JP2007110702A - オーバーサンプリングレシーバの適応受信技術 - Google Patents

オーバーサンプリングレシーバの適応受信技術 Download PDF

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Abstract

【課題】オーバサンプリングされたデータを簡単で効率的に受信可能とする。
【解決手段】オーバーサンプリングを行うシーケンス検出器は、サンプリングされたデータを処理し、サンプリングされたデータの検出信頼性を判断し、サンプルシーケンスを異なるサンプリング位相ごとに解析した後、最も高い信頼性を検出可能なサンプルシーケンスを選択し、その異なるサンプリング位相ごとに、後読み情報および先読み情報を検証することによって、シンボル単位による検出の簡易化を図る。オーバーサンプリングされる情報は、検出性能の更なる向上に用いられる。
【選択図】図2

Description

本発明は、概して、デジタル伝送リンクを通したデータ受信に関し、特に、確定的および非確定的ジッタの存在下におけるロバスト適応作用を提供するデジタルレシーバに関する。
高速デジタル通信は、急激に重要性を増している技術である。ますます多くのアナログ通信リンクが、信頼性,リンク品質(例えば、低ビット誤り率(BER)),利便性,コスト低減をエンドユーザにもたらす高速シリアルリンクに代わられつつある。
例えば、最新のコンピュータディスプレイおよびハイビジョン(HDTV)ディスプレイは、大抵は、デジタルビデオインターフェース(DVI)および高解像度マルチメディアインターフェース(HDMI)等の工業規格に基づく高速シリアルリンクを採用している。このようなリンクの総合データレートは、概して、ギガビット毎秒のレベルにある。例えば、DVIリンクのボーレートは、5ギガボーに迫りつつあり、この限界を少なからぬ格差で上回る製品も、多くのベンダーによって提供されている。
別の一例は、コンピュータシステムにおいてストレージデバイスを接続するためのシリアル・アドバンスト・テクノロジー・アッタッチメント(ATA)インターフェースである。このアプリケーションも、やはり、約2ギガビット毎秒またはそれを上回るデータレートを必要とする。
更に別の一例は、ギガビットイーサネット(1000BASE−T等)規格および次世代の10ギガビットイーサネット(10GBASE−T)規格等の高速ローカルエリアネットワーク(LAN)アプリケーションである。
上記の例および類似の例の基礎となるリンクは、多くの共通要件を有する。これらのリンクに必要とされる要件の例を挙げると、高速動作、確定的データジッタや非確定的データジッタに対する十分な許容能力、周波数オフセットや周波数変調(FM)に対する十分な許容能力、十分な有効BER、小さな水平アイ開口(例えば、0.4単位間隔(UI)のアイ幅仕様も珍しくない)での動作能力、高トラッキング帯域、高速位相取得、十分なトラッキング範囲などがある。
このような高速シリアルリンク対応のレシーバとしてよくある実装形態は、一つには、レシーバのデータのオーバーサンプリングを、「十分な」サンプルストリームを選択するためのいわゆる「位相ピッキング」と組み合わせたものに基づく。DVIリンクとしてよくある実装形態は、L=3のオーバーサンプリング係数を使用したものであり、データのサンプリングは、多くの場合、位相トラッキングを経ることなく完了する。オーバーサンプリングされたデータストリームが利用可能になると、位相ピッカーは、最適なサンプルを選択するために、何らかの位相トラッキング手法(遷移位相平均化等)を使用してLサンプルの一つを保持する。
このような技術は、比較的単純に且つ安価に実装可能である一方で、様々な問題にも直面している。例えば、今日使用されている回線コードのなかには、非常に広域の周波数スペクトルを有する(すなわち、ランレングス(d,k)に対する制約が乏しい)ものがある。この問題は、1〜14シンボルのランを有するDVI/HDMIリンクにとって、とりわけ切実である。安定性およびロバスト性の理由のために、位相ピッカーは、狭めのトラッキング帯域で動作する必要がある。このような手法のマイナス面は、オーバーサンプリングされたデータ内に存在する確定的ジッタを調整できないことにある。狭いトラッキング帯域は、また、整定速度(すなわち、位相取得時間)を制約し、過渡性能を劣化させ、ときにはキャプチャ範囲を狭めることもある。
位相ピッキング手法の根本的な問題は、一つには、検出プロセスにおいて、オーバーサンプリングされた全ての利用可能データを使用できないことにある。位相ピッカーとしてよくある実装形態は、シンボルごとに単純にL−1のサンプルを廃棄し、受信されたLサンプルのうちの一つのみを保持するものである。このため、オーバーサンプリングされたデータは、位相トラッキングにのみ使用され、データ検出には使用されない。したがって、位相ピッカーは、復号化対象のシンボルに関する有用な情報を持つ多くのデータサンプルを廃棄する。DVI/HDMIとしてよくある実装形態では、レシーバにとって利用可能な情報のおよそ3分の2が単純に廃棄される。
例えば、短い高品質シールド付きツイストペア(STP)ケーブルをリンクに用いる場合のように、もしデータレートが適度で且つアイ開口が適切であるならば、このような位相ピッキング手法に起因するロスは許容可能であり、安価な形態でレシーバを実装することができる。しかしながら、データレートが増大した場合、シールドなしツイストペア(UTP)ケーブル等の長めのもしくは低品質のケーブルが用いられる場合、またはその両方の場合は、利用可能なアイ幅が小さくなるので、レシーバ性能が急激に劣化しはじめる。
例えば、このような位相平均化方式を用いる従来の位相ピッカーは、データシンボルを確実に検出するために、2サンプリング間隔を超えるアイ開口を必要とすることが知られている。これは、もしL=3のサンプルを使用するよくある実装形態において、位相ピッキングに起因するデータ誤差を回避しようとすると、アイ幅は0.7UI以上であるべきであることを意味する。このような制限は、低速の場合、伝送距離が短い場合、または低速で且つ伝送距離が短い場合は十分に許容範囲であるが、より高データレートの場合は高級品になり、比較的高価な優れた等化技術およびプリエンファシス技術がしばしば必要になる。
また、従来の位相ピッキング手法の多くは、サンプルを並列処理する簡単な方法を提供できないため、高速の場合、オーバーサンプリング係数の高い場合、または高速で且つオーバーサンプリング係数の高い場合は実装困難である。レシーバの実装形態の観点から観ると、レシーバの複雑さは、大抵は、オーバーサンプリング係数に線形依存することによって、狭めのアイ仕様を提供可能であることが望ましい。既存の位相ピッキング方法の多くは、このような線形増加の代わりに、オーバーサンプリング係数の二乗または更にそれを上回る増分で複雑さを増大させる。
当該分野で周知の別クラスのレシーバは、いわゆる「多数決」オーバーサンプリングレシーバによって代表される。この技術は、過去において低速リンク用に広く用いられたものであり、データに対して何らかの線形フィルタリング、非線形フィルタリング、またはその両方を施すので、もし0.9UIまたはそれを超える等の優れたアイ開口を使用可能であれば、しばしばリンクのロバスト性およびBERを向上させることができる。このようなレシーバは、また、安価に実装可能であり、これが、過去において広く普及していた重要な要因である。しかしながら、このような「多数決」レシーバの性能は、今日の高速シリアルデータでよく見られるアイ開口の縮小にともなって、急速に不十分になる。更に、このようなレシーバは、高非確定的ジッタを伴うデータストリームはもちろん、高周波数オフセットおよび高周波数変調を伴うデータストリームを扱うことも困難である。
従来の「アナログ」のクロックデータリカバリ(CDRとしても知られる)技術と比べると、デジタルドメインにおけるデータ検出、位相トラッキング、またはその両方は、多くの場合、異なる製造プロセス間での移植性、設計の単純性、および安価さという利点を有する。また、アナログの実装形態では利用できない可能性のある非線形の検出方法、フィルタリング方法、またはその両方は、多くの場合、デジタルドメインでは安価に実装することができる。更にまた、従来のアナログCDRは、優れた位相トラッキング性能を提供するが、それ自体がデータ検出の向上に寄与することは稀であり、ほとんどのアナログCDRは、一シンボルあたり一サンプルのみを抽出する単純なサンプラをデータ検出用に有する。したがって、高確定的ジッタに起因する実質的なアイ閉口が存在する場合は、アナログCDRの性能は不十分である。
