JP2007106357A - ステアリング装置およびその製造方法 - Google Patents

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Miwanori Oikawa
三和徳 及川
Yoshikazu Kameda
佳数 亀田
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Abstract

【課題】高精度の加工を必要とせずに、右操舵および左操舵の左右差を低減するステアリング装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ステアリング装置100は、外周面にボールねじ溝50が形成されたラック軸5と、内周面にボールねじ溝20、30が形成されたナット2、3と、ラック軸5のボールねじ溝50とナット2、3のボールねじ溝20、30との間に装填される複数のボール4と、モーターシャフト1を介してラック軸5に操舵を補助するためのトルクを与えるモーターとを備えるステアリング装置において、ナット2、3は、ラック軸5の外周に同軸に配置され、ラック軸の軸方向に左右に少なくとも1つの対をなし、モーターシャフト1は、左操舵の場合に対のナット2、3の一方を介してラック軸5にトルクを伝達し、右操舵の場合に対のナット2、3の他方を介してラック軸5にトルクを伝達することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ステアリング装置に関し、より詳細には、左右操舵時の振動音を低減するステアリング装置に関する。
電動パワーステアリング装置は、パワーを補助する位置によって、ラックアシストタイプ、ピニオンアシストタイプおよびコラムアシストタイプがあり、ラックアシストタイプは、ボールねじを有するラック軸と、ボールねじに螺合するナットと、ナットに操舵アシスト力を付与する電動モーターとを有する。
また、電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイールに接続されるピニオンギアの回転に応じてラックを摺動させ、ピニオンギアの回転角、回転方向に応じて電動モーターを駆動し、当該ラックの摺動を補助する。
係る電動パワーステアリングで使用されるボールねじ機構は、その加工精度による制限から左操舵の場合と、右操舵の場合とで、プレロード、作動音、操作感等の多くの特性に左右差を生じさせる場合がある。これは、左操舵の場合と右操舵の場合とで、ボールに接触しながらトルクを伝達するために使用されるラック軸およびナットのねじ溝側面の形状が異なることによる。
上述のような問題を解決するために、ボールねじ溝の加工を高精度に行うことが考えられる。ボールねじ溝の加工方法には、ボールと接触するボールねじ溝の一部のみに仕上げ加工を行うことにより、仕上げ加工の手数を軽減して能率的な製造を提供する技術や(例えば、特許文献1参照。)、ボールとボールねじ溝との初期接触角を適正化してボールとボールねじ溝との2点接触状態を確保することにより、ボールとボールねじ溝との3点接触状態を回避し、摩擦損失の増加による回転トルクの増大等を防止して動力伝達効率を良好に保つ技術が知られている(例えば特許文献2参照。)。
特開2003−148585号公報 特開2002−276765号公報
しかしながら、上述の従来技術は、何れもボールねじ溝の仕上げ加工を必要とし、量産時のような高い加工精度を求めることが困難な状況では利用できない。
そこで、本発明は、高精度の加工を必要とせずに、右操舵および左操舵の左右差を低減させるステアリング装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、第1の発明に係るステアリング装置は、外周面にボールねじ溝が形成されたラック軸と、内周面にボールねじ溝が形成されたナットと、前記ラック軸のボールねじ溝と前記ナットのボールねじ溝との間に装填される複数のボールと、モーターシャフトを介して前記ラック軸に操舵を補助するためのトルクを与えるモーターとを備えるステアリング装置において、前記ナットは、前記ラック軸の外周に同軸に配置され、ラック軸の軸方向に少なくとも1つの対をなし、前記モーターシャフトは、左操舵の場合に前記対のナットの一方を介して前記ラック軸にトルクを伝達し、右操舵の場合に前記対のナットの他方を介して前記ラック軸にトルクを伝達することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明に係るステアリング装置であって、前記モーターシャフトは、該モーターシャフトと共に回転し、前記ラック軸の軸方向に移動可能に前記モーターシャフトに取り付けられ、前記トルクを前記ナットに伝達するトルク伝達部を有することを特徴とする。
