JP2007113454A - 希薄燃焼式内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 NOX吸蔵還元触媒の硫黄被毒回復操作を効率的に行う。
【解決手段】 自動変速機3を有する機関1の排気通路5にNOX吸蔵還元触媒7を配置し、排気中のNOXの浄化を行う。機関の電子制御ユニット30は、触媒7に蓄積されたSOX成分を脱離させるために機関をリッチ空燃比で排気温度が上昇する運転状態で運転する硫黄被毒回復操作を行うとともに、硫黄被毒回復操作実行中は、車両停止時に自動変速機のクラッチの係合圧を低下させるニュートラル制御を禁止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、希薄燃焼式内燃機関の制御装置に関する。
理論空燃比よりリーンな空燃比での燃焼を行うことが可能な希薄燃焼式内燃機関が知られている。希薄燃焼式内燃機関では、排気中のNOXを浄化するためにNOX吸蔵還元触媒が使用される。
NOX吸蔵還元触媒は、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを吸着または吸収により内部に吸蔵し、流入する排気の空燃比がリッチになったときに、吸蔵したNOXを排気中のCO、H2などの還元成分や炭化水素(HC)成分を用いて還元浄化するものである。
上記のようなNOX吸蔵還元触媒を希薄燃焼式内燃機関の排気通路に配置した場合、機関がリーン空燃比(希薄燃焼)で運転されている間NOX吸蔵還元触媒にはリーン空燃比の排気が流入するため、NOX吸蔵還元触媒は排気中のNOXを吸蔵する。従って、機関のリーン空燃比運転中はNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOXの量は増大して行く。
NOX吸蔵還元触媒は、吸蔵したNOX量がNOX吸蔵還元触媒の吸蔵可能な最大NOX量(NOX吸蔵能力)に到達すると、NOX吸蔵還元触媒はもはやNOXを吸蔵することはできなくなり、排気中のNOXは吸蔵されることなくNOX吸蔵還元触媒を通過して大気に放出されるようになる。
そこで、NOX吸蔵還元触媒を用いる場合には、機関のリーン空燃比運転が続いてNOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量が増大する毎に、機関を短時間リッチ空燃比で運転するリッチスパイク操作を行い、NOX吸蔵還元触媒が吸蔵したNOXを還元浄化するようにしている。リッチスパイク操作を実行することにより、NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵量は低下し、NOX吸蔵還元触媒は再度NOXを吸蔵し続けることが可能となる。
ところで、内燃機関の排気中には燃料や潤滑油中に含まれる微量の硫黄の燃焼により発生したSOXが含まれている。リーン空燃比排気中にSOXが含まれていると、NOX吸蔵還元触媒はNOXと全く同様にSOXを吸蔵する。
ところが、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOXはNOXの場合に比べて安定した化合物を生成するため、NOXの還元浄化のためのリッチスパイク操作を行ってもほとんどNOX吸蔵還元触媒から離脱することはない。
このため、NOXの吸蔵と還元浄化とを繰返すうちにNOX吸蔵還元触媒には徐々ににSOXが蓄積されて行き、それに応じてNOX吸蔵能力が低下するようになる、いわゆるNOX吸蔵還元触媒の硫黄被毒が生じる。
NOX吸蔵還元触媒のNOX吸蔵能力が低下すると、吸蔵NOXによるNOX吸蔵還元触媒の飽和を防止するために、短い間隔でリッチスパイク操作を行う必要が生じるため、機関の燃料消費量が悪化したり、或は吸蔵されずに触媒を通過するNOX量が増大し排気エミッションが悪化する問題が生じる。
