JP2007107112A - ポリプロピレン系合成皮革 - Google Patents

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Abstract

【課題】 柔軟性、耐熱性及び耐擦傷性を高い水準でバランスよく発揮することが可能なポリプロピレン系合成皮革を提供すること。
【解決手段】 基材層、並びに、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン及びランダムポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも一種の汎用ポリプロピレンと、アタクチックポリプロピレンとを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂組成物シート層を備えるポリプロピレン系合成皮革であって、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層中に含有されている前記アタクチックポリプロピレンと、前記汎用ポリプロピレンとの質量比が、アタクチックポリプロピレン/汎用ポリプロピレン=90/10〜60/40であることを特徴とするポリプロピレン系合成皮革。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリプロピレン系合成皮革に関し、より詳しくは、文具、各種ケース、包装、家具、建装、自動車内装等の各種用途に用いられるポリプロピレン系合成皮革に関する。
従来、オレフィン系合成皮革(オレフィン系レザー)は、文具、各種ケース、包装、家具、建装、自動車内装等の用途に使用されてきた。そして、このようなオレフィン系合成皮革に使用される軟質オレフィン系樹脂としては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体等が知られている。しかしながら、このような軟質オレフィン系樹脂を用いて得られるオレフィン系合成皮革においては、耐擦傷性が十分ではないという問題や、前記軟質オレフィン系樹脂の軟化点が低いため耐熱性(表面凹凸加工の戻り等)に劣るという問題があった。そのため、耐熱性を向上させるために、高温環境下に晒される自動車内装用等の用途に用いられるオレフィン系合成皮革においては、高融点オレフィンである汎用ポリプロピレン(アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン及びランダムポリプロピレン)を添加して得られるオレフィン系合成皮革が用いられてきたが、十分な耐熱性を得るために汎用ポリプロピレンを多量に添加していたため、得られる合成皮革の柔軟性が損なわれていた。また、前記汎用ポリプロピレンと、アタクチックポリプロピレンとを含有する軟質ポリプロピレン樹脂組成物が研究、開示されている。
例えば、特開平3−14851号公報(特許文献1)においては、(A)特定の触媒の存在下に得られる数平均分子量が25000以上で、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが7以下の沸騰へプタン可溶性ポリプロピレン10〜90質量%と、(B)メルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰へプタン可溶性ポリプロピレン90〜10質量%とからなる軟質ポリプロピレン組成物が開示されている。そして、このような特許文献1においては、(A)成分としてアタクチックポリプロピレンが記載され、(B)成分としてアイソタクチックポリプロピレンが記載されている。また、特開平10−71683号公報(特許文献2)においては、主原料が高密度ポリエチレン、熱可塑性エラストマー、着色剤、及び無機充填剤からなる基材シートの上に、アイソタクチィクポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合系からなる複合立体構造を有する軟質ポリプロピレン系樹脂フィルムを積層した化粧シートが開示されている。しかしながら、このような特許文献1に記載されている軟質ポリプロピレン組成物や特許文献2に記載されている化粧シートにおいては、十分な耐熱性を有していても柔軟性や耐擦傷性が必ずしも十分とならないといった問題や十分な柔軟性を有していても必ずしも耐熱性が十分に高いものが得られないといった問題があった。特に、前記化粧シート等を高温環境下で使用される自動車内装用に使用する場合には、十分な耐熱性を得るために汎用ポリプロピレンを多量に含有させていたため、柔軟性が低下していた。また、このような軟質ポリプロピレン組成物や化粧シートにおいては、自動車内装や家具等の用途に用いた場合に人体に触れると、人体から分泌される脂質や人体に付着している化粧品中の油性物質によって膨潤したり、しわができたりする問題があった。
特開平3−14851号公報 特開平10−71683号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、柔軟性、耐熱性及び耐擦傷性を高い水準でバランスよく発揮することが可能なポリプロピレン系合成皮革を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アタクチックポリプロピレンに汎用ポリプロピレンを添加して得られるポリプロピレン系樹脂組成物シート層において、ポリプロピレン系樹脂組成物シート層中の前記アタクチックポリプロピレンと前記汎用ポリプロピレンとの質量比を、アタクチックポリプロピレン/汎用ポリプロピレン=90/10〜60/40とすることにより、相反する性能である耐熱性と柔軟性とのバランスを向上させ、得られるポリプロピレン系樹脂組成物シート層に高度な耐熱性、柔軟性及び耐擦傷性を付与することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明者らは、更に研究を重ねた結果、基材層と、前述のようにして得られるポリプロピレン系樹脂組成物シート層とを備えるポリプロピレン系合成皮革に更に特定の表面保護層を備えることによって、合成皮革(レザー)としての優れた外観を維持しつつ高度な耐油性及び耐擦傷性を付与することができ、前述の柔軟性、耐熱性及び耐擦傷性をバランスよく高水準に維持しつつ、脂質等に起因して発生する膨潤やしわ等を十分に防止することが可能となることも見出した。
