以下、本発明の実施形態を図1〜図10を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の動弁装置Vを備える内燃機関Eは、頭上カム軸型の水冷式直列4気筒4ストローク内燃機関であり、そのクランク軸(図示されず)が車幅方向に延びる横置き配置で車両に搭載される。内燃機関Eは、直列に配列される4つのシリンダ1が一体成形されたシリンダブロックと、該シリンダブロックの上端部、したがって各シリンダ1の上端部に結合されるシリンダヘッド2と、その上端部に結合されるヘッドカバー3とを備え、前記シリンダブロック、シリンダヘッド2およびヘッドカバー3は、内燃機関Eの機関本体を構成する。
なお、この明細書または特許請求の範囲において、上下方向はシリンダ1のシリンダ軸線L1の方向A1と一致するものとし、上方は、シリンダ軸線方向A1でシリンダ1に対してシリンダヘッド2が配置される方向であるとする。さらに、この明細書または特許請求の範囲において、基準平面H1とは、シリンダ軸線L1を含むと共に動弁カムである吸気カム21または排気カム22の回転中心線L2に平行な平面であり、基準方向A2とは、基準平面H1に直交する方向を意味する。
各シリンダ1には、コンロッド(図示されず)を介して前記クランク軸に連結されるピストン4が往復動可能に嵌合するシリンダ孔が形成され、ピストン4はシリンダ1に鋳包まれたシリンダライナ5に摺動可能に嵌合する。シリンダヘッド2には、各シリンダ1に対応して、シリンダ軸線方向A1でピストン4に対向する面に燃焼室6が形成され、さらに各燃焼室6に開口する1対の吸気口7aを有する吸気ポート7および1対の排気口8aを有する排気ポート8が形成される。各燃焼室6に臨む点火栓9は、点火栓9に接続される点火コイル10と共にシリンダヘッド2の排気側に形成された挿入孔17に挿入されてシリンダヘッド2に装着される。
ここで、内燃機関Eに関して、吸気側とは、基準平面H1に対して、吸気弁13または吸気ポート7の入口が配置される側を意味し、排気側とは、基準平面H1に対して、排気弁14または排気ポート8の出口が配置される側を意味する。そして、吸気側は、基準平面H1に対しての一方側および他方側の一方であり、排気側は、前記一方側および前記他方側の他方である。
シリンダヘッド2には、シリンダ1毎に、弁ガイド11に往復動可能に支持されて、弁バネ12により常時閉弁方向に付勢されるポペット弁からなる1対の第1機関弁としての吸気弁13および1対の第2機関弁としての排気弁14が設けられる。各シリンダ1に属する吸気弁13および排気弁14は、動弁装置Vにより開閉作動させられて、それぞれ、吸気口7aおよび排気口8aを開閉する。動弁装置Vは、駆動軸81を駆動する電動モータ80(図2参照)を除いて、シリンダヘッド2とヘッドカバー3とで形成される動弁室15に収容される。
動弁装置Vは、シリンダヘッド2に回転可能に支持される1つのカム軸20を備え、さらに、シリンダ1毎に、カム軸20に設けられてカム軸20と共に回転する第1動弁カムである吸気カム21および1対の第2動弁カムである排気カム22(図2参照)と、吸気カム21の回転に応じて吸気弁13を開閉作動させる第1作動機構としての吸気作動機構と、排気カム22の回転に応じて排気弁14を開閉作動させる第2作動機構としての排気作動機構とを備える。そして、この実施形態において、前記吸気作動機構は、吸気弁13の開閉時期および最大リフト量を含む弁作動特性を内燃機関Eの運転状態に応じて制御することが可能な特性可変機構から構成される。
図1〜図3を参照すると、基準方向A2で排気側に配置されると共に吸気弁13、排気弁14および排気ロッカアーム95よりも上方に配置されるカム軸20は、その回転中心線である回転中心線L2が前記クランク軸の回転中心線に平行となるように、シリンダヘッド2に一体的に設けられるカム軸ホルダに回転可能に支持される。前記カム軸ホルダは、シリンダヘッド2に回転中心線L2の方向(前記シリンダブロックに形成されるシリンダ1の配列方向でもあり、以下、「軸方向」という。)A3に間隔をおいて設けられる複数、ここでは5つのカム軸受部23を有する。各カム軸受部23は、シリンダヘッド2に一体成形されてシリンダヘッド2をシリンダ1に結合するヘッドボルト16が挿入される基壁23aと、基壁23aにボルトにより結合される軸受壁23bと、軸受壁23bに結合される軸受キャップ23cとから構成される。
カム軸20は、前記クランク軸の軸端部とカム軸20の軸端部とに掛け渡される無端伝動帯である無端チェーンを備える動弁用伝動機構を介して伝達される前記クランク軸の動力により、該クランク軸に連動してその1/2の回転速度で回転駆動される。それゆえ、カム軸20、吸気カム21および排気カム22は、機関回転である前記クランク軸の回転に同期して回転する。また、各シリンダ1に対して、1つの吸気カム21が軸方向A3で1対の排気カム22の間に配置される。
前記特性可変機構により構成される前記吸気作動機構は、吸気弁13を開閉作動すべく吸気カム21による開弁駆動力である弁駆動力F1(図8参照)を吸気弁13に伝達する伝達機構Miと、伝達機構Miに備えられてシリンダヘッド2に対して移動可能に支持される可動体としてのホルダ30を駆動するアクチュエータとしての電動モータ80を有する駆動機構Mdとを備え、駆動機構Mdにより駆動されて移動するホルダ30の位置に応じて吸気弁13の弁作動特性が制御される。
伝達機構Miは、回転中心線L2に平行な中心線であるホルダ中心線L3を中心に電動モータ80により揺動させられるホルダ30と、ホルダ30と一体に移動する第1中心線L4を中心に揺動可能にホルダ30に支持されると共に吸気カム21により駆動されるカムフォロアとしての第1ロッカアーム50と、第2中心線L5の回りに揺動可能にホルダ30に支持されると共に第1ロッカアーム50により駆動される弁駆動部材としての第2ロッカアーム60と、第1ロッカアーム50を吸気カム21に押し付ける付勢力F3としての弾発力を発生するバネ77を保持する保持体70とを備える。そして、伝達機構Miは、第1ロッカアーム50、第2ロッカアーム60および保持体70がホルダ30に一体に組み付けられた1つのモジュールとして構成され、伝達機構Miのほぼ全体が、基準方向A2で吸気弁13と排気弁14との間に配置される。
第2ロッカアーム60は、第1ロッカアーム50により揺動させられて第1ロッカアーム50を介して伝達された弁駆動力F1を吸気弁13に伝達する。それゆえ、第1,第2ロッカアーム50,60はそれぞれ第1,第2中心線L4,L5を中心に揺動する揺動部材であり、両ロッカアーム50,60は、吸気カム21により駆動されて吸気弁13を開閉作動させる第1カムフォロアとしての吸気ロッカアームを構成する。
駆動機構Mdは、動弁室15外で前記機関本体、ここではシリンダヘッド2に取り付けられる電動モータ80(図2参照)と、動弁室15内でシリンダヘッド2に対して回転可能に支持される駆動軸81とを備える。駆動軸81は、逆回転可能な電動モータ80により回転駆動されてホルダ30を駆動して揺動させて、後述する第1支持位置を移動させる。
ここで、第1,第2中心線L4,L5および駆動軸81の軸線である回転中心線L6は、回転中心線L2とは異なる位置にあるホルダ中心線L3に平行である。また、基準平面H1に対して、ホルダ中心線L3は吸気側に、回転中心線L2,L6は排気側にそれぞれ位置し、特定平面H2に対して、回転中心線L2は上方に、回転中心線L6は下方にそれぞれ位置する。ここで、特定平面H2とは、ホルダ中心線L3を含むと共に基準平面H1に直交する平面である。
