JP2007093404A - 多層膜反射鏡及び縮小投影露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高精度な面形状を有する多層膜反射鏡を提供する。
【解決手段】 基板4表面にMoを含む層とSiを含む層を交互に周期的に成膜した構造を有する多層膜6a,6bを備え、面内で除去量に分布を生じさせて前記多層膜6a,6bの表面近傍に設けられた低応力構造部分の多層膜6cを除去した多層膜反射鏡2において、前記低応力構造部分の多層膜6cが50MPa以下の応力絶対値を有する。
【選択図】 図2
【解決手段】 基板4表面にMoを含む層とSiを含む層を交互に周期的に成膜した構造を有する多層膜6a,6bを備え、面内で除去量に分布を生じさせて前記多層膜6a,6bの表面近傍に設けられた低応力構造部分の多層膜6cを除去した多層膜反射鏡2において、前記低応力構造部分の多層膜6cが50MPa以下の応力絶対値を有する。
【選択図】 図2
Description
この発明は、基板表面に多層膜を形成した多層膜反射鏡及び該多層膜反射鏡を備える縮小投影露光装置に関するものである。
近年、半導体集積回路の微細化の進展に伴い、光の回折限界によって制限される光学系の解像力を向上させるために、従来の紫外線に代えて、これより短い波長(例えば11〜14nm程度)の極端紫外線を使用した投影露光装置が開発されている。(特許文献1参照)。
上述の極端紫外線を使用した投影露光装置(EUV露光装置)においては、極端紫外線が透過する物質が存在しないため、光学系は反射鏡によって構成される必要があるが、この波長域では物質の屈折率が1よりも僅かに小さいことによる全反射を利用した斜入射ミラーや、界面での微弱な反射光の位相を合わせて多数重畳させて、全体として高い反射率を得る多層膜ミラーなどが使用される。
EUVリソグラフィに用いられる反射鏡は、波面収差に対して、形状誤差が小さく、高精度な面形状に形成される必要があるが、その加工は容易でない。ここで、多層膜反射鏡の表面を一層ずつ削り取ることによって、実質的にサブnmの形状誤差を補正する技術が開発されている(国際公開第01/41155号パンフレット参照)が、多層膜の層を削り取ることにより多層膜の内部応力が変化し、この多層膜の内部応力の変化は多層膜反射鏡の基板の形状を変形させる要因となる。
この発明の課題は、高精度な面形状を有する多層膜反射鏡及び該多層膜反射鏡を備えた縮小投影露光装置を提供することである。
この発明の多層膜反射鏡(2)は、基板(4)表面にMoを含む層とSiを含む層を交互に周期的に成膜した構造を有する多層膜(6a,6b)を備え、面内で除去量に分布を生じさせて前記多層膜(6a,6b)の表面近傍に設けられた低応力構造部分の多層膜(6c)を除去した多層膜反射鏡(2)において、前記低応力構造部分の多層膜(6c)が50MPa以下の応力絶対値を有することを特徴とする。
また、この発明の縮小投影露光装置は、この発明の多層膜反射鏡(2)を光学系(306〜309)の少なくとも一部に備えることを特徴とする。
この発明の多層膜反射鏡によれば、50MPa以下の応力絶対値を有する低応力構造部分の多層膜を除去しているため、多層膜反射鏡の表面の形状誤差の発生要因となる多層膜の内部応力の発生を防止しつつ、多層膜反射鏡の所望の波面形状に対する誤差の補正を良好に行なうことができる。
また、この発明の縮小投影露光装置によれば、光学系の少なくとも一部に形状誤差の少ない多層膜反射鏡を備えているため、波面形状の補正を良好に行なうことができ、良好な露光を行なうことができる。
図面を参照して、この発明の第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡について説明する。多層膜反射鏡は、例えば極端紫外光(EUV光)を露光光とするEUV露光装置等に用いられる。図1は第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡2の構成図、図2は多層膜反射鏡2のA−A断面図である。図1及び図2に示すように、多層膜反射鏡2は、高精度な形状に研磨された低熱膨張ガラス基板4の表面にモリブデン(Mo)を含む層とシリコン(Si)を含む層を交互に周期的にマグネトロンスパッタ成膜装置により成膜された構造を有する多層膜6(6a〜6d)を備えている。
