JP2007094111A - 透明遮熱材及び透明遮熱調光材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】波長400〜800nmの光の透過率の最小の値が55%以上であり、かつ、波長1000〜2000nmの光の透過率の最大の値が40%以下であることを特徴とする透明遮熱材。
【選択図】なし
Description
本発明は、可視光線透過率をほとんど変化させないまま、外的刺激により近赤外線遮蔽性を調整することができる透明遮熱調光材に関する。
しかしながら、このような無機系の遮熱材では、高い可視光線透過性と、充分な近赤外線遮蔽性とを両立させることは困難であった。また、特有の着色が見られやすく、視認性を必要とする用途に利用する場合、複数の色素を併用する必要が生じるという問題があった。
しかしながら、有機系の近赤外線吸収色素を用いた遮熱材では、高い可視光線透過率と、充分な近赤外線遮蔽能を両立させることは困難であった。
本発明は、上記現状に鑑み、可視光線透過率をほとんど変化させないまま、外的刺激により近赤外線遮蔽性を調整することができる透明遮熱調光材を提供することを目的とする。
本発明2は、外的刺激を与えることにより光の透過率を変化させることのできる透明遮熱調光材であって、外的刺激を与えないときと外的刺激を与えたときとの波長400〜800nmの光の透過率の変化をΔTVIS、外的刺激を与えないときと外的刺激を与えたときとの波長800〜1800nmの光の透過率の変化をΔTNIRとした場合におけるΔTNIR/ΔTVISの値が1.5以上であって、かつ、外的刺激を与えたときの波長1000〜1800nmの光の透過率が40%以下である透明遮熱調光材である。
以下に本発明を詳述する。
本発明1の透明遮熱材は、波長1000〜2000nmの光の透過率の最大の値が40%以下である。40%を超えると、充分な遮熱性が得られない。好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下である。
なかでも、近赤外線領域に吸収を有する高分子化合物は、それ自体成型性に優れフィルム等へ容易に加工できることから好適である。また、上記近赤外線領域の光透過率を低下させる機能を有する化合物として上記無機化合物や無機酸化物を用いる場合には、これらの微粒子をポリスチレンやポリブチラール等の透明性の高い樹脂に分散して用いる。
特に上記近赤外線領域に吸収を有する高分子化合物中に上記無機酸化物からなる微粒子を分散させることにより、極めて高い赤外線遮蔽性を達成することができる。
上記芳香族側鎖を構成する置換基としては特に限定はされないが、例えば、フェニル、p−フルオロフェニル、p−クロロフェニル、p−ブロモフェニル、p−ヨードフェニル、p−ヘキシルフェニル、p−オクチルフェニル、p−シアノフェニル、p−アセトキシフェニル、p−アセトフェニル、ビフェニル、o−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、p−(ジメチルフェニルシリル)フェニル、o−(ジフェニルメチルシリル)、p−(ジフェニルメチルシリル)フェニル、o−(トリフェニルシリル)フェニル、p−(トリフェニルシリル)フェニル、o−(トリルジメチルシリル)フェニル、p−(トリルジメチルシリル)フェニル、o−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、p−(ベンジルジメチルシリル)フェニル、o−(フェネチルジメチルシリル)フェニル、p−(フェネチルジメチルシリル)フェニル等の置換されていてもよいフェニル基;ビフェニル基;1−ナフチル、2−ナフチル、1−(4−フルオロ)ナフチル、1−(4−クロロ)ナフチル、1−(4−ブロモ)ナフチル、1−(4−ヘキシル)ナフチル、1−(4−オクチル)ナフチル等の置換されていてもよいナフチル基;1−アントラセン、1−(4−クロロ)アントラセン、1−(4−オクチル)アントラセン等の置換されていてもよいアントラセン基;1−フェナントレン等のフェナントレン基;1−フルオレン等のフルオレン基;1−ペリレン等のペリレン基等が挙げられる。
上記還元剤としては特に限定されず、例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、亜硫酸、硫化水素、亜二チオン酸、亜二チオン酸ナトリウム、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、塩酸ヒドラジン等が挙げられる。
