JP2007111948A - 化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリエステル系樹脂と2液硬化型ウレタン樹脂との密着性に優れ、耐溶剤性およびエンボス転写性に優れた化粧シートを提供すること。
【解決手段】 下記ポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルム上に、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜からなる表面保護層を設け、かつ前記表面保護層にエンボス模様を形成した化粧シート。ポリエステル系樹脂(a):テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、60.5〜72.5モル%のエチレングリコール、25〜37モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2.5〜6モル%のジエチレングリコールからなるジオール成分とから構成されるポリエステル系樹脂(a)。
【選択図】 なし

Description

本発明は、化粧シートに関するものであり、詳しくは、ポリエステル系樹脂と2液硬化型ウレタン樹脂との密着性に優れ、耐溶剤性およびエンボス転写性に優れた化粧シートに関するものである。
従来より、家具、ドア、ドア枠、腰板、巾木、窓枠などの表面材などに使用される化粧シートには、塩化ビニル系樹脂フィルムが多量に使用されていた。塩化ビニル系樹脂化粧シートは、ダブリング装置の加熱ドラム上で、透明な塩化ビニル系樹脂フィルムと印刷を施した着色塩化ビニル系樹脂フィルムを重ねて熱圧着し、さらにエンボスロールでフィルム表面にエンボスの型押しを行うことにより製造されていた。しかし、塩化ビニル系樹脂は、焼却条件悪いと問題が生ずる等、最近の環境問題への社会の要求から塩化ビニル系樹脂に代わる化粧シートが求められていた。
そこで、塩化ビニル系樹脂フィルムに代えて、非晶質ポリエステル樹脂フィルムを用いることが検討されている。
例えば特許文献1(特開平11−34269号公報)には、非晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂系着色フイルムの表面側に2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜からなる表面保護層を設けると共に、該表面保護層にエンボス模様を形成した非晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂系化粧シートが開示されている。また特許文献2(特開平11−34270号公報)には、透明の非晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂系フイルムの裏面側に柄印刷層を設け、表面側に2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜からなる表面保護層を設けると共に、該表面保護層にエンボス模様を形成した非晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂系化粧シートが開示されている。
しかしながら、特許文献1および2に記載された化粧シートは、非晶質ポリエチレンテレフタレート樹脂と2液硬化型ウレタン樹脂との密着性が劣り、そのため耐溶剤性が劣るという問題点がある。また、エンボス転写性にも改善の余地がある。
特開平11−34269号公報 特開平11−34270号公報
したがって本発明の目的は、ポリエステル系樹脂と2液硬化型ウレタン樹脂との密着性に優れ、耐溶剤性およびエンボス転写性に優れた化粧シートを提供することである。
本発明は、以下のとおりである。
(1)下記ポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルム上に、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜からなる表面保護層を設け、かつ前記表面保護層にエンボス模様を形成したことを特徴とする化粧シート。
ポリエステル系樹脂(a):
テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、60.5〜72.5モル%のエチレングリコール、25〜37モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2.5〜6モル%のジエチレングリコールからなるジオール成分(但し、前記エチレングリコール、ジエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの合計は100モル%である)とから構成されるポリエステル系樹脂(a)。
(2)ポリエステル系樹脂のGPC測定(RI検出器)による数平均分子量が16000〜24000であることを特徴とする前記(1)に記載の化粧シート。
(3)前記フィルムが、カレンダー成形により得られたものであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の化粧シート。
(4)前記フィルムが、前記ポリエステル系樹脂(a)100質量部に対し、炭素数28〜32の直鎖脂肪酸及び/又はその誘導体系ワックス(b)0.2〜10質量部を配合し、得られた樹脂組成物をカレンダー成形に施してなることを特徴とする前記(3)に記載の化粧シート。
(5)前記フィルムが、押出成形により得られたものであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の化粧シート。
(6)前記フィルムが、前記ポリエステル系樹脂(a)50〜99重量%、および