図3は、マグネトロンスパッタ成膜装置の構成を示す図である。図3に示すように、マグネトロンスパッタ成膜装置は、真空排気された真空チャンバ10内に収容されている基板ホルダ12を備えている。基板ホルダ12は、低熱膨張ガラス基板4を保持しており、図示しない回転駆動機構により低熱膨張ガラス基板4を保持したまま回転軸AXを軸として回転可能に構成されている。
また、マグネトロンスパッタ成膜装置は、真空チャンバ10内に収容されている膜厚分布補正板14を備えている。膜厚分布補正板14は、低熱膨張ガラス基板4の近傍に配置されており、補正板駆動機構16により図中矢印方向に移動可能に構成されている。膜厚分布補正板14を図中矢印方向に移動させて低熱膨張ガラス基板4上に到達する成膜粒子の量を調整することにより、低熱膨張ガラス基板4上に成膜される膜の膜厚を制御することができる。
また、マグネトロンスパッタ成膜装置は、カソード18、ターゲット材としてのモリブデン板20、ターゲットシャッタ22を備えている。真空チャンバ10内に動作ガスを導入し、カソード18に電圧が印加されることにより、モリブデン板20の近傍にプラズマが発生する。このプラズマによって、モリブデン板20がスパッタされ、スパッタされた成膜粒子としてのモリブデン(Mo)がガラス基板4上に堆積する。なお、ターゲットシャッタ22は、モリブデンの成膜を行なう際には開放されており、後述するシリコンの成膜を行なう際には閉じられている。
また、マグネトロンスパッタ成膜装置は、カソード24、ターゲット材としてのシリコン板26、ターゲットシャッタ28を備えている。真空チャンバ10内に動作ガスを導入し、カソード24に電圧が印加されることにより、シリコン板26の近傍にプラズマが発生する。このプラズマによって、シリコン板26がスパッタされ、スパッタされた成膜粒子としてのシリコン(Si)がガラス基板4上に堆積する。なお、ターゲットシャッタ28は、シリコンの成膜を行なう際には開放されており、モリブデンの成膜を行なう際には閉じられている。
この実施の形態においては、図3に示すマグネトロンスパッタ成膜装置により、ガラス基板4の反射面(表面)にMo層4.14nm,Si層2.76nmの50層対の多層膜6aを成膜する。また、マグネトロンスパッタ成膜装置により、多層膜6a上にMo層2.76nm,Si層4.14nmの50層対の多層膜6bを成膜する。さらに、多層膜6b上にMo層3.48nm,Si層3.48nmの5層対の低応力構造部分の多層膜6cを成膜し、多層膜6c上にSi層2nmのシリコン単層膜6dを成膜する。
通常、EUV露光装置を構成する反射光学系に複数の反射鏡を用いる場合、その反射光学系の波面収差(WFE)に対して各反射鏡に許容される形状誤差(FE)は、(1)式で与えられる。
FE=WFE/2/√n(RMS)・・・(1)
ここで、nは、光学系を構成する反射鏡の数である。反射光学系においては入射光と反射光の両方がそれぞれ形状誤差の影響を受けるため、波面収差には形状誤差の2倍の誤差が乗ることから、(1)式に示すように、2で割る必要がある。即ち、各反射鏡に許容される形状誤差(FE)は、波長λと反射鏡の数nに対して、(2)式で与えられる。
ここで、nは、光学系を構成する反射鏡の数である。反射光学系においては入射光と反射光の両方がそれぞれ形状誤差の影響を受けるため、波面収差には形状誤差の2倍の誤差が乗ることから、(1)式に示すように、2で割る必要がある。即ち、各反射鏡に許容される形状誤差(FE)は、波長λと反射鏡の数nに対して、(2)式で与えられる。
FE=λ/28/√n(RMS)・・・(2)
例えば、波長13nmで、4つの反射鏡で構成される反射光学系の場合には各反射鏡に許容される形状誤差は0.23nmRMS、6つの反射鏡で構成される反射光学系の場合には各反射鏡に許容される形状誤差は0.19nmRMSとなる。この実施の形態にかかる多層膜反射鏡2をEUV露光装置に用いる場合についても、許容される形状誤差は同様である。しかしながら、このような高精度の球面形状の反射面を有するガラス基板を製造することは非常に困難である。また、高精度に研磨されたガラス基板であっても、多層膜を成膜することにより、反射波面が所望の波面形状に対して誤差を有する場合がある。
