JP2007112993A - 脂肪酸2−アルコキシエチル、その製造方法、その使用、及びそれを含有する混合物 - Google Patents

脂肪酸2−アルコキシエチル、その製造方法、その使用、及びそれを含有する混合物 Download PDF

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Abstract

【課題】 再生産可能な資源である油脂を原料として、新規かつ有用な脂肪酸エステル化合物とその製造方法を提供すること、さらには、該脂肪酸エステル化合物の様々な用途を提供すること。
【解決手段】 脂肪酸のグリセリントリエステルを主成分とする油脂とエチレングリコールモノアルキルエーテルとのエステル交換反応生成物であって、融点が−20℃以下で、沸点が135℃以上の脂肪酸2−アルコキシエチル、その製造方法、及びその用途。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪酸のグリセリントリエステルを主成分とする油脂とエチレングリコールモノアルキルエーテルとのエステル交換反応により得られる脂肪酸2−アルコキシエチル、及びその製造方法に関する。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、油脂に由来する主として炭素数4〜24の脂肪酸の2−アルコキシエチルエステル(混合物)である。また、本発明は、該脂肪酸2−アルコキシエチルの様々な用途に関する。
将来における石油資源の枯渇に備え、再生産可能な油脂を石油資源に代替する有機物資源として利用しようとする試みがなされている。油脂は、天然の動植物界に広く存在し、タンパク質及び炭水化物とともに重要な成分を構成している。油脂には、天然に産出される油脂以外に、例えば、天麩羅油として利用後の廃油もある。
油脂の主成分は、脂肪酸のグリセリントリエステルであり、副成分として、グリセリンジエステルやグリセリンモノエステルを含んでいる。このほか、油脂には、極めて少量ではあるが、複合脂質や遊離の脂肪酸なども含まれていることがある。油脂中でグリセリドを構成する脂肪酸は、炭素数4から24までのものがほとんどであるが、一般的には、炭素数18の飽和脂肪酸(ステアリン酸)や不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸など)が多い。
特開2002−265986号公報(特許文献1)には、有機物資源としての油脂の利用に関連して、油脂とアルコールをエステル交換反応させて、脂肪酸アルキルエステルとグリセリンを製造する方法が提案されている。この方法によれば、天然の油脂や油脂を含有する廃油から、例えば、切削油、潤滑油、石油代替エネルギーなどとして有用な脂肪酸アルキルエステルを得ることができる。
従来、食用油を超臨界メタノールによりトランスエステル化反応させて、脂肪酸のメチルエステルを合成する方法;廃植物油をメチルまたはエチルエステル化反応させて、低粘度のエステル化物を合成し、これをディーゼル代替燃料とする方法;酵素反応を利用して、無溶媒条件下で種々の廃油をジーゼル燃料に転換する方法が知られている。
しかし、従来法により得られる脂肪酸のメチルエステルまたはエチルエステルなどの脂肪酸アルキルエステルは、油脂中に含まれる不飽和脂肪酸グリセリドがエステル交換反応した生成物を含んでいるため、空気と接触すると酸化されやすく、粘度の増加など変質しやすいという欠点を有している。また、これらの生成物は、融点が−5℃程度である。つまり、これらの生成物は、比較的高融点であるため、冬期や寒冷地で使用する場合、その固化を防止するための処置が必要であった。そのため、これらの生成物の用途は、制限を受けざるを得なかった。
特開2002−265986号公報
本発明の課題は、再生産可能な資源である油脂を原料として、新規かつ有用な脂肪酸エステル化合物とその製造方法を提供することにある。本発明の他の課題は、該脂肪酸エステル化合物の様々な用途を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、脂肪酸のグリセリントリエステルを主成分とする油脂とエチレングリコールモノアルキルエーテルとを、含水率1重量%以下のアルカリの存在下にエステル交換反応させることにより、低融点かつ高沸点で、各種用途に利用することができる新規な脂肪酸2−アルコキシエチル(以下、「脂肪酸の2−アルコキシエチルエステル」ということがある)の得られることを見出した。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、脂肪酸のグリセリントリエステルを主成分とする油脂に由来する炭素数4〜24の脂肪酸の2−アルコキシエチルエステル化合物であり、単一の化合物ではなく、各種脂肪酸の2−アルコキシエチルエステル混合物ということができる。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、脂肪酸アルカリ金属塩及びアルカリを実質的に含まず、低融点かつ高沸点であるため、有機溶剤として優れた特性を示す。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、軽油代替燃料として用いた場合でも、空気酸化を受けて固化することがなく、エンジントラブルの原因となることがない。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、水分を実質的に溶解しないため、有機物と水とを含有する混合物(含水有機物や有機物の水溶液または懸濁液など)から有機物を抽出して、実質的に水分を含有しない有機物を回収することができる。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、防錆効果、防菌効果、防黴効果などを有する塗料の基剤として使用することができる。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、切削油、潤滑油、洗浄油、防錆油などの各種油として利用することができる。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、軽油代替燃料として使用することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、脂肪酸のグリセリントリエステルを主成分とする油脂と、下記式(1)
HOCHCHOR (1)
(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基である。)
で表されるエチレングリコールモノアルキルエーテルとのエステル交換反応生成物であって、下記式(2)
COOCHCHOR(2)
(式中、Rは、アルキル基であり、Rは、脂肪酸残基である。)
で表され、融点が−20℃以下で、沸点が135℃以上である脂肪酸2−アルコキシエチルが提供される。該エチレングリコールモノアルキルエーテルがエチレングリコールモノブチルエーテルであり、かつ、該脂肪酸2−アルコキシエチルが脂肪酸2−ブトキシエチルであることが好ましい。
また、本発明によれば、脂肪酸のグリセリントリエステルを主成分とする油脂と、下記式(1)
HOCHCHOR (1)
(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基である。)