共役ジエン系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(c)、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなるブロック共重合体の架橋体(d)、アクリル系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(e)、および熱可塑性ポリエステル系エラストマー(f)からなる群から選択された少なくとも1種1〜50重量%からなることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の化粧シート。
(7)前記成分(c)が、架橋性単量体によって架橋された架橋体であることを特徴とする前記(6)に記載の化粧シート。
(8)前記成分(d)における重合体ブロックAがスチレンを主体とし、かつ重合体ブロックBがブタジエンを主体とすることを特徴とする前記(6)に記載の化粧シート。
(9)前記2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜が、ウレタン樹脂100質量部当たり0.5〜20質量部のワックスを含有することを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の化粧シート。
本発明によれば、ポリエステル系樹脂と2液硬化型ウレタン樹脂との密着性に優れ、耐溶剤性およびエンボス転写性に優れた化粧シートを提供することができる。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
ポリエステル系樹脂(a)
本発明で使用するポリエステル系樹脂(a)は、テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、60.5〜72.5モル%のエチレングリコール、25〜37モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2.5〜6モル%のジエチレングリコールからなるジオール成分(但し、前記エチレングリコール、ジエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの合計は100モル%である)とから構成される樹脂である。
上記ジエチレングリコール部分を所定の割合で含有するポリエステルを調製するには、例えば、ジオール成分として所定量のジエチレングリコールが使用される。しかし、ジエチレングリコールではなく、エチレングリコールを使用した場合にも、その縮合反応によりジエチレングリコール部分が形成される。通常、エチレンテレフタレート部分を含むポリエステルは、その製造過程で上記エチレングリコールの縮合反応によりジエチレングリコール部分が形成される。上記ジエチレングリコール部分の含有量は、ポリエステルの製造方法、反応時の条件および用いられる触媒などにより異なる。特開昭63−150331号公報の実施例1にはポリエチレンテレフタレート製の熱収縮性ポリエステルフィルムが開示されており、このフィルムは2モル%のジエチレングリコールを含有している。
ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%程度を含む場合、仕込み時のエチレングリコール量は上記ポリエチレンテレフタレートの合成と比べて7割弱であることから市販されている1,4−シクロヘキサンジメタノール変性ポリエステル樹脂中の副成によるジエチレングリコールは少なく、最大でも約1.8モル%程度であった。
本発明におけるポリエステル系樹脂(a)は、全体として、一般にポリエステル系樹脂を製造するときに副生するジエチレングリコール部分の量よりも多量のジエチレングリコール部分を含有する。従って、本発明において、上記所定量のジエチレングリコールを含有させるには、その含有量に応じて、ジオール成分として通常、エチレングリコールの他に、さらに必要量のジエチレングリコールが使用される。あるいは、ポリエステルの製造条件や触媒を最適化することによってもエチレングリコールから副生するジエチレングリコールの量を制御することも可能である。
本発明におけるポリエステル系樹脂(a)は、いずれも従来の方法により製造され得る。例えば、ジカルボン酸とジオールとを直接反応させる直接エステル化法;ジカルボン酸ジメチルエステルとジオールと、を反応させるエステル交換法などを用いて(共重合)ポリエステルが調製される。調製は、回分式および連続式のいずれの方法で行われてもよい。
ジエチレングリコールの含有量は、2.5〜6モル%、好ましくは2.8〜5モル%、より好ましくは2.8〜4モル%である。
なお、イーストマンケミカル社製Provistaは、第三成分としてジエチレングリコールの代わりにトリメリット酸無水物を含むが本発明の目的には好ましくない。
ポリエステル系樹脂(a)は、溶融状態からの結晶化半時間が少なくとも5分、好ましくは少なくとも12分のポリエステルである。結晶化半時間は、パーキン・エルマー(Perkin-Elmer)モデルDSC−2示差走査熱量計を使用して測定する。15.0mgのサンプルをアルミニウムパンの中に密封し、約320℃/分の速度で290℃で2分間加熱する。次いで、サンプルを、所定の等温結晶化温度まで約320℃/分(装置として不可能な場合は20℃/分)の速度で、ヘリウムの存在下に、直ちに冷却する。結晶化半時間は、等温結晶化温度に達してからDSC曲線上の結晶化ピークの点までの時間間隔として決定する。
なお、ジエチレングリコールが2.5モル%未満、あるいは6モル%を超える場合は、2液硬化型ポリウレタン樹脂とのぬれ性が悪化するため密着性も悪化し、またポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルムのエンボス凹部で2液硬化型ポリウレタン樹脂の剥離が生じるため耐溶剤性に劣る結果となるうえ、エンボスの転写性も悪化する(エンボスは2液硬化型ポリウレタン樹脂の塗膜より深くポリエステル系樹脂(a)中に入り込むが前記範囲外ではポリエステル系樹脂(a)自体のエンボス転写性が悪い・硬いため入り込みにくくなる)。
また、エチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールが前記の範囲外である場合も、2液硬化型ポリウレタン樹脂とのぬれ性および密着性が悪化し、耐溶剤性に劣る結果となるうえ、エンボスの転写性も悪化する。
