JP2007118594A - グラビア製版ロール及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、版カブリを改善できるとともに、毒性がなくかつ公害発生の心配も皆無な表面強化被覆層を具備するとともに耐刷力に優れた新規なグラビア製版ロール及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属製中空ロールと、該中空ロールの表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅メッキ層と、該銅メッキ層の表面に設けられた金属層と、該金属層の表面に設けられた当該金属の炭化金属傾斜層と、該炭化金属傾斜層の表面を被覆するダイヤモンドライクカーボン被膜とからなるグラビア製版ロールであって、前記銅メッキ層のハイライト部の最小のグラビアセルよりも小さくてインキの転移が行なわれない大きさのピットを、非画線部においてスクリーン線の1ピッチのエリア内に少なくとも1つ存在するように配列するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、版カブリを改善でき、かつクロムメッキを用いることなく、充分な強度を有する表面強化被覆層を具備することができるようにしたグラビア製版ロール及びその製造方法に関し、特にクロム層に替わる表面強化被覆層としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)層を設けるようにしたグラビア製版ロール及びその製造方法に関する。
グラビア印刷では、グラビア製版ロール(グラビアシリンダー)に対し、製版情報に応じた微小な凹部(グラビアセル)を形成して版面を製作し当該グラビアセルにインキを充填して被印刷物に転写するものである。一般的なグラビア製版ロールにおいては、アルミニウムや鉄などの金属製又は炭素繊維強化樹脂(CFRP)等の強化樹脂製の中空ロールの表面に版面形成用の銅メッキ層(版材)を設け、該銅メッキ層にエッチングによって製版情報に応じ多数の微小な凹部(グラビアセル)を形成し、次いでグラビア製版ロールの耐刷力を増すためのクロムメッキによって硬質のクロム層を形成して表面強化被覆層とし、製版(版面の製作)が完了する。しかし、クロムメッキ工程においては毒性の高い六価クロムを用いているために、作業の安全維持を図るために余分なコストがかかる他、公害発生の問題もあり、クロム層に替わる表面強化被覆層の出現が待望されているのが現状である。
一方、グラビア製版ロール(グラビアシリンダー)の製造について、セルを形成した銅メッキ層にダイヤモンドライクカーボン(DLC)を形成し、表面強化被覆層として用いる技術(特許文献1〜3)や、銅メッキ層にDLC層を形成した後、セルを形成し印刷版を製造する技術(特許文献4)は知られているが、DLC層は銅との密着性が弱く、剥離し易いという問題があった。また、本願出願人は、中空ロールにゴム又は樹脂層を形成し、その上にダイヤモンドライクカーボン(DLC)の被膜を形成した後、セルを形成し、グラビア印刷版を製造する技術をすでに提案している(特許文献5〜7)。
さらに、グラビア印刷において、非画線部(印刷用版面の印刷インキが付着しない部分)に微小にインキが付着して汚れた感じに印刷される版カブリは、ドクターブレードの継続使用時間が多くなってドクターブレードがシャープでなくなったときや、グラビアロールのクロムメッキの非画線部にサンドペーパーで筋目を万遍なく付ける事を怠ったとき、又、輪転機の印刷速度が速すぎるときや、水性インキを使用して印刷するときに顕著に現れる現象である。
版カブリの原因は、印刷用版面の非画線部にドクターを通過してしまった微小なインキが乾かないで転移するためである。印刷用版面の非画線部に版カブリの原因となるインキの量が大きい場合には、ドクターブレードがシャープではなくなりインキに対する切れが悪くなったことが原因であるか、又は、印刷用版面が余りにも鏡面状態になっていて自己潤滑性が悪くてドクターブレードとロール面との直接接触が行われてドクターブレードが微小にバイブレーションを起こしてインキを通過させることに原因がある。従って、ドクターを交換したり、ロールにサンドペーパーによる微小な傷つけを行うことで大体は解消できる。
これに対して、水性インキを使用して印刷するときに顕著に現れる版カブリについては、インキの溶媒に水と少量のアルコールが使用されているので揮発速度がトルエンよりも遅いことに原因があり、輪転機で印刷する速度を油性インキを使用して印刷する速度よりも20%前後落としていた。
特開平4−282296号公報 特開2002−172752号公報 特開2000−10300号公報 特開2002−178653号公報 特開平11−309950号公報 特開平11−327124号公報 特開2000−15770号公報 特開2003−145952号公報
