以下本発明をプロジェクタに適用した場合の実施の一形態について図面を参照して説明する。
図1はこのプロジェクタ装置1の使用状態での外観斜視図、図2は上記プロジェクタ装置1の横断平面図、図3は図2のIII−III線に沿った縦断面図である。
このプロジェクタ装置1は、平面形状が矩形状をなすプロジェクタケース1内に、光源装置17と、複数の画素が行方向及び列方向にマトリックス状に配列した表示エリアを有し、上記複数の画素に入射した光の出射を制御して画像を表示する表示素子28と、上記光源装置17からの出射光を上記表示素子28に入射させる光源側光学系29と、上記表示素子28からの出射光を図示しないスクリーン等の投影面に投影する投影レンズ45とを配置したものである。
上記プロジェクタケース1は、その両側面及び後面と底面とを構成するケース本体1aと、上面パネル1bと、前面パネル1cとからなっており、その後面に、パソコン用のUSB端子及びカラー画像信号と音声信号の入力端子と、ビデオ信号入力端子と、電源コネクタ(いずれも図示せず)が設けられ、上面に、電源キー2と、上記光源装置17の点灯を表示するランプインジケータ3及び上記光源装置17の過熱を表示する過熱インジケータ4と、自動画質調整キー5及び手動画質調整キー6と、上記電源コネクタを商用電源に接続したスタンバイ状態と上記電源キー2をオンさせたときとで表示色が変化するパワー/スタンバイインジケータ7と、開閉蓋8を開いて操作される各種調整キー(図示せず)と、スピーカ用放音部9が設けられ、前面に、図示しないリモコン器からの赤外線信号を受けるリモコン受信部10が設けられている。
また、上記プロジェクタケース1の前面の一側部には投影口11が設けられている。
さらに、上記プロジェクタケース1の底面には、その後側領域の両側部に配置された左右一対の後足部材14aと、前側領域の中央部付近にケース前縁部よりもある程度後方にずらして配置された1つの前足部材14bが設けられている。
この後足部材14a及び前足部材14bは、プロジェクタの使用時(投影時)に、上記プロジェクタケース1を、その前側を高くした斜め上向き状態に支持するものであり、一対の後足部材14aは、プロジェクタケース1の底部に螺合された図示しないねじ脚の下端に固定されており、前足部材14bは、上記プロジェクタケース1内に設けられた図示しない脚ロック機構に上下方向にスライド可能に保持されたロッド脚15の下端に固定され、ケース底面からの突出高さを調整可能に設けられている。
次に、光源装置17について説明する。この光源装置17は、図2及び図3に示すように、光源ランプ18と、光を出射させる開放面を有し、内部に配置された上記光源ランプ18からの放射光を反射して上記開放面から出射するリフレクタ21とを備えている。
上記光源ランプ18は、中間部に球状の膨らみ部を有するガラスバルブ内に、一対の棒状電極がそれぞれの先端を上記膨らみ部内において近接対向させ、それぞれの後端部を上記ガラスバルブの両端からガラスバルブ外に露出させて設けられ、上記ガラスバルブ内に上記電極の先端間に発生するアークにより発光する物質が封入された高圧水銀ランプ等のショートアークランプである。
また、上記リフレクタ21は、その軸線上のリフレクタ内の点と上記開放面の前方の点とにそれぞれ焦点を有する楕円面リフレクタであり、中空の楕円球体をその長軸に対して垂直に切断した形状を有する耐熱ガラス製リフレクタ本体の内面全体に紫外線透過性反射膜を設けた構成となっている。
そして、上記光源ランプ18は、その一端側を上記リフレクタ21内に位置させ、他端側を上記リフレクタ21の内奥面の中心に設けられた開口部からリフレクタ21の後側に突出させるとともに、上記ガラスバルブの軸線をリフレクタ21の軸線に一致させ、且つ上記一対の電極の先端間の発光点を上記リフレクタ21のリフレクタ内側の焦点に一致させて設けられている。
さらに、この光源装置17は、上記リフレクタ21の開放面の前側に配置された金属筒または耐熱性樹脂筒からなる筒状の防爆カバー25を備えている。
この防爆カバー25は、両端が開放し、且つ一端側から他端側に向かって大径となるテーパー付き円筒体の内周面全体に非反射処理を施したものであり、その一端、つまり大径側端の開放縁は防爆カバー25の軸線に対して垂直に形成され、他端、つまり小径側端の開放縁は上記軸線に垂直な面に対して一方向に所定角度傾いた傾斜面に形成されている。