一般に、レシーバは、アイ開口が最大値の点で各シンボルが検出(すなわち、サンプリング)される場合に、最も優れた動作性能を実現することができる。しかしながら、このようなサンプリング点を見つけることは困難であり、しばしば不可能である。レシーバは、普通、「最適な」サンプリング点を決定するために、指針としてデータ遷移を参照する。しかしながら、このようなデータ遷移は、シンボル境界に合わせて生じることのないのが通常である。データ遷移の位置は、確定的ジッタ(先行シンボルの履歴によって決まるシンボル間干渉(ISI)に起因する)と、伝送システムの各種構成要素内のノイズによって持ち込まれる非確定的ジッタ(クロック発生器の位相ノイズ、結果として振幅および時間のオフセットを生じるサンプラによる不明確な信号スライス、付加性および乗法性のチャネルノイズ等)と、クロストークによって持ち込まれるノイズと、このようなリンク内にしばしば存在する周波数オフセットおよび周波数変調とに影響される。また、このようなリンクは、多くの場合、受信をいっそう複雑化する非線形ひずみにも見舞われる。
遷移の位置は、現行シンボルに最適なサンプリング点に関して信頼に足る情報を提供できないため、レシーバは、何らかの許容可能なサンプリング位相を見いだすために、遷移を観測して得られるサンプリング位相情報をフィルタリングしようとする。例えば、既存の実装形態の多くは、低域伝達特性を有する線形フィルタ、またはノイズ抑制特性を有する何らかの非線形フィルタ(例えば、メジアンフィルタ)のいずれかを利用する。しかしながら、このような方法で得られたサンプリング位相位置は、シンボル単位の観点から見ると最適でないことが多い。なぜならば、純粋に非確定的な位相ノイズおよび周波数オフセットから確定的な成分(ISIおよびクロストーク等)を分離することは困難だからである。優れたレシーバ性能を提供するためには、非確定的な位相ノイズをフィルタリングで除去する(すなわち抑制する)一方で、確定的成分および周波数オフセットを調整することが望ましい。フィルタリング手法は、このような区別を付けられないことが多く、したがって、全体的な検出性能を低下させる。
性能の向上を試みるその他の方法としては、例えば、ビタビアルゴリズム(VA)に基づくシーケンス検出方法およびその変形形態、ならびにフィードバック検出方式および判定帰還型等化(DFE)等がよく知られている。これらのアプローチは、ISIおよびその他の確定的成分を処理するように上手く機能することができるので、全体的性能を向上させ、サンプリング位相トラッキングタスクを単純化する(非確定的成分および周波数オフセットのみを扱えば良くなるため)。しかしながら、シーケンス検出に基づく方法は、複雑で実装費が高くつくことが多く、一般に、マルチビットサンプリング(すなわち、アナログ・デジタル変換(ADC))およびシンボル単位の広範な計算を必要とする。シーケンス検出器は、データレートがギガビット毎秒のレベルに近づくにつれて、急速に非実用的になる。VD(ビタビ復号)やDFEに基づくレシーバは、低レートの場合ですら、実装費が極めて高くつく。
したがって、従来の位相ピッカー,「多数決」レシーバ,アナログCDRレシーバを煩わしている問題を伴うことなく、オーバーサンプリングされたデータを受信するためのデータレシーバを実現するための簡単で効率的な方法が必要とされている。
オーバーサンプリングシーケンス検出器によって実施される方法であって、サンプリングされたデータの検出信頼性を追跡することによってそのデータに作用する方法が開示される。検出器は、サンプルシーケンスを異なるサンプリング位相ごとに個々に解析し、次いで、最も高信頼性の検出を可能にするサンプルシーケンスを選別する。検出器は、簡単なシンボル単位の検出を向上させるために、異なるサンプリング位相ごとに若干の後読み情報および先読み情報を検証する。また、オーバーサンプリングされた情報は、検出の性能を更に向上させるために使用される。
別の一実施形態では、デジタル伝送リンクを通してデータを受信するための装置であって、オーバーサンプリングされたシンボルのシーケンスを表すために生成されたサンプルシーケンスを受信する工程と、第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する工程と、チャネルの応答長を推定する工程と、を実施するためのレシーバを備える装置が開示される。
更に別の一実施形態では、デジタル伝送リンクを通してデータを受信するための装置であって、オーバーサンプリングされたシンボルのシーケンスを表すために生成されたサンプルシーケンスであって、該サンプルシーケンスの第1および第2の位相にしたがって第1および第2のサンプルストリームを有するサンプルシーケンスを受信する工程と、第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する工程と、第1および第2のシンボルの第1および第2の検出信頼性を推定するために、第1のサンプルストリーム内の第1の同期データフィールドおよび第2のサンプルストリーム内の第2の同期データフィールドを検査する工程と、を実施するためのレシーバを備える装置が開示される。
更に別の一実施形態では、デジタル伝送リンクを通してデータを受信するための装置であって、オーバーサンプリングされたシンボルのシーケンスを表すために生成されたサンプルシーケンスであって、該サンプルシーケンスの第1および第2の位相にしたがって第1および第2のサンプルストリームを有するサンプルシーケンスを受信する工程と、第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する工程であって、1つまたは複数の検出パターンPatterniを1つまたは複数のフラグFlagiに関連付ける動的に更新されるテーブルにしたがって進行し、Flagiは、Patterniに関連付けられたシンボルの幅と、サンプルシーケンスを生成するために使用されたオーバーサンプリングレートLとの間の差を示す値を有する工程と、フラグの値を減らすために、1つまたは複数の等化パラメータを調整する工程とを実施するためのレシーバを備える装置が開示される。
コンピュータ可読媒体は、デジタル伝送リンクを通して受信されるデータをコンピュータシステムのプロセッサが処理することができるように、コンピュータ実行可能命令を記録され、コンピュータ実行可能命令は、オーバーサンプリングされたシンボルのシーケンスを表すために生成されたサンプルシーケンスを受信する命令と、第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する命令と、チャネルの応答長を推定する命令とを含む。
コンピュータ可読媒体は、デジタル伝送リンクを通して受信されるデータをコンピュータシステムのプロセッサが処理することができるように、コンピュータ実行可能命令を記録され、コンピュータ実行可能命令は、オーバーサンプリングされたシンボルのシーケンスを表すために生成されたサンプルシーケンスであって、該サンプルシーケンスの第1および第2の位相にしたがって第1および第2のサンプルストリームを有するサンプルシーケンスを受信する命令と、第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する命令であって、1つまたは複数の検出パターンPatterniを1つまたは複数のフラグFlagiに関連付ける動的に更新されるテーブルにしたがって進行し、Flagiは、Patterniに関連付けられたシンボルの幅と、サンプルシーケンスを生成するために使用されたオーバーサンプリングレートLとの間の差を示す値を有する命令と、フラグの値を減らすために、1つまたは複数の等化パラメータを調整する命令とを含む。
本発明は、限定ではなく例示を目的として、添付の図面に示されている。図中、同様の参照番号は、類似の構成要素を指すものとする。
以下では、添付の図面に例示された本発明の具体的な一実施形態について詳細に言及する。本発明は、具体的な一実施形態との関連のもとで説明されるが、これは、説明された実施形態に本発明を限定することを意図したものではなく、反対に、添付の特許請求の範囲で定められた本発明の趣旨および範囲に含まれる代替、変更、および等価の形態を網羅するものと理解される。
オーバーサンプリングされたデータがデジタル伝送リンクを通して送信される際、確定的ジッタおよび非確定的ジッタの存在下でロバスト動作を提供しうるデジタルレシーバを使用することが望ましい。オーバーサンプリングされたデータは、1ビットあたり2サンプル以上(例えば代表的なオーバーサンプリング係数L=3の場合は3回)繰り返される。しかしながら、ビット値「b」は、ISIゆえに、完璧な繰り返しサンプルシーケンス「bbb」としてレシーバに到達する代わりに、「b」に等しくない値をサンプルシーケンス内に含む可能性がある。例えば、ビット値「0」は、「000」として到達するはずであるが、ジッタの影響によって、「001」,「100」,「101」など他の組み合わせとして到達するかもしれない。したがって、同一のシンボル(符号)を一致して示すとは限らない複数のサンプルから如何にしてシンボルを推測するかが課題となる。