この問題を防止するため、NOX吸蔵還元触媒を使用する場合には吸蔵したSOX量が増大する毎にNOX吸蔵還元触媒からSOXを脱離させる硫黄被毒回復操作を行う必要がある。前述したように、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOXは比較的安定した化合物(硫酸塩)を生成するため、通常のリッチスパイク操作では触媒から脱離しないが、リッチ空燃比の排気を供給しながらNOX吸蔵還元触媒を通常の運転時より高温に保持することにより、触媒内の硫酸塩を分解し触媒からSOXを脱離させることができる。
従って、通常のリッチスパイク操作に加えて、排気温度が高くなる運転条件で機関のリッチ空燃比運転を行う硫黄被毒回復操作を実行することにより、NOX吸蔵還元触媒の硫黄被毒を解消することが可能となる。
一方、自動変速機を搭載した車両などでは、燃費低減のため車両停止中などに、いわゆるニュートラル制御を実行するものがある。
ニュートラル制御は、例えば車両の停止中に自動変速機のシフト位置がDレンジ(ドライブポジション)にセットされ、かつ所定の条件(アクセル開度がゼロなど)が成立したときに機関出力軸から自動変速機にトルクを伝達するクラッチの係合圧を低下させる制御である。
係合圧を低下させてクラッチを解放すると変速機駆動負荷がなくなるため、車両停止時のアイドリング時には自動変速機のシフト位置がDレンジに保持されたままであっても、ニュートラル位置に切替えられたのと同様な状態になり、機関負荷が低減されアイドル運転時の機関燃費が低減されるようになる。
なお、ニュートラル制御時にクラッチを完全に解放してしまうとニュートラル制御終了時(車両発進時)にクラッチが接続される際に接続ショックが生じるため、実際にはニュートラル制御時にはクラッチを完全には解放せずにスリップ状態にする程度にクラッチ係合圧を低下させる制御も行われている。
このように、ニュートラル制御が行われるとアイドル時に機関負荷が低下するため排気温度も低くなる。このため、一般にニュートラル制御が行われると触媒温度も低下する。
例えば、特許文献1に記載の排気浄化装置では、ニュートラル制御が実行され触媒温度が設定温度より低くなった場合にはニュートラル制御を停止してクラッチ係合圧を増大させるようにしている。
ニュートラル制御が実行され、排気温度が低くなると触媒温度も低下するため、場合によっては触媒温度が活性化温度より低くなるおそれがあるが、触媒温度が活性化温度より低くなると、排気浄化触媒はもはや排気の浄化を行うことができず、排気エミッションが悪化するようになる。
特許文献1の装置は、排気浄化触媒温度が設定温度(例えば活性化温度)以下になった場合にはニュートラル制御を停止するようにして、排気浄化触媒の触媒性能の低下を防止し、常に排気エミッションを良好な状態に維持することを可能としている。
特開2004−17759号公報 特開2004−44722号公報 特開2004−278465号公報
上述したように、特許文献1の排気浄化装置では、触媒温度が設定温度より低下した場合にニュートラル制御を停止することにより触媒の活性を維持している。
しかし、硫黄被毒回復操作を行う場合、上記特許文献1の装置のように触媒温度が設定温度以下になったときにニュートラル制御を停止するようにしたのでは問題が生じる。
前述したように、硫黄被毒回復操作時には排気空燃比をリッチ空燃比にするとともに排気温度を通常よりかなり高い温度(例えば920°K以上)に維持する必要がある。
このため、特許文献1の装置のように触媒温度が触媒活性化温度より低くなったときにニュートラル制御を停止するようにしていたのでは、実際には硫黄被毒回復操作実行中にはニュートラル制御が停止される温度まで触媒温度が低下することがなく、車両停止時にはニュートラル制御が実行されてしまう問題がある。
ところが、ニュートラル制御が実行されると機関負荷が低下するため排気温度が低下する。この場合硫黄被毒回復操作を実行しているので触媒温度が活性化温度まで低下することはないものの、触媒を硫黄被毒回復に必要な高温に維持することができなくなってしまう。