すなわち、本発明のポリプロピレン系合成皮革は、基材層、並びに、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン及びランダムポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも一種の汎用ポリプロピレンと、アタクチックポリプロピレンとを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂組成物シート層を備えるポリプロピレン系合成皮革であって、
前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層中に含有されている前記アタクチックポリプロピレンと、前記汎用ポリプロピレンとの質量比が、アタクチックポリプロピレン/汎用ポリプロピレン=90/10〜60/40であることを特徴とするものである。
また、上記本発明にかかるポリプロピレン系合成皮革としては、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に、ポリウレタン系樹脂及びフッ素アクリル系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の表面処理剤からなる厚さ1〜30μmの表面保護層を更に備えることが好ましい。
また、上記本発明にかかるポリプロピレン系合成皮革としては、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層が、ガラス転移温度が−30℃以下の樹脂成分を、前記ポリプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して1〜50質量部含有するものであることが好ましい。
さらに、上記本発明にかかるポリプロピレン系合成皮革としては、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層が、ブロム系難燃剤、アンチモン系難燃剤、金属水酸化物、リン系難燃剤及び窒素−リン系難燃剤からなる群から選択される少なくとも一種の難燃剤を、前記ポリプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して1〜50質量部含有するものであることが好ましい。
本発明によれば、柔軟性、耐熱性及び耐擦傷性を高い水準でバランスよく発揮することが可能なポリプロピレン系合成皮革を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[ポリプロピレン系樹脂組成物シート層]
本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物シート層は、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン及びランダムポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも一種の汎用ポリプロピレンと、アタクチックポリプロピレンとを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂組成物シート層であって、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層中に含有されている前記アタクチックポリプロピレンと、前記汎用ポリプロピレンとの質量比が、アタクチックポリプロピレン/汎用ポリプロピレン=90/10〜60/40となる層である。
本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物に汎用ポリプロピレンとして含有されている前記アイソタクチックポリプロピレンとしては特に制限されず、全ての不斉炭素が同じ絶対配置を有するポリプロピレンであればよく適宜公知のものを用いることができる。
また、本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物に汎用ポリプロピレンとして含有されている前記シンジオタクチックポリプロピレンとしては特に制限されず、不斉炭素の絶対配置が交互に並ぶポリプロピレンであればよく適宜公知のものを用いることができる。
また、本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物に汎用ポリプロピレンとして含有されている前記ランダムポリプロピレンとしては特に制限されず、適宜公知のものを用いることができる。このようなランダムポリプロピレンとしては、例えば、プロピレン−エチレンランダムポリプロピレン、相溶性が高いゴム成分を含むランダムポリプロピレン、無水マレイン酸でグラフト重合したランダムポリプロピレン等を採用することができる。
本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物に含有されているアタクチックポリプロピレンとしては特に制限されず、不斉炭素が全くランダムに配置されたポリプロピレンであればよく適宜公知のものを用いることができる。
