JP2007103545A - 接続構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低接続抵抗、高絶縁信頼性、かつ微細回路接続性に優れた接続構造体の提供。
【解決手段】チップ外周部に接続バンプを配列したLSIチップを少なくとも硬化剤、硬化性の絶縁性樹脂、導電性粒子からなる異方導電性フィルムで接続基板に接続した接続構造体において、接続バンプの接続部分に存在する導電性粒子の個数の標準偏差が該接続部に存在する導電性粒子の平均個数の10%以下又は2のうち大きい方より小さく、かつ接続バンプの内側部分に存在する導電性粒子の個数の93%以上が単独であり、且つ、接続基板面側に存在していることを特徴とする接続構造体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、微細回路接続性、接続信頼性に優れた接続構造体及び該接続構造体の製造方法に関する。
これまで、LSIチップを微細回路に接続した接続構造体に関して、接続性改良、短絡防止、接続信頼性向上のために、種々の接続材料、および、接続構造体構成の検討がなされている。例えば、接続基板の接続電極以外の部分に樹脂膜を形成し、接続電極部分に金属ボールを配し、対応する電極位置を合わせて、LSIチップを加圧加熱することにより、金属ボールを介して電気的接続を形成し、同時に樹脂膜を硬化させる方法(特許文献1)、流動性の無いフィルムに孔を開け、導電性粒子を固定した樹脂フィルムを介して、接続基板の接続電極と対応するLSI電極を接続させる方法(特許文献2,3,4、5参照)が公知である。
また、異方導電性フィルムを用いて接続する方法は、多数の微細回路を良好な接続性、絶縁性を確保しつつ、一括接続できるためよく用いられる。この方法に関しては、例えば、例えば、導電性粒子の表面を電気絶縁性樹脂で被覆した異方導電性フィルムを用いる方法(特許文献6参照)、導電性粒子を含む層と含まない層を積層した異方導電性フィルムを用いて、隣接する回路間の短絡を防止する方法(特許文献7、8参照)が公知である。
しかしながら、接続部分に合わせて接続材料を配置する方法は、多数かつ微細な接続に関しては、製造技術上に制約があり、接続性、絶縁性、信頼性を全て満たすことには限界があった。また、樹脂フィルムの如き流動しないフィルムに導電性粒子を固定し、接続粒子数を確保して、かつ、電極間における導電性粒子の凝集による短絡を防止しようとする従来技術においては、フィルムによる導電性粒子固定と接着剤等によるLSIチップの固定とを機能分離しているため、樹脂フィルムの界面剥離、吸湿、等の問題が発生しうるため、接続性と信頼性を同時に満足しうるものではなかった。また、絶縁被覆導電性粒子を用いた異方導電性フィルム、あるいは、導電性粒子を含む層と含まない層を積層して成る異方導電性フィルムを用いる従来技術においては、接続時の導電性粒子流動によって発生する、接続端子の凝集粒子詰まりを完全に抑制できず、接続性、絶縁性を両立できるものではなかった
特開2004−63770号公報 特許第3360772号 特開2000−133050号公報 特開2003−31281号公報 特開2003−60333号公報 特公平7−99644号公報 特開平6−45024号公報 特開2003−49152号公報
本発明は、チップ外周部に接続バンプを配列したLSIチップを異方導電性フィルムで接続基板に接続した接続構造体に関して、回路間の絶縁性を損なうことなく、良好な電気的接続性、および信頼性を実現する接続構造体、および、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、導電性粒子が、接続部分にある特定の範囲の標準偏差で存在し、ある特定の範囲内に、ある特定割合以上の導電性粒子とは接触せずに存在していることを特徴とする接続構造体を用いることによって、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は以下に記載する通りのものである。
(1)チップ外周部に接続バンプを配列したLSIチップを少なくとも硬化剤、硬化性の絶縁性樹脂、導電性粒子からなる異方導電性フィルムで接続基板に接続した接続構造体において、接続バンプの接続部分に存在する導電性粒子の個数の標準偏差が該接続部分に存在する導電性粒子の平均個数の10%以下又は2のうち大きい方より小さく、かつ接続バンプの内側部分に存在する導電性粒子の個数の93%以上が単独で存在し、且つ、接続基板面側に存在していることを特徴とする接続構造体。
(2)前記導電性粒子が、貴金属被覆された樹脂粒子、貴金属被覆された金属粒子、金属粒子、貴金属被覆された合金粒子、及び合金粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電性粒子であって、その平均粒径が1〜10μmであることを特徴とする(1)に記載の接続構造体。
(3)チップ外周部に形成された接続バンプの内側部分の単位面積あたりの導電性粒子の個数が、用いた異方導電性フィルムの単位面積あたりの導電性粒子の個数の0.8倍以上であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の接続構造体。