前述のように、自明な手法の一つは、サンプルの多数決を採用する手法である。あいにく、これは、上手く機能しないことが多い。なぜならば、これは、伝送されるサンプルストリーム内のシンボル境界に関する識別を前提としており、この識別の決定および追跡それ自体が困難だからである。もう1つの手法は、遷移を検査することによって、または場合によってはトラッキングループを実装することによって、信号の位相を追跡する手法である。しかしながら、位相トラッキングは、非確定的ジッタによってもたらされ、理想のサンプリング位置(シンボル境界に対するサンプリングクロックの相対位置)に影響を及ぼすゆえに追跡を必要とする位相シフトと、チャネルメモリによってもたらされ、理想のサンプリング位置に影響を及ぼさないゆえに追跡を必要としない位相シフトとを区別することができない。位相トラッキングの一変形は、「ISIに起因する境界のシフトは高速のプロセスであり、トラッキングループの帯域幅よりも高いレートで生じる」という所見に基づき、トラッキングループの帯域幅に修正を加えることによって、チャネル内の変化に対するトラッキングループの感度を落とそうと試みる。この手法は、例えば発電機の周波数または無線リンクのドップラー効果等における低周波数の不安定性の問題を扱う場合は上手く機能するが、ケーブルクロストークに起因する広域のノイズスペクトル、ならびにスライサおよび位相ロックループ(PLL)によって生じる高周波ジッタ等の問題は、位相トラッカーの性能を制約する。したがって、レシーバの性能を向上させることが望まれる。
図1は、本発明の一実施形態におけるデジタル伝送リンクを通してデータを受信するための方法およびシステムを示した最上位のブロック図である。トランスミッタ51は、サンプリングされたデータを、チャネル52を通して伝送する。オーバーサンプリングシーケンス検出部100(以下では「レシーバ」とも称する)は、伝送された信号を受信して復号化する。検出部100は、データの最適サンプリング位相のトラッキングではなく、サンプリングされたデータの検出信頼性のトラッキングに基づく。限定ではなく図の簡略化を目的として、例えば、「+1」と「−1」、または「0」と「1」のように2値の一つを各シンボルによって表される2進文字を用いたリンクを有する一つまたは複数の代表的な実施形態が開示される。したがって、一つまたは複数の実施形態は、1ビット/サンプルのレートで動作するものとして開示され、この場合のオーバーサンプリング係数は、低く維持され、多くの場合に2〜4サンプルの値を取る。しかしながら、これらは、開示された実施形態の動作に対する必要条件ではなく、本発明は、(2値ではない)より複雑な文字を伴うリンクに対しても等しく適用でき、より高いオーバーサンプリング係数はもちろん、2ビット以上の情報を含むサンプルも同様に扱うことが可能である。
限定ではなく例示を目的として、ここに、L=3のオーバーサンプリング係数とシングルビットサンプリングとを使用する検出部100の動作について説明する。従来のシーケンス検出器と異なり、本発明による検出部100は、異なるサンプリング位相(「(1/L)×UI」の名目上の位相オフセットを伴う)ごとにサンプルシーケンスを個々に解析し、最も信頼性の高い検出を可能にするサンプルシーケンスを選別する。検出部100は、簡単なシンボル単位の検出を向上させるため、異なるサンプリング位相ごとに若干の後読み情報および先読み情報(すなわち先行データおよび後続データ)を検証する。また、検出性能を更に向上させるために、オーバーサンプリングされた情報が使用される。これは、オーバーサンプリングされたデータがしばしばサンプリング位相の決定と同時に廃棄される従来の「位相ピッカー」と対照的である。
本発明は、検出性能の点から見て計算効率に優れているので、従来のシーケンス検出器に対して可能であるデータレート,費用制約条件、またはその両方を遙かに超える場合にも、上手く適用することができる。
検出の性能は、本発明の一つまたは複数の実施形態を遷移駆動式の位相トラッキング(アナログまたはデジタル)に組み合わせることによって、更に向上させることができる。例えば、位相ノイズおよび周波数オフセットをトラッキングループによって低減させつつ、ISIおよび大きな「位相跳躍」を本発明の一つまたは複数の実施形態によって処理することができる。実際は、遅い位相変化および非確定的な位相ノイズを狭帯域幅のフィードバックループによって追跡しつつ、残りの位相偏移(ISI等)を本発明によるオーバーサンプリング検出部100によって処理する。
図2は、本発明の一実施形態におけるデジタル伝送リンクを通してデータを受信するための方法を示したフローチャートである。この方法は、第1のシンボルの復号化を行うステップ12から始まって、以下の各ステップを経るものとして説明される。
ステップ16では、(計L個の位相のなかから得られ、ステップ14での第1の位相から始まる)各サンプリング位相について、観測窓Wを通してサンプル調査が行われる。この窓は、概して、現行シンボルに対応するL個のサンプルと、先行シンボルおよび後続シンボルからのいくつかのサンプルとを含む。例えば、L=3のオーバーサンプリング係数を有するシステムの場合は、観測窓Wは、5または6のサンプルを含むのが通常である。W=5の例では、現行シンボルからのL=3のサンプルに加えて、1つの先読みサンプルと1つの後読みサンプルとを使用することができる。W=6の例では、現行シンボルに対応するL=3のサンプル加えて、2つの後読みサンプルと1つの先読みサンプルとを使用することができる。他の値のLおよびWを用いる場合も同様である。
次に、ステップ18では、選択された上述のサンプルを使用して、可能なサンプリング位相ごとに、現行シンボル値の検出が実施される。後述されるように、検出の性能を向上させるためには、先読みサンプルおよび後読みサンプルはもちろん、サンプルストリームに関する過去の判定、検出部100の出力ストリーム、またはその両方を使用することもできる。
ステップ20では、各サンプリング位相について、検出信頼性が評価される(すなわち判定の不確実性が検査される)。
ステップ22では、検出信頼性の最も高い(すなわち判定の不確実性が最も低い)サンプリングストリームが選択される。後述されるように、無用なストリーム切り替えを回避するためには、この選択のプロセスを、一つまたは複数の線形フィルタ、非線形フィルタ、もしくはその両方を使用して制御することができる。あるいは、もし特定の実施形態において必要とされるならば、フィルタリングを伴わないシンボル単位の切り替えを採用することもできる。
ステップ32において、もし上述の切り替えプロセスがシンボル境界を交差すると判断された場合は、ステップ36において、エラスティックバッファが調整される。概して、シンボル境界の交差は、旧位相と新位相との間の差の絶対値が「(1/2)×UI」を上回る場合に生じる。例えば、オーバーサンプリング係数が「L=3」である場合は、このような交差は、「0→2」または「2→0」の遷移が起きた場合に生じる。L=5のように、より大きいオーバーサンプリング係数の場合は、「0→4」,「1→4」,「0→3」,「4→0」,「4→1」,「3→0」のどの遷移もシンボルの廃棄または重複を引き起こすと考えられる。なぜなら、これらのいずれの場合も、旧位相と新位相との間の差が3または4であるからである、すなわち「(1/2)×UI」(この場合は2.5)を上回るからである。エラスティックバッファについては後述される。あるいは、境界交差に対処するために、サンプリングストリームごとに現行シンボルのポインタを調整することも可能である。
ステップ38では、ストリーム内の残りのシンボルについて、上述のステップが繰り返される。
上記のステップは、以下において更に詳述される。
本発明によるこの手法は、サンプリング位相を正しいものと仮定して、現行シンボル値の推測と、このような推測の信頼性の評価とを試みるものである。よくあるのは、可能な全てのサンプリング位相が同じシンボル値をもたらす場合である。例えば、もしシンボルストリーム内に同じ値の(例えば値「1」の)シンボルが長く並ぶと共に、このような並びの中ほどで検出部100が処理を行う場合、検出値は位相にかかわらず「1」であるため、サンプリング位相は問題にならない。更に、このような推測は極めて高信頼性である。すなわち、このような推測に関連した不確定性はゼロである。これは、些細な例ではあるが、シンボル値を正しく検出するために検出部100が必ずしもサンプリング位相を常に知っている必要はないという事実を示している。
位相に寄らない不変の検出結果を有するシーケンスの別の例として、以下のような場合を考える(この例では、「L=3」,「W=5」である)。
