JP2007104856A - 容量調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】セル間の電圧ばらつき量および車両走行頻度を考慮した容量調整を行う容量調整装置の提供。
【解決手段】制御部10は、セル電圧低下検知回路B1〜Bnから電圧低下検知信号が入力されると、複数のセルC1〜Cn間に生じている電圧ばらつき量を検出するとともに、その電圧ばらつき量および車両の走行頻度に基づいて、組電池1の目標SOCを決定する。組電池1の容量調整を行う際には、決定された目標SOCに基づいて充電を行い、容量調整回路A1〜Anによるバイパス動作を行う。その結果、組電池1に対してより最適な容量調整を行うことができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、組電池を構成する複数のセル間の容量ばらつきを調整する容量調整装置に関する。
従来、組電池を構成する各セルの電圧値と所定のバイパス電圧とを比較し、セル電圧がバイパス電圧を上回ったセルに関して放電を行うことにより、セル間の容量調整を行う容量調整装置が知られている(特許文献1参照)。
特開平10−322925号公報
しかしながら、容量調整が十分に行われるようにバイパス電圧を低く設定した場合、容量調整に伴う組電池トータルのエネルギーロスが大きくなるという問題がある。逆に、バイパス電圧を高く設定した場合、容量調整に伴うエネルギーロスは抑えられるが、バイパス回路の作動は車両の走り方で決まる充放電制御に左右されるため、走り方や、セル間のばらつき状況によっては、十分に容量調整できないおそれがあった。また、セル電圧のばらつき量に基づいて容量調整を行う場合、電圧センサの検知誤差や回路誤差等によりばらつき量検知精度が低下し、適切な容量調整ができないおそれがあった。
請求項1の発明は、複数のセルを備える車両用組電池の容量調整装置に適用され、セルの電圧が所定のバイパス作動電圧を超えた場合に、調整手段によりセルの放電を行って容量調整を行う。そして、複数のセル間に生じている電圧ばらつき量を電圧ばらつき量検出手段により検出し、所定期間内における車両走行時間を表す走行頻度を走行頻度推定手段で推定し、電圧ばらつき量検出手段により検出された電圧ばらつき量、および、走行頻度推定手段によって推定された走行頻度に基づいて、組電池の目標SOCを目標SOC決定手段により決定する。充放電制御手段により組電池の充放電を制御する際には、目標SOC決定手段によって決定された目標SOCに基づいて制御を行う。
請求項4の発明は、複数のセルを備える組電池のいずれか一つのセルの電圧が、所定下限値以下となったことを検知する電圧低下検知部と、複数のセルの平均電圧および所定下限値とに基づいて、複数のセル間に生じている電圧ばらつき量を検出する電圧ばらつき量検出手段とを備え、電圧ばらつき量検出手段で検出された電圧ばらつき量に基づいて、複数のセル間の電圧ばらつきを調整する容量調整装置に適用される。そして、電圧低下検知部の検知誤差の内で、検知時のセルの電圧が最も低くなる場合の検知誤差に基づいて、電圧ばらつき量を補正する補正手段を設けたことを特徴とする。
本発明に係る容量調整装置によれば、車両の走行頻度および電圧ばらつき量に応じた容量調整や、電圧低下検知誤差の影響を抑えた容量調整を行うことができる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、本発明による容量調整装置の一実施の形態における構成を示す図である。以下では、ハイブリッド自動車に搭載された組電池の容量調整装置を例に説明する。組電池1は、複数のセルC1〜Cnを直列接続して構成される。インバータ5は、組電池1の直流電力を交流電力に変換して走行用モータ6に印加する。回生運転時にはモータ6は電動機として機能し、インバータ5は、回生運転によって発電される交流電力を、直流電力に変換して組電池1に供給する。また、図示しないエンジンの駆動力によりモータ6を駆動して組電池1を充電することもできる。