例えば、波長13nmで、4つの反射鏡で構成される反射光学系の場合には各反射鏡に許容される形状誤差は0.23nmRMS、6つの反射鏡で構成される反射光学系の場合には各反射鏡に許容される形状誤差は0.19nmRMSとなる。この実施の形態にかかる多層膜反射鏡2をEUV露光装置に用いる場合についても、許容される形状誤差は同様である。しかしながら、このような高精度の球面形状の反射面を有するガラス基板を製造することは非常に困難である。また、高精度に研磨されたガラス基板であっても、多層膜を成膜することにより、反射波面が所望の波面形状に対して誤差を有する場合がある。
ここで、多層膜反射鏡の表面を一層ずつ削り取ることにより、実質的にサブnmの形状誤差を補正することができる技術が開示されている(国際公開第01/41155号パンフレット参照)。例えば、図4に示すようなA,Bの2種類の物質を一定の周期長dで交互に積層した多層膜の表面から、図5に示すように一層対を除去する場合を考える。図4に示す多層膜表面に対して垂直方向に進行する光線に対する、厚さdの多層膜一層対の光路長OPは、OP=nAdA+nBdBである。ここで、dA、dBは各層の厚さを表し、dA+dB=dである。また、nA、nBは物質A、Bそれぞれの屈折率である。
図5に示す最表面の多層膜一層対を除去した厚さdの部分の光路長OP´は、OP´=ndで与えられる。ここで、nは真空の屈折率を表し、n=1である。即ち、多層膜の最上層を除去することにより、そこを通過する光線の光学的距離が変化する。これは、実質的にその変化分だけ面形状を修正したことと光学的に等価である。光路長の変化(即ち、面形状の変化)Δは、Δ=OP´−OPで与えられる。
極端紫外線の波長域においては物質の屈折率が1に近いため、Δは小さな量となり、多層膜反射鏡の表面を一層ずつ削り取る方法により面形状の補正を精密に行なうことができる。例えば、波長13.4nmでMo/Si多層膜を用いた場合について説明する。直入射で使用するために、一層対の厚さdを6.8nm、モリブデン層の厚さdMoを2.3nm、シリコン層の厚さdSiを4.5nmとする。波長13.4nmにおけるモリブデンの屈折率nMoは0.92、シリコンの屈折率nSiは0.998である。これらの数値を用いて光路長の変化を計算する。多層膜反射鏡の表面を削り取る前の光路長OPは6.6nm、一層対削り取った後の光路長OP´は6.8nm、光路長の変化Δ=OP´−OP=0.2nmとなる。
一層対削り取ることにより、0.2nm相当の面形状の補正を行うことができる。なお、Mo/Si多層膜の場合、Si層の屈折率は1に近いため、光路長の変化Δは主としてMo層の有無に依存するものであり、Si層の有無に殆ど依存しない。従って、多層膜の層を除去する際に、Si層の厚さを正確に制御する必要はない。上述の例によれば、Si層の厚さは4.5nmであり、Si層の途中で除去加工を停止すればよい。即ち、数nmの精度の除去加工を施すことにより0.2nm単位の面形状の補正を行うことができる。
実際には、多層膜の成膜を行った後に反射波面を測定し、その結果に基づいて部分的な多層膜除去加工量を決定し、実際の除去加工を行う。なお、多層膜の反射率は積層数とともに増加して一定の層数を越えると飽和して一定になる。予め反射率が飽和するのに充分な層数を積層することにより、多層膜の表面から多層膜の一部を除去した場合においても多層膜の反射率の変化は生じない。
また、一般的に多層膜は内部応力を有しており、EUV露光装置に用いられるMo/Si多層膜、Mo/Be多層膜も例外ではなく、多層膜の種類、膜厚等により圧縮応力または引っ張り応力を有する。EUVリソグラフィにおいては、この多層膜の内部応力は多層膜が成膜される基板表面の形状に無視できない影響を与える。上述のとおり、EUV露光装置に用いられる投影光学系用の反射鏡に求められる形状精度は0.23〜0.19nmRMS以下である。例えば投影光学系用の基板の表面をこの形状精度で加工できたとしても、基板にMo/Si多層膜やMo/Be多層膜を成膜した場合、多層膜の内部応力によって基板形状は変化する。基板形状の変化量は基板の形状によって異なるが、EUV露光装置に用いられる投影光学系用の反射鏡に求められる形状精度を上回る変形が生ずる可能性がある。