そして、この防爆カバー25は、その一端(大径側端)の周縁部を上記リフレクタ21の開放面の周縁部にビス止め等の手段により接続して設けられており、この防爆カバー25の他端部(小径側端部)の内周に、防爆ガラスが上記リフレクタ21からの出射光の光軸、つまりリフレクタ21の軸線に垂直な面に対して一方向に所定角度斜めに傾けて嵌合されている。
一方、上記表示素子28(図2参照)は、カラーフィルタのような入射光を着色する手段を備えない表示素子であり、この実施の形態では、一般にDMDと略称されるマイクロミラー表示素子(Digital Micromirror Device)(登録商標)を用いている。以下、この表示素子28をマイクロミラー表示素子と言う。
上記マイクロミラー表示素子28は、その構成は図示しないが、1つ1つの画素をそれぞれ、CMOSをベースとするミラー駆動素子によって一方の傾き方向と他方の傾き方向とに傾動されるアレイ状に配列されたマイクロミラーにより形成したものであり、これらのマイクロミラーは、縦横の幅が10[μm]〜20[μm]の極薄金属片(例えばアルミニウム片)からなっている。
このマイクロミラー表示素子28は、その正面方向に対して一方向に傾いた入射方向から所定の角度範囲の入射角で入射した光を、上記複数のマイクロミラーの傾き方向の切換えにより上記正面方向と斜め方向とに反射して画像を表示するものであり、一方の傾き方向に傾動されたマイクロミラーに入射した光をこのマイクロミラーにより正面方向に反射し、他方の傾き方向に傾動されたマイクロミラーに入射した光をこのマイクロミラーにより斜め方向に反射し、正面方向への反射による明表示と、斜め方向への反射による暗表示とにより画像を表示する。
なお、上記明表示の明るさは、上記マイクロミラーを上記一方の傾き方向(入射光を正面方向に反射させる傾き方向)に傾けておく時間幅を制御することによって任意に変化させることができ、したがって、上記マイクロミラー表示素子28に、明るさに階調をもたせた画像を表示させることができる。
上記マイクロミラー表示素子28は、上記プロジェクタケース1内の後部領域の一側部に、その正面方向を上記プロジェクタケース1の前面の一側部に設けられた投影口11に対向させて配置されている。
また、上記光源装置17からの出射光を上記マイクロミラー表示素子28に入射させる光源側光学系29は、図2及び図3に示すように上記光源装置17からの出射光を赤、緑、青の3色に順次着色するためのカラーホイール30と、上記光源装置17からの出射光の強度分布を均一にするための導光ロッド33と、上記カラーホイール30により着色され、上記導光ロッド33により強度分布を均一にされた光を上記マイクロミラー表示素子28の前面に向けて投射する光源側レンズを封入したレンズ支持筒36及びミラー37とからなっている。
上記カラーホイール30は、扇状の赤、緑、青の3色のカラーフィルタが周方向に並べて設けられた回転板からなっており、その中心を上記光源装置17からの出射光の光路の側方に配置されたカラーホイール回転モータ32の回転軸に固定され、ホイール周方向の一部を上記光源装置17からの出射光の光路に介在させて配置されている。
このカラーホイール30は、上記モータ32により、上記3色のカラーフィルタが上記光源装置17からの出射光の光路を順次横切るように高速で回転駆動される。
また、上記導光ロッド33は、上記マイクロミラー表示素子28の複数の画素がマトリックス状に配列している表示エリアの外形と相似な断面形状を有し、内周面全体に反射膜(図示せず)が設けられた角筒状体からなっており、その一端に光を入射させる入射面が形成され、他端に上記入射面から入射した光の出射面が形成されている。
この導光ロッド33は、上記入射面から入射した光をロッド内周面の反射膜により反射しながら導いて上記出射面から均一な強度分布の光を出射するものであり、この導光ロッド33は、上記カラーホイール30の出射側に、上記入射面を上記カラーホイール30を介して上記光源装置17に対向させるとともに、上記光源装置17のリフレクタ21の開放面から出射し、上記リフレクタの前側に斜めに傾けて配置された上記防爆ガラスを屈折して透過した光を上記入射面から入射させるために、上記防爆ガラスを透過した光の光軸、つまり上記リフレクタ21の開放面からの出射光の光軸(リフレクタ21の軸線)に対して一方向(防爆ガラスでの屈折方向)に平行にシフトした光軸にロッド中心軸を一致させて配置されている。
