JP2007105094A - 便座装置 - Google Patents

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香緒里 林
Hideo Shinoda
英穂 篠田
Eiichi Tanaka
栄一 田中
Noboru Takuri
昇 田栗
Toru Ueno
徹 上野
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Abstract

【課題】着座時の衝撃を吸収し、かつ長時間快適に着座でき、しかも便座の暖房に無駄な電力を使用しない快適で省エネ性の高い便座装置を提供することを目的とする。
【解決手段】便器10上面に装着される便座7において、少なくとも一部に使用者の体形に沿うように変形する弾性体層13を備え、便座6内に面状便座ヒータ12を設置することにより、便座6を暖房する面状便座ヒータ12が使用者の臀部に違和感を与えることがなく、長時間快適に着座できるとともに面状便座ヒータの電力消費を抑制することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、便器上面に設けられ、使用者の体形に沿うように変形する弾性体層を有する便座装置に関するものである。
従来、この種の便座装置としては、合成皮革の表皮材の裏面に紐状ヒータを配設し、それらの下方に低反発の発泡樹脂を設置した構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図8は、特許文献1に記載された従来の便座装置の断面を示すものである。図8に示すように、使用者の皮膚に接触する便座1の表面から表皮材2、紐状発熱体3、クッション層4、合成樹脂基材5の順に構成されている。
特開2005−102843号公報
しかしながら便座ヒータが表皮材と軟質樹脂層の間に配置され、その便座ヒータの形状が紐状ヒータである場合、着座したときに便座に紐状ヒータのところだけ凸になった面が形成され、でこぼこ感が残るとともに、長く座っていると臀部に凹凸の型が残ってしまうなど実用性に欠いていた。また、クッション材にて構成された便座部が柔らかすぎることで剛性不足となり、使用者の体重を十分に支えきれない場合があるなどの課題を有していた。
本発明は、上記課題を解決するものであり、着座時の衝撃を吸収し、かつ着座状態の座り心地が良く、かつ長時間の着座の際においても人体への影響度が小さい暖房機能付きの便座装置を提供することを目的とするものである。
前記従来の課題を解決するために、本発明の便座装置は便器上面に装着される便座において、少なくとも一部に使用者の体形に沿うように変形する弾性体層を備え、便座内に面状便座ヒータを設置したものである。
これにより、便座を暖房する面状便座ヒータが使用者の臀部に違和感を与えることがなくなる。
本発明の便座装置は、使用者の臀部に違和感を与えることがなく座り心地がよく、長時間着座しても疲れない快適な便座装置を提供することができる。
第1の発明は、便器上面に装着される便座において、少なくとも一部に使用者の体形に沿うように変形する弾性体層を備え、便座内に面状便座ヒータを設置したことにより、着座した使用者の臀部に沿って弾性体層が変形するため、臀部の血流を妨げることもなく、疲れない便座とすることができる。また便座面を暖房するためのヒ−タの形状が面状であるため、座面表面にでこぼこ感がなく、長時間着座しても違和感を感じない快適な便座装置とすることができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の面状便座ヒータを正特性係数を有するいわゆるPTCヒータとすることにより、非着座時は通電せず、着座する直前に通電を開始して暖房する
だけで短時間に便座を昇温することができるので、無駄な電力を消費することがなく省エネ効果の高い便座装置とすることができる。
第3の発明は、特に、第2の発明のPTCヒータを柔軟性フィルムに伸縮性PTC抵抗体と電極を印刷することにより、着座による弾性体層の変形に対応してPTCヒータ自体もは柔軟に追随することができるため、面状便座ヒータによる違和感をより感じることがなく、より快適な便座装置となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における便座装置の斜視図を示し、図2は同便座の断面図を示し、図3は面状便座ヒータであるPTCヒータの内部構成図を示し、図4は便座の温度特性のグラフを示し、図5は伸縮性PTC抵抗体の模式図を示すものである。
図に示すように、本発明の第1の実施の形態における便座装置は、着座面を暖房する暖房便座であって、便座6と、便蓋7と、本体8を主構成部材として構成している。
