以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態による遠心分離機について説明する。まず図1〜図12Bを参照しながら、本発明の第1の実施の形態による遠心分離機の構成及び動作を説明する。
図1は、第1の実施の形態による遠心分離機1の断面図である。図1に示すように、遠心分離機1は、モータ4の回転をベルト5等を介して回転軸3に伝達し、回転軸3に装着されたロータ2を回転させてロータ2内に保持された試料を遠心分離する装置である。回転軸3は、遠心分離機1に回転可能に支持されている。
遠心分離機1においては、筐体15内部に回転室13が設けられ、回転室13内に、試料を保持するロータ2、ロータ2が着脱可能に装着される回転軸3が配置されている。筐体15内の回転室13の外部にモータ4、ベルト5、制御装置7が配置されている。筐体15の上部に筐体15の蓋になるドア6、回転数表示、アラーム表示などを行う表示パネル12を備えている。
ロータ2は複数種類の中から選択したものを使用することができ、交換可能である。ロータ2の底部には、装着されたロータ2の種類を識別するための識別子2aが配置されている。本実施の形態では、磁石を識別子2aとして用いており、ロータ2の底面の同心円上に、ロータ2の種類毎に定められた所定の角度の組み合わせに従い2以上の識別子2aが配列されている。識別子2aの配置、数等の情報は、ロータ2固有の情報としてロータ2の種類と対応して予め制御装置7の記憶領域に記憶しておき、ロータ2の種類を特定する際に参照する。
ロータ2の下方には、ロータ回転信号11を発生するロータ回転信号発生器8が備えられている。ロータ回転信号発生器8はホール素子で構成され、識別子2aと対向可能な位置に配置されている。ロータ回転信号発生器8は識別子2aの位置、数等に応じたロータ回転信号11を発生し、制御装置7に送信する。
モータ4の上方には、モータ4の回転数を計測し、計測した回転数に比例したパルス周波数のモータ回転信号10を発生するモータ回転信号発生器4dを備えている。モータ回転信号発生器4dは、モータ回転信号10を制御装置7に送信する。モータ4の回転は、回転軸4a、プーリー4b、ベルト5、プーリー3bを介して回転軸3に伝導されてロータ2を回転させる。
図2は、制御装置7のブロック図である。制御装置7は、遠心分離機1における各データの授受や遠心処理動作を制御する。図2に示すように制御装置7は、中央演算処理装置としてCPU7aを有している。CPU7aは、遠心分離機1の遠心処理動作、ロータ2の識別処理動作、モータ4の回転制御動作等を制御する装置である。CPU7aは、メモリ(図示せず)を内蔵している。CPU7aには、カウンタ7b、7c、モータ制御回路7dが接続され、更にカウンタ7b、7cにクロック7eが接続されている。また、制御装置7には、モータ回転信号発生器4dからモータ回転信号10が、ロータ回転信号発生器8からロータ回転信号11が入力される。制御装置7は、モータ回転信号10、ロータ回転信号11から算出したモータ4、ロータ2の回転速度を参照し、使用者が設定した回転速度にて安定制御するように、モータ制御回路7dを介してモータ4を制御する。
カウンタ7bは、CPU7aにより制御されて、クロック7eから入力するクロックに応じてモータ回転信号10のパルス間の時間をカウントする。カウンタ7cは、CPU7aに制御されて、クロック7eから入力するクロックに応じてロータ回転信号11のパルス間の時間をカウントする。モータ制御回路7dは、CPU7aに制御されてモータ4の回転を制御する信号をモータ4に出力する。
図3は、モータ回転信号10、ロータ回転信号11、およびタイマ割り込み信号の一例を示すタイミングチャートである。図3に示すように、モータ回転信号10は、例えば、モータ1回転あたり6つのパルスを出力するパルス信号である。ロータ回転信号11は、例えば、ロータ1回転あたり2つのパルスを出力するパルス信号である。ロータ回転信号11のロータ1回転あたりのパルス数は、ロータ2の種類に応じて配置された識別子2aの数に等しい。CPU7aは、モータ回転信号10の立ち上がりエッジを検知した信号10aをトリガとして、モータ回転信号10の各パルス間のカウント値をカウンタ7bから読み込む割り込み処理aを行う。同様に、CPU7aは、ロータ回転信号11の立ち上がりエッジを検知した信号11aをトリガとして、ロータ回転信号11の各パルス間のカウント値をカウンタ7cから読み込む割り込み処理bを行う。
次に、図4から図12Bを参照しながら、第1の実施の形態による遠心分離機1におけるモータ回転制御方法について説明する。図4は、第1の実施の形態による遠心分離機1におけるモータ回転制御方法を説明するメインフローチャートである。
