JP2007112234A - 安全タイヤ用空気のう及び安全タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】支持層を適正化することにより、安全タイヤ用空気のうの放熱性とランフラット耐久性を向上させるとともに、軽量化を図る。
【解決手段】安全タイヤ用空気のう1は、タイヤ2に収納され、内部空間Sに気体が充填され、正常内圧状態ではタイヤ内面との間に空間部Sを形成し、内圧低下状態では拡径変形して、荷重の支持をタイヤ2から肩代わりする。空気のう1は、中空円環状の気体不透過層3と、この外面に配置された支持層4とを具える。気体不透過層3は、内部空間Sに充填された気体を保持する。支持層4は、内圧正常状態の空気のうに加わる張力を支持して空気のうの形状を保持する。支持層4の最小層厚を3.0〜9.0mmの範囲内とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で気体が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧の低下に伴って拡径変形して、荷重の支持をタイヤから肩代わりする安全タイヤ用空気のう及びかかる空気のうを有する安全タイヤに関するものである。
パンク等によってタイヤ内圧が急激に低下したランフラット状態においてもある程度の距離の走行を可能とする安全タイヤとして、タイヤ内に中空円環状の空気のうを収納し、ランフラット状態では空気のうを膨張させて荷重支持をタイヤから肩代わりさせるものが実用化されている。かかる空気のうを有する安全タイヤにおいては、クリープ変形や走行中の遠心力によって空気のうがタイヤ内面に擦れたり、パンクの原因となった異物がタイヤ内に侵入して空気のうを傷つけたりして、安全タイヤとしての機能を十全に発揮できなくなるのを防止するため、空気のうの外面を保護層、補強部材等で覆うことが行われている(例えば特許文献1参照。)
また、通常の空気入りタイヤでは、規定内圧で気体を充填した状態で走行する通常走行時には、路面との摩擦、負荷による繰り返し弾性変形、タイヤの転がり抵抗及びゴム物性等に起因してタイヤ、特にトレッド部が最も多く発熱するが、発生した熱はタイヤ内の気体の流動によりサイドウォール部、ビード部及びリム外面にも伝達され、これらの部位から放熱されることによって発熱したトレッド部が冷却される結果、タイヤ内の気体の温度分布を均一にすることができる。しかしながら、特許文献1に記載されたような空気のうを収納した安全タイヤにおいては、空気のうによりタイヤ内部の気体の自由な流動が阻害されるため、タイヤと空気のうの間の空間部内での気体流動にとどまり、特に冷却効果の高いリム外面まで気体が流動できない。この結果、発熱したトレッド部の温度を低下させることができず、十分なタイヤ耐久性が得られない上、タイヤ内部の気体の温度がトレッド側とリム側とで大きく異なるという温度分布の不均一化も生じ、これはタイヤ故障を事前に検知する等の目的でタイヤ内部の温度を測定するためにタイヤ内部に装着する温度センサーに大きな誤差を生じさせる。こうした問題を解決するため、特許文献2及び3には、空気のうの外面を構成する支持層に隆起部を設けて、気体がリムと空気のうとの間を流動できるようにする流通路を形成することが記載されている。
特開2003−159914号公報 国際公開第04/106092号パンフレット 特開2005−53383号公報
ランフラット走行時の耐久性を確保する観点からは、空気のうは迅速かつ均一に拡張することが望ましい。しかし、特許文献1〜3の補強部材や支持層は、主としてタイヤの内圧が正常な状態での空気のうの保型性や気体の流動性を確保するために設けられたものであり、内圧低下時の拡張性については必ずしも適正化が行われていなかった。また、特許文献2及び3に記載された空気のうは、隆起部を設けたことによる質量増加が大きく、いわゆるバネ下重量が著しく増加して乗心地性、操縦性、燃費等に大きな影響を与えていた。これを改善するために軽量化を図ろうとすると、放熱性やランフラット耐久性が悪化したり、タイヤの内圧低下時に迅速な拡径変形が得られなかったりするという問題が生じていた。