シリンダ1毎に、軸方向A3で隣接する1対のカム軸受部23の間にあって、その移動範囲である揺動範囲において常に回転中心線L2よりも下方に配置されるホルダ30は、吸気側に位置して軸受壁23bおよび保持キャップ24に枢支される支点部31と、第1ロッカアーム50を枢支する第1支持部としての第1支持軸32と、第2ロッカアーム60を枢支する第2支持部としての第2支持軸33と、支点部31、第1,第2支持軸32,33よりも下方に位置すると共に電動モータ80の駆動力が駆動軸81を介して作用する作用部としてのギヤ部34と、ギヤ部34よりも上方であって保持体70が設けられる設置部35とを備える。ここで、軸受壁23bおよび保持キャップ24は機関本体側部材であり、該機関本体側部材とは、前記機関本体および該機関本体に取り付けられる部材を意味する。
第1,第2支持軸32,33、ギヤ部34および設置部35は、いずれも基準方向A2でカム軸20と支点部31との間で、しかも基準方向A2で吸気弁13および排気弁14の間に配置される。また、前記揺動範囲において、ギヤ部34は、その全体が、上方に向かうにつれて基準方向A2での間隔が広くなる拡開形態で配置された吸気弁13および排気弁14と、シリンダ軸線方向A1(すなわち上下方向)で重なり、設置部35は、シリンダ軸線方向A1(すなわち上下方向)で吸気弁13および排気弁14と少なくとも一部が重なるように配置される(図8,図9参照)。より具体的には、前記揺動範囲において、ギヤ部34の全体は弁ステム13a,14aの先端よりも下方に位置し、設置部35の少なくとも一部は弁ステム13a,14aの先端よりも下方に位置する。さらに、第1,第2支持軸32,33および設置部35は、軸方向A3から見て(以下、「側面視」という。)、回転中心線L2、ホルダ中心線L3および回転中心線L6を3頂点とする三角形内に配置される(図1参照)。
そして、カム軸20、伝達機構Mi、伝達機構Meおよび駆動軸81に関しては、動弁室15内において、駆動軸81が、シリンダヘッド2の下部寄り、より具体的には動弁室15の最下部15a付近(すなわち、最もシリンダ1寄り)にあり、次いで下から順に、ギヤ部34、設置部35、第2支持軸33、第1支持軸32、駆動当接部53および従動当接部63の両当接部が位置し、カム軸20は第1,第2支持軸32,33よりも上方であって、上下方向で駆動当接部53および従動当接部63と重なるように位置する。そして、最下部15aは、吸気弁13と排気弁14との基準方向A2での間隔が動弁室15内において最小となる部分である。
併せて図4,図5を参照すると、側面視で、ホルダ中心線L3を中心とする概略扇形状を呈するホルダ30は、軸方向A3で対向する1対の側壁37と、両側壁37を連結すると共にホルダ中心線L3を中心とする径方向でホルダ30の最外端部を構成する連結壁38とを有し、両側壁37と連結壁38とは一体成形される。各支点部31は、側面視で、後述する弁当接部62と重なる位置に配置され、ホルダ中心線L3は、弁ステム13aの軸線に沿う弁ステム13aの延長上に配置される。これにより、ホルダ中心線L3と吸気弁13からの反力F2(図8参照)の作用線との距離が弁ステム13aの範囲を最大限として、小さく保たれる。
図2,図4,図5を参照すると、各側壁37は、ホルダ30の軸方向A3での幅が軸受壁23bに僅かな間隙を介して近接するまで拡幅されて支点部31を構成する第1部分37aと、第1部分37a以外の部分であって、第1部分37aよりもホルダ30の軸方向A3での幅が小さい第2部分37bとを有する。そして、各第2部分37aには、第1,第2支持軸32,33、設置部35、および軸方向A3に開放する開口である窓36が設けられ、一方、連結壁38にはギヤ部34が設けられる。
図2、図3に示されるように、支点部31は軸受壁23bに形成された支持部25に枢支される。該支持部25は、軸受壁23bの上端部にボルトにより結合される保持キャップ24との共同により断面形状が円形の孔26を形成し、支点部31に形成された円柱状の支持軸31aが孔26に摺動可能に挿入される。そして、隣接するシリンダ1に属するホルダ30の支持軸31aが共通の軸受壁23bおよび保持キャップ24に支持される(図2参照)。また、第2ロッカアーム60の下部に設けられる弁当接部62は、軸方向A3で1対の支点部31により形成される収容空間27に配置される。第2部分37aは、軸方向A3で1対の排気ロッカアーム95および1対の軸受部82の間に配置される。
また、軸方向A3で1対の側壁37の第2部分37bにより形成される収容空間28(図5参照)には、第1ロッカアーム50の下部に設けられる支点部51および作用部54、第2ロッカアーム60の下部に設けられる支点部61が配置される。
図1,図2,図4を参照すると、シリンダヘッド2または回転中心線L2に対する第1ロッカアーム50の支持位置である第1支持位置および第1中心線L4を規定する第1支持軸32は、各側壁37に形成された孔に圧入されて固定される円柱状の軸から構成される。支点部51でニードル軸受からなる軸受39を介して第1支持軸32に揺動可能に支持される第1ロッカアーム50は、特定平面H2よりも上方の部分に設けられるカム当接部52および駆動当接部53と、特定平面H2よりも下方の部分に設けられる作用部54とを有する。カム当接部52は、吸気カム21にころがり接触するローラ52aにより構成され、第1ロッカアーム50の凹部により形成される収容空間55に収容されるローラ52aにおいて吸気カム21に当接する。上方および吸気カム21に向かって開放する収容空間55を形成する底壁には油孔56が設けられ、動弁室15内で飛散している潤滑油が、収容空間55を形成する側壁および前記底壁の壁面に付着して該壁面を流れ、さらに油孔56を通って軸受39に供給される。
一方、シリンダヘッド2または回転中心線L2に対する第2ロッカアーム60の支持位置である第2支持位置および第2中心線L5を規定する第2支持軸33は、基準方向A2で第1中心線L4とホルダ中心線L3との間に位置するように設けられており、各側壁37に形成された孔に圧入されて固定される円柱状の軸から構成される。支点部61でニードル軸受からなる軸受40を介して第2支持軸33に揺動可能に支持される第2ロッカアーム60は、特定平面H2よりも上方の部分に設けられて駆動当接部53に当接する従動当接部63と、1対の吸気弁13の当接部としての弁ステム13aにそれぞれ当接する1対の弁当接部62とを有する。図7を併せて参照すると、従動当接部63は、駆動当接部53にころがり接触するローラ63aにより構成され、第2ロッカアーム60の凹部により形成される収容空間64に収容されるローラ63aにおいて駆動当接部53に当接する。そして、ローラ63aの第2中心線L5に直交する平面での断面形状は円であることから、後述するカム面57に当接する従動当接部63の当接面の断面形状は円弧である。また、軸受40の外周には支点部61の剛性を高める補強部材としてのスリーブ41が設けられる。そして、上方および駆動当接部53に向かって開放する収容空間64の底壁には収容空間64に開放する油孔65が設けられ、スリーブ41には油孔65に開放する油孔42が設けられる。そして、動弁室15内で飛散している潤滑油が、収容空間64を形成する側壁および前記底壁の壁面に付着して、該壁面を流れ、両油孔65,42を通って軸受40に供給される。
そして、ホルダ30の前記揺動範囲全体で、第1支持軸32は基準平面H1と交差する位置にあり、第1中心線L4は基準平面H1に近接した位置にあり、第2支持軸33および第2中心線L5は吸気側に位置する。そして、ホルダ中心線L3に対する距離は、第2中心線L5、第1中心線L4、回転中心線L6、回転中心線L2の順に大きくなる。前記揺動範囲において、第1,第2中心線L4,L5は、特定平面H2に対して、カム軸20が位置するカム軸側または上側および駆動軸81が位置する駆動軸側または下側に跨って移動する(図8,図9参照)。