本体8の内部には、洗浄用の温水を作り貯湯する熱交換タンク(図示せず)、局部を洗浄する洗浄ノズル(図示せず)、洗浄水の噴出を制御する電磁弁(図示せず)、洗浄後の局部を乾燥する乾燥乾燥ユニット(図示せず)、排便の臭気を脱臭する脱臭ユニット(図示せず)、便座装置の各機能を制御する制御装置9等が内蔵されており、使用者は洗浄ノズルから吐水される温水を局部に当てることにより、用便による汚れを洗い流すことができるものである。
この便座装置は、便器10の上面に戴置した本体8ゴムブッシュ及びボルトを介して便器10に固定し、便座6と便蓋7は本体8に回動自在に枢支している。
図2に示すように、便座6は使用者の皮膚と接触する面であり変形自在な軟質で使用者の臀部になじむシート状の表皮材11と、屈曲変形自在な面状のPTCヒータ12と、弾性を備えた軟質樹脂材からなる弾性体層13、硬質樹脂成型品からなる補強部材14、硬質樹脂成型品からなる便座下部部材15の主要部材で構成し、面状のPTCヒータ12は弾性体層13の上部に配置してある。
補強部材14と便座下部部材15はビス16で螺合してあり、補強部材14は真ん中をビス止めのために平面形状17とし、両側はそれぞれ凸部18として強度を上げている。そして端部19には便座下部部材15の端部と嵌合するように長手方向に一定間隔で爪を設けてある。補強部材14は便座下部部材15だけでは剛性不足で体重を支えきれないことを想定して設けたものである。従来の便座は上下の樹脂部材を上下ともU字型にして上下のU字部分と逆U字部分の開放面を合わせ面として一体に構成して構造体とすることにより体重を支えるようにしている。しかしながら本実施の形態では上部の部材は軟質樹脂である弾性体層であるため硬質樹脂部材を組み合わせて支えることができないことに対する対策として、便座下部部材15と補強部材14で体重を支えるように構成したものである。
また、補強部材14を金属とすることにより一つの便座下部部材15だけでは体重を支えきれないところを、金属の平板、あるいはプレス加工によって構造強化した補強部材14を追加することにより便座下部部材15の撓みを防止して着座時の便座6の変形を防止することが可能である。
トイレ(図示せず)のドアを開けたところの対面には、人体の温度を検出したり、反射光を検出したりして人がトイレに入ってきたことを検知する人体検知手段20が設置して
あり、人体検知手段20からの信号を受信する受信手段21は本体8の袖部に配置してあり制御装置9と電気的に繋がっている。人体検知手段20が人体を検知していない状態において便座6は通常通電しないか、極端に室温が低い場合に10W前後の通電を行うことによって、便座表面温度を15℃から20℃程度に保ってある。
本実施の形態では、表皮材11としてPPフィルムを使用している。表皮材11としては0.1mm以下の薄いフィルムで構成され、耐薬品性のある、かつ熱容量の少ないものであれば他の材質によるフィルムでもかまわない。
面状のPTCヒータ12は、図3に示すように柔軟性フィルム22に伸縮性PTC抵抗体23と、電極24を印刷して別の柔軟性フィルム25とでサンドイッチした構成としてある。
伸縮性PTC抵抗体は図5に示すように樹脂とカーボンを混合した粒子26をエラストマー27の中に配合することで、伸縮させた場合においても組成が破壊しない特性を備えている。
上記構成のPTCヒータ12は200Wから500W程度のヒータ容量をもち、AC30V以下またはDC45V以下の電圧で加熱するようにしている。PTCヒータ12は温度が低いときは、伝導性粒子(ここではカーボン)の連鎖が重なっていて電流が通りやすく、温度が高くなると伝導性粒子の連鎖を断ち切り電流を流しにくくするというPTC特性(正温度係数特性)を有している。すなわち、通電直後の立ち上がり時など温度が低いときはハイパワーで発熱し、温度が高くなると自動的にローパワーになるというヒータ特性(自動温度制御特性)を有している。従って熱容量の少ない薄い表皮材11を介して使い始めにすぐに温度があがるという速熱性を有している。面状のPTCヒータ12は通電を制御する制御装置9と電気的に接続してある。
弾性体層13は発泡ポリウレタンを使用しており、主として内部の気泡がつながった独立気泡構造をとり、ガスの出入りをなくし、空気によるクッション性を持たせているが、適度なクッション性を有するものであれば連続気泡構造のものでもよい。また弾性体層13は補強部材14の周りを覆うように形成してあり、着座したときも臀部が直接、補強部材14に接しないようにしてある。
以上のように構成された便座装置について、以下その動作、作用を説明する。
まず、人が用を足すためにトイレに入室すると、人体検知手段20が人体を検知し、その信号を本8に設けてある受信手段21に送信する。受信手段21で受信した信号により制御装置9は面状のPTCヒータ12の通電率を上げて急激なの立ち上げを行う。PTCヒータ12をは立ち上がり時など温度が低いときはハイパワーで発熱し、温度が高くなると自動的にローパワーになるというPTC特性(自動温度制御特性)を有している。従って熱容量の少ない薄い表皮材11を介して使い始めにすぐに温度があがるという速熱性を有している。