図4に示すように、まず、モータ回転信号周波数fmの算出処理を行う(ステップ31)。モータ回転信号周波数fmの算出処理を、図5〜図7を参照しながら説明する。図5は、モータ回転信号周波数fmの算出処理を説明するフローチャート、図6は、モータ回転信号10及びカウンタ7bのタイミングチャート、図7は、割り込み処理aを説明するフローチャートである。
図5に示すように、カウンタ7bで、モータ回転信号10のパルス間の時間をカウントする(ステップ101)。その間、割り込み処理aが適宜行われる。カウンタ7bは、図示はしないが既知の周波数fc、例えば20MHzで発振するクロック7eの信号の立ち上がりエッジによりカウントアップ動作する。一方、CPU7aは、図6に示すように、モータ回転信号10の立ち上がりエッジ、即ち時刻t11、t12、…を検知して、割り込み処理aにてカウンタ7bの値をメモリに読み込んだ後にカウンタ7bのカウント値をクリアするようにプログラムする。
即ち、図6に示すようにモータ回転信号10の時刻t11でカウンタ7bをクリアし、時刻t12までカウントアップする。時刻t12では、モータ回転信号10の立ち上がりが検知されるので、割り込み処理aが行われる。割り込み処理aでは図7に示すように、読み込みが1回目であるか否かを判定する(ステップ111)。1回目である場合には、カウンタ7bのカウント値X1をメモリTM1に保存する(ステップ112)。続いてカウンタ7bの読み込み回数の記憶値をプラス1して1とし(ステップ124)、カウンタ7bをクリアして(ステップ125)、ステップ101に戻る。
同様に、時刻t12から時刻t13まで、カウンタ7bはクロック7eの信号の立ち上がりエッジでカウントアップし、時刻t13になると割り込み処理aが行われ、図7のステップ113で読み込み2回目と判断されて、カウンタ7bのカウント値X2をメモリTM2に保存する(ステップ114)。更に、カウンタ7bをクリアして(ステップ125)、ステップ101に戻る。
以下順次同様にして割り込み処理aを行い、メモリTM3〜TM6に夫々カウント値X3〜X6を記憶する(ステップ115〜ステップ122)。6回目のカウント値の読み込み(ステップ122)の後は、カウンタ7bの読み込み回数に1を記憶して(ステップ123)、ステップ101に戻る。このとき、図6の区間Tm1〜Tm6の各区間のカウント値X1〜X6が保持される。
図5に戻って、メモリTM1から読み込んだカウント値X1を読み出す(ステップ102)。カウンタ7bの周波数をfcヘルツであるとすると、1カウントに対しての時間が1/fc秒となる。このとき、区間Tm1のカウンタ7bのカウント値がX1であるから、時刻t11からt12の時間は、X1/fc秒となり、モータ回転信号10のパルス周期はfc/X1ヘルツと得られるので、これをモータ回転信号周波数fmに保存する(ステップ103)。ここで、モータ回転信号10のパルス周期は、メモリTM1のカウント値X1のみでなく、適宜カウント値X2〜X6を用いて同様に計算するようにしてもよい。
なお、図3に示すように、モータ回転信号10が1回転当たり等間隔で6パルスである場合、図4には示していないが、区間Tm1〜Tm6のカウント値を合計し、同様の計算を行えばモータの回転周波数が得られる。よって、モータ周波数=fc/(X1+X2+X3+X4+X5+X6)(ヘルツ)となる。このモータ周波数は、モータ制御回路7dがモータ4の回転を制御する際に参照される。
図4に戻って、ロータ回転信号周波数frの算出処理を行う(ステップ32)。ロータ回転信号周波数frの算出処理を、図8〜図10を参照しながら説明する。図8は、ロータ回転信号周波数frの算出処理を説明するフローチャート、図9は、ロータ回転信号11及びカウンタ7cのタイミングチャート、図10は、割り込み処理bを説明するフローチャートである。
図8に示すように、カウンタ7cで、モータ回転信号11のパルス間の時間をカウントする(ステップ201)。その間、割り込み処理bが適宜行われる。カウンタ7cは、カウンタ7bと同様にクロック7eの信号の立ち上がりエッジによりカウントアップ動作する。一方CPU7aは、図9に示すように、ロータ回転信号11の立ち上がりエッジ、即ち時刻t21、t22、…を検知して、割り込み処理bにてカウンタ7cの値をメモリに読み込んだ後にカウンタ7cのカウント値をクリアするようにプログラムする。
