JP2007101695A - フォトニック結晶及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 Siの可視光に対する吸収を抑え、Si膜とSiO膜とが交互に積層された構造により、可視光に対し高い反射率を有するフォトニック結晶を提供する。
【解決手段】 Si膜3とSiO膜2とのペアを複数周期積層した積層構造を有するフォトニック結晶1において、Si膜3は、波長480nm以上800nm以下の可視光領域における消衰係数が、バルクSi単結晶の消衰係数よりも小さくされる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フォトニック結晶及びその製造方法に関し、特に可視光反射用に適したフォトニック結晶及びその製造方法に関する。
John D. Joannopoulos, et al. "Photonic Crystals", Princeton University Press 1995 Shun Lien Chuang "Physics of Optoelectronic Devices", JohnWiley & Sons, Inc. 1995 Q.-Y. Tong and U. Goesele, "Semiconductor Wafer Bonding" Wiley-Interscience,1998 特開平11−316154号公報
近年、フォトニック結晶(Photonic Bandgap Crystal:PBG)と呼ばれる構造が注目を集めている。PBG効果の基本は、互いに屈折率の異なる二つの物質を互いに重ね合わせることにより、光を効果的に反射できるというものである。この時の各膜厚が、λc/(4n)の値を取るとき(λcは入射光の中心波長、nは物質の屈折率)に最も高い反射を示すが、各膜がこの値と厳密に同一でなくても同様に高い反射を示すことが知られている(非特許文献1)。
特にSi膜とSiO膜の場合は、屈折率差(Δn)が大きい(Δn=2以上)ため、広い波長域で高い反射を示す。さらに、その屈折率差が、従来のTiOなどの中間屈折率材料を用いた場合と比べ大きいため、高い反射率を得るために必要となる高屈折率材料/低屈折率材料のペア数が少なくて済むことも特徴となっている。
表1は入射光の波長が600nm近傍で98%以上の反射率を示すために必要な高屈折率材料/低屈折率材料のペア数を理論計算により算出したものものである。用いた方法は行列計算法(非特許文献2)である。この計算結果から、Si膜とSiO膜の組み合わせはその高い屈折率差(Δn=2以上)により、従来のTiO/SiO(Δn=0.9)やSiO/MgF(Δn=0.1)と比較し、より望ましいものといえる。
Figure 2007101695
その一方で、Siは可視光短波長領域において高い吸収を示すことが知られている。図2は単結晶Siの吸収係数を示したものであり、単結晶Siの吸収係数は可視光である800nm以下の領域で急激に大きくなっていることがわかる。そのため、高屈折率材料/低屈折率材料としてのSi/SiO ペアは、その高い屈折率差にもかかわらず、可視光領域における低い反射特性により、それにより作製されたフォトニック結晶は、主として赤外光の反射用に用いられ(例えば、特許文献1)、可視光反射板としては不適当であると考えられていた。
本発明の課題は、Siの可視光に対する吸収を抑え、Si膜とSiO膜とが交互に積層された構造により、可視光に対し高い反射率を有するフォトニック結晶と、その製造方法とを提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記の課題を解決するために、本発明のフォトニック結晶は、Si膜とSiO膜とのペアを複数周期積層した積層構造を有するフォトニック結晶であって、Si膜は、波長480nm以上800nm以下の可視光領域における消衰係数がバルクSi単結晶の消衰係数よりも小さくなっていることを特徴とする。また、本発明のフォトニック結晶の製造方法は、上記本発明のフォトニック結晶の製造方法であって、Si膜とSiO膜とを交互に積層した積層構造を形成する積層構造形成工程と、該積層構造を700℃以上1400℃以下で熱処理後、室温まで冷却する熱処理工程と、を有してなることを特徴とする。
