JP2007096959A - 原稿読取装置用表示装置、及び原稿読取装置、並びに複写機 - Google Patents

原稿読取装置用表示装置、及び原稿読取装置、並びに複写機 Download PDF

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Abstract

【課題】 読み取り作業に伴う様々な情報をプラテンガラス表面に明瞭にフルカラーで表示する。
【解決手段】 プラテンガラス2の原稿載置面に載置された原稿9を、プラテンガラス2の原稿載置面の反対面側に配置された光学キャリッジ6によって読み取る原稿読取装置に搭載される原稿読取装置用表示装置1であって、プラテンガラス2の原稿載置面側の面又は原稿載置面とは反対側の面に設けられ、垂直方向から入射する入射光を透過し、かつ特定の角度から入射する入射光に対しては可視光領域全体の波長にわたって光を散乱させる、表面が可視光の干渉を生じさせない光制御フィルム4と、光が散乱される照射角度から画像を光制御フィルム4に照射して、当該画像を光制御フィルム4の表面に結像させる光学的画像情報発生装置12とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複写機やスキャナなどに搭載され、原稿台ガラス上に画像を表示する原稿読取装置用表示装置、及びそれを備えた原稿読取装置並びに複写機に関するものである。
従来の複写機などにおいて、複写原稿を読み取る機能を有する画像読み取り装置へ単票の複写原稿をセットする場合には、複写原稿を載置する原稿台ガラス(以下プラテンガラスと表記)の一辺、又は直角に交わる二辺に沿って設置されたスケールに原稿を突き当てるのが一般的である。
しかしながら複写原稿用のスケールの目盛りは目に付きにくく、しかも複写原稿の突き当て位置が前述の複写原稿用のスケールに対してセンター基準となる中央合わせであったり、複写原稿奥基準となる端部合わせであったりと複写機の機種によって統一されておらず、原稿の置き位置を誤るケースが頻発していた。
また、単票の複写原稿を手差しの供給紙として複写処理する場合にも、両面印字原稿の設置方向が一般的に操作情報として提示されない、又は複写機の機種毎に原稿設置方向が異なることなどを原因として、複写処理を誤るケースも頻発していた。
そこで、上述の複写処理の誤りを抑えることを目的とした装置がこれまでいくつか考案されてきている。
まず、特許文献1には、光源からの照射光による複写原稿の投影像と予め定められた基準位置との比較によって、複写原稿位置の確認を行うことができる原稿位置決めシート付反射型原稿読取り装置が開示されている。
詳しく説明すると、複写される読み取り原稿を、最初に原稿位置決め用基準マークシートを備えた原稿位置決めシートとプラテンガラスとの間に挟み合わされる状態にして載置する。
そして、読み取り原稿が載置される側をプラテンガラスの表面とした場合のプラテンガラスの裏面に備えられた光源からの照射光によって原稿位置決め用基準マークシートへ上記原稿を投影する。
最後に、原稿位置決め用基準マークシートに投影された上記複写原稿の投影像と原稿位置決め用基準マークシートに記載された基準位置とを比較することによって原稿設置位置の良否を判断するという装置である。
また、特許文献2には、原稿設置位置を示すように整形された光制御フィルムに光を照射することによって光制御フィルム全体を明るく浮き上がらせ、プラテンガラス上に複写原稿の設置位置を表示する画像読み取り装置が開示されている。
詳しく説明すると、プラテンガラス表面、又は裏面に任意の形状に整形・貼り付けされた光制御フィルム、及びプラテンガラス表面に上記光制御フィルムを明るく浮き上がらせるための内蔵光源を画像読み取り装置内部に備えており、上記内蔵光源からの光によって原稿設置位置を示すように整形された光制御フィルムの形状をプラテンガラス上に明るく浮き上がらせ、プラテンガラス表面に視認性に優れた複写原稿の設置位置を表示するものである。
光制御フィルムとは、特定の入射角から照射された光のみを散乱させるフィルムであり、特許文献2に開示の画像読み取り装置における光制御フィルムにおいては複写原稿の設置位置を認知させる形状に整形されている。
さらに、特許文献3には、ホログラフィック素子を用いてプラテンガラス表面に単色の二次元の画像情報を表示可能にする画像読取装置が開示されている。
詳しく説明すると、ホログラフィック素子とプラテンガラスとを別途あるいは一体化させた画像投影板と、画像読取装置内部に設置された光学的な情報発生手段とを備えることによって、プラテンガラス表面に二次元の画像情報を表示可能にするものである。
上記ホログラフィック素子としては、半透鏡のように一定の比率で光線を透過および反射する機能が要求され、特に、ある狭帯域の波長を有する光線に対してのみ優れた回折効率を表す回折格子(透明な凹凸)が有用な素材となる。
このような画像投影板と狭帯域の波長を有する投影光源(単色光源)との併用により、単色の二次元画像をプラテンガラス表面に表示する。その結果、オペレータが認識できる。
画像投影板の表示素子として用いられる特許文献3に開示の画像読取装置における上記ホログラフィック素子は、情報発生手段の画像投影光を受光し、オペレータへ視認させる機能の他に、原稿の読み取り光を透過させる機能も有している。
特開平10−322524号公報(平成10年12月4日公開) 特開2003−29355号公報(平成15年1月29日公開) 特開平3−9383号公報(平成3年1月17日公開)
しかしながら、特許文献1に開示の上記従来の原稿位置決めシート付反射型原稿読取り装置では、複写する原稿を更新する度に改めて原稿位置決め用基準マークシートとプラテンガラスとの間に原稿を挟み込み、原稿の位置確認を行う必要がある。
上記位置確認は原稿の読み取りを行うオペレータにとって手間のかかる作業であり、煩わしさを感じさせることになる。
さらに、複数枚の原稿に対して上記位置確認をしながら上記原稿の読み取りを行う場合には、原稿の読み取り作業に非常に時間がかかる。従って、原稿の読み取り作業の大幅な効率低下を生じさせるという問題点を有している。
