JP2007107430A - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、カムシャフトの保持構造を変えるだけの簡単な構造で、コントロール機構のカムと当接する部分の潤滑性の確保と、気筒間でのばらつき抑制との双方が実現できる内燃機関の可変動弁装置を提供する。
【解決手段】本発明の可変動弁装置は、バルブ駆動用カム17,18より大きな外径のジャーナル部20を有するカムシャフト12と、一方の端からカムシャフト12を挿入することにより、ジャーナル部20を回転可能に支持する一体形の潤滑材給送式のジャーナル孔部21とを組み合わせた保持構造を採用した。これにより、当初の適正なカムジャーナルクリアランスδが保たれたり、ジャーナル孔部21の端から外部へ出る潤滑材Pが、可変動弁機構45の各部分へ飛散してカム17と当接する部分の潤滑が行なわれるようにした。
【選択図】 図12
【解決手段】本発明の可変動弁装置は、バルブ駆動用カム17,18より大きな外径のジャーナル部20を有するカムシャフト12と、一方の端からカムシャフト12を挿入することにより、ジャーナル部20を回転可能に支持する一体形の潤滑材給送式のジャーナル孔部21とを組み合わせた保持構造を採用した。これにより、当初の適正なカムジャーナルクリアランスδが保たれたり、ジャーナル孔部21の端から外部へ出る潤滑材Pが、可変動弁機構45の各部分へ飛散してカム17と当接する部分の潤滑が行なわれるようにした。
【選択図】 図12
Description
本発明は、吸気バルブあるいは排気バルブの特性を制御する内燃機関の可変動弁装置に関する。
自動車に搭載されるレシプロ式エンジン(内燃機関)では、エンジンの排出ガス対策やポンピングロスの改善による燃費低減などに、吸気バルブ(あるいは排気バルブ)の特性を制御する可変動弁装置を搭載することが行なわれる。
このような可変動弁装置には、従来、特許文献1,2にも開示されているようにカムキャップ構造でジャーナル部を回転自在に保持したカムシャフトに、同カムシャフトの吸気バルブ駆動用カムとの当接位置の可変を可能とした可変動弁機構(コントロール機構に相当)を組み合わせた構造が用いられている。同構造により、吸気バルブの特性を制御、具体的には吸気バルブの開閉タイミングや開弁期間やバルブリフト量の連続的な変化を可能としている。
特開2002−303108号公報
特開2004− 92552号公報
こうした可変動弁装置では、エンジンの良好な運転性能を確保するために、可変動弁機構の各部、特にカムと当接する部分における潤滑性の確保や、可変動弁機構の気筒間でのばらつきを小さく抑えることが求められる。
潤滑性の確保には、カムと当接する部分や可変動弁装置の各摺動部へ潤滑材として潤滑油を導くことが考えられる。この場合、一般的には、専用の給油構造をシリンダヘッドに設ける。しかし、同構造だと、かなりエンジンが複雑になったり、かなりのコスト的な負担が強いられたりする。また、潤滑不足による磨耗によって気筒間ばらつきが生じる。
気筒間でのばらつきは、カムキャップ構造により、小さく抑えるのが難しい。すなわち、カムキャップ構造は、カムより小さな外径のジャーナル部にならう円形のジャーナル孔部をもつカムシャフト保持部を、ジャーナル孔部の中心から二分割して、基部側をシリンダヘッドに残る本体部とし、先端側をカムキャップとしたものである。このため、カムキャップを本体部に組み付けてカムシャフトを回転可能に保持すると、カムキャップと本体部との位置関係は、当初の一体のときは異なってくる。つまり、構造上、当初の状態が維持できず、カムキャップと本体部との間には、ずれが発生する。このずれが、当初の最適に定めていたジャーナルクリアランスを変化させ、気筒間でばらつきを生じさせてしまう。特にカムキャップ構造は、カムキャップを位置決めするのに必要な公差が加わるので、ばらつきが大きくなる傾向にある。このため、カムシャフトが組み付いても、ジャーナルクリアランスのばらつきのために、カムシャフトのカム位置は安定しにくく、精度が要求される開閉タイミング、開弁期間、バルブリフト量の連続的な制御に影響を与えてしまう。特に、カムシャフトのジャーナル部は、バルブリフト時に加わる荷重により、ジャーナルクリアランス内を移動するために、ジャーナルクリアランスが変化すると、運転状態により、カムシャフトのカム位置は気筒間で差が生じ、可変動弁装置の制御に差を生じてさせてしまう。
従来、こうした点は、別々に対処することしかないとされ、エンジンの複雑化やコストの増大を招いていた。特に一本のカムシャフトに吸気バルブの駆動用カム、排気バルブの駆動用カムが並ぶSOHC式のエンジンは、カムの配置に伴う制約が多く、対処が難しいとされている。
そこで、本発明の目的は、カムシャフトの保持構造を変えるだけの簡単な構造で、コントロール機構のカムと当接する部分の潤滑性の確保と、気筒間でのばらつき抑制との双方が実現される内燃機関の可変動弁装置を提供する。
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するために、バルブ駆動用カムより大きな外径のジャーナル部を有するカムシャフトと、一方の端からカムシャフトを挿入することにより、ジャーナル部を回転可能に保持する一体形の潤滑式のジャーナル孔部とを組み合わせた保持構造を採用して、潤滑性の確保と、気筒間でのばらつき抑制とを改善させた。
すなわち、同構造によると、カムシャフトのジャーナル部、同ジャーナル部を収めるジャーナル孔部は、いずれもカムシャフトのバルブ駆動用カムよりも大きいので、ジャーナル孔部の端から外部へ出る潤滑材が、バルブ駆動用カムに邪魔されずに、コントロール機構の各部分へ飛散して、同機構のカムと当接する部分を潤滑する。