また、光源側レンズを封入した上記レンズ支持筒36は、上記導光ロッド33の出射側に配置され、内部のレンズ中心を上記導光ロッド33の中心軸の延長線、つまり上記光源装置17からの出射光の光軸に一致させて配置されている。
そして、この実施の形態では、上記レンズ支持筒36の入射側に、上記カラーホイール回転モータ32の配置部に対応する側部が切欠された筒状の導光ロッド支持部を形成し、この導光ロッド支持部内に上記導光ロッド33を嵌装している。
なお、上記導光ロッド33は、上記マイクロミラー表示素子28の表示エリアと相似な断面形状を有する透明な角棒状体からなり、一端の入射面から入射した光を、ロッド外周面と外気である空気層との界面で全反射しながら導いて他端の出射面から均一な強度分布の光を出射するものでもよく、その場合は、上記レンズ支持筒36の導光ロッド支持部の内径を大きくし、上記角棒状体からなる導光ロッドを、上記導光ロッド支持部内に、その内周面との間に空間を介在させて配置すればよい。
上記光源装置17のリフレクタ21と、上記光源側光学系29のカラーホイール回転モータ32と、上記導光ロッド33と光源側レンズ34,35を支持したレンズ支持筒36は、両端が開放する光源側ハウジング38内に所定の位置関係で固定されている。
そして、光源側ハウジング38は、図2及び図3に示すように、上記プロジェクタケース1内の前後方向における中央部から後側の領域に、上記プロジェクタケース1の両側面のうち、上記マイクロミラー表示素子28の配置側とは反対側の側面に上記光源装置17の配置側を向け、上記レンズ支持筒36の出射端を上記マイクロミラー表示素子28の正面方向の領域に対向させるとともに、上記光源装置17からの出射光の光軸を上記マイクロミラー表示素子28の正面方向に対して略直交させて設置されている。
また、上記光源側光学系29のミラー37は、平面鏡からなっており、このミラー37は、一側面と後面及び前面に開口40,41,42を有し、上記一側面の開口40内に上記レンズ支持筒36の出射端を挿入するとともに後面の開口41を上記マイクロミラー表示素子28に対向させて上記プロジェクタケース1内に設置されたミラーハウジング39内に、上記マイクロミラー表示素子28の正面方向領域を挟んで上記レンズ支持筒36の出射端と対向させるとともに、上記光源装置17から出射し、上記カラーホイール30と導光ロッド33とレンズ支持筒36内の光源側レンズとを透過した光を上記マイクロミラー表示素子28に向けて反射し、その反射光を上記マイクロミラー表示素子28にその正面方向に対して一方の方向に傾いた方向から投射するように配置されている。
一方、上記マイクロミラー表示素子28の前面には、このマイクロミラー表示素子28を保護するカバーガラス43が配置されており、その前面側に、上記ミラーハウジング39の後面の開口に設けられ、上記光源装置17から出射し、上記光源側光学系29によりマイクロミラー表示素子28にその正面方向に対して一方の方向に傾いた方向から投射された光を上記マイクロミラー表示素子28の正面方向に対して所定角度傾いた方向に沿う平行光に補正して上記マイクロミラー表示素子28に入射させ、上記マイクロミラー表示素子28から出射した画像光を集光させて投影レンズ45に入射させる中継レンズ44が配置されている。
上記中継レンズ44は、一方の面が凸面に形成され、他方の面が凹面に形成されたメニスカスレンズからなっており、その凸面を上記マイクロミラー表示素子28に対向させ、凹面を上記光源側光学系29及び投影レンズ45に対向させるとともに、レンズ中心を、上記マイクロミラー表示素子28の表示エリアの周縁のうち、上記光源側光学系29からの投射光が入射する方向とは反対側の縁部の中心付近に対向させて配置されている。