また、複写原稿の厚さにばらつきの生じるブックタイプの原稿に対しては、原稿位置決め用基準マークシートがブックタイプの原稿の厚さのばらつきによって歪むために原稿位置決め用基準マークシートを正しく配置できない。従って、複写原稿の位置確認作業が困難となる。
さらに、原稿位置決め用基準マークシートに描かれる複写原稿の定型サイズの輪郭は、複写原稿の読み取り情報に影響を与えない白色の色材によって構成される必要性があることから、上記輪郭は上記原稿読取り装置の操作者にとって非常に認識困難な表示色であるという問題点を有している。
また、特許文献2に開示の画像読み取り装置の光学系には光制御フィルムにビットマップ描画する機能がない(光を全面照射する能力しかない)ため、プラテンガラスの表面に表示すべき情報を光制御フィルムの形状によって表さなければならない。
つまり、上記構成では表示する情報を増やすたびにプラテンガラス上に上記光制御フィルムを貼り付ける面積を拡げていく必要があり、伝達すべき必要な情報量が多くなれば、上記情報の全てをプラテンガラス上に表示することは不可能である。
さらに、特許文献3に開示の画像読取装置では、投影光を結像させるホログラフィック素子がある狭帯域の周波数の光に対してのみ高い回折効率を表す(つまり結像する)素子であることから、いわゆる単波長の光のみでしか像を形成できない。
このため、プラテンガラス表面へ表示される画像は単色画像に限られてしまい、任意のカラー表示を行うことができない。
また、特許文献3に開示の画像読取装置の構成では、複写原稿の読み取り光がホログラフィック素子を常に透過することになる。
従って、フルカラーの複写原稿を読み取る場合には、複写原稿の読み取り光の一部は、ある狭帯域の周波数の光を回折するホログラフィック素子によって必然的に散乱され、受光部へ届かなくなる。この現象は、白黒画像の場合は問題とならないが、フルカラーの複写原稿を読み取る場合には、ホログラフィック素子に照射された光と波長の同じ色のカラー画像が、複写原稿から読み取られないという問題を生じる。
また、オペレータの作業性を鑑みるに、オペレータに画像読み取り装置から与えられる情報は、原稿の設置位置の他に、原稿の載置に誤りがあった場合の警告、原稿の正しい設置方法の表示、及び手差し複写時の原稿の上下方向の指示などの情報提示も望まれる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、様々な情報をプラテンガラス表面に明瞭にフルカラーで表示することが可能である原稿読取装置用表示装置及びそれを備えた原稿読取装置並びに複写機を提供することにある。
本発明に係る原稿読取装置用表示装置は、上記課題を解決するために、原稿台ガラスの原稿載置面に載置された原稿を、原稿台ガラスの原稿載置面の反対面側に配置された読取手段によって読み取る原稿読取装置に搭載される原稿読取装置用表示装置であって、上記原稿台ガラスの原稿載置面側の面又は原稿載置面とは反対側の面に設けられ、垂直方向から入射する入射光を透過し、かつ特定の角度から入射する入射光に対しては可視光領域全体の波長にわたって光を散乱させる、表面が可視光の干渉を生じさせない光制御素子と、光が散乱される照射角度から画像を上記光制御素子に照射して、当該画像を上記光制御素子の表面に結像させる画像情報発生手段とを備えることを特徴としている。
上記の構成によれば、特定の入射角度からの入射光は上記原稿台ガラス(プラテンガラス)に設けられた光制御素子によって散乱されることから光制御素子を透過せず、光制御素子の表面に像を形成する。
また、上記光制御素子は上記原稿台ガラス表面又は裏面に備えられており、上記原稿台ガラスは原稿を載置するための透明なものであることから、上記光制御素子の表面に上記入射光によって形成される画像は、上記原稿台ガラスを透過して上記原稿台ガラスの表面にも結像されているように視認される。
上記原稿台ガラスの表面に結像されるよう視認される画像は、照射された光であることから、上記原稿台ガラスの表面に明るく浮き上がるように視認される。
よって、明るく浮き上がる画像は視認しやすく、浮き上がった画像に合わせるだけで原稿の位置確認作業を容易に行うことが可能になる。
また、上記反対面側に設置される画像情報発生手段によって、入射光が散乱される照射角度から画像を上記光制御素子に照射し、上記光制御素子の表面に上記画像を直接結像させる。
よって、照射する上記画像自体の大きさ、又は上記画像情報の内容自体を切り替えるなどをしさえすれば、限られた範囲内でも自由に原稿台ガラスの表面に表示する情報量を増やすことが可能である。
つまり、原稿の載置時の位置決めを手助けするための原稿の位置決め用基準マークをはじめ、読み取り作業に伴う様々な画像を光制御素子に結像し、原稿台ガラスの表面に表示することも可能となる。
また、光制御素子は、特定の角度から入射する入射光に対しては可視光領域全体の波長にわたって光の波長を散乱させるものである。
よって、垂直方向から入射する入射光は透過し、特定の角度から入射する入射光に対しては散乱させる上記光制御素子の機能は、可視光領域全体の波長にわたって等しく作用することが可能である。
従って、上記特定の角度から画像情報発生手段によって照射する画像をフルカラーにした場合、光制御素子によって可視光領域全体の波長の光が散乱されるので、光制御素子に可視光領域のすべての波長の光が結像される。
つまり、フルカラーの画像が光制御素子に結像されることになる。よって、フルカラーの画像を原稿台ガラスの表面に表示することも可能になる。
また、光制御素子の表面が可視光の干渉を生じないことから、原稿に対して垂直な方向から原稿の読み取り光によって原稿の読み取りを行う場合に、読み取り光に可視光を用いても光制御素子によって可視光の干渉が生じない。
可視光の干渉が生じないということはフルカラーの原稿を正確に読み取ることができることを意味する。
つまり、本発明の原稿読取装置用表示装置はフルカラーの原稿の読み取りに支障をきたさない。
その結果、様々な情報を原稿台ガラス表面に明瞭にフルカラーで表示することが可能である原稿読取装置用表示装置及びそれを備えた原稿読取装置並びに複写機を提供することができる。
