しかし、上述した特許文献1及び2に示された光ケーブル接続箱100では、下側ケース110の側壁に、複数のケーブル導入口111,111…を同じ高さに並設した構成となっていたので、下側ケース110内に導入した多数の光ファイバケーブル130A,130B…を、該下側ケース110の幅方向に同じ高さに並べて取り回さなければならなかった。
このため、これら光ファイバケーブル130A,130B…が、下側ケース110の幅方向に嵩張り、光ファイバ心線131の接続部132を、下側ケース110とは別の上側ケース120に設けなければならなかった。
このように、上述した特許文献1及び2に記載の光ケーブル接続箱100では、多層のトレイ120A,120Bからなる上側ケース120を収容するスペースが必要となり、また、該上側ケース120を開閉動作させるためのヒンジ等の構造が必要となり、接続箱が大型化かつ複雑化してしまうという問題があった。
さらに、光ケーブル接続箱100内に、光ファイバケーブル130A,130Bの光コネクタやアダプタを収納しようとすれば、該アダプタも多数の光ファイバケーブル130A,130B…とともに下側ケース110の幅方向に並ぶこととなるので、接続箱が更に大型化してしまうという問題もある。
一方、上述した特許文献3に記載の光ケーブル接続用キャビネット及び特許文献4に記載の連結用光ケーブル接続箱でも、その側壁に複数のケーブル導入口を同じ高さに並設した構成となっていた。このため、光コネクタやアダプタ等の周辺部品の全てを同じ箱内に収納しようとすれば、上記と同様、接続箱が大型化してしまうという問題が生じる。また、光コネクタやアダプタ等の周辺部品を、接続箱に別途接続又は連結する構成としても、全体として該接続箱の幅方向に大型化してしまうという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、箱内スペースを有効活用することができ、光ファイバケーブルやコネクタ等の部材の高密度収納を可能とし、箱全体の小型化を図ることができる光ケーブル接続箱の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の光ケーブル接続箱は、光ファイバケーブルの接続に用いられる光ケーブル接続箱であって、少なくとも側壁と底壁を有する接続箱本体を備え、かつ、前記側壁に、前記底壁と直交する方向に延びかつ前記光ファイバケーブルを接続箱本体内に導入するスリット状のケーブル導入口を並設して複数設け、これらのケーブル導入口の前記底壁寄りの端部の該底壁からの距離を互いに異ならせたことを特徴としている。
このような構成によれば、各ケーブル導入口の底壁寄りの端部の位置(底壁からの距離)を互いに異ならせたことにより、各ケーブル導入口から接続箱本体内に導入した各光ファイバケーブルが、互いに同一仮想平面上で並ぶことがなく、前記底壁と直交する方向に位置をずらした状態で取り回し又は接続等させることができる。
これにより、接続箱本体内に導入した各光ファイバケーブルが嵩張ることなく、箱内スペースを有効活用することができ、光ファイバケーブルやコネクタ等の周辺部材の高密度収納を可能とし、箱全体の小型化を図ることができる。
なお、「前記底壁と直交する方向」とは、接続箱本体の奥行き方向をいい、例えば、接続箱本体の底壁を水平な設置面に対して平行に配置(いわゆる横置き)した場合は、該接続箱本体の高さ方向に相当し、また、接続箱本体の底壁を水平な設置面に対して垂直に配置(いわゆる縦置き)した場合は、該接続箱本体の前後方向に相当する。さらに、縦横いずれの置き方をした場合であっても、「前記底壁と直交する方向」を接続箱本体の奥行き方向ということもできる。要するに、底壁と直交する方向とは、底壁の両表面に対して直交する方向である。
請求項2に記載の本発明の光ケーブル接続箱は、請求項1に記載の光ケーブル接続箱において、前記接続箱本体内に導入した前記光ファイバケーブルと他の光ファイバケーブルとの各接続部を前記底壁と直交する方向に並べて保持する保持部を備えたことを特徴としている。