地球温暖化防止の観点から、炭酸ガス排出の原因になるトルエンが50%前後も入っている油性インキの使用を止めて水性インキを使用することが要望されているので、水性インキを使用して印刷する速度を油性インキを使用して印刷する速度と略同等としても版カブリが起きないように、水性インキの改良やドクターブレードの改良やグラビア製版ロール等に何らかの改善が求められていた。
本発明者の一人は、ロールにサンドペーパーによる微小な傷つけを行なうことで版カブリを解消できることに着目して、鋭意研究し、非画線部に3.5μm×7.0μmのセルを設けて水性インキを使用して印刷したところ版カブリが生じなかったことを既に確認した。
そこで、非画線部にインキが転移しない微小な傷を無数に備えていて、ロールにサンドペーパーによる微小な傷つけを併用すると、水性インキを使用して印刷する速度を油性インキを使用して印刷する速度と略同等としても版カブリが起き難いという知見に基づいて、新規なグラビア製版ロール及びグラビア製版方法を完成し、既に提案した(特許文献8)。
一方で、本発明者等は、クロム層に替わる表面強化被覆層について鋭意研究を続けたところ金属層と炭化金属層とダイヤモンドライクカーボン(DLC)層とを組み合わせて用いることによってクロム層に匹敵する強度を有しかつ毒性はなく公害発生の心配も全くない表面強化被覆層を得ることができることを見出した。
本発明は、版カブリを改善できるとともに、毒性がなくかつ公害発生の心配も皆無な表面強化被覆層を具備するとともに耐刷力に優れた新規なグラビア製版ロール及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のグラビア製版ロールは、中空ロールと、該中空ロールの表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅メッキ層と、該銅メッキ層の表面に設けられた金属層と、該金属層の表面に設けられた当該金属の炭化金属層と、該炭化金属層の表面を被覆するダイヤモンドライクカーボン被膜とを含むグラビア製版ロールであって、前記銅メッキ層のハイライト部の最小のグラビアセルよりも小さくてインキの転移が行われない大きさのピットを、非画線部においてスクリーン線の1ピッチのエリア内に少なくとも1つ存在するように配列したことを特徴とする。
本発明のグラビア製版ロールの製造方法は、中空ロールを準備する工程と、該中空ロールの表面に銅メッキ層を形成する銅メッキ工程と、該銅メッキ層の表面に多数のグラビアセル及びピットを形成するグラビアセル及びピット形成工程と、該銅メッキ層の表面に金属層を形成する金属層形成工程と、該金属層の表面に当該金属の炭化金属層を形成する炭化金属層形成工程と、該炭化金属層の表面にダイヤモンドライクカーボン被膜を形成するダイヤモンドライクカーボン被膜形成工程とを含むグラビア製版ロールの製造方法であって、前記グラビアセル及びピット形成工程において、前記銅メッキ層のハイライト部の最小のグラビアセルよりも小さくてインキの転移が行われない大きさのピットを、非画線部においてスクリーン線の1ピッチのエリア内に少なくとも1つ存在するように配列したことを特徴とする。
前記炭化金属層が、好ましくは炭化金属傾斜層であって、前記炭化金属傾斜層における炭素の組成比が前記金属層側から前記ダイヤモンドライクカーボン被膜方向に対して炭素の比率が徐々に増大するように設定されている。
前記銅メッキ層の厚さが50〜200μm、前記グラビアセルの深度が5〜150μm、前記金属層の厚さが0.001〜1μm、好ましくは0.001〜0.1μm、さらに好ましくは0.001〜0.05μm、前記炭化金属層の厚さが0.1〜1μm、及び前記ダイヤモンドライクカーボン被膜の厚さが0.1〜10μmであることが好ましい。
前記金属層、前記炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層及び前記ダイヤモンドライクカーボン被膜をスパッタリング法によってそれぞれ形成することが好適である。
前記金属が炭化可能でありかつ銅と親和性の高い金属であることが好ましい。
前記金属が、タングステン(W)、珪素(Si)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、及びジルコニウム(Zr)からなる群から選ばれる一種又は二種以上の金属であることが好適である。
前記グラビアセル及びピットの形成をエッチング法又は電子彫刻法によって行うことが好ましい。
前記グラビアセルの形成パターンのデジタル版情報と前記ピットの配列パターンのデジタル版情報とを重畳させた合成デジタル版情報を作成し、該重畳させた合成デジタル版情報に基づいて、前記グラビアセル及びピットを形成することが好適である。