また、第1ロッカアーム50に関連して、第1支持軸32およびローラ52aの支持軸52bは、または支点部51およびカム当接部52は、前記揺動範囲において、シリンダ軸線方向A1で見て(以下、「平面視」という。)、少なくとも部分的に重なるように配置され、同様に、第2ロッカアーム60に関連して、第2支持軸33およびローラ63aの支持軸63bは、または支点部61および従動当接部63は、それぞれ、前記揺動範囲において、平面視で、少なくとも部分的に重なるように配置される。(図8,図9参照)
以下、第1,第2ロッカアーム50,60について、さらに詳細に説明する。
図1,図4,図6,図8を参照すると、互いに当接する駆動当接部53および従動当接部63の一方の当接部としての駆動当接部53には、他方の当接部としての従動当接部63を構成するローラ63aとの当接により、吸気弁13を閉弁状態に保つ空走面57aと吸気弁13を開弁状態にする駆動面57bとを有するカム面57が形成される。
駆動当接部53の第1部分53aに形成される空走面57aは、第1中心線L4に直交する平面での断面形状が第1中心線L4を中心とする円弧になるように形成され、クリアランスが空走面57aとローラ63aとの間に形成される状態およびローラ63aが空走面57aに当接している状態で、第1ロッカアーム50を介して伝達された吸気カム21の弁駆動力F1(図8参照)を第2ロッカアーム60に伝達しない。このとき、第2ロッカアーム60は、第1ロッカアーム50を介して吸気カム21により揺動させられない休止状態にある。そして、第1ロッカアーム50のローラ52aが吸気カム21のベース円部21aに当接する状態で、第1ロッカアーム50と第2ロッカアーム60とが当接するとき、ローラ63aは常に空走面57aに当接する。したがって、駆動当接部53と従動当接部63との当接位置P2が空走面57aの任意の位置にあるとき、吸気弁13は弁バネ12の弾発力により閉弁状態に維持され、弁当接部62の弁当接面としての後述する調整ネジ62aの弁当接面62bと、吸気弁13の当接面としての弁ステム13aの先端面13bとの間に、バルブクリアランスが形成される。
このように、第1,第2ロッカアーム50,60がホルダ30と一体に揺動する第1,第2中心線L4,L5の位置に応じて移動して、弁作動特性が変更されるとき、ホルダ30における第1,第2中心線L4,L5の相対的な位置は不変であり、しかも空走面57aの断面形状が第1中心線L4を中心とする円弧状であることから、空走面57aにおいてローラ63aとの間に形成されるクリアランスまたはローラ63aとの当接状態を維持することが容易になり、弁作動特性の変更時にも適正なバルブクリアランスの維持が容易である。このため、例えばバルブクリアランスの増加によるバルブ打音や両ロッカアーム50,60同士の衝突による騒音の増大が防止される。
駆動当接部53の第2部分53bに形成される駆動面57bは、第1ロッカアーム50を介して伝達された弁駆動力F1を第2ロッカアーム60に伝達して第2ロッカアーム60を揺動させ、調整ネジ62aが弁ステム13aに当接しているとき、揺動する第2ロッカアーム60が弁駆動力F1を吸気弁13に伝達して、吸気弁13を所要のリフト量で開弁状態にする。
また、従動当接部63に向かって嘴状に突出する第1部分53aは、軸方向A3での幅が第2部分57bのそれより小さく(図6(A)参照)、第2ロッカアーム60の収容空間64内に収容可能である。そして、第1部分53aが収容空間64に収容された状態で、側面視で第1ロッカアーム50の一部である第1部分53aと第2ロッカアーム60とは重なる位置を占める。そして、ホルダ30が、前記揺動範囲の一方の限界位置である第1限界位置(図1,図8に示される位置)に近づくにつれて、および第1ロッカアーム50が吸気弁13のリフト量を大きくする方向に揺動するにつれて、第1部分53aにおいて、収容空間64に収容される部分の割合が大きくなる。
第1ロッカアーム50において、作用部54は、支点部51を挟んでカム当接部52および駆動当接部53とは反対側の部分に設けられる。作用部54には、第1ロッカアーム50を、ローラ52aにて吸気カム21に押し付けるバネ77の弾発力が直接作用する。作用部54は、第1ロッカアーム50において軸方向A3での幅が支点部51のそれよりも小さく(図6(B)参照)、保持体70がホルダ30と一体に移動することから、ホルダ30の揺動による当接状態の維持および吸気カム21との当接による第1ロッカアーム50の揺動による当接状態の維持が可能な範囲内のほぼ最小の長さで、第1中心線L4に対して径方向に、かつ下方に向かって延びる。さらに、作用部54は、前記揺動範囲において、平面視で第1支持軸32と重なる位置、すなわち第1支持軸32の真下で当接部材78に当接する。そして、図8に示されるように、作用部54と当接部材78との当接位置P3は、カム当接部52の吸気カム21との当接位置P1よりも第1中心線L4、すなわち前記第1支持位置(第1支持軸32)に近い。
それゆえ、第1ロッカアーム50は、前記吸気ロッカアームにおいて、バネ77の弾発力が直接作用する作用部54と該弾発力により吸気カム21に当接するカム当接部52とが設けられると共に前記第1支持位置で支持される1つの部材である。
図1,図4を参照すると、弁ステム13aに当接する調整ネジ62aを有する各弁当接部62は、第2ロッカアーム60において、吸気弁13寄りに位置する部位であり、また弁バネ12の伸縮方向(弁ステム13aに平行な方向である。)での弁バネ12の延長上に位置する部位である。
吸気弁13の先端面13bに当接する調整ネジ62aの弁当接面62bの、第2中心線L5に直交する平面での断面形状は、吸気カム21に当接している第1ロッカアーム50のカム面57と第2ロッカアーム60のローラ63aとが互いに当接状態にあると共に第2ロッカアーム60が前記休止状態で、換言すれば、ローラ63aが空走面57aに当接している状態で、ホルダ中心線L3を中心とする円弧である。そのために、弁当接面62bは、前記休止状態にある第2ロッカアーム60が空走面57aに当接する状態で、ホルダ中心線L3を軸線とする円柱面の一部である部分円柱面またはホルダ中心線L3上の一点を中心とする球面の一部である部分球面から形成される。さらに、第2ロッカアーム60が吸気弁13を閉弁状態に保つべく前記休止状態にあるとき、ホルダ30の支点部31は、側面視で、弁当接部62、さらには調整ネジ62aと重なる位置にあり、ホルダ中心線L3は、弁当接部62、さらには調整ネジ62aと交差する位置を占める。そして、前記休止状態にある第2ロッカアーム60が空走面57aに当接する状態で、ホルダ中心線L3は調整ネジ62aの中心軸線と交差する位置にある。
このように、吸気カム21から第1ロッカアーム50を経て第2ロッカアーム60に至る弁駆動力の伝達経路にクリアランスがなく、しかも第2ロッカアーム60が第1ロッカアーム50を介して吸気カム21により揺動させられない前記休止状態において、弁当接部62の弁当接面62bの断面形状がホルダ揺動中心線L3を中心とする円弧状であることにより、弁作動特性を変更すべくホルダ30がホルダ中心線L3の回りに揺動したとしても、ホルダ30と一体に揺動する第2中心線L5を有する第2ロッカアーム60がホルダ30と共に揺動して、弁当接面62aと吸気弁13の先端面13bとの間のクリアランスは一定に保たれるので、吸気カム21から吸気弁13までの間におけるバルブクリアランスが一定に維持される。
次に、ホルダ30ついて、さらに説明する。