このような構成によれば、光ファイバケーブルどうしの各接続部を、接続箱本体の奥行き方向に並べて収容することができるので、各接続部の集合体が接続箱本体の幅方向に薄型となり、接続箱本体内において嵩張ることがない。これにより、全ての光ファイバケーブルどうしの各接続部を接続箱本体内に収納することができ、光ケーブル接続箱の小型化を図ることができる。
なお、光ファイバケーブルどうしの「接続部」には、直接光ファイバケーブルの心線を溶かして接続する「融着接続」や、光ファイバケーブルの心線を機械的に付き合わせて接続する「メカニカル接続」等の各種の接続形態による接続部が含まれる。
請求項3に記載の本発明の光ケーブル接続箱は、請求項1又は請求項2に記載の光ケーブル接続箱において、前記各ケーブル導入口の前記端部の底壁からの距離を、該ケーブル導入口同士が並設する方向に沿って、互いに段階的に異ならせたことを特徴としている。
このような構成によれば、各ケーブル導入口の前記端部の位置を、互いに段階的に異ならせることにより、接続箱本体内において各光ファイバケーブルを段階的に整列させて取り回すことができ、箱内スペースを有効活用することができる。
請求項4に記載の本発明の光ケーブル接続箱は、請求項3に記載の光ケーブル接続箱において、互いに隣接する前記各ケーブル導入口の前記端部の前記底壁からの距離の差を等しくしたことを特徴としている。
このような構成によれば、互いに隣接するケーブル導入口の前記端部の前記底壁からの距離の差を等しくしているので、接続箱本体内において各光ファイバケーブルを段階的に整列させて確実に取り回すことができる。
請求項5に記載の本発明の光ケーブル接続箱は、請求項4に記載の光ケーブル接続箱において、互いに隣接する前記各ケーブル導入口の前記端部の前記底壁からの距離の差を、前記接続部の径方向の寸法分以上としたことを特徴としている。
このような構成によれば、各ケーブル導入口から各接続部まで、各光ファイバケーブルを接続箱本体の奥行き方向に曲げることなく取り回すことができ、各光ファイバケーブルへの負荷防止を図ることができる。
請求項6に記載の本発明の光ケーブル接続箱は、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の光ケーブル接続箱において、前記接続箱本体の側壁により形成される開口を覆う蓋体を備え、該蓋体の裏面に前記各ケーブル導入口にそれぞれ嵌合し、前記各ケーブル導入口とこれに挿入した光ファイバケーブルとの隙間を埋める複数の突起部を形成したことを特徴としている。
このような構成によれば、接続箱本体の開口を蓋体によって覆うことにより、該蓋体の各突起部が、接続箱本体の各ケーブル導入口にそれぞれ嵌合して、該接続箱本体内の密閉及び防水を図ることができるとともに、各ケーブル導入口に挿通した光ファイバケーブルを、それそれ所望の異なる位置に正確に位置決めすることができる。
請求項7に記載の本発明の光ケーブル接続箱は、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の光ケーブル接続箱において、前記接続箱本体の側壁に、前記底壁と直交する方向に延びかつ他の光ファイバケーブルを前記接続箱本体内に導入するスリット状の他のケーブル導入口を設けたことを特徴としている。
このような構成によれば、本発明の光ケーブル接続箱により、他の光ファイバケーブルを、複数の光ファイバケーブルに分岐させることができる。
請求項8に記載の本発明の光ケーブル接続箱は、請求項7に記載の光ケーブル接続箱において、前記底壁と直交する方向において、前記複数のケーブル導入口のうちの前記底壁から最も離れたケーブル導入口の前記端部と、最も底壁寄りのケーブル導入口の前記端部との間に、前記他のケーブル導入口の前記底壁寄りの端部を位置させたことを特徴としている。
このような構成によれば、各ケーブル導入口と他のケーブル導入口との位置差を小さくし、光ファイバケーブルと、他の光ファイバケーブルとを分岐接続した場合に生じる、これら光ファイバケーブルの曲がりを小さくすることができる。