組電池1の各セルC1〜Cnに対応して、容量調整回路A1〜Anおよびセル電圧低下検知回路B1〜Bnがそれぞれ設けられている。容量調整回路A1〜Anは、対応するセルC1〜Cnの電圧が所定のバイパス作動電圧Vbpを超えたときにそのセルの放電を行うことにより、各セル間の電圧ばらつきが小さくなるように容量調整を行う。
セル電圧低下検知回路B1〜Bnは、対応するセルC1〜Cnの電圧が所定の電圧低下検知閾値VLm以下に低下したことを検知し、電圧低下検知信号mを出力する。オア回路8は、セル電圧低下検知回路B1〜Bnから出力された電圧低下検知信号mに対して論理和演算を行い、演算結果を制御部10に出力する。
図2は、図1に示す容量調整回路A1〜An、セル電圧低下検知回路B1〜Bn、および、オア回路8を含む回路2の詳細な構成を示す図である。ここでは、説明を簡単にするために、組電池1が8個のセルC1〜C8により構成されているものとする。容量調整回路A1〜A8は、バイパス抵抗R1〜R8、スイッチSW1〜SW8、電圧比較器(コンパレータ)IC1〜IC8、および、電圧検知回路201〜208で構成される。セルC1〜C8毎に設けられている電圧検知回路201〜208は、対応するセルC1〜C8の電圧を、電圧比較器IC1〜IC8の一方の入力端子にそれぞれ出力する。
電圧比較器IC1〜IC8は、電圧検知回路201〜208から入力されるセル電圧と所定のバイパス作動電圧Vbpとを比較し、その比較結果を対応するスイッチSW1〜SW8に出力する。スイッチSW1〜SW8は、セル電圧がバイパス作動電圧Vbpよりも高いことを示す信号が電圧比較器IC1〜IC8から入力されると、オンする。
例えば、スイッチSW1がオンすると、スイッチSW1と直列に接続されているバイパス抵抗R1を介して、セルC1の放電が行われる。すなわち、セル電圧がバイパス作動電圧Vbpを超えると、オンしたスイッチSW1〜SW8と直列に接続されているバイパス抵抗R1〜R8を介して、セルの放電が行われる。これにより、各セル間の電圧バラツキが抑制される。
セル電圧低下検知回路B1〜B8は、電圧比較器(コンパレータ)IC9〜IC16と、電圧検知回路201〜208とで構成される。電圧比較器IC9〜IC16は、電圧検知回路201〜208から入力される各セルの電圧と、所定の電圧低下検知閾値VLmとを比較し、セル電圧が電圧低下検知閾値VLmより低ければ、電圧低下検知信号mを出力する。
制御部10は、CPU10Aと、ROMやRAMで構成される記憶部10Bとを備えており、外部記憶装置としてのEEPROM30が接続されている。制御部10にはキースイッチ20が接続されており、キースイッチ20がオンされることにより、制御部10に電源が供給される。制御部10は、オア回路8から入力される電圧低下検知信号m、電圧センサ7により検出される組電池1の総電圧や電流センサ9により検出される電流値に基づいて、組電池1の容量調整や充放電を制御する。
各セル間の電圧ばらつきを調整する容量調整動作は、セルC1〜Cnのいずれか一つのセル電圧が電圧低下検知閾値VLmを検出し、かつ、後述する電圧ばらつき量が所定の基準値以上となった場合に行われる。容量調整動作においては、バイパス放電をするためにセル電圧がバイパス作動電圧Vbpを越える目標SOC(SOC制御中心)まで充電を行う。後述するように、本実施の形態では、この目標SOCをセル電圧のばらつき量および走行頻度に応じて変えるようにした。
《ばらつき検知誤差の補正方法》
まず、ばらつき量に応じたSOC制御中心の制御を説明する前に、ばらつき検知誤差の補正方法について説明する。セル間の電圧のばらつきは主にセル間の自己放電量が異なることから生じるが、実際には、ばらつき検知時の測定誤差、すなわち、セル電圧低下検知回路B1〜Bnの回路誤差に起因するばらつきも含まれている。また、ばらつき調整を行った際に、容量調整回路A1〜Anの回路誤差に起因する調整ばらつきも生じる。
