JP2007110437A - 画像形成装置 - Google Patents

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文雄 仲谷
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Abstract

【課題】被撮像物から質感と色の双方を読み取り、これらを再現する。
【解決手段】画像形成装置1は、入射角45°で被撮像物Oに照射した光の反射光によって得られた第1の画像信号に基づいてカラートナー用の第1の画像データを生成すると共に、入射角45°よりも大きい入射角65°で被撮像物Oに照射した光の反射光によって得られた第2の画像信号及び上記第1の画像信号に基づいて発泡性トナー用の第2の画像データを生成し、これら第1の画像データ及び第2の画像データを合成して合成画像データを生成する。この合成画像データに基づきカラートナー及び発泡性トナーを用いて画像を形成するので、被撮像物Oの色と質感をより忠実に再現することが可能となる。
【選択図】図3

Description

本発明は、被撮像物から質感と色を読み取り、それらを再現するための技術に関する。
物体表面はそれぞれ「質感」を有している。例えば、研磨された金属の表面はつややかな「光沢感」を観察者に与え、織物の表面は経糸と緯糸の織りなす独特の織り感や風合い、すなわち「凹凸感」を観察者に与える。スキャナを用いて、物体をより実物らしく、リアルに表現するためには、実物の光沢や凹凸といった質感に関する情報を読み取り、これを再現することが必要となる。物体の質感のうち、特に光沢を検知する技術は従来からよく知られている(例えば特許文献1〜3参照)。
特開平6−70097号公報 特開平5−313537号公報 特開平5−333643号公報
上述のとおり、質感とは、光沢感のみを表す概念ではなく、織り感や風合いといった凹凸感をも含む概念である。上述の特許文献1〜3に記載された技術では、光沢感を読み取ることはできるものの、物体表面の凹凸に関する情報を読み取ることはできない。また、物体の見た目を忠実に再現するためには、物体の質感だけではなく、その物体の色についても正確に読み取らなければならない。
そこで、本発明の目的は、被撮像物から質感(凹凸)と色の双方を読み取り、これらを再現することが可能な技術を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明は、被撮像物に対して第1の入射角で光を照射する第1の照射手段と、被撮像物に対して前記第1の入射角よりも大きい第2の入射角で光を照射する第2の照射手段と、前記第1の照射手段又は前記第2の照射手段によって光が照射された前記被撮像物からの反射光を結像させる結像手段と、前記結像手段により結像された光を受光し、その光に応じた画像信号を生成する撮像手段と、第1の照射手段により光が照射された被撮像物からの反射光によって前記撮像手段が生成した第1の画像信号に基づいて第1の画像データを生成し、第2の照射手段により光が照射された被撮像物からの反射光によって前記撮像手段が生成した第2の画像信号に基づいて第2の画像データを生成する画像データ生成手段と、前記第1の画像データが表す像をカラートナーを用いて記録シートに形成するとともに、前記第2の画像データが表す像を発泡性トナーを用いて記録シートに形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
第1の入射角の光によって得られる第1の画像信号は主として被撮像物の色を検知するための画像信号であり、第2の入射角の光によって得られる第2の画像信号は主として被撮像物の質感を検知するための画像信号である。そして、第1の画像信号に生成された第1の画像データは主として被撮像物Oの色を表し、第2の画像信号に生成された第2の画像データは被撮像物の質感を表現している。よって、第1の画像データが表す像をカラートナーを用いて記録シートに形成するとともに、第2の画像データが表す像を発泡性トナーを用いて記録シートに形成すれば、被撮像物の色と質感を記録シート上で再現することができる。
前記画像データ生成手段が前記第2の画像信号に加えて前記第1の画像信号を用いて前記第2の画像データを生成する場合、前記第1の画像信号の信号値と第2の画像信号の信号値との差分に基づいて、前記第2の照射手段によって光が照射された前記被撮像物において影が発生している影領域を特定する手段と、前記影領域の幅と前記第2の入射角とを所定の関係式に代入して、前記被撮像物表面の凹凸のうちの凸領域の高さを求める手段と、前記第1の画像信号の信号値又は前記第2の画像信号の信号値に基づいて前記凸領域の幅を求める手段と、前記凸領域の高さ及び幅に基づいて、前記記録シートにおける発泡性トナーの分布を表す前記第2の画像データを生成する手段とを有することが望ましい。
