JP2007111948A - 化粧シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記ポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルム上に、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜からなる表面保護層を設け、かつ前記表面保護層にエンボス模様を形成した化粧シート。ポリエステル系樹脂(a):テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、60.5〜72.5モル%のエチレングリコール、25〜37モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2.5〜6モル%のジエチレングリコールからなるジオール成分とから構成されるポリエステル系樹脂(a)。
【選択図】 なし
Description
そこで、塩化ビニル系樹脂フィルムに代えて、非晶質ポリエステル樹脂フィルムを用いることが検討されている。
(1)下記ポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルム上に、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜からなる表面保護層を設け、かつ前記表面保護層にエンボス模様を形成したことを特徴とする化粧シート。
ポリエステル系樹脂(a):
テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、60.5〜72.5モル%のエチレングリコール、25〜37モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2.5〜6モル%のジエチレングリコールからなるジオール成分(但し、前記エチレングリコール、ジエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの合計は100モル%である)とから構成されるポリエステル系樹脂(a)。
(2)ポリエステル系樹脂のGPC測定(RI検出器)による数平均分子量が16000〜24000であることを特徴とする前記(1)に記載の化粧シート。
(3)前記フィルムが、カレンダー成形により得られたものであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の化粧シート。
(4)前記フィルムが、前記ポリエステル系樹脂(a)100質量部に対し、炭素数28〜32の直鎖脂肪酸及び/又はその誘導体系ワックス(b)0.2〜10質量部を配合し、得られた樹脂組成物をカレンダー成形に施してなることを特徴とする前記(3)に記載の化粧シート。
(5)前記フィルムが、押出成形により得られたものであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の化粧シート。
(6)前記フィルムが、前記ポリエステル系樹脂(a)50〜99重量%、および
共役ジエン系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(c)、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなるブロック共重合体の架橋体(d)、アクリル系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(e)、および熱可塑性ポリエステル系エラストマー(f)からなる群から選択された少なくとも1種1〜50重量%からなることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化粧シート。
(7)前記成分(c)が、架橋性単量体によって架橋された架橋体であることを特徴とする前記(6)に記載の化粧シート。
(8)前記成分(d)における重合体ブロックAがスチレンを主体とし、かつ重合体ブロックBがブタジエンを主体とすることを特徴とする前記(6)に記載の化粧シート。
(9)前記2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜が、ウレタン樹脂100質量部当たり0.5〜20質量部のワックスを含有することを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の化粧シート。
ポリエステル系樹脂(a)
本発明で使用するポリエステル系樹脂(a)は、テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、60.5〜72.5モル%のエチレングリコール、25〜37モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2.5〜6モル%のジエチレングリコールからなるジオール成分(但し、前記エチレングリコール、ジエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの合計は100モル%である)とから構成される樹脂である。
ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%程度を含む場合、仕込み時のエチレングリコール量は上記ポリエチレンテレフタレートの合成と比べて7割弱であることから市販されている1,4−シクロヘキサンジメタノール変性ポリエステル樹脂中の副成によるジエチレングリコールは少なく、最大でも約1.8モル%程度であった。
本発明におけるポリエステル系樹脂(a)は、全体として、一般にポリエステル系樹脂を製造するときに副生するジエチレングリコール部分の量よりも多量のジエチレングリコール部分を含有する。従って、本発明において、上記所定量のジエチレングリコールを含有させるには、その含有量に応じて、ジオール成分として通常、エチレングリコールの他に、さらに必要量のジエチレングリコールが使用される。あるいは、ポリエステルの製造条件や触媒を最適化することによってもエチレングリコールから副生するジエチレングリコールの量を制御することも可能である。
本発明におけるポリエステル系樹脂(a)は、いずれも従来の方法により製造され得る。例えば、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法;ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールと、を反応させるエステル交換法などを用いて(共重合)ポリエステルが調製される。調製は、回分式および連続式のいずれの方法で行われてもよい。
