JP2007113100A - 熱間プレス用鋼板 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の熱間プレス用高強度鋼板は、熱間プレス・焼き入れ後の部品強度を確保すると同時にスポット溶接部の品質に優れた鋼板を提供する。
【解決手段】質量%にて、C :0.15〜0.3%、Si:0.005〜1.0%、
Mn:0.01〜3.0%、P:0.005〜0.1%、S:0.02%以下、Al:0.01〜3.0%、N:0.0005〜0.01%以下、Cr:0.02〜0.5%、Nb:0.005〜0.5%、B:0.0002〜0.01%、Mo:0.05〜1%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼で、下記式(A)を満足し、プレス焼入れ後の引張強度が1180MPa以上であることを特徴とする熱間プレス用高強度鋼板、
0.35 ≧ C+Si/30+Mn/20+Cr/20+Mo/15+4・B+2・P+4・S ----(A)
【選択図】 なし

Description

本発明は、プレス成形と焼き入れによる部材の強度向上を同時に行う熱間プレス用鋼板に関し、特に自動車ボデーの骨格部品、補強部品や足回り部品等を始めとする機械構造部品の製造に使用される熱間プレス用鋼板に関する。
近年の地球温暖化防止等、環境問題の意識向上に伴い、自動車業界では、燃費向上のため、鋼板の薄肉化による車体軽量化が積極的に行われている。ボデー等の鋼板が使用される部品では、高強度鋼板を適用し鋼板の板厚を薄くして軽量化が図られている。一方、自動車の衝突時においても安全性をより確保する観点から、車体を軽量化しつつ、高い車体強度を維持する必要性も出てきている。
この車体軽量化と車体の安全性向上を両立するためには、強度の高い鋼材を使用すれば良いが、鋼板の高強度化は部品製造時の加工性、プレス成形性の低下を招き、特にスプリングバック等により製品精度の確保がより難しくなってくる。
これらの課題解決のために、これまで加工性に優れた鋼板の開発や製品精度を高める加工方法が提案されているが、自動車に適用される鋼板の高強度化もさらに進み、特に引張り強度(TS:Tensile Strength)が1180MPaを越える高強度鋼板においては、上記の加工性、製品精度の観点から適用可能な部品に制限があるのが実情である。
近年、鋼板の高強度化と加工性、製品精度を同時に満足する手法として、加熱した鋼板をプレス成形する熱間プレス工法(プレスクエンチ工法)が提案されている(例えば特許文献1参照。)
この熱間プレス工法は、鋼板を約800℃以上のオーステナイト域まで加熱した後、プレス成形し、同時に成形後の冷却により焼き入れを行い高強度の材質を得るものである。この熱間プレス工法では、鋼板が高温で軟質、高延性になっているため、成形時の割れ発生等の加工性が改善され、かつ、比較的良好な製品精度を有する部品の製造が可能となる。また、この熱間プレス工法では、プレス成形時に導入される残留応力も減少するため、引張強度で1180MPaを超える高強度鋼板で問題となる遅れ破壊の感受性も低下する。
ところで、自動車の製造における部品同士の接合は、通常スポット溶接が使用されている。しかしながら、この熱間プレスに使用されている鋼板は、焼入れ後の強度と焼き入れ性を確保するため添加成分が多いので、スポット溶接部は高硬度化され、スポット溶接部の接合の信頼性(破断形態)を低下させている。また、一方で、熱間プレス工法で製造された部品は、焼入れ組織により高強度化されているため、部品同士の接合におけるスポット溶接時の入熱条件によっては、熱影響部(HAZ部)が焼き戻され、その硬度はプレス・焼入れ後の母材硬度よりも低下する、すなわちHAZ軟化を生じることとなり、スポット溶接部の接合強度の低下を招く懸念がある。
すなわち、熱間プレス工法において、熱間プレス・焼き入れ後の部品強度、スポット溶接部に品質が考慮された鋼板は未だ提案されていない状況にあった。