(4)チップ外周部に接続バンプを配列したLSIチップと接続基板との間に、少なくとも硬化剤、硬化性の絶縁性樹脂、導電性粒子からなる異方導電性フィルムを介在させて、該LSIチップと接続基板とを押圧し、樹脂を硬化させることによりLSIチップと接続基板とを接続することを特徴とする(1)〜(3)に記載の接続構造体の製造方法。
(5)前記硬化性の絶縁樹脂が熱硬化性樹脂であり、異方導電性フィルムに含まれる成分の中で最もガラス転移温度の高い成分のガラス転移温度の0.5倍から2.5倍の範囲かつ220℃以下の最高到達温度で加熱圧着し、かつ加熱圧着時間の50%以上の時間範囲において最高到達温度に達していることを特徴とする(4)に記載の接続構造体の製造方法。
本発明の接続構造体は、隣接する接続端子間の良好な絶縁特性を有し、かつ接続した接続端子間の良好な電気的接続性、良好な信頼性を有する。すなわち、接続面の方向には、ある特定の標準偏差をもって導電性粒子を配し、チップ下のバンプの内側部分の導電性粒子の93%以上が単独、かつ、接続基板面に存在することにより、良好な信頼性を確保することが出来る。
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明の接続構造体における導電性粒子について説明する。
導電性粒子としては、貴金属被覆された樹脂粒子、貴金属被覆された金属粒子、金属粒子、貴金属被覆された合金粒子、及び合金粒子の中から選ばれた1種以上を用いることが好ましい。貴金属被覆された樹脂粒子としては、ポリスチレン、ベンゾグアナミン、ポリメチルメタアクリレート等の球状粒子にニッケル、および金をこの順に被覆したものを用いることが好ましい。
接続する微細接続端子(バンプ)硬度に応じて、より柔軟な樹脂粒子を用いて貴金属被覆された樹脂粒子を形成することができる。
接続するバンプ硬度がビッカース硬度で50Hv未満である場合は、ポリメタアクリレート樹脂等の柔軟な樹脂粒子を用いることが好ましい。また、バンプ硬度が50Hv以上である場合は、ベンゾグアナミン樹脂等の硬質樹脂粒子を用いることが好ましい。
貴金属被覆された金属粒子としては、ニッケル、銅等の金属粒子に金、パラジウム、ロジウム等の貴金属を最外層に被覆したものを用いることが好ましい。被覆する方法としては、蒸着法、スパッタリング法等の薄膜形成法、乾式ブレンド法によるコーティング法、無電解めっき法、電解めっき法等の湿式法を用いることができる。量産性の点から、無電解めっき法が好ましい。
金属粒子としては、銀、銅、ニッケル等の金属から選ばれるものを用いることが好ましい。合金粒子としては、融点が150℃以上500℃以下のものが好ましく、さらには150℃以上350℃以下の低融点合金粒子を用いることがより好ましい。融点が500℃以下であると、接続端子間に金属結合を形成することも可能であり、接続信頼性の点から好ましい。また、耐熱接続信頼性の観点から、融点が150℃以上であることが好ましい。
貴金属被覆された合金粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、亜鉛、ビスマス、インジウム等から選ばれた2種以上からなる合金粒子に上記方法等を用いて貴金属被覆したものを用いることができる。
合金粒子としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、錫、亜鉛、ビスマス、インジウム等から選ばれた2種以上からなる合金粒子が好ましい。融点が150℃以上500℃以下の合金粒子を用いる場合は、予め粒子表面にフラックス等を被覆しておくことが好ましい。いわゆるフラックスを用いることにより、表面の酸化物等を取り除くことができ好ましい。フラックスとしては、アビエチン酸等の脂肪酸等を用いることができる。
導電性粒子の平均粒径と最大粒径の比は2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。該導電性粒子の粒度分布はより狭いほうが好ましく、該導電性粒子の粒径分布の幾何標準偏差は、1.2〜2.5であることが好ましく、1.2〜1.4であることが特に好ましい。幾何標準偏差が上記値であると粒径のバラツキが小さくなる。通常、接続する2端子間に一定のギャップが存在する場合には、粒径が揃っているほど、導電性粒子が有効に機能すると考えられる。
粒度分布の幾何標準偏差とは、粒度分布のσ値(累積84.13%の粒径値)を累積50%の粒径値で除した値である。粒度分布のグラフの横軸に粒径(対数)を設定し、縦軸に累積値(%、累積個数比、対数)を設定すると粒径分布はほぼ直線になり、粒径分布は対数正規分布に従う。累積値とは全粒子数に対して、ある粒径以下の粒子の個数比を示したもので、%で表す。粒径分布のシャープさはσ(累積84.13%の粒径値)と平均粒径(累積50%の粒径値)の比で表現される。σ値は実測値あるいは、前述グラフのプロット値からの読み取り値である。
平均粒径及び粒度分布は、公知の方法、装置を用いて測定することができ、湿式粒度分布計、レーザー式粒度分布計等を用いることができる。あるいは、電子顕微鏡等で粒子を観察し、平均粒径、粒度分布を算出しても構わない。本発明の平均粒径及び粒度分布はレーザー式粒度分布計により求めることが出来る。
導電性粒子の平均粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜6μmであることがさらに好ましい。絶縁性の観点から10μm以下が好ましく、接続端子等の高さバラツキ等の影響を受けにくく、また、電気的接続性の観点から1μm以上が好ましい。
