JP2007107432A - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、スプロケット部に加わる荷重を要因とした可変動弁機構の気筒間のばらつきの抑制が図れる内燃機関の動弁装置を提供する。
【解決手段】本発明の動弁装置は、カムシャフト12を回転自在に保持する、ジャーナル部20とジャーナル孔部21とで形成される複数の保持部13のうち、スプロケット部22と隣接する地点のジャーナル部20およびジャーナル孔部21の径寸法Φ1、D1を、他の地点に有るジャーナル部20およびジャーナル孔部21よりも小さくした。これにより、スプロケット部22と隣接する地点のジャーナル部20とジャーナル部21間のクリアランスC1の熱膨張を小さく抑えて、カム位置が安定化されるようにした。
【選択図】 図5
【解決手段】本発明の動弁装置は、カムシャフト12を回転自在に保持する、ジャーナル部20とジャーナル孔部21とで形成される複数の保持部13のうち、スプロケット部22と隣接する地点のジャーナル部20およびジャーナル孔部21の径寸法Φ1、D1を、他の地点に有るジャーナル部20およびジャーナル孔部21よりも小さくした。これにより、スプロケット部22と隣接する地点のジャーナル部20とジャーナル部21間のクリアランスC1の熱膨張を小さく抑えて、カム位置が安定化されるようにした。
【選択図】 図5
Description
本発明は、吸気バルブあるいは排気バルブの特性を制御する内燃機関の動弁装置に関する。
自動車に搭載されるレシプロ式エンジン(内燃機関)の動弁装置では、エンジンの排出ガス対策やポンピングロスの改善による燃費低減を図るために、吸気バルブ(あるいは排気バルブ)の特性を制御する可変動弁機構を組み込むことが行なわれる。
このような動弁装置には、従来、特許文献1に開示されているようにカムシャフトに、気筒毎に、吸気バルブの特性、例えば吸気バルブの開閉タイミングや開弁期間やバルブリフト量を連続的に変化させる可変動弁機構を組み込む構造が用いられる。
特開2002−303108号公報
通常、カムシャフトの駆動は、カムシャフトの各部を保持部(シャフト側のジャーナル部と該ジャーナル部を受けるジャーナル孔部との組み合わせからなる)でシリンダヘッドに回転自在に保持しておき、このカムシャフトのシャフト部分にシャフト駆動用のスプロケット部を設け、このスプロケット部に、タイミングベルトやタイミングチェーンなど無端状の部材(入力部材)を掛け渡して、エンジンのクランク出力をカムシャフトへ伝える構造が用いられる(タイミング機構)。
ところで、保持部の一部は、スプロケット部から加わる荷重の影響を受けることが知られている。具体的には、スプロケット部と隣接した地点の保持部のジャーナル部は、該スプロケット部から加わる荷重によりたわみやすい。このため、スプロケット部と隣接した地点の保持部のジャーナル部とジャーナル孔部間のクリアランスは、他の保持部のクリアランスとは異なりやすい。
一方、可変動弁機構は、カムシャフトのカム変位を受けて吸気バルブの特性を制御する精密機器なので、カムシャフトのカム位置(軸心)が変化するだけでも、バルブ特性に影響を与える。また、バルブリフト量を小さくできる可変動弁機構においては、バルブリフト量を小さく設定したり、バルブの開いている期間を短くしたりすることによりエンジンに吸入する空気量を制御する場合に、吸入空気量が気筒間でばらつくと空燃比がばらつき、燃焼状態に違いが現れ、排気ガスや振動等の悪化の影響を受けやすくなる。
ところで、カムシャフトのジャーナル部は、バルブリフト時に加わる荷重により、クリアランス内を移動することは知られている。
ところが、ジャーナル部とジャーナル孔部間のクリアランスは、一般にジャーナル部の有るカムシャフトが、鋳鉄、鋳鋼など鉄系の材料で形成され、ジャーナル孔部の有る部分や部品が、アルミ部材やアルミ合金部材など、カムシャフトより熱膨張係数が大きい材料で形成されるために、温度上昇に伴い、熱膨張によりクリアランスが変化しやすい。
このため、膨張によりクリアランスが変化し、カムシャフトの軸方向の傾きが助長されると、上記クリアランス内の移動が、他の保持部(スプロケット部から荷重が加わらないもの)のときとは異なってくる。このジャーナル部の移動の違いは、カム位置の差異として表れる。結果、スプロケット部に加わる荷重により、可変動弁機構の可変動弁制御を変化させ、気筒間でばらつきを生じさせてしまう。
そこで、本発明の目的は、スプロケット部に加わる荷重を要因とした可変動弁機構の気筒間のばらつきの抑制が図れる内燃機関の動弁装置を提供する。