で表されるエチレングリコールモノアルキルエーテルとを、含水率1重量%以下のアルカリの存在下に、反応温度20〜135℃でエステル交換反応することを特徴とする、下記式(2)
COOCHCHOR(2)
(式中、Rは、アルキル基であり、Rは、脂肪酸残基である。)
で表され、融点が−20℃以下で、沸点が135℃以上の脂肪酸2−アルコキシエチルの製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、下記工程1及び2:
(1)有機物と水とを含有する混合物を請求項1記載の脂肪酸2−アルコキシエチルと接触させて、脂肪酸2−アルコキシエチルにより混合物から有機物を抽出する工程1;及び
(2)脂肪酸2−アルコキシエチルと有機物とを含有する抽出液を蒸留して、実質的に水を含まない有機物を回収する工程2;
を含む有機物の精製方法が提供される。
本発明によれば、前記脂肪酸2−アルコキシエチルの、溶剤、軽油代替燃料、熱媒体、金属切削油、潤滑油、またはグリースとしての使用が提供される。
また、本発明によれば、前記脂肪酸2−アルコキシエチルと、界面活性剤、防錆剤、防泡剤、発泡剤、酸化防止剤、防菌剤、防黴剤、極圧剤、及び融点降下剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有する混合物が提供される。該混合物は、前記の如き各種用途に好適に用いることができる。
本発明によれば、比較的簡単かつ安価な方法で、油脂を原料として新規な脂肪酸の2−アルコキシエチルエステル化合物を製造することができる。本発明の製造方法で得られた脂肪酸2−アルコキシエチルは、脂肪酸アルカリ金属塩やアルカリを実質的に含まず、融点が低く、沸点が高いので、有機溶剤として優れた特性を示す。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、引火点が低いので、軽油代替燃料として好適である。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、空気中で酸化を受けて固化する傾向が極めて小さいので、保存が容易である。その上、本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、従来の脂肪酸のアルキルエステル化合物の問題点である、軽油代替燃料として用いた場合に空気酸化を受けて固化することがないため、エンジントラブルの原因となることがない。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、水分を溶解し難い性質を利用して、有機物の抽出液として利用することができる。すなわち、本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルにより、有機物と水との混合物から有機物だけを抽出して、実質的に無水の有機物を簡単に得ることができる。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、防錆剤、防菌剤、防黴剤、極圧剤などの低濃度で効果を発揮する機能性添加剤を溶解または分散させることにより、防錆効果、防菌効果、防黴効果を持つ塗料の基剤としたり、金属の切削油、潤滑油、洗浄油、防錆油として利用したりすることができる。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、軽油代替燃料として使用することができる。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルを軽油代替燃料として使用すると、燃焼排ガス中の有機物質を大幅に減らすことができ、硫黄酸化物も排ガス中に含まれないので、健康被害の問題を生じることがない。
本発明では、原料の油脂(oil and Fat)として、天然の動植物界に広く存在する動物油脂及び植物油脂(以下、これらを「動植物油」ということがある)を用いることができる。本発明では、油脂として、使用済みの天麩羅油などの廃油を用いることができる。これらの油脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
動物油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、馬脂、魚油、鯨脂など、主成分として脂肪酸のグリセリントリエステル(すなわち、脂肪酸トリグリセリドの分子構造をもつ化合物)を含有する油脂を挙げることができる。魚油には、魚だけでなく、蟹、海老、沖アミ、アミ、動物性プランクトンなどから抽出した油脂も含まれる。これらの動物油脂は、植物油脂と混合して用いることもできる。
植物油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、ひまわり油、綿実油、椰子油、胡麻油、玉蜀黍油、落花生油、椿油、山茶花油、ひまし油、米油など、主成分として脂肪酸のグリセリントリエステルを含有する油脂を挙げることができる。このほか、アポカドやオリーブなど果実の果肉及び種から抽出される油脂、石鹸の原料となるその他の植物性油脂等も含まれる。食用のナッツ類や植物種子からの油も、原料として利用することができる。
これらの油脂の中でも、植物油が好ましく、エステル交換反応性や脂肪酸2−アルコキシエチルの特性の観点から、大豆油、天麩羅油、胡麻油、椰子油などがより好ましい。天麩羅油等からの回収廃油も用いることができる。
油脂は、そのままで原料として使用することができるが、水分を含有している場合には、予め加熱脱水処理をしておくことが望ましい。加熱脱水処理は、油脂を、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは65℃以上に加熱することにより行うことができる。加熱処理温度は、油脂の熱分解温度以下の温度とする。
加熱処理により、油脂中に含まれる水分が揮散する。油脂中の水分量が多く、加熱処理温度が100℃以下と低い場合には、加熱処理により水分が分離して油脂の下層に溜まるので、層分離により、下層の水分を除去すればよい。
本発明では、油脂とエチレングリコールモノアルキルエーテルとを、含水率1重量%以下のアルカリの存在下に、反応温度20〜135℃でエステル交換反応させることにより、脂肪酸2−アルコキシエチルを生成させる。このエステル交換反応は、より具体的には、例えば、含水率1重量%以下のアルカリを添加したエチレングリコールモノアルキルエーテル溶液(すなわち、含水率1重量%以下のアルカリとエチレングリコールモノアルキルエーテルとの混合物)を調製しておき、この溶液を油脂に添加することにより行うことができる。油脂を該溶液に添加してもよい。エステル交換反応後、生成した脂肪酸2−アルコキシエチルとグリセリンとが相分離するため、反応混合物を静置すると、これらの成分をそれぞれ含有する2層に分離する。したがって、反応混合物から脂肪酸2−アルコキシエチル層またはグリセリン層を容易に分離することができる。
本発明で使用するアルカリとしては、例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]などを挙げることができる。これらの中でも、反応速度が速く、エチレングリコールモノアルキルエーテルに溶解し易く、かつ、均質な脂肪酸の2−アルコキシエチルエステル層を形成しやすい点で、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが好ましく、水酸化カリウムが特に好ましい。これらのアルカリは、通常、フレークまたはペレットなどの無水の固形物として、エチレングリコールモノアルキルエーテルに添加し、溶解させる。使用するアルカリの含水率は、1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下である。