位相0:「000.111.101.111.000」は、「01010」として復号化される(下記参照)。
復号化データ:「--0-----0-----1----0---」
位相1:「001.111.011.110.0」も、「01010」として復号化される。
位相2:「011.110.111.100.0」は、「1010x」として復号化される(すなわち、1シンボルだけ先行する)。
上記の例では、検出データの3つのストリームがいずれも上記の共通した4シンボルを有するので、選択されたサンプリング位相にかかわらず、検出の判定を正しく下すことが可能である。
しかしながら、上記の例では、位相ごとに検出の信頼性が異なる。例えば、位相0のデータは、どのシンボルのサンプルパターンも一つのシンボル値のみを表しうるので、高信頼性で復号化することができる。位相0に対応するシンボルは、一つのシンボルを除き、全てシンボル境界が明確に定められている。サンプルパターン「1.101.1」も、曖昧さを伴うことなく復号化することができる。なぜなら、サンプル「1」からなる隣り合う二つのシンボルが、一つのサンプル「0」で隔てられているからである。これは、ISIが比較的高い場合に相当するので、ゼロピークはやや浅く、したがって、ナローシンボルが生じる。したがって、位相0に対応するシーケンスは、高信頼性で復号化され、「0」の累積「検出メトリック(検出の際の経路距離)」を有する。これは、不確定性のレベルが低いことを示している。この発想は、シンボルシーケンスの不確定性レベルを示すために、シンボルシーケンスに判定メトリック(以下では単にメトリックとのみ称されることもある)を割り当て、受信されたサンプルシーケンスからシンボルを復号化する際に、これらの判定メトリックを使用するというものである。
反対に、位相1および位相2のストリームについてデータを推測する場合は、位相0のストリームについてデータを推測する場合より信頼性が低い。サンプルパターンのなかには、ややこしく且つ曖昧に見えるものがある。それに、たとえ曖昧さを伴わずにシーケンスを検出可能な場合でも、激しいISIの存在下で、更に位相ジッタ、またはデータの周波数変調、またはこれらの両方が伴えば、検出に誤りを生じる可能性がある。したがって、位相1および位相2のストリームについてのメトリックは、位相0のストリームについてのメトリックより高く設定され、それによって、位相1および位相2のストリームについての検出プロセスの不確定性の増大(すなわち信頼性の低減)が示される。例えば、位相0ストリームにメトリック0に用意する一方で、位相1および位相2のストリームの両者にはメトリック2を用意することができる。
以下では、限定ではなく例示を目的として、レシーバの一実装例について提示された検出パターンのいくつかの例を説明する。
「L=3,W=5」の場合におけるデータ検出パターンの例
本明細書では、検出部100のその他の実施形態のなかで、先行して検出された値(すなわち、先行シンボルについて決定された値)を使用する一実装形態と、このような先行して検出された値を使用しない一実装形態との二つの実施形態を取り上げて説明する。現行シンボルの検出の不確定性を低減させる目的で先行値を使用する方式は、判定帰還型検出方式、すなわちDF方式と称される。このような方式は、検出の信頼性を向上させる(すなわちBERを低減させる)。これは、場合によってはハードウェアの追加によって達成される。
次の表は、DF検出器について提示された検出パターンを示したものである。なお、スペース(本明細書内および実際のハードウェア内の両方)を節約するために、表の前半分のみが明記されている。後半分は、パターンビットおよび検出値を反転させることによって得られる。表データをより簡潔に示すために、その他の要約方式を用いることも可能である。
Figure 2007110702
表1において、DF値(「先行値」の欄に示されている)に依存するのは、「0 011 0」,「0 011 1」,「0 101 1」,「0 110 1」(16進法では06,07,0B,0D)の四つのパターンのみである。したがって、このようなパターンについて相応の検出品質劣化を伴う簡略化された非DF検出器を実装可能であると結論づけることができる。
ストリームの選択
各ストリームの現行シンボルについてメトリックが計算された後は、ストリーム選択を行うことができる。検出されたストリーム間の素早い切り替えは、検出の信頼性を低下させる恐れがあるので、通常は、所望量のいくらかの位相コヒーレンスを維持するため且つこのような素早いストリーム切り替えを阻止するために、何らかのフィルタリング(有限インパルス応答(FIR)フィルタリング,無限インパルス応答(IIR)フィルタリング,非線形フィルタリング等)を使用することができる。
別のストリームに切り替える判定に達する前に、特定の長さの過去の検出履歴を考慮すれば、検出部100をより正確にすることができる。なぜならば、前述のように、ISI,位相ジッタ,周波数変調,クロック周波数オフセット等の一つもしくは複数の独立した作用、またはその他の作用は、シンボル境界に影響を及ぼすからである。ジッタおよびある程度までのISI等の、いくつかの作用は、位相コヒーレンスが短い、すなわちシンボル単位の変化率が高い。パターンデコーダは、各ストリーム内において、このような短期シフトを扱う。
周波数オフセットまたは周波数変調等のその他の作用は、概して、非常に長い位相コヒーレンス期間を有するので、パターン検出器だけで扱うのに適さない。このような場合は、ストリームの切り替えが実施され、これは、サンプリング位相のトラッキングを(間接的に)実現する。
DVI/HDMIアプリケーションについての一実施形態では、フィルタは、単純に、ストリームごとの単位で取られる移動平均(すなわち、1−DフィルタのLで)として実装することができ、次いで、非線形の閾値化が続く。これは、現行ストリームと候補ストリームとの間のメトリックの差がアプリケーション依存の特定の閾値を超えない限り、ストリームの切り替えを阻止する。
一実施形態では、最小メトリックを有する候補ストリームが選択される。ただし、その他の方針も同様に使用可能である。
シンボル値が最終的に選択される前に、後述されるように、エラスティックバッファの助けを借りて、候補ストリームをいくらか調整する必要がある場合もある。
ストリームの切り替えおよびエラスティックバッファの役割
新しい候補ストリームを選択するプロセスにおいて、もし現行ストリームと提案ストリームとの間の位相差が「L/2」を超える(すなわちUI/2の位相跳躍を超える)ならば、検出プロセスは、シンボル境界を交差する。この場合は、検出部100によって追加のステップが取られない限り、一つのシンボルの重複または廃棄(位相跳躍指示による決定にしたがった)が原因で、誤った検出がなされる結果となる。
例えば、UIの冒頭に近いストリーム(例えば、オーバーサンプリング係数がL=3のシステムの場合は位相0のストリーム)を使用しているときに、UIの終端にあるストリーム(例えば、この場合は位相2のストリーム)を選択した場合は、シンボル境界が交差される。そして、必要なステップが取られない限り、検出されたストリームから一つのシンボルが失われる(すなわち廃棄される)。
反対に、もし位相が、「UI/2」またはそれを上回る距離だけ反対方向に移動する(例えば、上述の例では位相2のストリームから位相0のストリームに移動する)ならば、シンボルは、二度にわたってサンプリングされる可能性がある。これは、検出されたストリーム内にシンボルの重複を生じる。
上記の問題に対処する可能な解決法の一つは、ストリーム選択の実施に先立つエラスティックバッファ(EB)を追加することを含む。より具体的には、可変のシンボル遅延を追加することを含む。位相が前進する(例えば、上記の例では、位相0のストリームから位相2のストリームに移動する)場合、エラスティックバッファの長さ(すなわち、遅延の大きさ)は、一つのシンボルだけ減分される。反対に、位相が後退する(例えば、上記の例では位相2のストリームから位相0のストリームに移動する)場合、エラスティックバッファの長さは、一つのシンボルだけ増分される。
なお、上記の説明における、理論上のエラスティックバッファ(および可変遅延)の使用は、概念の例示を目的としたものであって、限定を意図するものではない。実際の実装形態では、各種の手法を用いることができる。例えば、マルチプレクサと、シンボル複数個分のデータを保持する共有レジスタとに基づいた並列の実装形態を用いることができる。しかしながら、以下の説明では、実際のレシーバならば、データの緩衝、遅延、またはその両方の働きを十分になしえる任意の実装形態を使用可能である、という了解のもとに、エラスティックバッファの概念を引き続き用いるものとする。