また、一旦触媒温度が低下してしまうと、再度触媒を硫黄被毒回復に必要な温度まで昇温するために時間と余分な燃料と時間とが必要となり、全体として硫黄被毒回復操作に要する時間が増大し燃費も悪化するという問題が生じる。
この問題を解決するために、理論的にはニュートラル制御を停止する触媒の下限温度を高く設定することも可能ではあるが、ニュートラル制御を停止する触媒温度を高く設定したのでは通常運転時にニュートラル制御が実行されなくなってしまう。
本発明は上記問題に鑑み、ニュートラル制御を行う場合にも硫黄被毒回復を効率的に行い、硫黄被毒回復操作に要する時間の増大や燃費の悪化を生じる事なくNOX吸蔵還元触媒のNOX浄化効率を高く維持することが可能な希薄燃焼式内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
本発明によれば、車両に搭載される希薄燃焼式内燃機関の制御装置であって、予め定めた車両走行条件が成立したときに、前記内燃機関から変速機に駆動力を伝達するクラッチの係合力を低下させるニュートラル制御を行うニュートラル制御手段を備えるとともに、前記機関の排気通路に配置されたNOX吸蔵還元触媒に蓄積された硫黄成分を触媒から除去するためにNOX吸蔵還元触媒に高温かつリッチ空燃比の排気を供給する硫黄被毒回復操作を実行中は、前記ニュートラル制御手段によるニュートラル制御の実行を禁止する、希薄燃焼式内燃機関の制御装置が提供される。
すなわち、本発明ではニュートラル制御のオン・オフを触媒温度で制御するのではなく、硫黄被毒回復操作を実行中には無条件でニュートラル制御を禁止するようにしている。
これにより、硫黄被毒回復操作実行中にはニュートラル制御が実行されることがなくなるため、触媒温度は硫黄被毒回復に必要な温度まで上昇した後はその温度に維持されるようになり、短期間で触媒からの硫黄の脱離が完了する。
本発明では硫黄被毒回復操作実行中はニュートラル制御が行われないため、車両停止時にアイドル運転の燃費低減は行われないことになるが、ニュートラル制御による触媒温度の低下がなく硫黄被毒回復操作実行中に何度も触媒を昇温させる必要がないため、硫黄被毒回復操作に要する燃料量が低減され、更に触媒の硫黄被毒回復操作を短時間で終了し機関のリーン空燃比運転を早期に再開することができるため、全体として機関の燃費を低減することが可能となる。
本発明によれば、硫黄被毒回復操作実行中はニュートラル制御を禁止するようにしたため、触媒の硫黄被毒を短時間で効率的に解消することが可能となり、NOX吸蔵還元触媒のNOX浄化効率を高く維持するとともに、全体として機関の燃費を低減することが可能となる。
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態の概略構成を示す図である。
図1において、1は自動車用内燃機関を示す。本実施形態では機関1としては4気筒ガソリンエンジンが使用される。本実施形態の機関1は希薄燃焼式機関(いわゆるリーンバーンエンジン)であり、理論空燃比よりリーンの空燃比領域を含む広い空燃比範囲で運転が可能な機関とされている。
図1に3で示すのは機関1の出力軸に接続された自動変速機である。本実施形態の自動変速機3としてはトルクコンバータと変速段とを有する形式の自動変速機、或は変速段を有さないCVT(無段変速)型の自動変速機のいずれでも使用可能である。
機関1の排気通路5にはNOX吸蔵還元触媒7が配置されている。
NOX吸蔵還元触媒7は、流入する排気の空燃比がリーンのときに排気中のNOXを硝酸塩の形で吸蔵し、流入する排気の空燃比が理論空燃比またはリッチ空燃比になったときに排気中のCO、H2などの還元成分やHC(炭化水素)成分を用いて吸蔵したNOXを還元浄化する。
図1に30で示すのは、機関1の電子制御ユニット(ECU)である。
ECU30は、機関の燃料噴射制御や点火時期制御などの基本制御を行う他、本実施形態では後述する自動変速機3のニュートラル制御とNOX吸蔵還元触媒7のリッチスパイク操作及び硫黄被毒回復操作などの制御を行う。