本発明のグラビア製版ロールによれば、ドクターブレードを通過したインキは非画線部に形成した無数の微小なセルの中へ毛管現象により入って版カブリの改善が見られ、サンドペーパーによる微小な傷つけを併用すると版カブリが大幅に解消される。そして、水性インキを使用して印刷する速度を油性インキを使用して印刷する速度と略同等としても版カブリが起きない。
本発明のグラビア製版ロールの製造方法によれば、本発明のグラビア製版ロールを良好に製版でき、上記の効果が得られる。また、本発明によれば、表面強化被覆層としてダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を用いることにより、クロムメッキ工程を省略することができるので、毒性の高い六価クロムを用いることがなくなり、作業の安全性を図るための余分なコストが不要で、公害発生の心配も全くなく、しかもダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜はクロム層に匹敵する強度を有し耐刷力にも優れるという大きな効果を奏するものである。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これら実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
図1は本発明のグラビア製版ロールの製造工程を模式的に示す説明図で、(a)は中空ロールの全体断面図、(b)は中空ロールの表面に銅メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(c)は中空ロールの銅メッキ層にグラビアセル及びピットを形成した状態を示す部分拡大断面図、(d)は中空ロールの銅メッキ層表面に金属層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(e)は中空ロールの金属層表面に炭化金属層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(f)は中空ロールの炭化金属層表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を被覆した状態を示す部分拡大断面図である。図2は本発明のグラビア製版ロールの製造方法を示すフローチャートである。図3は本発明のグラビア製版ロールの要部の拡大断面図である。図4は本発明のグラビア製版ロールの各層の積層状態を示す拡大断面図である。
本発明方法を図1〜図4を用いて説明する。図1(a)、図3及び図4において、符号10は版母材で、アルミニウム又は鉄等からなる金属製又は炭素繊維強化樹脂(CFRP)等の強化樹脂製の中空ロールが用いられる(図2のステップ100)。該中空ロール10の表面には銅メッキ処理によって銅メッキ層12が形成される(図2のステップ102)。
該銅メッキ層12の表面には多数の微小な凹部(グラビアセル)14及びピット15が形成される(図2のステップ104)。グラビアセル14の形成方法としては、エッチング法(版胴面に感光液を塗布して直接焼き付けた後、エッチングしてグラビアセル14を形成する)や電子彫刻法(デジタル信号によりダイヤモンド彫刻針を機械的に作動させ銅表面にグラビアセル14を彫刻する)等の公知の方法を用いることができるが、エッチング法が好適である。
次に、グラビアセル14を形成した銅メッキ層12(グラビアセル14を含む)の表面に金属層16を形成する(図2のステップ106)。さらに、この金属層16の表面に当該金属の炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層18を形成する(図2のステップ108)。金属層16及び炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層18の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法(エレクトロンビーム法)、イオンプレーティング法、MBE(分子線エピタキシー法)、レーザーアブレーション法、イオンアシスト成膜法、プラズマCVD法等の公知の方法を適用できるが、スパッタリング法が好適である。
前記金属としては、炭化可能でありかつ銅と親和性の高い金属が好ましい。この金属としては、タングステン(W)、珪素(Si)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、及びジルコニウム(Zr)等を用いることができる。
前記炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層18における金属は前記金属層16と同一の金属を用いる。炭化金属傾斜層18における炭素の組成比は金属層16側から後述するダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20方向に対して炭素の比率が徐々に増大するように設定する。つまり、炭素の組成比は0%〜徐々に(階段状もしくは無段階状に)比率を増し、最後はほぼ100%となるように成膜を行う。
