JP2007093392A - 3次元形状評価方法及び3次元形状評価装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】外形が変化するワークであっても、3次元形状を正確に評価することがで、容易に評価することのできる3次元形状評価方法及び3次元形状評価装置の提供。
【解決手段】断面データ計算S4は点群データからワークWの所定断面における外形形状を表す断面データを求め、線分決定S5は断面データのうちの1つを第1点A1とし第1点A1から引いた所定の基準直線lが外形形状と当接又は接する第2点A2を求める。歪み量計算S7は評価点から外形形状までの距離を歪み量Lとして求め、断面歪み量計算S10は第1点A1を断面データ上で一定距離毎に移動させ線分決定S5及び歪み量計算S7を各々実行し立体歪み量計算S11は所定断面から一定距離毎に平行にずらした各断面における断面データ計算S4及び断面歪み量計算S10を実行する。回転歪み量計算S12はワークWを一定角度毎に回転させた各断面における立体歪み量計算S11を実行する。
【選択図】 図4
【解決手段】断面データ計算S4は点群データからワークWの所定断面における外形形状を表す断面データを求め、線分決定S5は断面データのうちの1つを第1点A1とし第1点A1から引いた所定の基準直線lが外形形状と当接又は接する第2点A2を求める。歪み量計算S7は評価点から外形形状までの距離を歪み量Lとして求め、断面歪み量計算S10は第1点A1を断面データ上で一定距離毎に移動させ線分決定S5及び歪み量計算S7を各々実行し立体歪み量計算S11は所定断面から一定距離毎に平行にずらした各断面における断面データ計算S4及び断面歪み量計算S10を実行する。回転歪み量計算S12はワークWを一定角度毎に回転させた各断面における立体歪み量計算S11を実行する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、3次元形状評価方法及び3次元形状評価装置に関する。
従来、一般的な3次元形状評価方法として、検査員の目視、触感等の官能によるものが知られている。しかし、この方法では、評価対象量が定量化されていないため、検査員の評価にばらつきが生じ、客観的かつ正確にワークの3次元形状を評価することができない。また、評価に際し高い技能が求められるため、ワークの3次元形状を正しく評価するのは困難である。
これに対し、特許文献1記載の3次元形状評価方法が提案されている。この特許文献1記載の方法は、データ取得ルーチンにより3次元形状測定器によってワークの3次元の点群データを取得し、評価ルーチンによりこの点群データとCADデータ又はマスターワークのデータとを比較して、ワークの3次元形状を評価するものである。特許文献1記載の方法によれば、評価対象量が定量化されているため、検査員の評価のばらつきを防止でき、客観的かつ正確にワークの3次元形状を評価することができる。また、評価に際し高い技能は不要であるため、容易にワークの3次元形状を評価することができる。
特開2000−122996公報
しかし、上記特許文献1記載の方法では、基準となるCADデータ又はマスターワークのデータとワークのデータとを比較して3次元形状を評価するものであるため、例えば、溶接ビードの仕上部分等の3次元形状を評価するのは困難である。すなわち、溶接ビードの仕上部分は、面積や2次元形状が一定していないのみならず、3次元的にうねった滑らかな凸平面が凹凸歪みを持つ上、緩やかな凹歪みがヤスリがけの粗さの中に埋もれてしまっている等の特徴を有する。そして、これらの特徴がワーク毎に異なる結果、ワーク毎に3次元形状が異なることとなるからである。
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、3次元方向において外形形状が変化するワークであっても、3次元形状を客観的かつ正確に評価することができる上、容易に評価することのできる3次元形状評価方法及び3次元形状評価装置を提供するものである。