JP2007093526A - 圧力センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 基板同士の接合に伴う面内歪みの低減がなされた圧力センサを提供する。
【解決手段】 可動基板10には、第1の薄肉部(ダイアフラム)11が形成されており、ダイアフラム11の周辺に導電膜14aが形成されている。固定基板20には、導電膜14aと対向するように、可撓性を有する第2の薄肉部(接合部)24が形成されている。接合部24は、固定基板20の両面に形成された凹部25a,25bの底面部で構成されており、接合部24上には、導電膜22aが形成されている。ガラスリング30は、凹部25aに格納可能になっており、凹部25aに格納された状態で、一方の面が導電膜22aと陽極接合され、他方の面は、導電膜14aと陽極接合されている。つまり、可動基板10及び固定基板20は、それぞれがガラスリング30と陽極接合されることによって密着接合されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 可動基板10には、第1の薄肉部(ダイアフラム)11が形成されており、ダイアフラム11の周辺に導電膜14aが形成されている。固定基板20には、導電膜14aと対向するように、可撓性を有する第2の薄肉部(接合部)24が形成されている。接合部24は、固定基板20の両面に形成された凹部25a,25bの底面部で構成されており、接合部24上には、導電膜22aが形成されている。ガラスリング30は、凹部25aに格納可能になっており、凹部25aに格納された状態で、一方の面が導電膜22aと陽極接合され、他方の面は、導電膜14aと陽極接合されている。つまり、可動基板10及び固定基板20は、それぞれがガラスリング30と陽極接合されることによって密着接合されている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、圧力センサに関する。
従来、ダイアフラム(薄肉部)の変形状態に基づいて圧力を検知する圧力センサとして、特許文献1に開示するようなものがある。この文献に係る圧力センサは、可動電極として機能するダイアフラムを有するシリコン基板(可動基板)がガラス基板(固定基板)と接合されることで、ダイアフラムの一面側が圧力基準室として封止された構造となっている。
ダイアフラムは、使用環境下において外圧と圧力基準室における基準圧力との圧力差を反映して撓み変形し、ガラス基板上の誘電体膜と接触した状態となる。ガラス基板の誘電体膜下には固定電極が形成されており、かくして、外圧に依存した当該接触面積変化を電極間容量の変化として検出することで、圧力センサとしての機能を発揮するようになっている。このような構成の圧力センサは、タッチモード容量型の圧力センサとよばれ、高い検出感度と耐圧性を備えるものである。
上述の圧力センサにおいて、シリコン基板とガラス基板との接合は陽極接合を用いて行うことができる。この陽極接合は、接合材(ロウ材など)を用いた接合に比べ、可動電極と固定電極(誘電体膜)とのギャップ(隙間)を厳密に規定するのに適しており、また、ガスの発生を伴わないため圧力基準室内における基準圧力を適正に合わせ込むのにも適した手法である。
しかしながら、陽極接合は、その工程において基板を加熱する必要があるため、接合する基板間の熱膨張係数が異なる場合、基板に面内歪みを生じるという問題がある。特に、ダイアフラムは変形しやすい部分であるためにこのような歪みの影響を受けやすく、検出特性のばらつきを引き起こしてしまうことになる。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、基板同士の接合に伴う面内歪みの低減がなされた圧力センサを提供することを目的としている。
本発明の圧力センサは、固定基板と、可撓性を有する第1の薄肉部を備え、当該第1の薄肉部が前記固定基板と隙間を隔てて対向するように、当該第1の薄肉部の周辺で前記固定基板に接合された可動基板とを備え、圧力に応じて変形する前記第1の薄肉部の変形状態に基づいて前記圧力を検知する圧力センサであって、前記固定基板及び前記可動基板の少なくとも一方には、可撓性を有する第2の薄肉部が形成され、当該第2の薄肉部と他方の基板とが、連結部材を介して接合されていることを特徴とする。
この圧力センサによれば、固定基板と可動基板とが、少なくとも一方の基板に形成された第2の薄肉部で、連結部材を介して接合されているため、各基板の熱膨張係数の違いに起因する面内歪を薄肉部の可撓性により緩和することが可能となる。この結果、圧力センサの検出特性のばらつきを抑制することが可能となる。