なお、イーストマンケミカル社製Provistaは、第三成分としてジエチレングリコールの代わりにトリメリット酸無水物を含むが本発明の目的には好ましくない。
なお、ジエチレングリコールが2.5モル%未満、あるいは6モル%を超える場合は、2液硬化型ポリウレタン樹脂とのぬれ性が悪化するため密着性も悪化し、またポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルムのエンボス凹部で2液硬化型ポリウレタン樹脂の剥離が生じるため耐溶剤性に劣る結果となるうえ、エンボスの転写性も悪化する(エンボスは2液硬化型ポリウレタン樹脂の塗膜より深くポリエステル系樹脂(a)中に入り込むが前記範囲外ではポリエステル系樹脂(a)自体のエンボス転写性が悪い・硬いため入り込みにくくなる)。
また、エチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールが前記の範囲外である場合も、2液硬化型ポリウレタン樹脂とのぬれ性および密着性が悪化し、耐溶剤性に劣る結果となるうえ、エンボスの転写性も悪化する。
また、エチレングリコールが前記の範囲外であると、ポリエステル樹脂の結晶化がおこりフイルムの収縮が極めて大きくなり、柔軟性も損なわれ、1,4−シクロヘキサンジメタノールが前記の範囲外であると、ポリエステル樹脂の結晶化がおこりフイルムの収縮が極めて大きくなり、柔軟性も損なわれ、好ましくない。
エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールの量関係において、前記好ましい範囲では、結晶化度が最も低く(結晶化時間が極めて長く)なる。これにより、フィルムの収縮が抑制され、柔軟性が高まる。また、カレンダーシート成形時の両端厚みコントロール性が高まり、ストレーナのメッシュ交換頻度が減少し、ロール剥離性も一層良好となる。
測定装置名:島津製作所製HPLC VP
使用カラム:ShodexK806L(8mmφ×300mm)×2本
溶媒:クロロホルム液クロ用特級
サンプル濃度:0.2%(w/v)
流量:1ml/min
検出器:RI
注入量:100μL
測定温度:35℃
なお、本発明におけるフィルムには、必要に応じて、通常の添加剤として使用される抗酸化剤、熱安定剤、耐光性向上剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、摺動性向上剤、着色剤などを添加することもできる。さらに、耐薬品性を向上する目的で、結晶性を有するポリエチレンテレフタレート系樹脂およびポリブチレンテレフタレート系樹脂から選ばれた少なくとも1種の晶質ポリエステル樹脂を混合してもよい。これらの各種添加物は、本発明におけるフィルム中、50質量%以下が好ましい。
本発明で使用される成分(b)は、例えば、下記のゴム成分の分散性向上・組成物のロール剥離性向上効果を有する。
本発明で使用される成分(b)としては、例えば炭素数28〜32の直鎖脂肪酸またはその誘導体の単体や、混合物であることができる。また、前記誘導体は、炭素数28〜32の直鎖脂肪酸を鹸化したもの、エステル化したもの等が挙げられる。なお、エステル化物は、炭素数28〜32の直鎖脂肪酸をグリコール類でエステル化したものが好ましい。このようなグリコール類を用いたエステル化物は、下記式(1)で表される構造を有する。
グラフト共重合体(c)は、共役ジエン系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体である。
共役ジエン系ゴム粒子の調製に用いられる共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。コアを構成する共役ジエン系化合物を重合する際に任意成分として、スチレン、メタクリル酸メチル等の共重合可能な単量体を存在させることも可能である。共役ジエン系ゴム粒子の粒子径は0.05〜1.0μmのものが好ましい。さらに好ましくは、0.05〜0.5μmのものである。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、炭素数が1〜8を有するものが好適であり、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ併用することもできる。中でも、メチル(メタ)アクリレートが望ましい。
架橋性単量体としては、2個以上の反応性の等しい二重結合をもつ単量体、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレート等が挙げられるが、中でも耐衝撃性向上効果に優れるという理由からエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
また架橋時に使用される有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3、3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド等を挙げることができる。これらのうちで、臭気性、着色性、スコーチ安全性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が特に好ましい。
架橋性単量体の添加量は、成分(b)に対し好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは2〜4質量%である。
また有機過酸化物の添加量は、例えば成分(c)100質量部に対し、0.05〜3質量部、好ましくは0.05〜1質量部である。
ブロック共重合体の架橋体(d)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなるブロック共重合体の架橋体である。
ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるものが好ましい。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を挙げることができる。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは、共役ジエン化合物のみからなるか、または、共役ジエン化合物50質量%以上、好ましくは、70質量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
多官能化合物としては、2個以上の反応性の等しい二重結合をもつ単量体、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレート等が挙げられるが、中でも耐衝撃性向上効果に優れるという理由からエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