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る3次元形状評価方法の特徴は、3次元形状測定器によって3次元の点群データを取得するデータ取得ルーチンと、該点群データに基づいてワークの3次元形状を評価する評価ルーチンとを備えた3次元形状評価方法において、前記評価ルーチンは、記点群データからワークの所定断面における外形形状を表す断面データを求める断面データ計算ステップと、該断面データのうちの1つを第1点とし、該第1点から引いた所定の基準直線が該外形形状と当接する第2点を求める線分決定ステップと、前記断面データ上の前記第1点から前記第2点までの複数の評価点から前記基準直線までの距離を歪み量として求める歪み量計算ステップと、前記第1点を前記断面データ上で一定距離毎に移動させ、前記線分決定ステップ及び前記歪み量計算ステップを各々実行する断面歪み量計算ステップと、前記所定断面から一定距離毎に平行にずらした各断面における前記断面データ計算ステップ及び前記断面歪み量計算ステップを実行する立体歪み量計算ステップと、ワークを一定角度毎に回転させた各断面における該立体歪み量計算ステップを実行する回転歪み量計算ステップと、を備えたことである。
請求項2に係る3次元形状評価方法の特徴は、請求項1において、前記評価ルーチンは、前記断面データ計算ステップを実行する前に、前記データ取得ルーチンで得られた前記点群データを平面の最小自乗法により修正することである。
請求項3に係る3次元形状評価方法の特徴は、請求項2において、前記評価ルーチンは、前記断面データ計算ステップを実行する前に、平面の最小自乗法により修正された前記点群データを所定のデータ量まで減少させることである。
請求項4に係る3次元形状評価方法の特徴は、請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、前記歪み量計算ステップは、前記各評価点において、前記歪み量のうちの最大値及び/又は最小値を保存することである。
請求項5に係る3次元形状評価方法の特徴は、請求項4において、前記歪み量が所定の基準値以上である隣接した前記評価点をグルーピングし、該グルーピングされたエリアを凹部として認定することである。
請求項6に係る3次元形状評価方法の特徴は、請求項4において、前記歪み量が所定の基準値以下である隣接した前記評価点をグルーピングし、該グルーピングされたエリアを凸部として認定することである。
請求項7に係る3次元形状評価方法の特徴は、請求項5又は請求項6において、前記エリアの面積及び前記エリア内の前記評価点の前記歪み量の総和に基づき凹凸を評価することである。
請求項8に係る3次元形状評価装置の特徴は、3次元形状測定器によって3次元の点群データを取得するデータ取得手段と、該点群データに基づいてワークの3次元形状を評価する評価手段とを備えた3次元形状評価装置において、前記評価手段は、前記点群データからワークの所定断面における外形形状を表す断面データを求める断面データ計算手段と、該断面データのうちの1つを第1点とし、該第1点から引いた所定の基準直線が該外形形状と当接する第2点を求める線分決定手段と、前記断面データ上の前記第1点から前記第2点までの複数の評価点から前記基準直線までの距離を歪み量として求める歪み量計算手段と、前記第1点を前記断面データ上で一定距離毎に移動させ、前記線分決定手段及び前記歪み量計算手段を各々実行する断面歪み量計算手段と、前記所定断面から一定距離毎に平行にずらした各断面における前記断面データ計算手段及び前記断面歪み量計算手段を実行する立体歪み量計算手段と、ワークを一定角度毎に回転させた各断面における該立体歪み量計算手段を実行する回転歪み量計算手段と、を備えたことである。
請求項9に係る3次元形状評価装置の特徴は、請求項8において、前記歪み量計算手段は、前記各評価点において、前記歪み量のうちの最大値及び最小値を保存することである。
請求項1に係る3次元形状評価方法においては、歪み量計算ステップにおいて求めた歪み量によりワークの3次元形状を評価しているため、評価対象量が定量化されている。また、この評価方法においては、立体歪み量計算ステップにおいて、一定距離毎に平行にずらした各断面における歪み量を求め、回転歪み量計算ステップにおいて、ワークを一定角度毎に回転させて歪み量を求めているため、異なった角度の平行断面においてワークの歪み量を評価することができる。したがって、請求項1に係る3次元形状評価方法によれば、3次元方向において外形形状が変化するワークであっても、3次元形状を客観的かつ正確に評価することができる上、容易に評価することができる。なお、「当接」には、接する場合も含まれるものとする。
請求項2に係る3次元形状評価方法においては、請求項1に係る発明において、点群データを平面の最小自乗法により修正しているため、ワークの3次元形状をより正確に評価することができる。
請求項3に係る3次元形状評価方法においては、請求項2に係る発明において、平面の最小自乗法により修正された点群データを所定のデータ量まで減少させているため、ヤスリがけ等による細かい凹凸の影響を避けることができるとともに、評価時間を短縮することができる。