また、エチレングリコールが前記の範囲外であると、ポリエステル樹脂の結晶化がおこりフイルムの収縮が極めて大きくなり、柔軟性も損なわれ、1,4−シクロヘキサンジメタノールが前記の範囲外であると、ポリエステル樹脂の結晶化がおこりフイルムの収縮が極めて大きくなり、柔軟性も損なわれ、好ましくない。
エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールの量関係において、前記好ましい範囲では、結晶化度が最も低く(結晶化時間が極めて長く)なる。これにより、フィルムの収縮が抑制され、柔軟性が高まる。また、カレンダーシート成形時の両端厚みコントロール性が高まり、ストレーナのメッシュ交換頻度が減少し、ロール剥離性も一層良好となる。
本発明で使用するポリエステル系樹脂(a)は(以下の測定条件で行った)GPC測定(RI検出器)による数平均分子量が16000〜24000であることが好ましい。この範囲で有ればカレンダー成形温度が高くなり、シートの両端厚みコントロール性が極めて良好である。
測定装置名:島津製作所製HPLC VP
使用カラム:ShodexK806L(8mmφ×300mm)×2本
溶媒:クロロホルム液クロ用特級
サンプル濃度:0.2%(w/v)
流量:1ml/min
検出器:RI
注入量:100μL
測定温度:35℃
前記ポリエステル系樹脂(a)は、公知の手段に基づき、押出成形に供することができ、例えば厚さ10〜300μm、好ましくは30〜150μmの押出フィルムを得ることができる。
なお、本発明におけるフィルムには、必要に応じて、通常の添加剤として使用される抗酸化剤、熱安定剤、耐光性向上剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤、摺動性向上剤、着色剤などを添加することもできる。さらに、耐薬品性を向上する目的で、結晶性を有するポリエチレンテレフタレート系樹脂およびポリブチレンテレフタレート系樹脂から選ばれた少なくとも1種の晶質ポリエステル樹脂を混合してもよい。これらの各種添加物は、本発明におけるフィルム中、50質量%以下が好ましい。
また、ポリエステル系樹脂(a)に、下記のワックスや各種樹脂を配合し、得られた組成物をカレンダー成形に供することも、本発明の好ましい形態である。
炭素数28〜32の直鎖脂肪酸及び/又はその誘導体系ワックス(b)
本発明で使用される成分(b)は、例えば、下記のゴム成分の分散性向上・組成物のロール剥離性向上効果を有する。
本発明で使用される成分(b)としては、例えば炭素数28〜32の直鎖脂肪酸またはその誘導体の単体や、混合物であることができる。また、前記誘導体は、炭素数28〜32の直鎖脂肪酸を鹸化したもの、エステル化したもの等が挙げられる。なお、エステル化物は、炭素数28〜32の直鎖脂肪酸をグリコール類でエステル化したものが好ましい。このようなグリコール類を用いたエステル化物は、下記式(1)で表される構造を有する。
Figure 2007111948
式中、Rは脂肪酸の直鎖部分を表し、Qは炭素数2または3のアルキレン基を表す。なお、式(1)のエステル化物は、Q基を介して2分子の脂肪酸が結合しているが、この形態も本発明における成分(b)に含まれるものとする。
本発明でとくに好ましい成分(b)は、モンタン酸をエチレングリコールまたはブチレングリコールでエステル化したものであり、最適には、モンタン酸をブチレングリコールで部分エステル化し、残りを水酸化カルシウムで鹸化した混合物である。このような最適の成分(b)は、市販されているものを利用することもでき、例えばクラリアントジャパン製のモンタン酸部分ケン化エステルHW−OP(融点75℃)が挙げられる。
成分(b)の配合割合は、前記ポリエステル系樹脂(a)100質量部に対し、0.2〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。成分(b)の配合割合が0.2質量部よりも少ないとゴム成分が凝集し、分散不良に起因するブツが発生する。またカレンダー成形時、ストレーナに設置されたメッシュの目詰まりが多く発生する。さらにロール剥離性も悪化する。10質量部よりも多いとシート表面への吹き出しによるベタツキがあり好ましくない。
また、成分(b)の炭素数が28未満では、ゴム成分が凝集し、分散不良に起因するブツが発生する。またストレーナに設置されたメッシュの目詰まりが多く発生する。さらにロール剥離性も悪化する。32を超えた場合も、ゴム成分が凝集し、分散不良に起因するブツが発生する。またストレーナに設置されたメッシュの目詰まりが多く発生する。さらにロール剥離性も悪化する。
グラフト共重合体(c)
グラフト共重合体(c)は、共役ジエン系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体である。
共役ジエン系ゴム粒子の調製に用いられる共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。コアを構成する共役ジエン系化合物を重合する際に任意成分として、スチレン、メタクリル酸メチル等の共重合可能な単量体を存在させることも可能である。共役ジエン系ゴム粒子の粒子径は0.05〜1.0μmのものが好ましい。さらに好ましくは、0.05〜0.5μmのものである。
シェルを構成するグラフト部分に使用される芳香族ビニル化合物としては、スチレン、4−メトキシスチレン、4−エトキシスチレン、4−プロポキシスチレン、4−ブトキシスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、4−ブロモスチレン、2,5−ジクロロスチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、炭素数が1〜8を有するものが好適であり、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはそれぞれ併用することもできる。中でも、メチル(メタ)アクリレートが望ましい。
