JP2007177730A - 内燃機関の可変動弁機構 - Google Patents

内燃機関の可変動弁機構 Download PDF

Info

Publication number
JP2007177730A
JP2007177730A JP2005378297A JP2005378297A JP2007177730A JP 2007177730 A JP2007177730 A JP 2007177730A JP 2005378297 A JP2005378297 A JP 2005378297A JP 2005378297 A JP2005378297 A JP 2005378297A JP 2007177730 A JP2007177730 A JP 2007177730A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
arm assembly
control shaft
axial direction
arm
cylinder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005378297A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiaki Miyasato
佳明 宮里
Takahide Koshimizu
孝英 腰水
Takao Yuasa
貴夫 湯浅
Hidekazu Hioka
英一 日岡
Yuji Yoshihara
裕二 吉原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2005378297A priority Critical patent/JP2007177730A/ja
Publication of JP2007177730A publication Critical patent/JP2007177730A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Abstract

【課題】熱膨張量の差に起因する機関バルブの作用角やリフト量の変化を抑制するような内燃機関の可変動弁機構を提供する。
【解決手段】エンジン10の可変動弁機構30では、スライダギア43がコントロールシャフト32に連動して軸方向に駆動されると、スライダギア43に対するアームアッシAの相対位置が変化し、吸気バルブ21の作用角およびリフト量が連続的に変更される。アームアッシAは一対の支持壁25、25間に配設され、アームアッシAと支持壁25との間には、位置調整用シム52と固定用ホルダ53とが設けられる。固定用ホルダ53は支持壁25とは異なる線膨張係数の材料で形成される。位置調整用シム52には傾斜面52aが形成され、この傾斜面52aによりアームアッシAが温度上昇による支持壁25とコントロールシャフト32との軸方向における熱膨張量の差を打ち消す向きに押される。
【選択図】図12

Description

本発明は、内燃機関の機関バルブのバルブ特性を連続的に変更する可変動弁機構に関する。
内燃機関(エンジン)の可変動弁機構として、機関バルブ(吸気バルブおよび排気バルブの少なくとも一方のバルブ)の作用角やリフト量のようなバルブ特性を、エンジンの運転状態に応じて連続的に変更可能とする技術が知られている。このような可変動弁機構の一例に、エンジンのシリンダヘッドに固定され、機関バルブのカムシャフトと平行に設けられた円筒状のロッカシャフトと、このロッカシャフト内に軸方向に移動可能な状態で配設されたコントロールシャフトと、ロッカシャフト上に配設される複数の可変バルブリフト機構とを備えて構成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
そして、可変バルブリフト機構は、エンジンの各気筒ごとに設けられており、コントロールシャフトと連動して移動可能なスライダギアと、スライダギア上に設けられるアームアッシ(アームアッセンブリ)とを備えて構成されている。アームアッシは、カムシャフトのカムにより駆動される入力アームと、機関バルブをリフトさせる出力アームとで構成されている。アームアッシは、軸方向への移動が規制された状態でロッカシャフト(コントロールシャフト)を支持する互いに隣り合う一対の支持壁間に配設されている。
スライダギアには、入力アームと噛み合う入力側ヘリカルスプラインと、出力アームと噛み合う出力側ヘリカルスプラインが形成されている。入力側ヘリカルスプラインの歯のねじれの向きと、出力側ヘリカルスプラインの歯のねじれの向きとは、反対方向に形成されている。これに対し、入力アームの内周面にはスライダギアの入力側ヘリカルスプラインに噛み合うヘリカルスプラインが形成されており、出力アームの内周面にも同様に、スライダギアの出力側ヘリカルスプラインに噛み合うヘリカルスプラインが形成されている。
上記構成の内燃機関の可変動弁機構では、カムシャフトのトルクが入力アームに伝達されると、入力アームが揺動され、この入力アームとともに出力アームが揺動される。このようなアームアッシの一体的な揺動によって機関バルブがリフトされるようになっている。そして、機関バルブの作用角やリフト量が次のようにして変更される。すなわち、コントロールシャフトの軸方向への移動に連動してスライダギアが軸方向に移動されると、コントロールシャフトの軸方向の移動位置に応じて、スライダギアに対するアームアッシの軸方向の相対位置が変化する。これにより、スライダギア上の入力アームと出力アームとが相対回転して、両者の相対位相差が変更され、機関バルブの作用角やリフト量が連続的に変更されるようになっている。なお、入力アームは、ロストモーションスプリングの弾性力によって、常にカムシャフトのカムへ押し付けられている。また、出力アームには、機関バルブのバルブスプリングの弾性力によってロッカアームが押し付けられている。
また、アームアッシと支持壁との間には、スライダギアに対するアームアッシの初期相対位置の調整を行うための位置調整部材としての位置調整用シムが配設されている。位置調整用シムは、次のような理由で設けられている。上述のような可変動弁機構では、スライダギアに対するアームアッシの相対位置が変化すると、機関バルブの作用角やリフト量が変更されるので、各気筒間で吸気バルブの作用角やリフト量にばらつきが生じないようにする必要があるからである。そして、このためには、各気筒ごとに予めスライダギアに対するアームアッシの相対位置の調整を行っておく必要がある。そこで、適宜厚さ(軸方向の幅)の位置調整用シムをアームアッシと支持壁との間に設けることによって、スライダギアに対するアームアッシの初期相対位置の調整を行って、機関バルブの初期作用角および初期リフト量を調整するようにしている。
特開2001−263015号公報
ところで、エンジンの運転にともなってその温度が上昇すると、エンジンの各部材が熱膨張する。このとき、シリンダヘッドおよび支持壁の熱膨張にともない、一対の支持壁間に挟まれたアームアッシがコントロールシャフトの一端(駆動側の端部)を基準位置として、この基準位置から離れるように移動するようになる。また、コントロールシャフトがその熱膨張により伸張し、これにともない、コントロールシャフトと連動して移動するスライダギアが上記基準位置から離れるように移動するようになる。