また、本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物シート層においては、前記アタクチックポリプロピレンと前記汎用ポリプロピレンとの質量比が、アタクチックポリプロピレン/汎用ポリプロピレン=90/10〜60/40である。このようなアタクチックポリプロピレンの質量比が、前記下限未満では、得られるポリプロピレン系合成皮革の柔軟性が低下し、他方、前記上限を超えると、得られるポリプロピレン系合成皮革の耐熱性が低下する。本発明においては、軟質系ポリオレフィンである前記アタクチックポリプロピレンに完全に相溶する高融点ポリオレフィンである前記汎用ポリプロピレンを含有させ、しかも、その質量比(アタクチックポリプロピレン/汎用ポリプロピレン)を90/10〜60/40とすることによって、従来の技術では相反する性能であった耐熱性と柔軟性とを、得られるポリプロピレン系樹脂組成物シート層にバランスよく付与することを可能としている。また、このようなポリプロピレン系樹脂組成物シート層は、前記アタクチックポリプロピレンと、前記汎用ポリプロピレンとが完全に相溶するものであることから、従来のオレフィン系熱可塑性エラストマーからなるオレフィン系合成皮革よりも、優れた表面の耐擦傷性を付与することを可能としている。
また、このようなポリプロピレン系樹脂組成物シート層中に含有されている前記アタクチックポリプロピレンと、前記汎用ポリプロピレンとの質量比としては、アタクチックポリプロピレン/汎用ポリプロピレン=70/30〜80/20であることがより好ましい。このような質量比とすることで、得られるポリプロピレン系合成皮革において、柔軟性、耐熱性及び耐擦傷性がより高い水準でバランスよく達成される傾向にある。
また、本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物シート層としては、ガラス転移温度が−30℃以下の樹脂成分を、前記ポリプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して1〜50質量部含有するものであることが好ましい。
このようにして前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層にガラス転移温度が−30℃以下(より好ましくは−80〜−30℃)の樹脂成分を含有することで、得られるポリプロピレン系合成皮革の耐寒性をより向上させることが可能となる。そして、このようにして得られるポリプロピレン系合成皮革は、例えば北米等の寒冷地で使用する自動車内装用のポリプロピレン系合成皮革として有用である。
このように、前記樹脂成分としてはガラス転移温度が−30℃以下の樹脂であればよく特に制限されないが、例えば、ポリエチレン系樹脂(HDPE、LLDPE、LDPE等);エチレン−αオレフィン共重合体;オレフィン系ゴム(EPR、EPDM等);スチレン系ゴム(SEBS、SEPS、SBR、HSBR、SEBC等),ニトリル系ゴム;オレフィン系熱可塑性エラストマー;スチレン系熱可塑性エラストマー;エチレン−酢酸ビニル共重合体;エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等を用いることが可能である。このような樹脂成分の中でも、耐寒性を向上させつつ、前記樹脂成分及び前記ポリプロピレン系樹脂組成物の相容性を向上させて、柔軟性と前記相溶性に由来する耐擦傷性とのバランスをより向上させるという観点から、オレフィン系ゴム及びオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることが好ましい。
また、前述のように、前記樹脂成分の含有量としては、前記ポリプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して1〜50質量部含有するものであることが好ましく、3〜30質量部であることがより好ましい。このような樹脂成分の含有量が、前記下限未満では、得られるポリプロピレン系合成皮革が目的とする耐寒性を発揮できない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られるポリプロピレン系合成皮革の耐熱性が低下する傾向にある。
さらに、本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物シート層としては、ブロム系難燃剤、アンチモン系難燃剤、金属水酸化物、リン系難燃剤及び窒素−リン系難燃剤からなる群から選択される少なくとも一種の難燃剤を、前記ポリプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して1〜50質量部含有することが好ましい。
前記ブロム系難燃剤、前記アンチモン系難燃剤、前記金属水酸化物、前記リン系難燃剤又は前記窒素−リン系難燃剤としては特に制限されず、適宜公知のものを使用することができる。例えば、前記金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられ、前記リン系難燃刑としては、リン酸エステル、赤リン等が挙げられる。また、前記窒素−リン系難燃剤としては、ポリリン酸アンモニウム、クフニジン系難燃剤等が挙げられる。このような難燃剤の中でもコスト面や、より高い難燃性の付与という観点から、リン酸エステルを用いることが特に好ましい。
また、このような難燃剤の含有量は、前記ポリプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましい。このような含有量とすることで、得られるポリプロピレン系合成皮革により高い難燃性を付与することが可能となり、自動車用途において要求される難燃性の規格をクリアすることが可能となる傾向にある。なお、得られるポリプロピレン系合成皮革を更に向上させるという観点からは、後述する基材にも、前記難燃剤の含浸処理を施すことが効果的である。
このようにして前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層に前記難燃剤を含有させることで、得られるポリプロピレン系合成皮革が高度な柔軟性、耐熱性及び耐擦傷性をバランスよく有しつつ、難燃性がより向上する傾向にある。そのため、このようにして得られるポリプロピレン系合成皮革には、ポリ塩化ビニル系合成皮革やポリウレタン系合成皮革等と比較しても遜色のない難燃性が付与され、例えば自動車内装用に使用されるポリプロピレン系合成皮革として有用である。