成分(c)において、共役ジエン系化合物(c1)と芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物(c2)の割合は、(c1)20〜60質量%および(c2)芳香族ビニル化合物40〜80質量%であるのが好ましい。さらに好ましくは、(c1)35〜50質量%および(b2)50〜65質量%である。なお、前記(c2)において、芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸エステル化合物は、併用してもしなくてもよい。本発明では、芳香族ビニル化合物と(メタ)アクリル酸エステル化合物を併用する形態が好ましい。
グラフト共重合体(c)は乳化重合、懸濁重合、溶液重合等で得ることができるが乳化重合が好ましい。乳化重合については公知の乳化方法、重合順序が採用される。
本発明で使用されるグラフト共重合体(c)は、架橋性単量体により架橋された架橋物であることが好ましい。グラフト共重合体を架橋することにより、耐衝撃性向上、溶融粘度が向上するためにカレンダー成形時のシート表面のカスレ、エアマークがなく、金属ロールからの剥離安定性が得られるため好ましい。架橋はコアを構成する共役ジエン系化合物を重合させる際に行うことが好ましいが、シェルをグラフトしたグラフト体を架橋することも可能である。
架橋性単量体としては、2個以上の反応性の等しい二重結合をもつ単量体、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレート等が挙げられるが、中でも耐衝撃性向上効果に優れるという理由からエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
また架橋時に使用される有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3、3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド等を挙げることができる。これらのうちで、臭気性、着色性、スコーチ安全性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が特に好ましい。
架橋性単量体の添加量は、成分(b)に対し好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは2〜4質量%である。
また有機過酸化物の添加量は、例えば成分(c)100質量部に対し、0.05〜3質量部、好ましくは0.05〜1質量部である。
ブロック共重合体の架橋体(d)
ブロック共重合体の架橋体(d)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなるブロック共重合体の架橋体である。
ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるものが好ましい。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を挙げることができる。
ブロック共重合体は全体として、芳香族ビニル化合物を好ましくは5〜60質量%、より好ましくは20〜50質量%含むのがよい。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、好ましくは、芳香族ビニル化合物のみからなるか、または芳香族ビニル化合物50質量%以上、好ましくは、70質量%以上と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは、共役ジエン化合物のみからなるか、または、共役ジエン化合物50質量%以上、好ましくは、70質量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
ブロック共重合体の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは、10,000〜550,000、更に好ましくは100,000〜400,000の範囲であり、分子量分布は10以下である。ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
ブロック共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。最適にはブタジエンである。
上記ブロック共重合体の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)等が挙げられる。
これらのブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。
本発明では、多官能化合物を使用して、ブロック共重合体を架橋せしめる。共重合体を架橋することにより、耐衝撃性向上、溶融粘度が向上するために成形時、とくにカレンダー成形時のシート表面のカスレ、エアマークがなく、金属ロールからの剥離安定性が得られるため好ましい。
多官能化合物としては、2個以上の反応性の等しい二重結合をもつ単量体、例えばジビニルベンゼン等の芳香族ジビニル単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルカンポリオールポリアクリレート等が挙げられるが、中でも耐衝撃性向上効果に優れるという理由からエチレングリコールジメタクリレートが好ましい。
また架橋時に使用される有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3、3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド等を挙げることができる。これらのうちで、臭気性、着色性、スコーチ安全性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が特に好ましい。
多官能化合物の添加量は、成分(d)において0.1〜5質量%、好ましくは2〜4質量%である。
また有機過酸化物の添加量は、例えば成分(d)100質量部に対し、0.05〜3質量部、好ましくは0.05〜1質量部である。
グラフト共重合体(e)