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、カムシャフトを回転自在に保持する、ジャーナル部とジャーナル孔部とで形成される複数の保持部のうち、スプロケットと隣接する地点のジャーナル部およびジャーナル孔部の径寸法を、他の地点に有るジャーナル部およびジャーナル孔部よりも小さくした。
このジャーナル部の細径やジャーナル孔部の縮小により、スプロケット部と隣接する地点のジャーナル部とジャーナル部間のクリアランスの熱膨張は小さく抑えられ、クリアランスの変化が抑えられる。これにより、スプロケット部に荷重が加わることによるカムシャフトの傾きやジャーナルのたわみが抑えられ、カム位置の安定化から、可変動弁制御がばらつきなく行なわれる。
特に、このクリアランス変化の抑制は、ジャーナル孔部の有る部分や部品を形成する材料が、ジャーナル部を形成する材料より、熱膨張係数の大きい場合に有効である。
請求項2に記載の発明は、上記目的に加え、一層、カムシャフトの傾きやジャーナル部のたわみが抑えられるよう、スプロケット部と隣接する地点のジャーナル部およびジャーナル孔部の軸方向長さを、他の地点に配置されたジャーナル部およびジャーナル孔部より長くした。
請求項3に記載の発明は、同じく、スプロケット部と隣接する地点のジャーナル部およびジャーナル孔部間のジャーナルクリアランスを、他の地点のジャーナル部およびジャーナル孔部間より小さくした。
請求項4に記載の発明は、可変動弁機構は、内燃機関に揺動自在に設けられ吸気バルブ又は排気バルブを駆動する揺動カムと、カムを受けて該カムの変位を変更可能に前記揺動カムに伝達する伝達部材とを備えた吸気バルブ又は排気バルブの少なくともリフト量を制御する可変動弁機構を備える構成を採用した。
請求項1に記載の発明によれば、ジャーナル部の細径やジャーナル孔部の縮小により、スプロケット部と隣接する地点のジャーナル部とジャーナル部間のクリアランスの熱膨張を小さくすることができ、スプロケット部に加わる荷重がもたらすカムシャフトの傾きやジャーナル部のたわみを抑制することができる。
したがって、スプロケット部に加わる荷重を要因としたカム位置の変化を抑えることができ、スプロケット部に加わる荷重を要因とした可変動弁機構の気筒間のばらつきを抑制することができる。この結果、エンジンの性能を安定化させて高めることができる。
請求項2および請求項3に記載の発明によれば、さらに効果的にカムシャフトの傾きやジャーナル部のたわみを抑えることができ、一層、可変動弁機構の気筒間のばらつきの抑制を図ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、カムシャフトのカム位置の変化が抑えられることにより、吸気バルブ又は排気バルブの可変動弁機構の気筒間のばらつきを抑制することができ、エンジン性能を安定させて高めることができる。
[第1の実施形態]
以下、本発明を図1〜図10に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
以下、本発明を図1〜図10に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
図1は、多気筒の内燃機関、例えば直列4気筒のレシプロ式ガソリンエンジンのシリンダヘッド1の一部平面図(2気筒分しか図示せず)、図2は図1中のII〜II線に沿う断面図を示し、図3は図1中のIII〜III線に沿う断面図を示し、図4は可変動弁機構45の分解図、図5は図1中のIV〜IV線に沿う断面図(3気筒分しか図示せず)を示し、図7〜図9は可変動弁機構45の運転状態をそれぞれ示している。
図1ないし図5を参照してシリンダヘッド1について説明すると、シリンダヘッド1の下面には、シリンダブロック2に形成された4つの並行な気筒3(図2のみ二点鎖線で、1気筒分のみ図示)にならって、それぞれ燃焼室4(図2のみ図示)が形成されている。燃焼室4には、それぞれ例えば2個ずつ(一対)、吸気ポート5および排気ポート6(図2だけに図示せず)が形成されている。シリンダヘッド1の上部には、吸気ポート5を開閉する吸気バルブ7、排気ポート6を開閉する排気バルブ8がそれぞれ組み付けられている。吸気バルブ7、排気バルブ8には、いずれもバルブスプリング9で閉方向に付勢される常閉式の往復バルブが用いてある。なお、気筒3内にはピストン10が往復動可能に収めてある(図2のみ二点鎖線で図示)。