一般的に、高精度素子(1%精度)を用いて容量調整回路A1〜Anおよびセル電圧低下検知回路B1〜Bnを構成しても、±50mV程度の回路誤差が生じるのは避けられない。図3(a)は容量調整回路A1〜Anの誤差分布を示したものである。充電率(SOC:state of charge)で表した場合のバイパス作動電圧VbpをSOC54%とした場合、実際のバイパス作動電圧Vbpは、SOC54%を中心としてSOC50%(Vbp−50mV)とSOC58%(Vbp+50mV)との間にばらついている。同様に、セル電圧低下検知回路B1〜Bnの場合も図3(b)の誤差分布に示すように、予め設定された電圧低下検知閾値VLmがSOC40%であった場合、電圧低下検知信号mが出力されたときの実際のセル電圧は、設定された電圧低下検知閾値VLm(SOC40%)を中心とするSOC36%(VLm−50mV)とSOC43%(VLm+50mV)との間にばらついている。
放電中にセル電圧低下検知回路B1〜Bnから電圧低下検知信号mが出力された場合、電圧低下検知信号mが出力されたセル電圧低下検知回路に該当するセルの電圧ばらつき量ΔVcは、次式(1)を用いて推定される。なお、式(1)において、Vaveはセル平均電圧である。セル平均電圧Vaveは、「Vave=Vbat/(セル直列数)」のように、電圧センサ7により検出される組電池1の総電圧VbatをセルC1〜Cnの直列数で除算することにより得られる。
ΔVc=Vave−VLm …(1)
ところで、電圧センサ7の測定値である総電圧Vbatには、電圧センサ7自体の検出誤差が含まれている。また、図3(b)に示したように、セル電圧低下検知回路B1〜Bnの検知誤差により、電圧低下検知信号mが出力されたときのセル電圧も電圧低下検知閾値VLmに対してずれている場合がある。電圧センサ7の検出誤差はセル平均電圧Vaveに影響し、その誤差をΔVaveと表す。一方、セル電圧低下検知回路B1〜Bnの検知誤差に依存する回路誤差をΔVLmと表す。上述した電圧ばらつき量ΔVc(=Vave−VLm)には、ΔVaveとΔVLmとに基づく検知誤差が含まれていることになる。
図4は、電圧ばらつき量ΔVcの検知精度を説明する図である。セル平均電圧がVaveと測定された場合、実際のセル平均値は測定値Vaveを中心とする幅ΔVave内に分布している。また、電圧低下検知信号mが出力されたときの実際のセル電圧は、電圧低下検知閾値VLmを中心として幅ΔVLm内に分布している。仮にセル平均電圧Vaveおよび電圧低下検知閾値VLmのいずれにも誤差が無ければ、電圧ばらつき量ΔVcは「Vave−VLm」となる。
しかし、実際には誤差があるために、算出される電圧ばらつき量ΔVcは、最大値「(Vave−VLm)+(ΔVave+ΔVLm)/2」と最小値「(Vave−VLm)−(ΔVave+ΔVLm)/2」との間に分布することになる。そのため、例えば、セル平均電圧Vaveから電圧低下検知閾値VLmを減算して電圧ばらつき量ΔVcを算出し、算出された電圧ばらつき量ΔVcをそのまま使用して組電池1の目標SOCを変更するような方法を採用した場合、容量調整が必要な時に容量調整が行われなかったり、容量調整が必要で無い時に容量調整が行われてしまう可能性がある。
ところで、図3(a),(b)に示したように、バイパス作動電圧Vbpのばらつきも電圧低下検知信号mが出力されたときの電圧低下検知閾値VLmのばらつきも、分布中心に関して±50mVの範囲にばらついている。そのため、これらのばらつきが0mVであった場合、−50mVであった場合および+50mVであった場合を考えると、図5に示すような9種類の誤差組み合わせが考えられる。
図5のケース1は、VLmのばらつき(すなわちΔVLm)もVbpのばらつきも0mVであった場合である。この場合、容量調整時の電圧ばらつきも電圧低下検知時の検知ばらつきも0mVとなる。ケース2は、Vbpのばらつきが−50mVで、ΔVLm=+50mVの場合である。すなわち、容量調整時の実際のバイパス作動電圧は、設定されているバイパス作動電圧Vbpよりも50mVだけ小さな電圧となっている。一方、電圧低下検知信号mが出力されたときの実際のセル電圧は、電圧低下検知閾値VLmよりも50mVだけ高い電圧となっている。
ケース7の場合には、Vbpのばらつきが0mVなので設定通りのバイパス作動電圧Vbpで容量調整が行われるが、ΔVLm=−50mVであるため、電圧低下検知信号mが出力されたときの実際のセル電圧は、電圧低下検知閾値VLmよりも50mVだけ低い電圧となっている。すなわち、設定された電圧低下検知閾値VLmまでセル電圧が低下しても、電圧低下検知信号mが出力されず、より低いVLm−50mVとなったときにやっと電圧低下検知信号mが出力されることになる。