しかも、カムシャフトのジャーナル部は、分割式でなく一体形のジャーナル孔部で保持されるので、カムキャップ構造のようなずれは生じずにすむ。特にジャーナル部とジャーナル孔部間のジャーナルクリアランスは、一体形のジャーナル孔部により、当初の適正なジャーナルクリアランスが保たれるため、ジャーナルクリアランスのばらつきを要因とした気筒間のばらつきは抑えられる。
請求項2に記載の発明は、上記目的に加え、コントロール機構を潤滑材が供給されるジャーナル部とジャーナル孔部間と対向する位置となるように設けた。
すなわち、同構造によると、ジャーナル孔部の端から外部へ出る潤滑材が、対向するコントロール機構の各部分へ飛散し易くなり、同機構のカムと当接する部分を十分潤滑できる。なお、コントロール機構のカムとの当接部分をローラベアリングにすることが好ましい。この場合、ローラベアリングに飛散した潤滑材がローラの回転によりコントロール機構の各部分に潤滑を途切れずに行うことができる。
請求項3に記載の発明は、上記目的に加え、コントロール機構は、内燃機関に揺動自在に設けられた揺動カムと、バルブ駆動用カムの変位を変更可能に揺動カムに伝達する伝達部材とを有し、カムシャフトの回転により、ジャーナル孔部とジャーナル部との間から飛び散る潤滑材が、少なくとも前記伝達部材へ導かれるようにした。
請求項4に記載の発明は、上記目的に加え、一本のカムシャフトで、吸気バルブ、排気バルブを駆動する内燃機関で十分に効果が発揮されるよう、カムシャフトは、ジャーナル部と隣接して、吸気バルブ又は排気バルブの一方を駆動する第1バルブ駆動用カムを有し、さらに該第1バルブ駆動用カムと隣接して、吸気バルブ又は排気バルブの他方を駆動する第2バルブ駆動用カムを有し、コントロール機構は、内燃機関に揺動自在に設けられ吸気バルブ又は排気バルブの他方を駆動する揺動カムと、第2バルブ駆動用カムを受けて該カムの変位を変更可能に揺動カムに伝達する伝達部材とを有し、さらに第1バルブ駆動用カムには、同カムの変位を吸気バルブ又は排気バルブの一方に伝達するロッカアームが設けられる構成を用いて、ジャーナル孔部とジャーナル部との間から飛び散る潤滑材が、ロッカアームの周りを経て、伝達部材へ導かれるようにした。
請求項5に記載の発明は、上記目的に加え、第1バルブ駆動用カムと第2バルブ駆動用カムの吸気バルブ又は排気バルブ側との当接方向が略同一方向となるように配置した。
請求項6に記載の発明は、上記目的に加え、有効に潤滑材が伝達部材へ飛散されるよう、ジャーナル孔部とジャーナル部との間から飛び散る潤滑材は、吸気バルブ又は排気バルブが高バルブリフト制御されるとき、伝達部材へ行き届く設定にした。
請求項1に記載の発明によれば、カムシャフトの保持構造を変えただけの簡単な構造で、カムと当接する可変動弁機構の部分の潤滑性の確保と、可変動弁機構の気筒間ばらつきの抑制との双方が実現できる。しかも、カムシャフトの保持は、ボルトなど内燃機関に螺挿する部品を用いずに行なうので、内燃機関にカムシャフトが近づけられ、内燃機関の小形化が図れる。
請求項2に記載の発明によれば、カムと当接する可変動弁機構の部分の潤滑が十分に行える。
請求項3に記載の発明によれば、可変動弁機構の伝達部材に十分な潤滑が行える。
請求項4に記載の発明によれば、特に制約の多い、ジャーナル部と隣接した地点に第1バルブ駆動用カムが配置され、該第1バルブ駆動用カムと隣接した地点に第2バルブ駆動用カムが配置されたSOHC式の内燃機関において、簡単に、カムと当接する可変動弁機構の部分の潤滑性の確保と、可変動弁機構の気筒間ばらつきの抑制とが実現できる。
請求項5に記載の発明によれば、吸気バルブ及び排気バルブのリフトによりカムシャフトにかかる荷重が略同一方向となり、コントロール機構側のクリアランスが拡大し、コントロール機構へ重点的に潤滑材を供給することができる。
請求項6に記載の発明によれば、特に、潤滑が求められる負荷の大きい運転条件のときに、重点的に潤滑材を伝達部材へ飛散させることができる。
[一実施形態]
以下、本発明を図1〜図13に示す一実施形態にもとづいて説明する。
以下、本発明を図1〜図13に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は、多気筒の内燃機関、例えば直列4気筒のレシプロ式ガソリンエンジンのシリンダヘッド1の一部平面図(2気筒分しか図示せず)、図2は図1中のA〜線に沿う断面図を示し、図3は図1中のB〜線に沿う断面図を示し、図4は図1中のC〜線に沿う断面図を示し、図5は可変動弁装置44の分解図、図6は図1中のD〜D線に沿う断面図(3気筒分しか図示せず)、図7〜図12は可変動弁装置44の運転状態をそれぞれ示している。
図1ないし図5を参照してシリンダヘッド1について説明すると、シリンダヘッド1の下面には、シリンダブロック2に形成された4つの並行な気筒3(図2のみ二点鎖線で、1気筒分のみ図示)にならって、それぞれ燃焼室4(図2のみ図示)が形成されている。これら燃焼室4には、それぞれ例えば2個ずつ(一対)、吸気ポート5および排気ポート6(図2だけに図示せず)が形成されている。シリンダヘッド1の上部には、吸気ポート5を開閉する吸気バルブ7、排気ポート6を開閉する排気バルブ8がそれぞれ組み付けられている。吸気バルブ7、排気バルブ8には、いずれもバルブスプリング9で閉方向に付勢される常閉式の往復バルブが用いてある。なお、気筒3内にはピストン10が往復動可能に収めてある(図2のみ二点鎖線で図示)。