また、本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物シート層においては、上記した成分の他に、必要に応じて、ポリエチレン系樹脂(HDPE、LLDPE、LDPE)、エチレン−αオレフィン共重合体等の公知の高溶融張力樹脂、フッ素フィブリル、酸化防止剤、耐候性改良剤、充填剤、帯電防止剤、顔料、分散剤、光安定剤、発泡剤等を添加することができる。
また、本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物シート層の厚みとしては、得られるポリプロピレン系合成皮革の用途によっても異なるものではあるが、一般に、50〜1000μm(より好ましくは150〜400)であることが好ましい。前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の厚みが前記下限未満では、合成皮革としてのボリュームに欠ける傾向にあり、他方、前記上限を超えると、合成皮革としての柔軟性が低下する傾向にある。
また、本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物シート層は、必要に応じて発泡層とすることもできる。このように発泡層とすることで、柔軟化、軽量化及びボリューム感の向上が図れる傾向にある。このようにポリプロピレン系樹脂組成物シート層を発泡層とする場合には、ポリプロピレン系樹脂組成物中に発泡剤を添加する。
前記発泡剤としては、アゾジカルボアミド、オキシビスベンゼンヒドラジド、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、P−トルエンスルフォニルヒドラジド、ジアゾアミノベンゼン、ジニトロペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル等の熱分解型化学発泡剤から選ばれる1種又は2種以上の発泡剤を併用して使用することができる。また、前記発泡剤と併用して発泡助剤を使用することも可能であり、このような発泡助剤としては、亜鉛華、三塩基性硫酸金属塩、ステアリン酸金属塩等が挙げられる。
上記発泡剤の添加量は、発泡層の発泡倍率によって適宜選択されるものであり、例えば、発泡倍率が3〜15倍の場合にはポリプロピレン系樹脂組成物100質量に対して2〜20質量部程度の添加量とすることが挙げられる。
[基材層]
本発明にかかる基材層に用いられる基材としては特に制限されず、オレフィン系合成皮革の製造に用いることができる適宜公知の基材を用いることができる。このような基材としては、織物、編物、不織布等が挙げられる。このような織物や編物の素材としては、例えば、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、綿、レーヨン、或いはこれらの混紡糸等が挙げられる。また、前記編物の種類としては、例えば、両面編物、天竺編物等が挙げられ、前記織物の種類としては、平織物、綾織物、朱子織物等が挙げられる。また、基材には軟質発泡体シートを用いることも可能である。このような軟質発泡体シートとしては、ポリプロピレンフォーム、電子線架橋したポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォーム等が挙げられる。
また、このような基材からなる基材層としては、一般的に使用される厚みが100〜2000μmのものを用いることができる。
[表面保護層]
本発明のポリプロピレン系合成皮革においては、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に、ポリウレタン系樹脂及びフッ素アクリル系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の表面処理剤からなる厚さ1〜30μmの表面保護層を更に備えることが好ましい。
従来のポリプロピレン系合成皮革においては、自動車内装や家具等の用途に用いた場合に人体が触れると、人体から分泌される脂質や化粧類中の油性物質がそのポリプロピレン系合成皮革の表面に付着することによって、その表面が膨潤し、しわ、ふくれ等が生じて美観を損ねていた。更に、従来のポリプロピレン系合成皮革は、PVCやポリウレタン系合成皮革と比べると、耐擦傷性に劣るものであった。そのため、本発明のポリプロピレン系合成皮革においては、ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に、更に前記表面保護層を設けることによって、耐油性を向上させて人体から分泌される脂質、化粧品中の油性物質、更には鉱物油等に起因して、ポリプロピレン系合成皮革が膨潤すること等を十分に防止するとともに、耐擦傷性をより向上させることが可能となる。
本発明において表面処理剤として用いられている前記ポリウレタン系樹脂としては、特に制限されず、適宜公知の二官能性ポリオールと、適宜公知のジイソシアネートとを主成分として反応させて得られる分子構造中にウレタン基を有するポリウレタン系樹脂を用いることができる。このようなポリウレタン系樹脂としては、例えば、シリコン変性ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。また、このようなポリウレタン系樹脂の中でも、耐油性と耐擦傷性とをより向上させるという観点から、シリコン変性ポリウレタン樹脂(例えば、大日精化製、商品名「レサロイドLU−4305」等)を用いることが好ましい。
また、本発明において表面処理剤として用いられている前記フッ素アクリル系樹脂としては特に制限されず、例えば、フッ素アクリルプレポリマーにイソシアネート架橋剤を含有せしめて得られるフッ素アクリル系樹脂や、1液フッ素アクリル系樹脂等が挙げられる。このようなフッ素アクリル系樹脂の中でも、耐油性と耐擦傷性とをより向上させるという観点から、フッ素アクリルプレポリマー(例えば、大日本インキ製、商品名「ディフェンサTR−301」、「ディフェンサTR−306」等)にイソシアネート架橋剤(例えば、大日本インキ製、商品名「バーノックDN−950」等)を含有せしめて重合して得られるフッ素アクリル系樹脂を用いることが好ましい。