これらの制御を行うため、ECU30には機関1のアクセル開度(アクセルペダルの踏込み量)ACC、機関回転数NE、機関吸入空気量GA、車両走行速度SPD等の信号がそれぞれ対応するセンサから入力されている。
また、ECU30は燃料噴射回路を介して機関1の各気筒の吸気ポートに設けられた燃料噴射弁(図示せず)に接続され、各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射タイミングを制御している他、点火回路を介して各気筒の点火プラグに接続され、各気筒の点火時期を制御している。
また、ECU30は、自動変速機3のクラッチを動作させるアクチュエータ9に接続され、クラッチの係合圧を変化させる。
次に、NOX吸蔵還元触媒7のリッチスパイク操作について説明する。
前述したように、NOX吸蔵還元触媒7は硝酸塩の形でリーン空燃比排気中のNOX成分を吸蔵する。このため、機関1がリーン空燃比で運転されている間はNOX吸蔵還元触媒7は排気中のNOXを吸蔵し続け、NOX吸蔵還元触媒7中のNOX(硝酸塩)の量が増大する。
このため、吸蔵したNOX量がある程度増大する毎に機関1を短時間リッチ空燃比で運転するリッチスパイク操作を行うことによりNOX吸蔵還元触媒7にリッチ空燃比の排気を供給し、触媒7が吸蔵したNOXを脱離させて排気中のH2やCO、HC成分により還元浄化してN2として大気に放出するようにしている。
ところが、リッチスパイク操作ではNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOXは脱離させることができるものの、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵された硫黄成分は脱離させることができない。
NOX吸蔵還元触媒はリーン空燃比の排気中の硫黄酸化物(SOX)をNOXと同様に吸蔵する。ところが、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOXは安定した硫酸塩を生成するため、単にNOX吸蔵還元触媒をリッチ空燃比雰囲気にした程度ではNOX吸蔵還元触媒から脱離させることができない。
このため、NOXの還元浄化用のリッチスパイク操作のみを繰返しているとNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOX量が増大してしまい、前述した硫黄被毒の問題が生じるのである。
この硫黄被毒の問題を解消するため、本実施形態ではNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOXの量が増大する毎に以下の硫黄被毒回復操作を行い、SOXをNOX吸蔵還元触媒から脱離させるようにしている。
前述したように、硫黄被毒回復操作では機関1を理論空燃比よりややリッチ空燃比で運転するとともに、触媒温度を内部に形成された硫酸塩が分解するのに十分な温度(例えば920°K程度)になるまで昇温させる。
これにより、硫酸塩の形でNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOXが触媒から脱離し、排気がリッチ空燃比に維持されているためNOX吸蔵還元触媒に再度吸蔵されることなく触媒下流側に排出されるようになる。
硫黄被毒回復操作において、触媒温度を上昇させる方法としては実際に用いられるものとしては(1)点火時期遅角、または(2)気筒別空燃比制御がある。
(1)点火時期遅角による硫黄被毒回復操作は、機関を理論空燃比よりややリッチな空燃比で運転しながら通常運転時に比べて点火時期を遅角させるものであり、気筒内の燃焼開始タイミングが通常より遅れるため、燃焼開始後膨張行程で十分に温度が下がる前に排気弁が開弁するようになり、気筒から通常より高温の排気が排出されるようになる。排気温度の上昇に伴って、NOX吸蔵還元触媒の温度も上昇し、NOX吸蔵還元触媒から吸蔵したSOXが脱離するようになる。