この場合、炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層18中の炭素の組成比の調整方法は公知の方法を用いればよいが、例えば、スパッタリング法(固体金属ターゲットを用い、アルゴンガス雰囲気で炭化水素ガス、例えば、メタンガス、エタンガス、プロパンガス、ブタンガス、アセチレンガス等の注入量を階段状又は無段階状に徐々に増大する)によって、炭化金属層18中の炭素の割合が銅メッキ層12の側からダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20方向に対して階段状又は無段階状に徐々に増大するように炭素及び金属の両者の組成割合を変化させた炭化金属層、即ち炭化金属傾斜層18を形成することができる。
このように炭化金属層18の炭素の割合を調整することによって銅メッキ層12及びダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20の双方に対する炭化金属層18の密着度を向上させることができる。また、炭化水素ガスの注入量を一定とすれば、炭素及び金属の組成割合を一定とした炭化金属層とすることができ、炭化金属傾斜層と同様の作用を行わせることができる。
続いて、前記炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層18の表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20を被覆形成する(図2のステップ110)。ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20の形成方法としては、金属層16及び炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層18の形成と同様に、スパッタリング法、真空蒸着法(エレクトロンビーム法)、イオンプレーティング法、MBE(分子線エピタキシー法)、レーザーアブレーション法、イオンアシスト成膜法、プラズマCVD法等の公知の方法を適用できるが、スパッタリング法が好適である。
上記したダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20を被覆し、このダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜20を表面強化被覆層として作用させることによって、毒性がなくかつ公害発生の心配も皆無となるとともに耐刷力に優れたグラビア製版ロール10aを得ることができる。
ここで、スパッタリング法は、薄膜にしたい材料(ターゲット材料)にイオンをぶつけると材料がはね飛ばされるが、このはね飛ばされた材料を基板上に堆積させ薄膜を作製する方法であり、ターゲット材料の制約が少なく、薄膜を大面積に再現性よく作製できるなどの特徴がある。
真空蒸着法(エレクトロンビーム法)は、薄膜にしたい材料に電子ビームを照射し加熱蒸発させ、この蒸発させた材料を基板上に付着(堆積)させ、薄膜を作製する方法であり、成膜速度が速く基板へのダメージが少ない等の特徴がある。
イオンプレーティング法は、薄膜にしたい材料を蒸発させた後、高周波(RF)(RFイオンプレーティング法)又はアーク(アークイオンプレーティング法)によりイオン化させた基板上に堆積させ薄膜を作製する方法であり、成膜速度が速い、付着強度が大きい等の特徴がある。
分子線エピタキシー法は、超高真空中で原料物質を蒸発させ、加熱した基板上へ供給し薄膜を形成する方法である。
レーザーアブレーション法は、ターゲットに高密度化したレーザーパルスを入射することによりイオンを放出させ、対向の基板上に薄膜を形成する方法である。
イオンアシスト成膜法は、真空容器内に蒸発源とイオン源とを設置し、イオンを補助的に利用して成膜する方法である。
プラズマCVD法は、減圧下でCVD法を行う際により低温で薄膜形成を行う目的から、プラズマ励起を利用して原料ガスを分解させ、基板上で反応堆積させる方法である。
図3は本発明のグラビア製版ロールの要部の拡大断面を示す。符号14aは、ハイライト部の最小グラビアセルであり(円形の場合、油性インキで直径30μm、水性インキで直径15μm)、インキの転移が可能である。符号15は、非画線部に設けたピット(この明細書において、インキの転移が可能な凹部をグラビアセルとして技術用語を使い分けた)であり、ハイライト部の最小グラビアセル14aよりも小さくてインキの転移が行われない大きさである。ピット15は、スクリーン線の1ピッチのエリア内に少なくとも1つ存在するように配列していれば足りる。通常のグラビア製版ロールは、グラビアセルのピッチが決まっているので、非画線部に設けることが出来るインキの転移が不能な微小なピットもグラビアセルの配列に従うことになる。微小なピットをスクリーン線の1ピッチのエリア内に1個設けることには限定されるものではなく、パターニングにより数個設けることができる。ハイライト部の最小グラビアセル14aよりも小さくてインキの転移が行われない大きさのピットとは、具体的には、例えば、7.0μm×7.0μmの大きさが該当する。