しかし、シリンダヘッドおよび支持壁はアルミニウム系材料で形成されることが多いのに対し、コントロールシャフトは鉄系材料で形成されているので、シリンダヘッドおよび支持壁と、コントロールシャフトとの熱膨張量に差が発生し、アームアッシがコントロールシャフトに対して上記基準位置から離れる方向に相対移動しようとする。したがって、アームアッシがスライダギアに対して上記基準位置から離れる方向に相対移動しようとする。このため、スライダギアに対するアームアッシの相対位置が変化して、機関バルブの作用角やリフト量が変化する可能性がある。
また、多気筒エンジンの場合には、上記基準位置から離れて配置された気筒ほど、アームアッシがコントロールシャフトに対して上記基準位置から離れる方向に大きく相対移動しようとする。このため、各気筒間でスライダギアに対するアームアッシの相対位置が変化して、各気筒間で機関バルブの作用角やリフト量にばらつきが生じる可能性がある。このような熱膨張量の差に起因する各気筒間におけるばらつきは、たとえ、上述のような位置調整用シムによるアームアッシの位置調整を行っていたとしても発生する可能性がある。
本発明は、上述した従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、内燃機関が温度上昇した際、内燃機関の各部材の熱膨張量の差に起因する機関バルブの作用角やリフト量の変化を抑制することができ、また、熱膨張量の差に起因する各気筒間における機関バルブの作用角やリフト量のばらつきを抑制することができるような内燃機関の可変動弁機構を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、シリンダヘッドと一体的に設けられる複数の支持部に支持され、軸方向に駆動されるコントロールシャフトと、コントロールシャフトに連動して軸方向に駆動されるスライダと、互いに隣り合う一対の支持部間に軸方向への移動が規制された状態で配設されるアームアッシとを備え、アームアッシには、スライダの外周面に形成されたヘリカルスプラインと係合し、カムシャフトからの力を受ける入力アームと、スライダの外周面に、入力アームと係合するヘリカルスプラインとは異なる方向に形成されたヘリカルスプラインと係合し、機関バルブをリフトさせる出力アームとが設けられている内燃機関の可変動弁機構において、前記一対の支持部のうち少なくとも一方の支持部とアームアッシとの間には、スライダに対するアームアッシの相対位置を調整するための位置調整用シムと、この位置調整用シムを軸方向に直交する方向への移動を規制した状態で保持するための固定部材とが配設されており、固定部材は、支持部とは異なる線膨張係数の材料からなる部材で、シリンダヘッドに固定されており、位置調整用シムには傾斜面が形成されており、支持部と固定部材との軸方向に直交する方向における熱膨張量の差に応じて、位置調整用シムの傾斜面により、アームアッシが、支持部とコントロールシャフトとの軸方向における熱膨張量の差が打ち消されるような向きに押されることを特徴としている。
このような内燃機関の可変動弁機構では、カムシャフトのトルクが入力アームに伝達されると、入力アームが揺動され、この入力アームとともに出力アームが揺動される。このようなアームアッシの一体的な揺動によって機関バルブがリフトされる。また、機関バルブの作用角およびリフト量が次のようにして変更される。すなわち、コントロールシャフトの軸方向への移動によってスライダが軸方向に移動されると、スライダに対するアームアッシの相対位置が変化する。これにより、スライダ上の入力アームと出力アームとが相対回転して、両者の相対位相差が変更され、機関バルブの作用角およびリフト量が連続的に変更される。また、位置調整用シムの厚さ(軸方向の幅)を適宜に調整することで、スライダに対するアームアッシの初期相対位置が調整される。これにより、機関バルブの初期作用角および初期リフト量が調整される。
そして、上記の構成によれば、内燃機関の運転にともなってその温度が上昇すると、支持部および固定部材が熱膨張して軸方向に直交する方向へ伸張する。ここで、固定部材は、支持部とは異なる線膨張係数の材料からなるため、固定部材と支持部との熱膨張量に差が発生し、固定部材が支持部に対し軸方向に直交する方向に沿って相対移動する。これにともない、固定部材に固定された位置調整用シムも同様に支持部に対し軸方向に直交する方向に沿って相対移動する。そして、そのような位置調整用シムの相対移動にともなって、位置調整用シムの傾斜面によって、アームアッシが軸方向に押され、スライダに対し相対移動することが可能になる。これにより、支持部とコントロールシャフトとの軸方向における熱膨張量の差を打ち消すことが可能になり、これにともない、そのような熱膨張量の差に起因するアームアッシのスライダに対する軸方向への相対移動を抑制することができる。そして、そのようなアームアッシのスライダに対する相対移動による機関バルブの作用角およびリフト量の変化を抑制することができる。
本発明は、コントロールシャフトの軸方向に沿って複数の気筒が配置された多気筒内燃機関の可変動弁機構に適用することができる。ここで、上述した支持部とコントロールシャフトとの軸方向における熱膨張量の差を打ち消す度合いが、位置調整用シムの傾斜面の傾斜角度に応じて変化する点に着目すれば、多気筒内燃機関の可変動弁機構において、コントロールシャフトの基準位置から離れて配置された気筒ほど、その気筒に設けられる位置調整用シムの傾斜面の傾斜角度が大きく形成されているような構成が好適である。なお、コントロールシャフトの基準位置としては、例えば、コントロールシャフトの駆動側の端部、つまり、アクチュエータに接続される側の端部が挙げられる。
上記構成によれば、上述した支持部とコントロールシャフトとの軸方向における熱膨張量の差を打ち消す度合いが位置調整用シムの傾斜面の傾斜角度に応じて変化するので、位置調整用シムの傾斜面の傾斜角度をコントロールシャフトの基準位置からの距離に応じて異ならせることによって、各気筒において、支持部とコントロールシャフトとの軸方向における熱膨張量の差を打ち消すことが可能になる。これにより、そのような熱膨張量の差に起因する各気筒間における機関バルブの作用角およびリフト量のばらつきを抑制することができる。
また、上述した支持部とコントロールシャフトとの軸方向における熱膨張量の差を打ち消す度合いが、固定部材の線膨張係数と支持部の線膨張係数との差に応じて変化する点に着目すれば、多気筒内燃機関の可変動弁機構において、コントロールシャフトの基準位置から離れて配置された気筒ほど、その気筒に設けられる位置調整用シムの傾斜面の傾斜角度が大きく形成されているようにすることも好適である。そして、この場合にも、上述のような熱膨張量の差に起因する各気筒間における機関バルブの作用角およびリフト量のばらつきを抑制することができる。
本発明によれば、内燃機関の運転にともなってその温度が上昇すると、位置調整用シムの傾斜面によって、アームアッシが軸方向に押され、スライダに対し相対移動することが可能になる。これにより、支持部とコントロールシャフトとの軸方向における熱膨張量の差を打ち消すことが可能になり、これにともない、そのような熱膨張量の差に起因するアームアッシのスライダに対する軸方向への相対移動を抑制することができる。そして、そのようなアームアッシのスライダに対する相対移動による機関バルブの作用角およびリフト量の変化を抑制することができる。