図1ないし図4中11は、シリンダヘッド1の上部に搭載された例えばSOHC式の動弁系(一本のカムシャフト12で吸気バルブ7、排気バルブ8を駆動するもの:本願の動弁装置に相当)を示している。動弁系11について説明すると、12は、燃焼室2の頭上にシリンダヘッド1の長手方向に沿って回転自在に配置されたカムシャフト、14はこのカムシャフト12を挟んだ吸気ポート5側(片側)に回動可能に配置された吸気側のロッカシャフト(制御シャフトを兼ねる)、15はその反対側の排気ポート6側に配置された排気側のロッカシャフト、16はロッカシャフト14とロッカシャフト15間の上側の地点(ロッカシャフト15寄り)に配設された支持シャフトを示す。ロッカシャフト14,15および支持シャフト16は、いずれもカムシャフト12と平行(並行)に配置されている。
カムシャフト12は、エンジンのクランクシャフト(図示しない)からの出力により、図2中の矢印方向に沿って回転駆動される部品である。このカムシャフト12には、図1、図4および図5に示されるように燃焼室4毎(気筒3毎)に、吸気用カム15(1つ:本願の吸気バルブ駆動用カムに相当)と排気用カム18(2つ:本願の排気バルブ駆動用カムに相当)が形成されている。吸気用カム17は燃焼室4の頭上中央に配置され、排気用カム18,18はその吸気用カム17の両側にそれぞれ隣接して配置されている。このカムシャフト12の気筒間に配置される各シャフト部分が、例えば図2〜図6に示されるようにシリンダヘッド1の上面1aから一体に突き出た壁状のカムシャフト保持部19に、例えばカムインヘッド構造により、それぞれ回転可能に保持されている。同保持構造は、例えば図5に示されるようにカムシャフト12の各端部と、カムシャフト12の中間部、例えば1つの吸気用カム17とその両側の2つの排気用カム18とがなすカム群の間のシャフト部分(気筒間)に、吸気用カム17や排気用カム18より大きな外径の円板形のジャーナル部20を形成し、各カムシャフト保持部19に、ジャーナル部20を回動自在に収める円形のジャーナル孔部21をそれぞれ形成して、カムシャフト12一方の端からジャーナル孔部21へ差込むという作業で、カムシャフト12をシリンダヘッド1に回転自在に保持するものである。なお、この回転自在な保持は、一般的なジャーナル部20を例えば鋳鉄や鋳鋼など鉄系部材で形成し、カムシャフト保持部19をそれとは異なる例えばアルミ部材やアルミ合金部材などジャーナル部21より熱膨張係数が大きな部材で形成して、ジャーナル部20とジャーナル孔部21間に、軸受け用のクリアランスを確保する構造が用いてある。なお、図示はしないがジャーナル部20とジャーナル孔部21間は潤滑油で潤滑されるものである。そして、最後(挿入方向)のカムシャフト保持部19から突き出たカムシャフト端には、カムスプロケット22(本願のシャフト駆動用のスプロケット部に相当)が例えばボルト部材23で組付けてある。このカムスプロケット22には、例えば図1および図5中の二点鎖線に示されるようにタイミングベルトやタイミングチェーンなど無端状のタイミング部材22a(本願の入力部材に相当)を介して、例えばエンジンのクランクシャフト(図示しない)が接続してあり、カムシャフト12が、クランク出力により駆動される構造としてある(タイミング機構)。
これらジャーナル部20およびジャーナル孔部21で形成される保持部13a〜13cのうち、図4および図5に示されるようにカムスプロケット22に隣接して配置された保持部13aのジャーナル部20の径寸法Φ1およびジャーナル孔部21の径寸法D1は、他の地点に配置された保持部13b,13cのジャーナル部20の径寸法Φ2およびジャーナル孔部21の径寸法D2よりも小さい寸法値に設定してある(Φ1<Φ2、D1<D2)。このジャーナル部20の細径化やジャーナル孔部21の縮小化により、同ジャーナル部20とジャーナル孔部21の熱膨張変化が小さくてすむ構造にしている(熱膨張は、ジャーナル部20やジャーナル部21の大きさで変わるため)。これで、カムスプロケット部22に加わる荷重がもたらすカムシャフトの軸方向の傾きやジャーナル部20のたわみが抑制されるようにしている。またこの傾きやたわみの発生が、一層、抑えられるよう、特に図5に示されるように保持部13aのジャーナル部20とジャーナル孔部21間に形成されるクリアランスC1だけ、他の保持部13b,13cのクリアランスC2よりも小さく設定してある(C1<C2)。さらに同じ理由で、特に保持部13aのジャーナル部20の軸方向長さやジャーナル孔部21の軸方向長さA1(一方だけ図示)だけ、他の保持部13b,13cのジャーナル部20およびジャーナル孔部21の軸方向長さA2(一方だけ図示)よりも長く設定してある。