そして、この中継レンズ44の光源側光学系29及び投影レンズ45に対向する凹面は、上記光源側光学系29からの投射光のうち、上記凹面で表面反射した光を、投影レンズ45による投影方向以外の方向に出射する曲率をもった面に形成され、マイクロミラー表示素子28に対向する凸面は、上記凹面の曲率に基いて、上記光源側光学系29からの投射光を上記凹面と凸面とによりマイクロミラー表示素子28の正面方向に対して所定角度傾いた方向に屈折させて上記マイクロミラー表示素子28に入射させ、上記マイクロミラー表示素子28からその正面方向に出射した光を上記凸面と凹面とにより集光方向に屈折させて上記投影レンズ45に入射させる曲率をもった面に形成されている。
なお、この中継レンズ44の有効領域は、円形レンズのうちの上記マイクロミラー表示素子28の表示エリアに対応する部分であり、他の部分は非有効領域であるため、この実施の形態では、円形レンズから上記非有効領域を切り落とした形状の中継レンズ44を用いている。
また、上記投影レンズ45は、入射側固定鏡筒46と、この固定鏡筒46に係合され、回転操作により軸方向に進退移動される出射側可動鏡筒47とを備え、これらの鏡筒46,47内にそれぞれ複数枚のレンズ素子を組合わせて構成されたレンズ群を設けた可変焦点レンズであり、この投影レンズ45は、その固定鏡筒46の基端を上記ミラーハウジング39の前面の開口42内に挿入し、この固定鏡筒46の入射端を上記中継レンズ44を介して上記マイクロミラー表示素子28に対向させ、上記可動鏡筒47の出射端をプロジェクタケース1の前面の一側部に設けられた投影口11に移動可能に嵌装して上記プロジェクタケース1内に配置されている。
なお、上記プロジェクタケース1の投影レンズ配置側の側面には、上記投影レンズ45の可動鏡筒47を手動により回転させて軸方向に移動させ、上記投影レンズ45の焦点調整を行なうための開口50が設けられる。
また、上記プロジェクタケース1内には、プロジェクタケース1の後面に設けられた図示しないUSB端子、カラー画像信号及び音声信号の入力端子、ビデオ信号入力端子に接続された表示/音声系回路基板51が、プロジェクタケース1の後面部と上記光源側ハウジング38との間に立設状態で配置されており、この回路基板51に、上記マイクロミラー表示素子28と、上記プロジェクタケース1内の上面部にスピーカ用放音部9に対向させて配置されたスピーカ(図示せず)が接続される。
さらに、上記プロジェクタケース1内の上記光源側ハウジング38の前側のスペースには、プロジェクタケース1の後面に設けられた図示しない電源コネクタに接続された電源系回路基板52が水平に配置されており、この回路基板52に、上記光源装置17の光源ランプ18が図示しないリード線を介して接続される一方で、上記カラーホイール回転モータ32も図示しないリード線を介して接続される。
また、上記プロジェクタケース1内には、その上面部と光源側ハウジング38及びミラーハウジング39との間に、プロジェクタ制御回路基板54が水平に配置されており、この制御回路基板54に、上記表示/音声系回路基板51及び電源系回路基板52と、プロジェクタケース1の上面に設けられたランプインジケータ3及び過熱インジケータ4と、自動画質調整キー5及び手動画質調整キー6と、パワー/スタンバイインジケータ7と、開閉蓋8を開いて操作される各種調整キーと、プロジェクタケース1内にその前面のリモコン受信部10に対向させて設けられた図示しない受信素子と、上記光源側ハウジング38内にリフレクタ21の近傍に位置させて配置された図示しない光源温度測定センサが接続されている。
さらに、上記プロジェクタケース1の底面と、上記投影レンズ45が配置された側の側面と、後面には、それぞれ、プロジェクタケース1内を空冷するための複数の長孔状吸気孔55,56,57が設けられている。
なお、上記光源側ハウジング38と電源系回路基板52は、プロジェクタケース1の底面部との間に通風空間を確保して配置されており、ケース底面の複数の吸気孔55は、上記光源側ハウジング38及び電源系回路基板52の下側に設けられている。
また、上記投影レンズ45は、プロジェクタケース1の側面部との間に通風空間を確保して配置されており、ケース側面の複数の吸気孔56は、上記ケース側面の投影レンズ焦点調整用開口50よりも後側の部分の略全域にわたって設けられている。