製版において、非画線部にインキの転移が不能な微小なピットを設けるには、版を形成する前のグラビアセルの形成パターンのデジタル版情報とピットの配列パターンのデジタル版情報とを重畳させた合成デジタル版情報を作成し、この合成デジタル版情報に基づいて露光を行うことで達成できる。
ピットの配列パターンは、ピットのロール周方向のピッチがランダムな配列になるようにしてピットがスクリーン線の周方向の同一位置を切ることはなく、ドクターのインキ掻き取り機能を阻害することがないようにする。
本発明のグラビア製版ロールの製造方法は、上記の合成デジタル版情報を作成して、該重畳させた合成デジタル版情報に基づいて、グラビアセル及びピットを形成するのが好ましい。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(実施例1)
円周600mm、面長1100mmのグラビアシリンダー(アルミ中空ロール)をメッキ槽に装着し、陽極室をコンピューターシステムによる自動スライド装置で20mmまで中空ロールに近接させ、メッキ液をオーバーフローさせ、中空ロールを全没させて18A/dm2、6.0Vで80μmの銅メッキ層を形成した。メッキ時間は20分、メッキ表面はブツ等の発生がなく、均一な銅メッキ層を得た。
上記形成した銅メッキ層に感光膜をコートして画像をレーザー露光し現像しバーニングしてレジスト画像を形成し、次いでプラズマエッチング等のドライエッチングを行ってグラビアセルからなる画像を彫り込み及びピットを形成し、その後レジスト画像を取り除くことにより印刷版を形成した中空ロールを作製した。
このグラビアセル及びピットを形成した銅メッキ層の上面にスパッタリング法によってタングステン(W)層を形成した。スパッタリング条件は次の通りである。タングステン(W)試料:固体タングステンターゲット、雰囲気:アルゴンガス雰囲気、成膜温度:200〜300℃、成膜時間:60分、成膜厚さ:0.03μm。
次に、タングステン層(W)の上面に炭化タングステン層を形成した。スパッタリング条件は次の通りである。タングステン(W)試料:固体タングステンターゲット、雰囲気:アルゴンガス雰囲気で炭化水素ガスを徐々に増加、成膜温度:200〜300℃、成膜時間:60分、成膜厚さ:0.1μm。
さらに、炭化タングステン層の上面にスパッタリング法によってダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を被覆形成した。スパッタリング条件は次の通りである。DLC試料:固体カーボンターゲット、雰囲気:アルゴンガス雰囲気、成膜温度:200〜300℃、成膜時間:150分、成膜厚さ:1μm。このようにして、グラビア製版ロール(グラビアシリンダー)を完成した。このとき、グラビアセルの深度は10μm、最小グラビアセルは直径15μmの円形で、非画線部に2μm×5μmのピットが形成されていることを確認した。そして、このグラビアシリンダーに対してサンドペーパーによる微少な傷つけを部分的に行った。
上記したグラビアシリンダーに対しては水性インキを適用してOPP(Oriented Polypropylene Film:2軸延伸ポリプロピレンフィルム)を用いて印刷テスト(印刷速度:200m/分、OPPフィルムの長さ:4000m)を行った。得られた印刷物において、サンドペーパーによる微少な傷つけを付与した部分の版カブリはなく、又、サンドペーパーによる微少な傷つけを付与しなかった部分の版カブリも少なかった。また、転位性も良好であった。さらに、この結果として、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜は従来のクロム層に匹敵する性能を有し、クロム層代替品として充分使用できることを確認した。
(実施例2)
実施例1と同様にしてグラビアセル及びピットを形成した中空ロールを作製した。上記中空ロールに対してタングステン(W)試料を珪素(Si)試料に変更した以外は実施例1と同様に処理してグラビア製版ロールを完成し、同様に印刷テストを行ったところ、実施例1と同様にサンドペーパーによる微少な傷つけを付与した部分の版カブリがなく、又、サンドペーパーによる微少な傷つけを付与しなかった部分の版カブリも少なく、転位性が良好な印刷物を得ることができた。これらの実施例においてもダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜は従来のクロム層に匹敵する性能を有し、クロム層代替品として充分使用できることを確認した。