グラフト共重合体(e)は、アクリル系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体である。
アクリル系ゴム粒子は、アクリル酸エステルを重合することにより得られる。アクリル酸エステルとしては、アルコール成分の炭素数2〜8を有するものが好適であり、例えばエチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。コアを構成するアクリル酸エステルを重合する際に任意成分として、スチレン等のビニル芳香族や他の共重合可能な単量体を用いて共重合させてもよい。アクリル系ゴム粒子の粒子径は0.05〜1.0μmのものが好ましい。さらに好ましくは、0.05〜0.5μmのものである。
シェルを構成するグラフト部分に使用される芳香族ビニル化合物および(メタ)アクリル酸エステル化合物や、これらの使用割合、調製方法としては、前記の成分(c)で説明した内容と同じである(但し使用割合において“共役ジエン系化合物(b1)”は“アクリル酸エステル(b1)”に読み替える)。また、グラフト部分に使用される化合物は併用することもでき、その割合も前記の成分(c)で説明したとおりである。さらに成分(e)は、前記の成分(c)で説明したように、架橋性単量体により架橋された架橋物であることも好ましい。
熱可塑性ポリエステル系エラストマー(f)
熱可塑性ポリエステル系エラストマー(f)は、例えば好適には下記一般式(2)または(3)
Figure 2007111948
で表されるテレフタル酸系結晶性ポリエステルハードセグメント(ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはポリブチレンナフタレート(PBN))と、一般式(4)
Figure 2007111948
(式中、xは2〜4の整数を示し、pは8〜140の整数を示す)で表される分子量600〜6000の脂肪族ポリエーテルソフトセグメント(ポリテトラメチレンジグリコール(PTMG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG))とから構成される分子量5,000〜100,000のセグメントコポリエステルが挙げられる。
熱可塑性ポリエステル系エラストマーの分子量を上記範囲に設定することにより、得られる化粧シートの耐衝撃性、引張強度、耐寒性等の物性や、成形加工性が一層良好となる。
また、上記のハードセグメントとソフトセグメントとのモル比を適宜選択することにより、本発明の化粧シートの物性、例えば耐衝撃性を付与させることができる。
例えば、ハードセグメント/ソフトセグメントのモル比は、ソフトセグメントが50モル%以上であることが好ましい。
本発明において、前記フィルムは、ポリエステル系樹脂(a)50〜99質量%および前記(c)、(d)、(e)および(f)成分からなる群から選択された少なくとも1種1〜50質量%からなることがよい。なお、(c)、(d)、(e)および(f)成分は併用してもよい。
さらに具体的に説明すると、グラフト共重合体(c)を使用する場合は、(a)成分50〜99質量%および(c)成分1〜50質量%、好ましくは(a)ポリエステル系樹脂55〜92質量%および(c)グラフト共重合体8〜45質量%がよい。
また、ブロック共重合体の架橋体(d)を使用する場合は、、(a)成分50〜99質量%および(d)成分1〜50質量%、好ましくは(a)成分55〜92質量%および(d)成分8〜45質量%がよい。
またグラフト共重合体(e)を使用する場合は、(a)成分50〜99質量%および(e)成分1〜50質量%、好ましくは(a)成分55〜92質量%および(e)成分8〜45質量%がよい。
さらに(c)および(d)成分のいずれか一方と、(e)成分とを併用する場合は、(a)成分50〜98質量%、(c)および(d)成分のいずれか一方1〜49質量%、および(e)成分1〜49重量%がよい。但し前記(a)、(c)、(d)および(e)成分の合計は100重量%となる。
また熱可塑性ポリエステル系エラストマー(f)を使用する場合は、(a)成分50〜99質量%および(f)成分1〜50質量%、好ましくは(a)成分70〜99.9質量%および(f)成分0.1〜30質量%、より好ましくは(a)成分70〜99質量%および(f)成分1.0〜30質量%である。
ポリエステル系樹脂(a)と、前記(b)成分と、(c)、(d)、(e)および(f)成分からなる群から選択された少なくとも1種との混合方法は、各成分を個別に準備し、通常の混練装置、例えばヘンシェルミキサー、タンブラーなどを用いて混練し、単軸押出機、二軸押出機バンバリーミキサーなど通常の賦形に用いられる装置により賦形して組成物となす方法を採用することができる。
カレンダー成形において、使用するカレンダー装置に特に制限はなく、例えば、直立型3本ロール、直立型4本ロール、L型4本ロール、逆L型4本ロール、Z型ロールなどを挙げることができる。また、カレンダー処理条件もとくに制限されない。例えばカレンダーロールの温度は、160〜220℃の範囲を適宜採用することができる。
カレンダー成形により得られるフィルムは、例えば30〜1000μm、好ましくは50〜500μmである。
次に、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜からなる表面保護層について説明する。
本発明では、ポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルム上に、表面保護層として2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜を設ける。
本発明の化粧シートは、ポリエステル系樹脂(a)と2液硬化型ポリウレタン樹脂とのぬれ性が良好であるため密着性に優れる。またポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルムのエンボス凹部で2液硬化型ポリウレタン樹脂の剥離が生じにくいため耐溶剤性に優れるうえ、エンボスの転写性にも優れる。