図1ないし図5中11は、シリンダヘッド1の上部に搭載された例えばSOHC式の動弁系(一本のカムシャフト12で吸気バルブ7、排気バルブ8を駆動するもの)を示している。動弁系11について説明すると、12は、燃焼室2の頭上にシリンダヘッド1の長手方向に沿って回転自在に配置されたカムシャフト、14はこのカムシャフト12を挟んだ吸気ポート5側(片側)に回動可能に配置された吸気側のロッカシャフト(制御シャフトを兼ねる)、15はその反対側の排気ポート6側に配置された排気側のロッカシャフト、16は例えばロッカシャフト14とロッカシャフト15間の上側の地点(ロッカシャフト15寄り)に配設された支持シャフトを示す。ロッカシャフト14,15および支持シャフト16は、いずれもカムシャフト12と平行(並行)に配置された中空の軸部材から構成されている。
カムシャフト12は、エンジンのクランクシャフト(図示しない)からの出力により、図2中の矢印方向に沿って回転駆動される部品である。このカムシャフト12には、図1、図5および図6に示されるように燃焼室4毎(気筒3毎)に、バルブ駆動用カムとして、吸気用カム15(本願の第2バルブ駆動用カムに相当)と排気用カム18(本願の第1バルブ駆動用カムに相当)が形成されている。吸気用カム17は燃焼室4の頭上中央に配置され、排気用カム18,18はその吸気用カム17の両側にそれぞれ隣接して配置されている。このカムシャフト12の気筒間に配置される各シャフト部分が、例えば図2〜図6に示されるようにシリンダヘッド1の上面1aから突き出るように形成された壁状のカムシャフト保持部19により、それぞれ回転可能に保持されている。このカムシャフト12の保持構造には、カムインヘッド構造が用いられている。具体的には、同構造は、図5に示されるように1つの吸気用カム17とその両側の2つの排気用カム18とがなすカム群の間のシャフト部分に、吸気用カム17や排気用カム18より大きな外径の円板形のジャーナル部20を形成し、各カムシャフト保持部19に、ジャーナル部20が回動自在に収まる円形のジャーナル孔部21をそれぞれ形成した構造が用いられる。つまり、カムインヘッド構造は、カムシャフト12を、図7に示されるように一方の端から各カムシャフト保持部19のジャーナル孔部21へ挿入させて、図6に示されるように各ジャーナル部20を各ジャーナル孔部21内で保持させた構造である。そして、最後(挿入方向)のカムシャフト保持部19から突き出たカムシャフト端には、カムスプロケット22を例えばボルト部材23で組付けている。なお、カムシャフト端のジャーナル部20は、カムシャフト12の差込みでジャーナル孔部21へ挿入することを考慮すると、カム外径より大きくなくともよい。本実施形態では、カムシャフト端を支えるジャーナル部20、ジャーナル孔部21には、カム外径と同等かそれ以下の径寸法を用いている。但し、12aは抜け止め部を示す。これにより、カムシャフト12は、各ジャーナル孔部21にて、回転可能に保持される。ここでの保持には、ジャーナル部20を例えば鉄系部材で形成し、カムシャフト保持部19を例えばアルミ合金部材で形成するという組み合わせが用いてある。但し、カムスプロケット22には、クランクシャフトからの出力で駆動されるよう、例えば無端状のタイミングチェーン(図示しない)を介して、クランクシャフト端のクランクスプロケット(図示しない)が結合される。
吸気側のロッカシャフト14、排気側ロッカシャフト15および支持シャフト16は、図1、図4および図5に示されるように例えば2種類の保持部材24,25によって、シリンダヘッドの各部、例えばカムシャフト保持部19の上部に支持させてある。
具体的には、保持部材24は、例えばシャフト端の保持に適した部品であり、保持部材25は、例えばシャフトの中間の保持に適した部品である。このうち保持部材24は、例えば図5に示されるように下側に並列に配置したキャップ部26,27をもち、上側に柱状の受け部28をもつ部品が用いられる。キャップ部26,27には、ロッカシャフト14,15の端がそれぞれ回動可能に嵌まる。受け部28には、支持シャフト16の端がボルト部材30で固定される。そして、保持部材24は、カムシャフト端に配置されるカムシャフト保持部19の上部に、複数本のボルト部材32a,32bを用いて固定させてある。具体的には、キャップ部26は、ボルト部材32aを用いて、排気側のロッカシャフト端を固定しながら、カムシャフト保持部19の上部に固定させてある。キャップ部27は、ボルト部材32bを用いて、ロッカシャフ端から外れた底部分をカムシャフト保持部19の上部に固定させてある(吸気側のロッカシャフト14は回転可能、排気側のロッカシャフト15は固定)。つまり、ロッカシャフト14,15および支持シャフト16の端部は、所定の間隔を保つように、シリンダヘッド1に組み込んである。
保持部材25は、例えば図5に示されるように下側に並列に配置した筒形の嵌挿部34,35をもち、上側に柱状の受け部36をもち、さらに下側にシリンダヘッド1の排気ポート6側へ延びる延出部37をもつ部品が用いられる。嵌挿部34,35内には、ロッカシャフト14,15の気筒間に配置されるシャフト部分が回動可能に挿通される。受け部26には、支持シャフト16の気筒間に配置されるシャフト部分がボルト部材39で固定される。そして、保持部材25は、カムシャフト12の中間の各部を支えるカムシャフト保持部19の上部に、ボルト部材40を用いて固定させてある。具体的には、保持部材25は、ボルト部材40を用いて、排気ロッカシャフト15を固定しながら、カムシャフト保持部19の上部に固定させてある(吸気側のロッカシャフト14は回転可能、排気側のロッカシャフト15は固定)。なお、延出部37は、図1および図4に示されるように固定スペースの確保が難しいロッカシャフト14の周辺を避けて、シリンダヘッド1の側縁部の近くの上面部分に、ボルト部材41で固定させてある。これで、ロッカシャフト14,15および支持シャフト16の中間部分も、所定の間隔を保つように、シリンダヘッド1に組み込んでいる。