次いで本発明の接続構造体について説明する。
本発明の接続構造体は、チップ外周部に接続バンプを配列したLSIチップを少なくとも硬化剤、絶縁性樹脂、導電性粒子からなる異方導電性フィルムで接続基板に接続した構造体である。接続バンプの材質としては、金、金合金、錫めっき金等の金系バンプ、あるいは、銅、ニッケル等に金めっきしたバンプを用いることができる。
接続バンプの配列としては、四角形のバンプを一列に配したストレート型、一個置きにバンプとギャップをずらして、複数列配置した千鳥型を用いることができる。
各接続バンプの面積は、500μmから10000μmの範囲にあることが好ましく、1000μmから5000μmにあることがより好ましい。接続部分の導電性粒子の個数を確保し、信頼性を向上させるという観点から500μm以上が好ましい。
本発明の接続構造体に用いる接続基板は、裏面よりチップ下部分を確認できる透明基板であることが好ましい。例えば、ガラス基板、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン等の樹脂フィルム基板である。
接続基板の接続電極は、透明電極であることが好ましい。例えば、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物等である。その他、金属系の接続電極を用いることもできる。
本発明の接続構造体の接続バンプ部分に存在する導電性粒子の平均個数はバンプ1個当たりの平均で5個以上200個以下が好ましい。接続信頼性の観点から5個以上であることが好ましく、圧着接続時の荷重の観点から200個以下が好ましい。より好ましくは、10個から100個の範囲である。
接続バンプ部分の導電性粒子の個数は、接続構造体の裏面より光学顕微鏡観察、あるいはレーザー顕微鏡観察等により測定することができる。透明でない、金属系の接続電極の場合は、金属電極に開口部を設けたダミー電極を複数個配し、その部分の接続バンプ部分の導電性粒子の個数から、導電性粒子の平均個数およびその標準偏差を求めることができる。また、金属系の接続電極であっても、フィルム基板の場合は、導電性粒子部分の窪みを裏面観察可能であれば、そのまま用いることができる。
本発明の接続構造体の接続バンプ部分の導電性粒子の個数の標準偏差は、導電性粒子の平均個数の10%以下あるいは2のうち大きい方より小さいことが好ましく、より好ましくは、2より小さいことが好ましい。
本発明の接続構造体は、チップ外周部に形成された接続バンプの内側部分に存在する導電性粒子の個数の93%以上が単独で存在するようにする。また、導電性粒子の個数の95%以上が単独で存在することがより好ましい。さらに、導電性粒子の個数の93%以上より好ましくは95%以上が接続基板面側に存在していることが好ましい。
本発明において、チップ外周部に形成された接続バンプの内側部分とは、全ての端子の一端によって囲まれた最も面積の狭い部分を指す。
本発明において「導電性粒子が単独に存在する」とは、導電性粒子同士が凝集せずに各々独立して存在することを意味する。以下、この意味で「単独に存在する」、「単独粒子」なる表現を用いることがある。
チップ内側部分の均一性が保たれ、外部からの水分浸入等あるいは、熱履歴による膨張収縮時等における局所的な欠陥発生を抑制するという観点から、内側部分の導電性粒子の90%以上が単独かつ接続基板面側に存在することが好ましい。
本発明において、接続基板面側とは、接続基板面から導電性粒子の平均粒子の1.5倍以内の領域を指す。
本発明の接続構造体において、接続構造体の厚み方向に対して、導電性粒子の存在している位置は、焦点方向の変位を測定できるレーザー顕微鏡により測定することができる。またこのとき同時に、導電性粒子が他の導電性粒子と接触せずに存在している個数を測定することもできる。前記レーザー顕微鏡を用いて焦点方向の変位を測定する場合、その変位測定分解能は0.1μm以下であることが好ましく、0.01μm以下であることが特に好ましい。
本発明の接続構造体の製造方法は、公知の方法を組み合わせても差し支えない。好ましくは、少なくとも硬化剤、硬化性の絶縁性樹脂、導電性粒子からなる異方導電性フィルムにより接続することが好ましい。より好ましくは、予め異方導電性フィルム中の導電性粒子が90%以上単独かつ、片側表面付近に存在する異方導電性フィルムを用い、これをチップ外周部に接続バンプを配列したLSIチップと接続基板との間に介在させて、該LSIチップと接続基板とを押圧し、樹脂を硬化させることによりLSIチップと接続基板とを接続(電気的かつ機械的に接続)する。この時、異方導電性フィルムの導電性粒子存在面側を接続基板面側にして接続することが好ましい。
チップ外周部に接続バンプを配列したLSIチップを異方導電性フィルムで接続する場合、接続後において、外周部に形成された接続バンプの内側部分の単位面積当たりの導電性粒子の個数が、接続前の異方導電性フィルムの単位面積当たりの導電性粒子の個数の0.8倍以上、より好ましくは0.9倍以上であることが好ましい。接続時の導電性粒子流れ出しによる短絡(バンプ間の凝集による短絡)、あるいは、流れ出した導電性粒子の偏在化による局所的な不均一箇所の発生を抑制する観点から、接続後のチップ内側部分の導電性粒子の個数が0.8倍以上であることが好ましい。