本発明者は、Si膜とSiO膜とを交互に積層した積層構造を形成後、これを上記の温度域で熱処理し、冷却することによって、積層構造に含まれるSi膜の消衰係数を、バルクSi単結晶の消衰係数よりも縮小でき、その結果、バルクでは可視光領域での吸収が大きいSi膜を用いているにも拘わらず、上記積層構造の可視光域での反射率が大幅に向上することを見出して本発明を完成するに至った。
図2に示すように、バルク単結晶Siの吸収係数は、可視光である800nm以下の短波長領域で急激に大きくなっている。しかし、フォトニック結晶として用いるために薄膜化されたSi膜とSiO膜が積層された多層膜(積層構造)の場合、本発明者が実験により確認した結果、積層構造を形成後、700℃以上の高温域で熱処理し冷却を行なうと、短波長領域での吸収係数が顕著に抑制される。本発明者は、Si膜とSiO膜との線膨張係数の違いにより、熱処理時の加熱時ないし冷却時にSi膜に働く応力に起因して、Si膜の光学定数とバルク単結晶Siの光学定数との間にずれが発生し、結果的に消衰係数の減少(つまり、吸収係数の減少)がもたらされるのではないかと考えている。
反射すべき可視光の波長域を上記480nm以上800nm以下として、フォトニックバンドギャップ形成による可視光反射効果を高めるためには、Si膜の層厚は20nm以上120nm以下、SiO膜の層厚は50nm以上270nm以下に設定する必要がある。単に可視光反射用のフォトニックバンドギャップ形成のために、Si膜及びSiO膜の厚さを上記のごとく小さく設定することは、Si膜とSiO膜との熱膨張/収縮の変形を拘束し、応力を保持する観点においても極めて重要な意味を持つ。すなわち、Si膜及びSiO膜の厚さが小さいために、両者の線膨張係数差に由来した熱応力が、転位導入等による永久変形により緩和されにくくなり、Si膜に蓄積される弾性的な歪エネルギーも大きくなる。その結果、Si膜の消衰係数低減効果が顕著に発揮される。なお、特許文献1にSi膜/SiO膜積層構造の実例として掲げられているのは、赤外線反射用のものであり、Si膜の厚さは220nm〜400nmと大きく、転位導入等による熱応力緩和も進みやすいと考えられ、消衰係数低減効果はほとんど期待できない(もとより、特許文献1には、積層構造の熱処理によりSi膜の消衰係数を低減できる点につき、何一つ示唆されていない)。
熱処理温度が700℃未満ではSi膜の消衰係数の減少効果が顕著でなくなる。他方、熱処理温度が1400℃を超えると、Si膜あるいはSiO膜が軟化し、応力緩和が顕著となって、同様に消衰係数の減少効果が顕著でなくなる。熱処理温度は、より望ましくは800℃以上1300℃未満であるのがよい。
熱処理条件の適正化により、Si膜は、波長480nm以上800nm以下の可視光領域における消衰係数をバルクSi単結晶の50%以下に低減することができる。その結果、波長480nm以上800nm以下の可視光領域における積層構造の反射率を90%以上100%以下(望ましくは、波長540nm以上680nm以下の可視光領域における積層構造の反射率が99%以上)を達成できる。消衰係数の低減効果は、熱応力の緩和が生じにくくなるよう、熱処理工程において、昇温速度ないし冷却速度が大きい急速加熱処理にて行なう場合に顕著であり、具体的には、積層構造を、赤外線ランプ加熱を用いた枚葉式の急速熱処理装置を用いて行なうことが有効である。
また、積層構造においてはSi膜とSiO膜とのペアを3周期以上に形成することが、昇温時あるいは冷却時のSi膜あるいはSiO膜の膨張/収縮変形に対する拘束効果が高まり、Si膜に効果的に応力付加することができる。Si膜とSiO膜との高屈折率差を利用して、少ない積層周期数で高反射率を達成する観点からは、上記ペアは10周期以下(望ましくは5周期以下)に積層することが望ましい。
積層構造においてSi膜は多結晶Si膜とすることができる。多結晶Si膜はCVD法により容易に形成できる。本発明者が検討したところ、多結晶Si膜にて消衰係数低減効果を顕著なものとするには、熱処理工程において積層構造を昇温する際の温度上昇率あるいは冷却するときの温度下降率は、これを一定以上に大きくすることが、Si膜とSiO膜との線膨張係数差に基づいた応力発生を促進し、多結晶Si膜の消衰係数低減効果を高める上で望ましいことがわかった。具体的には、多結晶Si膜を採用する場合、積層構造を昇温する際の平均的な温度上昇率を20℃/秒以上100℃/秒以下とするのがよく、また、100℃まで冷却する際の平均的な温度下降率を40℃/秒以上150℃/秒以下に設定して行なうことが望ましい。いずれも下限値未満では消衰係数低減効果が不十分となる場合があり、上限値を超えると、過剰な応力により積層構造にクラックや層剥離が発生する惧れがある。