排気側のロッカシャフト15には、図1、図5および図6に示されるように排気用カム18毎(排気バルブ8毎)、排気バルブ用のロッカアーム43がそれぞれ回動自在に支持されている。吸気側のロッカシャフト14には、可変動弁装置44が組み込まれている。可変動弁装置44は、吸気用カム17毎(一対の吸気バルブ7毎)、ロッカシャフト14に組み込まれた可変動弁機構45(本願のコントロール機構に相当)から構成される。
これらのうちロッカアーム43は、いずれも図3に示されるように一端部にカム接触子、例えばローラ部材47をもち、他端部に排気バルブ8の駆動をなす部分、例えばアジャスタスクリュ部48をもつ。ロッカアーム43のローラ部材47は、排気用カム18に転接し、アジャスタスクリュ部48は、それぞれ排気バルブ8,8の上部端(バルブステム端)に当接させてある。これにより、排気用カム18が回転すると、ロッカアーム43がロッカシャフト15を支点に揺動して、排気バルブ8,8を駆動させるようになっている。
可変動弁機構45は、図2、図5、図8〜図12に示されるようにロッカシャフト14に揺動自在に支持された吸気バルブ用のロッカアーム50と、同ロッカアーム50と組み合うスイングカム60(本願の揺動カムに相当)と、吸気用カム17の変位を受けて同カム17の変位をスイングカム60へ伝達するセンタロッカアーム70(本願の伝達部材に相当)と、同センタロッカアーム70を吸気用カム17に対して当接位置が可変できるように支持する支持機構80とを有して構成される。
このうちロッカアーム50は、例えば図1および図5に示されるような二股形状の構造が用いられている。具体的にはロッカアーム50は、中央に筒状のロッカシャフト支持用ボス51が形成され、一端側に吸気バルブ7の駆動をなす部分、例えばアジャストスクリュ部52が組み付けられた一対の並行なロッカアーム片53と、これらロッカアーム片53の他端部間に挟み込まれた回転自在なローラ部材54(カム接触子を形成するもの)とを有して構成してある。なお、55は、ローラ部材54をロッカアーム片53間で回転自在に枢支させるための短シャフトを示す。そして、ロッカシャフト支持用ボス51,51はロッカシャフト14に揺動自在にそれぞれ嵌挿され、ローラ部材54を支持シャフト16側(シリンダヘッド1の中央側)に配置させている。残るアジャストスクリュ部52は、それぞれ吸気バルブ7,7の上部端(バルブステム端)に配置させてある。つまり、ロッカアーム50は、ロッカシャフト14を支点に揺動すると、吸気バルブ7,7が駆動されるようになっている。
スイングカム60は、図2および図5に示されるように支持シャフト16に回動自在に嵌挿された筒状のボス部61と、同ボス部61からローラ部材57(ロッカアーム50)へ向って延びるアーム部62と、同アーム部62の下部に形成した受け部63とを有して形成される。このうちアーム部62の先端面には、ロッカアーム50へ変位を伝えるカム面、例えば上下方向に延びるカム面64が形成されている。このカム面64がローラ部材47の外周面に転接させてある。このカム面64についての詳細は後述する。また受け部63には、例えば図5に示されるようにアーム部62の下部のうち、カムシャフト12の直上となる下面部分に凹陥部65を形成し、同凹陥部65内に、カムシャフト12と同じ向きで、短シャフト66を回転自在に支持させた構造が用いられる。なお、67は、凹陥部65内から露出する短シャフト66部分の外周部に形成された、平面な底面をもつ凹部を示す。
センタロッカアーム70には、例えば図2および図5に示されるように吸気用カム17のカム面と転接する転接子、例えばカムフォロア71と、同カムフォロア71を回転自在に支持する例えば枠形のホルダ部72とをもつ、ほぼL形部材が用いられている。具体的には、センタロッカアーム70は、カムフォロア71を中心として、ホルダ部72の上部から、上方のロッカシャフト14,15間を通じて、支持シャフト16へ向かう柱状の中継用アーム部73と、ホルダ部72の側部から、一対のロッカアーム片53間で露出するロッカシャフト14のシャフト部分14c(図8〜図11に図示)の下側へ延びる支点用アーム部74とを有して、L形に形成してある。なお、支点用アーム部74は例えば二股状に分けてある。また中継用アーム部73の先端(上端面)には、駆動面として、ロッカシャフト14側が低く、支持シャフト16側が高くなるように傾斜させた傾斜面75が形成してある。この中継用アーム部73の先端が、上記スイングカム60の凹陥部65内へ延びている。同構造により、吸気用カム17とスイングカム60との間にセンタロッカアーム70は介在させてある。またアーム部73の傾斜面75は、凹部67の底面で形成された受け面67aにスライド自在に突き当てられていて、吸気用カム17が回転すると、同吸気用カム17のカム変位が、中継用アーム部73から、すべりを伴いながら、スイングカム60へ伝達されるようにしてある。