ケース8の場合には、ΔVLm=0なので、電圧低下検知信号mが出力されたときの実際のセル電圧は電圧低下検知閾値VLmになっている。しかし、Vbpのばらつきが+50mVなので、容量調整時の実際のバイパス作動電圧は、設定されているバイパス作動電圧Vbpよりも50mVだけ大きな電圧となっている。
図5に示したケース1〜ケース9までの誤差組み合わせの内で、ケース2の場合には、バイパス動作が起きやすくセル電圧が低く調整される傾向にあり、かつ、セル電圧低下が検知されやすい。実際には、このような回路側の誤差による電圧ばらつきに加えて、各セルの自己放電による電圧ばらつきが加わる。すなわち、ケース2のような誤差組み合わせであって、かつ、自己放電の最も大きなセルとの組み合わせが、電圧低下検知信号mの出力が最も早いものとなる。
放電中に各セルC1〜Cnのセル電圧が電圧低下検知閾値VLm以下となると、セル電圧低下検知回路B1〜Bnから次々と電圧低下検知信号mが出力されることになるが、上述したように、ケース2の誤差組み合わせであって、かつ、自己放電の最も大きなセルの場合が、最初に電圧低下検知信号mを出力することになる。そのときの電圧ばらつき量ΔVcが容量調整を開始するための基準値以上であれば、容量調整が行われる。
一方、電圧ばらつき量ΔVcが基準値よりも小さければ、容量調整は行われず通常の充放電制御が継続される。その後、放電中に電圧低下検知信号mが出力された場合も、その電圧低下検知信号mは、ケース2の誤差組み合わせであって、かつ、自己放電の最も大きなセルのセル電圧低下検知回路から出力されることになる。すなわち、電圧低下検知信号mが出力されたときに検出される電圧ばらつき量ΔVcには、検知誤差ΔVLmとして+50mVが含まれていることになる。そのため、+50mVを「ばらつき検知誤差補正量」とすれば、すなわち、補正された電圧ばらつき量ΔVc’を「ΔVc’=ΔVc−50mV」とすれば、検知誤差ΔVLmをキャンセルすることができ、電圧ばらつき量の検知精度の向上が図れる。
《容量調整装置の動作説明》
図6は、本実施の形態の容量調整装置によって行われる処理内容を示すフローチャートである。なお、以下では、電圧ばらつき量ΔVcとして、上述した補正された電圧ばらつき量ΔVc’を用いることにする。それにより、より精度良い容量調整を行うことができる。制御部10は、キースイッチ20がオンされて車両が起動すると、ステップS10の処理を開始する。ステップS10では、EEPROM30に記憶されている複数の電圧ばらつき量ΔVcおよび容量調整時間Tonを読み込んで記憶部10Bに格納し、それらの電圧ばらつき量ΔVcに基づいてセル電圧のばらつき変動量ΔVcdを求める。
図7,8は、ばらつき変動量ΔVcdの算出例を示す図である。ここでは、EEPROM30に、k個の電圧ばらつき量ΔVcが記憶されているとして説明する。図7に示す算出方法では、k個の電圧ばらつき量ΔVcのデータのうち、最小の値を示すデータΔVcLと、最大の値を示すデータΔVcMとの差をセル電圧のばらつき変動量ΔVcdとする。一方、図8に示す算出方法では、k個の電圧ばらつき量ΔVcのうち、あるタイミングで検出された電圧ばらつき量ΔVci-1と、その次のタイミングで検出された電圧ばらつき量ΔVciとの差を求め、その差が最大のものをばらつき変動量ΔVcdとしている。
ステップS10においてセル電圧のばらつき変動量ΔVcdを求めたならば、ステップS20に進む。ステップS20では、電圧センサ7によって検出される組電池1の総電圧Vbat、および、電流センサ9によって検出される組電池1の充放電電流Ibatを検出する。ステップS30では、組電池1のSOCを求める。例えば、組電池1の電圧とSOCとの関係を示すテーブルを予め記憶部10Bに用意しておき、このテーブルと、電圧センサ7により検出された総電圧Vbatとに基づいて、SOCを算出することができる。