また、このような表面保護層の厚みとしては、1〜30μm(好ましくは2〜10μm)であることが好ましい。前記表面保護層の厚みが1μm未満では、表面保護層が薄くなりすぎて、ポリプロピレン系合成皮革に目的とする耐油性を付与することが困難となる傾向にあり、他方、30μmを超えると、合成皮革としての柔軟性が低下する傾向にある。
また、前記ポリウレタン系樹脂又は前記フッ素アクリル系樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、顔料、染料、防カビ剤、防藻剤、発泡剤、滑剤等を配合することができる。
[ポリプロピレン系合成皮革]
本発明のポリプロピレン系合成皮革は、前記基材層と、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層とを備えるものである。このような本発明のポリプロピレン系合成皮革によって、柔軟性、耐熱性及び耐擦傷性を高い水準でバランスよく発揮することができる。
また、本発明のポリプロピレン系合成皮革としては、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に、前記表面保護層を更に備えることが好ましい。このように、前記表面保護層を更に備えた場合には、人体等から分泌される脂質等に対して優れた耐油性を発揮することが可能となる。
以下、本発明のポリプロピレン系合成皮革を製造するのに好適な製造方法を説明する。本発明のポリプロピレン系合成皮革を製造するのに好適な製造方法は、基本的には、ポリプロピレン系樹脂組成物シートを製造する工程(A)、及び、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シートと、基材とを接着させて、基材層とポリプロピレン系樹脂組成物シート層とからなるポリプロピレン系合成皮革を得る工程(B)を含む方法である。
ポリプロピレン系樹脂組成物シートを製造する工程(A)においては、前記アタクチックポリプロピレンと、前記アイソタクチックポリプロピレン、前記シンジオタクチックポリプロピレン及び前記ランダムポリプロピレンから選択される少なくとも一種の汎用ポリプロピレンとを質量比が、前記アタクチックポリプロピレン/前記汎用ポリプロピレン=90/10〜60/40となるようにして配合し、更に必要に応じて前記各種添加剤を添加した後、これらをよく混練し、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を用いてポリプロピレン系樹脂組成物シートを製造する。
工程(A)におけるポリプロピレン系樹脂組成物シートの成形方法としては特に制限されず、カレンダー法、Tダイ押出し法、インフレーション法等の適宜公知の成形方法を採用することができる。
また、前記カレンダー法を採用してポリプロピレン系樹脂組成物シートを製造する場合には、ロール滑性を上げるために、公知の滑剤などを使用することが好ましい。このような滑剤としては、有機酸系金属塩、有機脂肪酸、金属酸化物、リン酸系化合物等が使用可能である。このような有機酸系金属塩としては、例えば、金属の高級脂肪酸塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート,ジブチル錫ステアレート)等が上げられる。
また、前記カレンダー法において、引き取り張力が不足している場合には、ポリエチレン系樹脂(HDPE、LLDPE、LDPE)、エチレン−αオレフィン共重合体等の公知の高溶融張力樹脂や、フッ素フィブリル(例えは、三菱レーヨン社製、商品名「メタブレンA−3000」)等を添加することが可能である。
工程(B)においては、前記基材の表面に接着剤を塗布し、その接着剤を塗布した面に前記ポリプロピレン系樹脂組成物シートを張り合わせた後に加熱、加圧を施すことで、基材と、ポリプロピレン系樹脂組成物シートとをずれない程度に接着させて積層させ、その後に130〜200℃程度の温度条件で加熱して、紋ロールを用いて加圧しエンボス加工を施すことで、基材層とポリプロピレン系樹脂組成物シート層とからなるポリプロピレン系合成皮革を得る。
工程(B)において用いられる接着剤としては特に制限されないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、ポリ塩化ビニルペースト、2液型ポリウレタン接着剤等が挙げられ、より高い接着性が得られるという観点から、2液型ポリウレタン接着剤を用いることが好ましい。また、より接着性を向上させるという観点から、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シートの表面にプライマー層を設けたり、コロナ放電処理やプラズマ処理を施したりすることが好ましい。
このようにしてプライマー層を設ける場合には、プライマーとしては、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、1液反応型ポリウレタン、2液反応型ポリウレタン等を用いることが可能である。このようなプライマーの中でも、密着性と耐候性の観点から、無黄変イソシアネート(例えば、大日精化製、商品名「レザロイドLU−3017」(イソシアネート架橋剤))と、ポリカーボネートポリオール(例えば、大日精化製、商品名「レザロイドLU4304」(ポリウレタンプレポリマー))とからなる2液反応型ポリウレタンを用いることが好ましい。また、このようなプライマー層の厚みとしては、1μm〜30μmの範囲であることが好ましい。また、前記コロナ放電処理やプラズマ処理の方法としては特に制限されず、適宜公知の方法を用いることができる。
また、接着剤を塗布した面に前記ポリプロピレン系樹脂組成物シートを張り合わせた後に施す加熱、加圧の条件としては、温度条件120〜170℃程度で、圧力1〜10kgf程度であることが好ましい。