支持機構80には、例えば図2および図5に示されるような、制御アーム81を用いてセンタロッカアーム70を揺動自在に支持する支持部82と、同センタロッカアーム70の位置を調整可能とした調整部90とを組み合わせた構造が用いられている。このうち支持部82について説明すると、シャフト部分14cの中央には、シャフト部分11cの軸心と直交(交差)する上下方向の向きで、通孔83が形成されている。制御アーム81は、円形断面をもつ軸部84と、同軸部84の一端に形成された円板状のピン結合片85と、同ピン結合片85に形成された支持孔85a(図5だけに図示)とを有して形成されている。この軸部84の端部がシャフト部分14cの下側から通孔83へ差し込まれている。なお、差し込まれた軸部84は、軸方向および周方向に対して移動自在である。この軸部84の端が、後述する調整部90の部品に突き当たっている。ピン結合片85は、二股に分かれた支点用アーム部74内に挿入される。そして、アーム部74および支持孔85aには、ピン86が挿通され、支点用アーム部74を制御アーム81の端部に対して、吸気用カム17の起伏方向に回動自在に連結させている。この連結により、吸気用カム17が回転すると、センタロッカアーム70が、ピン86を支点として揺動(上下)されるようにしている。このセンタロッカアーム70の動きに連動して、スイングカム60が、支持シャフト16を支点とし、短シャフト66を作用点(センタロッカアーム70からの荷重が作用する点)とし、カム面64を力点(ロッカアーム50を駆動させる点)として、周期的に揺動されるようにしている。なお、87は、バルブスプリング9のスプリング力が作用していないとき(吸気用カム17のベース円とカムフォロア71とが転接するとき)の押し付け力を補うプッシャを示す。
回動可能なロッカシャフト14の端部には、アクチュエータとして、例えば制御用モータ100(図5だけに二点鎖線で図示)の出力部(図示しない)が接続されている。この接続により、ロッカシャフト14が軸心回りに駆動(回動)される構造にしている。このロッカシャフト14の回動により、制御アーム81が、例えば図8および図9に示される略垂直となる姿勢から、例えば図10および図11に示される大きく傾いた姿勢まで可変できるようにしている。この制御アーム81の姿勢の変化から、センタロッカアーム70が、シャフト部分14cの軸方向と交差する方向に移動(変位)できるようにしている。つまり、カムフォロア71は、吸気用カム17に対する転接位置が進角方向や遅角方向へ可変できるようにしている。この転接位置の可変により、スイングカム60のカム面64の姿勢を変化させて、吸気バルブ7の特性が制御されるようにしている。具体的には、吸気バルブ7の開閉タイミングや開弁期間やバルブリフト量が、同時に連続的に可変されるようにしている。この可変について説明すると、カム面64には、例えば支持シャフト16の中心からの距離が変化する曲面が用いられている。例えば図2中に示されるようにカム面64の上部側は、支持シャフト13の軸心を中心とした円弧面よりなるベース円区間αで形成される。下部側は、そのベース区間の円弧に連続した反対向きの円弧面及びそれに続く反対向きの円弧面よりなるリフト区間βで形成される。つまり、リフト区間βは、吸気用カム18のリフト域のカム形状と同じような円弧面で形成される区間としてある。これにより、カムフォロア71が吸気用カム17の進角方向あるいは遅角方向へ変位すると、スイングカム60の揺動範囲が変化して、ローラ部材54が接するカム面64の領域が変化するようにしてある。つまり、吸気用カム17の位相が進角方向あるいは遅角方向へずれながら、ローラ部材54が行き交うベース円区間αとリフト区間βの比率が変わるようにしてあり、この比率の変化から開閉タイミングや開弁期間やバルブリフト量が連続的に可変されるようにしている。
調整部90には、例えば図2および図5に示されるようにねじ部材91で、差し込まれた制御アーム端を支持する構造が用いられている。具体的には、通孔83の制御アーム端とは反対側となる孔部分(上部分)の内面には、めねじ(図示しない)を形成してねじ孔とし、上側から該ねじ孔にねじ部材91が進退可能に螺挿させてある。これにより、制御アーム81の端は、通孔83内の途中で、ねじ部材91の挿入端と突き当る。この突き当てにより、制御アーム81を支持させている。この支持により、ねじ部材91を回転操作すると、シャフト部分14cの軸心と制御アーム72の先端との距離、すなわちシャフト部材14cから突き出る軸部84の突出量が可変され、該突出量による吸気用カム17の転接位置の変化から、吸気バルブ7の開弁時期や閉弁時期が調整されるようにしている。但し、92は、ねじ部材91を回転操作するための、ねじ部材91の上端面に形成した例えば十字形の溝部、93は、ねじ部材91の端部にねじ込まれたロックナット、94は、同ロックナット93の座面を形成する切欠きを示す。
一方、ロッカシャフト15(排気バルブ用)の端には、図5に示されるようにシリンダヘッド1やシリンダブロック2などに設置したオイルポンプで構成される潤滑油供給源110の吐出部(図示しない)が接続されている。この潤滑供給源110から供給される潤滑油(本願の潤滑材に相当)がロッカシャフト15内へ供給されるようにしてある。また保持部材24,25の内部には、図4に示される保持部材25で代表されるようにロッカシャフト15内を流通する潤滑油を、嵌挿部35の内面へ導く油路111、ジャーナル孔部21の内面へ導く油路112が形成されている。これら油路111,112による潤滑油の給送により、ロッカシャフト14と嵌挿部35間およびジャーナル部20とジャーナル孔部21間が潤滑油で潤滑されるようにしている(本願の潤滑手段に相当)。つまり、ロッカシャフト14、ジャーナル部20は、潤滑油の供給(潤滑)を受けながら、回転自在に保持される構造としてある。図示はしないが保持部材24でも、同様な潤滑構造で、ロッカシャフト14、ジャーナル部20を保持している。