請求項9に記載の本発明の光ケーブル接続箱は、請求項8に記載の光ケーブル接続箱において、前記底壁と直交する方向において、前記複数のケーブル導入口のうちの前記底壁から最も離れたケーブル導入口の前記端部と、最も底壁寄りのケーブル導入口の前記端部との中心位置を含み、かつ、前記底壁と直交する方向の前記底壁から最も離れたケーブル導入口の前記端部と前記最も底壁寄りのケーブル導入口の前記端部との距離の1/3の範囲内に、前記他のケーブル導入口の前記端部を位置させたことを特徴としている。
このような構成によれば、底壁と直交する方向の最も底壁から離れたケーブル導入口の端部と最も底壁寄りのケーブル導入口の端部との中心位置を含み、かつ、底壁と直交する方向の最も底壁から離れたケーブル導入口の端部と最も底壁寄りのケーブル導入口の端部との距離の約1/3程度の範囲内に、他のケーブル導入口の支持端部を位置させた場合は、各ケーブル導入口と他のケーブル導入口との位置の差をほぼ平均的に小さくすることができ、各光ファイバケーブルと、他の光ファイバケーブルとを分岐接続した場合に生じる、これら光ファイバケーブルの曲がりを平均的に小さくすることができる。
請求項10に記載の本発明の光ケーブル接続箱は、請求項1〜9のうちいずれかに記載の光ケーブル接続箱において、前記接続箱本体が、底壁から立設した略円弧状の壁部を有するファイバガイドを備え、該ファイバガイドの前記円弧状壁部に沿って、前記接続箱本体内に導入した前記光ファイバケーブルを取り回すことを特徴としている。
このような構成によれば、接続箱本体内に導入した光ファイバケーブルを、ファイバガイドに沿って適切な円弧に曲げて負荷なく取り回すことができるとともに、光ファイバケーブルの取り回し経路を規制して、箱内スペースの有効利用を図ることが可能となる。
請求項11に記載の本発明の光ケーブル接続箱は、請求項10に記載の光ケーブル接続箱において、前記接続箱本体の互いに対向する一対の側壁に、前記各ケーブル導入口と、前記他のケーブル導入口を設けるとともに、前記一対の側壁にそれぞれ対応させて、前記ファイバガイドを設けたことを特徴としている。
このような構成によれば、各種光ファイバケーブル等の接続又は分岐などの多用途に使用することができる。これにより、上述した小型かつ高密度収納可能という効果に加えて、多目的利用可能な光ケーブル接続箱が実現する。
本発明の光ケーブル接続箱によれば、各ケーブル導入口の光ファイバケーブルを支持する端部の位置(底壁からの距離)を互いに異ならせたことにより、各ケーブル導入口から接続箱本体内に導入した各光ファイバケーブルが、互いに同一仮想平面上で並ぶことがなく、前記底壁と直交する方向に位置をずらした状態で取り回し又は接続等させることができる。
これにより、接続箱本体内に導入した各光ファイバケーブルが嵩張ることなく、箱内スペースを有効活用することができ、光ファイバケーブルやコネクタ等の周辺部材の高密度収納を可能とし、箱全体の小型化を図ることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る光ケーブル接続箱について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る光ケーブル接続箱は、主として接続箱本体10と蓋体20とを備えている。まず、図1〜図3を参照しつつ、接続箱本体10の構成について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る光ケーブル接続箱を構成する接続箱本体10を示す平面図である。図2は図1の接続箱本体10を矢印A方向から見た矢視図である。図3は図1の接続箱本体10を矢印B方向から見た矢視図である。
これら図面において、接続箱本体10は、その全体を合成樹脂材料により一体成形した、矩形状の底壁10Eと、該底壁10Eの外縁から立設した四つの側壁10A,10B,10C,10Dとを有する長方形状の箱体である。
互いに対向する短い側壁(特許請求の範囲に記載された側壁に相当)10A,10Cには、それぞれ、多心ケーブル導入口(特許請求に範囲に記載された他のケーブル導入口に相当)11と、段差状ケーブル導入口群12と、アダプタ装着口13と、コード挿入口14とが設けられている。