さらに、上記表示/音声系回路基板51は、プロジェクタケース1の上面部との間に通風空間を確保して配置されており、ケース後面の複数の吸気孔57は、上記マイクロミラー表示素子28の配置部に対応する部分に設けられている。
上記ケース底面の複数の長孔状吸気孔55,56,57のうち、上記電源系回路基板52の下側に設けられた吸気孔(図示せず)と、ケース右側面の吸気孔56は自然吸気孔、上記ケース底面の光源側ハウジング38の下側の部分に設けられた吸気孔55と、ケース後面のマイクロミラー表示素子28の配置部に対応する部分に設けられた吸気孔57は強制吸気孔であり、上記プロジェクタケース1内には、上記強制吸気孔55,57にそれぞれ対向させて吸気ファン58,59が配置されている。
また、上記プロジェクタケース1の光源装置17が配置された左側の側面には、嵌め込みパネル60により構成されており、この嵌め込みパネル60の略全域に複数の排気孔61が設けられている。
これらの排気孔61はいずれも強制排気孔であり、上記プロジェクタケース1内には、上記排気孔61の形成領域、つまり上記嵌め込みパネル60の略全域に対応させて、複数台、例えば3台の大風力排気ファン62,63,64が配置されている。
そして、上記吸気ファン58,59及び排気ファン62,63,64は、上記電源系回路基板52に接続されている。
また、上記複数の排気孔61の孔縁はそれぞれ、排気効率を向上させるとともに、上記大風力排気ファン62,63,63による強制排気流の風切り音を低減するために、排気流方向に対して垂直またはそれに近い角度の面の無い形状、つまり排気流に渦を生じさせにくい形状に形成されている。
この実施の形態では、隣り合う排気孔間の部分の断面形状を略菱形形状にすることにより、複数の排気孔61の孔縁をそれぞれ、その縁幅(嵌め込みパネル60の板厚)の中央部からケース内面及び外面に向かって孔幅が大きくなる方向に傾斜させた形状にしている。
加えて、上記プロジェクタケース1の上面パネル1b下面には、上記プロジェクタ制御回路基板54と平行にして水平に延在した複数の放熱フィン66が直接配設される。これら放熱フィン66は、上記上記吸気ファン58,59及び排気ファン62,63,64の回転駆動に伴う冷却風Wの流れに沿って、図3中では左右の方向に延在するように複数が同一間隔で並列配置され、上面パネル1bを介して(特にプロジェクタ直上部の)外気とプロジェクタ内を流れる冷却風Wとの間での熱交換を促進し、該冷却風Wを冷却する。
なお、光源側ハウジング38内の光源装置17に対して冷却風Wの下流側(図2、図3の左側)には複数の吸熱フィン71が配設される。これら吸熱フィン71は、光源側ハウジング38上面の一部に一体に形成された板状のヒートパイプ72に懸装され、熱的に接続されるもので、上記上記吸気ファン58,59及び排気ファン62,63,64の回転駆動に伴う光源側ハウジング38内の冷却風Wの流れに沿って、図2及び図3中では左右の方向に延在するように複数が同一間隔で並列配置され、光源装置17での発熱を受けてこれを吸熱する。
しかるに、ヒートパイプ72の上面の一部には板状の熱電変換素子73の下面が密着して配設される。
一方、上記表示/音声系回路基板51とケース本体1aの後面との間に確保された通風空間中にも、複数の放熱フィン74が配設される。これら放熱フィン74は、ケース本体1aの底面上に立設され、特に上記吸気ファン57と排気ファン62の回転駆動に伴う通風空間内での冷却風Wの流れに沿って、図2及び図3中では左右の方向に延在するように複数が同一間隔で並列配置され、上記放熱フィン66と一部相対向して平行配置される。
加えてこれら放熱フィン74は、それらの上部が共に板状のヒートパイプ75に熱的に接続され、該ヒートパイプ75の下面の一部には上記熱電変換素子73の上面が密着して配設される。
熱電変換素子73は、ヒートパイプ72,75を介在して吸熱フィン71と放熱フィン74との温度差により発電する発電素子であり、発電により得られた電力は電源系回路基板52に送られる。