第3の発明は、第1または第2の発明に係るステアリング装置であって、前記対のナットと前記トルク伝達部との接触を維持する接触維持手段を有することを特徴とする。
第4の発明は、第3の発明に係るステアリング装置であって、前記接触維持手段は、前記モーターシャフトと前記対のナットのそれぞれとの間に弾性体を有することを特徴とする。
第5の発明は、第3または第4の発明に係るステアリング装置であって、前記接触維持手段は、前記対のナットの相互に影響を及ぼす磁性体を有することを特徴とする。なお、磁性体には、永久磁石、電磁石等も含まれる。
第6の発明に係るステアリング装置の製造方法は、外周面にボールねじ溝が形成されたラック軸と、内周面にボールねじ溝が形成されたナットと、前記ラック軸のボールねじ溝と前記ナットのボールねじ溝との間に装填される複数のボールと、モーターシャフトを介して前記ラック軸に操舵を補助するためのトルクを与えるモーターと、を備え、前記ナットは、前記ラック軸の外周に同軸に配置され、ラック軸の軸方向に左右に少なくとも1つの対をなし、前記モーターシャフトは、左操舵の場合に前記対のナットの一方を介して前記ラック軸にトルクを伝達し、右操舵の場合に前記対のナットの他方を介して前記ラック軸にトルクを伝達する、ステアリング装置の製造方法であって、前記左のナットのボールねじ溝をラック軸の軸方向の一方に向かって切削加工する工程と、前記右のナットのボールねじ溝をラック軸の軸方向の他方に向かって切削加工する工程と、を含むことを特徴とする。
第7の発明は、第6の発明に係るステアリング装置の製造方法であって、前記左のナットに対向するラック軸のボールねじ溝をラック軸の軸方向の一方に向かって切削加工する工程と、前記右のナットに対向するラック軸のボールねじ溝をラック軸の軸方向の他方に向かって切削加工する工程と、を更に含むことを特徴とする。
本発明によれば、高精度の加工を必要とせずに、右操舵および左操舵の左右差を低減させるステアリング装置を得ることができる。
以下、図面を参照しつつ、幾つかの実施例に分けて、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、本発明に係るステアリング装置100におけるボールねじ機構の部分断面図である。また、図2は、一部に断面図を含むステアリング装置100の正面図、図3は、X−X断面図である。ステアリング装置100のボールねじ機構は、モーターシャフト1、ナット2、ボール4および4並びにラック5から構成される。モーターシャフト1は、ラック5と同軸であり、モーター(図示せず。)が発生させるトルクによりラック5の周りを回転する。モーターシャフト1は、断面が台形のトルク伝達部であるナットスライダー10を有する。なお、ナットスライダー10は、モーターシャフト1に統合され一体となっていてもよく、別個独立の部品であってもよい。ナットスライダー10は、モーターシャフト1とセレーション嵌合しており、ラック5の軸方向にスライド可能である。また、ナットスライダー10は、2つのテーパー面を有し、それぞれ対応するナット2および3のテーパー面と接触する。ナット2および3は、左右一対で構成され、ラック5と同軸であり、モーターシャフト1と共にラック5の周りを回転可能である。なお、ナット2および3は、二対で構成されてもよく、それ以上の対で構成されていてもよい。また、ナット2および3のそれぞれは、その内周に4筋のボールねじ溝20および30を形成し、それぞれのボールねじ溝がボール4を受け入れる。ボール4は、ナット2および3に形成されたボールねじ溝20および30と、ラック軸5の外周に形成されたボールねじ溝50との間にあり、ナット2および3は、再循環機構により、例えば2筋のボールねじ溝毎にボール4を循環させる。また、ボール4は、モーターが発生させたトルクをナット2および3からラック軸5へ伝える。ラック5は、ステアリングホイール(図示せず。)の回転がステアリングシャフト(図示せず。)のピニオンギア(図示せず。)を介して伝わることにより左右に移動し、タイロッド(図示せず。)を介して車輪の向きを変える。ステアリングシャフトに備えられたトーションバー(図示せず。)による舵角トルクセンサがステアリングシャフトの所定の回転を検出すると、モーターは、ラックの左右の移動を補助するために回転する。モーターの回転トルクは、モーターシャフト1、ナットスライダー10、ナット2もしくは3、並びに、ボール4を介してラック5に伝えられ、ラックの左右への移動を補助する。
図4乃至図7は、単一のナットを備えたボールねじ機構と、左右一対の2つのナットを備えたボールねじ機構とで、トルクの伝わり方がどのように異なるかを図示する。