さらに、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜が均一であり、相対的に薄い部分が存在しないことから、耐溶剤性も非常に良好となる。また、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜は、化粧シートのスクラッチ性、耐汚染性を高めることができる。
また2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜には、ウレタン樹脂100質量部当たり0.5〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部のワックスを含有するのが好ましい。ワックスを配合することにより、化粧シートの耐スクラッチ性をさらに向上することができる。ワックスの含有量が0.5質量部未満であると、化粧シートの耐スクラッチ性が不十分になるおそれがある。逆に20質量部を超えると、ワックスが化粧シートの表面にブリーディングして化粧シートの外観が損なわれるおそれがある。
2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分を混合したのち塗布し、硬化反応により形成される塗膜である。2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜の厚さは、1〜10μmであることが好ましく、3〜7μmであることがより好ましい。本発明に用いるポリオール成分に特に制限はなく、例えば、主鎖にポリエステル結合を有する油変性アルキッド樹脂、オイルフリーポリエステル、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ヒドロキシル基を有するビニルポリマー、ヒドロキシル基を有するフッ素樹脂、ポリエーテルポリオール、エポキシポリオールなどを挙げることができる。これらの中で、アクリルポリオールを好適に用いることができる。ポリオール成分は、有機溶剤に溶解した溶液として用いることが好ましい。使用する溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの活性水素を有しない溶剤を挙げることができる。本発明に用いるポリイソシアネートに特に制限はなく、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどや、これらのビューレット体、イソシアヌレート体などを挙げることができる。これらの中で、無黄変性のヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート及び水添ジフェニルメタンジイソシアネートを好適に用いることができる。2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜に用いるワックスに特に制限はなく、例えば、パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの炭化水素系ワックス、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、複合型ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸系ワックス、ステアリン酸アミド、オキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルシルアミド、リシノール酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪族アミド系ワックス、ステアリン酸−n−ブチルなどの脂肪族エステル系ワックス、脂肪族金属石けん系ワックス、尿素−ホルムアルデヒドワックスなどを挙げることができる。ワックスは、ポリオール成分の溶液中にあらかじめ分散しておくことが好ましい。
2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜は、透明であっても着色されていてもよい。このような本発明の化粧シートは、メンブレンプレス成形、真空プレス成形、圧空プレス成形等を更に行ってもよい。
なお、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜の着色は、ウレタン樹脂溶液に公知の顔料または染料を適当量添加することによりなされる。塗膜を着色した場合は、例えば表面をエンボス加工する等して意匠性を付与し、木口材(エッジ材)等として好適に用いることができる。
本発明の化粧シートは、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜からなる表面保護層に、エンボス模様が形成されている。エンボス模様は、よく知られているように、加熱されたエンボスロールを用いて付与することができ、エンボス模様としては、例えば、木目、砂目、布目など所望の凹凸を形成することができ、とくに制限されない。
本発明では、特定のポリエステル系樹脂(a)、とくに特定量のジエチレングリコールを使用することにより、理由は明らかではないが、前述のようにポリエステル系樹脂(a)と2液硬化型ポリウレタン樹脂とのぬれ性が良好となるため優れた密着性を提供し、またポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルムのエンボス凹部で2液硬化型ポリウレタン樹脂の剥離が生じにくいため耐溶剤性が良化するうえ、優れたエンボスの転写性も提供する。また2液硬化型ウレタン樹脂のレベリング性が向上するので、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜との密着性およびエンボス転写性が著しく向上する。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
下記例では、次の各種材料のいずれかを使用した。
(1)ポリエステル系樹脂(a−1)
Mn=21000
グリコール成分:エチレングリコール65.7モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール2.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