したがって、この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、支持層の適正化を図ることにより、耐久性の向上と軽量化の双方を両立した安全タイヤ用空気のう及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することにある。また、この発明の他の目的は、放熱性も向上させた安全タイヤ用空気のう及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することにある。
前記の目的を達成するため、この発明の安全タイヤ用空気のうは、タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で気体が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧の低下に伴って拡径変形して、荷重の支持をタイヤから肩代わりする安全タイヤ用空気のうにおいて、該空気のうは、中空円環状をなし、内部空間に気体を保持する気体不透過層と、該気体不透過層の外面に配置され、内圧正常状態の空気のうに加わる張力を支持して空気のうの形状を保持する支持層とを具え、該支持層は、最小層厚が3.0〜9.0mmの範囲内にあることを特徴とするものである。
この明細書において、「タイヤの所定の内圧」とは、空気のうを収納する安全タイヤに対して、JATMA、TRA、ETRTO等の、タイヤが製造、販売、又は使用される地域において有効な工業基準、規格等に規定され、負荷能力に応じて特定される内圧をいうものとする。また、「タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧」とは、タイヤに所定の内圧を適用した気体充填状態では、空気のうの外面とタイヤの内面との間に空間を形成することができ、一方、タイヤの内圧が低下したランフラット状態では、タイヤ内圧の低下に伴って空気のうが拡張変形して荷重支持をタイヤから肩代わりすることができる内圧をいい、好適には所定の内圧+0〜20%の範囲内の圧力をいうものとする。また、「層厚」とは、空気のうの半径方向に沿って測定した層の厚さをいうものとし、「最小層厚」とは、最も層厚の小さい部分で測定した層厚をいうものとし、後述するように流通路が形成されている場合には、流通路の部分で測定した層厚をいうものとする。
また、支持層は、200%モジュラスが15.0MPa以下であること、破断伸びが200〜900%の範囲内にあること、がそれぞれ好ましい。
さらに、支持層は、層厚の比較的小さい部分である基部とこれよりも層厚の大きな部分である隆起部とを有し、これら基部と隆起部とによって、タイヤに充填した気体がリムと空気のうとの間を流動することを可能にする流通路を画定することが好ましい。この場合には、支持層の200%モジュラスが7.0MPa以上であること、支持層の基部における層厚と隆起部における層厚の差が2.0〜15.0mmの範囲内にあること、空気のうの最小層厚が8.0〜12.0mmの範囲内にあること、流通路は空気のうの周方向と交差する方向に連続して延びること、隣接する流通路を連通するように基部を配設してなること、がそれぞれさらに好ましい。なお、空気のうの「層厚」とは、気体不透過層及び支持層を含む空気のうの構成部材全てを、空気のうの半径方向に沿って測定したときの厚さをいうものとする。
そして、この発明の安全タイヤは、前記のいずれかの空気のうを有するものである。
この発明によれば、支持層の適正化を図ることにより、耐久性の向上と軽量化の双方を両立した安全タイヤ用空気のう及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することが可能となる。また、この発明の他の態様によれば、これらに加えて放熱性も向上させた安全タイヤ用空気のう及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することが可能となる。
次に、図面を参照しつつこの発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う代表的な安全タイヤ用空気のう(以下「空気のう」という。)を収納した安全タイヤをリムに装着し、所定の内圧を充填した状態で示す幅方向断面図である。