この圧力センサにおいて、前記連結部材は、アルカリイオンを含有したガラス材からなり、前記固定基板と前記可動基板とは、前記固定基板と前記連結部材との陽極接合、及び前記可動基板と前記連結部材との陽極接合によって接合されていることが望ましい。
この圧力センサによれば、固定基板と可動基板とが、それぞれ連結部材との陽極接合によって接合されているため、第1の薄肉部と固定基板との隙間を精度よく形成することが可能となる。
この圧力センサにおいて、前記固定基板と前記可動基板とは、同一の単結晶材料からなることが望ましい。
この圧力センサによれば、両基板の熱膨張係数が同一になるため、接合後の面内歪をより低減することが可能となる。
この圧力センサにおいて、前記可動基板には、水晶板が用いられていることが望ましい。
この圧力センサによれば、機械変形におけるヒステリシスの小さい水晶で第1の薄肉部が形成されているため、検出特性の安定性を向上することが可能となる。
この圧力センサにおいて、前記可動基板には、板厚に応じて共振周波数が変化するカットアングルの水晶板が用いられていることが望ましい。
この圧力センサによれば、可動基板に、板厚に応じて共振周波数が変化するカットアングルの水晶板を用いるため、その共振周波数をモニタしながら第1の薄肉部を形成することにより、第1の薄肉部の厚みに関する加工精度を高めることができる。
この圧力センサにおいて、前記第1の薄肉部には、前記固定基板と対向する面に可動電極が形成され、前記固定基板には、前記第1の薄肉部と対向する面に固定電極、及び当該固定電極を被覆する誘電体膜が形成されており、前記第1の薄肉部が圧力に応じて変形すると、前記可動電極と前記誘電体膜とが接触し、当該接触における接触面積の変化を前記2つの電極間の静電容量の変化として検出することで前記圧力を検知することが望ましい。
この圧力センサは、可動基板と固定基板との接触面積の変化を静電容量の変化として検出して、圧力を検知するタッチモード容量型の圧力センサである。つまり、可動電極と固定電極とが誘電体膜を隔てて密着した状態での静電容量の変化を検出するため、僅かな接触面積の変化を鋭敏に検出することが可能となり、感度の高い検知を行うことが可能となる。また、第1の薄肉部の過度の変形が固定基板により抑制されるため、高耐圧な圧力センサを実現することが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係る圧力センサについて、図面を参照して説明する。本実施形態の圧力センサは、外圧に応じて撓み変形する可動電極と、誘電体膜で覆われた固定電極との接触面積の変化を、電極間の静電容量の変化として検出し、圧力を検知するタッチモード容量型の圧力センサである。
まず、図1〜図4を参照して本実施形態の圧力センサの構成について説明する。
図1は、本実施形態の圧力センサの断面図であり、図2は、圧力センサの内部構成を示す分解斜視図、図3は、その分解断面図である。また、図4は、使用環境下における断面図を示している。
まず、図1〜図4を参照して本実施形態の圧力センサの構成について説明する。
図1は、本実施形態の圧力センサの断面図であり、図2は、圧力センサの内部構成を示す分解斜視図、図3は、その分解断面図である。また、図4は、使用環境下における断面図を示している。
図1〜図3に示すように、圧力センサ1は、可動基板10と、固定基板20と、連結部材としてのガラスリング30とを有しており、可動基板10及び固定基板20は、それぞれの対向面10a,20aが対向するように、ガラスリング30を介して接合されている。本実施形態では、可動基板10、固定基板20とも、ATカットにより切り出された略正方形の水晶板で形成されており、ガラスリング30は、陽極接合に必要なアルカリイオン(Na+等)が含有されたガラスで構成されている。
可動基板10の略中央には、可撓性を有する第1の薄肉部(以下、ダイアフラムという)11が形成されている。ダイアフラム11は、可動基板10の対向面10a及び外面10bの双方に形成された凹部12a,12bの底面部で構成されており、略正方形形状になっている。
可動基板10の対向面10a側には、アルミニウム等により可動電極13及び導電膜14a,14b,14cが一体的に形成されている。ここで、可動電極13は、ダイアフラム11上(凹部12aの底面上)に形成されており、導電膜14aは、可動基板10の外縁部10cに沿うように枠状に形成されている。導電膜14bは、可動電極13と導電膜14aとを接続し、導電膜14cは、導電膜14aから突出して外部と導通可能になっている。なお、導電膜14cは、具体的には、外縁部10cや図示しないスルーホール等を経由して、端子として外面10bまで配線されるものであるが、本明細書では詳しい説明は省略する。