また架橋時に使用される有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3、3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド等を挙げることができる。これらのうちで、臭気性、着色性、スコーチ安全性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が特に好ましい。
多官能化合物の添加量は、成分(d)において0.1〜5質量%、好ましくは2〜4質量%である。
また有機過酸化物の添加量は、例えば成分(d)100質量部に対し、0.05〜3質量部、好ましくは0.05〜1質量部である。
グラフト共重合体(e)は、アクリル系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体である。
アクリル系ゴム粒子は、アクリル酸エステルを重合することにより得られる。アクリル酸エステルとしては、アルコール成分の炭素数2〜8を有するものが好適であり、例えばエチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。コアを構成するアクリル酸エステルを重合する際に任意成分として、スチレン等のビニル芳香族や他の共重合可能な単量体を用いて共重合させてもよい。アクリル系ゴム粒子の粒子径は0.05〜1.0μmのものが好ましい。さらに好ましくは、0.05〜0.5μmのものである。
熱可塑性ポリエステル系エラストマー(f)は、例えば好適には下記一般式(2)または(3)
熱可塑性ポリエステル系エラストマーの分子量を上記範囲に設定することにより、得られる化粧シートの耐衝撃性、引張強度、耐寒性等の物性や、成形加工性が一層良好となる。
また、上記のハードセグメントとソフトセグメントとのモル比を適宜選択することにより、本発明の化粧シートの物性、例えば耐衝撃性を付与させることができる。
例えば、ハードセグメント/ソフトセグメントのモル比は、ソフトセグメントが50モル%以上であることが好ましい。
さらに具体的に説明すると、グラフト共重合体(c)を使用する場合は、(a)成分50〜99質量%および(c)成分1〜50質量%、好ましくは(a)ポリエステル系樹脂55〜92質量%および(c)グラフト共重合体8〜45質量%がよい。
また、ブロック共重合体の架橋体(d)を使用する場合は、、(a)成分50〜99質量%および(d)成分1〜50質量%、好ましくは(a)成分55〜92質量%および(d)成分8〜45質量%がよい。
またグラフト共重合体(e)を使用する場合は、(a)成分50〜99質量%および(e)成分1〜50質量%、好ましくは(a)成分55〜92質量%および(e)成分8〜45質量%がよい。
さらに(c)および(d)成分のいずれか一方と、(e)成分とを併用する場合は、(a)成分50〜98質量%、(c)および(d)成分のいずれか一方1〜49質量%、および(e)成分1〜49重量%がよい。但し前記(a)、(c)、(d)および(e)成分の合計は100重量%となる。
また熱可塑性ポリエステル系エラストマー(f)を使用する場合は、(a)成分50〜99質量%および(f)成分1〜50質量%、好ましくは(a)成分70〜99.9質量%および(f)成分0.1〜30質量%、より好ましくは(a)成分70〜99質量%および(f)成分1.0〜30質量%である。
カレンダー成形により得られるフィルムは、例えば30〜1000μm、好ましくは50〜500μmである。
本発明では、ポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルム上に、表面保護層として2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜を設ける。
本発明の化粧シートは、ポリエステル系樹脂(a)と2液硬化型ポリウレタン樹脂とのぬれ性が良好であるため密着性に優れる。またポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルムのエンボス凹部で2液硬化型ポリウレタン樹脂の剥離が生じにくいため耐溶剤性に優れるうえ、エンボスの転写性にも優れる。
さらに、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜が均一であり、相対的に薄い部分が存在しないことから、耐溶剤性も非常に良好となる。また、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜は、化粧シートのスクラッチ性、耐汚染性を高めることができる。
また2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜には、ウレタン樹脂100質量部当たり0.5〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部のワックスを含有するのが好ましい。ワックスを配合することにより、化粧シートの耐スクラッチ性をさらに向上することができる。ワックスの含有量が0.5質量部未満であると、化粧シートの耐スクラッチ性が不十分になるおそれがある。逆に20質量部を超えると、ワックスが化粧シートの表面にブリーディングして化粧シートの外観が損なわれるおそれがある。
2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分を混合したのち塗布し、硬化反応により形成される塗膜である。2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜の厚さは、1〜10μmであることが好ましく、3〜7μmであることがより好ましい。本発明に用いるポリオール成分に特に制限はなく、例えば、主鎖にポリエステル結合を有する油変性アルキッド樹脂、オイルフリーポリエステル、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ヒドロキシル基を有するビニルポリマー、ヒドロキシル基を有するフッ素樹脂、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオールなどを挙げることができる。これらの中で、アクリルポリオールを好適に用いることができる。ポリオール成分は、有機溶剤に溶解した溶液として用いることが好ましい。使用する溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの活性水素を有しない溶剤を挙げることができる。