吸気側のロッカシャフト14、排気側ロッカシャフト15および支持シャフト16は、図1および図4に示されるように例えば2種類の保持部材24,25によって、カムシャフト保持部19の上部に支持させてある。保持部材24は、例えばシャフト端の保持に適した部品であり、保持部材25は、例えばシャフトの中間の保持に適した部品である。このうち保持部材24は、図4に示されるように下側に並列に配置したキャップ部26,27をもち、上側に柱状の受け部28をもつ部品が用いられる。キャップ部26,27には、ロッカシャフト14,15の端がそれぞれ回動可能に嵌まる。受け部28には、支持シャフト16の端がボルト部材30で固定される。そして、保持部材24は、カムシャフト端に配置されるカムシャフト保持部19の上部に、複数本のボルト部材32a,32bを用いて固定させてある。
保持部材25は、図4に示されるように下側に並列に配置した筒形の嵌挿部34,35をもち、上側に柱状の受け部36をもち、さらに下側にシリンダヘッド1の排気ポート6側へ延びる延出部37をもつ部品が用いられる。嵌挿部34,35内には、ロッカシャフト14,15の中間のシャフト部分が回動可能に挿通される。受け部26には、支持シャフト16の中間のシャフト部分がボルト部材39で固定される。そして、保持部材25は、カムシャフト12の中間の各部を支えるカムシャフト保持部19の上部に、ボルト部材40を用いて固定させてある。なお、延出部37は、図1に示されるように固定スペースの確保が難しいロッカシャフト14の周辺を避けて、シリンダヘッド1の側縁部の近くの上面部分に、ボルト部材41で固定させてある。
排気側のロッカシャフト15には、図1、図3および図4に示されるように排気用カム18毎(排気バルブ8毎)、排気バルブ用のロッカアーム43がそれぞれ回動自在に支持されている。吸気側のロッカシャフト14には、吸気用カム17毎(一対の吸気バルブ7毎)、可変動弁機構45が組み込まれている。
これらのうちロッカアーム43は、いずれも図3および図4に示されるように一端部にカム接触子、例えばローラ部材47をもち、他端部に排気バルブ8の駆動をなす部分、例えばアジャスタスクリュ部48をもつ。ロッカアーム43のローラ部材47は、排気用カム18に転接し、アジャスタスクリュ部48は、それぞれ排気バルブ8,8の上部端(バルブステム端)に向き合わせてある。これにより、排気用カム18が回転すると、ロッカアーム43がロッカシャフト15を支点に揺動して、排気バルブ8,8が駆動されるようにしてある。
可変動弁機構45は、図2および図4に示されるようにロッカシャフト14に揺動自在に支持された吸気バルブ用のロッカアーム50と、同ロッカアーム50と組み合うスイングカム60(揺動カム)と、吸気用カム17の変位を受けて同カム17の変位をスイングカム60へ伝達するセンタロッカアーム70(伝達アーム)と、同センタロッカアーム70を吸気用カム17に対して当接位置が可変できるように支持する支持機構80とを有して構成される。
このうちロッカアーム50には、例えば図1および図4に示されるような二股形状の構造が用いられている。具体的にはロッカアーム50は、中央に筒状のロッカシャフト支持用ボス51が形成され、一端側に吸気バルブ7の駆動をなす部分、例えばアジャストスクリュ部52が組み付けられた一対の並行なロッカアーム片53と、これらロッカアーム片53の他端部間に挟み込まれた回転自在なローラ部材54(カム接触子を形成するもの)とを有して構成してある。なお、55は、ローラ部材54をロッカアーム片53間で回転自在に枢支させるための短シャフトを示す。そして、ロッカシャフト支持用ボス51,51はロッカシャフト14に揺動自在にそれぞれ嵌挿され、ローラ部材54を支持シャフト16側(シリンダヘッド1の中央側)に配置させている。残るアジャストスクリュ部52は、それぞれ吸気バルブ7,7の上部端(バルブステム端)に配置させてある。つまり、ロッカアーム50は、ロッカシャフト14を支点に揺動すると、吸気バルブ7,7が駆動されるようになっている。
スイングカム60は、図2および図4に示されるように支持シャフト16に回動自在に嵌挿された筒状のボス部61と、同ボス部61からローラ部材57(ロッカアーム50)へ向って延びるアーム部62と、同アーム部62の下部に形成した受け部63とを有して形成される。このうちアーム部62の先端面には、ロッカアーム50へ変位を伝えるカム面、例えば上下方向に延びるカム面64が形成されている。このカム面64がローラ部材54の外周面に転接させてある。また受け部63には、例えば図4に示されるようにアーム部62の下部のうち、カムシャフト12の直上となる下面部分に凹陥部65を形成し、同凹陥部65内に、カムシャフト12と同じ向きで、短シャフト66を回転自在に支持させた構造が用いられる。なお、67は、凹陥部65内から露出する短シャフト66部分の外周部に形成された、平面な底面をもつ凹部を示す。