また、(2)気筒別空燃比制御による硫黄被毒回復操作では、例えば機関全体として空燃比が理論空燃比よりややリッチになるように各気筒の燃料噴射量の合計値を設定するとともに、機関の一部の気筒(例えば#1、#2気筒)の燃焼空燃比がリーン空燃比に、他の気筒(例えば#3、#4気筒)の燃焼空燃比がリッチ空燃比になるように、それぞれの気筒の燃料噴射量を調整する。
これにより、リーン空燃比で運転される気筒からは酸素を多く含んだリーン空燃比の排気が排出され、一方リッチ空燃比で運転される気筒からは、未燃燃料やHC、CO等を多く含んだリッチ空燃比の排気が排出される。
これらの排気は、NOX吸蔵還元触媒7内で混合し、未燃燃料やHC、COと酸素とを含む全体としてややリッチ空燃比の排気となる。このため、未燃燃料やHC、CO成分がNOX吸蔵還元触媒7上で酸素と反応し酸化反応によりNOX吸蔵還元触媒7温度が上昇する。これにより、NOX吸蔵還元触媒7内の硫酸塩が分解しSOXが放出されるが、触媒がややリッチ空燃比の雰囲気にあるためこれらのSOXはNOX吸蔵還元触媒に再吸蔵されることなく触媒から脱離するようになる。
なお、機関1としてディーゼル機関が使用される場合には、硫黄被毒回復操作としては上記(1)、(2)等の方法に代えて、各気筒で通常の燃料噴射に加えて膨張行程または排気行程中に追加の燃料噴射を行い、排気空燃比を理論空燃比よりややリッチするとともに排気中に未燃燃料やHC、CO成分を生成するようにする。これにより、NOX吸蔵還元触媒上で未燃燃料やHC、CO成分が酸素と反応し、上記(2)と同様にNOX吸蔵還元触媒温度が上昇する。
本実施形態では、上記(1)、(2)の方法のいずれかを用いて硫黄被毒回復操作を行うが、(1)、(2)のいずれにおいてもSOXが脱離する温度まで(例えば920°K程度)NOX吸蔵還元触媒を昇温させるのに十分な排気温度を得るためには、ある程度の機関負荷が必要となる。
このため、硫黄被毒回復操作実行中にニュートラル制御が行われ、機関負荷が低下すると排気温度が十分に上がらず、NOX吸蔵還元触媒を硫黄被毒回復に必要な温度まで昇温出来ない問題や、一旦硫黄被毒回復に必要な温度まで昇温したNOX吸蔵還元触媒がニュートラル制御が実行されることにより温度が低下してしまう問題が生じる。
また、硫黄被毒回復操作における点火時期の遅角や気筒別空燃比制御は、無負荷状態では燃焼が不安定になる場合があり、硫黄被毒回復操作実行中にニュートラル制御が行われた場合、燃焼不良が生じ極端な場合にはエンジンストールが生じる問題がある。
本実施形態では、ECU30は硫黄被毒回復操作実行中の場合には、通常であればニュートラル制御が開始される運転条件が成立した場合でもニュートラル制御の実行を禁止することにより上記の問題を解決している。
図2は、本実施形態の被毒回復操作とニュートラル制御操作とを説明するフローチャートである。
本操作はECU30により一定時間毎に実行されるルーチンとして行われる。
図2の操作では、まずステップ201で現在硫黄被毒回復操作実行フラグSの値が1にセットされているか否かが判定される。
フラグSの値は、別途ECU30により実行される硫黄被毒回復操作実行要否の判定の結果に応じてセットされ、NOX吸蔵還元触媒7に吸蔵されたSOX量が予め定めた値に増大したときに1に、硫黄被毒回復操作実行によりNOX吸蔵還元触媒からのSOXの脱離が完了したときに0に、それぞれセットされる。
排気ガス中に含まれるSOX成分はその大部分が燃料中の硫黄の燃焼によるものである。このため、ある期間内にNOX吸蔵還元触媒に吸蔵されるSOXの量は、その期間内に機関で燃焼した燃料の量に比例する。そこで、本実施形態では、機関1への燃料供給量(噴射量)を積算し、この積算値が所定値に到達する毎にNOX吸蔵還元触媒のSOX吸蔵量が増大したとして前述の硫黄被毒回復操作実行フラグSの値を1にセットする。
フラグSの値は後述するステップ205で、硫黄被毒回復操作が終了した(すなわち、NOX吸蔵還元触媒に吸蔵されたSOXの全量が離脱した)と判断されたときにステップ207でゼロにリセットされる。