他の樹脂成分を併用する場合、樹脂成分全体に占める上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン系化合物の含有量の好ましい下限は10重量%である。10重量%未満であると、充分な遮熱性能を発揮できないことがある。
上記無機酸化物微粒子の配合量としては特に限定はされないが、遮熱材を構成する組成全体の重量に対して好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は10重量%である。0.1重量%未満であると、充分な遮熱効果が得られないことがあり、10重量%を超えると可視光線透過性が低下することがある。
また、上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン系化合物を用いる場合には、例えば、上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン系化合物を適当な方法によりドープした後、これを離型フィルムや透明の基材上に塗工して、乾燥する方法;また、上記芳香族側鎖を有するポリアセチレン系化合物をトルエン、クロロホルム、四塩化炭素等の適当な溶媒に溶解した溶液を離型フィルムや透明の基材上に塗工、乾燥して塗膜を形成した後、得られた塗膜にドーピングする方法等が挙げられる。
本発明2の透明遮熱調光材は、外的刺激を与えないときと外的刺激を与えたときとの波長400〜800nmの光の透過率の変化をΔTVIS、外的刺激を与えないときと外的刺激を与えたときとの波長1000〜1800nmの光の透過率の変化ΔTNIRとした場合におけるΔTNIR/ΔTVISの値が1.5以上である。1.5以上であることにより、可視光領域の光透過率の変化に対し充分に大きな近赤外線領域の透過率の変化が得られることになり、視認性や見た目の色味の変化は小さいのに対し、近赤外線領域の透過率が大きく変化する遮熱調光材とすることができる。また、視認性が大きく変化しないことから、車両のフロントガラス等に好適に応用することができる。ΔTNIR/ΔTVISの値が2以上であるとより好ましい。
尚、本明細書においてΔTVISとは変化の前後で最も低い透過率の値を比較した場合の変化の値を意味し、ΔTNIRとは変化後の透過率が最も低くなる波長での変化の値を意味する。
上記イオン伝導性物質としては、イオン伝導性を示す物質であれば特に限定はされず、例えば、支持電解質である塩類、酸類、アルカリ類や、イオン性液体が挙げられる。
上記塩類としては特に限定はされず、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等の無機イオン塩;4級アンモニウム塩、環状4級アンモニウム塩等が挙げられる。なかでも、過塩素酸リチウム、ホウフツ酸テトラエチルアンモニウム、ヨウ化リチウム等が好適である。
上記酸類としては特に限定はされず、例えば、硫酸、塩酸、リン酸類、スルホン酸類等の無機酸;カルボン酸類等の有機酸が挙げられる。
上記アルカリ類としては特に限定はされず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
上記イオン性液体としては常温で液体でありかつイオン伝導性を示す物質であれば特に限定はされず、例えば、4級アンモニウム塩や環状4級アンモニウム塩が挙げられ、具体的には、陽イオンがN,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムで、陰イオンがテトラフルオロホウ酸イオン又は(CF3SO2)2N−であるもの等が挙げられる。
これらのイオン伝導性物質は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記有機極性溶媒としては特に限定されず、例えば、ジメチルスルホキシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、ジオキソラン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トリメチルホスフェイト、ポリエチレングリコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
上記極性基含有高分子化合物としては特に限定はされないが、例えば、ポリエチレンオキサイドやポリプロイピレンオキサイドなどのポリエーテル類やポリカーボネート、フッ素系高分子等が挙げられる。