また、本発明の接続構造体を製造する際、異方導電性フィルムを用いて加熱圧着する場合は、異方導電性フィルムに含まれる成分の中で最もガラス転移温度の高い成分のガラス転移温度の0.5倍から2.5倍の範囲かつ220℃以下の最高到達温度で加熱圧着することが好ましい。より好ましくは、1倍から2倍の範囲である。本発明において、ガラス転移温度は、摂氏で表される。接続時の樹脂流動による導電性粒子の不均一化を防止する観点から、最もガラス転移温度の高い成分のガラス転移温度の2.5倍以下、かつ220℃以下であることが好ましい。加熱圧着接続時のボイド抑制、剥離防止の観点から、0.5倍以上であることが好ましい。
加熱圧着時間の50%以上の範囲において、最高到達温度に達していることが好ましく、より好ましくは80%以上である。加熱圧着時間は3秒から60秒の範囲であることが好ましく、より好ましくは5秒から20秒の範囲である。
ガラス転移温度の測定方法としては、公知の方法を用いることができる。具体的には、TMA―50熱機械分析装置(島津製作所製)を用いて昇温速度10℃/分の条件で測定することができる。
本発明に用いる異方導電性接着フィルムを例示する。
該異方導電性フィルムに用いる硬化性の絶縁性樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、光及び熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等を用いることができる。取り扱いの容易さから、熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができるが、エポキシ樹脂が特に好ましい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であり、グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、脂環式エポキシ基を有する化合物、分子内の二重結合をエポキシ化した化合物が好ましい。具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂あるいは、それらの変性エポキシ樹脂を用いることができる。
本発明に用いる硬化剤は、前記硬化性の絶縁性樹脂を硬化できるものであればよい。硬化性の絶縁性樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合は、100℃以上で熱硬化性樹脂と反応し、硬化できるものが好ましい。エポキシ樹脂の場合は、保存性の点から、潜在性硬化剤であることが好ましく、例えば、イミダゾール系硬化剤、カプセル型イミダゾール系硬化剤、カチオン系硬化剤、ラジカル系硬化剤、ルイス酸系硬化剤、アミンイミド系硬化剤、ポリアミン塩系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤等を用いることができる。保存性、低温反応性の点から、カプセル型のイミダゾール系硬化剤が好ましい。
該異方導電性フィルムには、硬化剤及び硬化性の絶縁性樹脂以外に、熱可塑性樹脂等を配合しても構わない。熱可塑性樹脂を配合することにより、容易にシート状に形成することが出来る。この場合の配合量は、硬化剤及び硬化性の絶縁性樹脂を合わせた成分100質量部に対して200質量部以下であることが好ましく、100質量部以下であることが特に好ましい。
本発明の硬化性の絶縁性樹脂に配合できる熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキル化セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等であり、それらから選ばれる1種または2種以上の樹脂を組み合わせても差し支えない。これらの樹脂の中、水酸基、カルボキシル基等の極性基を有する樹脂は、接着強度の点から好ましい。また、熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が80℃以上300℃以下である熱可塑性樹脂を1種以上含むことが好ましい。
本発明の異方導電性フィルムには、上記構成成分に添加剤を配合しても差し支えない。異方導電性フィルムと被着物との密着性を向上させるために、添加剤として、カップリング剤を配合することができる。該カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤等を用いることができるが、シランカップリング剤が好ましい。該シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等を用いることができる。
該カップリング剤の配合量は硬化剤および硬化性の絶縁性樹脂を合わせた成分100質量部に対して、0.01質量部から1質量部が好ましい。密着性向上の観点から0.01質量部以上が好ましく、信頼性の観点から1質量部以下が好ましい。
本発明の接続構造体の製造には、予め異方導電性フィルム中の導電性粒子が90%以上単独かつ、片側表面付近に存在する異方導電性フィルムを用いることが好ましい。該異方導電性フィルムの例について説明する。該異方導電性フィルムは、例えば、異方導電性フィルムの片側表面から厚み方向に沿って導電性粒子の平均粒径の1.5倍以内の領域中に導電性粒子の個数の90%以上が単独で存在していることが好ましく、95%以上が単独で存在していることがより好ましい。