多心ケーブル導入口11は、例えば、32心のインドアケーブル又はドロップケーブル等の多心光ファイバケーブル(他の光ファイバケーブルに相当)30A(図7参照)を挿入固定するためのものである。多心ケーブル導入口11は、底壁10Eと直交する方向、すなわち、接続箱本体10の奥行き方向Yに延びるスリット状の溝となっている。なお、本実施形態では、底壁10Eと平行な方向を、接続箱本体10の幅方向Xとする。
該多心ケーブル導入口11内には、挿入した多心光ファイバケーブル30Aのシース(被覆)に食い込む固定金具が差し込んである。また、該多心ケーブル導入口11の多心光ファイバケーブル30Aを支持する底壁10E寄りの端部11aには、該多心ケーブル導入口11から接続箱本体10内へ導入した多心光ファイバケーブル30Aを更に支持する平面視略T字型の薄板状の支持片11bが連成してある。
段差状ケーブル導入口群12は、接続箱本体10の奥行き方向Yに延びるスリット状のケーブル導入口12a,12b,12c,12dを備えている、これらのケーブル導入口12a,12b,12c,12dは、例えば、少心のインドアケーブル又はドロップケーブル等の少心光ファイバケーブル(光ファイバケーブルに相当)30B,30B…(図7参照)を挿入固定するためのものである。
これらケーブル導入口12a,12b,12c,12dから接続箱本体10内に導入した各少心光ファイバケーブル30B,30B…は、上述した多心光ファイバケーブル30Aから分岐させた図示しない各光ファイバ心線に、接続部31(図7参照)を介して接続される。
本実施形態における接続部31は、多心光ファイバケーブル30Aと各少心光ファイバケーブル30Bとの各光ファイバ心線を溶かして互いに融着接続し、各融着接続部を融着スリーブで被覆した構成としてある。但し、接続部31は、このような融着接続に限らず、光ファイバ心線を機械的に付き合わせて接続する「メカニカル接続」等の各種の接続形態による接続部としてもよい。
ここで、本実施形態では、図3に示すように、各ケーブル導入口12a,12b,12c,12dにおける、少心光ファイバケーブル30Bを支持する底壁10E寄りの端部12a1,12b1,12c1,12d1の位置を互いに異ならせて段差状にした構成としてある。ケーブル導入口12a,12b,12c,12dの底壁10E寄りの端部12a1,12b1,12c1,12d1の底壁10Eからの距離を互いに異ならせている。また、図示例では、ケーブル導入口12a,12b,12c,12dの端部12a1,12b1,12c1,12d1の底壁10Eからの距離を、該ケーブル導入口12a,12b,12c,12d同士が並設する方向(図3中の矢印X)に沿って、互いに段階的に異ならせている。
詳述すると、互いに隣接するケーブル導入口12a,12bの前記端部12a1,12b1の底壁10Eからの距離の差と、互いに隣接するケーブル導入口12b,12cの前記端部12b1,12c1の底壁10Eからの距離の差と、互いに隣接するケーブル導入口12c,12dの前記端部12c1,12d1の底壁10Eからの距離の差と、を等しくしている。さらに、前述した三つの距離の差を、一つの接続部(融着接続部を被覆した融着スリーブ)31の径方向の寸法分以上としている。
複数のケーブル導入口12a,12b,12c,12dの端部12a1,12b1,12c1,12d1のうちの最も底壁10Eから離れた端部12a1と、最も底壁10E寄りの端部12d1との奥行き方向Yの距離は、Lとなっている。また、本実施形態では、上述した多心ケーブル導入口11の端部11aを、前述した奥行き方向Yにおいて、前記端部12a1と端部12d1との間に位置させている。さらに、本実施形態では、上述した多心ケーブル導入口11の端部11aを、前述した奥行き方向Yにおいて、前記端部12a1と端部12d1との中心位置を含み、かつ前述した距離Lの1/3の範囲内に位置させている。例えば、図示例では、多心ケーブル導入口11の端部11aの底壁10Eからの距離は、距離Lの1/3以上でかつ2/3以下となっている。即ち、多心ケーブル導入口11の端部11aを、前述した奥行き方向Yにおいて、多心ケーブル導入口11の端部11aの底壁10Eからの距離は、前記距離Lの1/3以上でかつ2/3以下となる位置に配置されている。