(1)被撮像物と入射光及び反射光の関係
まず、入射光と反射光について簡単に説明しておく。図1は、被撮像物表面における光の反射状態を概念的に示した図である。一般に、入射角θで被撮像物に入射した光は反射角θで反射し、このとき反射角θは入射角θと等しくなると解される(反射の法則)。しかし実際には、入射光は反射角θのみで反射するものではなく、あらゆる角度に反射していることが多い。これは、反射面を光の波長と同程度のオーダーで捉えた場合には、反射面は必ずしも平滑ではなく、多少の凹凸を有していることが多いためである。反射面に凹凸があれば当然、入射光もその凹凸に応じて様々な角度に反射する。ここでは、反射面を巨視的に捉えたときに、反射面から入射角とほぼ同じ角度で反射する反射のことを「正反射(Specular Reflection)」といい、この反射光のことを「正反射光」という。また、入射光の入射角によらず、反射面からあらゆる角度に反射する反射のことを「拡散反射(Diffuse Reflection)」といい、この反射光のことを「拡散反射光」という。なお、一般に表面反射光に正反射成分を多く含む物体ほど、その表面はより強い光沢を示す。つまり、物体の光沢度はその表面(反射面)の微視的な表面性状に依存し、微視的に平滑であるほど光沢度も高くなる。図1においては、正反射光を表す光路に符号Lsrを付し、拡散反射光を表す光路に符号Ldrを付している。
次に、入射光と被撮像物の表面に生じる影との関係について説明する。
被撮像物の表面に凹凸がある場合、入射光の入射角が大きくなるほど、その入射光による影が発生しやすい。例えば図2に示すように、被撮像物の凸部に入射角θ11で入射した光により、領域S1に影が生じることになる。一方、その凸部に入射角θ12で入射した光により、領域S2に影が生じることになる。図示のように、領域S2は領域S1よりも大きい。
上記の原理を踏まえて、本発明の実施の形態について説明する。
(2)画像形成装置の構成
図3は、本実施形態に係る画像形成装置1の機能構成を示したブロック図である。画像形成装置1は、画像読取部10と、画像形成部20と、制御部30と、記憶部40と、画像処理部50と、操作部60と、データ入出力部70とを備えている。制御部30は図示せぬCPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備えた演算装置であり、記憶部40に記憶されたプログラムPRGを実行することによって画像形成装置1各部の動作を制御する。記憶部40は例えばHDD(Hard Disk Drive)等の大容量の記憶装置であり、上述のプログラムPRGを記憶している。
画像読取部10は、例えば紙や織物などの被撮像物を読み取って画像データを生成する。画像形成部20は、この画像データに基づいて記録用紙等の記録シートにトナー像を形成する。画像形成部20は、例えばY(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)等のカラートナーのほかに、例えば特開2005-242316等の特許文献に記載された発泡性トナーを用いてトナー像を形成する。この種の発泡性トナーは記録用紙への定着時に熱が加えられることにより発泡するので、その発泡性トナーの上に形成されているカラートナー像は記録用紙上で盛り上がることになる。本実施形態では、被撮像物表面の凹凸の状態を把握しておき、凸となる領域の画像を記録用紙に形成する際にはその領域に発泡性トナーを載せることで、記録用紙上に被撮像物と同じような凹凸、つまり質感を再現する。
画像処理部50は複数のASIC(Application Specific Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)等の画像処理回路や、画像データを一時的に記憶するイメージメモリ等を備えており、それぞれの画像処理回路によって各種の画像処理が実行される。具体的には、画像処理部50は、画像読取部10が生成した画像信号に所定の画像処理を施して画像データを生成し、画像形成部20やデータ入出力部70に画像データを出力する。操作部60は例えばタッチパネル式のディスプレイや各種のボタン等を備えており、操作者による入力指示を受け付け、その入力指示を制御部30へ供給する。データ入出力部70は外部装置とデータをやりとりするためのインターフェース装置である。
次に、図4は、画像形成装置1の装置構成を示した図である。