特開平10−96031号公報
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、熱間プレス、焼き入れ後の部品強度、スポット溶接部の品質を満足する熱間プレス用鋼板を提供することにある。
本発明者は、上述した課題を解決するために、C、Si、Mn、Cr、Mo、B、P、Sの含有量が所定の関係式を満たした場合にスポット溶接部の破断形態がナゲット外破断を呈しやすくなることを見出し、さらに鋼中にNb、Moを含んだ場合においてスポット溶接時のHAZ部の軟化程度が抑制されスポット溶接部の接合強度が向上することに着目して、下記の如き熱間プレス用高強度鋼板を発明した。
即ち、本願の第1の発明は、
質量%で、
C :0.15〜0.3%、
Si:0.005〜1.0%、
Mn:0.01〜3.0%、
P :0.005〜0.1%、
S :0.02%以下、
Al:0.01〜3.0%、
N :0.0005〜0.01%、
Cr:0.02〜0.5%、
Nb:0.005〜0.5%、
B :0.0002〜0.01%、
Mo:0.05〜1%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼で、各含有量が下記式(A)を満足し、プレス焼入れ後の引張強度が1180MPa以上であること
を特徴とする。
0.35≧C+Si/30+Mn/20+Cr/20+Mo/15+4・B+2・P+4・S・・・・・・・・(A)
また、本願第2の発明は、第1の発明において、さらに質量%で、Ti:0.002〜0.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であることを特徴とする。
また、本願第3の発明は、第1の又は第2の発明において、熱延鋼板または冷延鋼板であることを特徴とする。
また、本願第4の発明は、第1〜第3のうち何れかの発明において、高強度表面処理鋼板であることを特徴とする。
また、本願第5の発明は、第4の発明において、前記高強度表面処理鋼板が、亜鉛めっきされた鋼板であることを特徴とする。
上述の如き構成からなる本発明の熱間プレス用高強度鋼板は、熱間プレス・焼き入れ後の部品強度を確保すると同時にスポット溶接部の品質に優れた鋼板を提供することができ、本発明の鋼板により製造された部材を使用すれば自動車製造における信頼性の向上、ひいては自動車の軽量化、安全性向上に大きく貢献できるものと考えられ、産業上の寄与は大きい。
発明者らは、熱間プレス、焼き入れ後の部品強度およびスポット溶接部品質を満足するために様々な添加成分、添加量、また、添加成分相互の影響について調査を行った。最初にスポット溶接性について調査した。その結果、熱間プレス、焼き入れした鋼板をスポット溶接した場合に、溶接部の熱履歴によって母材の強度に対して溶接部及び熱影響部の強度が変化するため、スポット溶接部の破断形態は、溶接部(ナゲット)が残らない剥離破断やナゲットが残存するナゲット外破断を呈する場合があることが判明した。
そして、鋼中にC、Si、Mn、P、S、Al、N、Cr、B、Ti、Nb、Moを含有させる場合において、これらの中でC、Si、Mn、Cr、Mo、B、P、Sの含有量が所定の関係式を満たした場合にスポット溶接部の破断形態がナゲット外破断を呈しやすくなることを見出した。さらに鋼中にNb、Moを含んだ場合において、スポット溶接時のHAZ部の軟化程度が抑制されスポット溶接部の接合強度が向上することが明らかとなった。
これは、NbとMoを複合添加することにより、溶接によって鋼板の温度が上昇しても鋼板中の転位の消滅を抑え、この転位が析出核となって、短時間で(Nb、Mo)Cが析出し、熱影響部の軟化を抑えるものと考えられる。
以上の知見に基づいて鋼板の添加成分を最適化し、かつ相互の含有比を所定の範囲にすることで、所望の特性を有する熱間プレス用鋼板が得られる。