また、本発明の原稿読取装置用表示装置では、原稿を読み取る処理の設定、又は原稿の前記原稿台ガラス上への載置状態を検出する検出手段と、上記検出手段によって検出された結果に応じた画像をデータ格納手段から読み出して、当該画像を上記画像情報発生手段に照射させる画像選択手段とを備えることが好ましい。
これにより、検出手段によって検出される少なくとも原稿を読み取る処理の設定、又は原稿の原稿台ガラス上への載置状態に応じた画像が、上記画像選択手段によって上記データ格納手段に収納されている画像の中から選択され、上記画像情報発生手段によって照射される。
よって、少なくとも原稿を読み取る処理の設定、又は原稿の原稿台ガラス上への載置状態に応じた画像を光制御素子に結像し、原稿台ガラス表面に表示できる。
従って、原稿台ガラスを目の前にして読み取り作業を行うオペレータは、原稿台ガラスの表面に載置した原稿に重ねて、原稿を読み取る処理の設定、又は原稿の上記原稿台ガラス上への載置状態に応じた画像を認識することが可能となる。
その結果、原稿読取装置の操作と実際の原稿の読み取り処理との対応付けが明確となるだけではなく、原稿そのものと相対した読み取りに関する作業情報が得られるため、読み取り時の誤操作を極力防ぐことが可能となる。
また、本発明の原稿読取装置用表示装置では、前記データ格納手段は、原稿を載置すべき位置、原稿の載置に誤りがあった場合の警告、原稿の正しい載置方法の説明、又は連続画像読み取り時の原稿の読み取り枚数を少なくとも含む情報を表示するための画像を保持していることが好ましい。
これにより、少なくとも原稿を載置すべき位置、原稿の載置に誤りがあった場合の警告、原稿の正しい載置方法の表示、手差し複写時の原稿の上下方向、又は連続画像読み取り時の原稿の読み取り枚数の情報を含む画像を原稿台ガラス表面に表示できる。
よって、原稿台ガラスを目の前にして読み取り作業を行うオペレータは、原稿台ガラスの表面に載置した原稿に重ねて、少なくとも原稿を載置すべき位置、原稿の載置に誤りがあった場合の警告、原稿の正しい載置方法の表示、又は連続画像読み取り時の原稿の読み取り枚数の情報を認識することが可能となる。
その結果、原稿読取装置の操作と実際の原稿の読み取り処理との対応付けが明確となるだけではなく、原稿そのものと相対した読み取りに関する作業情報が得られるため、読み取り時の誤操作を極力防ぐことが可能となる。
また、本発明の原稿読取装置用表示装置では、前記光制御素子にフルカラーの画像を結像させることが好ましい。
これにより、可視光領域全体の波長にわたって垂直方向から入射する入射光は透過され、特定の角度から入射する入射光は散乱される。
従って、上記特定の角度から上記画像情報発生手段によってフルカラーの画像を光制御素子に照射すれば、光制御素子によって可視光領域全体の波長の光が散乱されるので、光制御素子に可視光領域のすべての波長の光が結像される。
つまり、フルカラーの画像が光制御素子に結像される。
光制御素子に結像されるフルカラーの画像は原稿台ガラスの表面に結像しているように視認されるため、フルカラーの画像が原稿台ガラスの表面に表示される。
一般的に単色の画像よりもフルカラーの画像の方が明瞭に視認されやすいため、明瞭かつ認識されやすい形で画像を提示することが可能になる。
また、本発明の原稿読取装置用表示装置では、前記画像情報発生手段は、レーザー光源であることが好ましい。
これにより、レーザー光源は光照射に伴う発熱が小さいため、上記画像情報発生手段に対する排熱処理に要する部材の設置が不要になる。従って、周辺機構を含めた画像情報発生手段を小型に構成できる。
また、本発明の原稿読取装置では、前記の原稿読取装置用表示装置と、上記原稿台ガラスと、上記読取手段とを備えていることが好ましい。
これにより、様々な情報を原稿台ガラス表面に明瞭にフルカラーで表示することが可能である原稿読取装置及び複写機が実現できる。
また、本発明の複写機では、前記原稿読取装置と、読み取った原稿を印刷する印刷手段とを備えていることが好ましい。
これにより、様々な情報を原稿台ガラス表面に明瞭にフルカラーで表示することが可能である複写機が実現できる。
また、本発明の複写機では、さらに、上記検出手段が、原稿を複写する処理の設定を検出するものであり、上記画像選択手段が、上記検出手段によって検出された原稿を複写する処理の設定に応じた上記画像を上記データ格納手段から読み出して選択し、当該選択した上記画像を上記画像情報発生手段にから照射させるものであることが好ましい。
これにより、上記検出手段によって検出される原稿を複写する処理の設定に応じた画像が、上記画像選択手段によって上記データ格納手段に収納されている画像の中から選択され、上記画像情報発生手段によって照射される。
よって、原稿を複写する処理の設定に応じた画像を光制御素子に結像し、原稿台ガラス表面に表示できる。
従って、上記原稿台ガラスを目の前にして複写作業を行うオペレータは、上記原稿台ガラスの表面に載置した原稿に重ねて、原稿を読み取る処理の設定に応じた画像をさらに認識することが可能となる。
その結果、複写機の操作と実際の原稿の複写処理との対応付けが明確となるだけではなく、原稿そのものと相対した複写に関する作業情報が得られるため、複写時の誤操作を極力防ぐことが可能となる。
本発明の原稿読取装置用表示装置は、以上のように、原稿台ガラスの原稿載置面に載置された原稿を、原稿台ガラスの原稿載置面の反対面側に配置された読取手段によって読み取る原稿読取装置に搭載される原稿読取装置用表示装置であって、上記原稿台ガラスの原稿載置面側の面又は原稿載置面とは反対側の面に設けられ、垂直方向から入射する入射光を透過し、かつ特定の角度から入射する入射光に対しては可視光領域全体の波長にわたって光を散乱させる、表面が可視光の干渉を生じさせない光制御素子と、光が散乱される照射角度から画像を上記光制御素子に照射して、当該画像を上記光制御素子の表面に結像させる画像情報発生手段とを備えることを特徴とするものである。
それゆえ、特定の入射角度からの入射光は光制御素子によって散乱されることから光制御素子を透過せず、光制御素子の表面に画像を形成可能となり、光制御素子の表面に入射光によって形成される画像は、原稿台ガラスの表面にも結像されているように視認される。