図1に示す空気のう1は、全体として中空円環状をなしており、タイヤ2に収納されて安全タイヤを形成している。この安全タイヤをリムRに装着してタイヤ組立体を形成する。そして、タイヤ2には気体充填バルブ(図示せず)を介して所定の内圧を充填し、空気のう1には他の気体充填バルブ(図示せず)を介してタイヤ2の所定の内圧との関係で設定された内圧で気体を充填し、その結果、図1に示すように、タイヤ2内には空間Sが、空気のう1内には空間Sがそれぞれ形成される。一方、パンク等によりタイヤ2内の気体が漏出し空間Sの内圧が急激に低下すると、空間Sと空間Sとの内圧差が大きくなる結果、空気のう1が拡径変形して最終的にはタイヤ2の内面に達し、荷重の支持をタイヤ2から肩代わりする。
空気のう1は、中空円環状の気体不透過層3と、この気体不透過層3の外面に配置された支持層4とを具える。気体不透過層3は、例えば従来のチューブ入りタイヤに用いるチューブと同様にブチルゴムからなる気体不透過性のチューブで構成することができる。あるいは、気体不透過層3は、不織布とゴムの複合体の内面又は外面に、気体透過率の低い樹脂フィルムを貼り付け、これを中空円環状とすることで形成してもよい。このように気体不透過層3は、少なくともその一部を気体透過率の低い材料で構成しているので、正常内圧状態及びランフラット状態のいずれにおいても、内部空間Sに充填された気体を保持し、内圧を維持することができる。
支持層4は、例えばゴム又は不織布とゴムの複合体を用いて構成することができ、タイヤの内圧が正常な状態で空気のうに加わる張力を支持して空気のうの形状を保持する。これによって、内圧正常時に空気のうの一部又は全部が拡張してタイヤ内面と擦れて破損するのを防止している。また、支持層4は、ランフラット走行時にパンク孔からタイヤ内部に侵入した小石、金属片等の異物により空気のうが損傷するのを防止している。このような異物による外傷を確実に防止する観点から、この発明では、支持層4の最小層厚tを3.0mm以上とする。しかし、支持層4の最小層厚tは9.0mmあれば十分であり、これを超えることは空気のうの質量の増大を招くだけである。このように、この発明では、支持層4の適正化を図ることで、内圧正常状態及びランフラット状態のいずれの状態においても、顕著な質量の増加を伴うことなく耐久性が向上させている。
また、支持層4は、200%モジュラスが15.0MPa以下であることが好ましい。200%モジュラスが15.0MPa超の剛性の高い材料を用いると、内圧低下時の空気のうの迅速な拡張が妨げられ、空気のうが完全に拡張するまでの間の車両安定性に問題が発生する場合があるからである。
さらに、支持層4は、破断伸びが200〜900%の範囲内にあることが好ましい。この理由は、破断伸びが200%未満の低伸長性の材料を用いると、内圧低下時の空気のうの迅速な拡張が妨げられ、空気のうが完全に拡張するまでの間の車両安定性に問題が発生する場合があるからである。しかし、破断伸びは900%あれば十分であり、これを超えることは、コストが急激に上昇することから好ましくない。
図2はこの発明の他の実施態様の空気のうを収納した安全タイヤをリムに装着し、所定の内圧を充填した状態で示す幅方向断面図であり、図3はこの空気のうの要部を模式的に示す断面斜視図である。タイヤ2の発熱が多い場合には、空気のうを加硫成型する際の金型の内部に凹凸を設けるなどして、図2及び3に示すような、層厚の比較的小さい部分である基部5とこれよりも層厚の大きな部分である隆起部6を形成し、これら基部5と隆起部6とによって、流通路7を画定することが好ましい。この流通路7は、タイヤ2に収納しリム組みし、正常内圧状態とした空気のう1の、少なくともリムRと接触する部分からタイヤ2と接触する部分にわたる特定領域の外面に形成されることがさらに好ましい。従来の空気のうでは、リム組み姿勢において、空気のうがリム及びタイヤと密着し、気体の自由な流動を阻害していたが、図2に示す実施態様の空気のうでは、少なくとも特定領域に流通路7を形成することで、タイヤ2に充填した気体がこの流通路7を通って空間SとリムRの間を循環できるようにしている。このため、この空気のうでは、トレッド部で発生した熱が、空間S内の気体によりリムRに運ばれここから放熱されるので、タイヤ2内の空気の温度をタイヤ内部全体にわたって比較的均一にすることができ、空間部Sの空気の温度を低下させ、ひいてはトレッド部の温度上昇を抑制することができる。この結果、この空気のうを用いた安全タイヤは、流通路を有しない空気のうを用いた安全タイヤに比べて、耐久性が大幅に向上している。