以下、本発明を適用した熱間プレス用高強度鋼板について詳細に説明する。
先ず、本発明を適用した熱間プレス用高強度鋼板について、成分を限定した理由について説明をする。以下、組成における質量%は、単に%と記載する。
Cは、熱間プレス、焼き入れ後の部品強度に影響を及ぼす重要な元素である。特に、熱間プレスは、鋼板を加熱することで軟質化させ、成形しやすくすることが一つの特色であるが、あわせてプレス金型等で急冷することによって鋼を焼き入れし、より高強度の成形品を得る。鋼の焼き入れ後の強度は、主としてCの含有量に支配されるため、求める強度に応じてCの含有量を設定していくことになる。このCが0.15%未満では、十分な強度が確保できない。また、0.3%を超えるとスポット溶接時の破断形態を劣化させると同時に部品製造における打抜き時のクラック発生の起点となるセメンタイトを増加させ遅れ破壊が生じやすくなる。このため、Cの濃度範囲を0.15〜0.3%に限定した。
Siは、熱間プレス、焼き入れ性に影響する元素であり、かつ同一炭素量でも初析セメンタイトの析出を抑制することにより、粒界強度の低下を抑制するとともに、延性の低下を抑制する元素である。さらにSiはパーライト中のフェライト強度を増加させる作用を持つばかりではなく、温度上昇による強度低下を減少させる効果があり極めて有効な元素である。しかしながら、このSiが、0.005%未満では十分な効果を得ることができない。また、1.0%を超えると鋼板製造工程における熱間圧延でのスケール除去にコストがかかり経済的に不利となり、まためっき、特に亜鉛めっきのめっき濡れ性が低下し、外観が劣化する。このため、Siの濃度範囲を0.005〜1.0%に限定した。
Mnは、Siとともに脱酸にも効用があり、Sによる熱間割れを防止し、また安価であることからCに次いで活用される元素である。また、このMnは、熱間プレス、焼き入れ性に影響する元素であり、鋼板の強度上昇に有効である。しかし、0.01%未満では上述の効果が得られないので、下限値を0.01%とした。また、3.0%を超えるとP、Sとの共偏析を助長し、スポット溶接部の脆化を招き破断形態を悪化させるため3.0%を上限値とした。即ち、Mnの濃度範囲を0.01〜3.0%に限定した。
Pは、不純物として鋼中に不可避的に含有される元素であり、粒界に偏析して粒界破壊の助長をする元素であり、ひいては鋼の靭性を劣化させるため、低い方が望ましいが、0.005%未満にしようとすると、製造工程における製鋼でのコスト上昇を招くため好ましくない。また0.1%を超えると粒界破壊の助長、スポット溶接部の脆化を招く。このため、Pの濃度範囲を0.005〜0.1%に限定した。
Sは、MnS等の非金属介在物を生成し、割れの起点となって打抜き性を始めとする加工性を劣化させ、熱間脆性やスポット溶接部の脆化を助長する元素であるため、低い方が望ましいが、かかる含有量を極力低下させてしまうと製造コスト上好ましくないため0.02%以下とする。
Alは、脱酸材としての効果および、窒化物を形成して母材組織を細粒化する効果を有する。このAlは、共析変態温度を高温側へ、共析炭素量を高炭素側へ移動させる元素であり、パーライト組織の高強度化と初析セメンタイト組織の生成抑制に有効な元素である。本発明において、このAlは、脱酸のため0.01%以上を添加するが、添加量が増加するとアルミナ等の介在物が増加し、打抜き面の粗大クラック発生の要因となるため上限を3.0%とした。即ち、Alの濃度範囲を0.01〜3.0%に限定した。
Nは、添加量が多くなると粗大化合物を生成するため、打抜き面の粗大クラックの発生を招き、後述のBと結合してBNを生成し、B添加の効果を低下させるため、添加は少ない方が望ましい。特に0.01%を越えるとその影響が顕著となるため、上限を0.01%とした。また、(Nb、Mo)Cの析出に関与し、この析出物にわずかに含まれるため、0.0005%以上含有させる。即ち、Nの濃度範囲を0.0005〜0.01%に限定した。