上記画像は、照射された光であることから、原稿台ガラスの表面に明るく浮き上がるように視認される。
また、浮き上がった画像に合わせるだけで原稿の位置合わせを行うことが可能であることから原稿の位置確認作業を容易に行うことが可能になる。
また、本発明の原稿読取装置用表示装置では光制御素子に画像を結像させることから、照射する画像自体の大きさ、又は画像の内容自体を切り替えるなどしさえすれば、限られた範囲内でも自由に原稿台ガラス上に表示する情報量を増やすことが可能である。
つまり、原稿の載置時の位置決めを手助けするための原稿の位置決め用基準マークをはじめ、読み取り作業に伴う様々な画像を光制御素子に結像し、原稿台ガラスの表面に表示することも可能となる。
また、垂直方向から入射する入射光は透過し、特定の角度から入射する入射光に対しては散乱させる光制御素子の機能は、可視光領域全体の波長にわたって等しく作用することが可能であることから、フルカラーの画像を原稿台ガラスの表面に表示することも可能になる。
また、光制御素子の表面が可視光の干渉を生じないことから、原稿に対して垂直な方向から原稿の読み取り光によって原稿の読み取りを行う場合に、読み取り光に可視光を用いても光制御素子によって可視光の干渉が生じず、フルカラーの原稿を正確に読み取ることができる。
つまり、本発明の原稿読取装置用表示装置はフルカラー原稿の読み取りに支障をきたさない。
したがって、様々な情報を原稿台ガラス表面に明瞭にフルカラーで表示することが可能である原稿読取装置用表示装置及びそれを備えた原稿読取装置並びに複写機を提供するという効果を奏する。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1ないし図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。
図1ないし図4を用いて本実施の形態における原稿読取装置用表示装置1の概要を説明する。
図1は、原稿読取装置用表示装置1の実施の一形態の概要を示す断面図であり、図2は表示制御部5の構成を示す図であり、図3は本実施の形態における原稿読取装置用表示装置1の要部斜視図であり、図4は光制御フィルム(光制御素子)4の機能を説明する図である。
本実施の形態における原稿読取装置用表示装置1では、図3に示すように、原稿読取装置用表示装置1の箱型ケーシング8の上面に長方形輪郭のガラス板からなるプラテンガラス(原稿台ガラス)2が取り付けられており、このプラテンガラス2上に画像を下向きにして載置された原稿9が、箱型ケーシング8内を往復運動するよう設置された原稿9の読み取り部材である光学キャリッジ(読取手段)6によって読み取られる。
原稿9の読み取り部である光学キャリッジ6は図3には図示されていないが、プラテンガラス2の一辺に沿って配置された原稿スケール3aのY方向に沿って延在する発光素子、レンズ等からなる光照射素子と、同じくY方向に配列されたCCD(Charge Coupled Devices)に代表される受光素子等より成るスキャナに使用されるセンサーであるラインイメージセンサから成り、このY方向に沿って延在するセンサー全体はX方向へ移動可能な構造となっている。なお、光学キャリッジ6は周知のものが利用できる。
また、光学キャリッジ6は、プラテンガラス2上に置かれた原稿9を原稿スケール3b方向に沿って連続的にデジタルデータとして読み取るものである。
プラテンガラス2の直交する二辺に設置された原稿スケール3a・3bは、原稿9の載置位置の基準を表す部材であって、従来より公知の構成をなすものである。
そして、原稿スケール3a・3bには図中の下向きの中抜き三角(▽)、及び右向きの中抜き三角によって示されているように、原稿9の載置位置の左右方向、及び上下方向の基準を示すマーカーとB4、B5、A3、A4等の原稿サイズに応じたマーカーとが設けられている。
上述の構成に追加して、原稿9の設置位置の表示、原稿9の連続画像読み取り時の読み取り枚数などの読み取り、又は複写作業に係わる情報をプラテンガラス2表面に表示できるようにプラテンガラス2裏面に光制御フィルム4が貼り付けられている。
光制御フィルム4は特殊な光学機能を持つ高分子フィルムで、入射する光の角度により透過光を直進から散乱へと、偏光させる機能を持つ。
また、可視光領域全体の波長にわたって上記の偏光を行う特性を有している。
上述の機能を有する代表的な高分子フィルムとして、住友化学(SUMIPEX)社が製造・販売している視界制御フィルム「ルミスティ(商品名)」、DENSO社が販売している「グラスビジョン(商品名)」などがある。
光制御フィルム4の特殊な光学機能によって、例えば、原稿9の設置位置の表示、原稿9の連続画像読み取り時の読み取り枚数などの読み取り、又は複写作業に係わる情報といった表示情報10が、図3に示すようにプラテンガラス2上に表示される。
さらに、光制御フィルム4をプラテンガラス2の裏面に備えているが、必ずしもこれに限定されず、例えば、光制御フィルム4をプラテンガラス2の表面又は、両面に備えることも可能である。
また、光制御フィルム4がプラテンガラス2に貼り付けられる範囲は原稿9の載置位置を含むプラテンガラス2全面、あるいはプラテンガラス2の一部としても構わない。
光制御フィルム4の貼り付けられる範囲が広くなるほど画像を結像できる範囲が広くなる。そして、上記画像を結像できる光制御フィルム4の範囲が広くなるほど、表示する画像内容を増やすことが可能となる。
図4を用いて光制御フィルム4の機能について詳しい説明を行う。
まず、オペレータPは後述の光学的画像情報発生装置(画像情報発生手段)12から照射される光によって光制御フィルム4に結像される画像、つまりプラテンガラス2の表面に表示される画像を視認して原稿9の複写の処理を行う人物である。
続いて、図4中に示されている部材の説明を行う。
発光素子17は可視光R(赤)G(緑)B(青)の発光をする素子である。発行素子17は光制御フィルム4の機能を説明するために例示したものであって、具体的に光学的画像情報発生装置12を指すものではない。