さらに該異方導電性フィルムにおいて、近接する導電性粒子同士の平均粒子間隔は、導電性粒子の平均粒径の0.5倍以上5倍以下であることが好ましい。より好ましくは、20μm以下で、かつ平均粒径の0.5倍以上3倍以下である。接続時の粒子流動による粒子凝集の防止、及び絶縁性確保の観点から、平均粒径の0.5倍以上であることが好ましく、微細接続の観点から平均粒径の5倍以下が好ましい。
本発明において、近接する導電性粒子とは、任意の導電性粒子を選定し、該導電性粒子に最も近い6個の導電性粒子を言う。近接する導電性粒子との平均粒子間隔の求め方は以下の通りである。
まず、異方導電性フィルムを、導電性粒子が存在する面側から光学顕微鏡で拡大した写真を撮影する。次に、任意の20個の導電性粒子を選定し、そのそれぞれの導電性粒子に最も近い6個の導電性粒子との距離を測定し、全体の平均値を求めて、平均粒子間隔とする。
異方導電性フィルムの厚みは10μm以上、30μm以下であることが好ましく、15μm以上25μm以下であることがより好ましい。機械的接続強度の観点から10μm以上が好ましく、接続時の粒子流動による接続粒子数減少を防止する観点から30μm以下であることが好ましい。
次に、本発明における導電性粒子が他の導電性粒子と接触せずに存在している異方導電性フィルムの製造方法について例示する。
該異方導電性フィルムの製造方法としては、2軸延伸可能なフィルム又はシート上に、粘着層を形成し、その上に導電性粒子を単層配列し、それらを延伸することにより、該導電性粒子を分散配列させ、延伸した状態を保った状態で導電性粒子を少なくとも硬化剤及び硬化性の絶縁性樹脂からなる接着シートに転写させる方法が好ましい。
2軸延伸可能なフィルムとしては、公知の樹脂フィルム等を用いることができるが、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等の単独あるいは共重合体等、又は、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム等のゴムシート等の柔軟で延伸可能な樹脂フィルムを用いることが好ましい。ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂が特に好ましい。延伸後の収縮率は10%以下であることが好ましい。
2軸延伸可能なフィルム上に導電性粒子を単層配列し、固定する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、少なくとも熱可塑性樹脂を含む粘着層を該2軸延伸可能なフィルム上に形成し、その上に導電性粒子を接触させて付着させ、ゴムロール等で荷重をかけて単層で配列する方法を採ることができる。この場合、隙間無く充填するためには、付着−ロール操作を数回繰り返す方法が好ましい。球状の導電性粒子の場合、最密充填が最も安定した構造なので比較的容易に充填することができる。あるいは、該2軸延伸可能なフィルム上に粘着剤を塗布して接着層を形成し、その上に導電性粒子を付着させ、必要なら数回付着を繰り返し、単層で配列させる方法等を用いることができる。
導電性粒子を単層配列させた2軸延伸可能なフィルムを延伸させる方法としては、公知の方法を用いることができるが、均一分散配列という点から、2軸延伸装置を用いることが好ましい。粒子間隔の点から延伸度合いは、50%以上、400%以下であることが好ましく、100%以上、300%以下であることがより好ましい。なお、100%延伸するとは、延伸方向に沿って延伸した部分の長さが延伸前の長さの100%であることを言う。延伸方向は、任意であるが、延伸角度が90°の2軸延伸が好ましく、同時延伸が好ましい。2軸延伸の場合、各方向の延伸度合いは同じであっても異なっていても構わない。
2軸延伸装置としては、同時2軸連続延伸装置が好ましい。
同時2軸連続延伸装置としては、公知のものを使用することができるが、長辺側をチャック金具で固定し、それらの間隔を縦横同時に延伸することにより連続延伸するテンター型延伸機が好ましい。延伸度を調整する方式としては、スクリュー方式、パンタグラフ方式を用いることが可能だが、調整の精度の観点から、パンタグラフ方式がより好ましい。加熱しながら延伸する場合は、延伸部分の手前に予熱ゾーンを設けて、延伸部分の後方に熱固定ゾーンを設けることが好ましい。
本発明の異方導電性フィルムは、少なくとも硬化剤、硬化性の絶縁性樹脂、及び導電性粒子からなる単層のフィルムであってもよいし、さらに該フィルムに導電性粒子を含まず少なくとも絶縁性樹脂を含む樹脂シートを積層した複層のフィルムであっても構わない。
粘着層に使用する粘着剤は、公知のものを使用することができるが、加熱しながら2軸延伸する場合は、非熱架橋性の粘着剤を用いることが好ましい。具体的には、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、合成樹脂エマルジョン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体粘着剤等を単独で、又は組み合わせて用いることができる。延伸前の導電性粒子保持性、延伸時の導電性粒子分散の均一性、延伸後の導電性粒子の転写性の観点から、天然ゴム系粘着剤をアクリレートでグラフト重合した粘着剤が特に好ましい。さらに、加熱延伸時の均一性の点から、延伸前に延伸温度以下で1分間から5分間加熱処理することが好ましい。