固定基板20の対向面20a側には、アルミニウム等により固定電極21及び導電膜22a,22b,22cが一体的に形成されている。固定電極21は、可動電極13に対向する位置に形成されており、SiO2等でパターン形成された誘電体膜23によって覆われている。また、導電膜14aに対向する位置には、可撓性を有する第2の薄肉部(以下、接合部という)24が、略正方形の枠状に形成されている。接合部24は、固定基板20の対向面20a及び外面20bの双方に形成された枠状の凹部25a,25bの底面部で構成されており、導電膜22aは、導電膜14aと対向するように接合部24上に形成されている。導電膜22bは、固定電極21と導電膜22aとを接続し、導電膜22cは、導電膜22aから突出して外部と導通可能になっている(導電膜14cと同様、図示しない端子に接続されている)。
ガラスリング30は、正方形で、等幅(4辺の幅が略同一)の枠状体であり、固定基板20の対向面20aに形成された凹部25aに格納可能になっている。ガラスリング30は、凹部25aに格納された状態で、一方の面が導電膜22aと陽極接合されており、他方の面は、導電膜14aと陽極接合されている。つまり、可動基板10及び固定基板20は、それぞれがガラスリング30と陽極接合されることによって密着接合されている。
また、可動基板10と固定基板20とが接合された状態では、ダイアフラム11を構成する凹部12aは、圧力基準室2として封止された状態(図1参照)となっており、圧力基準室2の内圧は、所定の基準圧力(一般には減圧状態)に保たれている。
可動電極13と誘電体膜23とは、基準圧力と外圧との均衡がとれている状態において、図1に示すように微小な隙間を隔てて対向した状態にある。そして、圧力センサ1が使用環境下(例えば、大気圧下)に置かれると、図4に示すように、ダイアフラム11は基準圧力と外圧との圧力差によって撓み変形を起こす。かくして、外圧に依存したダイアフラム11の変形状態に応じて可動電極13と誘電体膜23との接触面積が変化するので、当該接触面積の変化に対応した電極間の静電容量の変化を、導電膜14c,22cのそれぞれに接続された端子を介して検出し、外圧を検知することができる。
本実施形態では、可動基板10が絶縁体(水晶板)で、可動電極13がダイアフラム11上にパターン形成された金属膜となっている。このため、特許文献1のようにシリコン基板全体が導体化されて可動電極を構成した圧力センサに比べると、両電極からの導線間で余分な(電極間容量に対しての)並列容量が発生せず、相対的な容量変化の感度に優れている。
また本実施形態では、ダイアフラム11が形成される可動基板10として、機械変形のヒステリシスの小さい水晶板が用いられている。このため、この圧力センサ1は、ダイアフラム11の変形特性、ひいては検出特性の安定性に優れている。
次に、図5〜図7を参照して、圧力センサ1の製造方法について説明する。
図5は、圧力センサ1の製造工程を示すフローチャートであり、図6、図7は、圧力センサ1の製造工程を説明するための断面図である。なお、本実施形態では、ウエハ状の基板を用いることにより、一度に多数個の個体(圧力センサ1)を形成することが可能になっているが、各図では、その中の1つの個体に着目して説明を行う。
図5は、圧力センサ1の製造工程を示すフローチャートであり、図6、図7は、圧力センサ1の製造工程を説明するための断面図である。なお、本実施形態では、ウエハ状の基板を用いることにより、一度に多数個の個体(圧力センサ1)を形成することが可能になっているが、各図では、その中の1つの個体に着目して説明を行う。
図5に示すように、圧力センサ1は、可動基板10については、工程S11,S12、固定基板20については、工程S21〜S23、ガラスリング30については、工程S31の加工処理によってそれぞれを形成し、両基板10,20を、ガラスリング30を介して接合(工程S41,S42)した後、個体毎に分離(工程S43)することによって製造される。以下、各工程の詳細について説明を行う。
まず、工程S11では、例えば100〜200μm程度の厚みを有する可動基板10に、必要に応じてスルーホール(図示せず)等を形成した後、その両面にエッチング処理等を施して凹部12a,12b、即ちダイアフラム11を形成する(図2、図3参照)。ダイアフラム11の形状寸法は、使用環境下において適切な変形特性が得られるように設計されており、その一辺の寸法は例えば0.9mm程度、その厚みは例えば10μm程度である。また、凹部12aの深さ、即ち対向面10aからダイアフラム11の表面までの窪みの深さは、使用環境下において可動電極13と誘電体膜23との接触面積が適切な範囲となるように設計されており、例えば6μm程度である。