エチレングリコールモノアルキルエーテルは、式(1)
HOCHCHOR (1)
(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される化合物である。Rとしては、炭素数1〜7のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数4のアルキル基が特に好ましい。炭素数4のアルキル基としては、n−ブチル基(以下、単に「ブチル基」という)が好ましい。
このようなエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノi−ブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチル−1−ヘキシルエーテルを挙げることができる。
これらの中でも、反応制御や相分離のし易さ、得られる脂肪酸2−アルコキシエチルの性状などの観点から、エチレングリコールモノブチルエーテルが特に好ましい。エチレングリコールモノアルキルエーテルは、無水グレードのものが好ましい。無水グレードとは、含水率が通常1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下のエチレングリコールモノアルキルエーテルを意味する。
無水グレードのエチレングリコールモノアルキルエーテルに無水の固形アルカリを溶解させることにより、無水グレードのアルカリ含有エチレングリコールモノアルキルエーテル溶液を調製することができる。このアルカリ含有エチレングリコールモノアルキルエーテル溶液中に多量の水分が存在すると、エステル交換反応におけるアルカリの触媒活性が低下する、脂肪酸のアルカリ金属塩が多く生成する、反応に長時間を要する、未反応物が多くなる、収率が低下する、などの不都合が生じ易くなる。
アルカリ含有エチレングリコールモノアルキルエーテル溶液において、アルカリの濃度は、通常1〜12重量%、好ましくは1.5〜10重量%、より好ましくは2〜5重量%である。この溶液のアルカリ濃度が高すぎると、エチレングリコールモノアルキルエーテルにアルカリが溶けにくくなり、さらには、エステル交換反応の選択性が悪くなって、脂肪酸アルカリ金属塩が生成し易くなる。この溶液のアルカリ濃度が低すぎると、エステル交換反応に長時間を要し、また、未反応物質も残り、脂肪酸2−アルコキシエチルとグリセリンとの相分離が不十分となり易い。
エステル交換反応は、バッチ式でも連続式でもよい。以下に、バッチ式のエステル交換反応を中心として説明する。油脂に、含水率1重量%以下のアルカリ含有エチレングリコールモノアルキルエーテル溶液を添加し、反応温度20〜135℃でエステル交換反応させる。油脂としては、脱水処理(好ましくは加熱脱水処理)した、水分を実質的に含有しない油脂を用いることが好ましい。エステル交換反応は、油脂とアルカリ含有エチレングリコールモノアルキルエーテル溶液とを均一に撹拌しながら行うことが好ましい。
反応温度は、通常、使用するエチレングリコールモノアルキルエーテルの沸点未満の温度であり、通常20〜135℃、好ましくは25〜100℃、より好ましくは30〜70℃である。反応温度が高すぎると、反応系からエチレングリコールモノアルキルエーテルが蒸発したり、副反応物の生成量が増加したり、グルセリンの相分離が阻害されたりする。グリセリンの相分離が阻害されると、反応混合物からグリセリンが沈降してグリセリン層を形成し難くなる。反応温度が低すぎると、アルカリのエチレングリコールモノアルキルエーテルヘの溶解が阻害されたり、反応に長時間を必要としたりするため、効率的ではない。未反応の油脂を残さない、あるいは反応終了後の脂肪酸2−アルコキシエチルとグリセリンとの相分離を促進させるなどの点で、反応終了後または反応終了時点での反応温度を60℃以上で、エチレングリコールモノアルキルエーテルの沸点未満の温度まで昇温することが好ましい。
反応時間は、使用するアルカリ含有エチレングリコールモノアルキルエーテル溶液のアルカリ濃度や反応温度などにより変動するが、通常10分間から24時間、好ましくは15分間から10時間、より好ましくは20分間から6時間、特に好ましくは25分間から3時間である。多くの場合、30分間から1時間程度反応させることが望ましい。反応時間を不必要に長くとる必要はなく、含水率1重量%以下のアルカリ含有エチレングリコールモノアルキルエーテル溶液を用いると、比較的短時間で効率良くエステル交換反応を行うことができる。
油脂に、含水率1重量%以下のアルカリ含有エチレングリコールモノアルキルエーテル溶液を添加し、反応温度20〜135℃でエステル交換反応させると、油脂中に含まれる脂肪酸トリグリセリドなどの脂肪酸のグリセリンエステルとエチレングリコールモノアルキルエーテルとの間でエステル交換反応が起こり、脂肪酸の2−アルコキシエチルエステルとグリセリンが生成する。例えば、アルカリ含有エチレングリコールモノアルキルエーテルとして水酸化カリウム含有エチレングリコールモノブチルエーテルを用いると、反応生成物として脂肪酸の2−ブトキシエチルエステルとグリセリンが生成し、副反応生成物として脂肪酸カリウム塩が生成する。
エステル交換反応により生成した脂肪酸2−アルコキシエチルとグリセリンとは、互いに相溶性が乏しいため、相分離する。そのため、反応終了後、反応混合物を静置すると、脂肪酸2−アルコキシエチル層とグリセリンを主体とする層の2層に分離する。未反応の水酸化カリウム及び脂肪酸カリウム塩は、グリセリンに溶解するため、グリセリンとともに沈降して、下層のグリセリン層に含まれることになる。
エチレングリコールモノアルキルエーテルは、油脂とのエステル交換反応に必要とされる化学量論的量よりも過剰量となる割合で使用することが好ましい。具体的には、油脂とエチレングリコールモノアルキルエーテルとのエステル交換反応に必要とされる化学量論的モル数より3〜15モル%過剰量のエチレングリコールモノアルキルエーテルを使用することが好ましい。この過剰モル数は、好ましくは5〜10モル%、より好ましくは6〜8モル%である。エチレングリコールモノアルキルエーテルの使用割合が過小であると、未反応油脂が残存したり、脂肪酸アルカリ金属塩が生成したりし易くなる。エチレングリコールモノアルキルエーテルの使用割合が過大であると、エチレングリコールモノアルキルエーテルの回収やリサイクルに必要となるエネルギー量が増大する。
エステル交換反応により生成した脂肪酸2−アルコキシエチルとグリセリンとは相分離し、各相の比重が異なるため、反応終了後、反応混合物を冷却しながら静置すると、上層の脂肪酸2−アルコキシエチル層と下層のグリセリン層とに分離する。遠心分離器を用いると、両層をさらに明確に分離させることができる。
反応混合物に、その0.01〜5容量%程度の少量の水を加えると、相分離を促進できるので好ましい。上層の脂肪酸2−アルコキシエチル層に残留アルカリが存在する場合、少量の水を加えると、上層中の残留アルカリを下層のグリセリン層に移行させることができる。相分離の促進のために水を添加する場合、その量は、より好ましくは0.05〜4容量%、特に好ましくは0.1〜3容量%である。少量の水添加による相分離の促進や脂肪酸2−アルコキシエチル層からの残留アルカリの除去は、1回または複数回行うことができる。このようにして、上層中の脂肪酸2−アルコキシエチルを精製することができる。