なお、上記の各成分の構成割合は、13C−NMR(核磁気共鳴装置(NMR)日本電子製GX−400)を用い、試料約40mgを5mm径の試料管中で重水素化クロロホルムで溶解し測定試料として測定し確認したものである(以下も同様)。
(2)ポリエステル系樹脂(a−2)
Mn=21000
グリコール成分:エチレングリコール64.5モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール4.0モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
(3)ポリエステル系樹脂(a−3)
Mn=20500
グリコール成分:エチレングリコール66.0モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール2.5モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
(4)ポリエステル系樹脂(a−4)
Mn=21500
グリコール成分:エチレングリコール62.5モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール6.0モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
(5)ポリエステル系樹脂(a−5)
Mn=20500
グリコール成分:エチレングリコール71.0モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール26.2モル%およびジエチレングリコール2.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
(6)ポリエステル系樹脂(a−6)
Mn=21000
グリコール成分:エチレングリコール61.5モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール35.7モル%およびジエチレングリコール2.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
(7)比較用ポリエステル系樹脂(a’−1)
Mn=20500
グリコール成分:エチレングリコール66.7モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール1.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
(8)比較用ポリエステル系樹脂(a’−2)
Mn=21500
グリコール成分:エチレングリコール66.3モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール2.2モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
(9)比較用ポリエステル系樹脂(a’−3)
Mn=20500
グリコール成分:エチレングリコール62.3モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール31.5モル%およびジエチレングリコール6.2モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
(10)比較用ポリエステル系樹脂(a’−4)
Mn=21000
グリコール成分:エチレングリコール40.0モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール57.2モル%およびジエチレングリコール2.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
(11)比較用ポリエステル系樹脂(a’−5)
グリコール成分:エチレングリコール27.2モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール70.0モル%およびジエチレングリコール2.8モル%
ジカルボン酸成分:テレフタル酸
から構成されるポリエステル。
(12)炭素数28〜32の直鎖脂肪酸及び/又はその誘導体系ワックス(b)
製造会社:クラリアントジャパン
商品名:HW−OP(モンタン酸部分ケン化エステル。鹸化部分はカルシウム塩、融点75℃)
(13)グラフト共重合体(c−1)
製造会社:鐘淵化学工業
商品名:カネエース B−22
組成:メタクリル酸メチル・スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体
ゴム粒子径:0.1〜0.5μm
(14)グラフト共重合体(c−2)(下記組成を有する共役ジエン系化合物と芳香族ビニル化合物からなるグラフト共重合体の架橋物)
共役ジエン系化合物としてブタジエンを43質量%含む。芳香族ビニル化合物としてスチレンを54質量%含む。エチレングリコールジメタクリレートを3質量%含む。
この成分(b)は、ブタジエン、スチレン及びエチレングリコールジメタクリレートから成る架橋SBRラテックスを合成した後、水とナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド、スチレン、キュメンハイドロパーオキサイドとを混合し、ゴムラテックスにスチレンをグラフトさせ凝固、濾過、洗浄、乾燥してサンプルを得た。
(15)グラフト共重合体(e)
製造会社:鐘淵化学工業
商品名:カネエース FM
組成:メタクリル酸エステル・アクリロニトリル/ブチルアクリレート(アクリル系ゴム)グラフト共重合体
ゴム粒子径:0.05〜0.1μm
(16)熱可塑性ポリエステル系エラストマー(f)
製造会社:東レ・デュポン社製
商品名:ハイトレル4057
組成:化学構造はハードセグメント(PBT)とソフトセグメント(ポリエーテル)との共重合体
(実施例1〜18および比較例1〜15)
(カレンダー成形性)