画像読取部10は、フルレートキャリッジ110と、ハーフレートキャリッジ120と、結像レンズ130と、ラインセンサ140と、プラテンガラス150と、プラテンカバー160とを備える。フルレートキャリッジ110は図示せぬ駆動部によって駆動され、図4中の矢印C方向に速度vで移動されながら被撮像物Oの読み取りを行う。ハーフレートキャリッジ120はミラー121および122を備え、フルレートキャリッジ110からの光を結像レンズ130へと導く。また、ハーフレートキャリッジ120は図示せぬ駆動部によって駆動され、フルレートキャリッジ110の半分の速度(すなわちv/2)でフルレートキャリッジ110と同じ方向へと移動される。
結像レンズ130は例えばfθレンズ等を備えた結像手段である。結像レンズ130はミラー122とラインセンサ140とを結ぶ光路上に設けられており、被撮像物Oからの光をラインセンサ140の位置で結像させる。結像レンズ130は単一のレンズにより構成されるものに限定されず、種々の部材を含み得る。本実施形態においては、反射光の光路上に存在するミラーやレンズ等を総称して「結像手段」という。
ラインセンサ140は結像された光を受光し、その光に応じた画像信号を生成して出力する撮像手段であり、例えばオンチップカラーフィルタを備えた複数ラインのCCDイメージセンサ(撮像素子列)である。本実施形態においては、B(ブルー),BG(ブルーグリーン),G(グリーン),R(レッド)の4色にて撮像可能なイメージセンサが用いられる。ラインセンサ140は、これら4色の画像信号を各色8ビットで出力する。
プラテンガラス150は透明で平坦なガラス板であり、読み取るべき被撮像物Oが載置される。プラテンガラス150の両面には、例えば多層誘電体膜等の反射抑制層が形成されており、プラテンガラス150表面での反射が低減されるようになっている。プラテンカバー160はプラテンガラス150を覆うようにして設けられており、外光を遮断してプラテンガラス150上に載置された被撮像物Oの読み取りを容易にする。
以上の構成のもと、画像読取部10においては、プラテンガラス150上に載置された被撮像物Oにフルレートキャリッジ110が光を照射し、この被撮像物Oからの反射光がミラー121,122経由でラインセンサ140に読み取られる。ラインセンサ140は読み取った反射光に基づき、B(ブルー),BG(ブルーグリーン),G(グリーン),R(レッド)の4色の画像信号を後述する画像処理部50に供給する。画像処理部50は画像信号に基づいて画像データを生成し、画像形成部20に供給する。
次に、上述したフルレートキャリッジ110の構成について説明する。
図5は、フルレートキャリッジ110の構成を詳細に示した図である。図5に示すように、フルレートキャリッジ110は、第1光源111と、第2光源112と、ミラー113とを備える。第1光源111および第2光源112は、例えばタングステンハロゲンランプやキセノンアークランプである。第1光源111は被撮像物Oに対してθ11=45°の入射角で光を照射する位置に設けられている。これに対し、第2光源112は被撮像物Oに対してθ12=約65°の入射角で光を照射する位置に設けられている。
ミラー113は、第1光源111又は第2光源112によって光が照射された被撮像物Oからの反射光を反射し、この光をハーフレートキャリッジ120へと導く。このミラー113は、被撮像物Oからの反射角が約0°となる反射光が入射されるような位置に設けられている。反射角が約0°であるから、被撮像物Oからミラー113への反射する反射光には正反射光は含まれず、拡散反射光のみとなっている。そのため、ミラー113によって反射された光からは、被撮像物Oからの反射光の拡散反射成分を読み取ることができる。
(3)画像データの生成方法
次に、画像読取部10による画像データの生成について説明する。
前述したように、フルレートキャリッジ110は光を照射して被撮像物Oを読み取るが、以下では、この動作のことを「スキャン動作」と呼ぶ。特に入射角45°で被撮像物Oに光を照射して行うスキャン動作を、「入射角45°でのスキャン動作」と呼び、入射角65°で被撮像物Oに光を照射して行うスキャン動作を、「入射角65°でのスキャン動作」と呼ぶ。
画像読取部10は、入射角45°でのスキャン動作と、入射角65°でのスキャン動作という2回のスキャン動作を実行し、それぞれのスキャン動作で得た画像信号を合成して画像データを生成する。このようにして得られた画像データは、被撮像物Oの色と質感を表現したものである。以下、被撮像物Oとして「織物」を例に挙げて、その理由を説明する。
まず、図6は、被撮像物O(織物)に対して、入射角45°でのスキャン動作によって得られた撮像画像P45を示している。この撮像画像P45はカラーによって表現されており、被撮像物Oの色(模様)を明瞭に表している。つまり、被撮像物Oの色や模様を読み取るには入射角45°が適していると言える。