脂肪酸2−アルコキシエチル層とグリセリン層とに分離させた後、反応器または沈降槽の底部または下段から下層のグリセリンを抜き出したり、上段または中段から上層の脂肪酸2−アルコキシエチルを抜き出す。脂肪酸2−アルコキシエチル中に若干量のグリセリンやアルカリ、脂肪酸アルカリ金属塩などの不純物が含まれている場合には、脂肪酸2−アルコキシエチルに、その0.1〜15容量%の水を添加して、脂肪酸2−アルコキシエチル層と不純物を含有する水分層またはグリセリン層とに分離することが好ましい。さらに、脂肪酸2−アルコキシエチルに少量の水分が懸濁している場合には、脂肪酸2−アルコキシエチルを35〜70℃の温度に保持して静置した後、冷却して、残留水分を沈降させ除去することができる。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、十分に生成された状態で回収することができる。アルカリの除去程度は、脂肪酸2−アルコキシエチルのpHを調べることにより判定することができる。pHが約7で中性を示せば、アルカリの存在しない脂肪酸2−アルコキシエチルであるということができる。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、下記式(2)
COOCHCHOR(2)
(式中、Rは、アルキル基であり、Rは、脂肪酸残基である。)
で表され、融点が−20℃以下で、沸点が135℃以上の化合物である。該化合物は、正確には、異なる種類の脂肪酸成分を含有する脂肪酸2−アルコキシエチルの混合物である。
としては、炭素数1〜7のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数4のアルキル基(すなわち、ブチル基)が特に好ましい。Rは、油脂中に含まれる脂肪酸のグリセリンエステル(主として、グリセリントリエステル)に由来する脂肪酸残基であり、その炭素数は、4〜24の範囲がほとんどである。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、種々の脂肪酸の2−アルコキシエチルエステルの混合物であるため、前記化学式に加えて、その融点と沸点で特定することができる。本発明において、脂肪酸2−アルコキシエチルの融点とは、脂肪酸2−アルコキシエチルを一定の温度に保持した冷凍庫内に2ヶ月間保存したとき、液体の状態を保持することができる冷凍庫の最低温度を意味する。したがって、本発明において、脂肪酸2−アルコキシエチルの融点が−20℃以下であるとは、具体的には、常温(23℃)で液体の脂肪酸2−アルコキシエチルを、−20℃の温度に保持した冷凍庫内に2ヶ月間保存したとき、液体の状態が保持されていることを意味する。同様に、脂肪酸2−アルコキシエチルの融点が−23℃以下であるとは、具体的には、常温(23℃)で液体の脂肪酸2−アルコキシエチルを、−23℃の温度に保持した冷凍庫内に2ヶ月間保存したとき、液体の状態が保持されていることを意味する。脂肪酸2−アルコキシエチルの融点の下限値は、通常、−30℃、多くの場合、−25℃である。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルの沸点は、135℃以上、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上である。沸点の上限は、350℃程度である。脂肪酸2−アルコキシエチルは、種々の脂肪酸の2−アルコキシエチルエステル混合物であるため、その沸点は、脂肪酸2−アルコキシエチルを加熱して、最初に蒸発を開始する温度(初留点)を観察することにより測定することができる。したがって、本発明において、脂肪酸2−アルコキシエチルの沸点が135℃以上であるとは、最初に蒸発を開始する温度(初留点)を意味する。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルの引火点は、通常230℃以下、好ましくは210℃以下、より好ましくは200℃以下である。引火点の下限値は、通常70℃、好ましくは80℃、多くの場合90℃である。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、空気と接触しても粘度の増加が少なく、安定な化合物であるため、保存が容易であることに加えて、軽油代替燃料として用いても、固化によるエンジントラブルの発生がない。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、水をほとんど溶解しない。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルの代表例として、脂肪酸2−ブトキシエチルの物性値を、原料の大豆油の物性値とともに表1に示す。
Figure 2007112993
(脚注)表1の物性値は、大豆油の産地により多少変動する。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、様々な有機物に対して良好な溶解性を示す一方、水に対する溶解性が極めて乏しいため、含水有機物や有機物を溶解または分散している水溶液から当該有機物を抽出するための溶媒として用いることができる。
有機物及び水を含有する混合物を脂肪酸2−アルコキシエチルと接触させて、脂肪酸2−アルコキシエチルにより該混合物から有機物を抽出し、次いで、脂肪酸2−アルコキシエチルと有機物とを含有する抽出液を蒸留すると、実質的に水を含まない精製した有機物を得ることができる。
例えば、エチルアルコールの如き低級アルコールは、水と一部が会合して溶解しているといわれているが、本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、水とアルコールの水素結合に基づく会合状態を壊し、アルコールのみを容易に抽出することができる。エチルアルコールは、水と共沸混合物を作るため、蒸留操作だけでは100%の高純度の製品を得ることができず、脱水工程を別に設けなければならないため高価になっていた。ところが、本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルを抽出溶剤として用いると、含水エチルアルコールからエチルアルコールのみを抽出できるので、後に蒸留操作のみで安価に純度が殆ど100%のエチルアルコールを得ることができる。
すなわち、含水エチルアルコールを脂肪酸2−アルコキシエチルと接触させて、脂肪酸2−アルコキシエチルにより含水エチルアルコールからエチルアルコールを抽出し、次いで、脂肪酸2−アルコキシエチルとエチルアルコールとを含有する抽出液を蒸留することにより、実質的に水を含まない高純度のエチルアルコールを得ることができる。
近年、レギュラーガソリンのオクタン価を高めて、炭酸ガスの排出量を削減することが焦眉の課題となっており、3%のバイオエタノールをガソリンに直接混合する方法が検討されている。前記方法により得られた実質的に無水のエタノールは、水分を含まないため、ガソリンに添加したとき、ガソリンとエタノールとが相分離を起こす問題が解決される。無水のエタノールは、前記と同様の目的で用いられているエチル−t−ブチルエーテルの合成原料としても有用である。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、芳香成分などの高価な有機物を含む水溶液から芳香成分のみを抽出することができる。すなわち、芳香成分含有水溶液を脂肪酸2−アルコキシエチルと接触させて、脂肪酸2−アルコキシエチルにより芳香成分含有水溶液から芳香成分を抽出し、次いで、脂肪酸2−アルコキシエチルと芳香成分とを含有する抽出液を蒸留することにより、実質的に水を含まない高純度の芳香成分を得ることができる。
