JP2010265334A - 燃料油および廃油中への水添加溶解用分散安定薬剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】
A重油、B重油、C重油、灯油、軽油あるいは機械加工油、潤滑油などとその廃油などを燃料油対象として、水を添加することにより、乳化させ、保存中に分離しない燃料油を製造し、完全に水が油中に溶解する乳化分散安定化剤を提供する。
【解決手段】
動植物油あるいは廃食油から脂肪酸メチルエステル化合物や脂肪酸ジエタノールアミドなどの親油基と親水基を持ったミセル状態の非イオン界面活性剤を主要成分にした油中への水溶解用薬剤
【選択図】なし
A重油、B重油、C重油、灯油、軽油あるいは機械加工油、潤滑油などとその廃油などを燃料油対象として、水を添加することにより、乳化させ、保存中に分離しない燃料油を製造し、完全に水が油中に溶解する乳化分散安定化剤を提供する。
【解決手段】
動植物油あるいは廃食油から脂肪酸メチルエステル化合物や脂肪酸ジエタノールアミドなどの親油基と親水基を持ったミセル状態の非イオン界面活性剤を主要成分にした油中への水溶解用薬剤
【選択図】なし
Description
本発明は燃料油および廃油中へ水を添加し、長期間放置しても油と水が分離する事なく、保存できる油水混合燃料を製造できる水添加溶解用の分散薬剤に関する。
近年化石燃料の消費による炭酸ガス排出に伴う地球温暖化問題が大きく取り挙げられている。化石燃料の消費を少しでも削減し、炭酸ガスの排出量の削減を図る試みがなされている。さらに原油価格が高騰し、消費者の生活に大きな影響を及ぼしている。
燃焼用燃料油に関しては、自動車のエンジンオイルや機械加工時に使用する潤滑油などの廃油の再利用やA、B、Cなどの重油や灯油あるいは軽油などに水を添加して、燃料油の消費削減の技術が確立されている。
自動車のエンジンオイルの廃油の燃料油化に関しては自動車の不凍液グリセリンの入った水との混合で燃料化を可能にした乳化剤の技術が挙げられる。(特許文献1参照)
重質油燃料に水を添加して、燃料油の消費削減を図るための添加剤の技術も確立されている。
(特許文献2参照)
(特許文献2参照)
その他、重質油と水を混合する際に乳化剤としてアルコキシポリオキシアルキレン脂肪酸エステルを使用する事によって、エマルジョン燃料としての乳化性、輸送、貯蔵安定性、燃焼性に優れた技術が開示されている。(特許文献3参照)
超重質油中に水を添加し、超重質油エマルジョン燃料として使用するためのアニオン性界面活性剤が開示され、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの低級アミンやリグニンスルホン酸、アルキルナフタリンなどの芳香族化合物で構成される技術が提供されている。(特許文献4参照)
A重油、B重油、C重油、灯油あるいは軽油などの燃料油または機械加工油、潤滑油などの鉱物油の廃油に水を添加溶解し、炭酸ガスの発生の抑制や排気ガスの浄化するための高効率の燃料油の分散安定薬剤を提供する。
燃料油中に水を添加する技術としては、分散安定化剤でノニオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤で水酸化亜鉛や水酸化マグネシウムを使用して、自動車のエンジンオイル(廃油)とグリセリンの混入した不凍冷却液をエマルジョン燃料化した技術が開示されている。
その他、超重質油中にアニオン性界面活性剤としてアンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの低級アミンなどを用いて、エマルジョン燃料化された技術が提供されている。
既存で開示されている燃料油中に水を添加する技術はすべて、分散安定剤としてアニオン性またはノニオン性の界面活性剤を使用して、油と水の境界面に親油基を内側に親水基を外側にしたO/W型(Oil in Water型)を形成させて乳化すなわちエマルジョン化させて燃料として使用する技術である。
しかし、油の中へ水を分散させて乳化(エマルジョン)状態にすると油と水の界面の総面積が増大して油の粒子全体の界面自由エネルギーが大きくなり、熱力学的に不安定な状態になる。
油と水は界面の総面積を減少させて、安定な状態に戻ろうとし、再び油と水の層に分離してしまう。
本発明の各種の燃料油および廃油に適用しようとする分散安定薬剤は油と水を乳化(エマルジョン)状態ではなく、完全に可溶化し、保存状態で油と水が分離しない分散安定化薬剤を提供する事を目的とする。