センタロッカアーム70には、例えば図2および図4に示されるように吸気用カム17のカム面と転接する転接子、例えばカムフォロア71と、同カムフォロア71を回転自在に支持する例えば枠形のホルダ部72とをもつ、ほぼL形部材が用いられている。具体的には、センタロッカアーム70は、カムフォロア71を中心として、ホルダ部72の上部から、上方のロッカシャフト14,15間を通じて、支持シャフト16へ向かう柱状の中継用アーム部73と、ホルダ部72の側部から、一対のロッカアーム片53間で露出するロッカシャフト14のシャフト部分14c(図6〜図9に図示)の下側へ延びる支点用アーム部74とを有して、L形に形成してある。なお、支点用アーム部74は例えば二股状に分けてある。また中継用アーム部73の先端(上端面)には、駆動面として、ロッカシャフト14側が低く、支持シャフト16側が高くなるように傾斜させた傾斜面75が形成してある。この中継用アーム部73の先端が、スイングカム60の凹陥部65内へ延びている。同構造により、吸気用カム17とスイングカム60との間にセンタロッカアーム70を介在させている。またアーム部73の傾斜面75は、凹部67の底面で形成された受け面67aにスライド自在に突き当てられていて、吸気用カム17が回転すると、同吸気用カム17のカム変位が、中継用アーム部73から、すべりを伴いながら、スイングカム60へ伝達されるようにしてある。
支持機構80には、例えば図2および図4に示されるような、制御アーム81を用いてセンタロッカアーム70を揺動自在に支持する支持部82と、同センタロッカアーム70の位置を調整可能とした調整部90とを組み合わせた構造が用いられている。このうち支持部82について説明すると、シャフト部分14cの中央には、シャフト部分11cの軸心と直交(交差)する上下方向の向きで、通孔83が形成されている。制御アーム81は、円形断面をもつ軸部84と、同軸部84の一端に形成された円板状のピン結合片85と、同ピン結合片85に形成された支持孔85a(図4だけに図示)とを有して形成されている。この軸部84の端部がシャフト部分14cの下側から通孔83へ差し込まれている。なお、差し込まれた軸部84は、軸方向および周方向に対して移動自在である。この軸部84の端が、後述する調整部90の部品に突き当たっている。ピン結合片85は、二股に分かれた支点用アーム部74内に挿入される。そして、アーム部74および支持孔85aには、ピン86が挿通され、支点用アーム部74を制御アーム81の端部に対して、吸気用カム17の起伏方向に回動自在に連結させている。この連結により、吸気用カム17が回転すると、センタロッカアーム70が、ピン86を支点として揺動(上下)されるようにしている。このセンタロッカアーム70の動きに連動して、スイングカム60が、支持シャフト16を支点とし、短シャフト66を作用点(センタロッカアーム70からの荷重が作用する点)とし、カム面64を力点(ロッカアーム50を駆動させる点)として、周期的に揺動されるようにしている。なお、87は、バルブスプリング9のスプリング力が作用していないときの押し付け力を補うプッシャを示す。
ロッカシャフト14の端部には、アクチュエータとして、例えば制御用モータ100(図4だけに二点鎖線で図示)の出力部(図示しない)が接続されている。この接続により、ロッカシャフト14が軸心回りに駆動(回動)される。このロッカシャフト14の回動により、制御アーム81が、例えば図6および図7に示される略垂直となる姿勢から、例えば図8および図9に示される大きく傾いた姿勢まで可変できるようにしている。この制御アーム81の姿勢の変化から、センタロッカアーム70が、シャフト部分14cの軸方向と交差する方向に移動(変位)できるようにしている。つまり、カムフォロア71は、吸気用カム17に対する転接位置が進角方向や遅角方向へ可変できるようにしている。この転接位置の可変により、スイングカム60のカム面64の姿勢を変化させて、吸気バルブ7の特性が制御されるようにしている。具体的には、吸気バルブ7の開閉タイミングや開弁期間やバルブリフト量が、同時に連続的に可変されるようにしている。この可変について説明すると、カム面64には、例えば支持シャフト16の中心からの距離が変化する曲面が用いられている。例えば図2中に示されるようにカム面64の上部側は、支持シャフト13の軸心を中心とした円弧面よりなるベース円区間αで形成される。下部側は、そのベース区間の円弧に連続した複数の円弧面よりなるリフト区間βで形成される。つまり、リフト区間βは、吸気用カム18のリフト域のカム形状と同じような円弧面で形成される区間としてある。これにより、カムフォロア71が吸気用カム17の進角方向あるいは遅角方向へ変位すると、スイングカム60の揺動範囲が変化して、ローラ部材54が接するカム面64の領域が変化するようにしてある。つまり、吸気用カム17の位相が進角方向あるいは遅角方向へずれながら、ローラ部材54が行き交うベース円区間αとリフト区間βの比率が変わるようにしてあり、この比率の変化から開閉タイミングや開弁期間やバルブリフト量が連続的に可変されるようにしている。