ステップS40では、ステップS30で求めたSOCに基づいて、組電池1の入力可能パワーおよび出力可能パワーを求める。ここでは、組電池1のSOCと入力可能パワーとの対応関係を示すテーブル、および、組電池1のSOCと出力可能パワーとの対応関係を示すテーブルを予め記憶部10Bに用意しておき、このテーブルと、ステップS30で求めたSOCとに基づいて、入力可能パワーおよび出力可能パワーを求める。
ステップS50では、電流センサ9によって検出される充放電電流Ibatの絶対値が所定の電流閾値以下であるか否かを判定する。充放電電流Ibatの絶対値が所定の電流閾値より大きいと判定するとステップS20へ戻り、充放電電流Ibatの絶対値が所定の電流閾値以下であると判定するとステップS60に進む。なお、所定の電流閾値は、組電池1がほとんど充放電を行っていないとみなせる値に設定しておく。
ステップS60では、オア回路8から電圧低下検知信号mが入力されたか否かを判定する。すなわち、全てのセル電圧低下検知回路B1〜Bnのうち、少なくとも1つのセル電圧低下検知回路から電圧低下検知信号mが入力されたか否かを判定する。ステップS60において、電圧低下検知信号mが入力されていないと判定するとステップS20に戻り、電圧低下検知信号mが入力されたと判定するとステップS70に進む。
ステップS70では、ばらつき検知誤差の補正において説明した式(1)を用いて、制御部10に電圧低下検知信号mが入力された時の電圧ばらつき量ΔVcを求める。算出された電圧ばらつき量ΔVcは記憶部10Bに記憶される。記憶部10Bには、算出された複数の電圧ばらつき量ΔVcが時系列的にk個だけ記憶される。電圧ばらつき量ΔVcはステップ20からステップS130までの処理が繰り返されるたびに算出されるので、順に上書きすることにより、直近のk個の電圧ばらつき量ΔVcが記憶される。
続くステップS80では、ステップS10で求めたセル電圧のばらつき変動量ΔVcd、および、後述する単位走行時間あたりの容量調整時間Tonに基づいて、車両の走行頻度を推定する。ここでは、セル電圧のばらつき変動量ΔVcd、および、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonと、車両の走行頻度との関係を予め実験等によって求めておく。
図9は、セル電圧のばらつき変動量ΔVcd、および、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonと、車両の走行頻度との関係の一例を示す図である。図9に示す関係は、図10に示すようなテーブルとして、記憶部10Bに予め記憶されている。図10に示すテーブルは、セル電圧のばらつき変動量ΔVcd毎に、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonと、車両の走行頻度とを対応させている。制御部10のCPU10Aは、ステップS10で求めたセル電圧のばらつき変動量ΔVcd、および、記憶部10Bに格納されている単位走行時間あたりの容量調整時間Tonに基づいて、記憶部10Bに格納されているテーブル(図10参照)を参照して車両の走行頻度を推定する。なお、制御部10にタイマを設け、そのタイマを用いて走行時間を計測することにより、走行頻度を算出するようにしても良い。
ステップS90では、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonを求める。ここでは、セル平均電圧Vaveがバイパス作動電圧Vbpを越えている間は、セル電圧がバイパス作動電圧Vbpを越えているセルの放電が行われることによって、セル間の容量調整が行われていると判断する。そして、セル平均電圧Vaveがバイパス作動電圧Vbpを越えている時間を車両の走行時間で除算した時間を、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonとする。具体的に式で示すと、次式(2)により、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonを求める。
Ton=∫(VaveがVbpを越えた回数)dt/∫(演算回数)dt (2)