本発明は上記課題であるA重油、B重油、C重油、灯油、軽油あるいは機械加工油、潤滑油などの鉱物油の廃油などに水を添加し、乳化(エマルジョン)状態ではなく、完全に油中に水を溶解させるために界面活性剤の濃度を臨海ミセル濃度まで高めた分散安定化薬剤により課題の解決を行った。
ミセルは非イオン性界面活性剤分子が親油基を内側に親水基を外側にそれぞれ向けた状態になり、脂肪酸の炭素数やエステル化状態、アミン化合物などで親油性が大きくなったり、親水性が小さくなったりし、逆の性質をもつエステル化合物、アミン化合物もある。
本発明ではミセル状態のエステル化合物、アミン化合物の非イオン性界面活性剤の親油基が油や油性物質を界面活性剤の中へ溶かし込み、親水基が添加水を溶かし込む作用を行う。
油の乳化(エマルジョン)状態では水の添加後に白濁した液体になるが本発明の分散安定化薬剤を使用して、水が油中に溶解した状態は灯油や軽油などの透明油は分散安定化薬剤の茶色または農茶色以下の淡色にはならない。ただし、溶液の濁りは全く認められない事が大きな特徴である。
本発明のミセル状態の界面活性剤分子は非イオン性界面活性剤のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビサン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、アルキルグリコンドの中から一種または数種を選定し、水で少しずつ溶解し、臨海ミセル濃度溶液を作成し、使用する事を特徴とする。
次に動植物油に含有される飽和または不飽和脂肪酸をアルカリ触媒(水酸カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムの中から一種を選定し適用される)を用いて、メチルアルコールで50℃〜70℃の温度でエステル化反応で脂肪酸メチルエステル化合物を生成する。
生成した脂肪酸メチルエステル化合物にアンモニア類や低級アミンなどを加えて脂肪酸メタノールアミドや脂肪酸ジエタノールアミドなどの非イオン性界面活性剤を製造し、主要成分として用いる事を特徴とする。
本発明のA重油、B重油、C重油、灯油、軽油あるいは機器加工油、潤滑油などの廃油に水を添加し、完全に溶解する事が出来る分散安定剤は脂肪酸メチルエステルから脂肪酸エタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドなどの混合物あるいはミセル状態の脂肪酸化合物の非イオン性界面活性剤を含有する事を大きな特徴とする。
本発明の分散安定剤は脂肪酸化合物、アミン化合物(アミド化物)、アンモニア化合物からなりすべて非イオン性界面活性剤は電荷を持たず、水を添加した時に外側に親水基、内側に親油基を持ったミセル状態で界面活性剤分子が数十オングストローム程度の集合体で界面活性剤濃度が高まってもミセルの大きさは変わらず、数だけが増加し、内側の親油機は油分を外側の親水基は水分を溶かすことができ、油と水の可溶化が可能になった。
本発明で使用する脂肪酸原料は動植物油から生成されるが原料油中に遊離脂肪酸が多く含まれるとメチルエステル化反応が阻害し、脂肪酸メチルエステル溶液が濁る事があるので酸価を測定し、酸価相当分の水酸化ナトリウム溶液や水酸化カリウム溶液により脱酸(脱遊離脂肪酸)工程を行う必要がある。
本発明で使用する脂肪酸原料の動植物油に水分が含まれているとメチルエステル化反応が阻害され、分散か安定薬剤としての性能にも問題が生じる事がある。
本発明で使用する脂肪酸原料の動植物油は遊離脂肪酸除去の脱酸工程と水分除去の脱水工程を脂肪酸メチルエステル反応の前処理として行う必要がある。
本発明のA重油、B重油、C重油、灯油、軽油あるいは機械加工油、潤滑油などの廃油へ水を添加し、完全に溶解できる分散安定化薬剤は既存の油と水を混合するエマルジョン燃料技術では保存中に油と水が分離し、保存ができなかった課題を解決した。
本発明の油と水を溶解できる分散安定化薬剤は産業利用上で焼却炉、乾燥炉、ボイラーあるいは農家の温室などで使用され、現状の燃料油中に水を添加し、ランニングコストの低減化や排気ガスの浄化あるいは地球温暖化防止に大きく影響を及ぼすとされている炭酸ガスの排出抑制に大きな役割を果たすことができる。さらに炭酸ガス排出権を獲得し、販売する事も可能になるなど産業利用上に非常に大きく寄与する事が出来る。
以上、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。本発明の分散安定化薬剤を使用し、各種燃料油に水を添加し、白濁が認められず、水が油中に溶解し、透明になった条件を良好とし、白濁が認められた条件を不良として表示する。