ダイアフラム11の厚み寸法は、その変形特性に特に鋭敏に影響するため、特性のばらつきを抑えるためには、当該厚み寸法についての高精度な加工制御が必要である。本実施形態で使用しているATカットの水晶板は、厚み寸法と共振周波数とが反比例の関係となる厚みすべりモードの圧電振動特性を有している。このため、その共振周波数をモニタしながらダイアフラム11を形成することにより、正確な厚み寸法で加工を行うことが可能になっており、個体間、或いはロット間での寸法の合わせこみを行うことができる。このように、使用する水晶板は、厚み寸法に応じて共振周波数が変化する水晶板であることが望ましく、厚みすべりモード(ATカット)以外では、例えば、厚み縦モードの水晶板を用いるようにしてもよい。
工程S12では、気相法或いはフォトリソグラフィー法等を用い、可動基板10の対向面10a側に可動電極13及び導電膜14a,14b,14cを形成する。その後、図示しないスルーホールの内面や基板の外縁部10c、外面10bに、必要に応じて配線や端子を形成すると、可動基板10の形成が完了する。
工程S21では、例えば数百μm程度の厚みを有する固定基板20の両面に、エッチング処理等によって凹部25a,25bを形成することにより接合部24を形成する(図2、図3参照)。接合部24は、その厚みが例えば20μm程度であり、凹部25aの深さ、即ち対向面20aからの接合部24の表面までの窪みの深さは、例えば35μm程度である。
工程S22では、気相法或いはフォトリソグラフィー法等を用い、固定基板20の対向面20a側に固定電極21及び導電膜22a,22b,22cを形成する。
工程S23では、気相法或いはフォトリソグラフィー法等を用い、固定電極21上に誘電体膜23を形成する。その後、必要に応じて他の配線や端子を形成すると、固定基板20の形成が完了する。
工程S31では、例えば厚みが30μm程度のガラス板に対して、エッチング処理或いはサンドブラスト処理等を施し、固定基板20の凹部25aに格納可能な枠状のガラスリング30を形成する。
工程S41では、固定基板20とガラスリング30とを接合する。具体的には、図6に示すように、固定基板20の凹部25a内にガラスリング30を格納し、加圧並びに加熱処理を行いつつ、導電膜22cを陽極、ガラスリング30を陰極として両者間に高電圧を印加して、固定基板20とガラスリング30とを陽極接合する。
工程S42では、ガラスリング30が接合された固定基板20に可動基板10を接合する。具体的には、図7に示すように、可動基板10と固定基板20とを、それぞれの対向面10a,20aが当接するように重ね合わせる。この状態では、ガラスリング30と導電膜14aの間には隙間が存在している。その後、加圧並びに加熱処理を行いつつ、導電膜14cを陽極、ガラスリング30、即ちガラスリング30に接合された導電膜22cを陰極として両者間に高電圧を印加して、可動基板10とガラスリング30とを陽極接合する。加圧する際には、固定基板20の外面20bに形成された凹部25bの底面(接合部24)を加圧することにより、接合部24がその可撓性によって撓み、ガラスリング30と導電膜14a(可動基板10)とが、接合部24が撓んだ状態で密着接合される(図1参照)。なお、この工程S42は、基準圧力と同じ圧力下で行われ、これにより圧力基準室2の基準圧力が規定される。
基板10,20やガラスリング30は、陽極接合後の冷却の過程においてそれぞれの熱膨張係数に依存した分だけ収縮しようとするため、それぞれの熱膨張係数の差に依存して、両基板10,20内には面内歪み(残留応力)が発生する。しかしながら、接合部24が可撓性を有しているため、このような歪みを接合部24で緩和することが可能となっている。
最後に、工程S43において、ダイシング等を行って個体毎に分離し、個体としての圧力センサ1が完成する。
以上説明したように、本実施形態の圧力センサ1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態の圧力センサ1によれば、固定基板20と可動基板10とが、固定基板20に形成された第2の薄肉部(接合部24)で、ガラスリング30を介して接合されているため、各基板10,20とガラスリング30の熱膨張係数の違いに起因する面内歪を接合部24の可撓性により緩和することが可能となる。この結果、圧力センサの検出特性のばらつきを抑制することが可能となる。
(1)本実施形態の圧力センサ1によれば、固定基板20と可動基板10とが、固定基板20に形成された第2の薄肉部(接合部24)で、ガラスリング30を介して接合されているため、各基板10,20とガラスリング30の熱膨張係数の違いに起因する面内歪を接合部24の可撓性により緩和することが可能となる。この結果、圧力センサの検出特性のばらつきを抑制することが可能となる。