上式(2)では、車両の走行中に、所定の演算周期(例えば、ステップS20からステップS130まで)毎に、セル平均電圧Vaveとバイパス作動電圧Vbpとを比較し、セルの平均電圧Vaveがバイパス作動電圧Vbpを越えた回数C1をカウントする。この回数C1を、セル平均電圧Vaveとバイパス作動電圧Vbpとを比較した回数C2で除算することによって、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonが求まる。この単位走行時間あたりの容量調整時間Tonは、容量調整が行われた頻度を表している。
続くステップS100では、ステップS70で求めた電圧ばらつき量ΔVcが、所定のばらつき判定値よりも大きいか否かを判定する。ステップS100において、ステップS50で求めた電圧ばらつき量ΔVcがばらつき判定値よりも大きいと判定されるとステップS110へ進み、電圧ばらつき量ΔVcがばらつき判定値以下と判定されると、ステップS110およびS120の処理をスキップしてステップS130へ進む。
ステップS110では、ステップS50で求めた電圧ばらつき量ΔVcに基づいて、組電池1の充放電を制御する際のSOC制御中心を変更する。ここで、SOC制御中心とは、組電池1の充放電を制御する際の目標SOCのことである。例えば、通常制御時のSOC制御中心は50%であり、SOC=50%を中心として組電池1の充放電が行われる。
図11は、組電池1の充放電制御領域を示す図である。制御部10は、組電池1のSOCが30%から85%の範囲に収まるように、組電池1の充放電を制御する。SOCが30%から65%の範囲は、組電池1の充電に際し、図示しないエンジンを動力源としてモータ6による発電を行う制御領域であり、SOCが65%を越えると、エンジンを動力源としてモータ6を駆動させて発電を行うことが禁止される。SOCが65%から85%の範囲では、車両の減速時等において、モータ6の回生運転による発電が許容される。この場合、SOCが大きくなるほど、組電池1の入力可能パワーが制限される。また、SOCが40%以下になると、組電池1の出力可能パワーが制限される。
図12は、電圧ばらつき量ΔVcおよび車両の走行頻度と、SOC制御中心との関係の一例を示すテーブルである。通常制御時のSOC制御中心は50%である。走行頻度の大小に関わらずSOC制御中心は50%よりも大きい方へと移動されるが、走行頻度が所定頻度よりも少ない場合には、所定頻度よりも多い場合よりもSOC制御中心の移動量を大きくする。さらに、電圧ばらつき量ΔVcが大きくなる程、走行頻度の大小に関わらずSOC制御中心の移動量を大きくする。
例えば、ΔVc=7%の場合、走行頻度が多いときのSOC制御中心は60%であるが、走行頻度が少ない場合のSOC制御中心は65%である。また、電圧ばらつき量ΔVcが15%と大きくなると、走行頻度が多いときのSOC制御中心は70%であり、走行頻度が少ない場合のSOC制御中心は75%である。
図13(a)〜図13(c)は、SOC制御中心を説明する図である。図13(a)は、通常制御時におけるSOC頻度を示しており、SOC制御中心は50%である。すなわち、SOC=50%の位置を中心として、組電池1の充放電が行われる。図13(b)は、SOC制御中心を50%よりも高くした場合、例えば、60%とした場合のSOC頻度を示している。
図13(b)に示すように、SOC制御中心を高くすることにより、各セルの電圧は上昇するので、セル電圧がバイパス作動電圧Vbpを越えるセルが多くなる。これにより、セル間の容量調整を行う頻度を多くすることができる。すなわち、本実施の形態では、電圧ばらつき量ΔVcが大きいほど、また、車両の走行頻度が少ないほど、目標SOCを高くすることにより、各セルの電圧を高くして、容量調整を行う頻度を多くすることができる。
また、図13(b)の場合とは逆に、図13(c)に示すようにSOC制御中心を低くすると、セル電圧がバイパス作動電圧Vbpを越えるセルが少なくなるので、セル間の容量調整を行う頻度を少なくして、無駄な放電を抑制することができる。
なお、走行頻度が少ない場合には、走行頻度が多い場合よりもさらにSOC制御中心が高くなるので、全てのセルの電圧がバイパス作動電圧Vbpを越えた状態に維持されるが、走行中における容量調整の頻度が少ないため、全セルの電圧がバイパス作動電圧Vbpの大きさにそろわない可能性がある。しかし、車両の走行頻度が少ない場合にはキースイッチ20をオフにしている時間が長いため、キーオフ時に容量調整を行うことによって電圧ばらつきを抑制することができる。