発光素子17から照射角度18と照射角度19との二方向に光が照射された時の光制御フィルム4表面での光の見え方を図4では示している。
照射角度18は光制御フィルム4に対して垂直に照射される光路であり、照射角度19は光制御フィルム対して35度の角度で照射される光路である。オペレータPは光制御フィルム4に対して45度の角度から視認することとする。
照射角度18では、光は光制御フィルム4を透過するため、まったく認識されない。
一方、照射角度19では、光は光制御フィルム4によって散乱され、光制御フィルム4表面に照射光が結像される。そして、オペレータPに光の存在が視認される。
この様に、特定の入射角から投射される光だけが、光制御フィルム4表面に像を形成することが可能となる。
また、このような機能は可視光領域全体の波長に渡って等しく作用することが可能であるため、フルカラー画像を光制御フィルム4に結像可能となる。
従って、フルカラー画像を光制御フィルム4と接したプラテンガラス2上に表示可能となる。
なお、光制御フィルム4は、垂直方向から入射する入射光の90%以上を透過し、かつ、図1に表される角度で∠a=25度から∠b=55度の間の角度(特定の角度)からの入射光に対しては80%以上を散乱するものであるが、必ずしもこれに限定されない。
また、オペレータPの鉛直方向への視線と光制御フィルム4の手前側の端への視線との間の角度が∠aであって、オペレータPの鉛直方向への視線と光制御フィルム4の奥側の端への視線との間の角度が∠bである。
例えば、入射光を散乱する角度、つまりプラテンガラス表面に表示された情報を視認可能な角度は、オペレータPの目線高さ及び立ち位置、プラテンガラス2の設置高さなどによって決定される。
プラテンガラス表面に表示された情報を視認可能な角度の最適値はオペレータPの目線高さ及び立ち位置によって異なるが、図1に表される角度で∠a=15度から∠b=60度の範囲に収まる。
従って、オペレータPの目線高さ及び立ち位置に関係なくプラテンガラス表面に表示された情報を視認できる最も好ましい角度は∠a=15度以上かつ∠b=60度以下の範囲内となる。
次に、図1を用いて上記プラテンガラス2の下方に設置された光学キャリッジ6と光学的画像情報発生装置(画像情報発生手段)12、投影画像反射鏡13、及び原稿読取装置用表示装置1のオペレータPの視点11との関係を説明する。
原稿9を読み取るために設置された光学キャリッジ6から照射、及び原稿9に反射されて光学キャリッジ6に受光される光、つまり光制御フィルム4に対して垂直方向に出入りする光は、光制御フィルムで散乱されることなくプラテンガラス2をほぼ全て透過する。
よって、フルカラーの原稿9の場合を含め、原稿9の読み取り動作にはなんの支障も与えない。
また、光制御フィルム4そのものの表面形状は可視光の干渉を生じないレベルで幾何学的にフラットであるため、光制御フィルム4に対して垂直方向に光が出入りする場合には光の干渉は生じない。
従って、原稿9の読み取り光が干渉されることがないため原稿9の読み取り動作には支障がない。
一方、オペレータPの視点11の位置に入射する光は、プラテンガラス2と接して一体と成った光制御フィルム4で散乱される。
光制御フィルム4に結像可能な有効画角は、図1に示されている視野角度7であり、∠a=25度から∠b=55度の範囲内に位置する目線の角度である。
上記有効画角の範囲内の視野角度7であれば、オペレータPはプラテンガラス2上に画像を視認することができる。
2次元の光学的画像情報を投射する光学的画像情報発生装置12から照射される光は、図1中に示すように、その後段に備えられた投影画像反射鏡13に反射して、プラテンガラス2に貼り付けられた光制御フィルム4に結像する。
結像した光はオペレータPの視線の範囲内で拡散するため、オペレータPはプラテンガラス2の表面に光学的画像情報発生装置12から照射された光による画像を認識することが可能となる。
また、プラテンガラス2の下方に設置された光学的画像情報発生装置12は、いわゆるビデオプロジェクターと呼ばれる周知の光学画像投影装置である。
一般的には上記光学的画像情報発生装置12は、照射光の光変調方式によって、液晶を用いた「透過型」のもの、又はマイクロミラーデバイスを用いた「反射型」のものなどから構成されるが、本発明の適用範囲はこのような光変調装置を用いたプロジェクターに限定されるものではない。
なお、光学的画像情報発生装置12はフルカラーの画像を照射しても良い。
上記の構成を本発明の原稿読取装置用表示装置1に用いた場合、光制御フィルム4の光散乱は可視光領域全体の波長にわたって等しく作用することが可能であるため、フルカラー画像がプラテンガラス2の表面に結像・表示される。
次に、図2及び図5用いて原稿読取装置用表示装置1において、光学的画像情報発生装置12によって光制御フィルム4に結像される画像を切り替える場合の説明を行う。
上記切り替えは図1に示した表示制御部(表示制御手段)5によって行われる。最初に、表示制御部5の詳しい構成を図2を用いて説明する。
表示制御部5には検出部(検出手段)14、データ格納部(データ格納手段)、及び画像選択部(画像選択手段)16が備えられている。
検出部14は、オペレータPによって行われる原稿9を読み取る処理の設定、又は原稿9のプラテンガラス2上への載置状態(位置、大きさなど)を検出するものである。
また、データ格納部15は、原稿9を読み取る処理の設定、又は原稿9のプラテンガラス2上への載置状態に関連付けられたデータが格納されているものである。
そして、画像選択部16は、検出部14での検出結果に応じた画像をデータ格納部15から選択し、選択した画像を光学的画像情報発生装置12から照射させるものである。
なお、表示制御部5を備えているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、表示制御部5を備えず、予め固定された画像を光学的画像情報発生装置12によって光制御フィルム4に結像することも可能である。この場合固定された画像として、A4、A3そしてB5、B4などの原稿9の大きさ枠を表す、ライン状の表示が有効であろう。