図4は、単一のナットを備えたボールねじ機構を利用したステアリング装置における右操舵の場合のトルクの伝わり方を示す図である。以下、同一の参照番号が同等の構成部品に使用される。右操舵によりステアリングホイールが時計回りに回転すると、その回転はピニオンギアを介してラック5に伝えられ、ラック5は右に移動する。舵角トルクセンサがステアリングシャフトの回転を検出するとモーターが駆動され、モーターシャフトおよびモーターシャフトに接合されたナット2’は、矢印Aの方向に回転する。この回転によりボール4が転動し、ボール4は、ナット2’からラック5へ矢印Bの方向にトルクを伝達し、ラック5を矢印Cの方向に移動させる。ここで、太線HLは、ボール4がナット2’およびラック5のボールねじ溝に接触する面を示す。図で示すように、右操舵の場合には、ボール4とナット2’のボールねじ溝20’との接触面から、ボール4とラック5のボールねじ溝50との接触面の方向にトルクが伝達される。
図5は、単一のナットを備えたボールねじ機構を利用したステアリング装置における左操舵の場合のトルクの伝わり方を示す図である。左操舵によりステアリングホイールが反時計回りに回転すると、その回転はピニオンギアを介してラック5に伝えられ、ラック5は左に移動する。舵角トルクセンサがステアリングシャフトの回転を検出するとモーターが駆動され、モーターシャフトおよびモーターシャフトに接合されたナット2’は、矢印Dの方向に回転する。この回転によりボール4が転動し、ボール4は、ナット2’からラック5へ矢印Eの方向にトルクを伝達し、ラック5を矢印Fの方向に移動させる。ここで、太線HLは、上述と同様、ボール4がナット2’のボールねじ溝20’およびラック5のボールねじ溝50に接触する接触面を示す。図が示すように、左操舵の場合には、ボール4とナット2’のボールねじ溝20’との接触面から、ボール4とラック5のボールねじ溝50との接触面に向かう方向に略直行する方向にトルクが伝達される。右操舵の場合と比較すると、接触面とトルク伝達方向との関係が異なる。
図6は、左右一対の2つのナットを備えたボールねじ機構を利用したステアリング装置における右操舵の場合のトルクの伝わり方を示す図である。図で示すように、右操舵の場合は、1つのナットを備えた従来のボールねじ機構を利用したステアリング装置における右操舵の場合のトルクの伝わり方と同じである(図4参照。)。なお、本発明に係るステアリング装置100は、右操舵の際に使用される左ナット2が、従来のステアリング装置におけるナット2’との関係において、その加工方法および加工精度が同じであることを前提とする。
図7は、左右一対の2つのナットを備えたボールねじ機構を利用したステアリング装置における左操舵の場合のトルクの伝わり方を示す図である。図で示すように、ボール4と右ナット3のボールねじ溝30との接触面を略直交する方向にトルクが伝達される点で、ボール4とナット2’のボールねじ溝20’との接触面に平行にトルクが伝達される図5の場合と相違する。これは、2つのナットを備えたボールねじ機構を利用したステアリング装置100では、右操舵の場合に使用されるナット2と、左操舵の場合に使用されるナット3とが別個独立の部品であり、ナット3は、ナット2をちょうど反転配置したものであることによる。ナット2および3は、加工方法、加工精度が同じであり、仮にボールねじ溝20、30の切削面の一部に偏り等があったとしても、その偏り等に規則性があれば、上述のように反転配置することにより、構造を左右対称の状態としトルクの伝わり方等の左右差を軽減できるからである。
また、ラック5のボールねじ溝50、51についても同様である。例えば、左ナット2に対向するラック5のボールねじ溝50の加工方向を、図の左から右に向かうこととし、右ナット3に対向するラック5のボールねじ溝51の加工方向を、図の右から左に向かうこととする。これにより、ボールねじ溝50、51の加工精度が同じであれば、仮にボールねじ溝50、51の切削面の一部に偏り等があったとしても、その偏り等に規則性があれば、ちょうど左右対称の2本のラックを軸方向に向かい合ってつなぎ合わせ反転配置したような状態になり、ボールねじ溝50、51の内面構造を左右対称の状態としトルクの伝わり方等の左右差を軽減できるからである。
図8は、本発明に係るステアリング装置において右操舵の場合におけるモーターシャフトからラックへのトルクの伝わり方を示す図である。トルクの伝達経路は矢印RRで示される。右操舵が開始されると、ラック5は、図の右方向へ移動し、左ナット2のテーパー面21が、ナットスライダー10のテーパー面11に押し付けられる。舵角トルクセンサがステアリングシャフトの回転を検出すると、モーターが回転する。モーターは、回転トルクをモーターシャフト1に伝え、モーターシャフト1は、金属接触の摩擦によりナットスライダー10のテーパー面11を介して左ナット2のテーパー面21に回転トルクを伝える。左ナット2は回転し、ボールねじ溝20の面の一部に接触するボール4に当該トルクを伝え、ボール4は転動し、接触するラック5のボールねじ溝50の面の一部を介してラック5にトルクを伝える。その結果、ラック5は、右への移動が促進される。なお、右操舵の場合は、右ナット3は、ナットスライダー10に接触しておらず、モーターシャフト1およびナットスライダー10と共に回転することはない。