なお、金属試料として、チタン(Ti)、クロム(Cr)を用いて同様の実験を行い、同様の結果が得られることを確認した。
(実施例3)
版を形成する前の版情報として0%〜100%のグラデーションを用意した。そして、レーザービームをロール周方向に二個並べて3.5μm×7.0μmの大きさの単位露光面積としてロール面長方向に140μmピッチの配列となるように、かつロール周方向のピッチを70μm〜140μmの範囲でランダムな配列になるようにして照射が行えるパターンを作成して、これをスクリーニングプログラムによりスクリーニングを行って得られるスクリーンのデジタル情報を前記のグラデーションに重畳させたデジタル版情報を作成した。
次いで、ロールの鏡面仕上げした銅メッキ面にカナダのクレオサイテックス社製のポジタイプの感光膜を塗布し、残留溶剤が2%以下になるように感光膜を乾燥させてから、赤外線レーザーを1.8μm×7.0μmの大きさを単位出力として照射し得るレーザーヘッドを備えたレーザー露光装置により、ロール面長方向に長くなるように1.8μm×7.0μmの大きさのレーザービームをロール周方向に二個並べて3.5μm×7.0μmの大きさの単位露光面積としてロール周方向及びロール面長方向に28μmピッチで並べるように照射して露光を行い、次いで、現像―エッチング―レジスト剥離―タングステン(W)層形成―炭化タングステン傾斜層の形成―ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜形成を行ってテスト版を作成した。タングステン層―炭化タングステン層―DLC被膜の形成は実施例1と同様の手順で行った。このテスト版は非画線部に2.0μm×5.0μmのピットが形成されたことを確認した。そして、ロールへサンドペーパーによる微小な傷つけを部分的に行った。
グラビア輪転印刷機に取付けて水性インキを用いて毎分120mの印刷速度で印刷したところ、良好なグラデーションの印刷が行われた。2.0μm×5.0μmのピットがグラデーションのセルにくっついたところが生じたが濃淡階調度を損なう大きな影響は生じなかった。そして、非画線部における版カブリは大きな改善が見られた。即ち、サンドペーパーによる微小な傷つけを付与した部分の版カブリはなく、又、サンドペーパーによる微少な傷つけを付与しなかった部分の版カブリも少なかった。2.0μm×5.0μmのピットがスクリーン線の周方向の同一位置を切ることはなく、ドクターのインキ掻き取り機能を阻害することがなかった。その他、上記した実施例1と同様の結果が得られた。
本発明のグラビア製版ロールの製造工程を模式的に示す説明図で、(a)は中空ロールの全体断面図、(b)は中空ロールの表面に銅メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(c)は中空ロールの銅メッキ層にグラビアセルを形成した状態を示す部分拡大断面図、(d)は中空ロールの銅メッキ層表面に金属層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(e)は中空ロールの金属層表面に炭化金属層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(f)は中空ロールの炭化金属層表面にダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜を被覆した状態を示す部分拡大断面図である。 本発明のグラビア製版ロールの製造方法を示すフローチャートである。 本発明のグラビア製版ロールの要部の拡大断面図である。 本発明のグラビア製版ロールの各層の積層状態を示す拡大断面図である。
符号の説明
10:版母材(中空ロール)、10a:グラビア製版ロール、12:銅メッキ層、14:グラビアセル、14a:最小グラビアセル、15:ピット、16:金属層、18:炭化金属層、好ましくは炭化金属傾斜層、20:ダイヤモンドライクカーボン(DLC)被膜。

Claims (13)

  1. 中空ロールと、該中空ロールの表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅メッキ層と、該銅メッキ層の表面に設けられた金属層と、該金属層の表面に設けられた当該金属の炭化金属層と、該炭化金属層の表面を被覆するダイヤモンドライクカーボン被膜とを含むグラビア製版ロールであって、前記銅メッキ層のハイライト部の最小のグラビアセルよりも小さくてインキの転移が行われない大きさのピットを、非画線部においてスクリーン線の1ピッチのエリア内に少なくとも1つ存在するように配列したことを特徴とするグラビア製版ロール。
  2. 前記炭化金属層が、炭化金属傾斜層であって、該炭化金属傾斜層における炭素の組成比が前記金属層側から前記ダイヤモンドライクカーボン被膜方向に対して炭素の比率が徐々に増大するように設定されていることを特徴とするグラビア製版ロール。