粘着層の厚みは、使用する導電性粒子の平均粒径の1/50から3倍の範囲が好ましく、1/10から2倍の範囲がより好ましい。導電性粒子付着時及び延伸時に導電性粒子を保持する観点から、粘着層の厚みは該導電性粒子の平均粒径の1/50以上が好ましく、延伸後の接着シートへの粒子転写の観点から3倍以下が好ましい。粘着層形成方法としては、溶剤又は水に分散又は溶解したものを、グラビアコーター、ダイコーター、ナイフコーター、バーコーター、スプレーコート等の公知の方法で塗布し、乾燥する方法を用いることができる。ホットメルトタイプの粘着剤を使用する場合は、無溶剤でロールコートすることができる。
該導電性粒子を粘着層に塗布するにあたっては、ほぼ隙間無く単層で配列すること(密集充填)が好ましい。密集充填する方法としては、前述の、2軸延伸可能なフィルム上に導電性粒子を分散配列し、固定する方法を用いることができる。なお、密集充填とは、充填された粒子間の平均粒子間隔が、平均粒径の1/2以下であるように充填することをいうものとする。より好ましくは、充填された粒子間の平均粒子間隔が、平均粒径の1/5以下である。
2軸延伸後のフィルムの膜厚は、転写する接着性シート及び接着性シートのベースフィルムの膜厚を合計した厚みの1/10から1倍であることが好ましく、1/5から1/2であることが特に好ましい。延伸後のフィルムのハンドリング性の観点から、1/10以上であることが好ましく、延伸後の接着性フィルムへの粒子転写の観点から1倍以下であることが好ましい。
本発明の接続構造体を構成する電子回路部品としては、液晶ディスプレイ機器、プラズマディスプレイ機器、エレクトロルミネッセンスディスプレイ機器等の表示機器の配線板接続用途および、それら機器のLSI等の電子部品実装用途、その他の機器の配線基板接続部分、LSI等の電子部品実装用途に使用することができる。上記表示機器の中でも、信頼性を必要とされるプラズマディスプレイ機器、エレクトロルミネッセンスディスプレイ機器に用いるのが好ましい。
次に、実施例および比較例によって本発明を説明する。
(接続構造体作製方法)
縦横が1.6mm×15.1mmのシリコン片(厚み0.5mm)全面に酸化膜を形成後、外辺部から40μm内側に横74.5μm、縦120μmのアルミ薄膜(1000Å)をそれぞれが0.1μm間隔になるように長辺側に各々175個、短辺側に各々16個形成する。それらアルミ薄膜上に12μm間隔になるように横28μm、縦70μmの金バンプ(厚み15μm)をそれぞれ2個ずつ形成するために、それぞれの金バンプ配置個所の外周部から6.0μm内側に横10μm、縦60μmの開口部を残す以外の部分に酸化ケイ素の保護膜を常法により前記開口部以外の全面に形成する。その後、前記金バンプを形成し、試験チップとする。
厚み0.7mmの無アルカリガラス上に前記アルミ薄膜上の金バンプが隣接するアルミ薄膜上の金バンプと対になる位置関係で接続されるようにインジウムスズ酸化物膜(1500Å)の接続パッド(横68μm、縦100μm)を形成する。20個の金バンプが接続される毎に前記接続パッドにインジウムスズ酸化物薄膜の引き出し配線を形成する(この引き出し配線が接続抵抗測定部分となる。)。
また、別の辺に前記アルミ薄膜上の2個の金バンプがそれぞれ接続されるような位置関係にインジウムスズ酸化物膜(1500Å)の接続パッド(横68μm、縦100μm)を形成する。前記接続パッドを1個おきに5個接続できるようにインジウムスズ酸化物薄膜の接続配線を形成し、さらにそれらと対になり、櫛型パターンを形成するように1個おきに5個接続できるようにインジウムスズ酸化物薄膜の接続配線を形成する。それぞれの接続配線にインジウム錫酸化物薄膜の引出し配線を形成する(この引き出し配線が絶縁抵抗測定部分となる。)。
それぞれの引出し配線上はアルミニウム−チタン薄膜(チタン1%、3000Å)を形成し、接続基板とする。前記接続基板上に、前記接続パッドがすべて覆われるように、幅2mm、長さ17mmの異方導電性接着シートの該導電性粒子の存在する側を仮張りし、2.5mm幅の圧着ヘッドを用いて、80℃、0.3MPa、3秒間加圧した後、ポリエチレンテレフタレートのベースフィルムを剥離する。そこへ、前記接続パッドと金バンプの位置が合うように試験チップを載せ、所定の温度で5秒間2.0MPa加圧圧着する。
加熱圧着時の温度条件に関しては、異方導電性フィルムと接続基板の間に熱電対を配し、上記と同様にして加圧圧着し、圧着時の温度測定を行い、最高到達温度、及び最高到達温度に到達するまでの時間を測定する。
圧着後、前記引出し配線間(金バンプ20個のデイジーチェイン)の抵抗値を四端子法の抵抗計で抵抗測定し、接続抵抗値とする。
また、対になった引き出し配線間の抵抗測定し、絶縁抵抗値とする。
この絶縁抵抗試験基板を85℃、85%相対湿度中に保持しながら、定電圧定電流電源を用いて、対になる引き出し配線間に25Vの直流電圧を印加する。この配線間の絶縁抵抗を5分間毎に測定し、絶縁抵抗値が10MΩ以下になるまでの時間を測定し、その値を絶縁低下時間とする。この絶縁低下時間が240時間未満の場合を×、240時間以上の場合を○とする。
[実施例1]