図4は便座6の温度特性をしめすものであり、横軸に時間、縦軸に便座表面温度を示しており、便座6の表面温度は10秒以内で35℃前後の温度になることがわかる。便座6の通常温度設定は35℃から40℃程度に設定してあるため便座6に座って冷たいということはない。一般的にPTCヒータが35℃程度に暖まるまでに要する時間と人が服を脱いで便座に座る時間は、ほぼ同程度の数秒から10秒くらいであり、座るときには冷たくない温度となっている。
使用者が上記の状態の便座に座ると、クッション性のある弾性体層13と屈曲自在なPTCヒータ12は使用者の臀部沿って変形することにより、衝撃を受けないで着座することができる。
本実施の形態のPTCヒ−タ12は、図5に示すように樹脂とカーボンを混合した粒子22をエラストマー23の中に配合することで、伸縮させた場合においても組成が破壊しないことを特徴とした伸縮性PTCとしている。このようにフレキシブル性に富んだ伸縮性のある構成をしているため、5−10%程度の伸びに関しては抵抗体の破壊は起こらない。
図6に従来の便座装置の撓み特性、図7に本実施の形態の便座装置の撓み特性を示す。図6、図7のグラフは横軸に荷重量、縦軸に撓み量を示し、撓み量についてはマイナス方向に示している。図6、7ともに荷重量が増えれば撓み量が増える構成としている。本実施の形態の便座装置は弾性体層13を設置したことで少しの荷重の差で撓み量が大きく変化する特徴を有している。前記特徴は図8に示す撓み量のグラフの傾きが、図6の撓み量の傾きに比べて大きい事から読み取れる。これらの測定デ−タより、便座装置の撓み量はPTCヒータの伸び量の許容範囲内に入っていることがわかる。
使用者が着座してからは、所定の設定温度まで便座温度が上がり、その後は一定の温度に保つ。このとき、特に便座面と臀部または大腿部が接触しているところは人体により断熱されているため温度が上がりやすいが、PTCヒ−タ12は温度が高くなると伝導性粒子の連鎖を断ち切り電流を流しにくくするという性質を有しているため、無駄に便座温度を上げすぎることがなく、省エネ効果が高いという利点を有している。
以上のように、本実施の形態においては、表皮材の下方に弾性体層を設置し、弾性体層の上部に屈曲自在なPTCヒータを配設することにより、使用者は着座時の衝撃や冷たさを感じることが少なく、長時間着座しても臀部の血流を妨げることもなく、違和感や疲れを感じない快適な便座装置とすることができる。
また、PTCヒータのPTC特性(自動温度制御特性)により、速熱性と昇温後の自己温度制御機能により、無駄な電力の使用を抑え、省エネ効果の高い便座装置を提供することができる。
なお、本実施の形態においては、面状便座ヒータとして伸縮性PTC抵抗体を使用したPTCヒータを使用したが、これに限るものではなく、面状の金属製のヒータや伸縮特性を持たないPTCヒータ等で面状の構成が可能なヒータであれば、本実施の形態と近似の効果を得ることができる。
また、本実施の形態では弾性体層の内部にPTCヒータを配置したが、本実施の形態で使用した柔軟性を備えたPTCヒータであれば表皮材の裏面に直接配置することも可能であり、その場合本実施の形態においては表皮材とPTCヒータは別部材で構成したが、表皮材をPTCヒータの柔軟性フィルムで兼ねることも可能である。
以上のように、本発明にかかる便座装置は、着座時の快適性と暖房機能の省エネ性の効果を備えたものであるので、椅子や座布団等の着座機器の暖房機能などの用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における便座装置の斜視図 本発明の実施の形態1における便座の断面図 本発明の実施の形態1におけるPTCヒータの内部構成図 本発明の実施の形態1における便座の温度特性図 本発明の実施の形態1における伸縮性PTC抵抗体の模式図 従来の便座装置の撓み特性図 本発明の実施の形態1における便座装置の撓み特性図 従来の便座装置の断面図
符号の説明
6 便座
10 便器
12 PTCヒータ(面状便座ヒータ)
13 弾性体層
22 柔軟性フィルム
23 伸縮性PTC抵抗体
24 電極
25 柔軟性フィルム

Claims (3)

  1. 便器上に装着する便座において、少なくとも一部に使用者の体形に沿うように変形する弾性体層を備え、便座内に面状便座ヒータを設置した便座装置。
  2. 面状便座ヒータは正温度係数特性を有するPTCヒータであることを特徴とする請求項1記載の便座装置。
  3. PTCヒータは柔軟性フィルムに伸縮性PTC抵抗体と電極を印刷した請求項2記載の便座装置。
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