次に、図5を用いて光制御フィルム4に画像を結像する場合の実行フローについて説明する。
図5は本実施の形態におけるプラテンガラス2上に画像を照射する場合の実行フローを示したフローチャート図である。
上記フローチャートの各ステップは、原稿読取装置用表示装置1内に組み込まれた図1、及び図2に示す表示制御部5において、原稿読取装置用表示装置1の電源が入っている限り繰り返して実行されるものである。
プラテンガラスカバー20の開閉と原稿9のプラテンガラス2上への載置の有無の状態を表すステータスは2ビットの信号を用いて表現され、下位ビットはプラテンガラスカバー20の開閉状態、上位ビットは原稿9の有無を意味する。つまり、プラテンガラスカバー20が閉じている状態では“0”、そして開いている状態では“1”と表現される。
また、プラテンガラス2上に原稿9が載置された状態では“1”、原稿9が載置されていない状態では“0”となる。上位ビット及び下位ビットが“10”と表現された状態は、プラテンガラス2上に原稿9があり、プラテンガラスカバー20が閉じていることを意味する。以降このステータスの表現を“制御ビット”と記す。
最初に、上記フローチャートの制御が開始(A)されると、原稿読取装置用表示装置1は内部に設置された公知の光学センサーから成る検出部14によって、プラテンガラスカバー20の開閉状態をチェックし、ステップS1(S1)の分岐を判断する。
ステップS1の検出結果において制御ビットが“00”又は“10”である場合(ステップS1で00、又は10)、つまり原稿9の有無に関係なく、検出部14が、プラテンガラスカバー20が閉じていると判断した場合は、プラテンガラス2表面への画像情報の表示が消灯され、ステップS1のステップを繰り返す事となる。
ステップS1の検出結果において制御ビットが“01”である場合、つまり原稿9が無く、プラテンガラスカバー20が開いていると検出部14が判断した場合は(ステップS1で01)、ステップS1の分岐を抜けてステップS2(S2)に移る。
ステップS2では、データ格納部15に納められている固定された画像情報を画像選択部16が読み取り、光学的画像情報発生装置12を介してプラテンガラス2の表面に画像情報が表示される。
続いてステップS3(S3)では、検出部14がプラテンガラス2上の原稿9に関するチェックを行う。
検出部14は原稿9の有無のみを検出し、原稿9が存在した場合の制御ビットは“11”に、原稿が存在しない場合の制御ビットは“01”とする。制御フローはステップS3でのチェックの実行後にステップS1に戻され、再びステップS1で検出部14がステータスをチェックする。
ステップS1での検出結果において制御ビットが“11”である場合、つまり原稿9があり、プラテンガラスカバー20が開いていると検出部14が判断した場合は(ステップS1で11)、ステップS4(S4)に移る。
ステップS4では、オペレータPの命令状態が参照され、その命令に応じて有効と判断される情報がプラテンガラス2に表示される。
複写機を操作する際のオペレータPの命令を具体的に示すと、原稿の拡大・縮小命令、多部数の複写、紙供給口の指定などである。
例えば、A4用紙の原稿をA3用紙に拡大複写する場合、ステップS4では画像選択部16が複写に関する命令を参照し、拡大複写命令αを受け取る。同時に、検出部14から原稿の置き方に関する情報βを受け取る。そこで拡大複写命令αの時の原稿設置条件γをデータ格納部15から引き出し(上書き)、γとβとを比較する。
γとβとの間に相違があれば、ステップS5(S5)へ移り、画像選択部16がデータ格納部15から適切な表示データ(例えば、正しい原稿設置位置の表示又は原稿載置の修正を促すメッセージ)を読み取り、プラテンガラス2に上記表示データを表示させる。
また、画像選択部16は、γとβとの間に相違がなければ、複写開始を促すメッセージを同様な判断経路を辿って表示させる。
ステップS1からS5を回るルーチンは、原稿読取装置用表示装置1の電源が入っている限り繰り返して実行されるものである。
この結果、プラテンガラスカバー20、原稿9の設置状態、オペレータPからの複写命令などを検出部14が判断し、表示制御部5に内在されるデータ格納部15から適切な画像情報を画像選択部16が読み取り、光学的画像情報発生装置12を使用してプラテンガラス2の表面に、オペレータPの作業をアシストする情報が表示される。
なお、上記画像としての表示情報とは、画像データとしてデータ格納部15に格納され画像として照射されるものであっても、文字データとしてデータ格納部15に格納され画像として照射されるものであってもよい。
また、表示される画像には、より具体的に原稿9を載置すべき位置、原稿9の載置に誤りがあった場合の警告、原稿9の正しい載置方法の表示、又は連続画像読み取り時の原稿9の読み取り枚数、手動で両面印刷をする時の原稿設置方向の情報等がある。
以上の構成によれば、プラテンガラス2に貼り付けられた光制御フィルム4は、垂直方向から入射する入射光を透過することから、垂直方向からの入射光に対しては透明な光制御フィルム4として作用する。
一方、光制御フィルム4は特定の角度から入射する入射光に対しては散乱させることから、特定の入射角度からの入射光に対しては不透明な光制御フィルム4として作用する。
つまり、特定の入射角度からの入射光は光制御フィルム4によって散乱されることから光制御フィルム4を透過せず、不透明な光制御フィルム4の表面に像を形成可能となる。
また、光制御フィルム4はプラテンガラス2の表面又は裏面に備えられており、プラテンガラス2は原稿9を読み取るための透明なガラス板であることから、光制御フィルム4の表面に上記入射光によって形成される像は、プラテンガラス2を透過してプラテンガラス2の表面にも結像されているように視認される。
プラテンガラス2の表面に結像されるよう視認される画像は、照射された光であることから、プラテンガラス2の表面に明るく浮き上がるように視認される。
よって、明るく浮き上がる画像は視認しやすく、浮き上がった画像に合わせるだけで原稿9の位置合わせを行うことが可能なことから、原稿9の位置確認作業を容易に行うことが可能になる。