また、多気筒内燃機関の可変動弁機構では、位置調整用シムの傾斜面の傾斜角度をコントロールシャフトの基準位置からの距離に応じて異ならせることによって、各気筒において、支持部とコントロールシャフトとの軸方向における熱膨張量の差を打ち消すことが可能になる。これにより、そのような熱膨張量の差に起因する各気筒間における機関バルブの作用角およびリフト量のばらつきを抑制することができる。
本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
以下では、本発明の可変動弁機構を車両に搭載される内燃機関(エンジン)に適用した例について説明する。そして、以下の例では、可変動弁機構を吸気バルブについて適用した場合について述べる。ただし、排気バルブに対しても、吸気バルブの場合と同様に適用することが可能である。
まず、エンジンの概略構成について、図1、図2を用いて説明する。
この例のエンジン10は、車両に搭載される直列4気筒ガソリンエンジンであって、4つの気筒(シリンダ:#1〜#4)12を有するシリンダブロック11と、このシリンダブロック11上に取り付けられるシリンダヘッド14とを備えている。各気筒12内には、ピストン13が往復運動可能な状態で収容されている。ピストン13は、コネクティングロッドを介してクランクシャフト34に連結されており、ピストン13の往復運動がコネクティングロッドによってクランクシャフト34の回転運動に変換される。なお、シリンダヘッド14は、アルミニウム系材料によって形成されている。
エンジン10のシリンダヘッド14には、各燃焼室15に連通する吸気ポート17と排気ポート18とが各気筒12ごとに一対ずつ設けられている。燃焼室15には、点火プラグ16が各気筒12ごとに配置されている。
シリンダヘッド14には、各吸気ポート17を開閉する吸気バルブ21と、各排気ポート18を開閉する排気バルブ22とがそれぞれ配置されている。各吸気バルブ21には、バルブスプリング21aがそれぞれ設けられており、バルブスプリング21aの弾性力によって各吸気バルブ21が吸気ポート17を閉じる方向に付勢されている。また、各排気バルブ22にも同様にバルブスプリング22aが設けられている。
吸気バルブ21の上方には、各気筒12ごとに1つの吸気カム23aを有する吸気カムシャフト23が配置されている。吸気カムシャフト23は、複数の支持壁25によって回転自在に支持されている。支持壁25は、シリンダヘッド14に一体的に設けられたカムハウジングと、このカムハウジングにボルト締結等により脱着可能に取り付けられたカムキャップとで構成されている。支持壁25は、シリンダヘッド14と同様のアルミニウム系材料によって形成されている。
また、排気バルブ22の上方に、各気筒12ごとに1つの排気カム24aを有する排気カムシャフト24が配置されている。排気カムシャフト24は、複数の支持壁26によって回転自在に支持されている。支持壁26は、シリンダヘッド14に一体的に設けられたカムハウジングと、このカムハウジングにボルト締結等により脱着可能に取り付けられたカムキャップとで構成されている。支持壁26は、シリンダヘッド14と同様のアルミニウム系材料によって形成されている。
これら吸気カムシャフト23および排気カムシャフト24は、タイミングチェーン35等を介してクランクシャフト34に駆動連結されている。そして、クランクシャフト34の回転がタイミングチェーン35等を介して吸気カムシャフト23および排気カムシャフト24に伝達され、各カムシャフト23、24の回転によって、吸気バルブ21および排気バルブ22がそれぞれ往復運動する。
吸気バルブ21の上端部と吸気カム23aとの間、および、排気バルブ22の上端部と排気カム24aとの間には、それぞれ、ローラ27aを有するロッカアーム27が揺動自在に配置されている。さらに、吸気バルブ21および排気バルブ22の各上端部の近傍には、油圧式のラッシュアジャスタ28がそれぞれ配置されている。ロッカアーム27には、バルブスプリング21a(22a)の圧縮反力とラッシュアジャスタ28の押し上げ力とが伝達されている。これにより、ロッカアーム27のローラ27aがほぼ上方に付勢されている。そして、この例では、ローラ27aは、各排気カム24aに対しては直接的に接触されている一方で、各吸気カム23aに対しては以下に述べるような可変動弁機構30を介して間接的に接触されている。なお、ロッカアームとして、ローラを備えないものを用いてもよい。
上述のようなエンジン10において、吸気カムシャフト23の近傍に可変動弁機構30が設けられている。以下、可変動弁機構30の構成について、図1〜図8を用いて詳しく説明する。なお、図3の矢印Fは、アクチュエータ33から離れる方向を示し、矢印Rは、アクチュエータ33に近づく方向を示す。
可変動弁機構30は、吸気バルブ21の作用角およびリフト量(最大リフト量)を連続的に変更するための機構であって、吸気カムシャフト23の吸気カム23aとロッカアーム27との間に配設されている。なお、ロッカアーム27は、一端がラッシュアジャスタ28に支持され、他端が吸気バルブ21上端のタペット21bに当接している。
ここで、吸気バルブ21の作用角とは、図9に示すように、吸気バルブ21の開弁時期IVOから閉弁時期IVCまでの角度範囲(図9ではクランク角で表現している)である。また、リフト量(最大リフト量)は、吸気バルブ21が開弁時において可動範囲の最も下方まで移動(リフト)したときの吸気バルブ21の移動量である。これらの作用角およびリフト量は、可変動弁機構30によって互いに同期して変化する。例えば、作用角が小さくなるほどリフト量も小さくなる。また、作用角が小さくなるに従って吸気バルブ21の開弁時期IVOと閉弁時期IVCとが互いに近寄り、開弁期間が短くなって1気筒当たりの吸入空気量が少なくなる。
可変動弁機構30は、ロッカシャフト31、コントロールシャフト32、アクチュエータ33、および、可変バルブリフト機構40を備えている。
ロッカシャフト31は、吸気カムシャフト23と平行な方向(気筒配列方向)に沿って延びる円筒状の部材であり、シリンダヘッド14に所定間隔ごとに設けられた複数の支持壁25に、軸方向および周方向への移動が規制された状態で取り付けられている。なお、ロッカシャフト31が延びる方向を、「軸方向」と称する。
ロッカシャフト31には、隣り合う支持壁25、25によって挟まれた箇所に軸方向に延びる長孔(貫通孔)31aが形成されている。この長孔31aには、コネクトピン45が挿通されている。
コントロールシャフト32は、ロッカシャフト31内に軸方向の移動が可能な状態で挿入されている。コントロールシャフト32は、その一端側に接続されているアクチュエータ33によって軸方向(F方向またはR方向)に前進・後退される。コントロールシャフト32は、鉄系材料によって形成されている。また、コントロールシャフト32には、コネクトピン45を挿入するピン挿入孔32aが形成されている。
可変バルブリフト機構40は、気筒数と同数設けられており、ロッカシャフト31に対して各気筒12と対応するように外装されている。各可変バルブリフト機構40は、スライダギア43と、このスライダギア43上に設けられるアームアッシ(アームアッセンブリ)Aとを備えている。