本発明に用いるポリイソシアネートに特に制限はなく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどや、これらのビューレット体、イソシアヌレート体などを挙げることができる。これらの中で、無黄変性のヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート及び水添ジフェニルメタンジイソシアネートを好適に用いることができる。2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜に用いるワックスに特に制限はなく、例えば、パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの炭化水素系ワックス、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、複合型ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸系ワックス、ステアリン酸アミド、オキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルシルアミド、リシノール酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪族アミド系ワックス、ステアリン酸−n−ブチルなどの脂肪族エステル系ワックス、脂肪族金属石けん系ワックス、尿素−ホルムアルデヒドワックスなどを挙げることができる。ワックスは、ポリオール成分の溶液中にあらかじめ分散しておくことが好ましい。
なお、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜の着色は、ウレタン樹脂溶液に公知の顔料または染料を適当量添加することによりなされる。塗膜を着色した場合は、例えば表面をエンボス加工する等して意匠性を付与し、木口材(エッジ材)等として好適に用いることができる。
(1)ポリエステル系樹脂(a−1)
Mn=21000
グリコール成分:エチレングリコール65.7モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール2.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
なお、上記の各成分の構成割合は、13C−NMR(核磁気共鳴装置(NMR)日本電子製GX−400)を用い、試料約40mgを5mm径の試料管中で重水素化クロロホルムで溶解し測定試料として測定し確認したものである(以下も同様)。
Mn=21000
グリコール成分:エチレングリコール64.5モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール4.0モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
Mn=20500
グリコール成分:エチレングリコール66.0モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール2.5モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
Mn=21500
グリコール成分:エチレングリコール62.5モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール6.0モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
Mn=20500
グリコール成分:エチレングリコール71.0モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール26.2モル%およびジエチレングリコール2.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
Mn=21000
グリコール成分:エチレングリコール61.5モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール35.7モル%およびジエチレングリコール2.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
Mn=20500
グリコール成分:エチレングリコール66.7モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール1.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
Mn=21500
グリコール成分:エチレングリコール66.3モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール2.2モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
Mn=20500
グリコール成分:エチレングリコール62.3モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール6.2モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
Mn=21000
グリコール成分:エチレングリコール40.0モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール57.2モル%およびジエチレングリコール2.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
グリコール成分:エチレングリコール27.2モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール70.0モル%およびジエチレングリコール2.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
製造会社:クラリアントジャパン
商品名:HW−OP(モンタン酸部分ケン化エステル。鹸化部分はカルシウム塩、融点75℃)
製造会社:鐘淵化学工業
商品名:カネエース B−22
組成:メタクリル酸メチル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体
ゴム粒子径:0.1〜0.5μm
共役ジエン系化合物としてブタジエンを43質量%含む。芳香族ビニル化合物としてスチレンを54質量%含む。エチレングリコールジメタクリレートを3質量%含む。