このプロジェクタは、光源装置17から光を出射させ、光源側光学系29のカラーホイール30を高速で回転駆動させることにより、上記光源装置17から出射して上記光源側光学系29に入射した光を、上記カラーホイール30により赤、緑、青の3色に順次着色し、さらに上記導光ロッド33により強度分布を均一にして、上記光源側レンズ34,35及びミラー37によりマイクロミラー表示素子28に向けて投射するとともに、上記赤、緑、青の光の投射周期に同期させて上記マイクロミラー表示素子28に赤、緑、青の単色画像データを順次書込むことにより、上記マイクロミラー表示素子28に赤、緑、青の単色画像を順次表示させ、上記マイクロミラー表示素子28から順次出射する赤、緑、青の単色画像光を、投影レンズ45により拡大して投影面に投影するものであり、上記投影面に、赤、緑、青の3色の単色画像が重なって見えるフルカラー画像を表示する。
なお、このプロジェクタは、投影レンズ45の出射端を露出させ、電源キー2の操作により電源をオンさせて使用される。すなわち、上記電源キー2をオン操作すると、上記光源装置17の光源ランプ18が点灯し、上記カラーホイール30が回転駆動されてマイクロミラー表示素子28に赤、緑、青の光が順次投射され、上記マイクロミラー表示素子28から順次出射する赤、緑、青の光が投影レンズ45により投影されるとともに、上記吸気ファン58,59及び排気ファン62,63,64が駆動され、プロジェクタケース1内の空冷が開始される。
また、上記投影レンズ45による投影方向を投影面に合わせるプロジェクタケース1の姿勢調整は、上記赤、緑、青の光を投影レンズ45により投影させた状態で前足部材14の突出高さを調整することにより行なわれる。
なお、パソコンからの画像信号またはビデオ信号が入力されないときは、上記マイクロミラー表示素子28の表示エリア全体からフル階調で赤、緑、青の光が順次出射し、その光が投影レンズ45により投影される。そのため、このときの投影面の投影領域はその全体にわたって視覚上は白となる。
そして、上記画像信号またはビデオ信号が入力されると、上記マイクロミラー表示素子28に赤、緑、青の単色画像データが順次書込まれ、上記投影面に赤、緑、青の3色の単色画像が順次投影されて視覚上はフルカラー画像が表示される。
また、画像投影の終了後は、上記画像信号またはビデオ信号の入力を停止し、電源キー2をオフさせて、上記投影レンズカバー12を手動で閉じればよく、電源キー2をオフさせると、光源装置17の光源ランプ18が消灯し、上記カラーホイール30の回転駆動が停止されるとともに、それからアフタークーリングが完了する一定時間後、または光源温度が一定温度以下になったときに吸気ファン58,59及び排気ファン62,63,64の駆動が停止される。
上記のようなプロジェクタ装置1の具体的な構成にあって、発熱部材である光源装置17と、吸熱フィン71、放熱フィン74及び熱電変換素子73の関係を簡略して示したのが図4である。
この図4において、上記吸気ファン58,59及び大風力排気ファン62,63,64を一つにまとめて模したのが冷却ファン81であり、この冷却ファン81の駆動によりプロジェクタ装置1内を所定の方向に流れる冷却風Wが発生される。
この冷却風Wの上流側で、実際には光源装置17と通風経路が異なるために光源装置17の発熱の影響を受けない位置に放熱フィン74が配置されるため、放熱フィン74では常にプロジェクタ装置1の外気温度に近い温度の冷却風Wによって比較的低い温度が維持され、これがヒートパイプ75を介在して熱電変換素子73の上面側に伝達される。
一方、ここでは図示しない光源側ハウジング38内を通過した冷却風Wは、光源装置17においてアーク放電を行なう光源ランプ18との熱交換により高い温度に加熱され、その直後に吸熱フィン71を通過する。
そのため、吸熱フィン71は冷却風Wと熱交換を行なうことで非常に多くの熱エネルギーを吸収するもので、その熱エネルギーはヒートパイプ72を介して熱電変換素子73の下面側に伝達される。
しかして、熱電変換素子73は、ヒートパイプ72,75を介在して吸熱フィン71と放熱フィン74との温度差が大きければ大きい程、多くの電力を発電することとなる。
次いで上記電源系回路基板52に実装される、熱電変換素子73からの電力を上記吸気ファン58,59、排気ファン62,63,64で構成される冷却ファン81に供給する回路の具体的な構成について説明する。