アームアッシAは、吸気カムシャフト23の吸気カム23aにより駆動されるカム被打部材としての入力アーム41と、吸気バルブ21をリフトさせるバルブ打部材としての出力アーム42とで構成されている。この例では、アームアッシAは、入力アーム41と、この入力アーム41の軸方向両側に配置される一対の出力アーム42、42とで構成されている。アームアッシAは、軸方向への移動が規制された状態でロッカシャフト31(コントロールシャフト32)を支持する互いに隣り合う一対の支持壁25、25間に配設されている。そして、アームアッシAと支持壁25との間には、後述する位置調整用シム51、52、位置調整用シム52を支持する固定用ホルダ53等が設けられている。
アームアッシAの入力アーム41は、円筒形のハウジング41aを備えている。ハウジング41aの内周面には、後述するスライダギア43の入力側ヘリカルスプライン43aに噛み合うヘリカルスプライン41bが形成されている。また、ハウジング41aの外周には、径方向外向きに突出する一対の支持片41c、41cが設けられており、この一対の支持片41c、41cの間にローラ41eが配置されている。ローラ41eは、ロッカシャフト31と平行な回転軸41dによって回転自在に支持されている。
各出力アーム42は、円筒形のハウジング42aを備えている。ハウジング42aの内周面には、スライダギア43の出力側ヘリカルスプライン43bに噛み合うヘリカルスプライン42bが形成されている。また、ハウジング42aの外周には、径方向外向きに突出するノーズ42cが設けられている。ノーズ42cは、略三角形状に加工されており、その一辺が凹状に湾曲するカム面42dとなっている。
そして、アクチュエータ33から近いR方向側に配置される出力アーム42と支持壁25との間には、後述する位置調整用シム51が介装されている。一方、アクチュエータ33から遠いF方向側に配置される出力アーム42と支持壁25との間には、後述する固定用ホルダ53が設けられており、この固定用ホルダ53と出力アーム42との間に位置調整用シム52とスペーサ55とが介装されている。
このような入力アーム41および2つの出力アーム42、42によって区画された内部空間には、スライダギア43が配設されている。スライダギア43は、ロッカシャフト31上にコントロールシャフト32と連動して軸方向に移動可能に外装されている。
スライダギア43は、中心に軸挿入孔43cを有する略円筒形状に加工されている。スライダギア43の軸方向の中央部には、入力アーム41のヘリカルスプライン41bに噛み合う入力側ヘリカルスプライン43aが加工されている。また、スライダギア43の軸方向の両端部には、出力アーム42、42のヘリカルスプライン42b、42bに噛み合う出力側ヘリカルスプライン43b、43bがそれぞれ加工されている。出力側ヘリカルスプライン43bは、入力側ヘリカルスプライン43aに対して外径が小さく形成されている。また、入力側ヘリカルスプライン43aと出力側ヘリカルスプライン43bとは、歯のねじれの向きが互いに逆向きとなるように加工されている。
スライダギア43の内壁の軸方向中央部には、周方向に延びる周溝43dが形成されている。この周溝43dは、貫通孔43eによってスライダギア43の外部に連通されている(図7、図8)。
そして、入力アーム41のローラ41eは、シリンダヘッド14に圧縮状態で配設されたロストモーションスプリング29の弾性力によって、常に吸気カム23aへ押し付けられている。一方、出力アーム42のハウジング42aのベース円部分またはノーズ42cのカム面42dには、吸気バルブ21のバルブスプリング21aによってロッカアーム27のローラ27aが圧接されている。これにより、吸気カムシャフト23が回転すると、吸気カム23aによって入力アーム41のローラ41eが押し下げられる。そして、入力アーム41とともに、スライダギア43および出力アーム42が一体的に揺動される。このようなアームアッシAの一体的な揺動によって、ロッカアーム27を介して吸気バルブ21がリフトされるようになっている。
次に、スライダギア43と、ロッカシャフト31およびコントロールシャフト32との結合形態について、図7、図8を用いて説明する。
ロッカシャフト31の外側のスライダギア43を、ロッカシャフト31内のコントロールシャフト32に動力伝達可能に連結するために、スライダギア43の周溝43d内には、縦断面円弧状のブッシュ46が配設されている。ブッシュ46には、周方向中間にピン挿入孔(貫通孔)46aが形成されている。
ブッシュ46は、コネクトピン44を介してコントロールシャフト32に連結されている。具体的には、コネクトピン44の先端部がブッシュ46のピン挿入孔46aに挿入されており、コネクトピン44の末端部がコントロールシャフト32のピン挿入孔32aに挿入されている。また、コネクトピン44の中間部がロッカシャフト31の長孔31aに挿入されている。
そして、このように組み付けられたスライダギア43は、次のように動作する。
コントロールシャフト32は、ロッカシャフト31の長孔31aの軸方向の長さの範囲内で、ロッカシャフト31に対して軸方向に移動可能となっている。また、スライダギア43は、周溝43dとブッシュ46との係合により、コントロールシャフト32に対する軸方向の位置が固定されているので、アクチュエータ33の駆動によりコントロールシャフト32が軸方向に移動されると、その動作がコネクトピン44およびブッシュ46を介してスライダギア43に伝えられる。これにより、コントロールシャフト32に連動してスライダギア43が軸方向に移動する。加えて、ブッシュ46がスライダギア43の周溝43d内を周方向に移動可能となっているので、その範囲内で、スライダギア43がコントロールシャフト32に対し回動可能となっている。これにより、コントロールシャフト32が軸方向に移動されると、スライダギア43は、軸方向に移動しながら、コントロールシャフト32に対して回動する。
また、入力アーム41に吸気カムシャフト23のトルクが伝達されると、そのトルクが入力アーム41からスライダギア43を介して出力アーム42に伝達されるが、このとき、スライダギア43は、ロッカシャフト31(コントロールシャフト32)の回りを揺動する。
このような可変バルブリフト機構40において、スライダギア43の入力側ヘリカルスプライン43aと、入力アーム41のヘリカルスプライン41bとは、互いに噛み合わされることによって支持されている。また同様に、スライダギア43の出力側ヘリカルスプライン43bと、出力アーム42のヘリカルスプライン42bとは、互いに噛み合わされて支持されている。
したがって、コントロールシャフト32の前進・後退によりスライダギア43を軸方向に移動させて、スライダギア43と、入力アーム41および出力アーム42との軸方向における相対位置、つまり、スライダギア43とアームアッシAとの軸方向の相対位置を変化させることによって、入力アーム41と出力アーム42とに互いに逆向きのねじり力が付与されることになる。これにより、入力アーム41と出力アーム42とが互いに相対回転し、入力アーム41(ローラ41e)と出力アーム42(ノーズ42c)との相対位相差が変更されるようになっている。
以上のようにして、入力アーム41のローラ41eと出力アーム42のノーズ42cとの相対位相差が変更されると、吸気バルブ21の作用角およびリフト量が変更される。そして、相対位相差が最も小さいとき(可変バルブリフト機構40の周方向において、ローラ41eとノーズ42cとが最も接近した状態にあるとき)、吸気バルブ21の作用角およびリフト量は最も小さくなる。逆に、相対位相差が最も大きいとき(可変バルブリフト機構40の周方向において、ローラ41eとノーズ42cとが最も離れた状態にあるとき)、吸気バルブ21の作用角およびリフト量は最も大きくなる。