また、本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、蒸留すると水と共沸する有機化合物を水から抽出することができる。抽出液を蒸留することにより、水を含まない有機化合物を得ることができる。
さらに、本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、例えば、溶剤、熱媒体、金属切削油、潤滑油、グリースなどの用途に使用することができる。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、そのままで各種用途に使用することができるが、用途に応じて、各種機能性を有する添加剤を1種以上添加して使用することもできる。例えば、本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルには、界面活性剤、防錆剤、防泡剤、発泡剤、酸化防止剤、防菌剤、防黴剤、極圧剤、及び融点降下剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を添加することができる。
脂肪酸2−アルコキシエチルは、有機物に対する優れた溶解性を利用して、有機物の溶剤として、あるいは有機物水溶液から有機物のみを抽出する抽出溶媒として使用することができる。脂肪酸2−アルコキシエチルは、沸点が高く、熱に対して安定なことを利用して、熱媒体として、あるいは金属の切削油、潤滑油、グリース等の基剤として用いることができる。また、脂肪酸2−アルコキシエチルは、各種助剤を加えることにより、セメント強化剤、金属の防錆剤、殺菌剤、防黴剤、自然環境消毒薬等の分野に用いることができる。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、界面活性剤を添加することにより、水に可溶化させたり、水に乳化懸濁させたりすることができる。界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、及びアルキルアルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤が好ましい。界面活性剤としては、環境ホルモンとして心配されているアルキルフェノール系界面活性剤やアルキルベンゼンスルホン酸アルカリ等の界面活性剤を用いる必要がない。界面活性剤の種類と添加量は、脂肪酸2−アルコキシエチルを水と混合するときの水分散安定性の度合いにより調節することができる。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルを基剤として、該基剤に、防錆剤、防泡剤、発泡剤、酸化防止剤、防菌剤、防黴剤、極圧剤、またはこれらの2種以上の混合物を添加することにより、種々の機能をもたせることができる。これらの添加剤の種類と添加量は、それぞれの用途に応じて適宜設定することができる。多くの場合、脂肪酸2−アルコキシエチル100重量部に対して、これらの機能性添加剤を0.01〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で添加するが、用途によっては、このような配合割合に限定されない。これらの添加剤を含有する混合物に、界面活性剤を添加することにより、水に透明に溶解させたり、半透明状もしくは乳濁状に分散させたりすることができ、それによって、その機能を拡大させることができる。
油脂と低級アルコールとをエステル交換反応させて得られる脂肪酸アルキルエステルは、融点が−5℃付近であるため、冬期や寒冷地で固化しやすく、また、空気中で原料油脂中の多価不飽和脂肪酸成分の酸化による粘度上昇の欠点があるが、低級アルコールの代わりにエチレングリコールモノアルキルエーテルを用いて油脂とエステル交換反応させて得られる脂肪酸2−アルコキシエチルは、その融点が−20℃以下で、かつ、有機物との相溶性に優れているため、原料油脂中に含まれていた多価不飽和脂肪酸成分が酸化されても、容易には粘度の上昇に至らない。したがって、本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、低級アルコールをエステル基に持った脂肪酸アルキルエステルと任意の量比で混合して用いることができる。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルを脂肪酸アルキルエステルと混合して各種用途に使用する場合、脂肪酸2−アルコキシエチルと脂肪酸アルキルエステルとの重量比は、好ましくは10:90〜90:10、より好ましくは30:70〜70:30である。脂肪酸アルキルエステルの混合割合は、多くの場合50重量%以下または30重量%以下で充分である。
本発明で得られた脂肪酸2−アルコキシエチルは、防錆剤、防泡剤、発泡剤、酸化防止剤、防菌剤、防黴剤、極圧剤などの各種機能性の添加剤を添加して用いる場合、さらに、これらの添加剤に加えて界面活性剤を添加して使用する場合などにおいて、使用時の温度が−20℃以下で液体状態を保持するために、融点降下剤を添加することができる。
好ましい融点降下剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノールなどのアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチル−t−ブチルエーテルなどのエーテル類;からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物(アルコール及び/またはエーテル)を挙げることができる。これらの融点降下剤は、脂肪酸2−アルコキシエチルと各種添加剤との混合物の融点が−20℃以下の状態を保つ量比で用いられる。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルにトリアゾール誘導体などの極圧剤を添加した混合物を潤滑油として使用すると、該潤滑油が接触した金属表面が極圧剤によって被覆されて、金属と空気との接触が遮断され、金属表面が錆びることから保護される。金属表面同士が強く擦られた場合でも、極圧剤の作用で、潤滑油が落ちることから金属表面が保護される。潤滑油が長期間にわたって空気中にさらされていても、酸化防止剤の作用で潤滑油の変質が防止される。酸化防止剤としては、燐酸系酸化防止剤を使用することが好ましい。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルに防菌剤や防黴剤を添加した混合物は、広い抗菌スペクトルを持たせることができる。
本発明で使用できる好ましい界面活性剤と機能性を付与するための各種添加剤の化学名、特性及び商品名を表2に示す。さらに、バイエル株式会社の製品説明書によるN−(2−ヒドロキシプロピル)−アミノメタノールの効果を表3に示す。
Figure 2007112993
Figure 2007112993
(脚注) MIC(mg/l):寒天培地上における最小発育阻止濃度(Minimum Intercept Conc.)