図1〜図5を参照すると、前記第1支持位置(または第1支持軸32)および作用部54に追随して移動するように設置部35においてホルダ30に一体に設けられる保持体70は、1対の側壁37を連結する連結部71と、バネ77を保持する保持部72とを備える。連結壁38に連続する連結部71は、連結壁38および両側壁37と一体成形される。筒状の部材である保持部72は、バネ77が収容されるバネ室73aを形成する円筒状の本体部73と、連結部71のネジ孔71aにねじ込まれるネジ部を有する結合部74と、保持部72をねじ込む際に使用される工具が係合する係合部75とから構成される。保持部72の本体部73および係合部75は、側面視で各排気弁14の弁ステム14aと重なるように、軸方向A3で1対の排気弁14の間に配置される(図2参照)。係合部75には、バネ室73aに対する潤滑油および空気の流入および流出を行うための貫通孔からなる流通路75aが形成される。そして、前記第1支持位置、したがって第1支持軸32よりも下方であって、しかも上下方向でカム軸20と駆動軸81との間に配置される保持体70は、ホルダ30が前記揺動範囲で揺動するとき、カム軸20と駆動軸81との間で上下方向に移動する。
保持体70に保持される付勢部材は、弾性部材としての圧縮コイルバネからなるバネ77と、バネ77の弾発力を作用させる伝達部を構成すべく作用部54に当接する当接部材78とを有する。バネ77は、一端部で、本体部73に設けられる支持部であるバネ受け部73b(図4も参照)に係止され、その他端部で当接部材78を保持する。当接部材78は、作用部54に当接して、バネ77の弾発力を作用部54に直接加える。
そして、図1,図2,図4に示されるように、バネ77および当接部材78は、付勢力F3の作用線の方向で対向する保持体70の保持部72と作用部54との間に、かつ回転中心線L2に直交する平面に沿って配置される。また、付勢力F3は、回転中心線L2にほぼ直交する平面上にある。
さらに、図2に示されるように、保持体70におけるバネ77の保持位置、すなわちバネ受け部73bの位置、さらにはバネ77および当接部材78は、それぞれのその全体が軸方向A3での吸気カム21の配置の範囲S3内にあり、または、そのほぼ全体が軸方向A3でのローラ52a,63aの配置の範囲S1,S2内にある。さらには、バネ77および当接部材78は、それぞれ、第1ロッカアーム50の支点部51および第2ロッカアーム60の支点部61の軸方向A3での幅よりも小さい軸方向A3での幅を有し、それぞれの全体が軸方向A3での支点部51および支点部61の配置の範囲S4内または収容空間28(図5参照)の軸方向A3での範囲内にある。
図1,図4を参照すると、窓36は、側面視で、収容空間28(図5参照)内に収容される作用部54、当接部材78および両者の当接位置P3が窓36と重なる位置を占めることが可能な位置に設けられる。そして、動弁室15内で飛散している潤滑油が、窓36を通って作用部54、当接部材78および当接位置P3に供給される。具体的には、図8,図9に示されるように、第1ロッカアーム50が吸気カム21のベース円部21aに当接するとき、作用部54は、ホルダ30の前記揺動範囲の全体で、常に側面視で窓36から見える位置を占め、当接部材78および当接位置P3は、前記揺動範囲の一部の範囲で、例えばホルダ30が前記揺動範囲を規定する前記第1限界位置から第2限界位置(図9に示される位置)に近づくにつれて、窓36から見える位置を占める。
ギヤ部34は、連結壁38において、ホルダ中心線L3を中心とする径方向での外周面に形成される。そして、ギヤ部34は、前記揺動範囲で基準平面H1と交差する位置にあると共に、ホルダ30が前記第1限界位置にあるとき吸気側にその大部分が位置し(図8参照)、前記第2限界位置にあるとき排気側に大部分が位置する(図9参照)。
図1〜図3を参照すると、カム軸20および回転中心線L2に平行に延びる駆動軸81は、すべてのシリンダ1に対して共通の1つの回転軸であり、そのジャーナル部81bにおいて、基壁23aに一体成形された軸受部82によりシリンダヘッド2に対して回転可能に支持される。カム軸20、ホルダ30、第1,第2ロッカアーム50,60および排気ロッカアーム95よりも下方であって、伝達機構Miの最下部であるギヤ部34の最下部34a(図4参照)と上下方向で重なる位置に配置される駆動軸81には、シリンダ1毎に、軸方向A3に間隔をおいて駆動ギヤ81aが設けられ、該駆動ギヤ81aは、連結壁38に形成されたギヤ部34に噛合して、電動モータ80のトルクによりホルダ30をホルダ中心線L3を中心に揺動させる。したがって、駆動軸81の全体は、吸気カム21および排気カム22を含むカム軸20の全体よりも下方に位置する。
シリンダヘッド2に形成される冷却水ジャケット18の上壁により構成される動弁室15の底壁2aから上方に膨出する部分であるボス部82aを有する軸受部82は、軸方向A3でカム軸受部23とは異なる位置に設けられる。具体的には、各シリンダ1において、ボス部82aは、隣接する1対のカム軸受部23から互いに対面する方向に、または軸方向A3でホルダ30に向かって突出する。駆動軸81は、カム軸20の外径(軸径)よりも小さい外径(軸径)を有することから、駆動軸81の円滑な運動を確保するためには、軸受部82での支持範囲は、カム軸20よりも大きいことが望ましい。このため、駆動軸81は、ボス部82aを有する各軸受部82で支持されることで、各カム軸受部23による軸方向A3での軸受範囲とボス部82aによる軸方向A3での軸受範囲とを合わせた軸受範囲で支持される。
そして、駆動軸81が、シリンダヘッド2においてシリンダ1寄りの部分に対応する最低部15a付近に配置されることに対応して、電動モータ80は、シリンダヘッド2においてシリンダ1寄りの部分に取り付けられる。そして、シリンダヘッド2の下部に含まれるこの最低部15a付近は、シリンダヘッド2においてシリンダ1との結合部に近いことで剛性が高い部位である。電動モータ80は、内燃機関Eの運転状態を検出する運転状態検出手段からの検出信号が入力される電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)により制御される。運転状態検出手段は、内燃機関Eの機関回転速度を検出する回転速度検出手段、アクセル操作量などから内燃機関Eの負荷を検出する負荷検出手段などから構成される。そして、ECUが前記運転状態に応じて電動モータ80の回転方向および回転数を制御することにより、駆動軸81の回転方向および回転量が制御されて、ホルダ30が、電動モータ80により駆動されて、吸気カム21またはカム軸20の回転位置とは無関係に前記揺動範囲で揺動する。そして、前記運転状態に応じて制御されるホルダ30の揺動位置に応じて、ホルダ30と一体に揺動する第1中心線L4を持つ第1ロッカアーム50および第2中心線L5を持つ第2ロッカアーム60がそれぞれ移動して、吸気弁13の開閉時期、最大リフト量および吸気カム21の1回転により最大リフト量が得られる時期である最大リフト時期が無段階に変更される。
次に、前記排気作機構について説明する。
図1〜図3を参照すると、前記排気作動機構は、各排気弁14を開閉作動すべく排気カム22の弁駆動力を各排気弁14に伝達する伝達機構Meを備える。伝達機構Meは、各シリンダ1毎に、カム軸20よりも基準平面H1寄りの排気側に配置される1対の支持部90と、1対の支持部90に揺動可能に支持される1対の第2カムフォロアとしての第3ロッカアームである排気ロッカアーム95とから構成される。