本実施の形態では、ステップS110において、電圧ばらつき量ΔVcに応じてSOC制御中心を変更することにより、電圧頻度が変化してバイパス量が変わる。これにより、ユーザの要求出力、システムの充電制御に影響を与えることなく、走行中あるいはキーオフ時のSOCを高い確率でコントロールすることが、すなわち適切な容量調整が可能となる。走行頻度の高いユーザの場合には走行中のバイパス頻度を上げ、走行頻度の少ないユーザ、言い替えれば走行中に調整不可能なユーザは、キーオフ時に調整を行うことが可能となる。また、使用頻度が高く、調整時間も多い場合には、図13(c)のようにSOC制御中心を下げてエネルギーロスを抑えるようにしても良い。
次いで、ステップS120では、ステップS110で変更したSOC制御中心、および、ステップS70で求めた電圧ばらつき量ΔVcに基づいて、組電池1の入力可能パワーおよび出力可能パワーを変更する。ここでは、通常時にSOCから算出される入出力可能パワーに対して制限をかける。
図14は、電圧ばらつき量ΔVcおよびSOC制御中心と、入力可能パワーおよび出力可能パワーとの関係を示す図である。図14において、入出力可能パワー制限の欄の%は、ステップS40で求めた入出力可能パワーに対する割合を示している。例えば、電圧ばらつき量ΔVcが7%でSOC制御中心が60%においては、出力可能パワーをステップS40で求めた出力可能パワーの80%に制限し、入力可能パワーをステップS40で求めた入力可能パワーの60%に制限する。なお、100%という数字は、ステップS40で求めた入力可能パワー(出力可能パワー)と同値であり、制限量が0であることを示している。
このように、電圧ばらつき量ΔVcが大きいほど、また、SOC制御中心が高いほど、入力可能パワー(入力電力量の制限値)を小さくすることにより、過充電状態となるセルが発生するのを防ぐことができる。逆に、電圧ばらつき量ΔVcが小さいほど、また、SOC制御中心が低いほど、出力可能パワー(出力電力量の制限値)を小さくすることにより、過放電状態となるセルが発生するのを防止できる。すなわち、ステップS110において組電池1の目標SOC(SOC制御中心)が変更されても、セルが過充電状態または過放電状態となるのを防ぐことができる。
ステップS120における入出力可能パワーの変更が終了したならば、ステップS130に進み、キースイッチ20がオフされたか否かを判定する。キースイッチ20がオフされていないと判定されるとステップS20へ戻り、キースイッチ20がオフされたと判定されるとステップSS140へと進む。
ステップS130からステップS140へと進んだ場合、ステップS140において、記憶部10Bに記憶されているk個の電圧ばらつき量ΔVcをEEPROM30に格納する。そして、続くステップS150で容量調整時間TonをEEPROM30に格納して、図6に示すフローチャートの処理を終了する。
上述した実施の形態では、通常制御時のSOC制御中心の値を50%として説明したが、50%より低くてもよいし、高くてもよい。また、電圧ばらつき量ΔVcおよびSOC制御中心に応じて入出力可能パワーを変更したが、入力可能パワーおよび出力可能パワーの少なくとも一方を変更するようにしてもかまわない。さらに、組電池の容量調整装置をハイブリッド自動車に適用した例を挙げて説明したが、電気自動車に適用することもできる。
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、制御部10は電圧ばらつき量検出手段,調整頻度検出手段,走行頻度推定手段,目標SOC決定手段,充放電制御手段,入出力可能電力変更手段および補正手段を、容量調整回路A1〜Anは調整手段を、セル電圧低下検知回路B1〜Bnは電圧低下検知部をそれぞれ構成する。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