こうしたカムシャフト12の保持により、ジャーナル孔部21の端から飛び散る潤滑油が、可変動弁機構45のうち負担が大きな部位となる、吸気用カム17とセンタロッカアーム70とが当接する部分へ導かれるようにしている。本実施形態のような吸気用カム17とセンタロッカアーム70とが当接する部分と、カムシャフト保持部19との間に、排気用のロッカアーム43が配置されるという、排気用のロッカアーム43が障壁となるSOHCの場合は、これを考慮して潤滑油が、吸気用カム17と当接する部分に導かれるようにしてある。すなわち、エンジンの運転状態(運転条件)で変化するセンタロッカアーム70の吸気用カム17に対する当接位置の可変により、潤滑油が吸気用カム17とセンタロッカアーム70とが当接する部分へ導かれるようにしている。具体的には、可変制御の一部の領域では、例えば図8および図9中に示されるように排気用のロッカアーム43(二点鎖線で図示)の背後から、センタロッカアーム70のカムフォロア71が表れる(突き出る)ように設定されている。これにより、ジャーナル孔部21端から飛び散る潤滑油が、吸気用カム17とカムフォロア71とが当接する部分に行き届くように設定してある。特に本実施形態では、潤滑を最も必要とする可変制御のとき、すなわち荷重の負担が大きい高バルブリフトに制御(制御アーム81が垂直となる姿勢、や垂直に近い姿勢、その周辺の姿勢)のとき、先のかむフォロア71が表れる挙動を利用して、ジャーナル孔部21の端からの潤滑油が、吸気用カム17とカムフォロア71とが当接する部分に行き届くように設定してある。また、カムフォロア71をローラとすることにより、吸気用カム17とカムフォロア71とが当接する部分に飛散した潤滑油をスイングカム60や制御アーム81の方向に供給することができる。具体的には、図9に示す通り、吸気カム17の回転(矢印A)とカムフォロア71の回転(矢印B)により、吸気用カム17とカムフォロア71とが当接する部分に飛散した潤滑油が制御アーム81側(矢印C)やスイングカム60側(矢印D)に再び飛散される。これにより、軸部84,ローラ部材54,カム面64,受け面67a等のコントロール機構の可動及び摺動する各部分に潤滑油を途切れることなく供給することができる。
なお、図2中、113は、燃焼室4内の混合気を点火するための点火プラグを示す。
つぎに、図8〜図11を参照して可変動弁装置44の作用を説明する。
今、図2中の矢印方向に示されるようにエンジンの運転にしたがい、カムシャフト12が回転しているとする。
このとき、センタロッカアーム70のカムフォロア71は、吸気用カム17を受けていて、同カム17のカムプロフィールにならい駆動される。これにより、センタロッカアーム70は、ピン86を支点として、上下方向へ揺動する。
スイングカム60の受け面67aは、傾斜面75から、センタロッカアーム70の揺動変位を受けている。ここで、受け面67aと傾斜面75とはスライド可能であるから、スイングカム60は、傾斜面75をすべりながら、該傾斜面75で押し上げられたり下降したりする揺動運動を繰り返す。このスイングカム60の揺動により、スイングカム60のカム面64は上下方向へ往復動する。
このとき、カム面64は、ロッカアーム50のローラ部材54と転接しているから、カム面64でローラ部材54を周期的に押圧する。この押圧を受けてロッカアーム50は、ロッカシャフト14を支点に駆動(揺動)され、吸気バルブ7(一対)を開閉させる。
一方、排気側の各ロッカアーム43は、それぞれ排気用カム18を受けていて、同カム18のカムプロフィールにならい駆動される。これにより、各ロッカアーム43は、ロッカシャフト15を支点に上下方向へ揺動して、それぞれ排気バルブ8,8を開閉させる。
こうした吸気バルブ7、排気バルブ8,8の開閉動作と、このときのピストン10の動き(往復動)とにより、各気筒3内において、燃焼サイクル(例えば吸気行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程の4サイクル)が行なわれる。
ここで、アクセルペダル(図示しない)の踏操作により、エンジンを高回転運転するとする。すると、モータ100(アクチュエータ)は、そのアクセル信号を受けて、ロッカシャフト14を回動させ、制御アーム81を、高バルブリフトが確保される地点、例えば図8および図9に示されるような垂直姿勢となる地点まで移動(回動)させる。この高バルブリフト制御により、センタロッカアーム70は、制御アーム81の回動変位を受けて、吸気用カム14上を回転方向に沿って変位する。これで、図8および図9に示されるようにスイングカム60のカム面64は垂直に近い角度となる姿勢に位置決められる。
このカム面64の姿勢により、カム面64のローラ部材54が行き交う領域(比率)は、高バルブリフトをもたらす領域に定められる。例えば最も短いベース円区間αと最も長いリフト区間βとなる比率に設定される。これにより、例えば吸気バルブ7は、例えば図13中のA1の線図に示されるように最大のバルブリフト量を確保するよう駆動される。
また、アクセルペダル(図示しない)を戻して、例えばエンジンを低回転運転にすると、制御モータ100の駆動により、ロッカシャフト14が回動して、図10および図11に示されるように制御アーム81を吸気用カム14へ接近する方向に回動変位させる。すると、センタロッカアーム70は、この制御アーム81の回動を受けて、吸気用カム17上を回転方向前側へ移動する。これにより、図10および図11に示されるようにセンタロッカアーム70と吸気用カム17との転接位置(当接位置)は、吸気用カム17上を進角する方向へずれる。この転接位置の可変により、バルブリフト曲線のTOP位置が進角方向へ移動する。また傾斜面75も、センタロッカアーム70の移動を受けて、受け面67a上を進角方向へスライドする。
このセンタロッカアーム70の移動により、図10および図11に示されるようにスイングカム60は、カム面64が下側へ傾く姿勢に変わる。傾きが大きくなるにしたがい、ローラ部材54が行き交うカム面64の領域は、ベース円区間αが次第に長く、リフト区間βが次第に短くなる比率に変わる。この可変したカム面64のカムプロフィールがローラ部材54へ伝達されるにしたがい、吸気バルブ7は、ロッカアーム25は、カムプロフィール全体を進角させつつ、リフト量が低くなるように駆動される。