フェノキシ樹脂(ガラス転移温度98℃、数平均分子量14000)38g、ナフタレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量136、半固形)34g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.06gを酢酸エチル−トルエンの混合溶剤(混合比1:1)に溶解し、固形分50%溶液とする。マイクロカプセル型潜在性イミダゾール硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(マイクロカプセルの平均粒径7μm、活性温度125℃)28g、前記固形分50%溶液に配合分散させる。その後、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、60℃で15分間送風乾燥し、膜厚24μmのフィルム状の接着シートを得た。
厚さ100μmの無延伸ポリプロピレンフィルム上に、粘着層として天然ゴム−メチルメタアクリレートのグラフト共重合体接着剤を2μmの厚みを塗布したものに平均粒径3.0μmの金めっきプラスチック粒子(導電性粒子)をほぼ隙間無く単層塗布した。すなわち、該導電性粒子を該フィルム幅より大きい容器内に数層以上の厚みになるよう敷き詰めたものを用意し、該導電性粒子に対して粘着剤の塗布面を下向きにして押し付けて付着させ、その後過剰な粒子を軟質ゴムからなるスクレバーで掻き落とした。
この操作を2回繰り返すことにより、隙間無く単層塗布した導電性粒子付着フィルムを得た。この導電性粒子付着フィルムを乾燥機中で、100℃、3分間加熱処理した。
このフィルムを2軸延伸装置(東洋精機製X6H−S、パンタグラフ方式のコーナーストレッチ型の2軸延伸装置)を用いて縦横にそれぞれ10個のチャックを用いて固定し150℃、120秒間予熱し、その後5%/秒の速度で100%延伸して固定した。その後、この延伸フィルムに前記接着シートをラミネートした後、剥離し、異方導電性フィルムを得た。
光学顕微鏡観察の結果、導電性粒子100個のうち99%が単独粒子であった。また、平均粒子間隔は4.23μmであった。10000μmあたりの導電性粒子の個数は、283個であった。
このようにして得た異方導電性フィルムを用いて、200℃の接続温度になるように前記接続構造体作製法と同様にして、圧着して接続構造体を得た。加熱圧着時間は5秒であった。このときの最高到達温度は、200℃であり、最高到達温度に到達するまでの時間は0.4秒であった。
接続バンプ上(20箇所)の導電性粒子の平均個数は、18.4個であり、標準偏差は1.57、8.5%であった。
また、外周部に形成された接続バンプの内側に存在する導電性粒子の95%が単独粒子であった。99%が接続基板面側に存在した。10000μmあたりの導電性粒子の個数は、256個であり、これは、異方導電性フィルムの0.9倍であった。
[実施例2]
フェノキシ樹脂(ガラス転移温度85℃、数平均分子量12000)41g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量240、半固形)28g、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.1gを酢酸エチル−トルエンの混合溶剤(混合比1:1)に溶解し、固形分50%溶液とする。マイクロカプセル型潜在性イミダゾール硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(マイクロカプセルの平均粒径7μm、活性温度125℃)31g、前記固形分50%溶液に配合分散させる。その後、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、60℃で15分間送風乾燥し、膜厚23μmのフィルム状の接着シートを得た。
厚さ75μmの無延伸ポリプロピレンフィルム上に天然ゴム−メチルメタアクリレートのグラフト共重合体接着剤を3μm塗布したものに平均粒径3.2μmの金めっき銅粒子を実施例1と同様の方法によりほぼ隙間無く単層塗布した導電性粒子付着フィルムを得た。この導電性粒子付着フィルムを乾燥機中で、100℃、3分間加熱処理した
このフィルムを実施例1と同様の方法により2軸延伸装置を用いて縦横にそれぞれ150%延伸して固定した。その後、この延伸フィルムに前記接着シートをラミネートした後、剥離し、異方導電性接着シートを得た。
光学顕微鏡観察の結果、導電性粒子100個のうち98%が単独粒子であった。また、平均粒子間隔は6.72μmであった。10000μmあたりの導電性粒子の個数は、176個であった。
このようにして得た異方導電性フィルムを用いて、200℃の接続温度で前記接続構造体作製方法と同様にして、5秒間圧着して接続構造体を得た。このときの最高到達温度は、200℃であり、最高到達温度に到達するまでの時間は0.5秒であった。接続バンプ上(20箇所)の導電性粒子の平均個数は、10.4個であり、標準偏差は1.45、13.9%であった。
また、外周部に形成された接続バンプの内側に存在する導電性粒子の96%が単独粒子であった。98%が接続基板面側に存在した。10000μmあたりの導電性粒子の個数は、161個であり、これは、異方導電性フィルムの0.92倍であった。
[比較例1]
実施例1と同様にして、異方導電性フィルムを得た。光学顕微鏡観察の結果、導電性粒子100個のうち99%が単独粒子であった。また、平均粒子間隔は4.22μmであった。10000μmあたりの導電性粒子の個数は、285個であった。