Crは、鋼板の焼き入れ性を高める元素であり、熱間プレス、焼き入れ後の強度確保のために必要である。しかし、0.02%未満ではこれらの効果を期待することができないため、下限を0.02%とした。また、多量の添加は焼き入れ性が飽和するだけでなく、耐食性(孔食性)を悪化させ、遅れ破壊感受性を高める恐れがあるため、0.5%を上限とした。即ち、Crの濃度範囲を0.02〜0.5%に限定した。
Bは、焼き入れ性を向上させるのに有効な元素であり、耐遅れ破壊性やスポット溶接性を劣化させる傾向にあるCの多量な添加を抑制するのに有効である。このような効果を有効にするためには、0.0002%以上の添加が必要ある。しかし、このBを過剰に添加してもその効果は飽和し、却って成分コストの上昇を招くので、0.01%を上限とした。
Nbは、Moとともに溶接熱影響部の軟化を防止する効果があり、本発明に必須の元素である。このNbの濃度が0.005%未満では、溶接熱影響部の軟化防止効果がなくなるので、0.005%を下限とする。更に、溶接熱影響部の軟化をより効果的に防止するには、このNbの濃度が0.01%以上が望ましい。また、Nbの濃度が0.05%を越えると粗大析出または晶出物が生成するために、打抜き面の粗大クラックの発生の要因となるため、その上限を0.05%とした。
Moは、焼入れ性を向上させるのに有効でかつ、Nbとの複合添加によって溶接熱影響部の軟化を防止するのに有効な元素であり、本発明に必須の元素である。このMoの濃度が0.05%未満では、溶接熱影響部の軟化防止効果がなくなるので、その下限を0.05%とした。また、Moの濃度が1.0%を越える効果が飽和するとともにキズの原因となる介在物が多くなるので、その上限を1.0%とした。
Tiは、強炭化物生成元素であり、析出物や介在物を生成させて熱間プレス、焼き入れした部材の強度を確保するとともにNを固定することによりBとの結合を防止し、Bの焼入れ性の効果を十分発揮させる。この効果を発揮させるには、Tiを0.002%以上添加することが必要となる。しかし、Tiを過剰に添加すると、粗大析出または晶出物が生成するために、打抜き面の粗大クラックの発生の要因となるため、その上限を0.05%とした。
さらに本発明においては、上記各成分のうち、C、Si、Mn、Cr、Mo、B、P、Sの各添加量が下記式(A)を満足することが重要となる。
0.35≧C+Si/30+Mn/20+Cr/20+Mo/15+4・B+2・P+4・S・・・・・・・・(A)
式(A)の値が0.35を超える場合において、スポット溶接部のピール試験(JIS Z3144)に基づいて、破断形態を評価したとき、スポット溶接部の破断形態が、溶接部(ナゲット)が残らない剥離破断する場合が多くなる。本発明者らは、実験室にて鋼中成分としてC、Si、Mn、P、S、Al、N、Cr、B、Ti、Nb、Moを含有する鋼板において、これらの中でC、Si、Mn、Cr、Mo、B、P、Sの量を変化させた種々の成分組成を有する鋼板を用いて、スポット溶接部の破断形態と上記式(A)の右辺の値との関係を調査した。図1は、かかる調査結果を示している。
この図1における横軸は、上記式(A)のうち、C、Si、Mn、Cr、Mo、Bに関する値の和である。即ち、この横軸は、C、Si、Mn、Cr、Mo、Bの濃度を、C+Si/30+Mn/20+Cr/20+Mo/15+4・Bに代入して得られる値を示している。縦軸は、上記式(A)のうちP、Sに関する値の和である。即ち、この縦軸は、P、Sの濃度を2・P+4・Sに代入して得られる値を示している。