このように流通路7を形成した場合には、支持層4は、200%モジュラスが7.0MPa以上であることが好ましい。200%モジュラスが7.0MPa未満の剛性の低い材料を用いると、内圧の作用で隆起部6がリムR及びタイヤ2に押し付けられた際に隆起部6が大きく変形するので、流通路7の断面積を確保し、気体の自由な流動を得るために隆起部6を大きくしなければならず、空気のうの質量の増加を招くからである。
また、支持層4は、基部5における層厚tと隆起部における層厚tの差Δt=t−tが2.0〜15.0mmの範囲にあることが好ましい。Δtが2.0mm未満の場合には、流通路7の断面積が不足し、気体の十分な流動を確保できなくなるおそれがあるからであり、15.0mmを超える場合には、空気のう1内の空間部Sの容積が小さくなりすぎ、拡張変形後の内圧が不足し、ランフラット走行時においてタイヤ荷重を支持することが困難となるおそれがあるからである。
また、基部5における空気のう1の層厚、図示の態様では、気体不透過層3と支持層4の層厚の総和tが、8.0〜12.0mmの範囲内にあることが好ましい。この層厚tが8.0mm未満では、内圧の作用により基部5において空気のう1が、図3に示すように、外方に向かってせり出し変形する結果、流通路の断面積が減少して十分な空気の流動を得ることができなくなる状況が生じるおそれがある。しかし、層厚tは12.0mmあれば十分であり、これを超えることは、空気のうの質量の増大を招くだけであり、好ましくない。
流通路7は、全体として、空間S内の気体がリムRと空気のう1の間を流動できるように構成されていれば、その配設パターンは特に限定されず、屈曲又は蛇行していてもよい。しかし、気体の流動を円滑にする観点からは、流通路7は空気のう1の周方向と交差する方向に連続して延びることが好ましい。同様に、気体の流動を円滑にする観点からは、図3に示すように、隣接する流通路7を連通するように基部5を配設し、流通路7が全体として網状配列となるようにすることが好ましい。また、特定外面領域に占める流通路7の割合が大きいほど気体の流動は円滑なるが、流通路7の割合が大きすぎると、隆起部6の数や剛性が不足し、内圧の作用で隆起部6が押しつぶされて、結局、流通路7の容積が減少し、気体の流動が妨げられる場合がある。したがって、特定領域の外面に占める流通路7の割合を、面積率にして50〜95%の範囲内とすることが、気体の円滑な流動を確保する観点から好ましい。
一般に、リムRは完全にフラットな形状をしておらず、ウエルと呼ばれる、タイヤの脱着を容易にするためにリム底部に設けられた一定の幅と深さを持つ溝を有している。支持層4の曲げ剛性が高すぎると、空気のう1がウエルに密着することができず、ウエル以外の部分でのみ空気のうとリムが接触することとなり、空気のうのリムへの固定性が不足する場合がある。リムへの固定性が不足すると、コーナリング中に発生する横Gや路面からの振動の影響で、タイヤ内で左右のいずれかに偏った状態となり、内圧低下時に空気のうが片膨れしてランフラット走行中に破断しやすくなったり、極端な場合には、ランフラット走行に至る前の拡径変形段階で破断してしまったりする場合がある。また、加減速により発生する周方向力の影響で、空気のうがリム上を周方向に滑って移動する場合があり、空気のうには、リムに固定された空気充填バルブが取り付けられているため、この空気充填バルブの周囲から故障が発生する場合がある。したがって、隆起部6がウエルを含めたリムR全体と密着するように構成し、固定性を高めることが好ましい。
具体的には、空気のうの周方向に直交する方向に沿って測定した隆起部6の長さを5mm以上とする。この長さが5mm未満の場合には、内圧の作用により隆起部6が押しつぶされ、流通路7の断面積が減少し、空気の十分な流動を確保できなくなるおそれがあるからである。また、隆起部6の長さがウエルの幅を超えると、空気のうの、リムRの形状に対する追従性が著しく低下することから、隆起部6の長さをウエルの幅以下とすることが好ましい。さらに、隆起部6の長さが50mmを超えると、隆起部6を設けた部分の曲げ剛性が高くなりすぎ、リムRと密着できず、空気のう1のリムRへの固定性が低下するおそれがある上、流通路7の容積が減るため、空気の流動を確保できなくなるおそれもあることから、隆起部6の長さを50mm以下とすることが好ましい。