一方、Si膜は単結晶Si膜とすることもできる。単結晶Si膜の採用により、積層構造の可視光域での反射率をさらに向上することができる。Si膜は単結晶Si膜として形成するには、以下のような方法が採用可能である。すなわち、ベースSi単結晶層の第一主表面と、貼り合わせるべきSi単結晶基板の第二主表面との少なくともいずれかにSiO膜を形成し、該SiO膜を介してベースSi単結晶層にSi単結晶基板とを貼り合わせる貼り合わせ工程と、該貼り合わせ後にSi単結晶基板の厚みを減ずることにより、これをSOI層となす工程とを、SOI層を次のSi単結晶基板を貼り合わせるべき新たなベースSi単結晶層とする形で繰り返すことにより、単結晶Si膜とSiO膜とのペアを複数周期積層して積層構造を得る。この場合、前述の熱処理工程は、単結晶Si膜とSiO膜との結合熱処理に兼用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
図1は、本発明のフォトニック結晶の一例を示す模式図である。該フォトニック結晶1は、基材23上に、Si膜3とSiO膜2とのペアを複数周期積層した積層構造を有する。Si膜3は、波長480nm以上800nm以下の可視光領域における消衰係数がバルクSi単結晶の消衰係数よりも小さくなっている。Si膜3の層厚は20nm以上120nm以下、SiO膜2の層厚は50nm以上270nm以下に設定される。また、基材23は、ガラス基板あるいはSi単結晶基板等で構成される。そして、SiO膜2の厚さt1とSi膜3の厚さt2とは、可視光域でのSiOの屈折率をn1=1.5、同じくSiの屈折率n2を3.5とし、SiO膜2とSi膜3との、反射すべき可視光域における光学的厚さtOPをtOP=n1×t1+n2×t2として、0.1λ<tOP<2λを充足し、かつ、(t1×n1)/(t2×n2)が0.2以上3以下の範囲内に設定される。
図2に示すように、バルク単結晶Siの吸収係数は、可視光である800nm以下の短波長領域で急激に大きくなっているが、フォトニック結晶として用いるために薄膜化されたSi膜とSiO膜が積層された多層膜の場合、本発明者は、これらの線膨張係数の違いによりSi膜に働く応力に起因して、Si膜の光学定数とバルク単結晶Siの光学定数との間にずれが発生するのではないかと考えた。そして、以下の実験を行い、Si膜とSiO膜が積層された構造により応力が付加された薄膜Si膜の場合、波長480〜800nmの可視光領域の光に対する消衰係数(k)は、バルク単結晶Siの半分以下に低下することを発見し、本発明を完成させた。
(実験)
表2に示す3種類の単結晶Si膜(SOI層)を有する直径200mmのSOI(Silicon On Insulator)ウェーハと、リファレンスとして直径200mmのSi単結晶ウェーハを用意した。
Figure 2007101695
これらのSOIウェーハはウェーハ貼り合わせ法を用いて作製したものであり、ウェーハ貼り合わせ法の中でも、イオン注入剥離法と呼ばれ(スマートカット(登録商標)法とも呼ばれる。)、膜厚均一性の極めて高いSOI層を得ることができる方法により作製したものである。図6に示すように、ベースSi単結晶層をなすベースSi単結晶基板51の第一主表面と、貼り合わせるべきSi単結晶基板(以下、貼り合わせSi単結晶基板という)53の第一主表面との少なくともいずれか、ここでは、貼り合わせSi単結晶基板53の第一主表面にSiO膜52を形成し、該SiO膜52を介してベースSi単結晶基板(層)51に貼り合わせSi単結晶基板53を貼り合わせる(工程2,3:貼り合わせ工程)。次いで、該貼り合わせ後に貼り合わせSi単結晶基板53の厚みを減ずることにより、これをSOI層(Si層)3となす。