図5は、その回路構成例であり、ここでは熱電変換素子73で発生した電力を電源系回路基板52上で電圧安定化回路82に供給する。
この電圧安定化回路82は、例えばDC−DCコンバータで構成され、きわめて不安定な直流電源である熱電変換素子73からの電力を所定の直流電圧値に変換して電力加算回路83に送出する。
この電力加算回路83にはまた、このプロジェクタ装置1の電源回路84から電源オン時にAC電源より生成された所定の電圧値が印加されており、電力加算回路83はこれらの2入力を加算して冷却ファン81に供給し、これを回転駆動させる。
このような回路構成にあっては、プロジェクタ装置1の電源オン時に、熱電変換素子73の発生する電力を電源回路84からの電力と電力加算回路83で加算して冷却ファン81の駆動に用いることで、結果的にプロジェクタの消費電力を低減することができる。
また、アフタークーリング中に誤ってAC電源の電源プラグが抜かれてしまった場合でも、光源装置17がまだ充分に熱く、アフタークーリングが引き続き必要である場合には、放熱フィン74と吸熱フィン71との温度差によりヒートパイプ75,72を介して熱電変換素子73が電力を発生し、その発生された電力より上記電圧安定化回路82、電力加算回路83を介して冷却ファン81が回転駆動され続ける。
すなわち、光源装置17の光源ランプ18がアフタークーリングが必要である程度にまだ充分熱い状態では、光源ランプ18として変換効率の充分高い素子を予め選定しおくことにより、熱電変換素子73による発電により冷却ファン81を引き続き回転駆動させ、冷却風Wを発生させて光源ランプ18を冷却することができる。
しかして、アフタークーリングが必要ない程度に光源装置17の光源ランプ18が充分冷えた状態となると、放熱フィン74と吸熱フィン71との温度差も非常に小さなものとなり、熱電変換素子73での電力の発生が途絶えて、冷却ファン81の回転駆動が停止される。
このように、冷却が必要な光源装置17の発する熱とこの光源装置17による熱の影響を受けない部分との温度差を熱電変換素子73で電力に変換して冷却ファン81に供給するため、発電効率に優れた熱電変換素子73を予め選定して使用することで、電源の供給が絶たれた状態でも光源装置17の冷却を確実に継続して実行することが可能となる。
加えて、吸熱フィン71及び放熱フィン74を直接熱電変換素子73と熱的に接続するのではなく、それぞれヒートパイプ72,73を介在させて接続するものとしたので、吸熱フィン71及び放熱フィン74と熱電変換素子73をそれぞれプロジェクタ装置1内の適切な位置に配置してそれらを機能させることができ、装置設計の自由度を上げながら、且つ、より発電効率を上げて光源装置17を確実に冷却することができる。
この場合、特に、吸熱フィン71に対してヒートパイプ72とこれを介在して接続される熱電変換素子73とを、発熱部材である光源装置17を収納する光源側ハウジング38の上部に一体に設けるものとしたため、吸熱フィン71から熱電変換素子73に至る構成をよりコンパクトで熱損失の少ない構成とすることができ、発電効率を上げて光源装置17を確実に冷却することができる。
さらに、本実施の形態では、冷却素子として冷却ファン81(吸気ファン58,59及び大風力排気ファン62,63,64)を用いるものとしたので、本願実施の形態のようなプロジェクタ装置に限らず、きわめて一般的な冷却方式である冷却ファンを有する他の各種電子装置にも容易に適用可能となる。
また、図6は、上記図4に代わる他の構成例を示すものである。同図では、板状のヒートパイプ72上面全面に同じく板状の熱電変換素子73を配置し、さらにこの熱電変換素子73上に放熱フィン74をヒートパイプを介さずに直接配設したものである。
この場合、冷却風Wによって冷却され、放熱により低温となる放熱フィン74により、熱電変換素子73の上面が直接冷却される。そのため、放熱フィン74を光源装置17での発熱の影響をなるべく受けないような配置と構造とを選定して構成することにより、構造を簡易化することができるばかりでなく、熱電変換素子73での発電効率をより向上させ、光源装置17を確実に冷却することができる。