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルに、表2に示す各種添加剤を添加して使用する場合、混合物中の各種添加剤の濃度、あるいは該混合物を水や溶媒で希釈して使用する場合には、最終混合物中の各種添加剤の濃度が、表2に示されている「使用濃度の最適値」となるように調整することが望ましい。界面活性剤を添加する場合には、本発明の脂肪酸2−アルコキシエチル100重量部に対して、通常0.01〜200重量部、好ましくは0.1〜150重量部、より好ましくは0.5〜100重量部の割合となるように調整することが望ましい。界面活性剤の配合割合の上限値は、50重量部または30重量部にすることもできる。界面活性剤は、脂肪酸2−アルコキシエチルが水に可溶化する割合で配合することが好ましい。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、軽油代替燃料として使用することができる。この場合、脂肪酸2−アルコキシエチルは、脂肪酸アルキルエステルと混合して用いてもよい。脂肪酸2−アルコキシエチルと、ガソリンや軽油、アルコールとを混合した混合物も、石油代替燃料として使用することができる。脂肪酸2−アルコキシエチルは、ガソリン及び軽油に比べて燃費はほぼ同等であり、これらと相溶性がある。エタノール等のアルコールは、本発明の方法によって精製された無水グレードの場合、ガソリンや軽油に30容量%程度まで混合することができる。例えば、ジーゼル車の燃料タンクに軽油が残留していても、脂肪酸2−アルコキシエチルを追加すると、代替燃料として働き、そのままジーゼル車を運転することができる。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、軽油代替燃料として使用した場合、排気ガス中の石油系ミスト微粒子や黒煙を大幅に減少させることができる。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、脂肪酸アルキルエステルと任意の割合で混合して、軽油代替燃料として用いることもできる。
脂肪酸2−アルコキシエチルは、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、2−エチル−1−ヘキサノールなどのアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチル−t−ブチルエーテルなどのエーテル類;からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物(融点降下剤)と混合して、軽油代替燃料として用いることもできる。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、各脂肪酸成分の種類ごとに単一の脂肪酸2−アルコキシエチルに単離して用いることができる。単一の脂肪酸2−アルコキシエチルは、混合物と同様の用途に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。各物性等の測定法は、次の通りである。
(1)pH
0.1%フェノールフタレインのメタノール溶液を2〜3滴たらした水に、検体(脂肪酸2−アルコキシエチルまたはグリセリン)を等量加えて撹拌し、着色しなかったものをアルカリフリー(中性:pH7)と判定した。
(2)軽油代替燃料としての燃費
脂肪酸2−アルコキシエチルをジーゼルエンジン搭載排気量2000ccの乗用車の燃料として使用し、一定距離を走行したときの燃料消費量で軽油と比較した。
(3)自動車排ガスの測定
濾紙法により測定した。具体的には、一定流量の排ガスを円形濾紙に通して、その着色の度合いで比較した。
(4)芳香族化合物を含んだ微細粒子
一定量のエンジン排ガスをn−ヘキサンに吸収し、ガスクロマトグラフィーで芳香族炭化水素を測定した。
[実施例1]
油脂として大豆油を用いた。アルカリ含有エチレングリコールアルキルエーテル溶液として、固形の無水水酸化カリウム(KOH)を含水率0.2重量%以下のエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解して、アルカリ濃度4重量%の溶液を調製した。大豆油100gにアルカリ含有エチレングリコールモノブチルエーテル溶液50ccを添加し(化学量論的な計算値の10モル%増し)を添加し、60℃で30分間撹拌して、エステル交換反応を行なった。反応の最終段階で、反応混合物の温度を80℃に昇温して、反応を完結させた。
得られた反応混合物に0.1容量%の水を添加し、撹拌した後、静置した。反応混合物は、上層と下層の2層に層分離した。下層(グリセリン層)を分離除去し、残った上層の液(脂肪酸2−ブトキシエチル層)に対して、10容量%の水を添加し、撹拌した後、静置した。下層に沈降した水層を分離・除去して、脂肪酸2−ブトキシエチルを回収した。脂肪酸2−ブトキシエチルのpHは中性を示し、アルカリフリーな透明な液体であった。
[実施例2〜10及び比較例1〜4]
出発原料及び反応条件を表4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にエステル交換反応を行い、各種の脂肪酸2−アルコキシエチルまたは脂肪酸アルキルエステルを得た。表4の比較例4に、原料大豆油の物性を示す。
Figure 2007112993
(脚注)
(1)KOH: 水酸化カリウム
(2)EGMBE: エチレングリコールモノブチルエーテル
(3)EGMME: エチレングリコールモノメチルエーテル
(4)EGMEE: エチレングリコールモノエチルエーテル
(5)EGMtBE: エチレングリコールモノt−ブチルエーテル
(6)MeOH: メチールアルコール
実施例1〜10において、エステル交換反応の経過は、脂肪酸2−アルコキシエチルの生成に伴い、お互いに溶け合わない未反応の植物油との間で懸濁状の反応混合物を形成し、やがて、反応混合物は、見た目に透明溶液に変化する。反応混合物がほぼ透明になってから、10分間程度、撹拌を継続してから反応混合物を静置すると、透明なグリセリンが下層に分離してくる。反応条件によっては、上層の脂肪酸2−アルコキシエチル層が透明であっても、下層のグリセリン層は透明にならないときがある(分離がやや不良または不良)。
実施例1〜10で得られた、各脂肪酸2−アルコキシエチルを冷蔵庫の冷凍室(−23℃に保持)に保存しておいたところ、2ヶ月以上の長期間にわたって透明な液状を保持したので、各脂肪酸2−アルコキシエチルの融点は、−20℃以下であると解することができる。
反応後の添加水の量を0.1容量%(実施例1〜3)から1.0容量%(実施例4)に増量すると、上層及び下層の分離に時間がかかる傾向が見られた。これは、脂肪酸アルカリ金属塩が生成して、その界面活性作用で水のミセルを安定化しているためと考えられる。
