JP2007119014A - 軸受の梱包方法及び梱包された軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】 輸送中において軸受の転動体の動きを容易な方法で確実に止めることのできる軸受の梱包方法及び梱包された軸受を提供する。
【解決手段】 この軸受の梱包方法は、軸受内部に膨張可能材10を配置し、膨張可能材を膨張させることで軸受の転動体4の動きを固定する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、輸送中における損傷防止のための軸受の梱包方法及び梱包された軸受に関する。
軸受の生産工場から使用者ヘの輸送は、軸受を梱包箱に梱包してから(梱包箱の例について下記特許文献1参照)、トラック、船舶、航空機など様々な輸送手段を用いて行われるが、それぞれの輸送手段による輸送中及び積み降ろしの段階で梱包箱自体が振動、衝撃を受けてしまうことがある。そのため、例えば、図5のように梱包箱7に梱包された球面ころ軸受1内では、その輸送中にころ4がすきまgの分だけ動いて内輪3や外輪2に当たり、傷を付けてしまうおそれがある。その対策として、ころ4の動きを止める梱包方法が必要であった。
この対策のための従来の梱包方法は、例えば、図6のように、球面ころ軸受1の両端面にOリング9a、9bを装着し、その状態でころ軸受1を防錆テープ巻きにした後、2枚の板6a,6bの間に挟み込み、ボルトでOリング9a、9bを締め付けることにより、ころ4の動きを止めていた。その後、図6の破線で示すように梱包箱7’に梱包する。
しかし、図6の梱包方法は、(1)Oリングを2本装着した状態での防錆テープ巻きと、(2)軸受のサイズよりも大きな板2枚をボルトで締め上げる作業と、により時間と手間のかかる作業であるとともに、(2)により梱包箱7’は軸受よりもかなり大きなサイズとなり、図5の梱包箱7よりも大きくなってしまい、輸送コストも高くなってしまう。
特開2003−285893号公報
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、輸送中において軸受の転動体の動きを容易な方法で確実に止めることのできる軸受の梱包方法及び梱包された軸受を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による軸受の梱包方法は、軸受内部に膨張可能材を配置し、前記膨張可能材を膨張させることで前記軸受の転動体の動きを固定することを特徴とする。
この軸受の梱包方法によれば、軸受の内部に膨張可能材を配置してから膨張させることで、軸受の転動体の動きを容易な方法で確実に止めることができるので、輸送中における転動体の動きに起因する軸受内部での傷等の損傷の発生を未然に防止できる。
上記軸受の梱包方法において前記膨張可能材が伸縮性のチューブであり、前記チューブ内を加圧することで膨張させることが好ましい。この場合、前記チューブが一端側に加圧用バルブを備えることが好ましい。
また、前記転動体が複数のころ列を形成しており、前記ころ列間に前記膨張可能部材を配置することが好ましい。
また、前記膨張可能材を内部で膨張させた軸受を防錆テープで巻くことが好ましい。上述のように膨張させた膨張可能材で内輪・外輪をも固定されるので、その後の防錆テープ巻きは、通常の軸受よりも容易となり、自動巻き付け機も使用できる。
また、前記膨張可能材を内部で膨張させた軸受を梱包箱に梱包することが好ましい。上述のように膨張可能材を配置し膨張させても軸受の外観サイズは変化しないので、軸受サイズに対してより小さい梱包箱を使用できる。
本発明による梱包された軸受は、上述の軸受の梱包方法により梱包されたことを特徴とする。この梱包された軸受によれば、軸受の内部に膨張可能材を配置してから膨張させることで、軸受の転動体の動きを容易な方法で確実に止めることができるので、輸送中における転動体の動きに起因する軸受内部での傷等の損傷の発生を未然に防止できる。また、膨張させた膨張可能材で内輪・外輪をも固定できるので、その後の防錆テープ巻きは、通常の軸受よりも容易となり、自動巻き付け機も使用できる。また、膨張可能材を配置し膨張させても軸受の外観サイズは変化しないので、軸受サイズに対してより小さい梱包箱を使用できる。
本発明の軸受の梱包方法及び梱包された軸受によれば、輸送中において軸受の転動体の動きを容易な方法で確実に止めることができるので、輸送中において軸受内部での損傷の発生を未然に防止できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。図1は本実施の形態による軸受の梱包方法に使用する伸縮性のチューブの外観を概略的に示す図である。図2は図1のチューブをころ軸受に装着した様子を示す図である。図3は図2の装着したチューブを加圧した状態を示す部分図である。
図1に示すように、チューブ10は、細長く延びた筒状の簡単な形状であり、伸縮性及び密封性があるゴム材料からなり、内部を空気等の気体で加圧することで膨張させることができる。チューブ10の一端にエアー用バルブ11が取り付けられており、バルブ11を通して空気等を送り込んで加圧しチューブ10を膨張させる。チューブ10の他端は閉塞されている。
図2、図3に示すように、球面ころ軸受1を梱包の対象とし、球面ころ軸受1内では複数の球面ころ4が2列のころ列4a、4bを形成しており、列4aの球面ころ4ともう1つの列4bの球面ころ4との間に空間5がある。
図1〜図3の球面ころ軸受の梱包工程について図4のフローチャートを参照して説明する。
