JP2007098270A - 純水製造方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】純水製造システムから発生する排水を、簡便な方法で純水製造の原水として再利用し、水の利用率(回収率)を大幅に向上する。
【解決手段】純水製造システム内のろ過器(3)の逆洗排水を、沈殿槽(10)で処理し、該沈殿槽(10)による処理水を純水製造用の原水として再利用することを特徴とする純水製造方法および装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、工水、井水、市水などを原水として、純水又は超純水を製造するに際し、水の回収率の向上をはかるようにした、純水製造方法および装置に関する。
一般的な(超)純水製造システムでは、例えば特許文献1に示されているように、原水にろ過処理等の前処理を施した後、該前処理された原水を一次純水製造系に供給して一次純水とし、それを二次純水製造系に供給して二次純水(例えば、超純水)としている。製造された純水は、ユースポイントで使用された後、回収処理されて再利用されることが多い。あるいは、排水処理された後放流されたり、廃棄処分(場外処分)とされたりすることもある。前処理としては、例えば凝集(沈殿)ろ過(砂ろ過/膜ろ過)されることが多い。また、一次純水は、例えば、いわゆる2床3塔式水処理装置や、逆浸透膜(RO)装置を用いたシステムで製造され、二次純水は、例えば、UV(紫外線処理装置)+CP(カートリッジポリシャー)+UF(限外ろ過装置)を用いたシステムで製造される。
このような(超)純水製造の過程ではさまざまな排水が生じる。例えば、凝集沈殿ろ過器の逆洗排水、イオン交換樹脂の再生排水や逆洗排水、RO濃縮水、UF濃縮水などである。このため、原水100に対して(超)純水となるのは、一般に70〜90%程度である。水資源の枯渇や環境問題などから、工場での水利用率(水回収率)の向上は重要な課題である。これまで、水利用率向上に対する検討は、ユースポイント使用後の排水の回収再利用処理が中心となっていた。
しかしながら、上述の通り、(超)純水製造の過程でもさまざまな排水(原水に対する割合:100−(70〜90)%)が生じており、これらの利用率(又は回収率)を向上させることも重要な課題である。
これまで(超)純水製造の過程で生じる排水は、二次純水のUF濃縮水など純度の高い一部の排水については(超)純水製造システム内に戻され純水製造のために再利用されることがあるが、その他の多くは、たとえ再利用されても、雑用水など純水製造以外の目的である場合がほとんどである(例えば、生産系冷却水やボイラー補給水等)。また、他の排水と一緒に(排水処理のための希釈水用としての目的がある場合もある)排水処理して放流したり、濃厚なものは場外廃棄処分することもある。本発明で対象としているろ過器、とくに砂ろ過器や膜ろ過器の逆洗排水については凝集沈澱、イオン交換樹脂塔の逆洗排水についてはpH中和のような処理がなされているものの、純水製造に対する水の回収率向上には寄与していないのが実情である。
特開平7−195073号公報
そこで本発明の課題は、純水製造システムから発生する排水を、簡便な方法で純水製造の原水として再利用し、水の利用率(純水製造率、又は回収率)を大幅に向上することが可能な純水製造方法および装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る純水製造方法は、純水製造システム内のろ過器の逆洗排水を、沈殿槽で処理し、該沈殿槽による処理水を純水製造用の原水として再利用することを特徴とする方法からなる。
また、本発明に係る純水製造装置は、純水製造システム内のろ過器の逆洗排水を処理する沈殿槽と、該沈殿槽による処理水を純水製造用の原水の供給系に戻すラインとを備えたことを特徴とする装置からなる。
この本発明に係る純水製造方法および装置においては、上記ろ過器としては、砂ろ過器、膜式ろ過器(除濁膜)およびイオン交換樹脂塔の少なくともいずれかからなることが好ましい。
上記本発明に係る純水製造方法および装置は、次のような技術思想に基づいて完成されたものである。