また、工程(B)においては、前記基材と、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シートとをずれない程度に接着させて積層させた後に、130〜200℃程度の温度条件で加熱して、紋ロールを用いて加圧しエンボス加工を施す。このような紋ロールによる加圧により、前記基材層と、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層とが一体化してポリプロピレン系合成皮革を製造することが可能となる。
また、本発明のポリプロピレン系合成皮革として好適な前記表面保護層を更に備えるポリプロピレン系合成皮革を製造する方法としては、例えば、前述の工程(B)において基材、ポリプロピレン系樹脂組成物シートとをずれない程度に接着させて積層させた後に、更に、工程(C)として前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に、表面保護層を形成せしめる工程を含む方法が挙げられる。すなわち、このような工程(C)を含むポリプロピレン系合成皮革を製造する方法は、前述の工程(A)を行った後、前述のようにして、基材と、ポリプロピレン系樹脂組成物シートとをずれない程度に接着させて積層させ、その後に、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に表面保護層を形成せしめ、130〜200℃程度の温度条件で加熱して、紋ロールを用いて加圧しエンボス加工を施し、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に前記表面保護層を更に備えるポリプロピレン系合成皮革得る方法である。
工程(C)においては、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に、ポリウレタン系樹脂及びフッ素アクリル系樹脂から選択される少なくとも一種の表面処理剤を塗布し、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に表面保護層を形成せしめる。
工程(C)において、表面処理剤を塗布する方法としては特に制限されず、適宜公知の方法を採用することができ、例えば、印刷機やバーコーターなどの機器を用いる方法や、ローラー、刷毛等を用いる方法、噴霧器等によりスプレーによって塗布する方法等を挙げることができる。なお、本発明においては、前記表面処理剤を乾燥後の厚みが1〜30μmとなるように塗布することが好ましい。
また、このような塗布を行う前には、表面保護層と、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層との密着性を高めることで耐擦傷性及び耐油性を向上させ、表面保護層の剥がれ等による外観不良を防止できるという観点から、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シートの表面にプライマー層を設けたり、コロナ放電処理やプラズマ処理を施したりすることが好ましい。
このようにしてプライマー層を設ける場合に用いるプライマー及びプライマー層の厚みは、前述の工程(B)におけるものと同様のものである。また、前記コロナ放電処理やプラズマ処理の方法としては特に制限されず、適宜公知の方法を用いることができる。
また、工程(C)においては、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に表面保護層を形成せしめるために、表面処理剤を塗布した後に60〜150℃の温度条件で乾燥、硬化させることが好ましい。
以上、本発明のポリプロピレン系合成皮革を製造するのに好適な製造方法を説明したが、本発明のポリプロピレン系合成皮革を製造する方法は、これに限られるものではない。例えば、前述の工程(B)においては、基材の表面に接着剤を塗布しているが、このような接着剤は前記ポリプロピレン系樹脂組成物シートの表面に塗布してもよい。
また、前述の工程(C)を含む方法においては、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に表面保護層を形成せしめた後にエンボス加工を施しているが、このようなエンボス加工を表面保護層を形成せしめる前に施し、その後にプライマー処理や表面保護層の形成工程を行うことも可能である。
また、工程(A)においては、前述のようにしてポリプロピレン系樹脂組成物シートを製造しているが、以下のようにしてポリプロピレン系樹脂組成物シートを発泡シートとして製造することも可能である。
ポリプロピレン系樹脂組成物シートを発泡シートとして製造する方法としては、前記ポリプロピレン系樹脂組成物に前記発泡剤を添加し、必要に応じて滑材、難燃剤等の添加剤を配合して混練りを行い、得られた混合物を成型して発泡性シートを得た後、これを加熱することで発泡シートを製造する方法を挙げることができる。
前記混練りの方法としては公知の方法を適宜採用することができ、例えば、加圧ニーダー、ロール、バンバリーミキサー、スタチックミキサー、スクリュー式押出機等を用いる方法等が挙げられる。また、各成分を予めドライブレンドしておいたものを混練りしてもよい。
前記発泡性シートの成型方法は特に制限されず、カレンダー法、Tダイ押出法、インフレーション法等の公知の成型方法を適宜採用することができる。このような成型方法により所望の厚みの発泡性シートを得ることができる。なお、発泡性シートの成型の際には、発泡剤が発泡しないように適宜温度条件を調整して成型を行うことが好ましく、例えばカレンダー法を採用する場合には成型温度を100〜150℃に調製することが好ましい。
また、前記発泡性シートの加熱する温度としては、発泡剤の熱分解温度以上であればよく特に制限されず、通常は160〜220℃である。なお、基材に発泡性シートを張り合わせた後に、このような加熱を行って、前記発泡性シートを発泡させてもよい。