即ち、図9に示すようにロータ回転信号11の時刻t21でカウンタ7cをクリアし、時刻t22までカウントアップする。時刻t22では、ロータ回転信号11の立ち上がりが検知されるので、割り込み処理bが行われる。割り込み処理bでは図10に示すように、読み込みが1回目であるか否かを判定する(ステップ211)。1回目である場合には、カウンタ7cのカウント値Y1をメモリTR1に保存する(ステップ212)。続いてカウンタ7cの読み込み回数の記憶値をプラス1して1とし(ステップ213)、カウンタ7cをクリアして(ステップ217)、ステップ201に戻る。
同様に、時刻t22から時刻t23まで、カウンタ7cはクロック7eの信号の立ち上がりエッジでカウントアップし、時刻t23になると割り込み処理bが行われ、図10のステップ214で読み込み2回目と判断されて、カウンタ7cのカウント値Y2をメモリTR2に保存する(ステップ215)。更に、読み込み回数に1を記憶して(ステップ216)カウンタ7cをクリアし(ステップ217)、ステップ201に戻る。これにより図9の区間Tr1、Tr2の各区間のカウント値Y1、Y2が保持される。
図8に戻って、メモリTR1から読み込んだカウント値Y1を読み出す(ステップ202)。また、メモリTR2から読み込んだカウント値Y2を読み出す(ステップ203)。
ここで、図3に示すようにロータ回転信号11は、ロータ1回転に対して等間隔でない2個のパルスが出力される。これは、上述したように、ロータ2の種類をロータ回転信号11のパルス間隔の違いによって判別するためである。従って、1区間、例えば図9の区間Tr1のみのカウント値Y1だけではパルス周期を測定できない。このため、まず上記したモータの回転周波数を求める手法と同様に区間Tr1、Tr2のカウント値を合計し、ロータの回転周波数をモータ回転信号周波数fmの算出と同様にして、ロータ周波数=fc/(Y1+Y2)(ヘルツ)を計算する。次にこの値を2倍(1回転当り2パルス)することで得られる値をロータ回転信号周波数frと定める。即ち、2パルスの平均周波数を求めることになり、fr=ロータ周波数×2=2fc/(Y1+Y2)である。この値を、ロータ回転信号周波数frとして保存する(ステップ204)。ここでもちろん、ロータ回転信号11のパルスが等間隔である場合には、パルス周波数がロータ回転信号周波数frと同一になる。
図4に戻って次に、モータ回転信号周波数fmとロータ回転信号周波数frとの周波数比A=fm/frを算出する(ステップ33)。遠心分離機1においては、図3に示すようにモータ回転信号発生器4dの1回転あたりの信号パルス数は6に対し、ロータ回転信号発生器8の信号は1回転当たり2個の信号がCPU7aに入力されるよう構成されている。一方、モータ回転軸4aに設けられたプーリー4bとロータ回転軸3に設けられたプーリー3aの変速比が2:1(モータ2回転あたりロータが1回転)とした場合、ベルト5にスリップが発生していなければ、ロータ1回転あたりの両者のパルス数の比、即ち、モータ回転信号周波数fmとロータ回転信号周波数frとの比は、モータ側は1回転あたり6パルスで2回転し、ロータ側は1回転あたり2パルスで1回転するから、(6パルス×2回転):(2パルス×1回転)=6:1(即ち、A=6)となる。しかし、実際はベルト5のスリップは僅かながら必ず発生するため、冗長性をもたせて、例えば第1の範囲内(5≦A≦7)であれば正常と判断し(ステップ34)、運転を継続する。
一方、ベルト5に摩耗が生じ始めたり、ベルト5の伸びが増えてテンションが下がり始めると、ロータ2の慣性モーメントが大きい場合や、風損による抵抗が大きい場合は顕著にスリップを生じ易くなるため、主に加減速中には上記第1の範囲から外れてしまう。この場合、第2の範囲、即ち4≦A≦8ならばベルト5のスリップの度合いが増したと判断し、使用者に報知するためのワーニングを表示する(ステップ36)。このように第1段階ではアラームを発生させずにワーニング表示のみとして、使用者にメンテナンスを促す。更に、保守者がベルトの交換またはテンション調整を行わなかった場合等の理由で周波数比Aが第2の範囲を超えた場合には、アラームを表示して(ステップ37)モータを停止する(ステップ38)。
ここで、図11A、図11B、図12A及び図12Bを参照して、ワーニング表示、アラーム表示について説明する。図11A、図11Bは、表示パネル12に液晶等の表示装置を使用している例を示している。図11A、図11Bに示すように、表示装置300は、遠心分離機1の駆動状態を表示する状態表示部302と、メッセージ表示部304を備えている。ワーニング表示は、図11Aのメッセージ表示部304に示したように「駆動装置をメインテナンスしてください」等と表示する。アラーム表示は、図11Bのメッセージ表示部304に示したように、「駆動装置に異常が発生しました。運転を停止します。」等と表示する。