そして、この例の可変動弁機構30においては、共通する1本のコントロールシャフト32に各気筒12ごとのスライダギア43がそれぞれ設けられているので、コントロールシャフト32の軸方向の前進・後退に応じて、全ての気筒12の吸気バルブ21の作用角およびリフト量が同時に変更されるようになっている。
次に、可変動弁機構30の動作について、図10、図11を用いて説明する。
まず、図10を参照して、コントロールシャフト32を最大限までアクチュエータ33から離れる方向(図3の矢印F方向)へ移動させた場合の可変動弁機構30の動作について説明する。
図10(a)に示すように、吸気カム23aのベース円部分が入力アーム41のローラ41eに当接しているとき、ロッカアーム27のローラ27aは、出力アーム42のハウジング42aのベース円部分と当接した状態にある。このため、吸気バルブ21はリフト量が「0」の状態(エンジン10の吸気ポート17を閉じた状態)に維持される。
そして、吸気カムシャフト23の時計方向への回転にともない、入力アーム41のローラ41eが吸気カム23aのリフト部分により押し下げられると、入力アーム41がロッカシャフト31に対して、反時計回り方向(図10(a)の矢印方向)に回動する。また、これに伴って、出力アーム42およびスライダギア43が一体となって揺動する。
これにより、出力アーム42のノーズ42cに形成されたカム面42dが、ロッカアーム27のローラ27aに当接し、カム面42dの押圧によってローラ27aが押し下げられる。
図10(b)に示すように、ロッカアーム27のローラ27aがカム面42dにより押圧されているとき、ロッカアーム27がラッシュアジャスタ28との当接部を中心として揺動し、吸気バルブ21が開弁される。
以上のように、コントロールシャフト32がアクチュエータ33から離れる方向に最大限まで移動した状態では、ロッカシャフト31の軸心回りにおける入力アーム41のローラ41eと、出力アーム42のノーズ42cとの相対位相差が最大となる。
これにより、吸気カム23aがローラ41eを最大限に押し下げたとき、ロッカアーム27の揺動量(揺動範囲)が最も大きくなり、吸気バルブ21は最大の作用角およびリフト量で開閉される。
次に、図11を参照して、コントロールシャフト32を最大限までアクチュエータ33に近づける方向(図3の矢印R方向)へ移動させた場合の可変動弁機構30の動作について説明する。
図11(a)に示すように、吸気カム23aのベース円部分が入力アーム41のローラ41eに当接しているときには、出力アーム42とローラ27aとの当接位置は、カム面42dから最大限まで離れた位置にある。そして、吸気カムシャフト23の回転によって、入力アーム41のローラ41eが吸気カム23aのリフト部分により押し下げられると、入力アーム41と出力アーム42とが一体となって回動する。
ただし、この場合、出力アーム42とローラ27aとの当接位置は、カム面42dから最大限離れているので、カム面42dによるロッカアーム27のローラ27aの押し下げが開始されるまでの出力アーム42の回転量が、図10に示す場合と比べて大きくなる。また、吸気カム23aのリフト部分により入力アーム41のローラ41eが押し下げられた際、ローラ27aと当接するカム面42dの範囲が、ノーズ42cの基端側の一部のみに縮小される。このため、吸気カム23aのリフト部分によるローラ41eの押し下げに応じたロッカアーム27の揺動量(揺動範囲)は小さくなる。
図11(b)に示すように、ロッカアーム27の揺動量が小さいことにより、吸気バルブ21は、より小さいリフト量にて開弁されるようになる。
また、コントロールシャフト32がアクチュエータ33に近づく方向に最大限まで移動した状態では、ロッカシャフト31の軸心回りにおけるローラ41eとノーズ42cとの相対位相差が最小となる。
これにより、吸気カム23aがローラ41eを最大限に押し下げたときのローラ27aの変位量は最も小さくなり、吸気バルブ21が最小の作用角およびリフト量で開閉されるようになる。
以上述べたように、可変動弁機構30では、全ての気筒12に共通のコントロールシャフト32が軸方向に移動されると、スライダギア43が軸方向に移動される。そして、コントロールシャフト32の軸方向の移動位置に応じて、各可変バルブリフト機構40において、スライダギア43に対するアームアッシAの軸方向の相対位置が変化する。これにより、スライダギア43上の入力アーム41と出力アーム42とが相対回転して、入力アーム41と出力アーム42との相対位相差が変更され、吸気バルブ21の作用角およびリフト量が連続的に変更されるようになっている。
そして、この例では、エンジン10の運転にともなってその温度が上昇すると、エンジン10の各部材が熱膨張するが、エンジン10の各部材の熱膨張量の差に起因する吸気バルブ21の作用角およびリフト量の変化をできる限り抑制するようにしている。次に、これについて、図12〜図15を用いて説明する。
上述したように、アームアッシAが隣り合う一対の支持壁25、25間に軸方向への移動が規制された状態で配設されている。アームアッシAのF方向側の出力アーム42と支持壁25との間には、アームアッシAの位置調整用部材としての位置調整用シム52と、この位置調整用シム52を保持(支持)する固定部材としての固定用ホルダ53と、スペーサ55とが配設されている。一方、アームアッシAのR方向側の出力アーム42と支持壁25との間には、位置調整用シム51が配設されている。
位置調整用シム51、52は、次のような理由で設けられる。共通のコントロールシャフト32によって全ての気筒12における吸気バルブ21の作用角およびリフト量を変更するようにしているので、各気筒間で吸気バルブ21の作用角およびリフト量にばらつきが生じないようにする必要があるからである。そして、このためには、各気筒ごとに予めスライダギア43に対するアームアッシAの相対位置の調整を行っておく必要がある。そこで、適宜厚さ(軸方向の幅)の位置調整用シム51、52を配設することによって、スライダギア43に対するアームアッシAの初期相対位置の調整を行って、吸気バルブ21の初期作用角および初期リフト量を調整し、各気筒間で吸気バルブ21の作用角およびリフト量にばらつきが生じないようにしている。
なお、アームアッシAは、バルブスプリング21aの弾性力およびロストモーションスプリング29の弾性力によって、一対の支持壁25、25のうち一方の支持壁25側に押し付けられる方向に付勢されているので、このようにアームアッシAが付勢される方向の支持壁25側だけに位置調整用シムを設けるようにしてもよい。この例では、アームアッシAがF方向側の支持壁25に向けて付勢されるようになっているので、R方向側の位置調整用シム51を省略して、F方向側の位置調整用シム52だけを設けるようにしてもよい。
R方向側に配置される位置調整用シム51は、板状の部材であってロッカシャフト31上に取り付けられている。この位置調整用シム51には、F方向側に配置される位置調整用シム52とは異なり、傾斜面は形成されていない。位置調整用シム51は、側面視で二股形状に形成されており、一対の支持壁25、25間に可変バルブリフト機構40を配置した状態で、ロッカシャフト31の径方向一方位から(上方から)差し込むようにして組み付けることができるようになっている。