表1に示す配合処方を有する各種組成物を、バンバリーミキサーを用いて溶融混練し、押出成形またはカレンダー成形し、厚さ80μmのフィルムを得た。押出成形機としては、単軸、径90mm、L/D=28を用いた。押出温度条件は、230℃とした。カレンダー成形機としては、逆L型を用いた。また、カレンダー条件は、カレンダーロール温度185℃とした。
アクリルポリオール100質量部、トルエン100質量部及び酢酸エチル100質量部からなる溶液に、ポリプロピレンワックス[クローダジャパン(株)、WNl135]5質量部を添加して均一に分散し、さらにヘキサメチレンジイソシアネート5質量部を添加して、2液硬化型ウレタン樹脂塗料を調製した。これを、前記のフィルム上に塗布して、厚さ5μmの塗膜を形成した。
次に、加熱エンボス装置を用い、ロール温度150℃のエンボス加工を行い梨目のエンボス模様を、前記フィルムに形成した。なお、加熱エンボス装置における梨目のエンボスロールの平均粗さRaは10μmである。
得られた化粧シートの耐溶剤性を調べた。具体的には、特級トルエン(関東化学(株)製)を脱脂綿に含ませ、20回こすることにより、◎:全く変化無し、○:艶に軽微変化、△:やや曇りが出る、×:全く艶が無くなる、として評価した。
また、化粧シートの透明性を、JIS K7105に準拠してヘイズ値として測定した。
測定器:東洋精機製作所社製、直読ヘイズメーターで測定することにより評価した。
透明性の評価において、ヘイズ値10%以下を○、ヘイズ値60%未満を△、ヘイズ値60%以上を×とした。
さらに、フィルムへのエンボス転写率を調べた。具体的には、フィルムの平均粗さRaを、JIS B0601−1994に準じて測定し、◎:8μm以上、○:Ra7μm以上8μm未満、△:Ra5μm以上7μm未満、×:Ra5μm未満、として評価した。
また、化粧シートの密着性を試験した。この密着性試験は、JIS K 5400に準拠し、ロータリーカッターにて1mm角の碁盤目100マスを付け、セロテープ[ニチバン製、登録商標]を圧着させたのち、90度の剥離試験を実施した。100マスのうちの残存膜数を数えることにより、密着性の評価を行った。
○:100/100、△:99〜95/100、×:95未満/100、として評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2007111948
Figure 2007111948
表1の結果から、本発明の組成物を用いた各実施例では、比較例に比べて、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜との密着性、耐溶剤性、透明性、エンボス転写性に優れていることが分かる。
本発明によれば、ポリエステル系樹脂と2液硬化型ウレタン樹脂との密着性に優れ、耐溶剤性およびエンボス転写性に優れた化粧シートを提供することができる。

Claims (9)

  1. 下記ポリエステル系樹脂(a)を主成分とするフィルム上に、2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜からなる表面保護層を設け、かつ前記表面保護層にエンボス模様を形成したことを特徴とする化粧シート。
    ポリエステル系樹脂(a):
    テレフタル酸からなるジカルボン酸成分と、60.5〜72.5モル%のエチレングリコール、25〜37モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび2.5〜6モル%のジエチレングリコールからなるジオール成分(但し、前記エチレングリコール、ジエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの合計は100モル%である)とから構成されるポリエステル系樹脂(a)。
  2. ポリエステル系樹脂のGPC測定(RI検出器)による数平均分子量が16000〜24000であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記フィルムが、カレンダー成形により得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シート。
  4. 前記フィルムが、前記ポリエステル系樹脂(a)100質量部に対し、炭素数28〜32の直鎖脂肪酸及び/又はその誘導体系ワックス(b)0.2〜10質量部を配合し、得られた樹脂組成物をカレンダー成形に施してなることを特徴とする請求項3に記載の化粧シート。
  5. 前記フィルムが、押出成形により得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シート。
  6. 前記フィルムが、前記ポリエステル系樹脂(a)50〜99重量%、および
    共役ジエン系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(c)、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなるブロック共重合体の架橋体(d)、アクリル系ゴム粒子に芳香族ビニル化合物および/または(メタ)アクリル酸エステル化合物をグラフト重合したグラフト共重合体(e)、および熱可塑性ポリエステル系エラストマー(f)からなる群から選択された少なくとも1種1〜50重量%からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の化粧シート。
  7. 前記成分(c)が、架橋性単量体によって架橋された架橋体であることを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
  8. 前記成分(d)における重合体ブロックAがスチレンを主体とし、かつ重合体ブロックBがブタジエンを主体とすることを特徴とする請求項6に記載の化粧シート。
  9. 前記2液硬化型ウレタン樹脂の塗膜が、ウレタン樹脂100質量部当たり0.5〜20質量部のワックスを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の化粧シート。
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