このように、段差状に並設された各ケーブル導入口12a,12b,12c,12dの前述した距離Lの中心位置に、多心ケーブル導入口11を設置すれば、これら導入口11、12a〜12dの奥行き方向Yの端部11aとの距離をほぼ平均的に小さくすることができる。これにより、これら導入口11、12a〜12dの高さで接続箱本体10内を取り回される多心光ファイバケーブル30Aと各少心光ファイバケーブル30Bとを接続したときに生じる曲がりを平均的に小さくすることができる。
一方で、実際の設計において、種々の周辺部材の取付位置を考慮すると、各ケーブル導入口12a,12b,12c,12dの前述した距離Lの中心位置に、多心ケーブル導入口11を設置することができない場合もある。このような場合でも、総合的に多心光ファイバケーブル30A及び各少心光ファイバケーブル30Bの曲がりが大きくならないようにするため、最大位置差Lの中心位置を含むL/3の範囲内に多心ケーブル導入口11を設置することとした。
アダプタ装着口13は、コネクタ付きのファンアウトコード等を接続するためのアダプタ42(図7参照)を嵌合保持する略矩形の切欠部である。本実施形態では、接続箱本体10の側壁10A,10Cに、切除可能な略矩形の仕切板13aを形成し、該仕切板13aを切除したときに、アダプタ装着口13が形成されるようにしてある。
コード導入口14は、接続箱本体10の奥行き方向Yに延びるスリット状の溝である。該コード導入口14は、その溝幅が、ファンアウトコード30C(図7参照)等のコード外形の0.8〜0.9倍としてあり、該ファンアウトコード30C等のシースを挟み込む構造となっている。このような該コード挿入口14を介して、ファンアウトコード30C等を接続箱本体10内に導入し、上述したアダプタ42を用いずに多心光ファイバケーブル30Aと直接接続させることができる。
一方、接続箱本体10の中央部で長い側壁10Dの近傍には、一対の保持部としてのスリーブホルダ15,15を間隔をおいて設けている。各スリーブホルダ15は、該側壁10Dに対向して起立形成した各一対の弾性片15a,15aと、保持板15b,15bとを備えている。各スリーブホルダ15は、側壁10Dと共同してそれぞれ二箇所、合計四箇所で、複数の接続部(融着接続部を被覆した融着スリーブ)31,31…を、接続箱本体10の奥行き方向Yに重ねた状態で(並べて)弾性保持する。
ここで、本実施形態では、上述のように、互いに隣り合うケーブル導入口12a,12b,12c,12dの端部12a1,12b1,12c1,12d1の奥行き方向Yの距離を前述した距離Lの1/3にして、更に一つの接続部31の径方向の寸法分以上にしてある。これにより、スリーブホルダ15に、各接続部31を接続箱本体10の奥行き方向Yに重ねた状態で弾性保持したとき、各接続部31をそれぞれに対応する各ケーブル導入口12a,12b,12c,12dとほぼ同じ高さに配置することができる。
また、互いに隣接するケーブル導入口12a,12b,12c,12dの端部12a1,12b1,12c1,12d1の奥行き方向Yの距離が、一つ接続部31の径方向の寸法より小さい場合には、順次導入される少心光ファイバケーブル30B,30B…が同じ位置で互いに重複することになり、その導入位置で折れ曲がりなどが発生してしまう。したがって、互いに隣接するケーブル導入口12a,12b,12c,12dの端部12a1,12b1,12c1,12d1の奥行き方向Yの距離を、一つの接続部31の径方向の寸法分以上とすることにより、各少心光ファイバケーブル30Bの負担を軽減することができる。
なお、接続箱本体10の他の長い側壁10Dの中央部には、一対のダムホルダ16,16が間隔をおいて設けてある。各ダムホルダ16は、上述したファンアウトコード30C(図7参照)等の図示しないダム部を保持する。