  3. 前記銅メッキ層の厚さが50〜200μm、前記グラビアセルの深度が5〜150μm、前記金属層の厚さが0.001〜1μm、前記炭化金属層の厚さが0.1〜1μm、及び前記ダイヤモンドライクカーボン被膜の厚さが0.1〜10μmであることを特徴とする請求項1又は2記載のグラビア製版ロール。
  4. 前記金属が炭化可能でありかつ銅と親和性の高い金属であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のグラビア製版ロール。
  5. 前記金属が、タングステン(W)、珪素(Si)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、及びジルコニウム(Zr)からなる群から選ばれる一種又は二種以上の金属であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のグラビア製版ロール。
  6. 中空ロールを準備する工程と、該中空ロールの表面に銅メッキ層を形成する銅メッキ工程と、該銅メッキ層の表面に多数のグラビアセル及びピットを形成するグラビアセル及びピット形成工程と、該銅メッキ層の表面に金属層を形成する金属層形成工程と、該金属層の表面に当該金属の炭化金属層を形成する炭化金属層形成工程と、該炭化金属層の表面にダイヤモンドライクカーボン被膜を形成するダイヤモンドライクカーボン被膜形成工程とを含むグラビア製版ロールの製造方法であって、前記グラビアセル及びピット形成工程において、前記銅メッキ層のハイライト部の最小のグラビアセルよりも小さくてインキの転移が行われない大きさのピットを、非画線部においてスクリーン線の1ピッチのエリア内に少なくとも1つ存在するように配列したことを特徴とするグラビア製版方法。
  7. 前記炭化金属層が、炭化金属傾斜層であって、該炭化金属傾斜層における炭素の組成比が前記金属層側から前記ダイヤモンドライクカーボン被膜方向に対して炭素の比率が徐々に増大するように設定することを特徴とする請求項6記載のグラビア製版方法。
  8. 前記銅メッキ層の厚さが50〜200μm、前記グラビアセルの深度が5〜150μm、前記金属層の厚さが0.001〜1μm、前記炭化金属層の厚さが0.1〜1μm、及び前記ダイヤモンドライクカーボン被膜の厚さが0.1〜10μmであることを特徴とする請求項6又は7記載のグラビア製版ロールの製造方法。
  9. 前記金属層、前記炭化金属傾斜層及び前記ダイヤモンドライクカーボン被膜をスパッタリング法によってそれぞれ形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項記載のグラビア製版ロールの製造方法。
  10. 前記金属が炭化可能でありかつ銅と親和性の高い金属であることを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項記載のグラビア製版ロールの製造方法。
  11. 前記金属が、タングステン(W)、珪素(Si)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、及びジルコニウム(Zr)からなる群から選ばれる一種又は二種以上の金属であることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項記載のグラビア製版ロールの製造方法。
  12. 前記グラビアセル及びピットの形成をエッチング法又は電子彫刻法によって行うことを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項記載のグラビア製版ロールの製造方法。
  13. 前記グラビアセルの形成パターンのデジタル版情報と前記ピットの配列パターンのデジタル版情報とを重畳させた合成デジタル版情報を作成し、該重畳させた合成デジタル版情報に基づいて、前記グラビアセル及びピットを形成することを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項記載のグラビア製版ロールの製造方法。
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WO2009091229A3 (en) * 2008-01-17 2009-10-29 Lg Chem, Ltd. Method of manufacturing gravure plates for offset printing
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JP2017029909A (ja) * 2015-07-31 2017-02-09 オーエスジー株式会社 グラビアロール及びグラビアロールの製造方法

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