調整部90には、例えば図2および図4に示されるようにねじ部材91で、差し込まれた制御アーム端を支持する構造が用いられている。例えば通孔83の制御アーム端とは反対側となる孔部分(上部分)の内面には、めねじ(図示しない)を形成してねじ孔とし、上側から該ねじ孔にねじ部材91が進退可能に螺挿させてある。これにより、制御アーム81の端は、通孔83内の途中で、ねじ部材91の挿入端と突き当る。この突き当てにより、制御アーム81を支持させている。この支持により、ねじ部材91を回転操作すると、シャフト部分14cの軸心と制御アーム72の先端との距離、すなわちシャフト部材14cから突き出る軸部84の突出量が可変され、該突出量による吸気用カム17の転接位置の変化から、吸気バルブ7の開弁時期や閉弁時期が調整されるようにしている。但し、92は、ねじ部材91を回転操作するための、ねじ部材91の上端面に形成した例えば十字形の溝部、93は、ねじ部材91の端部にねじ込まれたロックナット、94は、同ロックナット93の座面を形成する切欠きを示す。
なお、図2中、95は、燃焼室4内の混合気を点火するための点火プラグを示す。
つぎに、図6〜図9を参照して動弁系11の作用を説明する。
今、図2中の矢印方向に示されるようにカムシャフト11が、カムスプロケット22から伝達されるエンジンの軸出力によって駆動(回転)されているとする。
このとき、センタロッカアーム70のカムフォロア71は、吸気用カム17を受けていて、同カム17のカムプロフィールにならい駆動される。これにより、センタロッカアーム70は、ピン86を支点として、上下方向へ揺動する。
スイングカム60の受け面67aは、傾斜面75から、センタロッカアーム70の揺動変位を受けている。ここで、受け面67aと傾斜面75とはスライド可能であるから、スイングカム60は、傾斜面75をすべりながら、該傾斜面75で押し上げられたり下降したりする揺動運動を繰り返す。このスイングカム60の揺動により、スイングカム60のカム面64は上下方向へ往復動する。
このとき、カム面64は、ロッカアーム50のローラ部材54と転接しているから、カム面64でローラ部材54を周期的に押圧する。この押圧を受けてロッカアーム50は、ロッカシャフト14を支点に駆動(揺動)され、吸気バルブ7(一対)を開閉させる。
一方、排気側の各ロッカアーム43は、それぞれ排気用カム18を受けていて、同カム18のカムプロフィールにならい駆動される。これにより、各ロッカアーム43は、ロッカシャフト15を支点に上下方向へ揺動して、それぞれ排気バルブ8,8を開閉させる。
こうした吸気バルブ7、排気バルブ8,8の開閉動作と、このときのピストン10の動き(往復動)とにより、各気筒3内において、燃焼サイクル(例えば吸気行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の4サイクル)が行なわれる。
ここで、アクセルペダル(図示しない)の踏操作により、エンジンを高回転運転するとする。すると、モータ100(アクチュエータ)は、そのアクセル信号を受けて、ロッカシャフト14を回動させ、制御アーム81を、高バルブリフトが確保される地点、例えば図6および図7に示されるような垂直姿勢となる地点まで移動(回動)させる。この高バルブリフト制御により、センタロッカアーム70は、制御アーム81の回動変位を受けて、吸気用カム14上を回転方向に沿って変位する。これで、図6および図7に示されるようにスイングカム60のカム面64は垂直に近い角度となる姿勢に位置決められる。
このカム面64の姿勢により、カム面64のローラ部材54が行き交う領域(比率)は、高バルブリフトをもたらす領域に定められる。例えば最も短いベース円区間αと最も長いリフト区間βとなる比率に設定される。これにより、例えば吸気バルブ7は、例えば図10中のA1の線図に示されるように最大のバルブリフト量を確保するよう駆動される。