図12A、図12Bは、表示パネル12に発光ダイオードを使用している場合の例である。図12Aに示すように、表示装置320は、速度表示部322と時間表示部324、警告表示用ランプ326、アラーム表示用ランプ328を備えている。このように予め警告表示用ランプ326、アラーム表示用ランプ328を備え、ワーニング表示は警告表示用ランプ326を点灯し、アラーム表示は、アラーム表示用ランプ328を点灯することで行う。
図12Bに示すように、表示装置330は、速度表示部332と、時間表示部334を備えている。この場合には、ワーニングまたはアラームに相当するエラー番号を予め定めておき、速度表示部332にアラーム表示、例えば駆動装置異常を示すエラー番号「E-19」等の表示を行う。
以上詳細に説明したように、第1の実施の形態による遠心分離機1において、モータ回転周波数に比例したパルス周波数のモータ回転信号10と、ロータ回転周波数に応じたロータ回転信号11とを発生させ、それらの信号からモータ回転信号周波数fmと、ロータ回転信号周波数frとを算出する。
モータ回転信号周波数fmおよびロータ回転信号周波数frを算出する際には、カウンタ7b、7cにより、モータ回転信号10及びロータ回転信号11における1回転分の各パルス間の時間を計測する。よって、短時間に各信号周波数を算出することが可能になると共に算出精度が向上する。
また、モータ回転信号周波数fmとロータ回転信号周波数frとの周波数比Aを算出することでベルト5等の動力伝達部材の消耗の危険性を認知することが可能になる。即ち、周波数比Aの値が、予め定めた第1の範囲を超えて第2の範囲内であればワーニング表示を行ってメインテナンスを促し、第2の範囲を超えるとアラーム表示を行ってモータ4の回転を停止する。よって、モータ4の回転をベルト5等の動力伝達部材を介して伝達する遠心分離機1において、動力伝達部材の消耗具合に合わせた駆動が可能になり、消耗を最小限に抑えることができる。
遠心分離機1では、動力伝達部材にスリップが生じ始めるとベルト等の摩耗が進行し易くなり、ロータ2の回転速度に対するモータ4の回転速度比、即ち、周波数比Aが大きくなるため、モータの負荷が増加する。しかしここで、第1の範囲は予め経験で求めた使用に耐えうる範囲で設定しておくことで、動力伝達部材の消耗度が進む前に使用者にメインテナンスを促す等の対策が可能になり、アラームに対して冗長性をもたせることができる。
更に、アラーム表示と共にモータを停止することにより、動力伝達部材のすべりが一定以上に達した場合のモータの過負荷による破損や、動力伝達部材の破損などを回避することができ、使用時の信頼性を確保できる。
次に第2の実施形態よる遠心分離機について説明する。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同様の構成、動作については同一符号を付し、説明を省略する。
図13は、第2の実施の形態による遠心分離機の動作を示すフローチャートである。図13に示すように、第1の実施の形態による遠心分離機と同様にモータ回転信号周波数fmの算出処理(ステップ51)、ロータ回転信号周波数frの算出処理(ステップ52)、周波数比Aの算出処理(ステップ53)を行う。
次に、周波数比Aが第1の範囲(5≦A≦7)であるか否かを判別する(ステップ54)。周波数比Aが第1の範囲である場合には正常と判断し、ステップ51に戻り、通常のトルクでモータ4を加減速制御する。
一方、ベルト5に摩耗が生じ始めたり、伸びの発生によってテンションが下がり始めると、ロータ2の慣性モーメントが大きい場合や、風損による抵抗が大きい場合は顕著にスリップを生じ易くなるため、主に加減速中には第1の範囲から外れてしまう。第1の範囲外である場合には、第1の実施の形態ではワーニング表示のみをしたが、第2の実施の形態ではモータ4のトルク制御を行って、動力伝達部材のすべりを防止する。この場合、ベルト5のスリップの度合いが増したと判断し、制御装置7内のモータ制御回路7dがモータ4のトルクをコントロールして周波数比Aが第1の範囲内となるように制御する。
周波数比Aが第1の範囲外であるということは、モータ4のトルクに対しロータ2の回転数変化が充分に追随していないということであるから、周波数比Aを第1の範囲に近づけるためにはトルクを下げることになる。まず、モータトルクは初期値に対し10%以上下げたか否かを判別する(ステップ55)。なお、モータトルクは、例えばモータ4の回転速度の変化を計測することにより算出される。また、モータトルクの制御は、使用するモータの種類により異なるため、詳細説明は省略するが、例えば制御装置7のCPU7aが、モータ制御回路7dからモータ4に流す電流を減少させるように制御する。このとき、PWMインバータの場合には、モータ4に電流を流すためのトランジスタやFET等のスイッチングパルス幅をCPU7aの制御により変化させてコントロールする。ただし、トルクの変動範囲にはリミッタを設けておくものとする。