さらに、図7は、上記図4及び図6に代わる他の構成例を示すものである。同図では、吸熱フィン71の構成を簡略化し、発熱部材である光源装置17に直接ヒートパイプ72の一端を密着させることで、ヒートパイプ72を吸熱部材及び伝熱部材として用いており、ヒートパイプ72の他端は熱電変換素子73の上面に当接され、また熱電変換素子73の下面はヒートパイプ75を介さずに放熱フィン74の上面に直接当接される構造を採っている。
このような構成とすることにより、熱伝導率の高い(換言すれば熱しやすく冷めやすい)ヒートパイプ72を、吸熱部材兼伝熱部材として使用することで、構造を簡易化することができるばかりでなく、光源装置17での発熱をより迅速に熱電変換素子73に伝達して冷却ファン81の駆動電力として活用することができる。
また、上記図面では示さなかったが、特に高温側となる吸熱フィン71とヒートパイプ72に関しては、熱電変換素子73との間にさらに蓄熱部材を挟装するものとしてもよい。
ここで述べた如く吸熱フィン71と熱電変換素子73との間、あるいはヒートパイプ72と熱電変換素子73との間に蓄熱部材を挟装配置し、光源装置17からの発熱を蓄えて熱電変換素子73に伝達し続けるものとすれば、光源装置17で得られる熱をより有効に発電素子に与えることで、さらに発電効率を上げて光源装置17を確実に冷却することができる。
加えて、上記吸熱フィン71から蓄熱部材に至る少なくとも一部を断熱部材により被覆し、吸熱部材である吸熱フィン71で得られた熱が伝達途中で放熱してしまうことを少しでも防ぐ構造を採ることにより、蓄熱部材での蓄熱効果をより上げることができ、熱電変換素子73の発電効率をより向上し、光源装置17をさらに確実に冷却することができる。
なお、上述した各変形例を含む上記実施の形態では、いずれも発熱部材を冷却するための冷却手段として冷却ファン81(吸気ファン58,59及び大風力排気ファン62,63,64)を用いるものとして説明したが、本発明はこれに限ることなく、他にも例えば発熱部材に密着して取付けられ、供給される電力により部位間に温度差を生じる電熱変換素子、より具体的にはペルチェ素子のようなものであってもよい。
このような伝熱変換素子を用いることで、空気層等を媒介することなく発熱部材を直接冷却することができるので、電子機器の種類にもよるが、装置全体の構成をより小型化することができるようになる。
なお、上記実施の形態は、本発明をプロジェクタに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、電源の供給を絶った後も冷却が必要であったり、使用後は冷却したほうが好ましい発熱部材を有するような機器、例えば電気アイロンやガステーブルのように使用後に速やかに冷却したほうが安全な機器に適用したり、またはターボチャージャー付きの内燃式エンジンを動力源とする自動車用の制御装置で、電源(イグニッション)スイッチを切った後もターボチャージャーの排気側タービンの焼き付きを防ぐべく、その発熱により発電して電磁オイルポンプを作動させ、該タービンにオイルを潤滑させるなど、適用例は多々考えることができる。
その他、本発明は上記実施の形態に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能であるものとする。
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1…プロジェクタ装置、11…投影口、17…光源装置、18…光源ランプ、21…リフレクタ、25…防爆カバー、28…マイクロミラー表示素子、29…光源側光学系、30…カラーホイール、32…カラーホイール回転モータ、33…導光ロッド、36…レンズ支持筒、37…ミラー、38…光源側ハウジング、39…ミラーハウジング、40〜42…開口、43…カバーガラス、44…中継レンズ、45…投影レンズ、46…入射側固定鏡筒、47…出射側可動鏡筒、51…表示/音声系回路基板、52…電源系回路基板、54…プロジェクタ制御回路基板、55,56,57…長孔状吸気孔、58,59…吸気ファン、61…長孔状排気孔、62,63,64…大風力排気ファン、71…吸熱フィン、72…ヒートパイプ、73…熱電変換素子、74…放熱フィン、75…ヒートパイプ、81…冷却ファン、82…電圧安定化回路、83…電力加算回路、84…電源回路。