請求項4に係る3次元形状評価方法においては、請求項1乃至請求項3のいずれかの発明において、各評価点において、歪み量のうちの最大値及び/又は最小値を保存しているため、メモリのデータエリアを節約することができる。
請求項5に係る3次元形状評価方法においては、請求項4の発明において、歪み量が所定の基準値以上である隣接した評価点をグルーピングし、そのエリアを凹部と認定しているため、凹歪みの評価が容易になる。
請求項6に係る3次元形状評価方法においては、請求項4の発明において、歪み量が所定の基準値以下である隣接した評価点をグルーピングし、そのエリアを凸部と認定しているため、凸歪みの評価が容易になる。
請求項7に係る3次元形状評価方法においては、請求項5又は請求項6の発明において、グルーピングされたエリアの面積及びエリア内の評価点の歪み量の総和に基づき凹凸を評価しているため、現実に即してワークの3次元形状を評価することができる。
請求項8に係る3次元形状評価装置においては、歪み量計算手段において求めた歪み量によりワークの3次元形状を評価しているため、評価対象量が定量化されている。また、この評価装置においては、立体歪み量計算手段において、一定距離毎に平行にずらした各断面における歪み量を求め、回転歪み量計算手段において、ワークを一定角度毎に回転させて歪み量を求めているため、異なった角度の平行断面においてワークを評価することができる。したがって、請求項8に係る3次元形状評価装置によれば、3次元方向において外形形状が変化するワークであっても、3次元形状を客観的かつ正確に評価することができる上、容易に評価することができる。
請求項9に係る3次元形状評価装置においては、請求項8の発明において、各評価点において、歪み量のうちの最大値及び/又は最小値を保存しているため、メモリのデータエリアを節約することができる。
本発明の3次元形状評価方法及び3次元形状評価装置を具体化した実施形態を図面に基づいて以下に説明する。図1は本実施形態の3次元形状評価装置の斜視図である。この3次元形状評価装置は、測定ヘッド1、ステージ2、ワーク台3、ワーク固定治具4及び制御処理装置5を備えている。測定ヘッド1は、矢印で示すようにステージ2に沿って上下方向に移動し、ワークWにラインレーザを照射するレーザ投光器11と、ワークWから反射されたレーザを検知するCCDカメラ12とを備えている。ワーク固定治具4は、ワークWをワーク台3に載せて固定する。制御処理装置5は、測定ヘッド1を制御するとともにデータ処理を行う。また、測定ヘッド1は制御処理装置5と電気的に接続されている。図2はワークWの正面図である。ワークWは鋼板90と鋼板91とを溶接により接合したものであり、溶接ビード部92にはヤスリがけが施されている。
本実施形態は、ワークWのレーザ投光器11に対向する面を評価面とし、この3次元形状評価装置を用いて、ワークWの評価面の3次元形状を評価するものである。次に、この3次元形状評価方法を概説する。この3次元形状評価方法では、図3の矢印で示すように、ワークWにラインレーザを所定間隔で照射し、反射されたレーザからワークWの3次元点群データを取得する。そして、この3次元点群データから、ワークWを1度毎に180度まで回転した場合における平行な断面100の断面データを計算し、各断面データから各点における歪み量を求める。最後に、各点における歪み量から、ワークWの評価面の3次元形状を評価する。
次に、図4により、本実施形態の3次元形状評価方法を具体的に説明する。まず、ワーク固定治具4により、ワークWをワーク台3の所定の位置に固定する。そして、図示しないスタートスイッチを押すことにより、図4に示すプログラムの実行が開始される。
図4に示すプログラムの実行が開始されると、まず、ステップS1において、ワークWの3次元点群データが取得される。具体的には、制御処理装置5からの指令により、レーザ投光器11からラインレーザがワークWに照射される。また、CCDカメラ12により、ワークWから反射されたレーザが検知され、そのデータが制御処理装置5に転送される。なお、このデータは、基準面をXY平面としたとき、ワークWの評価面のZ軸方向の距離を表している。そして、測定ヘッド1をステージ2に沿って上方に移動しつつ、所定の測定領域について測定が終了するまで、上記操作が繰り返される。こうして、CCDカメラ12から制御処理装置5に転送されたデータは、ワークWの3次元の点群データとされ、制御処理装置5のメモリに記憶される。なお、後述するように、この点群データはX軸方向及びY軸方向とも0.1mm間隔で取得される。ここで、ステップS1が請求項1のデータ取得ルーチンである。