これにより、吸気バルブ5の開閉タイミングとバルブリフト量とは、例えば図13中の線図A1〜A6に示されるようにセンタロッカアーム70の支点位置の移動にしたがい、エンジンの高回転運転から低回転運転まで、最大バルブリフト時とほぼ同じ開弁時期から開弁するタイミングを保ち、かつ閉弁時期を大きく変化させながら連続的に可変制御される。
こうした可変制御のとき、ジャーナルクリアランスδ(図2のみ図示;ジャーナル部20とジャーナル孔部21との間に形成されるクリアランス)の影響で、気筒間でバルブリフトカーブに差が生じることが懸念されるが、ジャーナル部20をそのまま、一体な円形のジャーナル孔部21で保持する構造(カムインヘッド構造)により、ジャーナルクリアランスδは小さく抑えられる。
すなわち、同構造は、先にも述べたようにカムシャフト12にバルブ駆動用カムより大きな外径のジャーナル部20を形成し、カムシャフト保持部19に一体のジャーナル孔部21を形成し、カムシャフト12の一方の端からの挿入でジャーナル部20を一体なジャーナル部21に収めて、カムシャフト12を回転可能に支持する構造なので(図7)、カムシャフト12の組付時には、カムキャップ構造のようなずれやばらつきは生じない。しかも、一体形のジャーナル孔部21は、カムキャップ構造のような組み付けずれ、取付ボルト軸力差による変形等がなく、これらに伴うジャーナル部の偏磨耗もない。また、カムフォロア71からの荷重により、カムフォロア71側のジャーナルクリアランスδが拡大するため、吸気用カム17とカムフォロア71とが当接する部分への潤滑油の飛散が十分行える。さらに、排気バルブ用のロッカアーム43のローラ部材47からの荷重がカムフォロア71からの荷重方向と略同一方向になるように配置すれば、即ちカムフォロア71とローラ部材47を各カムに対し略同一方向に配置すれば、カムフォロア71とローラ部材47側のジャーナルクリアランスδが拡大側で安定しやすくなり、十分な潤滑油をバランスよく、また、カムフォロア71とローラ部材47とが略同一方向にあるため、効率よく潤滑油を供給することができ、気筒間のばらつきを抑えられる。これにより、ジャーナル部20とジャーナル孔部21との間に形成されるカムジャーナルクリアランスδは、当初から適正なカムジャーナルクリアランスδが確保される。
それ故、カム位置は安定する。このため、気筒間での可変動弁機構45のバルブリフトカーブの差は抑えられ、ジャーナルクリアランスを要因とした気筒間のばらつきを抑えることができる。
そのうえ、同構造は、気筒間のばらつきを抑えるだけでなく、可変動弁機構45の各部、特に吸気用カム17と当接する部分における潤滑性も確保できる。
すなわち、この潤滑性について説明すると、エンジンの運転中、潤滑油供給源110から、排気側のロッカシャフト15内へは潤滑油が圧送される。このロッカシャフト15内を流れる潤滑油の一部は、それぞれ保持部材24,25の油通路111、112を通じて、吸気側のロッカシャフト14を保持するキャップ部27や嵌挿部35の内面や、ジャーナル孔部21の内面に供給される。これで、回動するロッカシャフト14や回転するジャーナル部20を潤滑する。
このとき、ジャーナル孔部21の潤滑を終えた潤滑油は、図6および図12中の符号Pに示されるようにジャーナル孔部21の端(ジャーナル部20とジャーナル孔部21との間の端)から飛び散る。ここで、ジャーナル部20およびジャーナル孔部21は、いずれも吸気用カム17、排気用カム18の外径より、大きな寸法となっているので、飛散した潤滑油Pの一部は、隣接した排気用カム18や吸気用カム17に邪魔されずに、吸気用カム17と転接するカムフォロア71に行き届く。これにより、潤滑油が求められる、吸気用カム17と当接する部分における潤滑が行なわれる。特にジャーナル孔部21の端からの潤滑油が、排気側のロッカアーム43により遮られて供給されないおそれのあるSOHC式のエンジンは、センタロッカアーム70の吸気用カム17に対する当接位置を可変する挙動を利用して潤滑が行なわれる。すなわち、可変動弁機構45は、エンジンの運転状態により、図8および図9に二点鎖線で示す排気側のロッカアーム43の背後から、カムフォロア71が表れ出るときがある(図10および図11は、カムフォロア71がロッカアーム43の背後に隠れた状態)。このときのタイミングを利用して、ジャーナル孔部21の端から飛び散る潤滑油Pが、排気側のロッカアーム43の周りを通じて、ジャーナル部20から離れたカムフォロア71へ導ける。これにより、たとえ制約のあるSOHC式のエンジンの場合でも、吸気用カム17と当接する部分は十分な潤滑が期待できる。これは、センタロッカアーム70の両側に配置されるジャーナル孔部21からそれぞれ潤滑油が供給されることにもよる(潤滑油量:大)。特に、図8および図9に示されるように荷重負担が大きくなる、吸気バルブ7が高バルブリフト制御されるとき、カムフォロア71が、排気側のロッカアーム43の後側から表れるようにすると、有効に、吸気用カム17と当接する部分に潤滑油Pを供給することができる。しかも、カムフォロア71をローラとしたことで、吸気用カム17とカムフォロア71とが当接する部分に飛散した潤滑油Pは、図9に示されるように吸気カム17の回転(矢印A)とカムフォロア71の回転(矢印B)により、制御アーム81側(矢印C)やスイングカム60側(矢印D)に再び飛散されるので、軸部84,ローラ部材54,カム面64,受け面67a等のコントロール機構の可動及び摺動する各部分に潤滑油Pを途切れることなく供給される。