ろ過器の主な役割(機能)の一つは、SSなどの濁質成分をはじめとする粒子状成分の除去である。純水製造において前処理で用いられるろ過器(砂ろ過や膜式ろ過(除濁膜))は、原水中の粒子状成分(SS成分)を除去することが主な目的である。例えば、原水に凝集剤や凝集助剤を添加して、原水中の粒子状成分を成長させて、該ろ過器で捕捉し除去する(凝集ろ過)。凝集処理で粒子成分をフロック状にしてから分離(沈殿槽や加圧浮上)した後に、残った(リークした)粒子成分(又はフロック)を該ろ過器で捕捉し除去することもある(凝集沈殿ろ過)。
捕捉された粒子状成分が堆積(詰まる)してろ過器の差圧が上昇するため、定期的に逆洗を行って、捕捉した粒子状成分(SS)を排出する。このときに生じる排水が逆洗排水である。逆洗用の水には、原水や凝集ろ過器処理水、RO濃縮水などを用いる。逆洗排水は、SSを多く含み、凝集剤や凝集助剤も含まれ、その他不純物は逆洗用水の水質に依存する。
逆洗用水の水質が原水と同等またはそれ以上に良好な場合、逆洗排水中のSSを除去しさえすれば、純水製造用の原水として再利用できる筈である。また、たとえ凝集剤や凝集助剤が含まれていても、原水系の前処理ろ過器の前段に戻すことを考えれば、凝集剤や凝集助剤の添加が行われるので格別問題は生じない。つまり、逆洗排水に凝集剤や凝集助剤が含まれていることは問題にはならず、SS成分を除去しさえすれば純水製造用の原水として回収再利用するのに適している筈である。
また、ろ過器に捕捉されたSS成分は、原水そのもののSS成分よりもサイズが大きい(つまり、凝集剤や凝集助剤によって大きくなったものが捕捉されている)。また、その周辺には凝集剤や凝集助剤も存在している。したがって、逆洗排水中のSS成分は、原水系のSS成分に比べてかなり沈殿しやすい状態にある。
したがって、逆洗排水については、沈殿槽での固液分離を高速で処理することができることになる(例えば、線速度LV=1.0m/H〜5.0m/Hでの処理ができる)。また、高濃度のSS処理をすることができる(例えば、SS濃度が、10mg/L以上、とくに10〜1000mg/Lでの処理が可能である)。更に、これらから、沈殿槽の大きさを小さくすることもできる。
また、逆洗排水中に含まれる凝集剤や凝集助剤は、沈殿槽での固液分離処理に有効に作用する。逆洗排水中の凝集剤濃度が、50mg/L以上、とくに50〜500mg/Lである場合が好ましく、この範囲外であっても差し支えない。しかし、凝集剤濃度が低すぎて、そのままでは処理が良好に行えない場合は、新たに凝集剤を添加して処理を行ってもよい。この場合には、例えば、凝集剤濃度が50mg/L以上、とくに50〜500mg/Lとなるように定量で、あるいは、処理水SSや濁度をみながら、凝集剤を添加する。
原水系及び/又は本発明における回収系に用いる凝集剤(及び凝集助剤)の種類は、特に限定されず、既存のものを適宜選定して使用することができる。例えば、凝集剤としては、PAC(ポリ塩化アルミニウム)、硫酸アルミニウム、第二塩化鉄など(それぞれの適正な濃度範囲は1〜30ppm(回収系で使用する場合))を使用することができる。また、凝集助剤としては、アニオン系ポリマーなど(それぞれの適正な濃度範囲は1〜5ppm(回収系で使用する場合))を使用することができる。
上記ろ過器は、砂ろ過器、膜式ろ過器(除濁膜)が中心であるが、イオン交換樹脂塔(あるいは活性炭塔)なども本発明におけるろ過器とすることができ、このようなろ過器の逆洗排水について本発明を適用してもよい。イオン交換樹脂塔(や活性炭塔)などのろ過器は主たる処理目的がSS除去ではないものの、砂ろ過器、膜式ろ過器(除濁膜)同様に、SS除去能力がある。したがって、このようなろ過器においても逆洗でSS成分が除かれる。SS成分を含む逆洗排水は、単独又は砂ろ過器、膜式ろ過器(除濁膜)の逆洗排水と一緒に(混合して)、上述の如く沈殿槽で処理し、(超)純水製造の原水として再利用することができる。
このように本発明においては、(超)純水製造の過程で生じる排水の多くを占める、ろ過器の逆洗排水を、沈殿槽で処理し、該処理水を純水製造用の原水として再利用するようにしたので、水の利用率(又は回収率)を大幅に高めることことができる。この本発明に係る方法および装置は、簡便でかつ安価に実施でき、極めて効率のよい優れた処理方法および装置である。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る純水製造装置を示しており、とくに純水製造システムにおける、ろ過器(本実施態様では、砂ろ過器)が設けられた前処理工程部分を示している。図1において、1は純水製造用の原水を貯留する原水槽を示しており、原水槽1中の原水はポンプ2により砂ろ過器3に送られてろ過処理される。このとき、凝集剤として、ろ過前に例えばPACを添加することができる。砂ろ過器3からの処理水5は、一次純水製造システム等に送られる(図示略)。