まず、図2の球面ころ軸受1の空間5に図1の伸縮性のチューブ10を配置・装着し(S01)、先端のバルブ11を例えばころ列4aの球面ころ4と球面ころ4との間を通して球面ころ軸受1の側面から露出させる。空間5へのチューブ10の配置・装着は、チューブ10の加圧前に行うので容易である。
次に、図2の外輪2を球面ころ4が配置された内輪3に対し所定位置にして組み立ててから(S02)、図2のチューブ10のバルブ11に簡易型のエアコンプレッサ等のエアー供給加圧源(図示省略)を連結し、図3のように、チューブ10内を加圧することでチューブ10を膨張させてから(S03)、バルブ11に栓をする(S04)。これにより、膨張したチューブ10が各ころ列4a,4bの各球面ころ4を図3の矢印方向aに押すため各球面ころ4を内輪3・外輪2に押し付けることで、各球面ころ4の動きを止める。
次に、図2,図3の球面ころ軸受1の両側面を覆うように図3の破線で示す防錆テープ8を巻いてから、梱包箱7に梱包する(S06)。
上述のようにして、球面ころ軸受1内の空間5に伸縮性のチューブ10を挿入し、チューブ10内を加圧し膨張させることにより、各球面ころ4を軸受内部から内外輪3,2に押し付け、各球面ころ4の動きを止め、輸送中における球面ころ4の動きによる軸受内部での傷発生を未然に防止できる。また、チューブ10内の加圧圧力により、ころが大きく重い場合でも確実に動きを止めることができる。
また、内輪3・外輪2もチューブ10で固定されるので、その後の防錆テープ巻きは、通常の軸受の場合よりも容易となり作業性が向上し、また、自動巻き付け機も使用できる。また、伸縮性のチューブ10の装着で軸受の外観サイズは変化せず、かつ、従来の図6のようなOリング9a、9bや板6a,6bを使用しなくともよいので、軸受サイズに対してより小さい梱包箱を使用でき、従来(図5)と同様の小さな梱包箱を使用できるとともに、図6のような板2枚をボルトで締め上げる作業が不要であるので時間・手間がかからない。以上のことから、梱包・輸送コストが高くならない。
なお、上述のようにして梱包した球面ころ軸受1を開封するときは、チューブ10を切断等することで加圧された空気を抜き、萎んだチューブ10を引き抜くことでチューブ10を容易に球面ころ軸受1から取り除くことができる。
以上のように本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、本実施の形態では、球面ころ軸受を例にして説明したが、本発明は、これに限定されず、2列以上のころ列を持ち、ころ列間に空間のある軸受であれば、例えば、複列玉軸受、複列・多列円すいころ軸受、複列・多列円筒ころ軸受にも適用可能である。
また、チューブ10の材料は、樹脂フィルム等でもよく、また、材料自体に伸縮性が無くても、折り畳んだ状態や丸めた状態等から拡がり膨張する構造のものであってもよい。例えば、くしゃくしゃにして丸めた防水紙などである。更に、加圧封入剤も気体に限定せず、封入後、弾性力を保つ材料であればウレタンゴムなど固形化する固形材でもよい。このような固形材や折り畳んだ紙等を軸受内の空間に配置して、ころを軸受内部から内外輪に押し付けころの動きを止めている場合、その固形材等を取り除くには、図2のように、軸受の内輪側を返してから、固形材等を切断し取り除くことができる。
また、図1〜図3のチューブ10内を加圧し膨張させるのに用いる気体は空気でよいが、よりも漏れ難い窒素ガスも考えられる。また、チューブ10の栓は、市販の自転車用等のエアー用バルブを使用できるが、チューブの材質によっては、バルブを使用せずに、チューブ自体を加圧溶着させたり、接着剤で接着させてもよい。
本実施の形態による軸受の梱包方法に使用する伸縮性のチューブの外観を概略的に示す図である。 図1のチューブをころ軸受に装着した様子を示す図である。 図2の装着したチューブを加圧した状態を示す部分図である。 図1〜図3の球面ころ軸受の梱包工程を説明するためのフローチャートである。 球面ころ軸受におけるころの動きを説明するための図である。 図5の球面ころ軸受におけるころの動きを止める従来の方法を説明するためのの図である。
符号の説明
1 球面ころ軸受
2 外輪
3 内輪
4 球面ころ(転動体)
4a,4b ころ列
5 空間
7 梱包箱
8 防錆テープ
10 チューブ(膨張可能材)
11 エアー用バルブ

Claims (7)

  1. 軸受内部に膨張可能材を配置し、前記膨張可能材を膨張させることで前記軸受の転動体の動きを固定することを特徴とする軸受の梱包方法。
  2. 前記膨張可能材が伸縮性のチューブであり、前記チューブ内を加圧することで膨張させる請求項1に記載の軸受の梱包方法。
  3. 前記チューブが一端側に加圧用バルブを備える請求項2に記載の軸受の梱包方法。
  4. 前記転動体が複数のころ列を形成しており、前記ころ列間に前記膨張可能部材を配置する請求項1,2または3に記載の軸受の梱包方法。
  5. 前記膨張可能材を内部で膨張させた軸受を防錆テープで巻く請求項1乃至4のいずれか1項に記載の軸受の梱包方法。
  6. 前記膨張可能材を内部で膨張させた軸受を梱包箱に梱包する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の軸受の梱包方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の軸受の梱包方法により梱包されたことを特徴とする梱包された軸受。

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