したがって、カムシャフト12の保持構造を、一体形のジャーナル孔部21にジャーナル部20を挿入させる構造にするだけで、簡単に、可変動弁機構45のカムと当接する部分の潤滑性の確保と、気筒間のばらつきの抑制との双方ができる。しかも、同保持構造だと、カムキャップ構造とは異なり、ボルト部材などシリンダヘッド1に螺挿する部品を用いないので、カムシャフト12は、シリンダヘッド1に近づけて設置でき、エンジンの全高が低くなり、エンジンの小形化が図れる利点がある。
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば上述した一実施形態では、本発明を吸気バルブ側に適用したが、これに限らず、排気バルブ側に本発明を適用してもよい。また一実施形態では、中央に1つの吸気用カムを配置し、その吸気用カムの両側に一対の排気用カムを配置したカムシャフトを用いた例を挙げたが、それ以外の吸・排気用カムの数やレイアウトのカムシャフトを用いた構造に本発明を適用してもよい。また一実施形態では、SOHC式のエンジンに本発明を適用したが、これに限らず、吸気側と排気側とにそれぞれ別々に分けたカムシャフトを用いたDOHC式のエンジンに本発明を適用してもよい。
1…シリンダヘッド(内燃機関)、7…吸気バルブ、8…排気バルブ、12…カムシャフト、14…吸気側のロッカシャフト、15…排気側のロッカシャフト、16…支持シャフト、17…吸気用カム(第2バルブ駆動用カム)、18…排気用カム(第1バルブ駆動用カム)、20…ジャーナル部、21…ジャーナル孔部、43…排気側のロッカアーム、44…可変動弁装置、45…可変動弁機構(コントロール機構)、50…吸気側のロッカアーム、60…スイングカム(揺動カム)、64…カム面、70…センタロッカアーム(伝達部材)、111,112…油路(潤滑手段)、P…飛散した潤滑油。
Claims (6)
- 吸気バルブ又は排気バルブを駆動するバルブ駆動用カムを有するとともに、該バルブ駆動用カムより大きな外径のジャーナル部を有するカムシャフトと、
内燃機関に設けられ、前記カムシャフトの一方の端からの挿入により前記ジャーナル部を収めて、前記カムシャフトを回転可能に保持する一体形のジャーナル孔部と、
前記ジャーナル部と前記ジャーナル孔部間を潤滑材の供給によって潤滑する潤滑手段と、
前記バルブ駆動用カムによる前記吸気バルブ又は前記排気バルブの駆動特性を変更するコントロール機構と
を具備することを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。 - 前記コントロール機構は、前記潤滑材が供給される前記ジャーナル部と前記ジャーナル孔部間と対向する位置に設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置。 - 前記コントロール機構は、内燃機関に揺動自在に設けられ前記吸気バルブ又は排気バルブを駆動する揺動カムと、前記バルブ駆動用カムを受けて該カムの変位を変更可能に前記揺動カムに伝達する伝達部材とを有して構成され、
前記カムシャフトの回転により、前記ジャーナル孔部と前記ジャーナル部との間から飛び散る潤滑材が、少なくとも前記伝達部材へ導かれるようにしてある
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置。 - 前記カムシャフトは、前記ジャーナル部と隣接して、前記吸気バルブ又は排気バルブの一方を駆動する第1バルブ駆動用カムを有し、さらに該第1バルブ駆動用カムと隣接して、前記吸気バルブ又は排気バルブの他方を駆動する第2バルブ駆動用カムを有して構成され、
前記コントロール機構は、内燃機関に揺動自在に設けられ前記吸気バルブ又は排気バルブの他方を駆動する揺動カムと、前記第2バルブ駆動用カムを受けて該カムの変位を変更可能に前記揺動カムに伝達する伝達部材とを有して構成され、
さらに前記第1バルブ駆動用カムを受けて該カムの変位を前記吸気バルブ又は排気バルブに伝達するロッカアームが設けられ、
前記カムシャフトの回転により、前記ジャーナル孔部と前記ジャーナル部との間から飛び散る潤滑材が、少なくとも前記ロッカアームの周りを経て、前記伝達部材へ導かれるようにしてある
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置。 - 前記第1バルブ駆動用カムと前記第2バルブ駆動用カムの前記吸気バルブ又は排気バルブ側との当接方向が略同一方向となるように配置されたことを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の可変動弁装置。
- 前記ジャーナル孔部と前記ジャーナル部との間から飛び散る潤滑材は、吸気バルブ又は排気バルブが高バルブリフト制御されるときに、前記伝達部材へ行き届くように設定してあることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれか一つに記載の内燃機関の可変動弁装置。
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JP2005297923A JP2007107430A (ja) | 2005-10-12 | 2005-10-12 | 内燃機関の可変動弁装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010229940A (ja) * | 2009-03-27 | 2010-10-14 | Honda Motor Co Ltd | 内燃機関の動弁装置 |
-
2005
- 2005-10-12 JP JP2005297923A patent/JP2007107430A/ja not_active Withdrawn
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