この成分(b)は、ブタジエン、スチレン及びエチレングリコールジメタクリレートから成る架橋SBRラテックスを合成した後、水とナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド、スチレン、キュメンハイドロパーオキサイドとを混合し、ゴムラテックスにスチレンをグラフトさせ凝固、濾過、洗浄、乾燥してサンプルを得た。
製造会社:鐘淵化学工業
商品名:カネエース FM
組成:メタクリル酸エステル・アクリロニトリル/ブチルアクリレート(アクリル系ゴム)グラフト共重合体
ゴム粒子径:0.05〜0.1μm
製造会社:東レ・デュポン社製
商品名:ハイトレル4057
組成:化学構造はハードセグメント(PBT)とソフトセグメント(ポリエーテル)との共重合体
(カレンダー成形性)
表1に示す配合処方を有する各種組成物を、バンバリーミキサーを用いて溶融混練し、押出成形またはカレンダー成形し、厚さ80μmのフィルムを得た。押出成形機としては、単軸、径90mm、L/D=28を用いた。押出温度条件は、230℃とした。カレンダー成形機としては、逆L型を用いた。また、カレンダー条件は、カレンダーロール温度185℃とした。
アクリルポリオール100質量部、トルエン100質量部及び酢酸エチル100質量部からなる溶液に、ポリプロピレンワックス[クローダジャパン(株)、WNl135]5質量部を添加して均一に分散し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート5質量部を添加して、2液硬化型ウレタン樹脂塗料を調製した。これを、前記のフィルム上に塗布して、厚さ5μmの塗膜を形成した。
次に、加熱エンボス装置を用い、ロール温度150℃のエンボス加工を行い梨目のエンボス模様を、前記フィルムに形成した。なお、加熱エンボス装置における梨目のエンボスロールの平均粗さRaは10μmである。
得られた化粧シートの耐溶剤性を調べた。具体的には、特級トルエン(関東化学(株)製)を脱脂綿に含ませ、20回こすることにより、◎:全く変化無し、○:艶に軽微変化、△:やや曇りが出る、×:全く艶が無くなる、として評価した。
また、化粧シートの透明性を、JIS K7105に準拠してヘイズ値として測定した。
測定器:東洋精機製作所社製、直読ヘイズメーターで測定することにより評価した。
透明性の評価において、ヘイズ値10%以下を○、ヘイズ値60%未満を△、ヘイズ値60%以上を×とした。
さらに、フィルムへのエンボス転写率を調べた。具体的には、フィルムの平均粗さRaを、JIS B0601−1994に準じて測定し、◎:8μm以上、○:Ra7μm以上8μm未満、△:Ra5μm以上7μm未満、×:Ra5μm未満、として評価した。
また、化粧シートの密着性を試験した。この密着性試験は、JIS K 5400に準拠し、ロータリーカッターにて1mm角の碁盤目100マスを付け、セロテープ[ニチバン製、登録商標]を圧着させたのち、90度の剥離試験を実施した。100マスのうちの残存膜数を数えることにより、密着性の評価を行った。
○:100/100、△:99〜95/100、×:95未満/100、として評価した。
結果を表1に示す。
Claims (9)
- 下記ポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルム上に、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜からなる表面保護層を設け、かつ前記表面保護層にエンボス模様を形成したことを特徴とする化粧シート。
ポリエステル系樹脂(a):
テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、60.5〜72.5モル%のエチレングリコール、25〜37モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2.5〜6モル%のジエチレングリコールからなるジオール成分(但し、前記エチレングリコール、ジエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの合計は100モル%である)とから構成されるポリエステル系樹脂(a)。 - ポリエステル系樹脂のGPC測定(RI検出器)による数平均分子量が16000〜24000であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記フィルムが、カレンダー成形により得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シート。
- 前記フィルムが、前記ポリエステル系樹脂(a)100質量部に対し、炭素数28〜32の直鎖脂肪酸及び/又はその誘導体系ワックス(b)0.2〜10質量部を配合し、得られた樹脂組成物をカレンダー成形に施してなることを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。
- 前記フィルムが、押出成形により得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シート。
- 前記フィルムが、前記ポリエステル系樹脂(a)50〜99重量%、および
共役ジエン系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(c)、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなるブロック共重合体の架橋体(d)、アクリル系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(e)、および熱可塑性ポリエステル系エラストマー(f)からなる群から選択された少なくとも1種1〜50重量%からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。 - 前記成分(c)が、架橋性単量体によって架橋された架橋体であることを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
- 前記成分(d)における重合体ブロックAがスチレンを主体とし、かつ重合体ブロックBがブタジエンを主体とすることを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
- 前記2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜が、ウレタン樹脂100質量部当たり0.5〜20質量部のワックスを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の化粧シート。
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