例えば、φ200mm、厚さ40mmの石英基板の片面に、-400MPaの圧縮応力を有するMo/Si多層膜(周期長7.0nm、Γ=0.35、50層対)を成膜した場合、石英基板の変形量は10nmを越える。ここで、Γは単位層構造の分割比であり、周期長に占める吸収率の大きい物質の厚さの割合を示している。即ち、周期長7.0nmに対して吸収率の大きい物質であるMo層の厚さが占める割合である。
基板の変形のうち基板の曲率半径の変化に寄与する成分の影響に対しては、反射鏡間の距離を調整することにより、結像性能への影響を小さく保ったまま対処することができる。しかしながら、反射鏡間の距離の調整では対処することができない基板変形の成分も1nm相当以上存在し、EUVリソグラフィにおいては重大な影響を与える。特に、基板の形状が完全に回転対称でない場合には、多層膜の応力の絶対値を10MPaの精度で制御する必要がある。
ここで、EUV露光装置の光学系に用いられるMo/Si多層膜は一般に−300MPa〜−400MPa程度の応力(圧縮応力)を有しているため、多層膜の除去加工を行なった場合、多層膜総膜厚の変化により全応力(応力×膜厚:膜が基板を変形させる力に相当)が変化し、全応力が変化すると基板に変形が生じる。反射波面形状を非常に高い精度で制御することが必要なEUV露光装置の光学系においては、反射波面形状に影響を与える基板変形が生じないようにする必要がある。
そこで、この実施の形態にかかる多層膜反射鏡においては、多層膜6aを+350MPaの引っ張り応力を有するように構成し、多層膜6bを−350MPaの圧縮応力を有するように構成している。従って、これらを成膜した状態では、多層膜全体の全応力はゼロとなり、応力による基板変形は生じない。また、多層膜6cはΓ=0.5のMo/Si多層膜であり、図6のグラフに示すように、Γ=0.5のMo/Si多層膜の応力絶対値は0MPaであることから、応力による基板変形は生じない。
次に、多層膜反射鏡の反射波面の補正について説明する。まず、多層膜6a〜6c及びシリコン単層膜6dが成膜された多層膜反射鏡2のEUV光反射波面を測定する。例えば、測定した結果、反射波面が所望の波面形状に対して誤差を有しており、図7に示す領域Cで位相を0.9nm、領域Dで位相を0.6nm遅らせる必要があるとする。
この場合には、まず、シリコン単層膜6dをイオンビーム照射により除去する。そして、イオンビーム照射により多層膜6cの一部を図8に示すように除去する。照射したイオンビームは700eVに加速したアルゴンイオンビームであり、ビームの拡がりは2cm(1σ)である。イオンの照射時間を制御することにより多層膜6cの除去量を制御する。領域Cにおいてはモリブデン層とシリコン層を3層対、領域Dにおいてはモリブデン層とシリコン層を2層対除去する。
多層膜6cの1層対中のモリブデン層の厚さが3.48nmであるので、多層膜6cの1層対が除去されることにより反射波面の位相は0.3nm遅れる。よって、領域C,Dではそれぞれ反射波面の位相が0.9nm,0.6nm遅れ、所望の反射波面を得ることができる。多層膜6cの除去加工を行なった後に、図9に示すように、多層膜6c上に厚さ2nmのシリコン単層膜6dを再び成膜する。シリコン単層膜6dは、除去加工により露出したモリブデン層の酸化を防止する機能を有する。
上述したように、除去した多層膜6cはΓ=0.5のMo/Si多層膜であり、1層対単位での応力絶対値は0MPaであるため、一層対単位での除去加工により全応力に変化は生じない。また、シリコン単層膜6dが除去加工後に再び成膜されているため、全応力に変化は生じない。なお、多層膜6cの応力絶対値が50MPa以下であれば、多層膜除去加工を行なった場合においても、全応力の変化を小さく抑えることができ、ガラス基板4の変形を抑制することができる。
また、高反射率を有するΓ=0.4の多層膜6b上にΓ=0.5の多層膜6cを成膜しているため、Γ=0.4のみの多層膜の反射率と比較した場合、多層膜反射鏡2の反射率は低いが、多層膜6cは5層対と少ないため、図10のグラフに示すように、反射率低下量は1%以内に抑えられる。図10の実線はΓ=0.4のみの多層膜の反射率、破線は多層膜反射鏡2(Γ=0.4とΓ=0.5の多層膜)の反射率を示している。なお、多層膜反射鏡2の反射率の低下が許容できる範囲内であれば、多層膜6cの成膜層数を5ペア層より多くしてもよいが、10ペア層以下にするのが望ましい。また、この実施の形態にかかる多層膜6cのΓ値は0.5であるが、多層膜6cのΓ値は0.45〜0.55であればよい。