現行シンボルの検出が為された後、デコーダがメトリックの計算および切り替えの判定を行う場合、随意的に、エラスティックバッファの長さも調整される。しかしながら、新しい候補ストリームは、次のシンボル間隔中に選択される。要するに、位相の切り替えプロセスは、シンボルの検出と検出との間に生じるものとして、つまり前のシンボルが検出された後で且つ次のシンボルが処理される前に生じるものとして可視化することができる。その他の実装形態も可能である。例えば、現行シンボルの処理中に、いっさいの遅延を伴わずに切り替えることも可能である。しかしながら、このような手法は、多くの実例において、検出品質の大幅な向上を伴わずにいたずらにハードウェアを複雑にする可能性がある。
例えば、起動時または新規のリンク接続の確立時など、レシーバの動作が不安定な期間中は、エラスティックバッファが調整の限界に達する可能性がある。このような場合は、バッファ(すなわち、遅延の量)を強制的に中心合わせしなおす必要がある。これは、結果としてデータ損失を引き起こす恐れがある。このような再中心合わせは、エラスティックバッファが調整の限界にぶつかったために、シンボル境界の交差時に複製または廃棄されるシンボルを補うことができずに多重誤りを生じることによって引き起こされるエラー伝搬現象を阻止する。
再中心合わせのプロセスは、エラスティックバッファ長がゼロ未満に減少する(すなわち、負の遅延を要求される)こと、またはエラスティックバッファ長が最大長さ限界を超えて増大することの検出を通じて作動する。いずれの場合も、バッファ長(すなわち遅延)は、事前に定義された値に設定される。この値は、固定値でもよいし、または必要に応じて適応式に調整可能でもよい。
EBlengthで表される長さを有するエラスティックバッファを用いた簡単な一実装形態では、「EBlength/2」の固定中心値を使用することができる。例えば、EBlengthが7シンボルである場合は、中心値を3シンボルに設定することができる。
あるいは、より精巧な実装形態の場合は、エラスティックバッファが溢れようとする傾向を追跡することによって、最も境界交差の可能性が高い方向に沢山の緩衝用スペースが設けられるようにエラスティックバッファを再中心合わせすることができる。例えば、もし瞬間的な正の周波数オフセットが存在し且つレシーバのサンプラが受信データの位相より遅れる場合は、サンプリング位相は前進すると考えられ、ゼロ遅延限界にぶつかる可能性がある。このような場合は、バッファが再び限界に到達してデータ誤りを生じる可能性を低減させるために、バッファを最大遅延の2/3に再中心合わせすることができる。
全体構成
次に、本発明によるデータ検出の方法およびシステムについて、代表的な一実装形態の構成を説明する。図3は、本発明の一実施形態におけるデータ検出部100を示した最上位のブロック図である。データ検出部100は、パターン解析部110と、メトリックフィルタ130と、ストリーム切替部140と、エラスティックバッファ120と、候補ストリーム選択部150とを備える。
「L」倍でオーバーサンプリングされた受信データ101は、パターン解析部110に供給される。この解析ブロックでは、位相ごとに受信データパターンが解析され、値および検出メトリックからなる「L」個の候補ストリームが生成される。また、この解析ブロックは、サンプリング位相の推定値および等化測定の品質等のサイド情報152からなる追加ストリームを生成することもできる。この説明では、値(V)ストリーム111とメトリック(M)ストリーム112とに限定するものとする。
位相ごとのメトリックからなる合計「L」個のメトリックストリーム(以下では「生メトリック」とも称される)は、メトリック値の短期的な不安定性を抑え且つメトリックの内在的コヒーレンスを活用するために、メトリックフィルタ130によって更なる処理を施される。検出部100は、概して、候補ストリームをシンボル単位で選択する代わりに、候補ストリームの呈する安定した品質変化の傾向に従おうとする。なぜならば、メトリックの推定値は、ストリーム内の全シンボルについて高信頼性であるわけではなく、それらをシンボル単位で(すなわちシンボルレートで)追跡しようとすると、余計な、誤った、または余計で且つ誤ったストリーム切り替えを生じうるからである。メトリックフィルタ130のブロックは、上記の目的を実現するとともに、検出部100全体のトラッキングダイナミクスを大まかに決定する。
メトリックストリームがフィルタリングされると(以下では「クックド」メトリックとも称される)、「L」個のクックドメトリック131は、どのストリームを選択するかを決定するストリーム切替部140に送られる。ストリーム切替部140は、また、シンボル境界交差を生じた場合にエラスティックバッファ120の長さを制御することによって、緩衝用の遅延を調整する。候補ストリームの選択データは、「位相選択」信号142によって送られ、エラスティックバッファ120の遅延値は、「シンボル選択」信号141によって送られる。
エラスティックバッファ部120は、ストリーム切替部140で指定された量だけ候補ストリームを遅延させる。「L」個の候補ストリームは、それぞれ同数のシンボル間隔だけ遅延される。実際の一ハードウェア実装形態では、エラスティックバッファ部120を、候補ストリームと、適切なタップを選択するためのマルチプレクサ配列との間で共有されるマルチタップ付きシフトレジスタとして実装することができる。例えば、ストリームごとに長さが可変のシフトレジスタなど、その他の実施形態も同様に可能である。
遅延された候補ストリームは、候補ストリーム選択部(CSS)150に供給される。候補ストリーム選択部150は、「L」個のストリームのうちの一つのみを保持し、残りのデータを廃棄する。保持されたストリームは、検出部100からの出力データストリーム151を表す。本発明に備わる重要で且つ有利な一面は、検出部100の接続形態全体にフィードバックループが存在しないことにある。これは、検出器100を、高度に並列化された形態で容易に実装可能にするとともに、この技術を、例えば、ギガビット毎秒またはそれを上回るデータレート等の超高速動作に適したものにする。
パターン解析部
図4は、本発明の一実施形態におけるパターン解析部110を示したブロック図である。受信データサンプル201は、指定された遅延を有するシフトレジスタ210に送られる。シフトレジスタ210は、「LSR(=2L+NLB+NLA−1)」個のサンプルを保持するのに十分な長さである。ここで、「L」は、オーバーサンプリング係数であり、「NLA」は、パターン解析に必要とされる先読み(LA)サンプルの数であり、「NLB」は、後読み(LB)サンプルの数であり、「LSR」は、シフトレジスタ210の最短の長さ(サンプル数で表される)である。
例えば、「3」倍のオーバーサンプリングにおいて「5」つのサンプルパターンが解析される場合(すなわち、LAサンプルおよびLBサンプルが一つずつであって、判定帰還(DF)サンプルは含まれない)、シフトレジスタ210は、「7」つのサンプルを並列に生成する。シフトレジスタ210を使用するこの特定の一代表的実施形態は、動作の理解を容易にするが、他方では、その他の実装形態も可能である。例えば、データの並列処理(高データレートの場合に必要となることがある)を容易にするため、そして複雑性、消費電力、またはその両方を低減させるために、マルチプレクサを伴う並列レジスタを用いることが可能である。
シフトレジスタ210からは、サンプル211がパターン解析素子220,230,……,240の配列に送られる。図4では、明確さを期するために、最初の二つと最後の一つのパターン解析素子のみを図示する。各パターン解析素子220,230,……,240は、各自に提示された応分のサンプル群をシンボル単位で監視し、最も可能性の高い検出値と推定メトリック、および(必要に応じて)その他のサイド情報を推定する。その結果、候補値とそれらのメトリックとの「L」個のペアが、回線202,203を通してそれぞれ送り出される。
パターン解析素子
図5は、本発明の一実施形態におけるパターン解析素子を示したブロック図である。合計「LPA(=NLB+L+NLA)」個のサンプルの集まりが、回線301を通じてパターン解析部110から受信され、ルックアップテーブル(LUT)310に入力される。また、レジスタ320からは、事前に決定された値321が受信される。レジスタ320は、シンボルごとの単位で、すなわち検出器の1サイクルあたり一度の割合で更新される。
ルックアップテーブル310は、値「V」312とメトリック「M」311と、位相および等化等に関する追加のサイド情報313とを生成する。ルックアップテーブル310は、読み出し専用メモリ(ROM)またはランダム論理回路を使用して実装することができる。候補値「V」312は、レジスタ320に格納され、次のシンボルを処理する際に用いられる。
エラスティックバッファ