シリンダヘッド2に設けられる各支持部90(図3参照)は、軸方向A3で隣接するカム軸受部23間で、軸方向A3でホルダ30とカム軸受部23との間に配置される。各支持部90は、軸受部82のボス部82aの上部、好ましくは最上部から上方に向かって突出する基部91と、基部91に保持される本体部92とから構成される。ボス部82aと一体成形される基部91は、基壁23aと軸受壁23bとの合わせ面にほぼ達するまで延びる。基部91には、シリンダ軸線方向A1に平行に延びる挿入孔91aが形成され、挿入孔91aには、排気ロッカアーム95をそれぞれ揺動可能に支持する本体部92が挿入される。本体部92は、挿入孔91aの壁面に形成されるネジ部に螺合するネジ部を有して挿入孔91aに収容される収容部92aと、本体部92をねじ込む際の工具の係合部92bと、本体部92の最上部である枢支部92cとを備える。
枢支部92cは、排気ロッカアーム95の支点部96と共に球面軸受を構成し、該支点部96を球面支持する。そのため、枢支部92cは、支点部96と当接して該支点部96を支持する支持面92c1を有し、支持面92c1は球面または球面に近似した曲面により構成される。さらに、各本体部92には、一端部で挿入孔91aに開放し、他端部で支持面92c1に開口する貫通孔からなる第2油路93が形成される。一方、駆動軸81には、図示されない給油路からの潤滑油が供給される油路83が回転中心線L6に沿って設けられ、さらに径方向に延びる油路84と、ジャーナル部91bと軸受部82との間に周方向に延びて設けられた溝からなる油路85とが設けられる。また、ボス部82aには、油路85と挿入孔91とを連通させる油路86が設けられる。それゆえ、油路83の潤滑油が油路84,85,86を経て挿入孔91aに流入し、さらに挿入孔91aから油路93を経て支持面92c1に導かれる。ここで、油路83,84,85は駆動軸81に設けられた第1油路を構成する。
各排気ロッカアーム95は、その一端部の支点部96において支持部90に支持され、その他端部の弁当接部97において排気弁14の弁ステム14aに当接し、弁当接部97とカム当接部98との間の部位である中間部のカム当接部98において排気カム22に当接する。カム当接部98は、排気カム22にころがり接触するローラ98aにより構成され、ローラ98aにおいて排気カム22に当接する。ここで、排気弁14において、弁ステム14aは、弁当接部25bが当接する当接部であり、先端面14bは、該当接部の当接面である。
そして、排気ロッカアーム95の支点部96は、側面視で軸受壁23bおよびホルダ30と重なるように配置され、しかも軸受壁23bおよびホルダ30との軸方向A3での隙間は、シリンダヘッド2にホルダ30が組み付けられた状態で排気ロッカアーム95がシリンダヘッド2に組み付けられる際に、支点部96が支持面92c1に載置される排気ロッカアーム95が軸方向A3に倒れることが防止されるように、換言すれば、排気ロッカアーム95が倒れて、支持面92c1から離脱することが防止されるれるように、極力小さくされる。
また、ホルダ30は、側面視で軸受部82および支持部90の基部91と重なるように配置され、しかも軸受部82および基部91との軸方向A3での隙間は、第1,第2ロッカアーム50,60が組み付けられたホルダ30がシリンダヘッド2に組み付けられる際に、支持部31に載置されるホルダ30が特定平面H2に対して軸方向A3に大きく傾斜することが防止されるように、極力小さくされる。しかも、ボス部82aの端面82a1の軸方向A3での位置と同じ位置の端面91aを有する基部91が、ボス部82aから特定平面H2に向かって延びて設けられていることから、特定平面H2に対するホルダ30の傾斜が、基部91がない場合に比べて、より小さくなるので、傾斜防止効果が高められる。また、ボス部82aおよび基部91が排気ロッカアーム95よりも軸方向A3で突出していることにより、ホルダ30が軸方向A3に移動する場合には、軸方向A3での移動がボス部82aにより規制されて、ホルダ30が排気ロッカアーム95に干渉することが防止される。
次に、図8〜図10を参照して、前記吸気作動機構により得られる弁作動特性について説明する。
図10を参照すると、弁作動特性は、最大弁作動特性Kaおよび最小弁作動特性Kbを限界特性として、両弁作動特性Ka,Kbの間で無段階に変更され、両弁作動特性Ka,Kbの間で無数の中間弁作動特性Kcが得られる。例えば内燃機関Eが高速回転領域または高負荷領域で運転されるときの弁作動特性である最大弁作動特性Kaから、内燃機関Eが低速回転領域または低負荷領域で運転されるときの弁作動特性である中間弁作動特性kcを経て最小弁作動特性Kbまでの、吸気弁13の開閉時期および最大リフト量の変化は次のとおりである。開時期が連続的に遅角すると共に、閉時期が、開時期に比べて大きな変更量で連続的に進角して開弁期間が連続的に短くなり、さらに最大リフト時期が連続的に進角すると共に最大リフト量が連続的に小さくなる。なお、最大リフト時期は、開弁期間を二等分する時期になる。中間弁作動特性Kcでは、最大弁作動特性Kaに比べて、開弁期間および最大リフト量が小さくなり、開時期は遅角した時期に、閉時期および最大リフト時期は進角した時期になる。
また、この実施形態では、最小弁作動特性Kbは、最大リフト量がゼロとなって、吸気弁13の開閉作動が休止される弁休止状態が得られる弁作動特性である。
最大弁作動特性Kaでは、前記吸気作動機構で得られる弁作動特性において、開弁期間および最大リフト量が最も大きくなり、閉時期は最も遅角した時期になる。最大弁作動特性Kaは、ホルダ30が、図8(または図1)に示される前記第1限界位置を占めるときに得られる。なお、図8,図9においては、吸気弁13が閉弁状態にあるときの伝達機構Miが実線で示され、吸気弁13が最大リフト量で開弁したときの伝達機構Miが二点鎖線で示されている。
図8を参照すると、前記第1限界位置にあるホルダ30は、前記揺動範囲において、回転中心線L2または吸気カム21から最も遠く、駆動軸81に最も近い揺動位置を占める。第1ロッカアーム50のローラ52aが吸気カム21のベース円部21aに当接する状態で、第2ロッカアーム60のローラ63aは、カム面57の空走面57aに当接する状態にある。第1ロッカアーム50が、カム山部21bに当接して、弁駆動力F1により吸気カム21の回転方向R(図8において時計方向)に揺動させられると、駆動面57bがローラ63aに当接して、第2ロッカアーム60を回転方向Rに揺動させ、第2ロッカアーム60が弁バネ12の弾発力に抗して吸気弁13を開弁させる。そして、ローラ52aがカム山部21bの頂点21b1に当接した状態で、駆動当接部53の第1部分53aは、収容空間64に最大の割合で収容される。
一方、最小弁作動特性Kbは、ホルダ30が図9に示される前記第2限界位置を占めるときに得られる。最小弁作動特性Kbでは、吸気カム21の弁駆動力F1により第1ロッカアーム50が揺動させられるにも拘わらず、ローラ63aは空走面57aに当接する状態にあり、第2ロッカアーム60が前記休止状態にある。
このように、この動弁装置Vでは、最大リフト量が小さくなるにつれて、開時期が比較的小さな変更量で遅角する一方で、閉時期および最大リフト時期は、開時期に比べて大きな変更量で進角して、吸気弁13の早閉じが行われる。このため、内燃機関Eが低速回転領域または低負荷領域で運転されるときには、吸気弁13が最大リフト量が小さい小リフト量領域で開閉作動されると共に、吸気弁13の閉時期が進角するように弁作動特性が制御されて、吸気弁13の早閉じが行われることにより、ポンピングロスが減少して、燃費性能が向上する。
次に、図8,図9を参照して、ホルダ30が前記第1限界位置から前記第2限界位置に向かって揺動するときの伝達機構Miの動作について説明する。