これに代えて、又はこれと共に、空気のう1の周方向に沿って測定した隆起部6の幅を1〜10mmの範囲とすることが好ましい。この幅が広すぎると、隆起部6を設けた部分の曲げ剛性が高くなりすぎ、リムRと密着できず、空気のう1のリムRへの固定性が低下するおそれがある上、流通路7の容積が減るため、空気の流動を確保できなくなるおそれもあり、一方、この幅が狭すぎると、内圧の作用により隆起部6が押しつぶされ、流通路7の断面積が減少し、空気の十分な流動を確保できなくなるおそれがあるからである。
また、空気のうにおいては、リムRと接触する部分では曲げ剛性を低くしてリムRの形状に追従することが重視され、タイヤ2と接触する部分では隆起部3のつぶれを防止して空気の流通路4を確保することが重視される。そこで、リムRと接触する部分に設けられる隆起部6の長さを、タイヤ2と接触する部分に設けられる隆起部6の長さよりも短くすることで曲げ剛性の分布の適正化を図れば、放熱性とリムへの固定性をより一層高いレベルで両立させることができる。
さらに、隆起部6の周方向及び幅方向のそれぞれのピッチ(間隔)を適宜に調整することによっても、リムRのウエルと接触する空気のうの部分の曲げ剛性を適正化することができる。
図1及び2に示した実施態様においては、空気のう1のクラウン部にフープ補強層8を配設してなる。このフープ補強層8は、正常内圧状態での空気のうの径成長を抑制し、空間Sを確保するために設けられるものであり、長期間にわたって使用した際にも、クリープ変形を起こすことのない耐低張力材料で構成することが好ましい。具体的には、コードをゴム被覆したもの又は樹脂を用い、クラウン部全体を覆うことのできる広幅部材で構成してもよく、狭幅のリボン状部材をつるまきらせん巻回して構成してもよい。なお、気体不透過層3の剛性が十分であり、正常内圧状態での径成長の懸念が無い場合には、フープ補強層8を配設しなくてもよい。あるいは、支持層4によって気体不透過層3の全体を密着包囲することで、フープ補強層8を省略することもできる。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。
次に、この発明に従う安全タイヤ用空気のう及び安全タイヤを試作し性能評価を行ったので、以下に説明する。
実施例1及び2の空気のうは、タイヤサイズが495/45R22.5の安全タイヤに収納して用いられるものであり、ブチルゴム製インナーライナーの外面をPET不織布とゴムの複合体で覆い、これを1周させて形成した気体不透過層と、PET不織布とゴムの複合体に基部及び隆起部を配列した支持層とを具え、表1に示す諸元を有する。
比較のため、実施例1及び2の空気のうと同様にタイヤサイズが495/45R22.5の安全タイヤに収納して用いられるものであり、実施例1及び2の空気のうと同様の気体不透過層及び支持層を具えるものの、基部における支持層の層厚がこの発明の範囲外であり、表1に示す諸元を有する従来例の空気のうについても併せて試作した。
これら実施例1、2及び従来例の空気のうの質量を測定した。この測定結果を表1に示す。なお、表1に示す測定結果は、従来例の質量を100としたときの指数比で示してあり、数値が大きいほど軽量である。
前記各供試空気のうを、タイヤサイズが495/45R22.5のタイヤに収納し、リムサイズが17.00×22.5のリムに装着してタイヤ車輪とし、空気のうを含むタイヤ(空間S)には900kPa(相対圧)の内圧を、空気のう(空間S)には970kPa(相対圧)の内圧を適用した。次いで、これらタイヤ車輪を、タイヤ負荷荷重56.9kN、走行速度60km/hの条件下でドラム試験機上を走行させつつ、図1の点A及びBでの温度を測定し、これら2点の間の温度差により放熱性を評価した。この評価結果を表1に示す。なお、表1に示す評価結果は、従来例の温度差を100としたときの指数比で示してあり、数値が大きいほど温度差が小さく、放熱性が良好である。