また、接続箱本体10の底壁10Eの中央部には、一対の略円筒状(円弧状の壁部を有している)のファイバガイド17,17が立設してある。各ファイバガイド17は、外周面に多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B又はファンアウトコード30Cが沿わされることで、上述した複数の接続部31,31…を各スリーブホルダ15に収納するに際して、多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B又はファンアウトコード30C等の取り回しの曲げ半径を規定している。即ち、ファイバガイド17,17は、外周面(円弧状壁部に相当)に沿って、接続箱本体10内に導入された光ファイバケーブル30A,30Bを取り回す。また、これらのファイバガイド17は、前述したケーブル導入口11,12a,12b,12c,12dが設けられた側壁10A,10Cそれぞれに対応して(近傍に)設けられている。
さらに、接続箱本体10内の各部には、薄肉小片状の複数の押え片18,18…が一体成形により配設してある。各押え片18は、接続箱本体10の奥行き方向Yにおける所定の高さ(本実施形態では、高い位置と低い位置の二種)に位置しており、接続箱本体10内に取り回した多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B又はファンアウトコード30C等の飛び出しを抑制している。
一方、接続箱本体10の側壁10A,10Cの外側には、各一対の取付板19A,19A及び19B,19Bが設けてある。これら取付板19A,19Bは、接続箱本体10を設置面に対して横置き又は縦置きに選択的に固定するためのものである。接続箱本体10を横置きするための各取付板19Aは、底壁10Eと平行な方向に突設してあり、接続箱本体10を縦置きするための各取付板19Bは、底壁10Eと垂直な方向に突設してある。これら取付板19A,19Bには、それぞれ図示しないねじ等を挿通するための長孔が切り欠いてある。また、接続箱本体10の底壁10Eには、該接続箱本体10を設置面にねじ止めするための長孔状の貫通孔10b,10b…が穿設してある。
その他、接続箱本体10には、次に述べる蓋体20(図4参照)の着脱を容易にするための切欠部10a,10a、該蓋体20をねじ止めするための円柱状のねじ止め部10c,10cが形成してある。
次いで、上述した蓋体20について、図4、図5及び図6を参照しつつ説明する。図4は上記光ケーブル接続箱を構成する蓋体を示す平面図である。図5は図4の蓋体を矢印C方向から見た矢視図である。図6は図4の蓋体を矢印D方向から見た矢視図である。
蓋体20は、図4に示すように、平面視が略長方形状の板状部材であり、互いに対向する各長辺の中央には、接続箱本体10の各切欠部10aに嵌合する一対の嵌合片20a,20aが突設してある。接続箱本体10の側壁10A〜10Dにより形成された開口部に蓋体20を取り付けたとき、各嵌合片20aのみが側壁10B,10Dの板厚と面一になり、該蓋体20着脱の際の把持部の役割を果たしている。
蓋体20の表面には、接続箱本体10のねじ止め部10c,10cのいずれかに対応する貫通孔20bが穿設してある。また、蓋体20の裏面における各短辺には、接続箱本体10の多心ケーブル導入口11の上部に嵌合する多心ケーブル押え突起(突起部)21,21がそれぞれ突設してある。
さらに、蓋体20の裏面における各短辺には、各多心ケーブル押え突起21に隣接して、段差状ケーブル押え突起群22がそれぞれ突設してある。各段差状ケーブル押え突起群22は、接続箱本体10の各ケーブル導入口12a,12b,12c,12dの上部に嵌合するケーブル押え突起(突起部に相当)22a,22b,22c,22dからなっている。ケーブル押え突起22a,22b,22c,22dは、ケーブル導入口12a,12b,12c,12dに嵌合して、該ケーブル導入口12a,12b,12c,12dと光ファイバケーブル30Bとの間に隙間を埋める。
次に、上記構成からなる本実施形態の光ケーブル接続箱における光ファイバケーブル等の取り回しについて、図7を参照しつつ説明する。図7は上記接続箱本体に各種光ファイバケーブル及び光ファイバコードを取り回し接続した状態を示す平面図である。