次に、図7は、上記被撮像物Oに対して、入射角65°でのスキャン動作によって得られた撮像画像P65を示している。ここで、撮像画像P45を無彩色からなるモノクロ画像で表現している。この撮像画像P65と図6に示した撮像画像P45とを比較すると分かるように、撮像画像P65には、被撮像物Oの表面に白色領域と黒色領域が存在している。黒色領域部分は、被撮像物Oの表面に凹凸が存在するために、第2光源112から被撮像物Oに対して照射された光によって生じた影である。これとは逆に、白色領域部分は、被撮像物O表面の凹凸の凸の部分のうち、第2光源112からの光が特に強く反射している部分である。
つまり、図7では、図2を用いて説明したように第2光源112の入射角θ12=約65°が第1光源111の入射角θ11=45°よりも大きいために、被撮像物O表面の凹凸がより鮮鋭に現れている。よって、被撮像物Oの凹凸(つまり質感)を読み取るには入射角をより大きくしてスキャン動作を行う方が適していると言える。ただし、入射角を90°にしてしまうと、影の部分が非常に大きくなってしまい、被撮像物Oの色が失われる結果になる。また、画像形成装置1の内部スペースとの兼ね合いも考慮すると、あまりにも大きい入射角を確保することは困難である。これらの観点から、質感を読み取る際の入射角は60°ないし70°が適切である。
そして、図8は、図6の撮像画像P45と図7の撮像画像P65とを合成した合成画像Pを示す図である。前述の通り、撮像画像P45は被撮像物Oの色を明瞭に表しており、撮像画像P65は、被撮像物Oの質感を表しているので、これらを合成した画像Pは、被撮像物Oの色と質感の双方を表していると言える。なお、図6〜図8のカラー画像を別途提出する。
図9は、図8の合成画像を模式的に示した図であり、図10は第2光源112によって光が照射されている被撮像物Oの断面図である。図9において、斜線で表した影領域sの右隣方向(第2光源112がある方向)には領域hが存在する。この領域hは、図10に示すように、被撮像物Oの表面にある凹凸のうちの凸の部分であると推測することができる。よって、以下ではこの領域を凸領域hと呼ぶことにする。次に、この凸領域hの高さと幅を特定する方法を説明する。
まず凸領域hの高さは以下のようにして求める。
図10から、被撮像物Oにおける凸領域hの高さHと、影領域sの幅swと、第2光源112の入射角θとの関係は、H=sw/tanθというような関係式で表すことができる。図6の画像と図7の画像との差分である黒色領域が影領域sであるから、この差分から得られた黒色領域の幅を求めれば、それが影領域sの幅swとなる。そして、得られた幅swと、第2光源112の入射角θとを上記の関係式に代入すれば、被撮像物Oにおける凸領域hの高さHを求めることができる。
次に、凸領域hの幅は以下のようにして求める。
まず、図6の画像と図7の画像との差分をとると影領域sを抽出することができるから、その影領域sと、凸領域との境界ライン(図10におけるラインL1)を特定するのは容易である。そして、図6の画像又は図7の画像において、境界ラインL1から第2光源112の方向に存在するラインL2を探索する。このラインL2は、被撮像物Oの模様や色の変わり目であることが多いから、周知の画像認識処理によってラインL2を特定することができる。境界ラインL1及びラインL2を特定することができれば、これらのライン間の距離を凸領域の幅hwとすればよい。
以上のようにして、被撮像物Oの凸領域hの高さHと幅hwとを求めることができれば、その凸領域hの画像を記録用紙に形成する際に、求めた凸領域hに高さHに応じた量の発泡性トナーを記録用紙に載せる。これにより、記録用紙上に被撮像物Oと同じような凹凸の状態つまり質感が再現される。
次に、画像データの生成方法について具体的に説明する。
まず、画像読取部10は、入射角45°でのスキャン動作を実行する。より具体的には、第1光源111が被撮像物Oに光を照射する。このとき第2光源112は消灯している。この状態でフルレートキャリッジ110が図4の矢印C方向に移動すると、被撮像物Oの全面に渡って第1光源111からの光が照射され、その反射光がラインセンサ140に読み取られる。これによって、画像処理部50は、ラインセンサ140から拡散反射光に基づく画像信号(第1の画像信号)を得る。この第1の画像信号の信号値は画像処理部50のイメージメモリに格納される。
次に、画像読取部10は、入射角65°でのスキャン動作を実行する。より具体的には、第2光源112が被撮像物Oに光を照射する。このとき第1光源111は消灯している。この状態でフルレートキャリッジ110が図4の矢印C方向に移動すると、被撮像物Oの全面に渡って第2光源112からの光が照射され、その反射光がラインセンサ140に読み取られる。これによって、画像処理部50は、ラインセンサ140から拡散反射光に基づく画像信号(第2の画像信号)を得る。この第2の画像信号の信号値は画像処理部50のイメージメモリに格納される。