また、上記反対面側に設置される光学的画像情報発生装置12によって、光制御フィルム4の光散乱機能を発現しうる上記特定の照射角度から画像を光制御フィルム4に照射し、光制御フィルム4の表面に画像を直接結像させることから、光制御フィルム4の形状によってプラテンガラス2の表面に情報を表す必要がない。
光制御フィルム4の形状によって情報を表す場合には、表示できる情報は光制御フィルム4の形状に限定されるため、情報量を増やす場合にはプラテンガラス2中の光制御フィルム4を備える範囲を増やさなければならない。
しかし、原稿読取装置用表示装置1では光制御フィルムに画像を結像させることから、照射する画像自体の大きさ、又は画像の内容自体を切り替えるなどしさえすれば、限られた範囲内でも自由にプラテンガラス2の表面に表示する情報量を増やすことが可能である。
つまり、原稿9の載置時の位置決めを手助けするための原稿9の位置決め用基準マークをはじめ、読み取り作業に伴う様々な画像を光制御フィルム4に結像し、プラテンガラス2の表面に表示することも可能となる。
また、光制御フィルム4は、特定の角度から入射する入射光に対しては可視光領域全体の波長にわたって光の波長を散乱させるものである。
よって、垂直方向から入射する入射光は透過し、特定の角度から入射する入射光に対しては散乱させる光制御フィルム4の機能は、可視光領域全体の波長にわたって等しく作用することが可能である。
従って、光学的画像情報発生装置12から照射する画像をフルカラーにした場合、光制御フィルム4によって可視光領域全体の波長の光が散乱されるので、光制御フィルム4に可視光領域のすべての波長の光が結像される。
つまり、フルカラーの画像が光制御フィルム4に結像されることになる。よって、フルカラーの画像をプラテンガラス2の表面に表示することも可能になる。
また、光制御フィルム4の表面が可視光の干渉を生じないことから、原稿9に対して垂直な方向から原稿9の読み取り光によって原稿9の読み取りを行う場合に、読み取り光に可視光を用いても光制御フィルム4によって可視光の干渉が生じない。
上述の特許文献3の課題についての記載中で示した通り、可視光の干渉が生じる場合には、干渉された波長の光に該当する色を原稿9から読み取ることができないことから、可視光の干渉が生じないということはフルカラーの原稿9を正確に読み取ることができることを意味する。
つまり、原稿読取装置用表示装置1はフルカラーの原稿9の読み取りに支障をきたさない。
その結果、原稿9の載置時の位置決めを手助けするための原稿9の位置決め用基準マークをはじめ、読み取り作業に伴う様々な情報をプラテンガラス2表面に明瞭にフルカラーで表示することが可能であると共に、原稿9の位置確認作業を容易に行うことが可能なフルカラーの原稿9の読み取りに支障をきたさない原稿読取装置用表示装置1を提供することができる。
さらに付加機能として、原稿9読み取り時の光学キャリッジ6の原稿走査光のうち、オペレータPの視点方向の光のみがプラテンガラス2に貼り付けられた光制御フィルム4によって拡散されることから、オペレータPは原稿9の読み取り光を直接目にすることがない。よって、オペレータPの目が原稿9の読み取り光によって痛められることがない。
また、少なくとも原稿9を複写する処理の設定、又は原稿9のプラテンガラス2上への載置状態を検出する検出部14と、少なくとも原稿を複写する処理、又は原稿のプラテンガラス2上への載置に関連した画像のデータを保持するデータ格納部15と、検出部14によって検出された結果に応じた上記画像情報を上記データ格納部15から選択し、選択した上記画像を光学的画像情報発生装置12から照射させる画像選択部16とを含む表示制御部5を備えている。
これにより、検出部14によって検出される少なくとも原稿9を複写する処理の設定、又は原稿9のプラテンガラス2上への載置状態に応じた画像が、画像選択部16によってデータ格納部15に保持されている画像の中から選択され、光学的画像情報発生装置12によって照射される。
よって、少なくとも原稿9を読み取る処理の設定、又は原稿9のプラテンガラス2上への載置状態に応じた画像を光制御フィルム4に結像し、プラテンガラス2表面に表示できる。
従って、プラテンガラス2を目の前にして読み取り作業を行うオペレータPは、プラテンガラス2の表面に載置した原稿9に重ねて、少なくとも原稿を読み取る処理の設定、又は原稿9のプラテンガラス2上への載置状態に応じた画像を認識することが可能となる。
その結果、原稿読取装置の操作と実際の原稿9の読み取り処理との対応付けが明確となるだけではなく、原稿9そのものと相対した読み取りに関する作業情報が得られるため、読み取り時の誤操作を極力防ぐことが可能となる。
また、データ格納部15は、少なくとも原稿9を載置すべき位置、原稿9の載置に誤りがあった場合の警告、原稿9の正しい載置方法の表示、又は連続画像読み取り時の原稿9の読み取り枚数の情報を含むデータを有している。
これにより、少なくとも原稿9を載置すべき位置、原稿9の載置に誤りがあった場合の警告、原稿9の正しい載置方法の表示、又は連続画像読み取り時の原稿9の読み取り枚数の情報を含む画像をプラテンガラス2表面に表示できる。
よって、プラテンガラス2を目の前にして複写作業を行うオペレータPは、プラテンガラス2の表面に載置した原稿9に重ねて、少なくとも原稿9を載置すべき位置、原稿9の載置に誤りがあった場合の警告、原稿9の正しい載置方法の表示、又は連続画像読み取り時の原稿9の読み取り枚数の情報を認識することが可能となる。
その結果、原稿読取装置の操作と実際の原稿9の読み取り処理との対応付けが明確となるだけではなく、原稿9そのものと相対した読み取りに関する作業情報が得られるため、複写時の誤操作を極力防ぐことが可能となる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態の原稿読取装置用表示装置21は、前記実施の形態1の原稿読取装置用表示装置1の構成に対して光学的画像情報発生装置12としてレーザー光源22を用いたことと、レーザー光源22を用いるために必要な光学系を加えたこと以外は同一の構成である。