電動モータ80(図2参照)により駆動される駆動軸81の駆動力がギヤ部34に作用して、ホルダ30が前記第1限界位置から回転中心線L2に近づく揺動方向(回転方向R1)に上方に向かって揺動するとき、当接位置P1は反回転方向(吸気カム21の回転方向R1とは反対の方向であり、図8,図9において反時計方向。)に移動し、同時に当接位置P2が、吸気弁13の最大リフト量が減少する方向に、かつ回転中心線L2から離れる方向に移動するように、第1,第2中心線L4,L5がホルダ30と一体に揺動し、第1,第2中心線L4,L5の回りにそれぞれ第1,第2ロッカアーム50,60が揺動する。
第1中心線L4(または第1支持軸32)の揺動により、当接位置P1が前記反回転方向に移動して、ローラ52aがカム山21bに当接する時期が早められる一方、駆動当接部53は、ローラ52aがベース円部21aに当接する状態で、空走面57a上での当接位置P2の移動範囲(カム軸20の回転角または前記クランク軸のクランク角の範囲)が大きくなる方向に移動する。そして、空走面57aにおける当接位置P2の移動範囲が拡大したことにより、カム山部21bに当接して第1ロッカアーム50が揺動し始めたとしても、ローラ63aは空走面57a上に位置するために第2ロッカアーム60は前記休止状態にあり、吸気カム21がさらに回転することにより第1ロッカアーム50がさらに大きく揺動して、ローラ63aが駆動面57bに当接したときに、第2ロッカアーム60が揺動して、吸気弁13が開弁される。このため、ローラ62aがカム山部21bの頂点21b1に当接した状態でも、駆動面57bにより揺動される第2ロッカアーム60の揺動量は、前記第1限界位置のときに比べて小さくなり、吸気弁13の最大リフト量が小さくなる。そして、この実施形態では、ホルダ30が前記第1限界位置から前記第2限界位置に向かって揺動するとき、図10に示されるように、吸気弁13の開時期が比較的小さな変更量で遅角する一方で、吸気弁13の閉時期および最大リフト時期が開時期の変更量よりも大きな変更量で進角するように、吸気カム21の形状、カム面57の形状、第1,第2中心線L4,L5などの位置が設定されている。
また、ホルダ30が、前記第2限界位置から前記第1限界位置に向かって、回転中心線L2に近づくように揺動すると、最小弁作動特性Kbから最大弁作動特性Kaまで、吸気弁13の開時期が連続的に進角し、閉時期が連続的に遅角されて開弁期間が連続的に長くなり、さらに最大リフト時期が連続的に遅角されると共に最大リフト量が連続的に大きくなるように、弁作動特性が制御される。
また、図8から明らかなように、第1ロッカアーム50のカム当接部52は、回転中心線L2またはホルダ中心線L3に直交する平面上で、当接位置P1がホルダ中心線L3と回転中心線L2とを通る特定直線L7上に位置することがあるように、ローラ52aが配置される。具体的には、図8に示されるように、ホルダ30が前記第1限界位置を占めるとき、ベース円部21bにある当接位置P1が特定直線L7上に位置する。
そして、ホルダ30が、最大弁作動特性Kaが得られる前記第1限界位置を占めるときは、最小弁作動特性Kbが得られる前記第2限界位置を占めるときに比べて、ホルダ中心線L3に直交する直交平面上で、カム当接部52であるローラ52aと吸気カム21のカム山部21bとの当接位置P1は、ホルダ中心線L3と回転中心線L2とを通る特定直線L7に近い位置にあることから、ホルダ30が、弁駆動力F1が大きくなる前記第1限界位置に近づくにつれて、ローラ52aとカム山部21bとの当接位置P1が特定直線L7に近づく。それゆえ、当接位置P1が特定直線L7に近づくとき、弁駆動力F1に基づいてホルダ30に作用するホルダ中心線L3回りのモーメントはゼロに近づく。このことから、ホルダ30が、吸気弁13の最大リフト量が最も大きくなる弁作動特性が得られる前記第1限界位置に近づくにつれて、最大リフト量が大きくなるために弁駆動力F1も大きくなるが、カム山部21bでの当接位置P1が特定直線L7に近づくことで、ホルダ30に作用するモーメントを小さくできて、該モーメントに抗してホルダ30を揺動させる電動モータ80の駆動力を減少することができて、電動モータ80をコンパクトにすることができる。
次に、ホルダ30が前記揺動範囲で揺動するときの第1,第2ロッカアーム50,60の動作について、図8を参照して説明する。
第1,第2ロッカアーム50,60は、ホルダ30と一体に揺動する第1,第2中心線L4,L5の揺動位置に応じて移動するため、ホルダ30における第1,第2中心線L4,L5の相対的な位置は不変であり、しかも空走面57aの断面形状が第1中心線L4を中心とする円弧状であることから、空走面57aとローラ63aとが当接状態にあるとき、ホルダ30の揺動位置の変更に拘わらず、第1,第2中心線L4,L5および当接位置P2の三者の位置関係は変化しない。
また、第1,第2中心線L4,L5がホルダ30と共に揺動することから、当接位置P1の移動量を大きくして弁作動特性の制御範囲を大きく設定することができる。例えば、空走面57aに対して、当接位置P2と同じ当接位置を得るために、第1中心線が移動する一方で第2中心線が移動しない場合に比べて、この伝達機構Miでは、当接位置P1の移動量を大きくすることができ、その結果、吸気弁13の開閉時期を従来に比べて大きな変更量で変更できる。そして、弁作動特性の制御範囲を大きく設定するためにホルダ30が大きな揺動量で揺動したとしても、カム面57におけるローラ63aとの当接位置P2の相対的な移動量を小さく抑えることができる。この結果、伝達機構Miの配置の自由度が大きくなって、その適用範囲が拡大するうえ、第1,第2ロッカアーム50,60の相対的な移動量を小さく抑えることができるので、吸気弁13の弁作動特性の制御範囲を大きく設定することができる。
次に、前述のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。
第1,第2ロッカアーム50,60は、バネ77の弾発力が直接作用する作用部54と該弾発力により吸気カム21に当接するカム当接部52とが設けられると共に前記第1支持位置を規定する第1支持軸32で支持される1つの部材である第1ロッカアーム50を有し、保持体70は、移動する前記第1支持位置に追随して移動することにより、前記第1支持位置(第1支持軸32)が駆動機構Mdにより駆動されて移動するとき、保持体70および保持体70に保持されるバネ77および当接部材78は、ホルダ30と一体的に移動(揺動)する前記第1支持位置に追随して移動することから、保持体70、バネ77および当接部材78が移動しない場合に比べて作用部54を小さくすることができるので、第1ロッカアーム50、ひいては動弁装置Vが小型化され、しかもバネ77および当接部材78を長くしたりして大きくすることなく、第1ロッカアーム50に押付け力を付与するための弾発力の変動量が小さくなるので、バネ77および当接部材78、ひいては動弁装置Vを小型化することができると共に、弾発力が安定し、第1ロッカアーム50の作動が安定する。このとき、ホルダ30に対する弾発力の方向は、ホルダ30の移動にも拘わらず不変である。
さらに、バネ77および当接部材78は、付勢力F3の作用線の方向で対向する保持体70と作用部54との間に、かつ回転中心線L2に直交する平面に沿って配置されることから、バネ77および当接部材78が軸方向A3でコンパクトに配置されるので、動弁装置Vが軸方向A3で小型化される。
そして、保持体70におけるバネ77の前記保持位置の全体またはほぼ全体が、吸気カム21、またはローラ52aおよびローラ63aが軸方向A3で配置される範囲S3,S1,S2内、さらには、保持体70、バネ77および当接部材78のそれぞれの全体が、軸方向A3での第1ロッカアーム50の支点部51および第2ロッカアーム60の支点部61の配置の範囲S4内にあることから、バネ77および当接部材78が軸方向A3でコンパクトに配置されるので、この点でも動弁装置Vが軸方向A3で小型化される。