イオン注入剥離法では、貼り合わせSi単結晶基板53の厚みを次のようにして減ずる。すなわち、工程1に示すように、貼り合わせSi単結晶基板53の第一主表面(貼り合わせ面)に対し、一定深さ位置に水素高濃度層54が形成されるように水素をイオン注入する。そして、工程3の貼り合わせ後に、該水素高濃度層54にて貼り合わせSi単結晶基板53を剥離する(工程4)。この剥離は、400〜600℃の低温にて剥離熱処理することによって実施できる。その後、貼り合わせSi単結晶基板53とSiO膜52とを強固に結合するための結合熱処理(望ましい熱処理温度:1000℃以上1250℃以下)を行なうが、この熱処理は前記剥離熱処理と兼用することもできる。さらに、この結合熱処理は、Si層3の消衰係数を減少させるための熱処理(700℃以上1400℃以下:望ましくは、1000℃以上1300℃以下)をも兼ねることができる。表2のSOIウェーハは500℃の剥離熱処理の後、1100℃の結合熱処理を行なって作製したものである。
図1のようなSi膜3とSiO膜2とのペアを複数周期積層したフォトニック結晶を得るためには、その後、工程5に示すように、上記剥離により形成されたSOI層(Si層)3を次のベースSi単結晶層として、工程2〜4、すなわち、SiO膜52を形成した新たな貼り合わせSi単結晶基板53を同様に貼り合わせ、剥離する工程を繰り返えせばよい。
表2に示すSi膜3とSiO膜2とのペアが1周期の各フォトニック結晶(及びリファレンス)に対し、分光エリプソメトリー測定を行って、SOI層(Si層)3の消衰係数(k)の波長依存性を測定した(消衰係数(k)は吸収係数に比例することが知られている)。該測定結果を図3に示す。図3によれば、波長480nm〜800nmの範囲において、単結晶Si膜(SOI層)の消衰係数は、いずれの膜厚においても、リファレンスであるSi単結晶ウェーハ(バルク単結晶Si)の消衰係数に比べて半分以下となっているあることがわかる。一方、480nm以下の波長領域になると、消衰係数は増大してSi単結晶ウェーハに近づき、その増加傾向は、単結晶Si膜の膜厚が厚いほど大きいことがわかる。
上記の実験結果から、特に波長480nm〜800nmの範囲においては、単結晶Si膜による光の吸収を抑制することができるため、このような単結晶Si膜を利用してフォトニック結晶を作製すれば、可視光領域であっても極めて反射率の高いフォトニック結晶を得ることができると考えられる。
このように、ウェーハ貼り合わせ法により作製されたSOIウェーハの薄膜Si層(SOI層)が可視光にする消衰係数が抑制される理由については、詳細は不明であるが、次のようなメカニズムが考えられる。すなわち、常温で貼り合わせた二枚のウェーハ(一方にSiO膜が形成されている)はそのままでは結合エネルギーが低いので、通常、高温アニール(熱処理)を施すことにより結合力を増すことが良く知られている(非特許文献3)。高温アニールを施すことにより結合力を増すことは、800℃〜1000℃付近もしくはそれ以上の温度領域ではSiが粘性を有し、ウェーハ間の隙間を埋めるのが原因の一つである。よって、この温度領域でアニールを施すことにより、Si膜とSiO膜との熱膨張率の差による膜応力が緩和される(Siの線膨張係数:3.6×10−6/℃、SiO膜の線膨張係数:0.59×10−6/℃)。アニール後、温度をこの温度領域より下げることにより、Siが粘性を失い、熱膨張率の差から、Siの膜中に応力が導入される。この導入された応力の影響によりSi中の吸収が減少するものと考えられる。
以上説明したごとく、可視光領域で吸収係数の小さい単結晶Si膜を有する本発明のフォトニック結晶を製造するためには、単結晶Si膜中に何らかの方法で応力を導入することが必要である。その応力を導入するための一法として、前述のウェーハ貼り合わせ法によりSi膜とSiO膜が交互に積層された構造を有するフォトニック結晶を製造する方法を例示できる。この場合、Si膜とSiO膜との結合熱処理における、昇温あるいは冷却(特に冷却)時の、両者の線膨張係数差に由来した熱応力が、Si膜の消衰係数を減ずるための応力として導入される。なお、ウェーハ貼り合わせ法では、作製される薄膜の膜厚均一性を考慮するとイオン注入剥離法が好ましいが、これに限定されるものではない。