また、本発明にかかるポリプロピレン系樹脂組成物シート層を発泡層とする場合には、前記発泡層の表面に表皮層を積層させてもよい。このような表皮層としては、通常非発泡の合成樹脂シートが用いられるが、前記ポリプロピレン系樹脂組成物(発泡剤を含まないもの)からなるポリプロピレン系樹脂組成物シートを表皮層に用いることが好ましい。このようなポリプロピレン系樹脂組成物シートを表皮層に用いることで、表皮層の接着性が向上し、耐久性が向上する傾向にある。また、表皮層を形成させる前記合成樹脂シートの製造方法としては適宜公知の方法を採用することができる。また、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シートを表皮層に用いる場合においては、前述の工程(A)と同様の方法を採用してシートを製造することができる。更に、表皮層の積層方法としては特に制限されず、熱溶融して積層させる方法や適宜接着剤を使用して積層せしめる方法等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂組成物シートの製造工程においては、先ず、アタクチックポリプロピレン(住友化学社製、商品名「タフセレンX1102」、硬度(JIS A)50)と、ランダムポリプロピレン(住友化学社製、商品名「W151」)とを表1に示す配合でバンバリーミキサーに投入し、120℃の温度条件で3分間混合してポリプロピレン系樹脂組成物を得た。次に、このようにして得られたポリプロピレン系樹脂組成物をカレンダーロールを使用して、150℃の温度条件下において厚さ0.3mmのポリプロピレン系樹脂組成物シートを製造した。
次いで、厚さ0.4mmのテトロン−レーヨンメリヤスからなる基材の表面に接着剤として2液のウレタン接着剤を塗布し、前記基材と、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シートとを張り合わせた後、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シートの表面に、170℃の温度条件で紋ロールを用いた凹凸加工を施し、基材層及びポリプロピレン系樹脂組成物シート層からなる本発明のポリプロピレン系合成皮革を得た。
(実施例2〜5)
ポリプロピレン系樹脂組成物シートの製造工程においては、先ず、アタクチックポリプロピレン(住友化学社製、商品名「タフセレンX1102」、硬度(JIS A)50)と、ランダムポリプロピレン(住友化学社製、商品名「W151」)とを表1に示す配合でバンバリーミキサーに投入し、120℃の温度条件で3分間混合してポリプロピレン系樹脂組成物を得た。次に、このようにして得られたポリプロピレン系樹脂組成物をカレンダーロールを使用して、150℃の温度条件下において厚さ0.3mmのポリプロピレン系樹脂組成物シートを製造した。
次いで、厚さ0.4mmのテトロン−レーヨンメリヤスからなる基材の表面に接着剤として2液のウレタン接着剤を塗布し、前記基材と、前記ポリプロピレン系樹脂組成物シートとを張り合わせた。
その後、このようにして得られた積層体のポリプロピレン系樹脂組成物シート層面の表面にコロナ処理を施し、ウレタンポリマー(大日精化製、商品名「レザロイドLU4304」)及びイソシアネート架橋剤(大日精化製、商品名「レザロイドLU−3017」)からなる2液ウレタンポリマーを、前記積層体のポリプロピレン系樹脂組成物シート層面の表面にグラビア塗工機を用いて厚みが5μmとなるように塗布し、プライマー層を形成せしめる。そして、このようにして前記積層体に形成されたプライマー層の表面にシリコン変性ポリウレタン(大日精化製、商品名「レザロイドLU4305」)をグラビア塗工機を用いて乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布した後、オーブンに入れ、100℃の温度条件下、3分間加熱し、前記積層体にシリコン変性ポリウレタンからなる表面保護層を形成せしめ、更に、その表面保護層の表面に、170℃の温度条件で紋ロールを用いた凹凸加工を施し、基材層、ポリプロピレン系樹脂組成物シート層及び表面保護層からなる本発明ポリプロピレン系合成皮革を得た。
(実施例6〜7)
アタクチックポリプロピレン(住友化学社製、商品名「タフセレンX1102」、硬度(JIS A)50)と、ランダムポリプロピレン(住友化学社製、商品名「W151」)の他に、更に、ガラス転移温度が−30℃以下の樹脂成分(JSR社製、商品名「JSR EP11」)を投入し、表1に示す配合でポリプロピレン系樹脂組成物を得た以外は実施例2と同様にして本発明のポリプロピレン系合成皮革を得た。
(実施例8〜9)
アタクチックポリプロピレン(住友化学社製、商品名「タフセレンX1102」、硬度(JIS A)50)と、ランダムポリプロピレン(住友化学社製、商品名「W151」)の他に、更に、水酸化マグネシウムからなる難燃剤(協和化学工業社製、商品名「キスマ5A」)を投入し、表1に示す配合でポリプロピレン系樹脂組成物を得た以外は実施例2と同様にして本発明のポリプロピレン系合成皮革を得た。
(比較例1)
アタクチックポリプロピレン(住友化学社製、商品名「タフセレンX1102」、硬度(JIS A)50)と、ランダムポリプロピレン(住友化学社製、商品名「W151」)の配合を表1に示す配合とした以外は実施例2と同様にして基材層、ポリプロピレン系樹脂組成物シート層及び表面保護層からなる比較としてのポリプロピレン系合成皮革を得た。
(比較例2〜5)
アタクチックポリプロピレン(住友化学社製、商品名「タフセレンX1102」、硬度(JIS A)50)の代わりに、表1に示す配合でオレフィン系熱可塑性エラストマー(三井化学製、商品名「ミラストマー5030」、硬度(JIS A)50)を用い、ポリプロピレン系樹脂組成物シートの変わりにオレフィン系熱可塑性エラストマーシートを製造した以外は、実施例2と同様にして基材層、オレフィン系熱可塑性エラストマーシート層及び表面保護層からなる比較としてのオレフィン系熱可塑性エラストマー系合成皮革を得た。
[実施例1〜9及び比較例1〜5で得られた合成皮革の評価]
各実施例及び各比較例で得られた合成皮革に対して、以下に示すような試験を行い、耐熱性、柔軟性、耐擦傷性、耐寒性及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