次に、画像処理部50は、イメージメモリから第2の画像信号の信号値を読み出し、この信号値に係数C(0<C≦1)を掛け合わせる。この係数Cの値は、画像処理部50によって予め記憶されている。この係数Cは第2の画像信号が表す「質感」に対する重み付けとして機能するから、画像処理部50は係数Cの値を調整することで、被撮像物Oの色に対する質感のバランスを調節することができる。
次に、画像処理部50はイメージメモリから第1の画像信号の信号値を読み出し、この第1の画像信号の信号値と、上記の第2の画像信号の信号値及び係数の積との差分をとり、影領域sを抽出する。そして、画像処理部50は、影領域sの幅swと、第2光源112の入射角θとを、上述した関係式に代入して凸領域hの高さHを求める。次に、画像処理部50は、その影領域s及び凸領域hの境界ラインL1とラインL2とを特定し、そのライン間の距離を凸領域hの幅hwとする。そして、画像処理部50は、特定した凸領域hの高さH及び幅swに基づいて、その凸領域hにおける発泡性トナーの分布(量)を計算する。
次に、画像処理部50は、イメージメモリに格納した第1の画像信号の信号値に基づいて、記録用紙上の各色のカラートナーの分布を表す第1の画像データを生成するとともに、上記計算によって得られた発泡性トナーの分布に基づいて、記録用紙上の発泡性トナーの分布を表す第2の画像データを生成する。そして、画像処理部50は、このようにして得た第1の画像データ及び第2の画像データを合成して、最終的に画像形成部20に供給すべき合成画像データを生成する。この合成画像データが画像形成部に供給され、第1の画像データに基づいたカラートナー像と、第2の画像データに基づいた発泡性トナー像とが記録用紙上に形成されることになる。
なお、上述した入射角45°でのスキャン動作と入射角65°でのスキャン動作とは、どちらを先に実行してもよい。
上述したような手順で、画像処理部50が合成画像データを生成すると、画像形成部20はその合成画像データに基づいて記録用紙に画像を形成する。ここで、再び図4を参照しながら、画像形成部20の構成を説明する。図4に示すように、画像形成部20は、それぞれ発泡性トナー、Y(イエロー)トナー、M(マゼンダ)トナー、C(シアン)トナー、K(ブラック)トナーに対応した画像形成ユニット210x、210a,210b,210c,210dと、中間転写ベルト220と、一次転写ロール230x、230a,230b,230c,230dと、二次転写ロール240と、バックアップロール250と、給紙機構260と、定着機構270とを備えている。中間転写ベルト220は、図示せぬ駆動手段によって図中の矢印B方向に移動される無端のベルト部材である。一次転写ロール230x、230a,230b,230c,230dは、中間転写ベルト220を介して、画像形成ユニット210x、210a,210b,210c,210dの感光体ドラムの側に付勢されている。これら感光体ドラムには第2の画像データに基づく発泡性トナーのトナー像と、第1の画像データに基づくYトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーのトナー像がそれぞれ形成され、そのトナー像は中間転写ベルト220に重ね合わされた状態で転写される。各トナーのうち発泡性トナーが中間転写ベルト220に最後に転写されるから、この一次転写の時点では、中間転写ベルト220上で発泡性トナーがYトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーよりも上にある。

給紙機構260は種々の記録用紙Pを収容した用紙トレイ261aおよび261bを備え、画像形成時にこの記録用紙Pを供給する。二次転写ロール240およびバックアップロール250は、中間転写ベルト220が記録用紙Pと対向する位置において相互に付勢されており、中間転写ベルト220から記録用紙Pにトナー像を転写させる。上述した一次転写の時点では発泡性トナーがYトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーの上にあったから、この二次転写の時点では、記録用紙上で発泡性トナーがYトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーよりも下にある。定着機構270は記録用紙Pを加熱および加圧するためのロール部材を備えており、記録用紙P表面に転写されたトナー像を熱と圧力とで定着させる。このときの熱により発泡性トナーが発泡・膨張することで、Yトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーによって形成されているカラートナー像を下から持ち上げて凸状態となる。このようにして、画像形成部20は画像処理部50によって供給される画像データに基づいて凹凸のあるトナー像を記録用紙に形成する。