多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B又はファンアウトコード30C等を接続又は分岐接続する場合、まず、多心光ファイバケーブル30Aの先端部から必要な分のシースを取り除き、残った先端側のシースを固定金具に食い込ませつつ、該多心光ファイバケーブル30Aを、接続箱本体10の多心ケーブル導入口11に挿入固定する。該多心光ファイバケーブル30Aの挿入後、接続箱本体10の底部10Eに最も近いケーブル導入口12dに、同様にして少心光ファイバケーブル30Bを挿入固定する。
次いで、これら多心光ファイバケーブル30A及び少心光ファイバケーブル30Bの取り回しに必要な光ファイバ長を確保しつつ、互いのファイバ心線を融着接続し、該融着接続部を融着スリーブで被覆して接続部31を形成する。そして、多心光ファイバケーブル30Aのファイバ心線をファイバガイド17に沿って取り回しつつ、該接続部31をスリーブホルダ15に弾性保持させる。このとき、接続箱本体10内に取り回した多心光ファイバケーブル30Aのファイバ心線が浮き上がらないように、該ファイバ心線を、各押え片18の下を通過させて取り回す。
上記と同様の作業を、各ケーブル導入口12cと12bと12aとに順に、底壁10Eに近い順番で繰り返し行い、多心光ファイバケーブル30Aと少心光ファイバケーブル30Bとのファイバ心線を全て接続する。そして、上記順番で、各接続部31,31…を接続箱本体10の奥行き方向Yに重ねた状態でスリーブホルダ15に弾性保持させる。
次いで、コネクタ41を装着したファンアウトコード30Cと多心光ファイバケーブル30Aとを、上記と同様に接続し、該ファンアウトコード30Cのコネクタ41をアダプタ42に挿入した後、該アダプタ42をアダプタ挿入口13に嵌合保持させる。
また、多心光ファイバケーブル30Aに接続したファンアウトコード30Cを、アダプタ42を介さずに直接、接続箱本体10の外部へ導出する場合は、コード導入口14に該ファンアウトコード30Cを挿入固定する。
以上のように、本実施形態の光ケーブル接続箱によれば、各ケーブル導入口12a〜12dの端部12a1〜12d1の位置を互いに、接続箱本体10の奥行き方向Yに異ならせたことにより、各ケーブル導入口12a〜12dから接続箱本体10内に導入した各少心光ファイバケーブル30Bが、互いに同一仮想平面上で並ぶことがなく、奥行き方向Yに位置をずらした状態で取り回し又は接続等させることができる。
これにより、接続箱本体10内に導入した各少心光ファイバケーブル30Bが嵩張ることなく、箱内スペースを有効活用することができ、多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B又はファンアウトコード30C等の光ファイバケーブルやコネクタ41、アダプタ42等の周辺部材の高密度収納を可能とし、箱全体の小型化を図ることができる。
また、多心光ファイバケーブル30Aと少心光ファイバケーブル30B同士の各接続部31を、接続箱本体10の奥行き方向Yに並べて収容することができるので、各接続部31の集合体が接続箱本体10の幅方向Xに薄型となり、接続箱本体10内において嵩張ることがない。これにより、全ての光ファイバケーブル30A,30Bどうしの各接続部31を接続箱本体10内に収納することができ、光ケーブル接続箱の小型化を図ることができる。
なお、従来のような上側ケース120(図8及び図9参照)といった大型部品を削減し、箱全体のサイズを小さくすることができるので、成形型等の設備や型成形に要する消費エネルギーを大幅に削減することができ、製品製造時に発生するCO2を減少させることが可能となる。
さらに、互いに隣接するケーブル導入口12a,12bの端部12a1,12b1の奥行き方向の距離と、互いに隣接するケーブル導入口12b,12cの端部12b1,12c1の奥行き方向の距離と、互いに隣接するケーブル導入口12c,12dの端部12c1,12d1の奥行き方向の距離を、一つの接続部31の径方向の寸法分以上として、段階的にケーブル導入口12a,12b,12c,12dの端部12a1,12b1,12c1,12d1を配置しているので、各ケーブル導入口12a〜12dから各接続部31まで、各ケーブル導入口12a〜12dを接続箱本体10の奥行き方向Yに曲げることなく取り回すことができ、各少心光ファイバケーブル30Bへの負荷防止を図ることができる。