なお、図7に示すように、Si膜3とSiO膜2とは、気相成膜法を用いて形成することもできる。この場合、Si膜3は多結晶膜として形成される。応力導入のための熱処理は、赤外線ランプ60を用いた急速加熱(Rapid Thermal Annealing(RTA)により実施できる。この場合、気相成膜法としては、広く工業的に実施されているスパッタ−法や、成熟したCMOS技術(プラズマCVD法(PECVD)あるいは低圧CVD法(LPCVD))を使用することができる。これらは量生産・低コスト生産に適しており、工業的に優位に利用することができる。
(実施例1)
中心波長640nmの可視光に対して高反射率を有するフォトニック結晶を作製するため、直径200mmのSi単結晶ウェーハ上に、107nmのSiO膜と42nmのSi膜のペアを3ペア形成した。これらの膜厚は、図2より、中心波長640nmに対する屈折率をそれぞれ1.5(SiO膜)、3.8(Si膜)とし、膜厚=中心波長/4n(nは屈折率)の式により算出して設定した。そして、この膜厚を有する多層膜はイオン注入剥離法を用いて以下のプロセスにより作製した。
まず、直径200mm、結晶方位<100>、p型、10ΩcmのSi単結晶ウェーハを4枚用意し、そのうち3枚のウェーハを熱酸化することにより、それそれの表面に107nmのSiO膜を形成した。その後、そのSiO膜を通して水素イオンを注入(ドーズ量:5.5×1016/cm)することにより、Si単結晶ウェーハの表面から約100nmの深さにイオン注入層が形成されたSiO膜付きSi単結晶ウェーハ(貼り合わせSi単結晶基板(以下、貼り合わせウェーハという))を3枚作製した。そして、貼り合わせウェーハの1枚と、SiO膜を形成しなかった残りの1枚のSi単結晶ウェーハ(ベースSi単結晶基板(以下、ベースウェーハという))とを、酸化膜を介して室温で密着させて貼り合わせた後、窒素ガス雰囲気下、500℃で30分の剥離熱処理を行なうことによってイオン注入層で剥離して、約100nmのSOI層を有するSOIウェーハを作製した。得られたSOIウェーハの結合強度を高めるため、アルゴン雰囲気下、1100℃、2時間の結合熱処理を行った後、SOI表面を研磨することにより、42nmの厚さを有するSOI層を形成した。
このようにして作製されたSOIウェーハの表面に、他の貼り合わせウェーハの1枚を、酸化膜を介して室温で密着させて貼り合わせた後、同様に、剥離熱処理、結合熱処理、表面研磨を行なうことにより、ベースウェーハ上に2ペアのSiO膜とSi膜の積層膜が形成されたウェーハを作製した。さらに、もう1枚の貼り合わせウェーハを用いてこの工程を繰り返すことにより、最終的に、ベースウェーハ上に107nmのSiO膜と42nmのSi膜のペアが3ペア形成されたウェーハが得られた。
以上のようにして作製された3ペアの多層膜を有する貼り合わせウェーハを用い、800nm以下の波長領域の反射率を測定し、理論値(計算値)と比較した。図4は、実測値と計算値を比較した結果を示すのであり、左図は波長300〜800nm領域の反射率を示し、右図は左図の波長480〜800nm領域を90%以上の反射率に拡大して表示したものである。
図4の右図によれば、実測値に比べて計算値の反射率が低いことがわかる。これは、計算値を算出する際におけるSi膜の吸収係数をバルク単結晶Siの吸収係数を用いていることに起因すると考えられる。そこで、Si膜の吸収係数がバルク単結晶Siの吸収係数の0.4倍であると仮定して反射率の計算値を求め、実測値と比較した(図5)。図5によれば、計算値は実測値とよく一致していることがわかる。すなわち、作製した3ペアの多層膜を有する貼り合わせウェーハのSi膜の吸収係数は、バルク単結晶Siに比べて約60%程度減少しており、この結果、図4及び図5に示すように、波長480〜800nmの可視光領域に対して90%以上、波長540〜680nmの可視光領域で99%以上の高い反射率が得られるようになることがわかる。
(実施例2)
直径200mmのSi単結晶ウェーハ上に、CVD法を用いて形成した多結晶Si膜とSiO膜を形成した。そして、多結晶Si膜に応力を加えるため、このウェーハにRTA処理(温度上昇率:50℃/秒、1100℃にて1分保持、温度下降率:80℃/秒にて冷却)を施し、その処理の前後で波長300〜800nm領域の反射率を測定し、断面TEM写真により、各層の厚さを正確に得た後、吸収係数の変化を算出した。その結果、RTA処理後の多結晶Si膜の吸収係数は、RTA処理前の吸収係数に比べて約35%減少していることがわかった。これは、RTA処理により、多結晶Si膜中に応力を加えたことによる吸収係数の減少と説明できる。従って、RTA処理をすることによってもSi膜の吸収係数を減少させることができ、結果として、多層膜の反射率を向上させることができることがわかった。