ステップ201でS≠1であった場合には、すなわちNOX吸蔵還元触媒7のSOX吸蔵量はまだ増大しておらず、硫黄被毒回復操作を実行する必要はないため、ステップ209以下で通常の制御が行われる。
すなわち、ステップ209では、現在ニュートラル制御を実行する条件が成立しているか否かが車両走行状態に基づいて判断される。
ステップ209で判断するニュートラル制御実行条件は、(1)車両が停止していること(車速SPD≒0)、(2)変速機のシフトポジションがDレンジ(ドライブ)になっていること、(3)車両ブレーキペダルが踏まれていること、(4)機関暖機が完了していること、等である。
ステップ209で上記条件の全てが成立していた場合には、ステップ211に進み、ニュートラル制御が実行される。ニュートラル制御では、自動変速機3と機関出力軸とを接続するクラッチがの係合圧が低減され、クラッチが解放状態またはいわゆる半クラッチの状態に保持される。これにより、自動変速機の駆動負荷分だけ機関の負荷が低減され、車両停止(アイドリング時)の燃費が改善される。
ステップ209でニュートラル制御実行条件のいずれか一つ以上が成立しない場合には、ニュートラル制御は行われず、機関は通常運転される。
一方、ステップ201で硫黄被毒回復操作実行フラグSの値が1にセットされていた場合には、ステップ203以下の操作が行われ、車両走行条件にかかわらずニュートラル制御は実行されない。
すなわち、ステップ203では前述した点火時期遅角または気筒別空燃比制御による硫黄被毒回復操作が実行される。
本実施形態では、硫黄被毒回復操作はNOX吸蔵還元触媒が吸蔵したSOXの全量が脱離したと判断されるまで継続される。すなわち、本実施形態ではステップ203の操作を実行中、NOX吸蔵還元触媒からSOXが脱離する条件(排気空燃比が理論空燃比よりリッチであり、かつNOX吸蔵還元触媒温度が所定温度(例えば920°K)以上)が成立した時間の累積値が予め定めた値に到達したときにNOX吸蔵還元触媒からSOXの全量が脱離したと判断する。
ステップ205は、上記の硫黄被毒回復操作終了時期の判定を示す。ステップ205で未だSOXの脱離が完了していないと判断される場合には、操作の今回の実行は終了し、所定時間後にステップ201からの操作が繰返される。
また、ステップ205で硫黄被毒回復操作の終了判断がなされた場合にはステップ207でフラグSの値は0にリセットされる。これにより、次回の本操作実行時からはステップ201の次にステップ209が実行され、条件が成立した場合にはニュートラル制御が実行されるようになる。
上述したように、本操作によれば硫黄被毒回復操作実行中(ステップ203から207)にはニュートラル操作(ステップ209、211)が実行されることがないため、硫黄被毒回復操作が効率的に実行され短時間で終了する。
本発明を自動車用内燃機関に適用した場合の実施形態の概略構成を説明する図である。 図1の実施形態における硫黄被毒回復操作とニュートラル制御との関係を説明するフローチャートである。
符号の説明
1 機関本体
3 自動変速機
5 排気通路
7 NOX吸蔵還元触媒
30 ECU(電子制御ユニット)

Claims (1)

  1. 車両に搭載される希薄燃焼式内燃機関の制御装置であって、
    予め定めた車両走行条件が成立したときに、前記内燃機関から変速機に駆動力を伝達するクラッチの係合力を低下させるニュートラル制御を行うニュートラル制御手段を備えるとともに、
    前記機関の排気通路に配置されたNOX吸蔵還元触媒に蓄積された硫黄成分を触媒から除去するためにNOX吸蔵還元触媒に高温かつリッチ空燃比の排気を供給する硫黄被毒回復操作を実行中は、前記ニュートラル制御手段によるニュートラル制御の実行を禁止する、希薄燃焼式内燃機関の制御装置。
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