図9は、本発明に係るステアリング装置100において左操舵の場合におけるモーターシャフト1からラック5へのトルクの伝わり方を示す図である。トルクの伝達経路は矢印LRで示される。左操舵が開始されると、ラック5は、図の左方向へ移動し、右ナット3のテーパー面31が、ナットスライダー10のテーパー面12に押し付けられる。舵角トルクセンサがステアリングシャフトの回転を検出すると、モーターが回転する。モーターは、回転トルクをモーターシャフト1に伝え、モーターシャフト1は、金属接触の摩擦によりナットスライダー10のテーパー面12を介して右ナット3のテーパー面31に回転トルクを伝える。右ナット3は回転し、ボールねじ溝30の面の一部に接触するボール4に当該トルクを伝え、ボール4は転動し、接触するラック5のボールねじ溝51の面の一部を介してラック5にトルクを伝える。その結果、ラック5は、左への移動が促進される。なお、左操舵の場合は、左ナット2は、ナットスライダー10に接触しておらず、モーターシャフト1およびナットスライダー10と共に回転することはない。
このように、操舵の際に使用するナットを切り替えることにより、左操舵専用のナットおよび右操舵専用のナットを備え、同じ加工精度で製造されるナットを左右反転させて配置することが可能となる。その結果、ボール4が接触するナットおよびラックのボールねじ溝の面の配置を左右対称にすることができ、プレロード、作動音、操作感等の多くの特性に存在する右操舵と左操舵との間の左右差を低減することが可能となる。
また、ナットスライダー10とモーターシャフト1とをセレーション嵌合にすることにより、操舵中に車輪が縁石等に乗り上げたりしてラック5の左右のストロークが急停止されても、ナットスライダー10並びにナット2および3をラック5の軸方向に移動させることができるので、モーターの慣性力によるボールねじ溝の損傷等を防止することができる。
実施例1は、操舵の際に使用するナットを切り替えることにより、プレロード、作動音、操作感等の多くの特性に存在する右操舵と左操舵との間の左右差を低減することができたが、後述の実施例は、右操舵と左操舵との間の左右差を更に低減することができるステアリング装置を説明する。後述の実施例は、例えば、右操舵の際に、ラックの推力が作用していないためにナットスライダー10と接触しておらず、ナットスライダー10からのトルク伝達もない状態となっている右ナット3(図8参照。)を、常にナットスライダー10に接触させておくことにより、ナットスライダー10のテーパー面12と右ナット3のテーパー面31との間に隙間(ガタ)が生じないようにする。これにより、例えば、右操舵から左操舵に切り替える際に、右ナット3とナットスライダー10との衝突を防止し、その衝突による振動および異音を防止する。
図10は、実施例2に係るステアリング装置200におけるボールねじ機構の部分断面図である。実施例2では、ナットスライダー10は、モーターシャフト1の凹部に圧入されラック5の軸方向に移動できないようになっている。モーターシャフト1は、蓋部6を有し、モーターシャフト1の凹部の内壁13と左ナット2との間、蓋部6と右ナット3との間にそれぞれガタ殺し用の弾性体であるばね7が備えられる。なお、蓋部6は、製造を容易にするため別部材となっており、モーターシャフト1に螺着されるが、モーターシャフト1に統合され一体となっていてもよい。また、弾性体は、スプリングばね、皿バネ、Oリング等であってもよい。ナット2および3は、ガタ殺し用のばね7および8により左右に操舵していない場合であっても、ナットスライダー10に押し当てられており、ナット2および3とナットスライダー10との間のガタが生じないようにしている。なお、ナット2および3とナットスライダー10との接触は、その間でトルクを伝達できるほど強固なものではない。
右操舵の際、ラック5が右に移動し左ナット2がナットスライダー10に押し付けられ、モーターによるトルクが、モーターシャフト1、ナットスライダー10を介して左ナット2に伝えられる。左ナット2は、ボール4を介して当該トルクをラック5に伝える。一方、右ナット3は、蓋部6との間にあるばね7によりナットスライダー10に押し付けられているので、右ナット3とナットスライダー10との間にガタは存在しない。