菜種油および大豆油の廃食油原料50lに対してメチルアルコール(CH3OH)10?に350gの水酸化カリウム(KOH)を溶解した液を添加して、55℃〜64℃の温度範囲で2時間加熱撹拌し、廃食油原料中に含有されている脂肪酸のメチルエステル化合物を生成した。
反応槽内の温度を室温まで放冷し、上下層に分離した下層のグリセリン層を完全に排出し、残った上層の脂肪酸メチルエステル層に水10lを添加して、75℃に加熱後30分間撹拌処理して、脂肪酸メチルエステル層の不純物などを洗浄し、放冷後に下層の洗浄水を排出した。
残留した脂肪酸メチルエステル層に脱水、脱色、不純物の吸着除去を目的にケイ酸カルシウム、活性炭、ケイ酸アルミニウム、活性白土あるいは活性アルミナなどの中から選ばれた1種を用いて粒径が75μm(200mesh)から2mm(7.5mesh)の範囲の粉末を1kg添加し、80℃で30分間加熱撹拌後放冷し、遠心分離機2000回転で固液分離した脂肪酸メチルエステル化合物を分散安定化剤の構成成分として50%以上の比率を持って使用した。
脂肪酸メチルエステル化合物とは別に脂肪酸にジエタノールアミンを加えて加熱し、脂肪酸ジエタノールアミドを生成し、過剰のジエタノールアミン5%を添加し、分散安定化剤には重量部で1〜10%範囲で加えて使用する。
脂肪酸ジエタノールアミンは親油機と親水基の両方を持った非イオン系の界面活性剤としての大きな働きを行う。
A重油、B重油、C重油などの黒色の燃料油中に分散安定剤と水を溶解させると色相が変化する事があり、親油性の大きいシクロヘキサンを重量部で1〜10%の範囲で加えて、色相の調整を行う。
分散安定剤に水酸化アンモニウムNH4OH(25%濃度)を重量部で1〜10%範囲で加える。水酸化アンモニウム(NH4OH)は分散安定剤に含まれる脂肪酸メチルエステルおよび脂肪酸ジエタノールアミドなどの安定性を確保するために添加する。
脂肪酸メチルエステルを主要成分にした油中へ水を溶解するための分散安定化薬剤の効能についての検証試験結果を表1に示す。
検証試験は対象燃料油としてA重油を使用し、分散安定剤の構成比率および水添加率を変化させて、油中への水溶解性の確認を行った。
なお、添加手順および方法としてはA重油と分散安定剤のどちらが先でも良いが水の添加は一番最後で滴下するように加える事が肝要である。
使用する水は一般工業用水、家庭用上水他冷却排水、工場排水、雨水などがすべて使用可能であるが本試験では水道水を用いて行った。
表1で使用した分散安定剤では水添加率が30%まで溶解性が認められたが分散性評価試験では分散安定化薬剤10%、A重油60%、水30%の条件で3日後にわずかな濁りが認められた。
Claims (4)
- 動植物油に含有される飽和または不飽和の脂肪酸をメチルエステル化処理として得られる炭素数4から22の脂肪酸メチルエステルを主要成分として、非イオン性界面活性剤およびアンモニア、アミン化合物などで構成される燃料油および機械加工油や潤滑油などの鉱物油の廃油中への水添加溶解用の分散安定薬剤
- 請求項1記載の脂肪酸メチルエステル化するための原材料として魚油、牛乳脂、牛脂、豚脂、サフラー油、ヒマワリ油、大豆油、コーン油、落花生油、綿実油、ゴマ油、ナタネ油、オリーブ油、パーム油、ヒマシ油、および食用として使用された後の廃食油などの中から選ばれた一種または数種を混合して使用する事を特徴とする。
- 請求項1記載の非イオン性界面活性剤としてポリオキシエチレングリコール型としてポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルまたは多価アルコール型としてグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、アルキルグリコシドの中から選ばれた一種または数種を混合して使用する事を特徴とする。
- 請求項1記載のアンモニア、アミン化合物としてアンモニア水(NH4OH)、塩化アンモニウム(NH4C?)、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)あるいはアミン化合物として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミンなどの群より選ばれた一種または数種を混合して使用する事を特徴とする。
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