実施例1〜4では、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)を用いたが、EGMBEを用いる代わりにエチレングリコールモノメチルエーテル(EGMME)を用いた場合(実施例5)、エチレングリコールモノエチルエーテル(EGMEE)を用いた場合(実施例6)、及びエチレングリコールモノt−ブチルエーテル(EGMtBE)を用いた場合(実施例7)でも、ほぼ対応する脂肪酸2−アルコキシエチルができていることを確認した。
原料油の種類が変わっても反応は同様に進んでいる(実施例8〜10)。ただし、椰子油のように、原料油の中に沸点の低い成分(カプリン酸トリグリセリドやカプリル酸トリグリセリド、ラウリン酸トリグリセリド等)を含有する特殊の植物油では、初留点も引火点も下る(実施例10)。
反応の終点及び反応の完結は、反応後の透明な2層への分離と、上層の生成物の初留点が使用原料(油脂及びエチレングリコールモノアルキルエーテル)より高く(原料油よりさらに50℃程度)、引火点が原料油より低く(100℃程度)、かつ、原料に使用したエチレングリコールモノアルキルエーテルより高いことから、反応が完了していると解釈できた。
実施例4において、アルカリの種類を水酸化カリウムから水酸化ナトリウムに代えたところ、水酸化ナトリウムはエチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)に溶けにくいため、エステル交換反応が迅速に進行しない傾向にあることが判明した。したがって、アルカリとしては、水酸化ナトリウムよりも水酸化カリウムが好ましい。
実施例3において、大豆油に代えて牛脂を用いたところ、生成物の融点を十分に低下させることが困難であり、冷蔵庫の冷凍室(−23℃に保持)に保存しておいたところ、一部に固形物が見られた。したがって、油脂としては、動物油よりも植物油の方が好ましい。
比較例1は、油脂にアルカリ含有メチルアルコールを添加して、エステル交換反応により脂肪酸アルキルエステルを生成させる従来技術である。
反応温度を135℃より高くすると、副反応である脂肪酸アルカリ金属塩の生成量が多くなり、脂肪酸アルカリ金属塩が分散剤の役目を果たすため、特に添加水を加えた時に分離を妨害して、上層と下層の分離が悪化する(比較例2)。つまり、反応温度を高くすると、エステル交換により脂肪酸アルカリ金属塩の生成量が多くなり、アルカリが触媒として働かないため、反応生成物は2層に層分離しない。しかも、アルカリが消費されて脂肪酸アルカリ金属塩になると、未反応の原料油脂も残るので、生成物の初留点は原料とそれほど違いがなく、引火点もEGMBEの引火点を示す。
他方、反応温度が20℃より低くなると、反応が完結せず、初留点も引火点もほぼEGMBEの値を示す(比較例3)。
比較例4は、原料油脂として使用した大豆油の特性を示している。
[実施例11]
比較例1で得られた脂肪酸のメチルエステルと実施例1で得られた脂肪酸の2−ブトキシエチルエステルを、それぞれ鉄板上に1滴垂らして、6ヶ月空気中に曝しておいたところ、脂肪酸のメチルエステルは、鉄板に固着して固まった状態を示したが、脂肪酸の2−ブトキシエチルエステルは、液状を保っていた。この事実から、脂肪酸2−アルコキシエチルは、空気酸化に対して抵抗性が強いと判定することができる。
[実施例12]含水エタノールからのエタノールの抽出実験1
実施例1と同様な方法で得られた脂肪酸2−ブトキシエチルと日本薬局方消毒用エタノール(純度78%)とを100ml:100mlの割合で混ぜ、よく撹拌混合した後、1時開静置したところ、下層にエタノールを殆ど含まない水21mlが分離した。上層を取り出して蒸留したところ、蒸留塔より水分を含まない精製エタノールを得た。カールフィッシャー法により水分の測定を行ったところ、精製エタノールの水分含有率は、0.01重量%以下であった。
[実施例13]含水エタノールからのエタノールの抽出実験2
実施例1と同様な方法で得られた脂肪酸2−ブトキシエチルと焼酎乙類(エタノール濃度25%)とを100ml:100mlの割合で混ぜ、よく撹拌混合した後、1時間静置したところ、下層にエタノールを殆ど含まない水76mlが分離した。上層を取り出して蒸留したところ、蒸留塔より水分を含まない精製エタノールを得た。
[実施例14]含水エタノールからのエタノールの抽出実験3
実施例1と同様な方法で得られた脂肪酸2−ブトキシエチルと比較例1と同様な方法で得られた脂肪酸メチルエステルとを50ml:50mlの割合で予め混合し、得られた混合物に市販の葡萄酒(アルコール度12%)100mlを添加して、十分に攪拌混合した。得られた混合液を3時間放置したところ、下層にエタノールを殆ど含まない水86mlが分離した。上層を取り出して蒸留したところ、蒸留塔より実質的に水分を含まない精製エタノールを得た。
[実施例15]防錆混合物の調製と防錆テスト
(1)防錆混合物の調製
使用後長期間にわたり防錆効果を持続させるために、実施例1と同様な方法で得られた脂肪酸2−ブトキシエチルに、防菌剤、防黴剤、及び酸化防止剤を配合して防錆混合物を調製した。金属同士がこすれた場合でも局部的に金属表面が露出しないように、防錆混合物に極圧剤を配合した。防錆混合物を安価に使用する目的から、水で希釈して用いることを想定して、界面活性剤を添加し、この界面活性剤の発泡を防止するために防泡剤を添加した。防錆混合物に微アルカリ性を付与し、かつ、省資源の目的で、副生物のグリセリンを添加した。防錆混合物の保存時の融点を下げる目的で、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)を配合した。表5に配合処方を示す。
Figure 2007112993
(2)防錆テスト
金属の中でも最も空気中で錆びやすい鋳物の金属削り切粉を使用した。試験方法は、濾紙上の切粉2gに防錆混合物を水で20倍に希釈した試料を注ぎ、乾燥した場合は試料を注ぎたした。室温で静置後の濾紙上の腐食の痕跡(濾紙に錆色が付着)を目視により確認して評価した。比較例として用いた水の場合、1時間で錆の痕跡が現われたのに対して、本発明の混合物を用いた場合、1ヶ月後でも錆の痕跡は現われなかった。この結果、本発明の防錆混合物は、空気中に放置される鉄材の錆を防止できることが判明した。
(3)切削油としてのテスト
前記防錆混合物を切削油として用いる場合、分類上、JIS K2241−1980に規定され、主として、鋳鋼、銅、中炭素鋼、軟鋼、ねずみ鋳鉄、アルミニウム合金、黄銅などの柔らかい金属の切削油に用いられるW2種の範疇に入り、特に、切削速度が早く切削面で熱を持ち易い金属加工用や、夜間も無人で切削加工を行うときに用いられる。
前記で調製した防錆混合物を20倍の水に希釈して軟鋼の切削加工に用いた。切削加工は、通常の切削油を用いる場合と同様の条件で行った。その結果、切削加工面の仕上がり精度が良好で、発熱による切削加工面での焼付き現象は起こらなかった。切削加工した軟鋼の切削加工面は、1ヶ月後も錆の発生は認められなかった。他方、切削加工後、切削加工面を水洗したところ、翌日には切削加工面に錆の発生が認められた。
[実施例16]易洗浄性切削油の調製
(1)切削油の調製