このとき、右操舵から左操舵に切り替わると、ラック5は右から左に移動方向を変え、右ナット3がナットスライダー10に押し付けられ、モーターによるトルクが金属接触による摩擦により、モーターシャフト1、ナットスライダー10を介して右ナット3に伝えられる。右ナット3は、先程まで、ばね7によりガタがない状態でナットスライダー10に押し付けられていたので、右ナット3がナットスライダー10に衝突して異音を生じさせることなく、ボール4を介して当該トルクをラック5に伝える。一方、先程までラック5の推力によりナットスライダー10に押し付けられていた左ナット2は、トルクを伝達することはないが、モーターシャフト1の凹部壁面13との間にあるばね8によりナットスライダー10に押し付けられたままであり、左ナット2とナットスライダー10との間にガタが存在しない状態のまま保持される。
このように、ばね7および8を利用してナット2および3を常にナットスライダー10と接触するように保持することにより、ステアリングホイールの回転を左から右、或いは、右から左に切り替えた場合であっても、ナット2および3とナットスライダー10との衝突を防止し、その結果、振動や異音の発生を低減することができる。
また、ばね7および8は、ラックの軸方向に働く力を吸収できるので、操舵中に車輪が縁石等に乗り上げたりしてラック5の左右のストロークが急停止されても、モーターの慣性力によるボールねじ溝の損傷等を防止することができる。
図11は、実施例3に係るステアリング装置300におけるボールねじ機構の部分断面図である。実施例3は、左ナット2および右ナット3のそれぞれ対向する対向面22および32にS極とN極とが対向して相互に引き合う一対の磁石9を備える。なお、一対の磁石9は、双方が永久磁石であってそれらがナットにとりつけられた態様であってもよく、一方が永久磁石で、他方が磁石に反応する金属等の磁性体であってもよく、或いは、ナット自体が磁石または磁性体であってもよい。なお、永久磁石のN極同士或いはS極同士が対向して互いに遠ざけ合う力を利用した構成であってもよい。また、実施例3では、ばね7および8の代わりに緩衝材であるOリング7’および8’が使用される。ナット2および3は、Oリング7’および8’並びに磁石9により左右に操舵していない場合であっても、ナットスライダー10に押し付けられており、ナット2および3とナットスライダー10との間のガタが生じないようにしている。なお、ナット2および3とナットスライダー10との接触は、その間でトルクを伝達できるほど強固なものではない。
図12は、実施例4に係るステアリング装置400におけるボールねじ機構の部分断面図である。実施例4は、左ナット2および右ナット3のそれぞれ対向する対向面22および32に、左ナット2および右ナット3の相互を遠ざけるように作用するコイルバネ14を備える。なお、ナットスライダー10と左ナット2および右ナット3のテーパー面を図11と同様にし、コイルバネ14が対のナットを相互に引き合う構成にしてもよい。
このように、Oリング7’および8’、磁石9並びにコイルバネ14を利用してナット2および3を常にナットスライダー10と接触するように保持することにより、左操舵から右操舵へ、或いは、右操舵から左操舵へ切り替えた場合であっても、ナット2および3とナットスライダー10との衝突を防止し、その結果、振動や異音の発生を低減することができる。
また、Oリング7’および8’は、バネ7および8と同様に、ラックの軸方向に働く力を吸収できるので、操舵中に車輪が縁石等に乗り上げたりしてラック5の左右のストロークが急停止されても、モーターの慣性力によるボールねじ溝の損傷等を防止することができる。
図13は、実施例5に係るステアリング装置500におけるボールねじ機構の部分断面図である。実施例5は、左ナット2および右ナット3のそれぞれ対向する対向面22および32にS極とN極とが対向して相互に引き合う一対の磁石9を備える。また、ナット2および3とナットスライダー10との間のトルク伝達をテーパー面ではなく、ナット2および3並びにナットスライダー10のラック軸に垂直な面同士の接触により実現する。
このように、接触する面は、テーパー面である必要はなく、トルクの伝達が行える接触ならば他の形状の面を利用するものであってもよい。
以上、本発明の好適な実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述の実施例では、左右のナットを引き付けるために磁石を使用しているが、これは、コイルバネ等の弾性体であってもよい。
また、上述の実施例ではナットスライダーのテーパー面と、ナットのテーパー面との金属接触による摩擦力によりモーターのトルクを伝達しているが、動力伝達機構にクラッチ機構を使用してもよい。