図1より、式(A)が成り立つ場合、すなわち、C、Si、Mn、Cr、Mo、B、P、Sの濃度の関係が上記式(A)に従う場合には、破断形態はナゲット外破断あるいは、一部ナゲット内破断であることが判明した。これは、C、Si、Mn、Cr、Mo、B、は、溶接部および熱影響部の強度を高めるため、またP、Sは、溶接時の入熱により粒界への偏析を生じやすくなるため、過剰に添加されると溶接部を脆化させ、剥離破断の傾向となるものと考えられるためである。剥離破断は溶接部の接合強度が母材の強度より低くなる場合もあるため、部品の性能の信頼性を損なう可能性もある。このため、部品性能の信頼性を確保するためには、上記式(A)を満足することが重要となる。式(A)を満足する場合、破断形態は一部ナゲット内破断もしくは、ナゲット外破断となり、溶接部(ナゲット)が一方の鋼板に残存する破断形態となる。
本発明の高強度鋼板の製造方法は、その各種条件が、用途や必要特性に応じて、適宜選択され得るものである。
例えば、以下の方法に従って高強度鋼板を製造することができる。まず、転炉で上記成分組成の範囲で調整された鋼を溶製し、連続鋳造法によりスラブとする。このスラブを高温状態のまま、あるいは、室温まで冷却した後、加熱炉に挿入し、1000〜1250℃の温度範囲で仕上圧延を行い、次いで700℃以下の温度で巻き取って熱延鋼板とする。次にこの熱延鋼板を、酸洗、冷延後、焼鈍を行い冷延鋼板とする。高強度表面処理鋼板の場合は、さらに、熱延鋼板または冷延鋼板にめっきを施す。焼鈍は、700℃以上900℃未満が好ましい。その理由として、700℃未満では十分な再結晶が行われず、母材の均一性が安定的に得られ難いためであり、また900℃を超えると通板性等の製造上の問題が生じる可能性があるため、上述の如き温度範囲で焼鈍を行う。
自動車用として使用される高強度表面処理鋼板は、その多くが溶融亜鉛めっき鋼板である。鋼板に溶融亜鉛めっきを施す場合は、通常、焼鈍と同じ設備(又は同一設備列)で同時に行う。鋼板表面に施すめっき量は35mg/m〜800mg/mとする。35mg/m未満では、熱間プレス焼き入れ工程にて亜鉛めっきの一部が蒸発してしまい、防食作用が無くなり、めっきの目的を果たすことができない。また、800mg/mを超えると、溶接時にブローホール等の欠陥が著しく発生しやすくなる。このため、めっき量は35mg/m〜800mg/mの範囲とする。
また、焼鈍の後、電気めっきを施した場合にも溶融亜鉛めっきを焼鈍と同時に行った場合と同様に、本発明の効果は損なわれない。
表1に示す成分組成の鋼を転炉で溶製し、常法に従い連続鋳造でスラブとした。
Figure 2007113100
この表1において、鋼No.A1〜A12は、C、Si、Mn、Cr、Mo、B、P、Sの各添加量が式(A)を満足する本発明鋼を示している。また、鋼No.B1〜B10は、C、Si、Mn、Cr、Mo、B、P、Sの各添加量が式(A)を逸脱する比較鋼を示している。
これら各成分のうち、鋼No.A1〜A6、鋼No.B1〜B7は、スラブを加熱炉中で1140℃〜1250℃の温度で加熱し、810℃〜880℃の仕上げ温度で熱間圧延を行い、600℃〜660℃にて巻き取り、高強度熱延鋼板(板厚:1.8mm)とした。また、これら各成分のうち、鋼No.A7〜A12、鋼No.B8〜B10は、酸洗後に冷間圧延、焼鈍(焼鈍温度:720℃)を施し、高強度冷延鋼板(板厚:1.4mm)とした。その後、一部の鋼板については、溶融亜鉛めっき(目付け量:90g/m)を施した。表1の組成例においては、鋼No.A4〜A6、A10〜A12、B7、B10につき溶融亜鉛めっきを施している。
上記の鋼板を用い、加熱炉にて950℃×5minの条件にて加熱を行い、ハット形状品の熱間プレスを実施し、部材強度1470MPaクラスの部品を採取した。(ハット形状:幅100mm、長さ:300mm、高さ:60mm) このプレス品より、評価サンプルを切り出し、熱間プレス・焼き入れ後の引っ張り強度、スポット溶接品質を評価した。引っ張り試験は、JIS Z 2201に従って実施した。結果を表2に示す。
Figure 2007113100