このような前処理工程において、砂ろ過器3は定期的にあるいは不定期に逆洗処理される。逆洗用水6は、上記の通常のろ過処理とは逆向きに砂ろ過器3に通水され、逆洗排水7は、本実施態様では一旦逆洗排水貯槽8に貯留される。貯留された逆洗排水7は、ポンプ9を介して沈殿槽10に送られ、該沈殿槽10で沈殿処理される。沈殿槽10での沈殿処理による処理水11(沈殿槽10における上澄水)が、純水製造用の原水として原水槽1に戻されて再利用される。沈殿槽10における沈殿物は適当な排水処理に供すればよい(例えば、従来同様の排水処理)。
上記のような本発明に係る装置を用いて行った試験結果を、実施例、比較例として以下に示す。
実施例1
原水(水道水または井戸水)にPACを5ppm注入した水を、LV13m/Hで砂ろ過器で処理した。その砂ろ過器の逆洗(SS:50ppm〜200ppm)をLV25m/Hで実施した逆洗排水を、LV1m/Hにて凝集沈澱処理を行った。その処理水は、SS<1ppmの水質を得ることができた。したがって、純水製造用の原水として全く問題のないレベルであり、この処理水を再び砂ろ過器の前段に(つまり、図1における原水槽1に)に戻して回収した。
比較例1
上記の逆洗排水の回収処理を行なわずに、逆洗排水をそのまま系外に排出した。
結果、従来通り回収処理を行なわない場合には(比較例1)、ろ過器3における排水率は5%であった。しかし、本発明に係る処理を実施することにより(実施例1)、ろ過器3における排水率を1.25%にまで削減することができた。この結果、純水製造における水の利用率(回収率)を大幅に向上できる。
本発明に係る純水製造方法および装置は、あらゆる純水製造シシテムに対して適用可能であり、とくに、水の回収率の向上の要求が強い電子部品製造分野で使用されている純水製造シシテムに好適なものである。
本発明の一実施態様に係る純水製造装置の機器系統図である。
符号の説明
1 原水槽
2 ポンプ
3 砂ろ過器
4 凝集剤としてのPAC
5 砂ろ過器からの処理水
6 逆洗用水
7 逆洗排水
8 逆洗排水貯槽
9 ポンプ
10 沈殿槽
11 沈殿槽からの処理水

Claims (12)

  1. 純水製造システム内のろ過器の逆洗排水を、沈殿槽で処理し、該沈殿槽による処理水を純水製造用の原水として再利用することを特徴とする純水製造方法。
  2. 前記ろ過器が、砂ろ過器、膜式ろ過器およびイオン交換樹脂塔の少なくともいずれかからなる、請求項1に記載の純水製造方法。
  3. 前記沈殿槽の線速度が1.0〜5.0m/Hである、請求項1または2に記載の純水製造方法。
  4. 前記沈殿槽の被処理水のSS濃度が10mg/L以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の純水製造方法。
  5. 前記沈殿槽の被処理水の凝集剤濃度が50mg/L以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の純水製造方法。
  6. 前記沈殿槽の被処理水に、凝集剤濃度が50mg/L以上になるように凝集剤を添加する、請求項1〜5のいずれかに記載の純水製造方法。
  7. 純水製造システム内のろ過器の逆洗排水を処理する沈殿槽と、該沈殿槽による処理水を純水製造用の原水の供給系に戻すラインとを備えたことを特徴とする純水製造装置。
  8. 前記ろ過器が、砂ろ過器、膜式ろ過器およびイオン交換樹脂塔の少なくともいずれかからなる、請求項7に記載の純水製造装置。
  9. 前記沈殿槽の線速度が1.0〜5.0m/Hの範囲内に設定されている、請求項7または8に記載の純水製造装置。
  10. 前記沈殿槽の被処理水のSS濃度が10mg/L以上とされている、請求項7〜9のいずれかに記載の純水製造装置。
  11. 前記沈殿槽の被処理水の凝集剤濃度が50mg/L以上とされている、請求項7〜10のいずれかに記載の純水製造装置。
  12. 前記沈殿槽の被処理水に、凝集剤濃度が50mg/L以上になるように凝集剤を添加する手段を有する、請求項7〜11のいずれかに記載の純水製造装置。
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