また、弾発力は、カム当接部52が設けられた第1ロッカアーム50の部材の作用部54に直接作用することから、吸気カム21に対する適正な大きさの押付け力を得るために効果的な位置に弾発力を作用させることが可能になって、弾発力を小さくできるので、弾発力が作用する第1ロッカアーム50の剛性を大きくする必要がなく、この点でも動弁装置Vが小型化される。
前記吸気カムフォロアは、第1ロッカアーム50と、第1ロッカアーム50に当接して第1ロッカアーム50により駆動されると共に弁当接部62を有する第2ロッカアーム60とを有し、動弁装置Vは、第1ロッカアーム50を前記第1支持位置で支持すると共に第2ロッカアーム60を第2支持位置(第2支持軸33)で支持するホルダ30を備え、駆動機構Mdはホルダ30を駆動することにより、第1ロッカアーム50により第2ロッカアーム60を介して開閉作動させられる吸気弁13の弁作動特性を変更するために第1ロッカアーム50の前記第1支持位置が移動するとき、第2ロッカアーム60の前記第2支持位置も一緒に移動するので、弁作動特性の制御範囲を大きく設定するためにホルダ30が大きな揺動量で揺動したとしても、カム面57におけるローラ63aとの当接位置P2の相対的な移動量を小さく抑えることができるので、第2ロッカアーム60が移動しないときに比べて簡単な構造で、前記第1支持位置の移動量を大きくすることができて、弁作動特性の制御範囲を大きくすることができる。
保持体70はホルダ30に一体に設けられることにより、保持体70はホルダ30と一体に移動するため、簡単な構造で、保持体70を第1支持位置に追随させることができるので、保持体70に追随運動を行わせるための構造が簡単化され、また作用部54と当接部材78との当接位置P3はカム当接部52の吸気カム21との当接位置P1よりも前記第1支持位置に近いことにより、ホルダ30の移動により当接位置P1が移動したときに作用部54における付勢力F3の作用点の移動量が小さくなるので、前記第1支持位置の移動に伴う付勢力F3の変動量が抑制されて、第1ロッカアーム50の作動安定性が高まる。
ホルダ30は、第1,第2ロッカアーム50,60が収容される収容空間28を形成する1対の側壁37と、各側壁37に設けられて第1,第2ロッカアーム50,60を支持する第1,第2支持軸32,33とを備え、保持体70は第1,第2支持軸32,33とは別の位置で1対の側壁37を連結するように設けられることにより、1対の側壁37を備えるホルダ30が、第1,第2支持軸32,33以外の部分で保持体70の連結部71により連結されるので、保持体70を利用してホルダ30の剛性が高められると共に、ホルダ30の剛性を高めるための補強部材を別途設ける必要がなく、ホルダ30が軽量化される。また、第1ロッカアーム50は1対の側壁37に支持されるので、1対の側壁37により、吸気カム21から加えられる弁駆動力F1等の荷重により第1ロッカアーム50が傾くことが防止されると共に、保持体70により第1ロッカアーム50の支持剛性が高められるので、第1ロッカアーム50の作動が安定する。
保持体70の連結部71は連結壁38に連続して形成されることにより、連結部71を連結壁38の一部を利用して構成することができるので、保持体70をホルダ30に設置するための専用の連結部を設けることなく、連結壁38を利用して配置することでスペースの有効活用ができる。
保持体70は、前記第1支持位置よりも下方に配置され、しかも本体部92が軸方向A3での側方であって両排気弁14の間に、側面視で排気弁14と重なるように配置されることにより、軸方向A3で排気弁14の側方であって両排気弁14の間に形成されるスペースを利用して、保持体70が配置されるので、動弁装置Vが基準方向A2で小型化される。
駆動機構Mdは、回転中心線L2に平行に延びると共に前記第1支持位置を移動させるための駆動軸81を備え、シリンダヘッド2により形成される動弁室15内において駆動軸81は第1,第2ロッカアーム50,60よりも下方に配置されると共にカム軸20は前記第1支持位置よりも上方に配置され、保持体70は、上下方向でカム軸20と駆動軸81との間に配置されて、カム軸20と駆動軸81との間で上下方向に移動することにより、カム軸20と駆動軸81との間には上下方向で比較的大きなスペースが形成され、スペースを利用して保持体70を上下方向に移動させることができるので、動弁装置V、ひいてはシリンダヘッド2が基準方向A2で小型化され、しかも大きな移動量で前記第1支持位置を移動させることが可能になるので、弁作動特性の制御範囲を大きくすることができる。
駆動軸81が、シリンダヘッド2においてシリンダ1寄りの部分に対応する最低部15a付近に配置されることに対応して、電動モータ80は、シリンダヘッド2において比較的剛性が高い部分であるシリンダ1寄りの部分、すなわちシリンダヘッド2の下部に取り付けられることにより、シリンダヘッド2において剛性が高い部分に電動モータ80を取り付けることが可能になる。この結果、電動モータ80を取り付けるために、剛性を確保するための重量増を招来することがなく、特別な支持構造を設ける必要もないので、シリンダヘッド2が軽量化されると共にその構造が簡素化される。さらに、シリンダヘッド2に取り付けられる電動モータ80は、駆動軸81が最低部15a付近に配置されることに対応して、冷却水ジャケット18に近い部分に配置されるので、前記機関本体からの熱による加熱が抑制されて、熱影響を受けにくくなる。
前記吸気作動機構は、吸気カム21により駆動されて吸気弁13を開閉作動させる第1ロッカアーム50と、第1ロッカアーム50の前記第1支持位置を移動させる駆動軸81を有する駆動機構Mdとを備えて、前記第1支持位置の移動により吸気弁13の弁作動特性を変更し、前記排気作動機構は、排気カム22により駆動されて排気弁14を開閉作動させる排気ロッカアーム95を備え、駆動軸81は、カム軸20よりも下方に、かつ基準方向A2で吸気弁13と排気弁14との間に配置されることにより、吸気カム21および排気カム22が設けられるために、弁作動特性を変更するための駆動軸81が占める径方向でのスペースよりも大きな径方向でのスペースを必要とするカム軸20の下方で、しかも基準方向A2で吸気弁13および排気弁14の間に駆動軸81が配置されるので、動弁装置Vが基準方向A2で小型化され、ひいては動弁装置Vが設けられるシリンダヘッド2が基準方向A2で小型化される。
以下、第1,第2ロッカアーム50,60が基準方向A2でコンパクトに配置されることにより、動弁装置Vを基準方向A2で小型化する構造を列挙する。
第1ロッカアーム50の、第1支持軸32およびローラ52aの支持軸52bは、または支点部51およびカム当接部52は、前記揺動範囲において、平面視で、少なくとも部分的に重なるように配置され、同様に、第2ロッカアーム60の、第2支持軸33およびローラ63aの支持軸63b、または支点部61および従動当接部63は、それぞれ、前記揺動範囲において、平面視で、少なくとも部分的に重なるように配置される。
第1ロッカアーム50の第1部分53aが第2ロッカアーム60の収容空間64に収容された状態で、側面視で第1部分53aと第2ロッカアーム60とが重なる位置を占める。
排気ロッカアーム95よりも下方に配置される駆動軸81は、軸方向A3でカム軸受部23とは異なる位置に設けられる軸受部82に回転可能に支持され、軸受部82のボス部82aの上部には排気ロッカアーム95を支持する支持面92c1を有する支持部90が設けられることにより、駆動軸81を支持する軸受部82を利用して、支持部90が設けられるので、ボス部82aがない場合に比べて支持部90が小型化される。また、軸受部82の上方のスペースを利用して、支持部90が配置されるので、支持部90を軸方向A3でコンパクトに配置することができ、ひいては動弁装置Vが軸方向A3で小型化される。