これに加え、接続箱本体10の開口を蓋体20によって覆うことにより、該蓋体20の各ケーブル押え突起21,22a〜22dが、接続箱本体10の各ケーブル導入口11,12a〜12dにそれぞれ嵌合して、該接続箱本体10内の密閉及び防水を図ることができるとともに、各ケーブル導入口11,12a〜12dに挿通した多心及び少心光ファイバケーブル30A,30Bを、それそれ所望の異なる位置に正確に位置決めすることができる。
また、ケーブル導入口12aの端部12a1とケーブル導入口12dの端部12d1との奥行き方向Yの中心位置を含む前述した距離Lの1/3の範囲内に多心ケーブル導入口11の端部11aを設置したことにより、各ケーブル導入口12a〜12dと多心ケーブル導入口11との奥行き方向Yの距離を平均的に小さくし、多心光ファイバケーブル30Aと、各少心光ファイバケーブル30Bとを分岐接続した場合に生じる、これら光ファイバケーブルの曲がりを平均的に小さくすることができる。
さらに、上述のように、本実施形態の光ケーブル接続箱では、接続箱本体10内に導入した各少心光ファイバケーブル30Bが嵩張ることなく、箱内スペースを有効活用することができるので、該接続箱本体10を大型化することなく、その内部にファンアウトコード30Cのコネクタ41やアダプタ42を収納することができる。特に、切除可能な仕切板13aによりアダプタ装着口13を選択的に形成することができるので、アダプタ接続の要否にかかわらず、本実施形態の光ケーブル接続箱を汎用することが可能となる。
これに加え、本実施形態の光ケーブル接続箱では、接続箱本体10の互いに対向する一対の側壁10A,10Cに、多心ケーブル導入口11、各ケーブル導入口12a〜12d、アダプタ装着口13及びコード導入口14をそれそれ並設するとともに、一対の側壁10A,10Cにそれぞれ対応する一対のファイバガイド17,17を底壁10Eから立設した構成としてある。これにより、各種光ファイバケーブル30A,30B、ファンアウトコード30C等の接続又は分岐、及びアダプタ接続又はアダプタ分岐などの多用途に使用することができる。これにより、上述した小型かつ高密度収納可能という効果に加えて、多目的利用可能な光ケーブル接続箱が実現する。
なお、本発明の光ケーブル接続箱は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、多心光ファイバケーブル30A、少心光ファイバケーブル30B及びファンアウトコード30Cの接続又は分岐接続について説明したが、本発明の光ケーブル接続箱は、これらに限定されるものではなく、各種光ファイバの接続等に適用することができる。
また、上記実施形態では、互いに隣接するケーブル導入口12a〜12dの端部12a1〜12d1の奥行き方向Yの距離を、一つの接続部31径方向の寸法分以上としたが、これに限定されるものではなく、各少心光ファイバケーブル30Bに多少の曲がりが生じても問題にならない場合は、互いに隣接するケーブル導入口12a〜12dの端部12a1〜12d1の奥行き方向Yの距離を、前述した距離Lの1/3以外の均等割合にしてもよく、また、互いに隣接するケーブル導入口12a〜12dの端部12a1〜12d1の奥行き方向Yの距離を互いに異ならせて、不均等な割合としてもよい。さらに、互いに隣接するケーブル導入口12a〜12dの端部12a1〜12d1の奥行き方向Yの距離を、一つの接続部31径方向の寸法分未満としてもよい。
さらに、本実施形態では、多心ケーブル導入口11の端部11aを、奥行き方向Yの端部12a1,12d1間の中心位置を含み、かつ、前述したLの1/3の範囲内に位置するようにしたが、多心光ファイバケーブル30A又は少心光ファイバケーブル30Bの曲がりを平均的に小さくしなくても問題にならない場合は、前記範囲外に多心ケーブル導入口11の端部11aを位置させてもよい。
その他、本発明の光ケーブル接続箱は、図面に示した構成に限定されるものではなく、多心ケーブル導入口11、各ケーブル導入口12a〜12d、アダプタ装着口13、コード導入口14、スリーブホルダ15及びファイバガイド17等のレイアウトを適宜変更することも可能である。