また、アクセルペダル(図示しない)を戻して、例えばエンジンを低回転運転にすると、制御モータ100の駆動により、ロッカシャフト14が回動して、図8および図9に示されるように制御アーム81を吸気用カム14へ接近する方向に回動変位させる。すると、センタロッカアーム70は、この制御アーム81の回動を受けて、吸気用カム17上を回転方向前側へ移動する。これにより、図8および図9に示されるようにセンタロッカアーム70と吸気用カム17との転接位置(当接位置)は、吸気用カム17上を進角する方向へずれる。この転接位置の可変により、バルブリフト曲線のTOP位置が進角方向へ移動する。また傾斜面75も、センタロッカアーム70の移動を受けて、受け面67a上を進角方向へスライドする。
このセンタロッカアーム70の移動により、図8および図9に示されるようにスイングカム60は、カム面64が下側へ傾く姿勢に変わる。傾きが大きくなるにしたがい、ローラ部材54が行き交うカム面64の領域は、ベース円区間αが次第に長く、リフト区間βが次第に短くなる比率に変わる。この可変したカム面64のカムプロフィールがローラ部材54へ伝達されるにしたがい、吸気バルブ7が、カムプロフィール全体を進角させつつリフト量が低くなるように駆動される。
これにより、吸気バルブ5の開閉タイミングとバルブリフト量とは、例えば図10中の線図A1〜A6に示されるようにセンタロッカアーム70の支点位置の移動にしたがい、エンジンの高回転運転から低回転運転まで、最大バルブリフト時とほぼ同じ開弁時期から開弁するタイミングを保ち、かつ閉弁時期を大きく変化させながら連続的に可変制御される。
こうした可変制御中、各保持部13a〜13cの各ジャーナル部20は、バルブリフト時に加わる荷重によってクリアランスC1,C2内を移動しながら、各ジャーナル孔部21で保持されている。
このとき、各ジャーナル部20、ジャーナル孔部21は、エンジンの運転により、温度上昇し、熱膨張している。これにより、各クリアランスC1,C2は熱膨張する。
ここで、図5に示されるように各保持部13a〜13cのうち、カムスプロケット22と隣接する地点の保持部13aのジャーナル部20やジャーナル孔部21は、他の保持部13b、13cのジャーナル部20やジャーナル孔部21よりも細径、縮小して、保持部13aのクリアランスC1の熱膨張を小さく抑えている。
これにより、カムスプロケット22には荷重F(図5にのみ図示)が加わるものの、熱膨張が抑えられることによって、保持部13aのジャーナル部20のたわみや軸心の傾きは抑えられる。これで、吸気用カム17の位置(軸心)が安定するようになる。
特に、図5に示されるように保持部13aのジャーナル部20およびジャーナル孔部21の軸方向長さA1を、他の保持部13b、13cのジャーナル部20およびジャーナル孔部21の軸方向長さA2より長くしたり、保持部13aのジャーナルクリアランスC1(ジャーナル部20の外周面とジャーナル孔部21の内周面との間のクリアランス)を、他の保持部13b、13cのジャーナルクリアランスC2(ジャーナル部20の外周面とジャーナル孔部21の内周面との間のクリアランス)より小さくしたりすると、格段に、ジャーナル部20のたわみが抑えられ、格段に吸気用カム17の位置(軸心)が安定する。
それ故、各可変動弁機構45は、エンジンの運転中、いずれも安定した開閉タイミング、開弁期間、バルブリフト量で可変制御でき、エンジン毎や気筒間の制御ばらつきが抑制できる。この結果、カムスプロケット22に加わる荷重を要因とした可変動弁機構45の気筒間のばらつきが抑制でき、エンジンの運転性能を安定させての向上が図れる。
[第2の実施形態]
図11は、本発明の第2の実施形態を示す。
図11は、本発明の第2の実施形態を示す。
第1の実施形態では、カム外径より大きなジャーナル部を、同じくカム外径より大きなジャーナル孔部へ挿入することによって、カムシャフト12を回転自在に保持する構造(カムインヘッド構造)を用いたが、これに限らず、図11に示されるようなカムキャップ構造を用いてもよい。すなわち、カムキャップ構造は、カムシャフト12に形成された、カム外径より小さな径寸法のジャーナル部(図示しない)の周りを、カムシャフト保持部113に形成された半円形状の凹部114と、同カムシャフト保持部113端に取り付くカムキャップ115に形成された半円形状の凹部116とで囲って、回転自在に保持したものである(二分割式のジャーナル孔部でジャーナル部を挟み込む構造)。なお、117は、カムキャップ115をカムシャフト保持部113に固定するボルト部材を示す。
このようなカムキャップ構造に、第1の実施形態と同様、カムスプリングと隣接した地点に配置されるジャーナル部やジャーナル孔部を細径・縮小したりする技術や、同じくジャーナル部およびジャーナル孔部の軸方向長さを長くしたりする技術や、同じくジャーナルクリアランスを小さくしたりする技術を適用しても、同様な効果を奏する。