この第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡2によれば、応力絶対値が0MPaの低応力構造部分の多層膜6cを除去しているため、多層膜反射鏡2の表面の形状誤差の発生要因となる多層膜の内部応力の発生を防止しつつ、多層膜反射鏡2の所望の波面形状に対する誤差の補正を良好に行なうことができる。
なお、第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡の多層膜は、モリブデン及びシリコンにより構成されているが、モリブデン及びシリコン以外の物質により構成してもよい。また、酸化防止膜として最表面にシリコン単層膜を成膜しているが、例えばSiO2、SiC等のシリコン化合物等の他の物質を成膜してもよい。但し、吸収が小さく、EUV波長域における屈折率が1に近い物質を用いるのが望ましい。
また、第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡においては、Mo層、Si層により構成される多層膜を備えているが、高反射率を有し、かつ全応力を小さくすることができる複数の物質層を組み合わせて構成される多層膜を備えるようにしてもよい。
また、第1の実施の形態においては、イオンビーム照射により多層膜の除去加工を行なっているが、イオンビーム照射以外、例えば径の小さいポリッシャと砥粒を用いて多層膜の除去加工を行なってもよい。
また、第1の実施の形態においては、低応力の多層膜としてΓ値が0.5の多層膜6cをガラス基板の表面近傍に成膜しているが、多層膜6cの代わりに、応力が小さく、成膜後の全体の反射率の低下が小さい多層膜をガラス基板の表面近傍に成膜してもよい。例えば、Mo/Ru(ルテニウム)/Mo/Siの構造を有する多層膜を低応力構造部分の多層膜として成膜してもよい。この場合には、それぞれの膜厚をMo層0.75nm/Ru層1.0nm/Mo層0.75nm/Si層4.75nmとするのが望ましい。
次に、図面を参照して、この発明の第2の実施の形態にかかるEUV露光装置について説明する。図11は、第2の実施の形態にかかるEUV露光装置(縮小投影露光装置)の概略構成を示す図である。図11に示すEUV露光装置においては、光路上はすべて真空に保たれている。EUV露光装置は、光源を含む照明光学系ILを備えている。照明光学系ILから射出されたEUV光(一般的には波長5〜20nmを指し、具体的には波長13nm、11nmが用いられる。)は、折り返しミラー301により反射され、パターンが形成されているレチクル302上を照射する。
レチクル302は、反射型のレチクルであり、レチクルステージ303に固定されたチャック303aに保持されている。レチクルステージ303は、走査方向に100mm以上移動可能に構成されており、走査方向と直交する方向及び光軸方向に微小移動可能に構成されている。レチクルステージ303の走査方向及び走査方向に直交する方向の位置は図示しないレーザ干渉計により高精度に制御され、光軸方向の位置はレチクルフォーカス送光系304とレチクルフォーカス受光系305からなるレチクルフォーカスセンサにより制御されている。
レチクル302にはEUV光を反射する多層膜(例えば、モリブデン(Mo)/シリコン(Si)やモリブデン(Mo)/ベリリウム(Be))が成膜されており、この多層膜の上の吸収層(例えば、ニッケル(Ni)やアルミニウム(Al))によりパターニングされている。レチクル302により反射されたEUV光は、光学鏡筒314内に入射する。
光学鏡筒314内には、複数(この実施の形態においては4つ)のミラー306,307,308,309が設置されている。これらのミラー306〜309の少なくとも1つは、第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されている。なお、この実施の形態においては、投影光学系として4つのミラーを備えているが、6つまたは8つのミラーを備えるようにしてもよい。この場合には、開口数(NA)をより大きくすることができる。