軸受部82は、カム軸受部23に一体成形により形成されているので、補強部材を別途必要とすることなく、軸受部82を利用してカム軸軸受部23の基壁23aの剛性が高められる。
排気ロッカアーム95は、支持面92c1において球面支持され、かつ、カム軸受部23および前記吸気作動機構を構成する伝達機構Miのホルダ30との当接により軸方向A3への倒れが防止されるように、軸方向A3でカム軸受部23とホルダ30との間に、側面視でカム軸受部23およびホルダ30と重なるように配置されることにより、球面支持される排気ロッカアーム95が支持部90に配置される際に、支持部90に支持された排気ロッカアーム95が軸方向A3に倒れようとしても、第2カムフォロアの軸方向A3での両側方に位置するカム軸受部23およびホルダ30に当接することにより、排気ロッカアーム95の倒れが防止されるので、シリンダヘッド2に対する排気ロッカアーム95の組付性が向上する。
前記吸気作動機構のモジュールとなった伝達機構Miは、軸方向A3で隣接する1対の軸受部82との当接により軸方向A3への傾斜が防止されるように、1対の軸受部82の間に、側面視で両軸受部82と重なるように配置されることにより、伝達機構Miが1対の軸受部82の間に配置される際に、伝達機構Miのホルダ30が側方に傾斜しようとしても、その両側方に位置する軸受部82に当接することにより、伝達機構Miの傾斜が防止されるので、シリンダヘッド2に対する伝達機構Miの組付性が向上する。
駆動軸81には油路83〜85が設けられ、軸受部82には油路86が設けられ、支持部90には、油路83〜86の潤滑油を支持面92c1に導く油路が設けられることにより、駆動軸81および軸受部82を利用して、支持面92c1へ潤滑油を導く油路83,84,85を形成することができるので、支持面92c1に供給される潤滑油の油路形成が容易になる。また、駆動軸81は、カム軸20に比べて極めて回転変動が少ないので、油路83,84,85での油圧の変動が少なく、支持面92c1に安定した油圧の潤滑油が供給されるので、支持面92c1での潤滑性が向上する。
駆動軸81は、シリンダヘッド1においてシリンダ1との結合部に近いことで剛性が高い部位である下部に、好ましくは動弁室15の最低部15a付近に配置されることになって、高い支持剛性で支持されるので、電動モータ80により駆動される駆動軸81が精度よく動作してホルダ30を揺動させ、その結果、吸気弁13の弁作動特性の制御精度が向上する。
カム軸20の軸径よりも小さい軸径を有する駆動軸が、そして、吸気弁13と排気弁14との基準方向A2での間隔が動弁室15内において最小となる最下部15a付近に配置されることで、吸気弁13と排気弁14により形成されるスペースを有効活用できる。
カム軸20および駆動軸81の回転中心線L2,L6は、排気側に配置されることにより、伝達機構Miの収容スペースが吸気側に確保されると共に、排気ロッカアーム95を小型化することができる。また、駆動軸81の回転中心線L6が、吸気側に配置されるホルダ中心線L3に対して排気側に配置され、駆動軸81の駆動力が作用するギヤ部34は、ホルダ中心線L3を中心とする径方向でホルダ30の最外端部を構成する連結壁38において、ホルダ中心線L3を中心とする径方向での外周面に形成されることにより、ホルダ30を移動させるための電動モータ80の駆動トルクを低減することができる。
以下、前述した実施形態の一部の構成を変更した実施形態について、変更した構成に関して説明する。
ホルダ30は、シリンダヘッド2に揺動可能に直接支持されてもよい。ホルダ中心線L3は、回転中心線L2と一致していてもよい。ホルダ30は、シリンダ1毎に別体の部材で構成されて分離されている必要はなく、別体の部材が連結手段により一体に結合されていてもよく、またすべてのシリンダ1に対して一体形成により形成されていてもよい。
当接部材78が使用されることなく、前記付勢部材を構成するバネ77自体または弾性部材自体が作用部54に当接してもよい。保持体70は、それ自体でバネ77を保持可能である限り、筒状の部材以外の任意の部材であってよく、バネ室73aが形成されない構造であってもよい。保持体70の連結部71は、ホルダ30とは別体に設けられて、両側壁37に取り付けられてもよい。
カム当接部52は、ローラではなく、スリッパなど、摺動面を有する部分または部材により構成されてもよい。従動当接部62は、ローラではなく、スリッパなど、断面形状が円弧である摺動面を有する部分または部材により構成されてもよい。
また、排気ロッカアームはロッカ軸に揺動可能に支持されてもよい。支持部90は、ボス部82aに一体成形により形成されてもよい。軸受部82は、カム軸受部23とは分離して設けられてもよい。さらに、前記実施形態では、駆動軸81は、シリンダヘッド2に一体成形された軸受部82によりシリンダヘッド2に直接支持されたが、駆動軸81の軸受部がシリンダヘッド2とは別体の部材により構成されて、該軸受部がシリンダヘッド2に結合されることにより、駆動軸81がシリンダヘッド2に該軸受部を介して間接的に支持されてもよい。
カム軸受部23を構成する軸受壁23bは、基壁23aと共にシリンダヘッド2に一体成形されてもよくい。
保持体70におけるバネ77の前記保持位置の少なくとも一部が、吸気カム21、またはローラ52aおよびローラ63aが軸方向A3で配置される範囲S3,S1,S2内に位置する場合にも、前記実施形態の効果に比べてコンパクト化の効果低下するものの、動弁装置Vが軸方向A3で小型化される。
第1,第2支持軸は、両端部にネジ部が設けられた軸により構成され、該ネジ部に螺合するナットにより、ホルダに固定されてもよい。
ホルダ30の代わりに、第1,第2支持軸および保持体70をそれぞれ案内する案内溝が形成された案内部材が設けられ、駆動機構Mdにより駆動される可動体が第1,第2支持軸および保持体70を前記各案内溝に沿って移動させることにより、第1,第2ロッカアーム50,60の第1,第2中心線が移動し、バネ77の付勢力F3の変動量がバネ77の一端部が固定されている場合に比べて小さくなるように保持体70が第1ロッカアーム50の前記第1支持位置および作用部54に追随して移動する構造が採用されてもよい。
前記吸気作動機構の代わりに前記排気作動機構が前記特性可変機構により構成されてもよく、また前記吸気作動機構および前記排気作動機構が前記特性可変機構により構成されてもよい。また、動弁装置Vは、吸気カムが設けられる吸気カム軸および排気カムが設けられる排気カム軸からなる1対のカム軸を備えるものであってもよい。吸気弁および排気弁の少なくとも一方の機関弁は、1つのシリンダ1について1つの機関弁から構成されてもよい。
駆動機構Mdは、作用部54に駆動力を作用させる手段として、駆動ギヤ29bの代わりに、駆動軸により揺動させられる部材やリンク機構を備えるものであってもよい。また、駆動機構Mdは、すべてのシリンダ1に共通の駆動軸を備えるものではなく、特定のシリンダ1については、別のアクチュエータにより駆動される駆動軸を備えるものであってもよい。
最小弁作動特性Kbは、最大リフト量がゼロとなるものであったが、最大リフト量がゼロ以外の値を有する特性であってもよい。
内燃機関は、前記実施形態では車両に使用されるものであったが、鉛直方向を指向するクランク軸を備える船外機等の船舶推進装置に使用されるものであってもよい。内燃機関は、4気筒以外の多気筒内燃機関、または単気筒内燃機関であってもよい。