切削加工後に金属に付着した切削油が容易に除去できるように、実施例1と同様な方法で得られた脂肪酸2−ブトキシエチルに、防菌剤、防黴剤、及び酸化防止剤を配合して切削油混合物を調製した。金属同士がこすれた場合でも局部的に金属表面が露出しないように、切削油混合物に極圧剤を配合した。切削加工後の金属表面から油分を容易に水洗除去することを目的として、切削油混合物に界面活性剤を添加し、さらに、切削油混合物の保存時の融点を下げる目的で、エチレングリコールモノブチルエーテル(EGMBE)を配合した。表6に配合処方を示す。
Figure 2007112993
(2)切削加工品の洗浄テスト
金属の中でも最も空気中で錆び易い鋳物の金属ブロックを使用した。試験方法は、該金属ブロックの平らな表面を砥石で磨き、切削油混合物を塗布・被覆した後、塗布面を水洗した。室温で静置後の金属表面の腐食の痕跡を目視により確認して評価した。塗布面を水洗しなかった場合には、1ヶ月後も金属表面に錆の痕跡が現れなかったが、水洗した場合には、1時間後に錆の痕跡が現れた。この結果、本発明の切削油混合物は、切削加工後、次の工程で油分の除去が必要な場合には、水洗によって容易に金属表面を露出させることができることが判った。
(3)切削油としてのテスト
前記で調製した切削油混合物は、主として、チタン、ニッケル、ニッケル・クロム合金、ステンレス鋼、工具鋼、高合金鋼、高炭素鋼などの硬い金属の切削油として適している。すなわち、該切削油混合物は、切削速度が遅く、切削加工面で熱を持ち易い金属の加工に適している。
前記で調製した切削油混合物を高炭素鋼の切削加工に用いた。切削加工は、通常の切削油を用いる場合と同様の条件で行った。その結果、切削加工面の仕上がり精度が良好で、発熱による切削加工面での焼付き現象は起こらなかった。切削加工した高炭素鋼の切削加工面は、1ヶ月後も錆の発生は認められなかった。他方、切削加工後、切削加工面を水洗したところ、翌日には切削加工面に錆の発生が認められた。
[実施例17]軽油代替燃料としての利用
(1)軽油代替燃料としての燃費の測定
本発明の脂肪酸2−ブトキシエチルをジーゼルエンジン搭載排気量2000ccの乗用車の燃料として使用し、約1ヶ月間、一定距離を走行した時の燃料消費量で軽油と比較した。何れも油の消費量は、同等であった。
(2)自動車排ガスの測定
停止中の乗用車の排ガスを濾紙法(一定流量の排ガスを円筒濾紙に通し、着色の度合いで比較)で測定した。その結果、脂肪酸2−ブトキシエチルを燃料として用いた場合、円形濾紙に付いた炭素粒子は、軽油で運転した乗用車の場合の半分以下であった。また、脂肪酸2−ブトキシエチルを燃料として用い、一定量のエンジン排ガスをn−ヘキサンに吸収させ、ガスクロマトグラフィーで芳香族炭化水素を測定したところ、検出できなかった。
本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、例えば、溶剤、熱媒体、金属切削油、潤滑油、グリースなどの広範な用途に使用することができる。本発明の脂肪酸2−アルコキシエチルは、種々の機能性添加剤と混合して、それぞれの機能に適した用途に使用することができる。

Claims (11)

  1. 脂肪酸のグリセリントリエステルを主成分とする油脂と、下記式(1)
    HOCHCHOR (1)
    (式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基である。)
    で表されるエチレングリコールモノアルキルエーテルとのエステル交換反応生成物であって、下記式(2)
    COOCHCHOR(2)
    (式中、Rは、アルキル基であり、Rは、脂肪酸残基である。)
    で表され、融点が−20℃以下で、沸点が135℃以上である脂肪酸2−アルコキシエチル。
  2. 該エチレングリコールモノアルキルエーテルがエチレングリコールモノブチルエーテルであり、かつ、該脂肪酸2−アルコキシエチルが脂肪酸2−ブトキシエチルである請求項1記載の脂肪酸2−アルコキシエチル。
  3. 脂肪酸のグリセリントリエステルを主成分とする油脂と、下記式(1)
    HOCHCHOR (1)
    (式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基である。)
    で表されるエチレングリコールモノアルキルエーテルとを、含水率1重量%以下のアルカリの存在下に、反応温度20〜135℃でエステル交換反応することを特徴とする、下記式(2)
    COOCHCHOR(2)
    (式中、Rは、アルキル基であり、Rは、脂肪酸残基である。)
    で表され、融点が−20℃以下で、沸点が135℃以上の脂肪酸2−アルコキシエチルの製造方法。
  4. 該エチレングリコールモノアルキルエーテルがエチレングリコールモノブチルエーテルであり、かつ、該脂肪酸2−アルコキシエチルが脂肪酸2−ブトキシエチルである請求項3記載の製造方法。
  5. 下記工程1及び2:
    (1)有機物と水とを含有する混合物を請求項1記載の脂肪酸2−アルコキシエチルと接触させて、脂肪酸2−アルコキシエチルにより混合物から有機物を抽出する工程1;及び
    (2)脂肪酸2−アルコキシエチルと有機物とを含有する抽出液を蒸留して、実質的に水を含まない有機物を回収する工程2;
    を含む有機物の精製方法。
  6. 該混合物が、有機物としてエチルアルコールを含有する含水エチルアルコールであり、そして、前記工程2において、実質的に水を含まないエチルアルコールを回収する請求項5記載の精製方法。
  7. 該混合物が、有機物として芳香成分を含有する水溶液であり、そして、前記工程2において、実質的に水を含まない芳香成分を回収する請求項5記載の精製方法。
  8. 請求項1記載の前記脂肪酸2−アルコキシエチルの、溶剤、軽油代替燃料、熱媒体、金属切削油、潤滑油、またはグリースとしての使用。
  9. 請求項1記載の前記脂肪酸2−アルコキシエチルと、界面活性剤、防錆剤、防泡剤、発泡剤、酸化防止剤、防菌剤、防黴剤、極圧剤、及び融点降下剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含有する混合物。
  10. 該界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、及びアルキルアルカノールアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の界面活性剤である請求項9記載の混合物。
  11. 該融点降下剤が、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−i−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、及びエチル−t−ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である請求項9記載の混合物。
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