このようにして得た異方導電性フィルムを用いて、280℃の接続温度で前記接続抵抗値測定法と同様にして、5秒間圧着して接続構造体を得た。このときの最高到達温度は、280℃であり、最高到達温度に到達するまでの時間は3秒であった。接続バンプ上(20箇所)の導電性粒子の平均個数は、14.4個であり、標準偏差は3.43であった。
これは、23.8%であった。65%が接続基板面側に存在した。
また、外周部に形成された接続バンプの内側に存在する導電性粒子の75%が単独粒子であった。10000μmあたりの導電性粒子の個数は、215個であり、これは、異方導電性フィルムの0.75倍であった。
[比較例2]
フェノキシ樹脂(ガラス転移温度98℃、数平均分子量14000)37g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量190、25℃粘度、14000mPa・S)26g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.3gを酢酸エチル−トルエンの混合溶剤(混合比1:1)に溶解し、固形分50%溶液とする。
マイクロカプセル型潜在性イミダゾール硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(マイクロカプセルの平均粒径5μm、活性温度125℃)37g、平均粒径3.0μmの金めっきプラスチック粒子2.0gを前記固形分50%溶液に配合分散させる。
その後、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、60℃で15分間送風乾燥し、膜厚25μmのフィルム状の異方導電性接着シートを得た。
得られた異方導電性接着シートの導電性粒子のうち、無作為に100個を選び、レーザー式の変位計を用いて、異方導電性接着シート表面からの距離を測定した。その結果、導電性粒子は異方導電性接着シートの膜厚方向においてランダムに存在することがわかった。また、測定した導電性粒子100個のうち79%が単独粒子であった。 10000μmあたりの導電性粒子の個数は、160個であった。
このようにして得た異方導電性フィルムを用いて、270℃の接続温度で前記接続抵抗値測定法と同様にして、5秒間加熱圧着して接続構造体を得た。このときの最高到達温度は、270℃であり、最高到達温度に到達するまでの時間は0.5秒であった。接続バンプ上(20箇所)の導電性粒子の平均個数は、8.1個であり、標準偏差は3.23であった。これは、39.9%であった。また、外周部に形成された接続バンプの内側に存在する導電性粒子の71%が単独粒子であった。77%が接続基板面側に存在した。10000μmあたりの導電性粒子の個数は、101個であり、これは、異方導電性フィルムの0.63倍であった。
実施例及び比較例の接続構造体の接続抵抗値及び絶縁試験結果を表1に示す。表1から明らかなように、本発明の異方導電性接着シートは、非常に優れた絶縁信頼性を示す。
Figure 2007103545
本発明の接続構造体は、低接続抵抗、高絶縁信頼性を示し、微細回路接続が求められる高精細なディスプレイ装置等の接続構造体として好適である。
本発明の接続構造体の構造を示す概略図である。
符号の説明
1 接続バンプ
2 導電性粒子

Claims (5)

  1. チップ外周部に接続バンプを配列したLSIチップを少なくとも硬化剤、硬化性の絶縁性樹脂、導電性粒子からなる異方導電性フィルムで接続基板に接続した接続構造体において、接続バンプの接続部分に存在する導電性粒子の個数の標準偏差が該接続部分に存在する導電性粒子の平均個数の10%以下又は2のうち大きい方より小さく、かつ接続バンプの内側部分に存在する導電性粒子の個数の93%以上が単独で存在し、且つ、接続基板面側に存在していることを特徴とする接続構造体。
  2. 前記導電性粒子が、貴金属被覆された樹脂粒子、貴金属被覆された金属粒子、金属粒子、貴金属被覆された合金粒子、及び合金粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の導電性粒子であって、その平均粒径が1〜10μmであることを特徴とする請求項1記載の接続構造体。
  3. チップ外周部に形成された接続バンプの内側部分の単位面積あたりの導電性粒子の個数が、用いた異方導電性フィルムの単位面積あたりの導電性粒子の個数の0.8倍以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の接続構造体。
  4. チップ外周部に接続バンプを配列したLSIチップと接続基板との間に、少なくとも硬化剤、硬化性の絶縁性樹脂、導電性粒子からなる異方導電性フィルムを介在させて、該LSIチップと接続基板とを押圧し、樹脂を硬化させることによりLSIチップと接続基板とを接続することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接続構造体の製造方法。
  5. 前記硬化性の絶縁樹脂が熱硬化性樹脂であり、異方導電性フィルムに含まれる成分の中で最もガラス転移温度の高い成分のガラス転移温度の0.5倍から2.5倍の範囲かつ220℃以下の最高到達温度で加熱圧着し、かつ加熱圧着時間の50%以上の時間範囲において最高到達温度に達していることを特徴とする請求項4に記載の接続構造体の製造方法。
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