<耐熱性の評価>
各実施例及び各比較例で得られた合成皮革を、120℃の温度条件下に400時間放置し、各合成皮革の表面に形成されている凹凸加工の変化を目視にて観測して、耐熱性の評価を行った。評価基準を以下に示す。
耐熱性の評価基準
◎:変化なし
○:凹凸加工にやや変化が見られた
△:凹凸加工の大半に変化が見られた
×:凹凸加工に顕著な変化が見られた
<柔軟性の評価>
各実施例及び各比較例で得られた合成皮革を、触感にて観測して、柔軟性の評価を行った。評価基準を以下に示す。
柔軟性の評価基準
◎:非常に柔軟である
○:柔軟である
△:やや硬い
×:硬い。
<耐擦傷性の評価>
各実施例及び各比較例で得られた合成皮革に対して、摩擦布(綿帆布6号)を用い、荷重500kg、摩擦回数2000往復の条件で平面摩擦試験を行い、各合成皮革の表面の変化を目視にて観測して耐擦り傷性の評価を行った。評価基準を以下に示す。
耐擦傷性の評価基準
◎:変化なし
○:やや変化が見られた
△:変化が見られた
×:変化が顕著に見られた
<耐油性の評価>
各実施例及び各比較例で得られた合成皮革に対して、オレイン酸をしみ込ませたワイプを表面にのせ、室温で3日間放置した後、各合成皮革の表面が膨潤するか目視にて確認し、耐油性の評価を行った。評価基準を以下に示す。
耐油性の評価基準
◎:膨潤しない
○:僅かに膨潤する
△:膨潤する。
<耐寒性の評価>
−40℃に冷却した各実施例及び各比較例で得られた合成皮革に対して、800gの球を15cmの高さから落下させて衝撃試験を行い、耐寒性を評価した。評価基準を以下に示す。
耐寒性の評価基準
◎:合成皮革に割れはなかった
×:合成皮革に割れが発生した。
<難燃性の評価>
各実施例及び各比較例で得られた合成皮革から100mm×350mmの試料を、それぞれ5ピース作成した。このような試料を用い、MVSS−302に基づき、燃焼速度を測定し、5ピースの燃焼速度の平均値から難燃性の評価を行った。評価基準を以下に示す。
難燃性の評価基準
◎:燃焼速度の平均値が80mm/min以下
×:燃焼速度の平均値が80mm/min以上
Figure 2007107112
表1に示す結果からも明らかなように、実施例1〜9で得られた本発明のポリプロピレン系合成皮革においては、耐熱性、柔軟性及び耐擦り傷性をバランスよく発揮できることが確認された。また、表面保護層を設けた実施例2〜8で得られたポリプロピレン系合成皮革においては、高い耐油性を有することが確認された。また、ガラス転移温度が−30℃以下の樹脂成分を投入した実施例6〜7で得られた本発明のポリプロピレン系合成皮革においては、より高い耐寒性が発揮できることが確認された。更に、難燃剤を投入した実施例8〜9で得られた本発明のポリプロピレン系合成皮革においては、より高い難燃性が発揮できることが確認された。
これに対して、比較例1で得られた比較としてのポリプロピレン系合成皮革においては、柔軟性が十分なものではないことが確認された。また、比較例2〜5で得られた比較としてのオレフィン系熱可塑性エラストマー系合成皮革においては、耐熱性、柔軟性及び耐擦り傷性のバランスが悪いことが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、柔軟性、耐熱性及び耐擦傷性を高い水準でバランスよく発揮することが可能なポリプロピレン系合成皮革を提供することが可能となる。
したがって、本発明のポリプロピレン系合成皮革は、柔軟な風合いを有していることから、文具、各種ケース、包装、家具、建装、自動車内装等の各種用途に用いられる合成皮革(レザー)として有用である。

Claims (4)

  1. 基材層、並びに、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン及びランダムポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも一種の汎用ポリプロピレンと、アタクチックポリプロピレンとを含有するポリプロピレン系樹脂組成物からなるポリプロピレン系樹脂組成物シート層を備えるポリプロピレン系合成皮革であって、
    前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層中に含有されている前記アタクチックポリプロピレンと、前記汎用ポリプロピレンとの質量比が、アタクチックポリプロピレン/汎用ポリプロピレン=90/10〜60/40であることを特徴とするポリプロピレン系合成皮革。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層の表面に、ポリウレタン系樹脂及びフッ素アクリル系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種の表面処理剤からなる厚さ1〜30μmの表面保護層を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系合成皮革。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層が、ガラス転移温度が−30℃以下の樹脂成分を、前記ポリプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して1〜50質量部含有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系合成皮革。
  4. 前記ポリプロピレン系樹脂組成物シート層が、ブロム系難燃剤、アンチモン系難燃剤、金属水酸化物、リン系難燃剤及び窒素−リン系難燃剤からなる群から選択される少なくとも一種の難燃剤を、前記ポリプロピレン系樹脂組成物100質量部に対して1〜50質量部含有するものであることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のポリプロピレン系合成皮革。
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