つまり、図6に示すように、原稿読取装置用表示装置21はレーザー光源22、コリメートレンズ23、シリンドリカルレンズ24、水平スキャン用ポリゴンミラー25、及び垂直スキャン用ポリゴンミラー26等から構成される光学系を備えている点で原稿読取装置用表示装置1と異なっている。
また、コリメートレンズ23は、ビームを拡大し平行光化するレンズであり、シリンドリカルレンズ24は、楕円形となる入射光の形状を真円形状に整形するためのレンズである。
そして、水平スキャン用ポリゴンミラー25、及び垂直スキャン用ポリゴンミラー26は、周囲に一連の平面反射面を持った回転部材であってスキャンしながらプラテンガラス2の全面に向かってレーザー光源22からのビームを反射・投影するために用いられるミラーである。
次に、原稿読取装置用表示装置21での画像の表示の手順を説明する。
まず、レーザー光源22から照射されたビームは、コリメートレンズ23とシリンドリカルレンズ24によって、レーザーの断面形状が真円の平行光となる。
続いて、水平スキャン用ポリゴンミラー25、垂直スキャン用ポリゴンミラー26によってプラテンガラス2の全体を上記ビームによってスキャン可能な状態となる。
そして、プラテンガラス2の全体を上記ビームによって順次スキャンしながら表示情報のビットマップデータから輝点となる座標位置で上記ビームを点灯させることによって、プラテンガラス2の表面に任意の画像を描くことが可能となる。
なお、レーザー光源22としてRGB3原色のものを用いても良く、この構成によってフルカラー画像をプラテンガラス上に表示することが可能となる。
また、レーザー光源22を用いているため、光照射に伴う発熱が小さく排熱処理に要する部材の設置も不要になるため、周辺機構を含めた光学的画像情報発生装置12を小型に構成できる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以上のように、本発明の原稿読取装置用表示装置は、原稿の読み取り作業に伴う様々な情報をプラテンガラス表面の全面に対して明瞭に表示することが可能であると共に、原稿の位置確認作業を容易に行うことが可能なカラー原稿の読み取りに支障をきたさない原稿読取装置用表示装置を提供する。したがって、本発明は読取部を備えた装置に好適に用いることができる。
本発明における原稿読取装置用表示装置の実施の一形態の概要を示す断面図である。 上記原稿読取装置用表示装置の表示制御部の構成を示す図である。 上記原稿読取装置用表示装置の要部の斜視図である。 上記原稿読取装置用表示装置の光制御素子の機能を説明する図である。 上記原稿読取装置用表示装置の動作フローを説明するフローチャートの一部を示す図である。 本発明における原稿読取装置用表示装置の他の実施の形態を示す断面図である。
符号の説明
1 原稿読取装置用表示装置
2 プラテンガラス(原稿台ガラス)
3a 原稿スケール
3b 原稿スケール
4 光制御フィルム(光制御素子)
5 表示制御部(表示制御手段)
6 光学キャリッジ(読取手段)
7 視野角度
8 箱型ケーシング
9 原稿
10 表示情報
11 オペレータの有効視野角度
12 光学的画像情報発生装置(画像情報発生手段)
13 投影画像反射鏡
14 検出部(検出手段)
15 データ格納部(データ格納手段)
16 画像選択部(画像選択手段)
20 プラテンガラスカバー
21 原稿読取装置用表示装置
22 レーザー光源
P オペレータ

Claims (8)

  1. 原稿台ガラスの原稿載置面に載置された原稿を、原稿台ガラスの原稿載置面の反対面側に配置された読取手段によって読み取る原稿読取装置に搭載される原稿読取装置用表示装置であって、
    上記原稿台ガラスの原稿載置面側の面又は原稿載置面とは反対側の面に設けられ、垂直方向から入射する入射光を透過し、かつ特定の角度から入射する入射光に対しては可視光領域全体の波長にわたって光を散乱させる、表面が可視光の干渉を生じさせない光制御素子と、
    光が散乱される照射角度から画像を上記光制御素子に照射して、当該画像を上記光制御素子の表面に結像させる画像情報発生手段とを備えることを特徴とする原稿読取装置用表示装置。
  2. 原稿を読み取る処理の設定、又は原稿の前記原稿台ガラス上への載置状態を検出する検出手段と、
    上記検出手段によって検出された結果に応じた画像をデータ格納手段から読み出して、当該画像を上記画像情報発生手段に照射させる画像選択手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置用表示装置。
  3. 前記データ格納手段は、原稿を載置すべき位置、原稿の載置に誤りがあった場合の警告、原稿の正しい載置方法の説明、又は連続画像読み取り時の原稿の読み取り枚数を少なくとも含む情報を表示するための画像を保持していることを特徴とする請求項2に記載の原稿読取装置用表示装置。
  4. 前記画像情報発生手段は、前記光制御素子にフルカラーの画像を結像させることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置用表示装置。
  5. 前記画像情報発生手段は、レーザー光源であることを特徴とする請求項1に記載の原稿読取装置用表示装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の原稿読取装置用表示装置と、
    上記原稿台ガラスと、
    上記読取手段とを備えていることを特徴とする原稿読取装置。
  7. 請求項6に記載の原稿読取装置と、
    読み取った原稿を印刷する印刷手段とを備えていることを特徴とする複写機。
  8. さらに、上記検出手段が、上記印刷手段によって印刷する処理の設定を検出するものであり、
    上記画像選択手段が、上記検出手段によって検出された印刷する処理の設定に応じた画像を上記データ格納手段から読み出して選択し、当該選択した画像を上記画像情報発生手段に照射させるものであることを特徴とする請求項7に記載の複写機。
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