一方、F方向側に配置される位置調整用シム52は、傾斜面52aを有する部材であって、固定用ホルダ53にボルト54によって取り付けられている。位置調整用シム52は、側面視で開口部分52bを有する二股形状に形成されており、下方が開放された状態で配置されている。開口部分52bは、ロッカシャフト31の外径サイズに対応するサイズとなっており、この開口部分52bにロッカシャフト31が挿入されている。また、位置調整用シム52には、ボルト54が挿通される貫通孔52cが形成されている。
位置調整用シム52は、軸方向の幅が上方に向かうほど大きくなるような断面台形状に形成されている。そして、アームアッシA側の面が傾斜面52aとなっている。この傾斜面52aは、スペーサ55に当接されている。傾斜面52aは、温度上昇による支持壁25とコントロールシャフト32との軸方向における熱膨張量の差を打ち消すような向きにアームアッシAを押すような向きに形成されている。言い換えれば、傾斜面52aは、エンジン10が温度上昇した際、位置調整用シム52がアームアッシAを軸方向に押す力を与えるような向きに形成されている。なお、スペーサ55を設けずに、位置調整用シム52のアームアッシA側の面を直接、R方向側の出力アーム42に接触させるようにしてもよい。
スペーサ55は、位置調整用シム52の傾斜面52aとは逆向きの傾斜面55aを有する板状の部材であってロッカシャフト31上に取り付けられている。つまり、スペーサ55は、軸方向の幅が上方に向かうほど小さくなるような断面台形状に形成されている。この傾斜面55aの傾斜角度は、位置調整用シム52の傾斜面52aの傾斜角度と等しくなっている。スペーサ55の傾斜面55aは、位置調整用シム52の傾斜面52aに当接されている。そして、スペーサ55のアームアッシA側の面55bが軸方向に対し垂直になっており、この面55bがR方向側の出力アーム42に当接されている。なお、スペーサ55にも、位置調整用シム51と同様の開口部分55cが形成されており、ロッカシャフト31の径方向一方位から(上方から)差し込むようにして組み付けることができるようになっている。
固定用ホルダ53は、位置調整用シム52を軸方向に直交する方向への移動を規制した状態で保持するための固定部材であって、シリンダヘッド14にボルト等によって固設されている。固定用ホルダ53は、鉄系材料によって形成されている。固定用ホルダ53のアームアッシA側の面には、位置調整用シム52を取り付けるための取り付け用凹部53aが形成されている。つまり、固定用ホルダ53のアームアッシA側の面が窪んで形成されている。取り付け用凹部53aは、上下中途部から上端まで形成されている。取り付け用凹部53aの横方向の幅は、位置調整用シム52の横方向の幅と略等しくなっている。取り付け用凹部53aの底面53cには、ボルト54を螺合するねじ孔53dが形成されている。ねじ孔53dは、位置調整用シム52の貫通孔52cと対応する位置に形成されている。
また、固定用ホルダ53は、側面視で上部に開口部分53bを有する二股形状に形成されており、上方が開放された状態で配置されている。開口部分53bは、ロッカシャフト31の外径サイズに対応するサイズとなっており、この開口部分53bにロッカシャフト31が挿入されている。
可変動弁機構30の組み付けの際、固定用ホルダ53は、位置調整用シム52を取り付ける前にシリンダヘッド14に取り付ける。一方、位置調整用シム52は、一対の支持壁25、25間に可変バルブリフト機構40および固定用ホルダ53を配置し、ロッカシャフト31にスペーサ55を取り付けた後に取り付けられる。このとき、位置調整用シム52の傾斜面52aをアームアッシA側(スペーサ55の傾斜面55a側)に向けた状態で、固定用ホルダ53の取り付け用凹部53aに上方から差し込み、ボルト54を締め付けて、位置調整用シム52を固定用ホルダ53に取り付けて、位置調整用シム52の軸方向に直交する方向への移動を規制する。なお、図12では、固定用ホルダ53は、支持壁25との間に隙間がない状態で配置されているが、支持壁25との間に隙間をあけて固定用ホルダ53を配置するようにしてもよい。
そして、位置調整用シム52を固定用ホルダ53に取り付けた状態では、位置調整用シム52のアームアッシA側の部分が固定用ホルダ53のアームアッシA側の面よりもアームアッシA側に突出している。なお、位置調整用シム52の開口部分52bと固定用ホルダ53の開口部分53bとによって、側面視で空間が形成されており、この空間にロッカシャフト31が挿入されている。
この例では、上述したように、シリンダヘッド14および支持壁25がアルミニウム系材料で形成されているのに対し、支持壁25とアームアッシAとの間に配設される固定用ホルダ53が鉄系材料で形成されている。また、固定用ホルダ53に固定された位置調整用シム52のアームアッシA側の面が上述したような傾斜面52aとなっている。
上記構成によれば、次のような作用効果が得られる。すなわち、エンジン10の運転にともなってその温度が上昇すると、エンジン10の各部材が熱膨張する。温度上昇時には、図15に示すように、常温時に比べて、支持壁25および固定用ホルダ53が熱膨張して上方へ(軸方向に直交する方向へ)伸張する。ここで、アルミニウム系材料の線膨張係数と鉄系材料の線膨張係数とを比較すると、鉄系材料のほうが小さい。このため、アルミニウム系材料で形成されている支持壁25と、鉄系材料で形成されている固定用ホルダ53との熱膨張量に差が発生し、固定用ホルダ53が支持壁25に対し下方に(軸方向に直交する方向に沿って)相対移動する。これにともない、固定用ホルダ53に固定された位置調整用シム52も同様に支持壁25に対し下方に(軸方向に直交する方向に沿って)相対移動する。
位置調整用シム52の軸方向の幅は、上述したように、上方に向かうほど大きくなっているので、この位置調整用シム52の傾斜面52aによってアームアッシAがスペーサ55を介してR方向側に押される。このため、アームアッシAがコントロールシャフト32(スライダギア43)に対しR方向側に相対移動することが可能になり、シリンダヘッド14および支持壁25と、コントロールシャフト32との軸方向における熱膨張量の差を打ち消すことが可能になり、これにともない、そのような熱膨張量の差に起因するアームアッシAのスライダギア43に対する軸方向への相対移動を抑制することができる。
詳しく説明すれば、エンジン10の温度上昇により、シリンダヘッド14および支持壁25が熱膨張し、これにともない、一対の支持壁25、25間に挟まれたアームアッシAが、コントロールシャフト32のアクチュエータ33への接続位置(固定位置)、つまり、コントロールシャフト32の駆動側端部を基準位置P(図2)として、この基準位置Pから離れるようにF方向側に移動する。また、コントロールシャフト32がその熱膨張により伸張し、これにともない、コントロールシャフト32と連動して移動するスライダギア43が基準位置Pから離れるようにF方向側に移動する。しかし、シリンダヘッド14および支持壁25はアルミニウム系材料で形成されているのに対し、コントロールシャフト32は鉄系材料で形成されているので、アームアッシAがコントロールシャフト32に対してF方向側に相対移動しようとする。したがって、アームアッシAがスライダギア43に対してF方向側に相対移動しようとする。そのために、スライダギア43に対するアームアッシAの相対位置が変化して、吸気バルブ21の作用角およびリフト量が変化する可能性がある。