但し、図11において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付してその説明を省略した。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば上述した実施形態では、本発明を吸気バルブ側に適用したが、これに限らず、排気バルブ側に本発明を適用してもよい。また実施形態では、スイングカム、センタロッカアームで構成される可変動弁機構を用いた例を挙げたが、これに限らず、それ以外の構造の可変動弁機構でも構わない。もちろん、上述の実施形態では、SOHC式のエンジンを例に挙げたが、吸気側と排気側とにそれぞれ別々に分けたカムシャフトを用いたDOHC式のエンジンに本発明を適用してもよい。
1…シリンダヘッド(内燃機関)、7…吸気バルブ、8…排気バルブ、11…動弁系(動弁装置)、12…カムシャフト、17,18…吸気用カム,排気用カム(カム)、20…ジャーナル部、21…ジャーナル孔部、22…カムスプロケット(スプロケット部)、22a…タイミング部材(入力部材)、45…可変動弁機構、Φ1…スプロケット部に隣接したジャーナル部の外径、D1…スプロケット部に隣接したジャーナル孔部の内径、C1…スプロケット部に隣接した保持部のクリアランス。
Claims (4)
- 吸気バルブ又は排気バルブを駆動するカムを有するとともに、複数のジャーナル部を有するカムシャフトと、
内燃機関に設けられ、前記各ジャーナル部を回転自在に保持するジャーナル孔部と、
前記カムシャフトの先端に設けられるスプロケットに掛け渡され該スプロケットを通じて前記カムシャフトへ駆動力を伝達する入力部材と、
前記カムを受けて前記吸気バルブ又は前記排気バルブの特性を制御する可変動弁機構とを有し、
前記ジャーナル部および前記ジャーナル孔部のうち、前記スプロケットと隣接する地点に配置された前記ジャーナル部および該ジャーナル部を保持する前記ジャーナル孔部の径寸法は、他の地点に配置された前記ジャーナル部および前記ジャーナル孔部よりも小さく設定した
ことを特徴とする内燃機関の動弁装置。 - さらに、前記スプロケットと隣接する地点に配置された前記ジャーナル部および該ジャーナル部を保持する前記ジャーナル孔部の軸方向長さは、他の地点に配置された前記ジャーナル部および前記ジャーナル孔部よりも長く設定したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の動弁装置。
- さらに、前記スプロケットと隣接した地点に配置された前記ジャーナル部および該ジャーナル部を保持する前記ジャーナル孔部間のジャーナルクリアランスは、他の地点に配置された前記ジャーナル部および前記ジャーナル孔部間よりも小さく設定したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の動弁装置。
- 前記可変動弁機構は、内燃機関に揺動自在に設けられ前記吸気バルブ又は排気バルブを駆動する揺動カムと、前記カムを受けて該カムの変位を変更可能に前記揺動カムに伝達する伝達部材とを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の内燃機関の動弁装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005297925A JP2007107432A (ja) | 2005-10-12 | 2005-10-12 | 内燃機関の動弁装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=38033493
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009281356A (ja) * | 2008-05-26 | 2009-12-03 | Hitachi Automotive Systems Ltd | 作動角可変機構 |
JP2010229940A (ja) * | 2009-03-27 | 2010-10-14 | Honda Motor Co Ltd | 内燃機関の動弁装置 |
JP2012233426A (ja) * | 2011-04-28 | 2012-11-29 | Toyota Motor Corp | 動弁装置、及びエンジン |
-
2005
- 2005-10-12 JP JP2005297925A patent/JP2007107432A/ja not_active Withdrawn
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