ステップS2においては、点群データの修正を行う。ワーク台3の上にワークWを載せて固定する際、図5(A)に示すように、評価面の向きが傾いて法線Z0がZ軸に平行にならない場合が起こり得る。そのため、図5(B)に示すように、点群データの修正を行い、平面の最小自乗法により求めた法線Z0の向きがZ軸に平行になるようにする。
ステップS3においては、点群データの間引きを行う。ステップS2により得られた点群データは、図6(A)に示すように、X軸方向及びY軸方向とも0.1mm間隔のメッシュの1個につき、1個のデータが得られる。この点群データをそのまま用いたのでは、ヤスリがけによる細かい凹凸である表面粗さが大きく影響するばかりでなく、評価に長時間を要してしまう。そのため、これらを防止して、ワークWの評価面の3次元形状を適正に評価できるように点群データの間引きを行うのである。点群データの間引きは、上記問題点を解決できる程度のXYメッシュ(X、Y)に区切り、各XYメッシュ(X、Y)内の点群データの平均値を新たな点群データの値とすることにより行う。本実施形態においては、図6(B)に示すように、X軸方向及びY軸方向とも1mm間隔のXYメッシュ(X、Y)に区切っている。そのため、100個の点群データが1個の新たな点群データとされる。ステップS3を実行すると、XYメッシュ(X、Y)の数と同数の点群データが得られる。ここで、点群データは、そのXYメッシュ(X、Y)の位置における評価面のZ軸方向の平均距離である。また、これとは別に、凹歪みの評価を行うため、XYメッシュ(X、Y)と同数の最大歪み量Lmax(X、Y)のデータエリアが確保されている。したがって、1個のXYメッシュ(X、Y)は、1個の点群データと1個の最大歪み量Lmax(X、Y)とに対応している。
ステップS4においては、ステップS3で得られた点群データから、Z軸に平行な平面でワークWを切断した断面データを計算し、図7に示すように、所定断面における外形形状を求める。ここで、○印は断面データを表しており、各々の断面データ間のXY平面に平行な距離は等しい。この断面データ間の距離は、ワークWを切断するZ軸に平行な平面がX軸となす角度によって決定される。なお、断面データの具体的な計算方法及び断面データ間の距離については後述する。ここで、ステップS4が請求項1の断面データ計算ステップである。
ステップS5においては、図8(A)、(B)、(C)に示すように、外形形状に含まれる断面データの1つを第1点A1とし、この第1点A1からX軸方向の長さがlxである基準直線lを引く。そして、基準直線lが外形形状と当接又は接する第2点A2を求める。この基準直線lの長さlxは、人が相対的に凹と評価できる長さであり、本実施形態ではlx=25mmである。図8(A)は、基準直線lが外形形状と接しない場合の例である。この場合は、基準直線lが外形形状と当接する点を第2点A2とする。また、図8(B)は、基準直線lが外形形状と接する場合の例である。この場合は、接点を第2点A2とする。さらに、図8(C)は、基準直線lが外形形状の下側において外形形状と接する場合の例である。なお、基準直線lが外形形状の下側になる場合であっても、図8(A)、(B)と同様の方法で第2点A2を求めることができる。ここで、ステップS5が請求項1の線分決定ステップである。
ステップS6においては、図9(A)、(B)に示すように、断面データ上において、第1点A1から第2点A2までの複数の評価点B1、B2、B3、B4を求める。なお、図9(A)、(B)では、便宜的に評価点B1、B2、B3、B4を4個にしている。
ステップS7においては、図9(A)、(B)に示すように、各評価点B1、B2、B3、B4から基準直線lまでの垂直距離を歪み量Lとして求める。ただし、矢印下方向を正とし、矢印上方向を負とする。図9(A)は、基準直線lが外形形状の上側にある場合である。この場合は、歪み量Lは正になり、凹歪みを表す。また、図9(B)は、基準直線lが外形形状の下側にある場合である。この場合は、歪み量Lは負になり、凸歪みを表す。このように、断面データの一部である評価点B1、B2、B3、B4から基準直線lへの垂直距離を歪み量Lとしているため、XY平面上の断面データの位置における歪み量Lを正確に表すことができる。ここで、ステップS7が請求項1の歪み量計算ステップである。