図6は、本発明の一実施形態におけるエラスティックバッファ120を示したブロック図である。合計「L」個の候補ストリームが、回線401を通して受信され、「L」個のシフトレジスタ410,420,……,430の配列にシンボル単位でシフトされる。各シフトレジスタ410,420,……,430の適切なタップは、遅延信号402による制御のもとで、対応する合計「L」個のマルチプレクサ440,450,……,460によって選択される。マルチプレクサ440,450,……,460の出力441,451,……,461は、「L」個の候補ストリームの集まりであり、適切に遅延されており、信号405を介して送り出される。エラスティックバッファ120としては、例えば、適切なマルチプレクサを用いて「L」個のストリーム間で共有される並列ロードレジスタ、またはその他の類似の実装形態等の、その他の実装形態も可能である。
ストリーム切替部
図7は、本発明の一実施形態におけるストリーム切替部140を示したブロック図である。適切にフィルタリングされた(クックド)メトリックMinが、回線501を通してメトリックフィルタ130から受信される。クックドメトリックは、L方向コンパレータ510に送られる。L方向コンパレータ510は、受信されたメトリックをシンボル単位で比較し、「L」個の候補ストリームのなかで正しい可能性の最も高いストリームを決定する。本実施形態では、メトリックが小さいほど、候補値に関する判定が正しい可能性が高くなる。したがって、このような場合のコンパレータ510は、最も小さいクックドメトリックを有するストリームを決定すればよい。そして、このようなストリームの番号が、回線511を通して切り替えフィルタ520に送られる。
切り替えフィルタ(SF)520は、候補ストリームがメトリックの短期的小変化に応じて切り替わる事態を回避するために、線形フィルタリング、非線形フィルタリング、またはその両方を実施する。これは、概して、システムの動作を向上させる。フィルタリングのアルゴリズムは、動作環境に依存する。多くの場合(例えば、DVI/HDMI実装形態等)は、固定式または適応式の閾値化等の簡単な非線形方式が上手く機能する。例えば、ストリームの切り替えは、現在使用されているストリームのメトリックと、提案されたストリームのメトリックとの間の差が、指定された実装依存値より大きい場合にのみ行われる。
次いで、目下のところ決定された候補ストリームの選択子「位相選択」信号が、回線521を通して候補ストリーム選択ブロック150へと送り出される。この位相選択信号は、エラスティックバッファコントローラ(EBC)530にも送られる。エラスティックバッファコントローラ530は、選択された候補ストリームにおける変化を監視し、もしこの選択がいずれかの方向にシンボル境界を交差するならば、エラスティックバッファの遅延を調整する。そして、現在必要とされる量の遅延が、回線531を通してエラスティックバッファ120へと送り出される。
エラスティックバッファコントローラ
図8は、本発明の一実施形態におけるエラスティックバッファコントローラ530を示したブロック図である。提案された候補ストリーム番号の「位相」信号601が切り替えフィルタ520から受信され、レジスタ610において1シンボルぶんだけ遅延される。次いで、減算器回路620および絶対値回路630によって、現行ストリームの番号と先行ストリームの番号との差が決定される。
選択子の差の絶対値は、回線631を通して二方向コンパレータ640に送られ、この二方向コンパレータ640は、差が「L/2」を上回るか、すなわち差がシンボル間隔の二分の一より大きいか否かを決定する。もしそうならば、回線641上に、境界交差条件のフラグが立てられる。これは、ANDゲート660,670の助けによって遅延アキュムレータ680で値調整を行うこと可能にする。
遅延調整の方向は、コンパレータ650によって決定される。コンパレータ650は、サンプリングが入力データに先行するか、または遅行するかを決定する。境界交差の場合は、コンパレータ650によって為された比較の結果にしたがって、遅延アキュムレータ680の値が増分または減分される。再中心合わせの論理690は、範囲外の遅延値をチェックし、そのような場合に遅延アキュムレータ680の値をリセットする。再中心合わせのプロセスについては、前述の説明を参照のこと。
適応技術および適応データ抽出
以上に説明された実施形態の検出器は、受信されるオーバーサンプリングされたデータストリームのデータ検出の信頼性を追跡することを含むものであり、適応性のレシーバを実装する方法を提供している。しかしながら、他方では、このような検出器の適応性行為を拡張するために、更なるステップを取ることも可能である。例えば、データ検出プロセスの際に利用可能である情報を使用すること、および全体的なリンク性能を更に高めるためにレシーバパラメータ、トランスミッタパラメータ、またはその両パラメータを調整すること等が挙げられる。
これらの動作中、上述された実施形態の検出器は、データサンプルパターンを解析し、データストリーム値を推定(すなわち推測)しようと試みるとともに、その推測されたデータ値の信頼性を推定しようと試みる。また、データストリームに関する追加情報を推定可能であるように、検出器を拡張することもできる。例として、データサンプルのサンプリング位相を推定すること、およびオフセットを最小化するために、フィルタリングされた推定値を使用してサンプラの静的位相オフセットを調整すること等が挙げられる。したがって、データ検出の信頼性は、一つまたは複数のサンプルパターン内の不確定性の大きさを低減させることによって向上させることができる。静的位相オフセットの変化率は、概して低いので、例えば、簡単なハードウェアの形態、または部分的にひいては全体にソフトウェアの形態等を用いることによって、位相オフセットを効果的に追跡および排除することが可能である。この手法は、オーバーサンプリングレシーバに使用できる適応性技術のほんの一例を表しているに過ぎない。
上記の例に加えて、その他の情報も、パターン解析段階にある検出器によって抽出することができる。一実施形態において、検出器は、最小シンボル幅、平均シンボル幅、またはその両方(いずれも1シンボルあたりのサンプル数で表される)を解析することによって、チャネル応答長の推定値を生成することができる。例えば、ナローシンボル(すなわち、オーバーサンプリング係数を「L」で表すと、「L」個未満のサンプルからなるシンボルのこと)が多数検出された場合は、チャネル応答が適切に等化されていないことを意味する。このような場合は、検出器は、この情報を使用することによって、検出器の入力におけるナローシンボルの数を減らす方向に、一つまたは複数のイコライザパラメータを変更することができる。検出器は、等化ミスの符号を必ずしも推論可能である必要はない、すなわち、チャネル応答が過大等化されたかまたは過小等化されたかを必ずしも推論可能である必要はない。しかしながら、等化曲線は、明確な最小値を有することが多く、この最小値は、両方向に微調整を施すこと、および全体的な等化がどの方向に向上するかを決定することによって見いだすことが可能である。
別の一実施形態では、検出器は、データ受信の全体的性能を最適化しようと試みる。例えば、高い信頼性で、すなわち値が正しい可能性が許容可能に高い方式で、検出器によってデータ値を推定可能である限り、等化は、ノイズ量の減少に置き換え可能である。言い換えると、たとえナローシンボルの数が多くても(ISIの量が多いことを意味する)、非確定的ジッタ、周波数オフセット、またはその両方が小さければ、検出器は、たとえ等化ミスの存在下でも、許容可能に高い信頼性でデータを検出することができる。レシーバは、チャネル応答長を低減させるために、例えばイコライザの応答ゼロ位置を調整する等によって、イコライザのゲインをより高い周波数に引き上げる代わりに、ノイズの増大を回避して、チャネル応答を長い状態に維持する。このような場合は、レシーバの個々の構成要素(イコライザ等)の最適化ではなく、レシーバの全体的性能の最適化に目的がある。
別の一実施形態では、検出器は、シンボル長のヒストグラムを構築し、そのヒストグラムを使用することによって、等化ミスに起因するナローシンボルを、例えば周波数オフセット、非確定的位相ジッタ、またはその両方等のその他の要素に起因するナローシンボルと区別する。更に、推定データ値は、検出器にとって既知であり、そのためポストカーソルシンボルの検出に(すなわち、検出フィードバックアーキテクチャで)使用することができるので、データを利用した様々な適応性の方法が実装可能である。例えば、一実施形態において、検出器は、一つまたは複数の候補ストリーム内の一つまたは複数の同期データフィールド(DVIまたはHDMIの実装形態では復帰間隔)を検査可能であり、次いで、検出されたこのような同期情報を使用することによって、各候補ストリーム内の値を推測する際の信頼性を個々に推定する。なお、これが可能であるのは、伝送されたデータパターンが検出器に知られているためである。こうして、検出器は、コード違反、無効同期パターン、またはその両方を単に観察するだけで、誤った推測を発見することができる。