また、これらタイヤ車輪をテスト車両に取り付け、タイヤ負荷荷重56.9kNを適用し、舗装路面のテストコースを時速60km/hの速度で走行した。タイヤに加わる横力が0.3Gとなるように旋回し、旋回中にバットレス部を爆破してタイヤの内圧を低下させ、空気のうを拡張変形させた。その後、このテストコースを時速60km/hでランフラット走行し、タイヤが故障して走行不能となるまでの走行距離を測定し、この測定値におってランフラット耐久性を評価した。この評価結果を表1に示す。なお、表1に示す評価結果は、従来例のランフラット耐久性を100としたときの指数比で示してあり、数値が大きいほどランフラット耐久性に優れている。
Figure 2007112234
表1に示す結果から、実施例1及び2の空気のうは、比較例の空気のうに比べて、大幅に軽量でありながら、放熱性及びランフラット耐久性に優れていることが分かる。
以上の説明から明らかなように、この発明によって、放熱性とランフラット耐久性を向上させるとともに、軽量化を図った安全タイヤ用空気のう及びかかる空気のうを有する安全タイヤを提供することが可能となった。
この発明に従う代表的な安全タイヤ用空気のうを収納した安全タイヤをリムに装着し、所定の内圧を充填した状態で示す幅方向断面図である。 この発明に従う他の安全タイヤ用空気のうを収納した安全タイヤをリムに装着し、所定の内圧を充填した状態で示す幅方向断面図である。 図2に示す空気のうの要部を模式的に示す断面斜視図である。 内圧の作用により変形した状態の、従来の安全タイヤの流通路の断面図である。
符号の説明
1 空気のう
2 タイヤ
3 気体不透過層
4 支持層
5 基部
6 隆起部
7 流通路
8 フープ補強層

Claims (10)

  1. タイヤに収納され、該タイヤの所定の内圧との関係で設定された内圧で気体が充填され、タイヤの内圧が正常な状態では少なくともタイヤ内面との間に空間部を形成し、タイヤの内圧の低下に伴って拡径変形して、荷重の支持をタイヤから肩代わりする安全タイヤ用空気のうにおいて、
    該空気のうは、中空円環状をなし、内部空間に気体を保持する気体不透過層と、該気体不透過層の外面に配置され、内圧正常状態の空気のうに加わる張力を支持して空気のうの形状を保持する支持層とを具え、
    該支持層は、最小層厚が3.0〜9.0mmの範囲内にあることを特徴とする安全タイヤ用空気のう。
  2. 前記支持層は、200%モジュラスが15.0MPa以下である、請求項1に記載の空気のう。
  3. 前記支持層は、破断伸びが200〜900%の範囲内にある、請求項1又は2に記載の空気のう。
  4. 前記支持層は、層厚の比較的小さい部分である基部とこれよりも層厚の大きな部分である隆起部とを有し、これら基部と隆起部とによって、タイヤに充填した気体がリムと空気のうとの間を流動することを可能にする流通路を画定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気のう。
  5. 前記支持層は、200%モジュラスが7.0MPa以上である、請求項4に記載の空気のう。
  6. 前記支持層は、基部における層厚と隆起部における層厚の差が2.0〜15.0mmの範囲内にある、請求項4又は5に記載の空気のう。
  7. 前記空気のうは、最小層厚が8.0〜12.0mmの範囲内にある、請求項4〜6のいずれか一項に記載の空気のう。
  8. 前記流通路は空気のうの周方向と交差する方向に連続して延びる、請求項4〜7のいずれか一項に記載の空気のう。
  9. 隣接する流通路を連通するように基部を配設してなる、請求項4〜8のいずれか一項に記載の空気のう。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の空気のうを有する安全タイヤ。

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JP2009001119A (ja) * 2007-06-20 2009-01-08 Bridgestone Corp 安全タイヤ
CN112606632A (zh) * 2021-01-22 2021-04-06 大赛璐安全技术(江苏)有限公司 一种爆胎应急自动充气轮胎装置及其方法
WO2022206750A1 (zh) * 2021-03-29 2022-10-06 江苏托普轮胎股份有限公司 一种整体式轮胎用橡胶安全支撑体

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