ステップS8においては、各評価点B1、B2、B3、B4の歪み量Lが、すでに記憶されている各評価点B1、B2、B3、B4の属するXYメッシュ(X、Y)の最大歪み量Lmax(X、Y)より大きいか否かを比較する。歪み量Lが最大歪み量Lmax(X、Y)より大きい場合(YES)、ステップS9に進む。また、歪み量Lが最大歪み量Lmax(X、Y)より小さいか又は等しい場合(NO)、ステップS10に進む。なお、前述したように、XYメッシュ(X、Y)毎に最大歪み量Lmax(X、Y)を有している。
ステップS9においては、歪み量Lを最大歪み量Lmax(X、Y)として記憶する。この最大歪み量Lmax(X、Y)は、XYメッシュ(X、Y)における凹歪みの最大値を表す。
ステップS10においては、1つの断面の外形形状について、上記ステップS5、ステップS6、ステップS7がすべて終了したか否かをチェックする。すべての断面データについて、上記ステップS5、ステップS6、ステップS7が終了した場合(YES)、1つの断面の外形形状について終了したと判断して、ステップS11に進む。また、すべての断面データについて、上記ステップS5、ステップS6、ステップS7が終了していない場合(NO)、1つの断面の外形形状について終了していないと判断して、ステップS5に戻る。ここで、ステップS10が請求項1の断面歪み量計算ステップである。
ステップS11においては、平行なすべての断面の外形形状について、歪み量Lの検討がされたか否かをチェックする。平行なすべての断面の外形形状について、歪み量Lの検討がされた場合(YES)、ステップS12に進む。ステップS11の終了により、1mm毎に平行にずらした各断面、すなわち、ワークWを同じ角度から見た各断面における歪み量Lの検討が終了する。また、平行なすべての断面の外形形状について、歪み量Lの検討がされていない場合(NO)、ステップS4に戻り、次の断面における外形形状について歪み量Lの検討を行う。ここで、ステップS11が請求項1の立体歪み量計算ステップである。
ステップS12においては、ワークWを180度回転させたすべての平行断面の外形形状について、歪み量Lの検討がされたか否かをチェックする。すべて終了している場合(YES)、ステップS13に進む。ステップS12の終了により、ワークWを1度毎に回転させて、180度全方向から見た歪み量Lの検討が終了する。また、未だ終了していない場合(NO)、ワークWをさらに1度回転させ、ステップS4に戻る。ここで、ステップS12が請求項1の回転歪み量計算ステップである。
ステップS13においては、最大歪み量Lmax(X、Y)が基準値(本実施形態においては30μmの凹歪みに相当する値)以下の隣接した点をグルーピングする。この結果を、図10に示すように、制御処理装置5のモニタに表示することができる。図10において、凹部30、31はグルーピングされたエリアを表わしている。
ステップS14においては、凹部30、31の面積及び歪み量の総和を計算する。
ステップS15においては、ステップS14で計算した凹部30、31の面積及び歪み量の総和に基づいて凹歪みの評価を行う。この際、少なくとも面積又は歪み量の総和の一方が各々の基準値以上である場合、ワークWを不良品(NG)とする。また、面積及び歪み量の総和の両方が各々の基準値以下である場合、ワークWは良品(OK)とされる。ステップS15の実行が終了すると、このプログラムの実行が終了する。
次に、ステップS4における断面データの具体的な計算方法及び断面データ間の距離(ステップS6の評価点B1、B2、B3、B4の間の距離)の決定方法について詳説する。ステップS3で得られたXYメッシュ(X、Y)を図11に示す。要素X、YによりXYメッシュ(X、Y)のXY平面上の位置が表される。便宜上、要素X、Yは、各々0〜7の各8個とする。また、1個のXYメッシュ(X、Y)は、X軸方向及びY軸方向とも1mm間隔であり、1個の点群データを有している。ここで、点群データは、そのXYメッシュ(X、Y)の位置における評価面のZ軸方向の平均距離である。
まず、Z軸に平行な平面でかつX軸とのなす角が0度である平面C1により、ワークWを切断した断面データa0、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7を求める方法を説明する。平面C1は、XYメッシュ(0、0)、(1、0)、(2、0)、(3、0)、(4、0)、(5、0)、(6、0)、(7、0)の中央を通るため、これらのXYメッシュ(X、Y)の点群データがそのまま断面データa0、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7となる。そして、断面データa0、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7間の距離は、X方向に隣接するXYメッシュ(X、Y)の中央の距離であり、1mmである。以下、平面C1に対して平行で、かつ平面間の距離が1mmである平面C2、C3、C4、C5、C6、C7についても同様である。