上記イオン伝導性物質を上記極性基含有高分子化合物に分散させる方法としては特に限定はされないが、例えば、上記有機極性溶媒中に上記極性基含有高分子化合物と上記支持電解質を溶解させ混合する方法や、溶解させて混合した後に固化させる方法等が挙げられる。
本発明によれば、可視光線透過率をほとんど変化させないまま、外的刺激により近赤外線遮蔽性を調整することができる透明遮熱調光材を提供することができる。
(1)モノマーの合成
1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(関東化学社製)(237mL)を窒素置換したフラスコに入れ、約150mLのヘキサンをアスピレーターで除去し、THF約150mLを−20℃で滴下した。フェニルアセチレン(20.0mL)をTHF20mLに溶かした溶液を滴下し、−10℃で一時間静置した後−65℃まで冷却し、カリウムt−ブトキシド(20.5g)をTHF約60mLに溶かした溶液を滴下し、−10℃で1時間攪拌した。
その後、−50℃でクロロジメチルフェニルシラン(関東化学社製22.3mL)を滴下し、室温で一晩静置した。ヘキサンとTHFを留去した後、KOH(12g)のエタノール(180mL)溶液をフラスコに加え、60℃で1時間攪拌し、氷冷しつつ水を添加して反応を停止した後、ジエチルエーテルで抽出し、水で洗浄、硫酸ナトリウムで一晩乾燥させた。ジエチルエーテルを留去し、カラムクロマトグラフィーで精製、ジメチルフェニルシラン置換フェニルアセチレンモノマー(0.80mL)を得た。
窒素下、(1)で得られたモノマー0.80mLと、蒸留トルエン1.60mLとを加えたものをモノマー溶液とし、80℃で15分ほどエージングした。同様に窒素下、塩化タンタル(V)(関東化学社製、36mg)とテトラブチルスズ(関東化学社製)トルエン溶液(0.2M)1.0mLに蒸留トルエン2.0mLを加えたものを触媒バッチとし、80℃で15分程度エージングした。
モノマー溶液から2.0mLを抜き取り、触媒バッチに打ち込み重合反応を進行させた。2時間放置後、トルエン/メタノール(4:1)溶液0.5mLを加えて反応停止させた。反応物にトルエンを50mL加えて溶解し、メタノール4Lに注いで再沈殿させた。濾過後真空乾燥機で乾燥させることで最終的に、ポリ[o−ジメチルフェニルシリル]フェニルアセチレン250mgを得た。重量平均分子量は、16万であった。
得られたポリ[o−ジメチルフェニルシリル]フェニルアセチレン100mgをトルエン10mLに溶解させ、得られた溶液をITOが蒸着されたガラス板よりなる透明電極基板のITO層上に800rpm(10秒間)の条件にてスピンコートにより塗布し、乾燥してポリアセチレン化合物のフィルムを形成した。ポリアセチレン化合物のフィルムの厚みは1700Åであった。得られた成型体を、濃硝酸飽和の蒸気中に25℃で1分間接触させ透明遮熱材を得た。
得られた透明遮熱材の光透過率特性を、分光光度計(島津製作所社製、商品名「UV−3101PC」)を用いて観察した。波長と透過率について、観測した結果を表1に示す。
得られた透明遮熱材は視認性がよく、かつ、遮熱性にも非常に優れたものであった。
(1)モノマーの合成
窒素下、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)496mgにトリエチルアミン500mLを加え、フェニルアセチレン19.4mLをシリンジで添加し、溶液が黒くなるまで4〜5分程度攪拌した。そこにp−ブロモヨードベンゼン50.0gをトリエチルアミン200mLに溶かしたものを水浴で冷却しつつ添加して反応を進行させ、黄色に懸濁させた。ロータリーエバポレーターにてトリエチルアミンを除去した後、エチルエーテル750mLにて抽出した。再びロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、ブロモ置換ジフェニルアセチレンを得た。
別の反応装置を窒素で置換後、1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(関東化学社製)114mLをシリンジで添加し、アスピレーター減圧下でドライヤーで加熱しつつ約75mLのヘキサンを留去した。窒素置換後、−30℃まで冷却してから75mLのエチルエーテルをゆっくり加え、そこに先に得られたブロモ置換ジフェニルアセチレンを150mLのエチルエーテルに溶解したものを滴下して反応を進行させ、溶液を紅茶色に変化させた。