以上述べた実施形態によれば、画像形成装置1は、入射角45°で被撮像物Oに照射した光の反射光によって得られた第1の画像信号に基づいてカラートナー用の第1の画像データを生成すると共に、入射角45°よりも大きい入射角65°で被撮像物Oに照射した光の反射光によって得られた第2の画像信号及び上記第1の画像信号に基づいて発泡性トナー用の第2の画像データを生成し、これら第1の画像データ及び第2の画像データを合成して合成画像データを生成する。入射角45°の光によって得られる第1の画像信号は主として被撮像物Oの色を検知するための画像信号であり、入射角65°の光によって得られる第2の画像信号は主として被撮像物Oの質感(凹凸)を検知するための画像信号である。よって、これら第1の画像信号及び第2の画像信号に基づいて得られた合成画像データは、被撮像物Oの色と、被撮像物Oの質感とを表現した画像データとなる。そして、この合成画像データに基づきカラートナー及び発泡性トナーを用いて画像を形成するので、被撮像物Oの色と質感をより忠実に再現することが可能となる。
(4)変形例
上記の実施形態は次のような変形が可能である。
(4−1)変形例1
実施形態では、画像処理部50は第2の画像信号の信号値に加えて第1の画像信号の信号値を用いて第2の画像データを生成していた。しかし、第2の画像信号の信号値だけに基づいて影領域sを特定して凸領域hの高さHと幅hwを求めることができれば、第2の画像データを生成するのに第1の画像信号は不要である。
また、実施形態では、画像処理部50は、イメージメモリから第2の画像信号の信号値を読み出し、これをモノクロ画像(無彩色)を表す信号値に変換し、さらに、その信号値に係数C(0<C≦1)を掛け合わせていたが、この係数Cを用いなくてもよい。
また、係数Cの値としては、例えばC=0.5というように適当な値を予め決めておいてもよいが、操作者がその都度適切な値を決定するようにしてもよい。例えば、記録用紙に画像を形成する前に、画像処理部50は、係数Cの値を例えば0.1〜1まで0.1刻みで設定し、それぞれの係数Cを用いて生成した画像データに基づいた複数の画像を操作部60のディスプレイや、画像形成装置1にネットワーク接続されたパーソナルコンピュータに一覧表示する。係数Cが1に近づくほど影が強調されるから、操作者はこれらの複数の画像の中から、自身の目で観察した被撮像物Oに最も近い質感と色をバランスよく再現していると思われる画像を指でタッチする。画像処理部50は、このようにして操作者によって指定された画像を表す画像データを画像形成部20に供給し、画像形成部20はこの画像データに基づいて記録用紙に画像を形成する。
(4−2)変形例2
フルレートキャリッジを次のような構成としてもよい。
図11は、変形例のフルレートキャリッジ110aの構成を示す図である。このフルレートキャリッジ110aは、第2光源112を実線の位置(入射角θ12)と一点鎖線の位置(入射角θ13)と間で移動させることで、被撮像物Oへの入射角を変化させる入射角可変手段を備えている。具体的には、モータの駆動軸に各種歯車を組み合わせ、制御部30が、モータの駆動を制御することで、第2光源112を実線の位置と一点鎖線の位置と間の任意に位置へと移動させる。操作者は、形成された画像を参照し、被撮像物の質感をより強調したい時には第2光源112の入射角を大きくし、被撮像物の色を重視したい時には第2光源112の入射角を小さくするという操作が可能となる。
また、フルレートキャリッジにおいては、光源の位置は上述した実施形態に限定されず、第1光源111の入射角は、表面が一様な被撮像物を良好に読み取ることができる角度であればよく、おおよそ45°であることが望ましいが、45°から1〜2°だけずれていてもよい。
(4−3)変形例3
上述の実施形態においては、ラインセンサ140はオンチップカラーフィルタを備えた複数ラインのCCDイメージセンサであると説明したが、本発明はもちろん、このような構成に限定されない。例えば、撮像手段が1ラインのイメージセンサであって、スライド式または回転式のカラーフィルタを備える構成であってもよい。このような構成とすれば、ラインセンサをより安価に構成することができるが、読み取る色数を増加させると、そのぶん読み取り動作を行う回数も増加する欠点を有する。また、ラインセンサが読み取る色数についても4色に限定されず、5色以上であってもよい。色数が多いほど分光反射率を精度良く推定することが可能となるが、生成される画像信号のデータ量や画像処理時間を考慮すれば、4〜6色程度が適当である。