次に、図12に示すように、X軸とのなす角が0度より大きく45度以下(135度以上、180度未満の場合も同様)である平面C9により、ワークWを切断した断面データを求める方法を説明する。まず、平面C9はXYメッシュ(0、1)、(5、3)の中央を通るため、XYメッシュ(0、1)、(5、3)の点群データがそのまま断面データa0、a5となる。断面データa1は、XYメッシュ(1、2)寄りのXYメッシュ(1、1)に属しているため、XYメッシュ(1、1)、(1、2)の2つの点群データの比例配分により求められる。断面データa2は、XYメッシュ(2、1)寄りのXYメッシュ(2、2)に属しているため、XYメッシュ(2、2)、(2、1)の2つの点群データの比例配分により求められる。すなわち、断面データa1、a2は、Y方向に隣接したXYメッシュ(X、Y)の2つの点群データの比例配分により求められる。断面データa3、a4、a6、a7についても同様に求められる。そして、断面データa0、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7間の距離は、隣接する断面データのX方向の成分の距離が1mmとなるような値であり、この場合は約1.077mmである。以下、平面C9に対して平行で、かつ平面間の距離が1mmである平面についても同様である。なお、ワークWを切断する平面とX軸とのなす角が45度、135度の場合、断面データ間の距離は最大になり、約1.414mmである。
また、図13に示すように、X軸とのなす角が45度より大きく135度未満である平面C10により、ワークWを切断した断面データを求める方法を説明する。まず、平面C10はXYメッシュ(1、0)、(3、5)の中央を通るため、XYメッシュ(1、0)、(3、5)の点群データがそのまま断面データa0、a5となる。断面データa1は、XYメッシュ(2、1)寄りのXYメッシュ(1、1)に属しているため、XYメッシュ(1、1)、(2、1)の2つの点群データの比例配分により求められる。断面データa2は、XYメッシュ(1、2)寄りのXYメッシュ(2、2)に属しているため、XYメッシュ(2、2)、(1、2)の2つの点群データの比例配分により求められる。すなわち、断面データa1、a2は、X方向に隣接したXYメッシュ(X、Y)の2つの点群データの比例配分により求められる。断面データa3、a4、a6、a7についても同様に求められる。そして、断面データa0、a1、a2、a3、a4、a5、a6、a7間の距離は、隣接する断面データのY方向の成分の距離が1mmとなるような値であり、この場合は約1.077mmである。以下、平面C10に対して平行で、かつ平面間の距離が1mmである平面についても同様である。
本実施形態においては、1個のXYメッシュ(X、Y)につき1個の最大歪み量Lmax(X、Y)を記憶しているが、ワークWを1度回転させる毎に、すべてのXYメッシュ(X、Y)について歪み量Lを記憶していてもよい。この場合、ステップS7において求められた歪み量Lをすべて意臆しておき、ステップS8及びステップS9は実行しない。そして、ステップS13の実行前に、この歪み量Lから最大歪み量Lmax(X、Y)を計算する。これによっても、実施形態の3次元形状評価方法と同様の効果が得られる。
また、本実施形態においては、ステップS5において、図8(C)のように、基準直線lが外形形状の下側になる場合、基準直線lを求めることなく、第1点A1を1つ進めるようにしてもよい。これにより、計算時間の短縮を図ることができる。なお、プログラムの実行開始直後に、最大歪み量Lmax(X、Y)の初期値を0にしておけば、ステップS8における判断が容易である。
さらに、本実施形態においては、凹歪みのみ評価を行ったが、最小歪み量Lmin(X、Y)を計算することにより凸歪みの評価を行うこともできる。また、最大歪み量Lmax(X、Y)及び最小歪み量Lmin(X、Y)を計算することにより、凹歪み及び凸歪みの両方の評価を行うこともできる。