本発明による容量調整装置の一実施の形態を示す図であり、ハイブリッド自動車に適用した場合のシステム構成を示す。 図1に示す容量調整回路A1〜An、セル電圧低下検知回路B1〜Bn、および、オア回路8を含む回路2の詳細な構成を示す図である。 誤差分布を示す図であり、(a)は容量調整回路A1〜Anの誤差分布を示し、(b)はセル電圧低下検知回路B1〜Bnの誤差分布を示す。 電圧ばらつき量ΔVcの検知精度を説明する図である。 誤差組み合わせを示す図である。 本実施の形態の容量調整装置によって行われる処理内容を示すフローチャートである。 電圧ばらつき量ΔVcの算出例を説明する図である。 電圧ばらつき量ΔVcの他の算出例を説明する図である。 セル電圧のばらつき変動量ΔVcd、および、単位走行時間あたりの容量調整時間Tonと、車両の走行頻度との関係の一例を示す図である。 図9の相関関係に対応したテーブルを示す図である。 組電池1の充放電制御領域を示す図である。 電圧ばらつき量ΔVcおよび車両の走行頻度と、SOC制御中心との関係の一例を示すテーブルである。 SOC制御中心を説明する図であり、(a)は通常制御時のSOC頻度を、(b)は通常制御時よりもSOC制御中心を高くした場合を、(c)は通常制御時よりもSOC制御中心を低くした場合をそれぞれ示す。 電圧ばらつき量ΔVcおよびSOC制御中心と、入力可能パワーおよび出力可能パワーとの関係を示す図である。
符号の説明
1…組電池、5…インバータ、6…モータ、7…電圧センサ、9…電流センサ、10…制御部、10A…CPU、10B…制御部、A1〜An…容量調整回路、B1〜Bn…セル電圧低下検知回路

Claims (4)

  1. 複数のセルを備える車両用組電池の容量調整装置において、
    前記セルの電圧が所定のバイパス作動電圧を超えた場合に、前記セルの放電を行って容量調整を行う調整手段と、
    複数のセル間に生じている電圧ばらつき量を検出する電圧ばらつき量検出手段と、
    所定期間内における車両走行時間を表す走行頻度を推定する走行頻度推定手段と、
    前記電圧ばらつき量検出手段により検出された電圧ばらつき量、および、前記走行頻度推定手段によって推定された走行頻度に基づいて、前記組電池の目標SOCを決定する目標SOC決定手段と、
    前記目標SOC決定手段によって決定された目標SOCに基づいて、前記組電池の充放電を制御する充放電制御手段とを備えることを特徴とする容量調整装置。
  2. 請求項1に記載の容量調整装置において、
    車両の走行中に、前記調整手段によって容量調整が行われた調整頻度を検出する調整頻度検出手段をさらに備え、
    前記走行頻度推定手段は、前記電圧ばらつき量検出手段により検出された複数の電圧ばらつき量、および、前記調整頻度検出手段によって検出された調整頻度に基づいて、車両の走行頻度を推定することを特徴とする容量調整装置。
  3. 請求項1または2に記載の容量調整装置において、
    前記電圧ばらつき量検出手段により検出された電圧ばらつき量が所定値より大きい場合に、前記目標SOC決定手段によって決定された目標SOCに応じて、前記組電池の入力可能電力および出力可能電力の少なくとも一方を変更する入出力可能電力変更手段をさらに備えることを特徴とする容量調整装置。
  4. 複数のセルを備える組電池のいずれか一つのセルの電圧が、所定下限値以下となったことを検知する電圧低下検知部と、前記複数のセルの平均電圧および前記所定下限値とに基づいて、前記複数のセル間に生じている電圧ばらつき量を検出する電圧ばらつき量検出手段とを備え、前記電圧ばらつき量検出手段で検出された電圧ばらつき量に基づいて、前記複数のセル間の電圧ばらつきを調整する容量調整装置において、
    前記電圧低下検知部の検知誤差の内で、検知時のセルの電圧が最も低くなる場合の検知誤差に基づいて、前記電圧ばらつき量を補正する補正手段を設けたことを特徴とする容量調整装置。
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JP2012175733A (ja) * 2011-02-17 2012-09-10 Toyota Motor Corp 車両の充電装置
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