その他の実施形態では、検出器は、候補ストリームに関してより多くの情報を提供しうるメトリックに基づく技術を使用することができる。非適応性の実装形態のレシーバでは、通常はシングルビットのメトリックが使用されるのに対して、適応性の検出器では、マルチビットメトリックを使用することができ、これは、データ検出の信頼性の推定をより正確にするとともに、選択された一つのチャネル(または全ての候補チャネル)に関して累積メトリックの最小化を適応基準として使用する。
適応判定帰還型検出器の例
提案された適応性の技術のいくつかを示すために、以下では、代表的な判定帰還型データ検出器について説明する。検出器の一実施形態について上述されたように、データ値およびメトリックは、解析表(表1など)を使用して提供することができる。このような表は、前述のように、単純な適応性の検出器を構築するのに十分である。他方で、適応基準は、選択された候補ストリームについて、(例えば、「30」個のシンボル等の特定の観測窓を通して)フィルタリングされた最小メトリック値である。検出器は、更に、最小の累積メトリックを得るために、チャネルの等化、インピーダンスの整合、またはその両方の調整を試みることができる。このような方式は、特定用途に対して十分に上手く機能するが、より精巧な手法を使用することによって、より優れた結果をもたらすことも可能である。
例えば一実施形態において、パターン解析表は、メトリックおよびデータ値に加えて、位相情報およびナローシンボルの指標を提供することができる。なお、前述のように、本明細書内およびハードウェア内のスペースを節約するために、表の前半分のみが明記されている。表の後半分は、パターンビットおよび検出値を反転させることによって得られる。
Figure 2007110702
表2では、ナローシンボルのフラグ値が示されている。シンボルが「2」サンプル幅であるならば、フラグ値は「1」に設定され(パターン「0 110 0」を参照)、シンボルが「1」サンプル幅であるならば、フラグ値は「2」になる(パターン「0 001 0」を参照)。一般に、フラグ値は、「(フラグ値)=L−(シンボル幅)」として設定される。
適応性のレシーバは、選択されたストリーム(または、全ての候補ストリーム)から得られたフィルタリング後のフラグを適応基準として使用する。あるいは、もし必要ならば、フィルタリング後のフラグ値が最小になるように、イコライザを調整することもできる。この条件は、データ検出器への入力において、アイ開口が優れた水平な形を呈する状態に相当するので、優れた等化を意味する。
位相欄は、サンプラ内で位相オフセットを適応的に相殺するために使用することができる。例えば、サンプラのクロッキング機構内で遅延線を駆動して、回復後のクロックに対するサンプリング位相を「0..Ts/L」の範囲内に(すなわち、名目サンプラ間隔以下に)調整するために、フィルタリング後の位相値(移動平均等)を使用することができる。選択された候補ストリームから得られる情報は、好ましくは、フィルタリング後の位相値が可能な限りゼロに近づくまでサンプリング遅延を適応的に調整するために使用される。この状態は、最適サンプリング条件を表しており、選択されたストリームから得られる低減されたメトリック値によって更に検証することができる。
図9は、本発明の一実施形態を実装するために用いられる代表的なコンピュータシステム300を示している。コンピュータシステム300は、一つまたは複数の中央処理装置(CPU)301と、ランダムアクセスメモリ(RAM)302と、読み出し専用メモリ(ROM)303と、一つまたは複数の周辺装置305と、一次ストレージデバイス306,307とを含む。本分野において周知のように、ROMは、データおよび命令をCPU301へと単方向に送る働きをするのに対し、RAMは、データおよび命令を双方向に送るのが通常である。CPU301は、概して、任意の数のプロセッサを含むことができる。一次ストレージデバイス306,307は、任意の適切なコンピュータ可読媒体を含むことができる。二次ストレージ媒体308は、概して大容量のメモリデバイスであり、CPU301に双方向的に接続され、追加のデータ記憶容量を提供する。大容量メモリデバイス308は、コンピュータコードおよびデータ等を含むプログラムを格納するために使用されうるコンピュータ可読媒体である。大容量メモリデバイス308は、磁気テープリーダ、紙テープリーダ、またはその他の何らかの周知デバイスの形態を取ることができる。なお、大容量メモリデバイス308内に保持されている情報は、適切に思われた場合には、仮想メモリとしてRAM302の一部に組み込むことが可能である。
CPU301は、また、一つまたは複数の入出力装置309にも繋がれる。入出力装置309としては、ビデオモニタ,トラックボール,マウス,キーボード,マイクロフォン,タッチ検知式ディスプレイ,トランスデューサカード読取装置,磁気テープ読取装置,紙テープ読取装置,タブレット,スタイラス,音声認識装置,筆跡認識装置、または言うまでもなくその他のコンピュータ等を含むその他の周知の入力装置等のデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。最後に、CPU301は、ネットワーク304との接続を使用して、例えば、デジタル伝送リンク,インターネットネットワーク,イントラネットネットワーク等の通信リンク,コンピュータネットワーク,通信ネットワーク304に繋がれる。CPU301は、上述されたオーバーサンプリングされたデータの受信、送信、またはその両方を実施するにあたって、このような通信リンクを通してネットワークに対する情報の送受信を行うと考えられる。このような情報は、CPU301を使用して実行される命令のシーケンスとしてしばしば表され、例えば搬送波に組み込まれたコンピュータデータ信号等の形態でネットワークに対して入出力することができる。上述されたデバイスおよびデータは、コンピュータハードウェアおよびコンピュータソフトウェアの分野の当業者によく知られたものである。コンピュータシステム300は、オーバーサンプリングされた一つまたは複数のデータストリームを受信した後、伝送されたシンボルを復号化するため、ならびに上述された受信、検出、およびその他の処理のうちのいずれか一つまたは複数を実施するために、これらのデータストリームを処理する。このような受信、検出、およびその他の処理のうちのいずれか一つまたは複数を実施するためのコンピュータ命令は、RAM302、ROM303、一次ストレージデバイス306,307、およびその他の任意のコンピュータ可読媒体のうちのいずれか一つまたは複数に格納することが可能である。
以上に記載された本発明の実施形態は、例示および説明を目的として提供されている。これらは、記載された厳密な形態に発明を限定することを意図しておらず、記載された教示内容に照らせば、その他の変形形態および実施形態も可能である。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。
本発明の一実施形態におけるデジタル伝送リンクを通してデータを受信するための方法およびシステムを示した最上位のブロック図である。 本発明の一実施形態におけるデジタル伝送リンクを通してデータを受信するための方法を示したフローチャートである。 本発明の一実施形態におけるデータ検出器100を示した最上位のブロック図である。 本発明の一実施形態におけるパターン解析部を示したブロック図である。 本発明の一実施形態におけるパターン解析素子を示したブロック図である。 本発明の一実施形態におけるエラスティックバッファを示したブロック図である。 本発明の一実施形態におけるストリーム切り替え部を示したブロック図である。 本発明の一実施形態におけるエラスティックバッファコントローラを示したブロック図である。 本発明の一実施形態を実装するために用いられる代表的なコンピュータシステム300を示したブロック図である。

Claims (21)

  1. デジタル伝送リンクを通してデータを受信する方法であって、
    オーバーサンプリングされた一連のシンボルを表すために生成された一連のサンプルを受信する工程と、
    第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する工程と、
    前記検出された第1および第2のシンボルに基づいて、チャネル応答長を評価する工程と
    を備える方法。