なお、以上において、本発明を溶接ビード部92の凹歪み評価に即して説明したが、本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
1…測定ヘッド、2…ステージ、3…ワーク台、4…ワーク固定冶具、5…制御処理装置、11…レーザ投光器、12…CCDカメラ、S1…データ取得ルーチン、S2〜S15…評価ルーチン、S4…断面データ計算ステップ、S5…線分決定ステップ、S7…歪み量計算ステップ、S10…断面歪み量計算ステップ、S11…立体歪み量計算ステップ、S12…回転歪み量計算ステップ、A1…第1点、A2…第2点、l…基準直線、B1〜B4…評価点、L…歪み量、30、31…凹部、a0〜a7…断面データ。
Claims (9)
- 3次元形状測定器によって3次元の点群データを取得するデータ取得ルーチンと、該点群データに基づいてワークの3次元形状を評価する評価ルーチンとを備えた3次元形状評価方法において、
前記評価ルーチンは、
前記点群データからワークの所定断面における外形形状を表す断面データを求める断面データ計算ステップと、
該断面データのうちの1つを第1点とし、該第1点から引いた所定の基準直線が該外形形状と当接する第2点を求める線分決定ステップと、
前記断面データ上の前記第1点から前記第2点までの複数の評価点から前記基準直線までの距離を歪み量として求める歪み量計算ステップと、
前記第1点を前記断面データ上で一定距離毎に移動させ、前記線分決定ステップ及び前記歪み量計算ステップを各々実行する断面歪み量計算ステップと、
前記所定断面から一定距離毎に平行にずらした各断面における前記断面データ計算ステップ及び前記断面歪み量計算ステップを実行する立体歪み量計算ステップと、
ワークを一定角度毎に回転させた各断面における該立体歪み量計算ステップを実行する回転歪み量計算ステップと、を備えることを特徴とする3次元形状評価方法。 - 請求項1において、
前記評価ルーチンは、前記断面データ計算ステップを実行する前に、前記データ取得ルーチンで得られた前記点群データを平面の最小自乗法により修正することを特徴とする3次元形状評価方法。 - 請求項2において、
前記評価ルーチンは、前記断面データ計算ステップを実行する前に、平面の最小自乗法により修正された前記点群データを所定のデータ量まで減少させることを特徴とする3次元形状評価方法。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、
前記歪み量計算ステップは、前記各評価点において、前記歪み量のうちの最大値及び/又は最小値を保存することを特徴とする3次元形状評価方法。 - 請求項4において、
前記歪み量が所定の基準値以上である隣接した前記評価点をグルーピングし、該グルーピングされたエリアを凹部として認定することを特徴とする3次元形状評価方法。 - 請求項4において、
前記歪み量が所定の基準値以下である隣接した前記評価点をグルーピングし、該グルーピングされたエリアを凸部として認定することを特徴とする3次元形状評価方法。 - 請求項5又は請求項6において、
前記エリアの面積及び前記エリア内の前記評価点の前記歪み量の総和に基づき凹凸を評価することを特徴とする3次元形状評価方法。 - 3次元形状測定器によって3次元の点群データを取得するデータ取得手段と、該点群データに基づいてワークの3次元形状を評価する評価手段とを備えた3次元形状評価装置において、
前記評価手段は、
前記点群データからワークの所定断面における外形形状を表す断面データを求める断面データ計算手段と、
該断面データのうちの1つを第1点とし、該第1点から引いた所定の基準直線が該外形形状と当接する第2点を求める線分決定手段と、
前記断面データ上の前記第1点から前記第2点までの複数の評価点から前記基準直線までの距離を歪み量として求める歪み量計算手段と、
前記第1点を前記断面データ上で一定距離毎に移動させ、前記線分決定手段及び前記歪み量計算手段を各々実行する断面歪み量計算手段と、
前記所定断面から一定距離毎に平行にずらした各断面における前記断面データ計算手段及び前記断面歪み量計算手段を実行する立体歪み量計算手段と、
ワークを一定角度毎に回転させた各断面における該立体歪み量計算手段を実行する回転歪み量計算手段と、を備えることを特徴とする3次元形状評価装置。 - 請求項8において、
前記歪み量計算手段は、前記各評価点において、前記歪み量のうちの最大値及び/又は最小値を保存することを特徴とする3次元形状評価装置。
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