本発明のフォトニック結晶の一例を示す断面模式図。 Si単結晶の吸収係数の波長依存性を示すグラフ。 Si単結晶の消衰係数(k)の波長依存性を示すグラフ。 3周期フォトニック結晶の実測反射率と理論反射率を示すグラフ。 3周期フォトニック結晶の実測反射率と理論吸収係数(x=0.4)を用いたときの理論反射率を示すグラフ。 イオン注入剥離法による本発明のフォトニック結晶の製造工程説明図。 気相成膜法による本発明のフォトニック結晶の製造工程説明図。
符号の説明
1 フォトニック結晶
2 SiO
3 Si膜

Claims (13)

  1. Si膜とSiO膜とのペアを複数周期積層した積層構造を有するフォトニック結晶であって、前記Si膜は、波長480nm以上800nm以下の可視光領域における消衰係数がバルクSi単結晶の消衰係数よりも小さくなっていることを特徴とするフォトニック結晶。
  2. 前記Si膜は、波長480nm以上800nm以下の可視光領域における消衰係数がバルクSi単結晶の50%以下であり、波長480nm以上800nm以下の可視光領域における前記積層構造の反射率が90%以上100%以下である請求項1記載のフォトニック結晶。
  3. 波長540nm以上680nm以下の可視光領域における前記積層構造の反射率が99%以上である請求項2に記載されたフォトニック結晶。
  4. Si膜とSiO膜とのペアを3周期以上10周期以下に積層してなる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のフォトニック結晶。
  5. 前記Si膜が多結晶Si膜である請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のフォトニック結晶。
  6. 前記Si膜が単結晶Si膜である請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のフォトニック結晶。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のフォトニック結晶の製造方法であって、前記Si膜と前記SiO膜とを交互に積層した前記積層構造を形成する積層構造形成工程と、該積層構造を700℃以上1400℃以下で熱処理後、室温まで冷却する熱処理工程と、を有してなることを特徴とするフォトニック結晶の製造方法。
  8. 前記Si膜をCVD法により多結晶Si膜として形成する請求項7記載のフォトニック結晶の製造方法。
  9. 前記熱処理工程において、前記積層構造を昇温する際の平均的な温度上昇率を20℃/秒以上100℃/秒以下、100℃まで冷却する際の平均的な温度下降率を40℃/秒以上150℃/秒以下に設定して行なう請求項8記載のフォトニック結晶の製造方法。
  10. 前記熱処理工程において、前記積層構造を、赤外線ランプ加熱を用いた枚葉式の急速熱処理装置を用いて行なう請求項8又は請求項9に記載のフォトニック結晶の製造方法。
  11. 前記Si膜を単結晶Si膜として形成する請求項7記載のフォトニック結晶の製造方法。
  12. ベースSi単結晶層の第一主表面と、貼り合わせるべきSi単結晶基板の第一主表面との少なくともいずれかにSiO膜を形成し、該SiO膜を介して前記ベースSi単結晶層に前記Si単結晶基板とを貼り合わせる貼り合わせ工程と、該貼り合わせ後に前記Si単結晶基板の厚みを減ずることにより、これをSOI層となす工程とを、前記SOI層を次のSi単結晶基板を貼り合わせるべき新たなベースSi単結晶層とする形で繰り返すことにより、前記単結晶Si膜と前記SiO膜とのペアを複数周期積層して前記積層構造を得る請求項11記載のフォトニック結晶の製造方法。
  13. 前記熱処理工程が、前記単結晶Si膜と前記SiO膜との結合熱処理に兼用されてなる請求項12記載のフォトニック結晶の製造方法。
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