(2)本実施形態の圧力センサ1によれば、固定基板20と可動基板10とが、それぞれガラスリング30との陽極接合によって接合されているため、ダイアフラム11と固定基板20との隙間を精度よく形成することが可能となる。
(3)本実施形態の圧力センサ1によれば、固定基板20と可動基板10とが、同一の単結晶材料(水晶板)からなるため、両基板の熱膨張係数が同一となり、接合後の面内歪をより低減することが可能となる。
(4)本実施形態の圧力センサ1によれば、機械変形におけるヒステリシスの小さい水晶でダイアフラム11が形成されているため、検出特性の安定性を向上することが可能となる。
(5)本実施形態の圧力センサ1によれば、板厚に応じて共振周波数が変化するカットアングル(ATカット)の水晶板を用い、その共振周波数をモニタしながらダイアフラム11を形成しているため、ダイアフラム11の厚みの加工精度を高めることができる。
(6)本実施形態の圧力センサ1は、可動基板10と固定基板20との接触面積の変化を静電容量の変化として検出して、圧力を検知するタッチモード容量型の圧力センサである。つまり、可動電極13と固定電極21とが誘電体膜23を隔てて密着した状態での静電容量の変化を検出するため、僅かな接触面積の変化を鋭敏に検出することが可能となり、感度の高い検知を行うことが可能となる。また、ダイアフラム11の過度の変形が固定基板20により抑制されるため、高耐圧な圧力センサを実現することが可能となる。
(7)本実施形態の圧力センサ1によれば、可動基板10にガラスリング30を陽極接合する際(工程S42)に、接合部24を撓ませた状態で接合しているため、ガラスリング30に厚みのばらつきがある場合でも、接合部24の撓みにより当該ばらつきを吸収することが可能となり、寸法精度の高い接合が可能になる。
(8)本実施形態の圧力センサ1によれば、可動基板10と固定基板20とを接合するのに、厚みが30μm程度のガラスリング30を用いた陽極接合を行っている。つまり、従来のように、厚みが数百μmのガラス基板(固定基板)と可動基板とを陽極接合する場合に比べて、使用するガラスの厚みが薄いため、陽極接合の際の印加電圧を低下させることが可能となる。印加電圧が低いほど陽極接合中にグロー放電が発生しにくくなるため、安定した接合が可能となる。
(9)本実施形態の圧力センサ1によれば、ガラスリング30が、正方形で4辺の幅が略同一であるため、凹部25aに格納する際(工程S41)に、ガラスリング30の向きを意識せずに済む。また、凹部25aにガラスリング30を格納する構成及び製造工程としているため、ガラスリング30の位置決めを容易に行うことが可能になる。
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態では、圧力基準室2を構成する凹部12aが、可動基板10側に形成されているが、図8に示すように、固定基板20側に、圧力基準室2を構成する凹部26aを形成するようにしてもよい。或いは、可動基板10と固定基板20の双方の対向面10a,20aに凹部を形成し、双方の凹部を向い合わせて圧力基準室2を構成するようにしてもよい。
なお、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態では、圧力基準室2を構成する凹部12aが、可動基板10側に形成されているが、図8に示すように、固定基板20側に、圧力基準室2を構成する凹部26aを形成するようにしてもよい。或いは、可動基板10と固定基板20の双方の対向面10a,20aに凹部を形成し、双方の凹部を向い合わせて圧力基準室2を構成するようにしてもよい。
前記実施形態では、第2の薄肉部(接合部24)を固定基板20に形成しているが、図9に示すように、可動基板10側に形成するようにしてもよい。図9に示した例では、ダイアフラム11の周辺の基板両面に、枠状の凹部15a,15bを形成し、その底面部を第2の薄肉部(接合部16)としている。可動基板10と固定基板20を接合する際には、ガラスリング30を凹部15aに格納した状態で可動基板10とガラスリング30を陽極接合し、その後でガラスリング30と固定基板20とを陽極接合する。また、可動基板10及び固定基板20の双方に第2の薄肉部(接合部)を形成し、ガラスリング30の両面を各基板の接合部に接合させるようにしてもよい。
また、本発明は、前記実施形態や前記変形例に限定されず実施することができる。例えば、可動基板10や固定基板20には、水晶の他に、ガラスやシリコン、セラミック等を用いることもできる。また、ダイアフラム11における可動電極13は、特許文献1に係る圧力センサのように、シリコン基板に形成されたダイアフラム領域に不純物をドーピングした態様とすることもできる。