10%以上下げていない場合には、モータトルクを1%下げ(ステップ56)、ワーニング表示し(ステップ57)、ステップ51に戻る。モータトルクを10%以上下げた場合、即ち、ステップ55の11回目の処理時にはアラームを表示して(ステップ58)、モータを停止する(ステップ59)。ワーニング表示、エラー表示は、第1の実施の形態と同様、メッセージの表示、ランプ、エラー番号表示等で行う。
上記のように、第2の実施の形態による遠心分離機においては、第1の実施の形態における動作に加え、使用者に報知するためのワーニングを表示すると同時に、モータトルクを10%下げていない第1段階ではアラームを発生させずにモータのトルクを下げる。これにより、加減速時間は遅くなり性能は落ちることになるが、使用者の設定した回転速度までは加速できるため、ベルト5の交換や、テンションの調整を行うまでの間、遠心分離機1を使用することができるようになる。また、トルクを抑えることでベルト5の摩耗の進行を遅らせることができるようになる。
上記実施の形態において、プーリー3a、4b、ベルト5は、本発明の動力伝達部材に相当し、特にプーリー4bは、第1のプーリーに、プーリー3aは、第2のプーリーに相当する。また、モータ回転信号発生器4dは、第1パルス発生手段に相当し、ロータ回転信号発生器8は、第2パルス発生手段に相当し、CPU7aは、周波数比算出手段、トルク制御手段に相当し、表示パネル12は警告手段に相当する。
尚、本発明による遠心分離機は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記第1及び第2の実施の形態による遠心分離機においては、モータ4からロータ2へ回転を伝達する動力伝達部材として、プーリー4b、ベルト5、プーリー3bを用いたが、他の動力伝達部材を用いてもよい。
図14Aは、遠心分離機に適用可能な別の動力伝達部材の例を示す正面図であり、図14Bは、同側面図である。図14に示すように、遠心分離機100は、試料を保持するロータ2、ロータ2を回転させるモータ4、モータ4の回転をロータ2に伝達するギアボックス70を備えている。モータ4は、モータ回転軸4aと共に回転し、カップリング71を介して回転軸72に回転を伝達する。回転軸72の回転は、ギアボックス内の歯車73を介してピニオン77に伝達される。更に、ピニオン77の回転は、歯車75を介してロータ回転軸79に伝達され、ロータ回転軸79に接続されたロータ2を回転させる。
以上のように構成された遠心分離機100においては、動力伝達部材としてギアボックス70を設け、歯車73、75、ピニオン77等によりモータ4の回転をロータ2に伝達することができる。
また、モータ回転信号周波数fmまたはロータ回転信号周波数frを得る手段として、単位時間あたりの夫々のパルス数をカウントする方法を用いてもよい。この場合には、例えば1秒間に入力された夫々のパルス数Pm、Prをカウンタでカウントし、fm=Pm(ヘルツ)または、fr=Pr(ヘルツ)を得る。この方法では、上記実施の形態において説明したパルス間の時間をカウントする方法のようにカウント値の計算は必要なく、単純な動作になるが、パルス数をカウントしている期間、例えば上記の例では1秒の間は周波数が計算できないため、特に高速回転において計算の遅れを生じることを考慮する必要がある。
モータ回転信号10、ロータ回転信号11におけるパルス、および、プーリー4bとプーリー3aの変速比などは上記に限定されない。また、それらが異なる値に設定される場合には周波数比Aの値も当然変動するので、第1及び第2の範囲も適宜変更される。
上記実施の形態においては、制御装置7のCPU7aにはカウンタ7b、7cが接続されていたが、これらのカウンタ7b、7cはCPU7aに内蔵されていてもよい。
第2の実施の形態において、トルクは1%づつ変化させるようにしたが、これには限定されず、異なる値でもよいし、ロータ2の種類によって変動幅を変えるようにしてもよい。
更に、動力伝達部材については、上記以外の構成を使用することもできる。
1:遠心分離器、2:ロータ、3:ロータ回転軸、4:モータ、5:ベルト、6:ドア、7:制御装置、8:ロータ回転信号発生器、10:モータ回転信号、11:ロータ回転信号