光学鏡筒314内に入射したEUV光は、ミラー306により反射された後、ミラー307、ミラー308、ミラー309により順次反射され、光学鏡筒314内から射出して、ウエハ310に入射する。なお、ミラー306〜309等により構成される投影光学系の縮小倍率は、例えば1/4または1/5である。また、光学鏡筒314の近傍には、ウエハ310のアライメントを行なうオフアクシス顕微鏡315が設置されている。
ウエハ310は、ウエハステージ311に固定されたチャック311a上に保持されている。ウエハステージ311は、光軸と直交する面内に設置されており、光軸と直交する面内に例えば300〜400mm移動可能に構成されている。また、ウエハステージ311は、光軸方向にも微小移動可能に構成されている。ウエハステージ311の光軸方向の位置は、ウエハオートフォーカス送光系312とウエハオートフォーカス受光系313からなるウエハオートフォーカスセンサにより制御されている。ウエハステージ311の光軸と直交する面内における位置は、図示しないレーザ干渉計により高精度に制御されている。
露光時には、レチクルステージ303とウエハステージ311は、投影光学系の縮小倍率と同一の速度比、例えば、(レチクルステージ303の移動速度):(ウエハステージ311の移動速度)=4:1または5:1で同期走査する。
この第2の実施の形態にかかるEUV露光装置によれば、投影光学系を構成するミラーの少なくとも1つが第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されているため、波面形状の補正を良好に行なうことができ、良好な露光を行なうことができる。
なお、第2の実施の形態においては、ミラー306〜309の少なくとも1つが第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されているが、照明光学系ILに含まれるミラー、折り返しミラー301、レチクル302等が第1の実施の形態にかかる多層膜反射鏡により構成されるようにしてもよい。
2…多層膜反射鏡、4…ガラス基板、6a〜6c…Mo/Si多層膜、6d…シリコン単層膜、12…基板ホルダ、14…膜厚分布補正板、18,24…カソード、20…モリブデン板、22,28…ターゲットシャッタ、26…シリコン板、IL…照明光学系、302…レチクル、303…レチクルステージ、306〜309…ミラー、310…ウエハ、311…ウエハステージ。
Claims (5)
- 基板表面にMoを含む層とSiを含む層を交互に周期的に成膜した構造を有する多層膜を備え、面内で除去量に分布を生じさせて前記多層膜の表面近傍に設けられた低応力構造部分の多層膜を除去した多層膜反射鏡において、
前記低応力構造部分の多層膜が50MPa以下の応力絶対値を有することを特徴とする多層膜反射鏡。 - 前記低応力構造部分の多層膜の成膜層数が10ペア層以下であることを特徴とする請求項1記載の多層膜反射鏡。
- 前記低応力構造部分の多層膜のΓ値が0.45〜0.55であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の多層膜反射鏡。
- 前記低応力構造部分の多層膜の成膜構造がMo/Ru/Mo/Siであることを特徴とする請求項1記載の多層膜反射鏡。
- 請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の多層膜反射鏡を光学系の少なくとも一部に備えることを特徴とする縮小投影露光装置。
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Legal Events
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090908 |
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A02 | Decision of refusal |
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