  2. 前記チャネル応答長を評価する工程は、一つのシンボルあたりのサンプルの数を示すシンボル幅についての最小値および平均値の少なくとも一方を検知する工程を含む請求項1記載の方法。
  3. 更に、前記シンボルのうちオーバーサンプリング係数値未満のサンプルを有するナローシンボルの数が閾値を超える場合、該ナローシンボルの数を減らすようにイコライザを調整する工程を備える請求項2記載の方法。
  4. 前記イコライザを調整する工程は、等化パラメータを上方調整および下方調整することによって、等化が向上する傾向を判断する工程を含む請求項3記載の方法。
  5. デジタル伝送リンクを通してデータを受信する方法であって、
    オーバーサンプリングされた一連のシンボルを表すために生成された一連のサンプルあって該一連のサンプルの第1および第2の位相に応じた第1および第2のサンプルストリームを有する一連のサンプルを、受信する工程と、
    前記第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する工程と、
    第1のサンプルストリームにおける第1の同期データフィールド、および第2のサンプルストリームにおける第2の同期データフィールドを検査することによって、前記第1および第2のシンボルについての第1および第2の検出信頼性を評価する工程と
    を備える方法。
  6. 前記第1および第2の同期データフィールドは、DVI復帰間隔およびHDMI復帰間隔の少なくとも一方を含む請求項5記載の方法。
  7. デジタル伝送リンクを通してデータを受信する方法であって、
    オーバーサンプリングされた一連のシンボルを表すために生成された一連のサンプルであって該一連のサンプルの第1および第2の位相に応じた第1および第2のサンプルストリームを有する一連のサンプルを、受信する工程と、
    前記第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する工程であって、該シンボルの幅と、前記一連のサンプルを生成するために用いられたオーバーサンプリング係数との間の差を示す値を有するフラグに、該検出されたパターンを関連付けることによって動的に更新されるテーブルに従って処理を行う工程と、
    前記フラグの値を減らすように等化パラメータを調整する工程と
    を備える方法。
  8. デジタル伝送リンクを通してデータを受信する受信装置であって、
    オーバーサンプリングされた一連のシンボルを表すために生成された一連のサンプルを受信する受信部と、
    第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する検出部と、
    前記検出された第1および第2のシンボルに基づいて、チャネル応答長を評価する評価部と
    を備える受信装置。
  9. 前記評価部は、一つのシンボルあたりのサンプルの数を示すシンボル幅についての最小値および平均値の少なくとも一方を検知する検知部を含む請求項8記載の受信装置。
  10. 更に、前記シンボルのうちオーバーサンプリング係数値未満のサンプルを有するナローシンボルの数が閾値を超える場合、該ナローシンボルの数を減らすようにイコライザを調整する調整部を備える請求項9記載の受信装置。
  11. 前記調整部は、等化パラメータを上方調整および下方調整することによって、等化が向上する傾向を判断する判断部を含む請求項10記載の受信装置。
  12. デジタル伝送リンクを通してデータを受信する受信装置であって、
    オーバーサンプリングされた一連のシンボルを表すために生成された一連のサンプルあって該一連のサンプルの第1および第2の位相に応じた第1および第2のサンプルストリームを有する一連のサンプルを、受信する受信部と、
    前記第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する検出部と、
    第1のサンプルストリームにおける第1の同期データフィールド、および第2のサンプルストリームにおける第2の同期データフィールドを検査することによって、前記第1および第2のシンボルについての第1および第2の検出信頼性を評価する評価部と
    を備える受信装置。
  13. 前記第1および第2の同期データフィールドは、DVI復帰間隔およびHDMI復帰間隔の少なくとも一方を含む請求項12記載の受信装置。
  14. デジタル伝送リンクを通してデータを受信する受信装置であって、
    オーバーサンプリングされた一連のシンボルを表すために生成された一連のサンプルであって該一連のサンプルの第1および第2の位相に応じた第1および第2のサンプルストリームを有する一連のサンプルを、受信する受信部と、
    前記第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する検出部であって、該シンボルの幅と、前記一連のサンプルを生成するために用いられたオーバーサンプリング係数との間の差を示す値を有するフラグに、該検出されたパターンを関連付けることによって動的に更新されるテーブルに従って処理を行う検出部と、
    前記フラグの値を減らすように等化パラメータを調整する調整部と
    を備える受信装置。
  15. デジタル伝送リンクを通して受信されるデータを処理する機能をコンピュータシステムのプロセッサに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    オーバーサンプリングされた一連のシンボルを表すために生成された一連のサンプルを受信する機能と、
    第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する機能と、
    前記検出された第1および第2のシンボルに基づいて、チャネル応答長を評価する機能と
    を実現させるためのプログラムを記録した記録媒体。
  16. 前記チャネル応答長を評価する機能は、一つのシンボルあたりのサンプルの数を示すシンボル幅についての最小値および平均値の少なくとも一方を検知する機能を含む請求項15記載の記録媒体。
  17. 更に、前記シンボルのうちオーバーサンプリング係数値未満のサンプルを有するナローシンボルの数が閾値を超える場合、該ナローシンボルの数を減らすようにイコライザを調整する機能を実現させるためのプログラムを記録した請求項16記載の記録媒体。
  18. 前記イコライザを調整する機能は、等化パラメータを上方調整および下方調整することによって、等化が向上する傾向を判断する機能を含む請求項17記載の記録媒体。
  19. デジタル伝送リンクを通して受信されるデータを処理する機能をコンピュータシステムのプロセッサに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    オーバーサンプリングされた一連のシンボルを表すために生成された一連のサンプルあって該一連のサンプルの第1および第2の位相に応じた第1および第2のサンプルストリームを有する一連のサンプルを、受信する機能と、
    前記第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する機能と、
    第1のサンプルストリームにおける第1の同期データフィールド、および第2のサンプルストリームにおける第2の同期データフィールドを検査することによって、前記第1および第2のシンボルについての第1および第2の検出信頼性を評価する機能と
    を実現させるためのプログラムを記録した記録媒体。
  20. 前記第1および第2の同期データフィールドは、DVI復帰間隔およびHDMI復帰間隔の少なくとも一方を含む請求項19記載の記録媒体。
  21. デジタル伝送リンクを通して受信されるデータを処理する機能をコンピュータシステムのプロセッサに実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
    オーバーサンプリングされた一連のシンボルを表すために生成された一連のサンプルであって該一連のサンプルの第1および第2の位相に応じた第1および第2のサンプルストリームを有する一連のサンプルを、受信する機能と、
    前記第1および第2のサンプルストリームから第1および第2のシンボルを検出する機能であって、該シンボルの幅と、前記一連のサンプルを生成するために用いられたオーバーサンプリング係数との間の差を示す値を有するフラグに、該検出されたパターンを関連付けることによって動的に更新されるテーブルに従って処理を行う機能と、
    前記フラグの値を減らすように等化パラメータを調整する機能と
    を実現させるためのプログラムを記録した記録媒体。
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