また、本発明は、可動電極と誘電体膜とが接触しない(タッチモードではない)タイプの圧力センサについても適用することができる。
また、前記実施形態の各構成、及び製造工程は、一部を省略したり、図示しない他の構成や製造工程を追加したりすることができる。
また、本発明は、可動電極と誘電体膜とが接触しない(タッチモードではない)タイプの圧力センサについても適用することができる。
また、前記実施形態の各構成、及び製造工程は、一部を省略したり、図示しない他の構成や製造工程を追加したりすることができる。
1…圧力センサ、2…圧力基準室、10…可動基板、10a…対向面、10b…外面、10c…外縁部、11…第1の薄肉部(ダイアフラム)、12a,12b…凹部、13…可動電極、14a,14b,14c…導電膜、20…固定基板、20a…対向面、20b…外面、21…固定電極、22a,22b,22c…導電膜、23…誘電体膜、24…第2の薄肉部(接合部)、25a,25b…凹部、30…ガラスリング。
Claims (6)
- 固定基板と、
可撓性を有する第1の薄肉部を備え、当該第1の薄肉部が前記固定基板と隙間を隔てて対向するように、当該第1の薄肉部の周辺で前記固定基板に接合された可動基板と、
を備え、圧力に応じて変形する前記第1の薄肉部の変形状態に基づいて前記圧力を検知する圧力センサであって、
前記固定基板及び前記可動基板の少なくとも一方には、可撓性を有する第2の薄肉部が形成され、当該第2の薄肉部と他方の基板とが、連結部材を介して接合されていることを特徴とする圧力センサ。 - 請求項1に記載の圧力センサであって、前記連結部材は、アルカリイオンを含有したガラス材からなり、前記固定基板と前記可動基板とは、前記固定基板と前記連結部材との陽極接合、及び前記可動基板と前記連結部材との陽極接合によって接合されていることを特徴とする圧力センサ。
- 請求項1又は2に記載の圧力センサであって、前記固定基板と前記可動基板とは、同一の単結晶材料からなることを特徴とする圧力センサ。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧力センサであって、前記可動基板には、水晶板が用いられていることを特徴とする圧力センサ。
- 請求項4に記載の圧力センサであって、前記可動基板には、板厚に応じて共振周波数が変化するカットアングルの水晶板が用いられていることを特徴とする圧力センサ。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧力センサであって、前記第1の薄肉部には、前記固定基板と対向する面に可動電極が形成され、前記固定基板には、前記第1の薄肉部と対向する面に固定電極、及び当該固定電極を被覆する誘電体膜が形成されており、前記第1の薄肉部が圧力に応じて変形すると、前記可動電極と前記誘電体膜とが接触し、当該接触における接触面積の変化を前記2つの電極間の静電容量の変化として検出することで前記圧力を検知することを特徴とする圧力センサ。
Priority Applications (1)
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JP2005286400A JP2007093526A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 圧力センサ |
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JP2005286400A JP2007093526A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 圧力センサ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012168161A (ja) * | 2011-01-25 | 2012-09-06 | Nippon Dempa Kogyo Co Ltd | 振動検出装置 |
WO2023238520A1 (ja) * | 2022-06-07 | 2023-12-14 | 株式会社大真空 | 圧力スイッチ |
-
2005
- 2005-09-30 JP JP2005286400A patent/JP2007093526A/ja not_active Withdrawn
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WO2023238520A1 (ja) * | 2022-06-07 | 2023-12-14 | 株式会社大真空 | 圧力スイッチ |
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