを添加することを特徴とする水中油型乳化組成物の調製方法。
- 油相の含量が70%以上である水中油型乳化組成物について、均質化工程を採らずに調製する請求項1に記載の水中油型乳化組成物の調製方法。
- 更に、加熱工程を採らずに調製する請求項1又は2に記載の水中油型乳化組成物の調製方法。
- 請求項1乃至3のいずれかの調製方法で調製された水中油型乳化組成物。
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