(4−4)変形例4
上述の実施形態においては、5つの画像形成ユニットを備えたタンデム方式の画像形成部を例に挙げて説明したが、ロータリー方式の画像形成部であってもよい。また、中間転写ベルトに代えて用紙搬送ベルトを備え、中間転写体(中間転写ベルト)への転写を行わずに感光体ドラムから記録用紙に直接転写を行ってもよい。
被撮像物からの光の反射状態を概念的に示した図である。 被撮像物に対する入射光と影の関係を示した図である。 本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を機能的に示したブロック図である。 同画像形成装置の装置構成を示した図である。 同実施形態に係る画像形成装置のフルレートキャリッジの構成を示した図である。 被撮像物(織物)に対して、入射角45°でのスキャン動作によって得られた撮像画像P45を示す図である。 上記被撮像物に対して、入射角65°でのスキャン動作によって得られた撮像画像P65を示す図である。 入射角45°でのスキャン動作によって得られた撮像画像P45と、入射角65°でのスキャン動作によって得られた撮像画像P65とを合成した合成画像を示す図である。 図8の合成画像を模式的に示した図であある。 第2光源によって光が照射されている被撮像物の断面図である。 フルレートキャリッジの変形例を示した図である。
符号の説明
1…画像形成装置、10…画像読取部、110…フルレートキャリッジ、120…ハーフレートキャリッジ、130…結像レンズ、140…ラインセンサ、150…プラテンガラス、160…プラテンカバー、20…画像形成部、260…給紙機構、270…定着機構、30…制御部、40…記憶部、50…画像処理部、60…操作部、70…データ入出力部、s…影領域、sw…影領域の幅、h…凸領域、H…凸領域の高さ、hw…凸領域の幅。

Claims (5)

  1. 被撮像物に対して第1の入射角で光を照射する第1の照射手段と、
    被撮像物に対して前記第1の入射角よりも大きい第2の入射角で光を照射する第2の照射手段と、
    前記第1の照射手段又は前記第2の照射手段によって光が照射された前記被撮像物からの反射光を結像させる結像手段と、
    前記結像手段により結像された光を受光し、その光に応じた画像信号を生成する撮像手段と、
    第1の照射手段により光が照射された被撮像物からの反射光によって前記撮像手段が生成した第1の画像信号に基づいて第1の画像データを生成し、第2の照射手段により光が照射された被撮像物からの反射光によって前記撮像手段が生成した第2の画像信号に基づいて第2の画像データを生成する画像データ生成手段と、
    前記第1の画像データが表す像をカラートナーを用いて記録シートに形成するとともに、前記第2の画像データが表す像を発泡性トナーを用いて記録シートに形成する画像形成手段と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記画像データ生成手段は、
    前記第2の画像信号に加えて前記第1の画像信号を用いて前記第2の画像データを生成するものであり、
    前記第1の画像信号の信号値と第2の画像信号の信号値との差分に基づいて、前記第2の照射手段によって光が照射された前記被撮像物において影が発生している影領域を特定する手段と、
    前記影領域の幅と前記第2の入射角とを所定の関係式に代入して、前記被撮像物表面の凹凸のうちの凸領域の高さを求める手段と、
    前記第1の画像信号の信号値又は前記第2の画像信号の信号値に基づいて前記凸領域の幅を求める手段と、
    前記凸領域の高さ及び幅に基づいて、前記記録シートにおける発泡性トナーの分布を表す前記第2の画像データを生成する手段と
    を有することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記画像データ生成手段は、前記第2の画像信号の信号値に決められた係数を乗じて前記第2の画像データを生成することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  4. 前記係数は0よりも大きく1以下の値であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  5. 前記第1の入射角が略45°であり、前記第2の入射角が略60°ないし70°であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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