これに対し、この例では、上述したように、位置調整用シム52の傾斜面52aによって、アームアッシAがR方向側に押されて移動することが可能になるため、その移動可能分だけ、シリンダヘッド14および支持壁25と、コントロールシャフト32との軸方向における熱膨張量の差を打ち消すことが可能になる。これによって、そのような熱膨張量の差に起因するアームアッシAのスライダギア43に対するF向側への相対移動を抑制することができる。そして、そのようなアームアッシAのスライダギア43に対する相対移動による吸気バルブ21の作用角およびリフト量の変化を抑制することができ、そのようなアームアッシAのスライダギア43に対する相対移動による機関バルブの作用角およびリフト量の変化を抑制することができる。
ここで、上述したシリンダヘッド14および支持壁25と、コントロールシャフト32との軸方向における熱膨張量の差を打ち消す度合いは、位置調整用シム52の傾斜面の傾斜角度に応じて変化するので、この点に着目すれば、多気筒内燃機関の可変動弁機構に好適な構成として、特に、次のような構成が挙げられる。図16に示すように、#1〜#4の各気筒12に傾斜面の傾斜角度(軸方向に直交する面に対する角度)の異なる位置調整用シム521、522、523、524をそれぞれ設けるようにしてもよい。この例では、位置調整用シム521、522、523、524の傾斜面の傾斜角度は、それぞれ、α1、α2、α3、α4となっている。また、α1<α2<α3<α4の関係を満たすようになっている。つまり、上述の基準位置Pから遠く離れて配置された気筒12ほど、その気筒12に配置される位置調整用シム52の傾斜面の傾斜角度を大きくしている。なお、スペーサ55についても、上述の基準位置Pから離れて配置された気筒12ほど、その気筒12に配置されるスペーサ55の傾斜面の傾斜角度が大きくなっており、各気筒12に設けられるスペーサ55の傾斜面の傾斜角度と、位置調整用シム52の傾斜面の傾斜角度とは等しくなっている。
上記構成によれば、次のような作用効果が得られる。すなわち、上述したように、支持壁25と固定用ホルダ53との熱膨張量の差によって固定用ホルダ53が支持壁25に対し下方に相対移動すると、アームアッシAが位置調整用シム52によりR方向側に押されるようになる。位置調整用シム52の傾斜面の傾斜角度を上述のように異ならせることによって、基準位置Pから離れて配置された気筒12ほど、アームアッシAがR方向側に押され、スライダギア43に対し大きく相対移動することが可能になる。これにともない、基準位置Pから離れて配置された気筒12ほど、シリンダヘッド14および支持壁25と、コントロールシャフト32との軸方向における熱膨張量の差に起因するアームアッシAのスライダギア43に対するF向側への相対移動を大きく低減することができる。
具体的には、全ての気筒12のうち、上記の基準位置Pから最も離れて配置された#4の気筒12では、シリンダヘッド14および支持壁25と、コントロールシャフト32との軸方向における熱膨張量の差が最大となり、アームアッシAがスライダギア43に対してF方向側に最も大きく相対移動しようとする。このため、位置調整用シム524の傾斜面の傾斜角度α4を最大にすることによって、アームアッシAがR方向側に押され、スライダギア43に対し最も大きく相対移動することが可能になる。これにより、軸方向における熱膨張量の差が最大の場合にも、軸方向における熱膨張量の差に起因するアームアッシAのスライダギア43に対するF向側への相対移動を低減することができる。
逆に、全ての気筒12のうち、上記の基準位置Pから最も近くに配置された#1の気筒12では、シリンダヘッド14および支持壁25と、コントロールシャフト32との軸方向における熱膨張量の差が最小となり、アームアッシAがスライダギア43に対してF方向側に最も小さく相対移動しようとする。このため、位置調整用シム521の傾斜面の傾斜角度α1を最小にすることによって、アームアッシAがR方向側に押され、スライダギア43に対し最も小さく相対移動することが可能になる。これにより、軸方向における熱膨張量の差が最小の場合にも、軸方向における熱膨張量の差に起因するアームアッシAのスライダギア43に対するF向側への相対移動を低減することができる。
このように、シリンダヘッド14および支持壁25と、コントロールシャフト32との軸方向における熱膨張量の差を打ち消す度合いが位置調整用シム52の傾斜面の傾斜角度に応じて変化するので、位置調整用シム52の傾斜面の傾斜角度を基準位置Pからの距離に応じて異ならせることによって、各気筒12において、シリンダヘッド14および支持壁25と、コントロールシャフト32との軸方向における熱膨張量の差を打ち消すことが可能になる。これにより、そのような熱膨張量の差に起因する各気筒間における吸気バルブ21の作用角およびリフト量のばらつきを抑制することができる。
以上では、固定用ホルダ53を、シリンダヘッド14および支持壁25よりも線膨張係数の小さい材料からなる部材とし、傾斜面52aを有する位置調整用シム52を、軸方向の幅が上方に向かうほど大きくなるような断面台形状に形成した場合について説明したが、固定用ホルダ53は、シリンダヘッド14および支持壁25よりも線膨張係数の大きい材料からなる部材であってもよく、位置調整用シムは、上述の形状に限定されない。例えば、固定用ホルダを、シリンダヘッド14および支持壁25よりも線膨張係数の大きい材料からなる部材とし、位置調整用シムを、軸方向の幅が上方に向かうほど小さくなるような断面台形状に形成しても、上述の場合と同様の作用効果が得られる。
また、シリンダヘッド14および支持壁25と、コントロールシャフト32との軸方向における熱膨張量の差を打ち消す度合いが、固定用ホルダ53の線膨張係数と支持壁25の線膨張係数との差に応じて変化する点に着目すれば、多気筒内燃機関の可変動弁機構に好適な構成として、基準位置Pから離れて配置された気筒12ほど、その気筒12に設けられる固定用ホルダの線膨張係数と、支持壁25の線膨張係数との差が大きくなるような構成が挙げられる。この場合にも、上述のような熱膨張量の差に起因する各気筒間における吸気バルブ21の作用角およびリフト量のばらつきを抑制することができる。
具体的には、固定用ホルダが支持壁25よりも線膨張係数の大きい材料からなる場合には、基準位置Pから離れて配置された気筒12ほど、その気筒12に設けられる固定用ホルダの線膨張係数が次第に大きくなるようにする。逆に、固定用ホルダが支持壁25よりも線膨張係数の小さい材料からなる場合には、基準位置Pから離れて配置された気筒12ほど、その気筒12に設けられる固定用ホルダの線膨張係数が次第に小さくなるようにする。
本発明を適用するエンジンの可変動弁機構の一実施形態を示す断面図である。 エンジンのシリンダヘッドを示す平面図である。 可変動弁機構のアームアッシ等を示す斜視図である。 可変動弁機構のスライダギア、アームアッシ等を示す分解斜視図である。 可変動弁機構のスライダギア、ロッカシャフト、コントロールシャフトを示す斜視図である。 可変動弁機構のスライダギア、アームアッシ等を示す水平破断斜視図である。 可変動弁機構のスライダギア、ロッカシャフト、コントロールシャフト等の組み付けを示す断面図である。 図7のX−X線に沿った断面図である。 可変動弁機構により変更される吸気バルブの作用角およびリフト量を示す図である。 アームアッシの入力アームと出力アームとの相対位相差を最大にした場合の可変動弁機構の動作説明に用いる側面図である。 アームアッシの入力アームと出力アームとの相対位相差を最小にした場合の可変動弁機構の動作説明に用いる側面図である。 アームアッシ、位置調整用シム、固定用ホルダ等を示す断面図である。 位置調整用シム、固定用ホルダを示す斜視図である。 位置調整用シム、固定用ホルダを示す分解斜視図である。 温度上昇時に軸方向における熱膨張量の差が打ち消されることを示す作用説明図である。 各気筒で傾斜面の傾斜角度を異ならせた位置調整用シムを設けたことを示す概略図である。