スポット溶接品質のうち破断形態評価は、JIS Z 3144に従うピール試験によって行った。溶接には、定置式スポット溶接機を使用し、加圧力:4.4kN、通電時間:0.3s、保持時間:0.08sとし、電流値は、各鋼種にてナゲット径が4√t(t:板厚mm)の大きさになるように設定した。表2に示す結果においては、剥離破断を評価Aとし、ナゲット内破断を評価Bとし、さらにナゲット外破断を評価Cとしたとき、ナゲットが残存する評価B、Cを合格としている。
溶接熱影響部の軟化状況は、図2に示すように溶接部11を含む断面をヒ゛ッカース硬度計(荷重:1N)によって測定した。測定は、板厚の1/2の位置で間隔は0.2mmとし、母材硬さと最軟化部の硬さの差を測定し、HAZ部12の軟化性を評価した。表2に示す結果において、このHAZ部の軟化性に関しては、母材硬度と最軟化部硬度の差が70以内を合格としている。
表2の結果から、本発明鋼(鋼No.A1〜A12)の範囲では、焼き入れ後の引っ張り強度が約1470MPa程度以上となっており、所望の部品強度を有することが確認された。これに対し、比較鋼(鋼No.B1〜B10)のうち、鋼No.B2、B6は、引っ張り強度が1470MPaを下回り、著しく強度が低下していることが示された。
また、スポット溶接時の破断形態は、本発明鋼(鋼No.A1〜A12)の範囲において何れも評価B、Cであるのに対して、比較鋼では、鋼No.B3〜B5、B7〜B10の範囲において評価Aであり、スポット溶接時の破断形態を満足しないことが分かった。
更にHAZ部12の軟化性に関しては、本発明鋼(鋼No.A1〜A12)の範囲においていずれも合格(○)であるのに対して、比較鋼では、鋼No.B1、B3、B8が上記合格条件を満足しないことが分かった。
即ち、本発明鋼(鋼No.A1〜A12)は、部品強度、スポット溶接時の破断形態、HAZ部軟化性をともに満足するが、比較鋼(鋼No.A1〜A12)は、部品強度、スポット溶接時の破断形態、HAZ部軟化性の何れか1以上を満足することができないことが分かった。
スポット溶接における鋼中成分と破断形態の関係を示す図である。 溶接部の硬さ測定概略図である。
符号の説明
11 溶接部
12 HAZ部

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C :0.15〜0.3%、
    Si:0.005〜1.0%、
    Mn:0.01〜3.0%、
    P :0.005〜0.1%、
    S :0.02%以下、
    Al:0.01〜3.0%、
    N :0.0005〜0.01%、
    Cr:0.02〜0.5%、
    Nb:0.005〜0.5%、
    B :0.0002〜0.01%、
    Mo:0.05〜1%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼で、各含有量が下記式(A)を満足し、プレス焼入れ後の引張強度が1180MPa以上であること
    を特徴とする熱間プレス用高強度鋼板。
    0.35≧C+Si/30+Mn/20+Cr/20+Mo/15+4・B+2・P+4・S・・・・・・・・(A)
  2. さらに質量%で、
    Ti:0.002〜0.5%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であること
    を特徴とする請求項1記載の熱間プレス用高強度鋼板。
  3. 熱延鋼板または冷延鋼板であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の熱間プレス用高強度鋼板。
  4. 高強度表面処理鋼板であること
    を特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項記載の熱間プレス用高強度鋼板。
  5. 前記高強度表面処理鋼板は、亜鉛めっきされた鋼板であること
    を特徴とする請求項4記載の熱間プレス用高強度鋼板。
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