ステアリング装置におけるボールねじ機構の部分断面図(その1)である。 ステアリング装置におけるボールねじ機構の正面図である。 ステアリング装置におけるボールねじ機構のX−X断面図である。 単一のナットを備えた従来のボールねじ機構を利用したステアリング装置における右操舵の場合のトルクの伝わり方を示す図である。 単一のナットを備えた従来のボールねじ機構を利用したステアリング装置における左操舵の場合のトルクの伝わり方を示す図である。 左右一対の2つのナットを備えたボールねじ機構を利用したステアリング装置における右操舵の場合のトルクの伝わり方を示す図である。 左右一対の2つのナットを備えたボールねじ機構を利用したステアリング装置における左操舵の場合のトルクの伝わり方を示す図である。 右操舵の場合におけるモーターシャフトからラックへのトルクの伝わり方を示す図である。 左操舵の場合におけるモーターシャフトからラックへのトルクの伝わり方を示す図である。 ステアリング装置におけるボールねじ機構の部分断面図(その2)である。 ステアリング装置におけるボールねじ機構の部分断面図(その3)である。 ステアリング装置におけるボールねじ機構の部分断面図(その4)である。 ステアリング装置におけるボールねじ機構の部分断面図(その5)である。
符号の説明
1 モーターシャフト
2、3 ナット
4 ボール
5 ラック
6 蓋部
7、8 ばね
9 磁石
10 ナットスライダー
11、12 テーパー面
13 凹部壁面
14 コイルバネ
20 ボールねじ溝
21 テーパー面
22 対向面
30 ボールねじ溝
31 テーパー面
32 対向面
50 ボールねじ溝
100、200、300、400、500 ステアリング装置

Claims (7)

  1. 外周面にボールねじ溝が形成されたラック軸と、内周面にボールねじ溝が形成されたナットと、前記ラック軸のボールねじ溝と前記ナットのボールねじ溝との間に装填される複数のボールと、モーターシャフトを介して前記ラック軸に操舵を補助するためのトルクを与えるモーターとを備えるステアリング装置において、
    前記ナットは、前記ラック軸の外周に同軸に配置され、ラック軸の軸方向に少なくとも1つの対をなし、
    前記モーターシャフトは、左操舵の場合に前記対のナットの一方を介して前記ラック軸にトルクを伝達し、右操舵の場合に前記対のナットの他方を介して前記ラック軸にトルクを伝達する、
    ことを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記モーターシャフトは、該モーターシャフトと共に回転し、前記ラック軸の軸方向に移動可能に前記モーターシャフトに取り付けられ、前記トルクを前記ナットに伝達するトルク伝達部を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記対のナットと前記トルク伝達部との接触を維持する接触維持手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載のステアリング装置。
  4. 前記接触維持手段は、前記モーターシャフトと前記対のナットのそれぞれとの間に弾性体を有することを特徴とする請求項3に記載のステアリング装置。
  5. 前記接触維持手段は、前記対のナットの相互に影響を及ばす磁性体を有することを特徴とする請求項3または4に記載のステアリング装置。
  6. 外周面にボールねじ溝が形成されたラック軸と、内周面にボールねじ溝が形成されたナットと、前記ラック軸のボールねじ溝と前記ナットのボールねじ溝との間に装填される複数のボールと、モーターシャフトを介して前記ラック軸に操舵を補助するためのトルクを与えるモーターと、を備え、
    前記ナットは、前記ラック軸の外周に同軸に配置され、ラック軸の軸方向に左右に少なくとも1つの対をなし、
    前記モーターシャフトは、左操舵の場合に前記対のナットの一方を介して前記ラック軸にトルクを伝達し、右操舵の場合に前記対のナットの他方を介して前記ラック軸にトルクを伝達する、ステアリング装置の製造方法であって、
    前記左のナットのボールねじ溝をラック軸の軸方向の一方に向かって切削加工する工程と、
    前記右のナットのボールねじ溝をラック軸の軸方向の他方に向かって切削加工する工程と、
    を含むことを特徴とするステアリング装置の製造方法。
  7. 前記左のナットに対向するラック軸のボールねじ溝をラック軸の軸方向の一方に向かって切削加工する工程と、
    前記右のナットに対向するラック軸のボールねじ溝をラック軸の軸方向の他方に向かって切削加工する工程と、
    を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のステアリング装置の製造方法。
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