符号の説明
10 エンジン
14 シリンダヘッド
21 吸気バルブ
23 吸気カムシャフト
23a 吸気カム
25 支持壁
27 ロッカアーム
30 可変動弁機構
31 ロッカシャフト
32 コントロールシャフト
33 アクチュエータ
40 可変バルブリフト機構
A アームアッシ
41 入力アーム
42 出力アーム
43 スライダギア
52 位置調整用シム
52a 傾斜面
53 固定用ホルダ

Claims (3)

  1. シリンダヘッドと一体的に設けられる複数の支持部に支持され、軸方向に駆動されるコントロールシャフトと、
    コントロールシャフトに連動して軸方向に駆動されるスライダと、
    互いに隣り合う一対の支持部間に軸方向への移動が規制された状態で配設されるアームアッシとを備え、
    アームアッシには、スライダの外周面に形成されたヘリカルスプラインと係合し、カムシャフトからの力を受ける入力アームと、スライダの外周面に、入力アームと係合するヘリカルスプラインとは異なる方向に形成されたヘリカルスプラインと係合し、機関バルブをリフトさせる出力アームとが設けられている内燃機関の可変動弁機構において、
    前記一対の支持部のうち少なくとも一方の支持部とアームアッシとの間には、スライダに対するアームアッシの相対位置を調整するための位置調整用シムと、この位置調整用シムを軸方向に直交する方向への移動を規制した状態で保持するための固定部材とが配設されており、
    固定部材は、支持部とは異なる線膨張係数の材料からなる部材で、シリンダヘッドに固定されており、
    位置調整用シムには傾斜面が形成されており、
    支持部と固定部材との軸方向に直交する方向における熱膨張量の差に応じて、位置調整用シムの傾斜面により、アームアッシが、支持部とコントロールシャフトとの軸方向における熱膨張量の差が打ち消されるような向きに押されることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構。
  2. 前記内燃機関は、コントロールシャフトの軸方向に沿って複数の気筒が配置された多気筒内燃機関であって、
    コントロールシャフトが全ての気筒に共通して設けられる一方で、
    アームアッシ、スライダ、位置調整用シム、および、固定部材が各気筒ごとに設けられており、
    コントロールシャフトの基準位置から離れて配置された気筒ほど、その気筒に設けられる位置調整用シムの傾斜面の傾斜角度が大きく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁機構。
  3. 前記内燃機関は、コントロールシャフトの軸方向に沿って複数の気筒が配置された多気筒内燃機関であって、
    コントロールシャフトが全ての気筒に共通して設けられる一方で、
    アームアッシ、スライダ、位置調整用シム、および、固定部材が各気筒ごとに設けられており、
    コントロールシャフトの基準位置から離れて配置された気筒ほど、その気筒に設けられる固定部材の線膨張係数と、支持部の線膨張係数との差が大きくなることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変動弁機構。
JP2005378297A 2005-12-28 2005-12-28 内燃機関の可変動弁機構 Pending JP2007177730A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005378297A JP2007177730A (ja) 2005-12-28 2005-12-28 内燃機関の可変動弁機構

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005378297A JP2007177730A (ja) 2005-12-28 2005-12-28 内燃機関の可変動弁機構

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007177730A true JP2007177730A (ja) 2007-07-12

Family

ID=38303153

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005378297A Pending JP2007177730A (ja) 2005-12-28 2005-12-28 内燃機関の可変動弁機構

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007177730A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4883330B2 (ja) 内燃機関の可変動弁装置
US7913658B2 (en) Valve actuating mechanism for an internal combustion engine, and cylinder head incorporating same
JP4573217B2 (ja) エンジンの可変動弁装置
EP2511488A1 (en) Variable valve gear for internal combustion engine
US7934476B2 (en) Valve-actuating system for an internal combustion engine, engine incorporating same, and method of using same
JP2011117414A (ja) 内燃機関の可変動弁装置
JP2005291007A (ja) エンジンの可変動弁装置
JP2007177730A (ja) 内燃機関の可変動弁機構
JP2007107432A (ja) 内燃機関の動弁装置
JP2006220121A (ja) 内燃機関のシリンダヘッド
JP5278702B2 (ja) 内燃機関の可変動弁装置
JP2007205299A (ja) 内燃機関のシリンダヘッド
JP4325525B2 (ja) 可変動弁機構
JP2007192044A (ja) 内燃機関の可変動弁機構
JP2007077962A (ja) 可変動弁機構の組み付け方法
JP2007239496A (ja) 内燃機関のシリンダヘッド
JP2007205329A (ja) 内燃機関の可変動弁機構
JP2007132248A (ja) 可変動弁機構
JP2007107431A (ja) 内燃機関の動弁装置
JP5288134B2 (ja) 内燃機関の可変動弁装置
JP2007278079A (ja) 内燃機関の可変動弁機構
JP2007205277A (ja) 内燃機関の可変動弁機構
JP2007138843A (ja) 可変動弁機構
JP2007278089A (ja) 内燃機関の可変動弁機構
JP4469343B2 (ja) 可変動弁機構