その後、すぐに150mLのエチルエーテルで薄めたクロルトリメチルシラン(関東化学社製、17.1mL)を滴下して黄白色に懸濁しはじめたので、0℃まで温度を上げた。氷冷しつつ水を添加して反応を停止させた後、エチルエーテル500mLにて抽出した。ロータリーエバポレーターにて溶媒除去後、カラムクロマトグラフィーにて精製、トリメチルシラン置換ジフェニルアセチレンモノマー0.61mLを得た。モノマーは固化しないよう40〜50℃にて油浴した。
窒素下、n−ドコサン(関東化学社製)180mLに、(1)で得られたモノマー0.61mLと蒸留トルエン1.59mLとを加えたものをモノマー溶液とし、80℃で15分ほどエージングした。同様に窒素下、塩化タンタル(V)(関東化学社製、36mg)とテトラブチルスズ(関東化学社製)トルエン溶液(0.2M)1.00mLに蒸留トルエン2.00mLを加えたものを触媒バッチとし、80℃で15分程度エージングした。
モノマー溶液から2mLを抜き取り、触媒バッチに打ち込み重合反応を進行させた。2時間放置後、トルエン/メタノール(4:1)溶液0.5mLを加えて反応停止させた。反応物にトルエンを50mL加えて溶解し、メタノール4Lに注いで再沈殿させた。濾過後真空乾燥機で乾燥させることでポリ[1−フェニル−2−(m−トリメチルシリルフェニル)アセチレン]320mgを得た。重合平均分子量は、140万であった。
得られたポリ[1−フェニル−2−(m−トリメチルシリル)フェニルアセチレン]0.2gを、40mLのトルエンに溶解させ、得られた溶液をITOが蒸着されたガラス板よりなる透明電極基板のITO層上にスピンコートし、乾燥して厚さ2500Åのポリアセチレン系化合物含有層を形成した。
次に、過塩素酸リチウム2.14gを炭酸プロピレン100mLに溶解して電解質溶液を調整した。この電解質溶液にポリエチレングリコール(分子量30万、和光純薬社製)5gを加えてゲル状にし、ポリアセチレン系化合物含有層に塗布することで電解質層を形成した。更に、その上から対向電極基板を積層して、透明遮熱調光材を得た。
得られた透明遮熱材の光透過率特性を、分光光度計(島津製作所社製、商品名「UV−3101PC」)を用いて観察した。電圧印加の前後における光の透過率について、400nm〜1800nmの波長領域で200nm間隔毎の波長について観測した。結果を表2に示す。
なお、光透過率の測定は、電圧印加開始後60秒後に行った。
得られた透明遮熱材は、電圧を印加する前後での視認性が大きくは変化せず、電圧印加の前後でいずれも良好な視認性を示し、かつ、優れた遮熱性を示すものであった。
本発明によれば、可視光線透過率をほとんど変化させないまま、外的刺激により近赤外線遮蔽性を調整することができる透明透明遮熱調光体を提供することができる。
Claims (4)
- 波長400〜800nmの光の透過率の最小の値が55%以上であり、かつ、波長1000〜2000nmの光の透過率の最大の値が40%以下であることを特徴とする透明遮熱材。
- 芳香族側鎖を有するポリアセチレン化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の透明遮熱材。
- 外的刺激を与えることにより光の透過率を変化させることのできる透明遮熱調光材であって、
外的刺激を与えないときと外的刺激を与えたときとの波長400〜800nmの光の透過率の変化をΔTVIS、外的刺激を与えないときと外的刺激を与えたときとの波長1000〜1800nmの光の透過率の変化をΔTNIRとした場合におけるΔTNIR/ΔTVISの値が1.5 以上であって、かつ、外的刺激を与えたときの波長1000〜1800nmの光の透過率が40%以下である
ことを特徴とする透明遮熱調光材。 - 外的刺激が電気的刺激であることを特徴とする請求項3記載の透明遮熱調光材。
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JPH04133004A (ja) * | 1990-09-25 | 1992-05-07 | Matsushita Electric Works Ltd | 紫外赤外線カットフィルタ |
JPH05164916A (ja) * | 1991-12-18 | 1993-06-29 | Sekisui Chem Co Ltd | 赤外線吸収フィルタ− |
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